JP2001233904A - ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤 - Google Patents

ビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤

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JP2001233904A
JP2001233904A JP2000045285A JP2000045285A JP2001233904A JP 2001233904 A JP2001233904 A JP 2001233904A JP 2000045285 A JP2000045285 A JP 2000045285A JP 2000045285 A JP2000045285 A JP 2000045285A JP 2001233904 A JP2001233904 A JP 2001233904A
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vinyl chloride
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Mitsuo Shibuya
光夫 渋谷
Kiyoharu Kitamura
清晴 北村
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Nippon Synthetic Chemical Industry Co Ltd
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/12Polymerisation in non-solvents
    • C08F2/16Aqueous medium
    • C08F2/20Aqueous medium with the aid of macromolecular dispersing agents

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可塑剤吸収性に優れ、残存モノマーが少な
く、フィッシュアイも少なく、粗粒子の少ないビニル系
樹脂を得ることができる懸濁重合用分散助剤を提供する
こと。 【解決手段】 側鎖及び/又は末端にイオン性を有し、
かつケン化度が70モル%以下で、更にケン化度とブロ
ックキャラクターが特定の関係を満足するポリビニルア
ルコール系樹脂からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニル系化合物な
かんずく塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤に関する。
【0002】
【従来の技術】工業的にビニル系樹脂を製造する場合、
水溶性媒体中で分散安定剤の存在下にビニル系化合物を
分散させ、油溶性触媒を用いて、重合を行う懸濁重合法
が広く実施されている。一般に該樹脂の品質を支配する
要因としては、重合率、水−モノマー比、重合温度、重
合開始剤の量や仕込み時期、重合槽の形式、撹拌速度あ
るいは分散安定剤の種類、量等が挙げられるが、この中
でも分散安定剤の影響が大きいと言われている。
【0003】該ビニル系樹脂の代表である塩化ビニル樹
脂においては、特に分散安定剤は重要な要因である。塩
化ビニル重合用の分散安定剤に要求される性能として
は、塩化ビニル樹脂の粒子のかさ密度を上げたり、高
い充填効率[充填効率=充填比重×(ポロシティ+1/
1.4)で示され、粒子の球形度の目安となる]が得ら
れること、多孔性粒子中に残存する塩化ビニルモノマ
ーの除去性を向上させること、重合体粒子の可塑剤の
吸収速度を大きくしてゲル化性を容易にするために、塩
化ビニルの懸濁重合初期の油滴間の合一・再分散を促進
して粒子の空隙率を大きくしたり、塩化ビニル樹脂の粒
子のスキン層を薄くする働きのあること等が挙げられ
る。
【0004】更に、塩化ビニルの重合は、発熱反応で、
採用する重合缶が大型(容量が大)になるにつれて、重
合缶のジャケット面積/容量比が小さくなるので、重合
反応熱の除去が困難となる。最近では、生産性向上の為
に重合開始剤濃度を高めて重合時間の短縮を図ったり、
仕込み時の単量体(塩化ビニルモノマー)/水比を大き
くすることが試みられているが、これらによって重合缶
ジャケットのみによる除熱は益々困難なものとなってい
る。
【0005】この解決の為に重合器ジャケットによる除
熱方式にリフラックスコンデンサー(以下、RCと記す
ことがある)による除熱方式を併用する様になってき
た。
【0006】しかし、RCを稼働させ、重合時間短縮を
図ると、生成粒子が粗粒化したり、懸濁重合終了後の脱
モノマー性が低下したり、また製品の重合体粒子のフィ
ッシュアイが増加したりするので、RCの稼働は重合の
後期のみとするか、せいぜい重合転化率5%以降から稼
働せざる得なかった。しかし、重合器を大型化したり、
仕込み時の単量体/水比を大きくしたりすると、重合転
化率0〜5%の間でも重合器ジャケットのみによる除熱
は不可能となる。塩化ビニルの懸濁重合初期(重合率3
%以下の時点)、特に重合転化率0.1%前後までに形
成される粒子が生成重合体粒子の品質・性能を決めてし
まう為、この重合初期での分散助剤の塩化ビニルモノマ
ーへの吸着速度が速く、重合初期の油滴間の合一・再分
散を促進し、重合初期からRCを稼働することにより単
量体の還流、攪乱が急激に起こっても正常な重合粒子が
得られ、フィッシュアイが増加しない分散安定剤の開発
が望まれていた。
【0007】かかる分散安定剤としては、ポリビニルア
ルコール系樹脂(以下、PVAと略記することがあ
る)、セルロース誘導体、ゼラチン等の主分散剤が用い
られている。中でも、主分散剤としてケン化度65〜9
9モル%のPVAが用いられ、また、ケン化度65モル
%未満のPVAが分散助剤として多用されているが、上
記の〜の性能はいまだ十分とは言えず、塩化ビニル
樹脂の性能を高めるために、分散助剤についても様々な
試みがなされている。
【0008】例えば、側鎖にアミノ基、アンモニウム
基、カルボキシル基、スルホン酸基を有したビニルエス
テル系重合体を分散質とするビニル系化合物の懸濁重合
用分散助剤を主分散剤と併用することが試みられ、具体
的には、(a)特開平1−95103号公報では、カル
ボキシル基又はスルホン酸基を0.01〜10モル%、
ケン化度0〜40モル%のビニルエステル系重合体を懸
濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とともに併
用する方法、(b)特開平4−154810号公報で
は、カルボキシ基又はスルホン酸基を0.01〜10モ
ル%、ケン化度70モル%以下のビニルエステル系重合
体を懸濁重合用分散助剤として従来公知の主分散剤とと
もに併用する方法が挙げられ、更に、(c)特開平5−
247106号公報では、40℃以上の加熱水媒体及び
末端にイオン性基を有するケン化度60モル%以下のポ
リビニルエステル系重合体からなる分散助剤を用いるこ
とが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
(a)〜(c)の方法では、塩化ビニルモノマーへの吸
着速度が未だ不十分で、生産性の向上と得られる塩化ビ
ニル樹脂の品質を充分に両立できるものではなく、RC
を装備した重合缶において(a)〜(c)の性能を満足
する懸濁重合用分散助剤の開発が望まれるところであ
る。
【0010】すなわち、本発明の目的とするところは、
重合初期の塩化ビニルモノマーへの吸着速度が速く、品
質の良好な(可塑剤の吸収性に優れ、残存モノマーも少
なく、成形したときのフィッシュアイも少ない)塩化ビ
ニル樹脂を得ることができ、重合初期からRCを稼働さ
せることが出来る塩化ビニルの懸濁重合用分散助剤を提
供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者が鋭意
研究した結果、側鎖及び/又は末端にイオン性基を有
し、かつケン化度が70モル%以下で、更にケン化度
(Yモル%)とブロックキャラクター(η)が下記
(1)式の条件を満足するPVAからなる塩化ビニル懸
濁重合用分散助剤が、上記の目的に合致することを見出
して本発明を完成するに至った。
【0012】 η−0.00005Y2+0.0085Y≦0.80 ・・・(1) また、本発明においては、かかるPVAがオキシアルキ
レン基を含有しているとき、更に本発明の作用効果を顕
著に得ることができる。
【0013】尚、ここで言うブロックキャラクター
[η]とは、13C−NMRの測定(内部標準物質として
3-(Trimethylsilyl)propionic-2,2,3,3,-d4acid,sodium
saltを使用)により、40〜49ppmの範囲に見られ
るメチレン炭素部分に基づく吸収[(OH,OH)=4
6〜49ppmの吸収、(OH,OR)=43.5〜4
5.5ppmの吸収、(OR,OR)=40〜43pp
mの吸収、但し、ORはO−酢酸基又はO−アセト酢酸
基を表す]の吸収強度比から求められるもので、より具
体的には下記(2)式より算出される値である。
【0014】 [η]=(OH,OR)/2(OH)(OR) ・・・ (2) 〔但し、(OH,OR)、(OH)、(OR)は、いず
れもモル分率で計算するものとする〕 上記の13C−NMRの測定にあたっては、例えば、日本
ブルカー社製「DPX−400」を用いて、PVA/D
2O/アセトン=0.7/1.0/1.0(重量比)の
試料を調製して、測定温度50℃で積算回数10240
回で測定することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳述する。
【0016】本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分散
助剤(以下、単に分散助剤と称することがある)は、上
記の如く側鎖及び/又は末端にイオン性基を有するもの
で、かかるイオン性基としては、スルホン酸基、カルボ
キシル基、アミノ基、アンモニウム基等を挙げることが
でき、中でもカルボキシル基が好ましい。また、これら
のイオン性基は、塩の形であっても良く、分散助剤の水
中での分散性を考慮すると、アルカリ金属塩が好まし
い。
【0017】これらのイオン性基をPVAに導入する方
法については、特に制限はなく、例えば、イオン性基
を有する単量体及びビニルエステル系化合物より共重合
体を得た後、該共重合体をケン化する方法、イオン性
基を有するアルデヒドやチオール等の官能基を持つ化合
物を連鎖移動剤として共存させてビニルエステル系化合
物の共重合を行った後、得られた共重合体をケン化する
方法、重合開始剤として、4,4’−アゾビス−4−
シアノバレリックアシッドとジメチル−2,2’−アゾ
ビス−イソブチレートを用いてビニルエステル系化合物
の共重合を行った後、得られた共重合体をケン化する方
法、PVAを得た後に化学反応により導入する方法等
が挙げられるが、〜の方法でイオン性基を有するビ
ニルエステル系共重合体を得た後、該共重合体をケン化
する方法が経済的でかつ効率的であるため好適に実施さ
れる。
【0018】以下、それぞれのイオン性基の導入方法に
ついて、具体的に説明する。 [スルホン酸基を導入する方法] スルホン酸基を有する単量体とビニルエステル系化合
物を共重合した後にケン化する方法。
【0019】かかる単量体としては以下のものが挙げら
れる。 (イ)エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタア
リルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸又はその塩 (ロ)下記一般式(1)又は(2)で表されるスルホア
ルキルマレート 〔化1〕 〔化2〕 [但し、上記一般式(1)、(2)においてR1はアル
キル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ
金属又はアンモニウムイオンを示す。] 上記のスルホアルキルマレートとして具体的には、ナト
リウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、ナ
トリウムスルホプロピル2−エチルヘキシルマレート、
ナトリウムスルホプロピルトリデシルマレート、ナトリ
ウムスルホプロピルエイコシルマレート等が挙げられ
る。
【0020】(ハ)下記一般式(3)〜(5)のいずれ
かで表されるスルホアルキル(メタ)アクリルアミド、
スルホアルキル(メタ)アクリレート 〔化3〕 〔化4〕 〔化5〕 [但し、上記一般式(3)〜(5)において、R2,R3,
4,R5,R7,R8,R9は水素又はアルキル基、R6はアル
キル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ
金属又はアンモニウムイオンを示す。] 上記のスルホアルキル(メタ)アクリルアミドとして具
