JP2001232576A - オープンエンドレンチ - Google Patents

オープンエンドレンチ

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JP2001232576A JP2000047485A JP2000047485A JP2001232576A JP 2001232576 A JP2001232576 A JP 2001232576A JP 2000047485 A JP2000047485 A JP 2000047485A JP 2000047485 A JP2000047485 A JP 2000047485A JP 2001232576 A JP2001232576 A JP 2001232576A
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勝 丸尾
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 軸状ワークの断面六角形の工具係合部を把持
してワークを回転させるオープンエンドレンチであっ
て、工具係合部をレンチ本体の先端の切欠きを通して径
方向に挿入可能な挿入溝を有する第1と第2の1対の回
転体を備え、第1回転体に対し第2回転体に対し位相ず
れして、クランプ部材がクランプ方向に動作し、ワーク
からレンチを離脱する際に工具係合部へのクランプ部材
の引掛りを生ずることを防止する。 【解決手段】 ギア343を軸方向に進退自在とすると
共に、第2回転体32の外周に歯部32cを形成し、ギ
ア343をその進退動作で歯部32cに係脱自在とす
る。両回転体31,32を原点位相に戻す際、ギア34
3を歯部32cに係合させ、第2回転体32を第1回転
体31に対し回り止めする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のステアリ
ング機構に組込むタイロッド等の軸状ワークの断面六角
形の工具係合部に係合させてワークを正逆転させるのに
用いるオープンエンドレンチに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車のステアリング機構には、図12
に示す如く、ハンドルに連動するリレーロッドAの動き
をナックルアームBに伝達するタイロッドCが組込まれ
ている。タイロッドCは、リレーロッドAにボールジョ
イントA1を介して連結されるロッド本体C1と、ナッ
クルアームBにボールジョイントB1を介して連結され
るロッドエンドC2とで構成されている。ロッド本体C
1の端部はロッドエンドC2にねじ込まれており、ロッ
ド本体C1に形成した断面六角形の工具係合部C3にレ
ンチを係合させてロッド本体C1を回転させることによ
りタイロッドCの長さを変え、車輪のトーを調整し得る
ようにしている。そして、トー調整後は、ロッド本体C
1に外挿したナットC4をロッドエンドC2側に締付
け、ロッド本体C1を回り止めしている。
【0003】ところで、車種によっては、タイロッドC
が入り組んだ場所に配置されていて、レンチの操作スペ
ースを確保できないことがある。そこで、レンチを定位
置に保持したままタイロッドを正逆転し得るようにした
オープンエンドレンチが特開平1−295766号公報
で知られている。このオープンエンドレンチは、レンチ
本体の先端部に、工具係合部を径方向に挿入可能な挿入
溝を有する第1と第2の1対の回転体を同一軸線回りに
回転自在に軸支し、両回転体の一方、例えば、第2回転
体に、図13に示す如く、工具係合部C3の周囲3箇所
に当接可能なクランプ部材たる3個のローラaを放射方
向に移動自在に支持すると共に、第1回転体bの内周に
これらローラaに当接する3対のカム面cを形成し、第
2回転体をブレーキ手段により制動した状態で第1回転
体bを駆動手段により両回転体の挿入溝が合致する基準
位相から正転または逆転させたとき、3個のローラaが
各カム面cにより放射方向内方のクランプ位置に押動さ
れて工具係合部C3に当接するように構成されている。
工具係合部C3にローラaが当接すると、以後第2回転
体がブレーキ手段の制動力に抗して第1回転体bと一体
に回転し、タイロッドが第2回転体bと同方向に回転さ
れる。また、オープンエンドレンチをタイロッドから離
脱させる際は、先ず、第1回転体bを第2回転体に対し
トー調整時の回転方向とは反対方向に回転させて上記基
準位相に戻し、これによりローラaを放射方向外方のア
ンクランプ位置に復帰させ、次に、ブレーキ手段による
第2回転体の制動を解除して、第2回転体が第1回転体
bとの間の摩擦力で第1回転体bに連れ回りする状態に
し、この状態で第1回転体bを回転させて、両回転体を
両者の挿入溝がレンチ本体dの先端のロッド挿入用の切
欠きeに合致する原点位相(図13の状態)に戻すよう
にしている。尚、第1回転体bの外周には歯部が形成さ
れており、この歯部に歯合する1対のギアfを設けて、
駆動手段によりギアfを介して第1回転体bが正逆転さ
れるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来例のもので