体的には、ナトリウムスルホメチルアクリルアミド、ナ
トリウムスルホt−ブチルアクリルアミド、ナトリウム
スルホS−ブチルアクリルアミド、ナトリウムスルホt
−ブチルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0021】〔化6〕 [但し、上記一般式(6)においてR10は水素又はアル
キル基、nは2〜4の整数、Mは水素原子又はアルカリ
金属又はアンモニウムイオンを示す。] 上記のスルホアルキル(メタ)アクリレートとして具体
的には、ナトリウムスルホエチルアクリレート等が挙げ
られる。
【0022】共重合により導入する場合、スルホン酸基
を有する単量体の中でもオレフィンスルホン酸、又はそ
の塩が好適に使用される。
【0023】また、ビニルエステル系化合物としては酢
酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ギ酸ビニル、酪酸ビニ
ル、イソ酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプリン酸ビ
ニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられるが中でも酢
酸ビニルが好適に使用される。
【0024】上記の単量体とビニルエステル系化合物の
重合の形式は、従来の公知の形式、例えば塊状重合、溶
液重合、懸濁重合、分散重合、又はエマルジョン重合の
いずれをも採用し得るが工業的にはメタノールやトルエ
ン等を用いる溶液重合が好ましい。
【0025】また、上記の重合にあたっては特に制限は
なく、上記に示した各種の重合方法を採用することがで
きるが、その多成分の仕込み方法として一括、分割、連
続滴下等が挙げられ、適宜選択すればよい。
【0026】上記の如く側鎖又は末端にイオン性基が導
入された共重合体(ポリビニルエステル系重合体)は、
次いでケン化されるのであるが、かかるケン化方法とし
ては、アルカリケン化又は酸ケン化のいずれも採用でき
るが、工業的にはメタノール溶媒でNaOHやCH3
Naを触媒としたエステル交換が最も有利である。
【0027】スルホン酸基を有するアルコール、スル
ホン酸基を有するアルデヒド或いはチオール等の官能基
を有する化合物を連鎖移動剤として共存させてビニルエ
ステル系化合物を重合した後にケン化する方法。
【0028】ここで、連鎖移動剤を使用する場合、所定
の変性量になるように重合系のビニルエステルの反応率
に応じて連鎖移動剤を添加することにより、反応系の連
鎖移動剤量がビニルエステルに対しあまり変化しないよ
うにすることが好ましい。
【0029】このときは、特に連鎖移動効果の大きいチ
オールに由来する化合物が有効で以下の化合物が挙げら
れる。 〔化7〕 〔化8〕 〔化9〕 〔化10〕 [但し、上記一般式(7)〜(10)において、R11
19はそれぞれ水素又はメチル基、nは2〜4の整数、
Mは水素原子又はアルカリ金属又はアンモニウムイオン
を示す。尚、nが複数のときは、nの数だけ存在する各
14,R15,R17,R18は同じものでも異なるものでもよ
い。] 具体的には、チオプロピオン酸ナトリウムスルホプロパ
ン等が挙げられる。
【0030】また、ビニルエステル系化合物について
は、上記のと同様のものが用いられ、重合形式やケン
化についても同様に行うことができる。 ポリビニルアルコールを臭素、ヨウ素等で処理した
後、酸性亜硫酸ソーダ水溶液で加熱する方法。 ポリビニルアルコールを濃厚な硫酸水溶液中で加熱す
る方法。 ポリビニルアルコールをスルホン酸基を有するアルデ
ヒド化合物でアセタール化する方法、等である。
【0031】[カルボキシル基を導入する方法] カルボキシル基を有する単量体とビニルエステルを共
重合した後にケン化する方法。
【0032】このときのカルボキシル基を有する単量体
としてエチレン性不飽和ジカルボン酸(マレイン酸、フ
マル酸、イタコン酸等)、又はエチレン性不飽和カルボ
ン酸モノエステル(マレイン酸モノアルキルエステル、
フマル酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキ
ルエステル等)又はエチレン性不飽和ジカルボン酸ジエ
ステル(マレイン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジア
ルキルエステル、イタコン酸ジアルキルエステル等)又
はエチレン性不飽和カルボン酸無水物(無水マレイン
酸、無水イタコン酸等)、あるいは(メタ)アクリル酸等
の単量体およびその塩が挙げられ、その中でもエチレン
性不飽和カルボン酸モノエステル又はその塩が好適に使
用される。
【0033】又、カルボキシル基を導入した場合、ケン
化反応時あるいは乾燥時にラクトン環が生成されること
による不溶化が懸念されるが、その対策として水溶解性
が良いポリビニルアルコールの製法で既に公知であるマ
レイン酸又は無水マレイン酸等のジカルボン酸コモノマ
ーやカルボン酸モノマーに対して0.5〜2.0モル当
量のアルカリ存在下で酢酸ビニルを有機溶媒中共重合さ
せケン化する方法やケン化後に得られたカルボン酸塩
(ナトリウム塩)をカルシウムやマグネシウム、亜鉛等
の2価の金属塩で置換して乾燥する方法が使用される。
【0034】また、ビニルエステル系化合物について
は、上記のスルホン酸基を導入する方法のと同様のも
のが用いられ、重合形式やケン化についても同様に行う
ことができる。 カルボキシル基を有するアルコール、アルデヒドある
いはチオール等の官能基を有する化合物を連鎖移動剤と
して共存させてビニルエステルを重合した後にケン化す
る方法。
【0035】このときは、特に連鎖移動効果の大きいチ
オールに由来する化合物が有効で以下の化合物が挙げら
れる。 〔化11〕 HS−(CH2)n−COOH ・・・(11) 〔化12〕 [但し、上記一般式(11)、(12)において、
20,R21,R22はそれぞれ水素原子又は低級アルキル基
(置換基を含んでもよい)、nは0〜5の整数を示
す。]
【0036】〔化13〕 [但し、上記一般式(13)において、nは0〜20の
整数を示す。]及び上記一般式(11)〜(13)で表
される化合物の塩。具体的にはメルカプト酢酸、2−メ
ルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、
2−メルカプトステアリン酸等が挙げられる。
【0037】また、ビニルエステル系化合物について
は、上記のスルホン酸基を導入する方法のと同様のも
のが用いられ、重合形式やケン化についても同様に行う
ことができる。 [アミノ基或いはアンモニウム基を導入する方法] アミノ基或いはアンモニウム基を有する単量体とビニ
ルエステルを共重合した後にケン化する方法。
【0038】かかる単量体としては、以下の化合物が挙
げられる。 〔化14〕
【0039】
【化1】
【0040】〔化16〕 〔化17〕 〔化18〕 [但し、上記一般式(14)〜(18)において、
23,R24,R27,R28,R29はそれぞれ水素原子又はメチ
ル基、R25,R26は低級アルキル基(置換基を含んで
もよい)、Xはアンモニウム窒素と塩を形成する陰性の
基、Aはアミン或いは アンモニウムと上記一般式(1
4)のアミド基の窒素原子或いは上記一般式(16)の
酸素原子とを連結する基、wは0〜3の整数、mは1〜
10の整数を示す。]及び上記一般式(14)〜(1
8)で表される化合物の四級化物。
【0041】アミノ基或いはアンモニウム基を有する
アルデヒド或いはチオール等の官能基を有する連鎖移動
剤として共存させてビニルエステルを重合した後にケン
化する方法。
【0042】このときは、特に連鎖移動効果の大きいチ
オールに由来する化合物が有効で以下の化合物が挙げら
れる。 〔化19〕
【0043】
【化2】
【0044】〔化21〕 〔化22〕 [但し、上記一般式(19)〜(22)において、
23,R24,R27,R28,R29はそ れぞれ水素原子又はメ
チル基、R25,R26は低級アルキル基(置換基を含んで
も よい)、Aはアミン或いはアンモニウムと上記一般
式(19)のアミド基の窒 素原子或いは上記一般式
(21)の酸素原子とを連結する基、wは0〜3の整
数、mは1〜10の整数を示す。]及び上記一般式(1
9)〜(22)で表される化合物の四級化物。尚、上記
のイオン性基の中でも、塩化ビニルの懸濁重合の安定性
(粗粒子が少なく、重合はブロック化もしない)の点
で、特にカルボキシル基が好ましい。
【0045】かくして、側鎖又は末端にイオン性基がを
導入されたPVAが得られるのであるが、かかるPVA
中のイオン性基の含有量(変性量)は0.1〜1.0モ
ル%(更には0.1〜0.7モル%、特には0.1〜
0.3モル%)であることが好ましく、かかる含有量が
0.1モル%未満では、分散助剤の水分散性が悪くなっ
たり、又ビニル系化合物のモノマー(塩化ビニルモノマ
ー)への吸着速度が不十分となり、逆に1.0モル%を
越えると該モノマーへの溶解速度が遅くなったり、該モ
ノマーへの溶解量が低下したりして好ましくない。
【0046】また、得られるPVAのケン化度は、65
モル%以下(更には0〜60モル%、特には20〜60
モル%、殊に30〜50モル%)とすることが必要で、
かかるケン化度が65モル%を越えるとビニル系化合物
のモノマー(塩化ビニルモノマー)への吸着速度が遅
く、懸濁重合で得られるビニル系化合物(塩化ビニル樹
脂)のポロシティーの均一性、可塑剤吸収性等が低下し
て本発明の目的を達成することができない。
【0047】更に、PVAの平均重合度については、特
に限定されないが、100〜1000(更には120〜
650、特には200〜550)とすることが好まし
く、かかる重合度が100未満では、懸濁重合で得られ
るビニル系化合物(塩化ビニル樹脂)のポロシティーや
脱モノマー性の改善効果が不十分となり、更には脱モノ
マー工程での発泡が著しくて生産性が低下し、逆に10
00を越えると分散助剤を水性液にするときに水性液の
樹脂濃度を上げることが困難となって、水性液の流動性
が低下したり、ゲル化したりして好ましくない。尚、こ
こで言うPVAの平均重合度は、JIS K6726に
準じて測定されるものである。
【0048】かくして、イオン性基を含有したPVAが
得られるのであるが、本発明においては、かかるPVA
のケン化度(Yモル%)とブロックキャラクター(η)
が下記(1)式の条件を満足することが必要で、かかる
条件を満足しないときは、本発明の作用効果を得ること
ができない。
【0049】 η−0.00005Y2+0.0085Y≦0.80 ・・・(1) 即ち、上記の(1)式において、η−0.00005Y
2+0.0085Yの値が0.80を越えるときは、ビ
ニル系化合物のモノマー(塩化ビニルモノマー)への吸
着速度や溶解速度が低下して本発明の目的を達成するこ
とはできない。更に好ましくは、下記の(1’)式の範
囲である。
【0050】 η−0.00005Y2+0.0085Y≦0.77 ・・・(1’) 尚、ここで言うブロックキャラクター[η]とは、13
−NMRの測定(内部標準物質として3-(Trimethylsily
l)propionic-2,2,3,3,-d4acid,sodiumsaltを使用)によ
り、40〜49ppmの範囲に見られるメチレン炭素部
分に基づく吸収[(OH,OH)=46〜49ppmの
吸収、(OH,OR)=43.5〜45.5ppmの吸
収、(OR,OR)=40〜43ppmの吸収、但し、
ORはO−酢酸基又はO−アセト酢酸基を表す]の吸収
強度比から求められるもので、より具体的には下記
(2)式より算出される値である。
【0051】 [η]=(OH,OR)/2(OH)(OR) ・・・ (2) 〔但し、(OH,OR)、(OH)、(OR)は、いず
れもモル分率で計算するものとする〕上記の13C−NM
Rの測定にあたっては、例えば、日本ブルカー社製「D
PX−400」を用いて、PVA/D2O/アセトン=
0.7/1.0/1.0(重量比)の試料を調製して、
測定温度50℃で積算回数10240回で測定すること
ができる。
【0052】上記の(1)式或いは(1’)式の下限は
特に限定はされないが、分散助剤の工業的生産(ケン化
時の溶媒の制約等)を考慮すれば、下限を0.64とす
ることが好ましい。
【0053】かかる(1)式或いは(1’)式を満足さ
せるには、PVAのケン化度とブロックキャラクターの
関係をコントロールすれば良く、特にブロックキャラク
ターについては、特に限定されないが、工業的にはPV
Aの製造時のケン化工程において、種々の誘電率の溶剤
の共存下でアルカリケン化を行うことでコントロールが
可能となる。特に本発明では、ケン化時の溶媒の誘電率
として、32c.g.s.e.s.u.以下の溶剤を用いることが好
ましく、かかる誘電率が32c.g.s.e.s.u.以下の溶剤と
しては、メタノール(31.2c.g.s.e.s.u.)、酢酸メ
チル/メタノール=1/3(27.1c.g.s.e.s.u.)、
酢酸メチル/メタノール=1/1(21.0c.g.s.e.s.