は、第1回転体bを基準位相に戻してから原点位相に戻
す際、第2回転体を第1回転体bとの間の摩擦力で第1
回転体bに連れ回りされて原点位相に戻しているが、第
2回転体は、第1回転体b以外の部材(レンチ本体等)
との間に働く摩擦力で第1回転体bと一緒に回転しなく
なることがある。かくするときは、第2回転体に対する
第1回転体bの位相が基準位相からずれ、ローラaから
成るクランプ部材がアンクランプ位置からクランプ位置
側に動き、タイロッドから成るワークからオープンエン
ドレンチを離脱させる際、ワークにクランプ部材が引掛
って、オープンエンドレンチをワークからうまく離脱で
きなくなる。
【0005】本発明は、以上の点に鑑み、レンチ本体を
ワークから離脱させる際のワークへのクランプ部材の引
掛りを確実に防止できるようにしたオープンエンドレン
チを提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
本発明は、軸状ワークの断面六角形の工具係合部に係合
させてワークを正逆転させるのに用いるオープンエンド
レンチであって、レンチ本体の先端部に同一軸線回りに
回転自在に軸支した、工具係合部を径方向に挿入可能な
挿入溝を有する第1と第2の1対の回転体と、両回転体
の一方に、工具係合部を把持するクランプ位置とこの把
持を解くアンクランプ位置とに移動自在に取付けたクラ
ンプ部材と、第2回転体に対し第1回転体を両回転体の
挿入溝が合致する基準位相から正逆転させたとき、クラ
ンプ部材をアンクランプ位置からクランプ位置に移動さ
せるカム機構と、第1回転体の外周に形成した歯部に噛
合するギアを介して第1回転体を正逆転させる駆動手段
と、第2回転体を制動するブレーキ手段とを備えるもの
において、前記ギアを軸方向に進退自在とし、この進退
動作で前記ギアを第2回転体の外周に形成した歯部に係
脱自在としている。
【0007】オープンエンドレンチをワークから離脱さ
せる際は、先ず、第2回転体をブレーキ手段により制動
したまま、第1回転体を駆動手段によりギアを介してワ
ークの回転調整時の回転方向とは反対方向に回転させて
両回転体の挿入溝が合致する基準位相に戻し、クランプ
部材をアンクランプ位置に復帰させる。次に、ブレーキ
手段による第2回転体の制動を解除し、次いで、ギアを
軸方向に前進させて、第2回転体の外周の歯部にギアを
係合させ、この状態で駆動手段によりギアを再駆動し
て、第1回転体をレンチ本体からのワークの離脱が可能
となる所定の原点位相に戻すが、この際、ギアを介して
第2回転体も第1回転体と一体に回転される。そのた
め、原点位相に戻す際に第2回転体に対する第1回転体
の位相が基準位相からずれることはなく、クランプ部材
はアンクランプ位置に確実に保持される。かくて、ワー
クへのクランプ部材の引掛りを生ずることなくオープン
エンドレンチをワークからスムーズに離脱させることが
できる。
【0008】尚、第1回転体を基準位相に戻す際は、ク
ランプ部材をアンクランプ位置とクランプ位置との両位
置間に移動させるのに必要な両回転体の相対回転角度分
だけ第1回転体を回転させるが、ワークの工具係合部を
クランプ部材で把持すべく、第1回転体を基準位相から
正逆一方向に回転させたとき、クランプ位置に達する前
にクランプ部材が工具係合部を把持してしまうこともあ
る。かくするときは、第1回転体を他方向に上記相対回
転角度分回転させても、第2回転体に対する第1回転体
の位相は基準位相に一致しなくなる。この場合、前記カ
ム機構を、前記第2回転体に対する前記第1回転体の前
記基準位相からの回転角が所定の角度範囲を超えるまで
前記クランプ部材がアンクランプ位置に保持されるよう
に構成すれば、第2回転体に対する第1回転体の位相が
基準位相に一致しなくても、上記所定の角度範囲に入っ
てる限り、クランプ部材はアンクランプ位置に復帰され
ることになり、オープンエンドレンチをワークから離脱
させる際のワークへのクランプ部材の引掛りを防止でき
る。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、タイロッド調整用のオープ
ンエンドレンチに本発明を適用した実施形態について説
明する。このオープンエンドレンチは、図1乃至図3に
示す如く、レンチ本体1の先端部に、タイロッドCのロ
ックナットC4を回転するナット回転部2と、タイロッ
ドCの工具係合部C3に係合してロッド本体C1を正逆
転するロッド回転部3とを設けた双頭式レンチで構成さ
れている。
【0010】ナット回転部2は、レンチ本体1にタイロ
ッドCの軸方向に移動自在に支持した可動ケーシング2
0に軸支される回転体21を備えている。回転体21は
可動ケーシング20の軸方向両側の側板部20a,20
a間に挟み込まれており、両側板部20a,20aに互
に同心の円形孔20b,20bを形成し、各円形孔20
bに回転体21の軸方向両側に突設した各軸部21aを
嵌合させて、回転体21を円形孔20bと同心の軸線O
回りに回転自在に軸支している。
【0011】また、可動ケーシング20各側板部20a