u.)、酢酸メチル/メタノール=3/1(13.9c.g.
s.e.s.u.)、酢酸メチル(7.03c.g.s.e.s.u.)、イ
ソプロピルアセテート(6.3c.g.s.e.s.u.)、トリク
ロロエチレン(3.42c.g.s.e.s.u.)、キシレン
(2.37c.g.s.e.s.u.)、トルエン(2.38c.g.s.
e.s.u.)、ベンゼン(2.28c.g.s.e.s.u.)、アセト
ン(21.4c.g.s.e.s.u.)等を挙げることができ、好
適には酢酸メチル/メタノールの混合溶媒が用いられ
る。
【0054】また、ケン化時の温度や樹脂分は、特に限
定されないが、該温度はケン化溶媒の沸点よりやや低め
とすることが好ましく、ケン化時の樹脂分は30〜65
重量%(更には40〜50重量%)とすることが好まし
い。
【0055】また、本発明においては、かかるPVAが
オキシアルキレン基を含有しているとき、該PVA(分
散助剤)の水溶液濃度を広範囲(0.01〜50重量%
程度)に制御することが可能となる。
【0056】かかるオキシアルキレン基とは、下記一般
式(23)で表されるものである。 〔化23〕 〔但し、R1,R2は水素又はアルキル基、Xは水素、ア
ルキル基、アルキルエステル基、アルキルアミド基、ス
ルホン酸塩基等のいずれかの有機残基、nは1〜300
の整数を示す〕 上記において、Xは通常は水素で、nの数は有利には2
〜300、特に好ましくは6〜60程度のオキシアルキ
レン基が実用的であり、特にポリオキシエチレン基が効
果的である。
【0057】かかるオキシアルキレン基を上記の分散剤
に導入するに当たっては、特に限定されず、例えば、
ポリオキシアルキレンの存在下にビニルエステルを重合
し、ケン化する方法、オキシアルキレン基を有する不
飽和単量体とビニルエステルを共重合し、ケン化する方
法、部分ケン化ビニルエステル系樹脂に酸化アルキレ
ンを後反応させる方法、水酸化ナトリウム等の苛性ア
ルカリ又は酸等を触媒としてビニルエステル系樹脂にエ
チレンオキサイド、プロピレンオキサイド等を付加重合
させた後にケン化する方法等が挙げられるが、が樹脂
の製造面、性能面から実用的である。
【0058】以下の方法について具体的に説明する。
【0059】オキシアルキレン基を有する不飽和単量体
としては次の様なものが例示されるが、本発明ではこれ
らのみに限定されるものではない。
【0060】(メタ)アクリル酸エステル型 〔化24〕 上記一般式(24)で示される (但し、Rは水素又は
メチル基、R1,R2,R3は水素又はアルキル基、Aは
アルキレン基、置換アルキレン基、フェニレン基、置換
フェニレン基のいずれか、mは0又は1以上の整数、n
は1〜100の整数)もので、具体的にはポリオキシエ
チレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0061】(メタ)アクリル酸アミド型 〔化25〕 上記一般式(25)で示される(但し、R4は水素又は
アルキル基又は下記一般式(26)で示されるもの、
A,R,R1,R2,R3,m,nは前記と同様)もの
で、具体的にはポリオキシエチレン(メタ)アクリル酸
アミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリル酸アミ
ド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド
−1,1−ジメチルプロピル)エステル等が挙げられ
る。 〔化26〕 〔但し、R1,R2は水素又はアルキル基、nは1〜30
0の整数を示す〕(メタ)アリルアルコール型 〔化27〕 上記一般式(27)で示される(但し、R,R1,R2
nは前記と同様)もので、具体的にはポリオキシエチレ
ン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メ
タ)アリルエーテル等が挙げられる。
【0062】ビニルエーテル型 〔化28〕 上記一般式(28)で示される(但し、A,R1,R2
3,m,nは前記と同様)もので、具体的にはポリオ
キシプロピレンビニルエーテル等が挙げられる。
【0063】上記のオキシアルキレン基を有する不飽和
単量体の中で(メタ)アルコール型のものが好適に使用
される。
【0064】また、ポリオキシエチレンアリルアミン、
ポリオキシプロピレンアリルアミン等のポリオキシアル
キレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミ
ン、ポリオキシプロピレンビニルアミン等のポリオキシ
アルキレンビニルアミン等を共重合し、次いでケン化す
ることによっても得ることができる。
【0065】更に、本発明の懸濁重合用分散助剤(PV
A)は、本発明の目的を阻害しない範囲において、下記
の単量体を共重合していても構わない。
【0066】エチレン性不飽和カルボン酸及びそのアル
キルエステル等 クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、イタコン酸メチ
ル、イタコン酸エチル、ソルビン酸メチル、ソルビン酸
エチル、マレイン酸モノアルキルエステル、マレイン酸
ジアルキルエステル、オレイン酸アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)
アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、
(メタ)アクリル酸オクタデシル等が挙げられる。
【0067】飽和カルボン酸のアリルエステル ステアリン酸アリル、ラウリン酸アリル、ヤシ油脂肪酸
アリル、オクチル酸アリル、酪酸アリル等。
【0068】α−オレフィン エチレン、プロピレン、α−ヘキセン、α−オクテン、
α−デセン、α−ドデセン、α−ヘキサデセン、α−オ
クタデセン等。
【0069】アルキルビニルエーテル プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキ
シルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシル
ビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、テトラデシ
ルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、オク
タデシルビニルエーテル等。
【0070】アルキルアリルエーテル プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、ヘキ
シルアリルエーテル、オクチルアリルエーテル、デシル
アリルエーテル、ドデシルアリルエーテル、テトラデシ
ルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、オク
タデシルアリルエーテル等。
【0071】その他、(メタ)アクリルアミド、(メ
タ)アクリロニトリル、スチレン、塩化ビニル等の使用
も可能である。
【0072】次に本発明の分散助剤を用いた場合のビニ
ル系化合物の懸濁重合について説明する。
【0073】ビニル系化合物としては塩化ビニルモノマ
ー単独のほか、塩化ビニルモノマーを主体とするモノマ
ー混合物(塩化ビニル50重量%以上)が包含され、こ
の塩化ビニルモノマーと共重合されるコモノマーとして
は酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステ
ル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル等のアクリル
酸エステルもしくはメタクリル酸エステル、エチレン、
プロピレン等のオレフィン、無水マレイン酸、アクリロ
ニトリル、スチレン、塩化ビニリデンその他塩化ビニル
モノマーと共重合可能なモノマーが例示される。
【0074】又本発明の分散助剤は必ずしも塩化ビニル
モノマーの重合用に限定されるものではなく、塩化ビニ
リデン、アルキルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリ
ル酸及びそのエステル、メタアクリル酸及びそのエステ
ル、マレイン酸及びその無水物、イタコン酸、スチレ
ン、塩化ビニル、アクリロニトリル、イソブチレン、イ
ソブテン、ブタジエンなどのα−オレフィン及びエチレ
ンなどの群からなる1種又は2種以上の成分を含有する
ビニル化合物の懸濁重合にも用いられるが、塩化ビニル
モノマーの懸濁重合を主体に以下具体的に説明する。
【0075】該重合を実施するに当たっての各成分の仕
込み割合、重合温度等は従来塩化ビニルの懸濁重合で採
用されている条件に準じて定めればよく、特に限定する
理由は存在しないが、主分散剤と共に本発明で得られる
分散助剤を用いて、塩化ビニルモノマーを懸濁重合する
際には通常、水媒体に分散安定剤を添加し、塩化ビニル
モノマーを分散させて油溶性触媒の存在下で重合が行わ
れる。
【0076】本発明の分散助剤を分散質とする水性分散
液は、実用範囲内の濃度(0.1〜20重量%)で0〜
50℃における放置安定性が良好であり、1ケ月間以上
の放置によっても性状に変化がない。更にオキシアルキ
レン基を導入した場合は、水性分散液の濃度は0.1〜
50重量%の範囲でも放置安定性が良好である。
【0077】かかる方法において、分散助剤は主分散剤
と共に粉末のまま或いは溶液状にして加えられる。メタ
ノール溶液や水溶液として使用することができ、好まし
くは溶液状で加える場合、水溶液にして加えられる。該
分散安定剤は塩化ビニルモノマーに対して0.01〜
0.15重量%、好ましくは0.01〜0.06重量
%、特に好ましくは0.01〜0.04重量%で使用さ
れる。該分散安定剤が0.15重量%を越えると塩化ビ
ニルの懸濁重合が不安定となり、粗粒子が生成し、逆に
0.01重量%未満では重合時の油滴の合一・再分散が
不十分となり、残存する塩ビモノマーの除去性が低く、
或いは可塑剤吸収速度が遅くなり好ましくない傾向があ
る。又必要に応じ塩化ビニル樹脂の物性及び重合の安定
性のために、アクリル酸系重合物、ゼラチン、ソルビタ
ンエステル系、セルロース系、ポリエーテル系混合物等
の周知の分散助剤のうちから1種又は2種以上を併用し
ても差し支えない。
【0078】一方、重合開始剤としては、ジイソプロピ
ルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシル
パーオキシジカーボネート、ジエトキシエチルパーオキ
シジカーボネート等のパーカーボネート化合物、t−ブ
チルパーオキシネオデカネート、α−クミルパーオキシ
ネオデカネート、t−ブチルパーオキシネオデカネート
等のパーエステル化合物、アセチルシクロヘキシルスル
ホニルパーオキシド、2,4,4−トリメチルペンチル−
2−パーオキシフェノキシアセテート等の過酸化物、ア
ゾビス−2,4−ジメチルパレロニトリル、アゾビス
(4−メトキシ−2,4−ジメチルパレロニトリル)等
のアゾ化合物、更には過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム、過酸化水素等を単独又は組合わせて使用すること
ができる。かかる重合開始剤を反応系に仕込むタイミン
グは、RC稼働前に仕込んでも、RC稼働直後に仕込ん
でも良い。
【0079】更に、ビニル系化合物の重合に適宜使用さ
れる重合調整剤、連鎖移動剤、ゲル化改良剤、帯電防止
剤、pH調整剤等を添加することも任意である。
【0080】本発明で用いられる主分散剤としては特に
限定されないが、PVA、メチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロース、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン等が用
いられるが、好ましくはPVAが用いられる。
【0081】PVAを主分散剤として用いる場合には、
ケン化度65〜95モル%、好ましくは69〜85モル
%、重合度200〜3000、好ましくは、500〜2
500のPVAが好ましい。主分散剤として用いられる
PVAとしてはカルボシル基、スルホン酸基等のアニオ
ン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、
環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセト
アセチル基、エチレン、α−オレフィン、アセトンジア
クリルアミド等を10モル以下の少量含有するものや分
子内にカルボニル基を有するPVAや共役二重結合を含
有するPVAも使用することができる。
【0082】主分散剤の重量%は塩化ビニルモノマー1
00重量部に対して一般的には0.01〜0.5重量部
であることが好ましく、更に好ましくは0.05〜0.
1重量部である。
【0083】本発明の分散助剤と主分散剤の重量比は分
散助剤/主分散剤=10/90〜70/30、更に好ま
しくは分散助剤/主分散剤=20/80〜40/60で
ある。この割合が10/90より小さい場合には、粒子
のポロシティ分布が一定にならず、脱モノマー性、充填
効率等が低下し、F.E.も増加する。70/30より
大きい場合には重合安定性に悪影響を及ぼす傾向があ
り、重合体粒子が粗粒子化する傾向となり、充填効率も
上がらない。
【0084】本発明の分散助剤は、通常のビニル系化合
物の懸濁重合に有用であるが、本発明においては、特
に、RCを装備した反応缶において、重合初期よりRC
を稼働させるビニル系化合物の懸濁重合に大変有用であ
り、以下、該重合方法について説明するが、これに限定
されるものではない。
【0085】重合時の除熱については、重合発熱量の全
てをRCで除熱してもよく、RCと重合ジャケットの両
方で除熱してもよい。RCにおける除熱の制御は、バル
ブ操作による水量調節、水温調節等の公知の方法による
ことが出来る。反応缶ジャケットにおける除熱の制御も
同様の公知の方法によることが出来る。本発明では、水
媒体等を反応缶に仕込む前に、反応缶内及びRC内を予
め脱気しておくのが製品の品質の面から好ましい。更
に、予め脱気し加温したイオン交換水や、予め加温した
塩化ビニルモノマーを使用するのが生産性向上の面から
好ましい。
【0086】重合初期からRCを稼働させると生成重合
体の粒子の脱モノマー性が低下したり、成形時のフィッ
シュアイの減衰速度が低下したりするのは、RCの稼働
で単量体の還流や攪乱が急激に起こる為、重合初期(重
合転化率0.1%前後)の塩ビモノマー油滴間の合一・
再分散の頻度が低下し、油滴間の開始剤濃度の不均一化
や1次粒子の塩化ビニルモノマー界面への沈積によるス
キン層の形成等が起こるため得られる塩化ビニルの品質
低下を引き起す為と考えられる。
【0087】本発明の分散助剤を用いる場合は、RCの
稼働は重合初期からでも可能となる。ここで、重合初期
とは、塩化ビニルモノマーの重合率が3%以下、特には
1%前後を言う。
【0088】又、RCを稼働させる場合の重合開始剤の
仕込みタイミングは、RC稼働前後いずれも可能である
が、稼働後の添加が好ましい。
【0089】本発明での仕込みモノマーと水の比は特に
限定されないが、モノマー/水の重量比が1.0/1.
5〜1.0/0.8が好ましく、より好ましくは1.0
/1.2〜1.0/0.9であり、該比が1.0/1.
5より小さいと生産性が低く、逆に1.0/0.8より
大きいと生成する塩化ビニル粒子が粗粒子化したり、得
られる製品のフィッシュアイが増加する傾向にあり好ま
しくない。
【0090】
【実施例】以下、本発明について実施例を挙げて更に詳
しく説明する。
【0091】実施例1 RCを装備した1.5m3の反応缶とRC内部を共に脱
気した後、脱気したイオン交換水、塩化ビニルモノマー
及び分散助剤として別紙記載の各種部分鹸化PVA及び
本発明の分散助剤を塩化ビニルモノマー100重量部に
対して別紙記載の添加量で添加した。尚、塩化ビニルモ
ノマー/水(重量比)=1/1(水と塩化ビニルモノマ
ーの合計量1200Kg)であった。反応缶内温度を5
7℃に昇温した後、重合開始剤としてジー2ーエチルヘ
キシル−オキシジカーボネート及びt−ブチルパーオキ
シネオカーボネートを各々塩化ビニルモノマー100重
量部に対して0.03重量部仕込み、これと同時にRC
を稼働させて、4時間重合を行った。重合中は、RCの
冷却水温度及び反応缶ジャケット温度を制御し、重合反
応熱をRCと反応缶ジャケットで除熱した。尚、RC除
熱量及び反応缶ジャケット除熱量は各々50%であっ
た。
【0092】得られた塩化ビニル樹脂の転化率は88%
であった。
【0093】得られた塩化ビニル樹脂の可塑剤吸収性、
残存モノマー量、フィッシュアイ、粗粒子について、以
下の要領で評価した。 (可塑剤吸収性)塩化ビニル樹脂100部とジオクチル
フタレート50部の混合物の乾燥点までの時間をブラベ
ンダーにて測定して、以下の如く評価した。
【0094】 A −−− 乾燥点までの時間が3分未満 B −−− 〃 3〜5分未満 C −−− 〃 5分以上 (残存モノマー量)塩化ビニル樹脂(粒子)の一定量を
THF(テトラヒドロフラン)に溶解させて、ガスクロ
マトグラフにより、残存する塩化ビニルモノマーを定量
した。 (フィッシュアイ)塩化ビニル樹脂100部、ジオクチ
ルフタレート50部にジオクチル錫ジラウレート3部、
ステアリン酸亜鉛1部及びカーボンブラック0.2部を
混合したものを155℃のロールで4分間混練した後、
0.3mm厚みのシートの成形して、100mm×10
0mm当たりのフィッシュアイの個数を目視で観察し
て、以下の如く評価した。
【0095】A −−− 0〜4個 B −−− 5〜10個 C −−− 11個以上 (粗粒子)JIS標準ふるいの60メッシュオンの粗大
粒子の含有量(%)を調べて、以下の如く評価した。
【0096】A −−− 0.2%以下 B −−− 0.2%を越えて1%未満 C −−− 1%以上 実施例2〜6、比較例1〜3 表1及び2に示される分散助剤を、表3に示されるよう
に主分散剤と併用して、実施例1と同様に塩化ビニル樹
脂の懸濁重合を行って、同様に評価を行った。
【0097】実施例及び比較例の評価結果を表4に示
す。
【0098】 〔表1〕 イオン性基(末端) イオン性基(側鎖) オキシアルキレン基 変性種 変性量(モル%) 変性種 変性量(モル%) 変性種 変性量(モル%) 分散助剤1 0.30 − − − − 分散助剤2 0.18 − − − − 分散助剤3 0.24 0.2 1.0 分散助剤4 0.30 0.1 1.0 分散助剤5 − − 0.3 .0分散助剤6 0.80 − − 2.0 分散助剤a − − − − − − 分散助剤b 0.30 − − − −分散助剤c 0.31 − − − − 尚、上記表1中の変性種の〜は以下の通り 〔イオン性基〕 :カルボン酸Na塩[HOOCCH2−SHを連鎖移
動剤として使用] :アミン[NH2(CH22−SHを連鎖移動剤とし
て使用] :カルボン酸Na塩[マレイン酸モノメチルを共重合
成分として使用] :カルボン酸Na塩[イタコン酸を共重合成分として
使用] 〔オキシアルキレン基〕 :ポリオキシエチレンモノアリルエーテル(n=1
5;オキシアルキレン基のモル付加数) :ポリオキシエチレンアクリル酸アミド(n=30;
オキシアルキレン基のモル付加数) :ポリオキシエチレンビニルエーテル(n=50;オ
キシアルキレン基のモル付加数)
【0099】 〔表2〕 ケン化度 フ゛ロックキャラクター (1)式の値* 平均重合度 (Yモル%) (η) 分散助剤1 35 0.49 0.72 300 分散助剤2 40 0.39 0.65 550 分散助剤3 50 0.40 0.70 350 分散助剤4 60 0.40 0.73 300 分散助剤5 45 0.47 0.75 950分散助剤6 45 0.51 0.79 120 分散助剤a 35 0.49 0.72 300 分散助剤b 75 0.36 0.72 300分散助剤c 40 0.55 0.81 300 *:η−0.00005Y2+0.0085Yの計算値
【0100】 〔表3〕 分散助剤 主分散剤(未変性PVA) 使用分散助剤 使用量*1 重合度 ケン化度 使用量*1 (モル%) 実施例1 分散助剤1 0.02 700 70 0.06 〃 2 分散助剤2 0.01 2000 80 0.06 〃 3 分散助剤3 0.02 1500 70 0.06 〃 4 分散助剤4 0.02 800 72 0.07 〃 5 分散助剤5 0.02 2200 80 0.06 〃 6 分散助剤6 0.02 2400 78 0.08 比較例1 分散助剤a 0.02 700 70 0.06 〃 2 分散助剤b 0.02 700 70 0.06 〃 3 分散助剤c 0.02 700 70 0.06 *1:塩化ビニル100重量部に対する、それぞれの使用重量部を示す。
【0101】 〔表4〕 可塑剤吸収性 残存モノマー フィッシュアイ 粗粒子 (ppm) 実施例1 A 0.2 A A 〃 2 A 0.1 A A 〃 3 A 0.1 A A 〃 4 A 0.2 B B 〃 5 A 0.7 A A 〃 6 A 0.3 A B 比較例1 B 1.5 B C 〃 2 C 8.0 C B 〃 3 C 5.0 C C
【0102】
【発明の効果】本発明のビニル系化合物の懸濁重合用分
散助剤は、特定の関係式を満足するため、かかる分散助
剤を用いてビニル系樹脂の懸濁重合を行うと、可塑剤吸
収性に優れ、残存モノマーが少なく、フィッシュアイも
少なく、粗粒子の少ないビニル系樹脂を得ることがで
き、特にRCを装着した反応缶において、重合初期より
RCを稼働させる塩化ビニルの懸濁重合に有用である。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年12月18日(2000.12.
18)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0081
【補正方法】変更
【補正内容】
【0081】PVAを主分散剤として用いる場合には、
ケン化度65〜95モル%、好ましくは69〜85モル
%、重合度200〜3000、好ましくは、500〜2
500のPVAが好ましい。主分散剤として用いられる
PVAとしてはカルボシル基、スルホン酸基等のアニオ
ン性基、アミノ基、アンモニウム基等のカチオン性基、
環状あるいは非環状アミド基、長鎖アルキル基、アセト
アセチル基、エチレン、α−オレフィン、ジアセトンア
クリルアミド等を10モル以下の少量含有するものや分
子内にカルボニル基を有するPVAや共役二重結合を含
有するPVAも使用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 側鎖及び/又は末端にイオン性基を有
    し、かつケン化度が70モル%以下で、更にケン化度
    (Yモル%)とブロックキャラクター(η)が下記
    (1)式の条件を満足するポリビニルアルコール系樹脂
    からなることを特徴とするビニル系化合物の懸濁重合用
    分散助剤。 η−0.00005Y2+0.0085Y≦0.80 ・・・(1)
  2. 【請求項2】 ポリビニルアルコール系樹脂が、誘電率
    32c.g.s.e.s.u以下の溶媒の存在下で酢酸ビニル系重
    合体をケン化して得られたものであることを特徴とする
    請求項1記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
  3. 【請求項3】 ポリビニルアルコール系樹脂が、更にオ
    キシアルキレン基を含有することを特徴とする請求項1
    または2記載のビニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
  4. 【請求項4】 リフラックスコンデンサーを備えた重合
    装置において、重合率3%以下の時点からリフラックス
    コンデンサーを稼働させるビニル系化合物の懸濁重合に
    用いることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のビ
    ニル系化合物の懸濁重合用分散助剤。
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