の先端に、ロッドエンドC2の挿入用切欠き20cを円
形孔20bに達するように形成すると共に、回転体21
に、図4に示す如く、外周面に開口するロッドエンドC
2用の挿入溝21bを形成している。かくて、回転体2
1を切欠き20cに挿入溝21bが合致する位相にすれ
ば、挿入溝21bにロッドエンドC2を切欠き20cを
通して径方向に挿入できる。また、可動ケーシング20
の軸方向外側の側板部20aの外側面に板状のワークガ
イド22をねじ止めし、このワークガイド22にもロッ
ドエンドC2を径方向に挿入可能な挿入溝22aを形成
している。そして、この挿入溝22aの底部を、ロッド
エンドC2の外径と等径で回転体21の回転軸線たる円
形孔20bの中心と同心の半円形に形成し、ロッドエン
ドC2を挿入溝22aの半円形底部に押し込むことによ
り、ロッドエンドC2が回転体21と同心に芯決めされ
るようにしている。
【0012】回転体21には、ロックナットC4を軸方
向に挿入可能なソケット部21cが設けられている。そ
して、ソケット部21c内に、ロックナットC4に係合
可能な複数の駒21dを取付け、回転体21の回転でロ
ックナットC4を回転し得るようにしている。ここで、
回転体21は駆動手段23により正逆両方向に回転駆動
される。駆動手段23は、レンチ本体1の基端部に搭載
した駆動源たるナットランナ230と、レンチ本体1の
可動ケーシング20の近傍部分に軸支した、ナットラン
ナ230によりチェーン231を介して駆動されるドラ
イブギア232と、回転体21の外周に形成した歯部2
1eに噛合するように可動ケーシング20に軸支した1
対のドリブンギア233,233と、ドライブギア23
2とドリブンギア233,233とを連結するように可
動ケーシング20に軸支した第1と第2の2個の中間ギ
ア234,235とで構成されている。
【0013】レンチ本体1には、ナット回転部2の軸方
向外側に位置するブラケット10が取付けられており、
このブラケット10と後記する固定ケーシング30との
間に、ドリブンギア233,233用の1対の支軸1
1,11と第1中間ギア234用の支軸12とを可動ケ
ーシング20を貫通させて横設し、これら支軸11,1
1,12を介して可動ケーシング20が軸方向に移動自
在に支持されるようにしている。そして、可動ケーシン
グ20の軸方向外側の側板部20aにシリンダ24を取
付け、このシリンダ24のピストンロッド24aを第2
中間ギア235の支軸に兼用した状態で固定ケーシング
30に連結している。かくて、シリンダ24により可動
ケーシング20をロックナットC4に向けて軸方向内方
に進退させ、この進退動作でソケット部21cをロック
ナットC4に係脱させることができる。尚、前記ドライ
ブギア232は、可動ケーシング20が軸方向に移動し
ても第1中間ギア234がドライブギア232から離脱
しないように、軸方向に長手に形成されている。
【0014】ロッド回転部3は、レンチ本体1に固定し
た固定ケーシング30に軸支される第1と第2の1対の
回転体31,32を備えている。両回転体31,32
は、図1及び図7に示す如く、互に嵌り合った状態で固
定ケーシング30の軸方向両側の側板部30a,30a
間に挟み込まれている。そして、両側板部30a,30
aに可動ケーシング20の円形孔20bと同心の円形孔
30b,30bを形成し、各円形孔30bに各回転体3
1,32の軸方向外側面に突設した軸部31a,32a
を嵌合させて、両回転体31,32をナット回転部2の
回転体21の回転軸線と同一の軸線O回りに回転自在に
軸支している。
【0015】また、固定ケーシング30の各側板部30
aの先端に、軸状ワークたるタイロッドCの工具係合部
C3の挿入用切欠き30cを円形孔30bに達するよう
に形成すると共に、両回転体31,32に、図5及び図
6に示す如く、外周面に開口する工具係合部C3用の挿
入溝31b,32bを形成している。かくて、両回転体
31,32を切欠き30cに挿入溝31b,32bが合
致する位相(原点位相)にすれば、挿入溝31b,32
bに工具係合部C3を切欠き30cを通して径方向に挿
入できる。また、固定ケーシング30の軸方向外側の側
板部30aの外側面に板状のワークガイド33をねじ止
めし、このワークガイド33にも工具係合部C3を径方
向に挿入可能な挿入溝33aを形成している。そして、
この挿入溝33aの底部を、工具係合部C3の断面形状
の外接円と等径で前記軸線Oと同心の半円形に形成し、
工具係合部C3を挿入溝33aの半円形底部に押し込む
ことにより、工具係合部C3が軸線Oと同心に芯決めさ
れるようにしている。
【0016】第1回転体31は駆動手段34によって正
逆両方向に回転駆動される。駆動手段34は、レンチ本
体1の基端側に搭載した駆動源たるサーボモータ340
と、レンチ本体1の固定ケーシング30の近傍部分に軸
支した、サーボモータ340によりチェーン341とギ
ア341aとを介して駆動されるドライブギア342
と、第1回転体31の外周に形成した歯部31cに噛合
するように固定ケーシング30に支軸11,11を介し
て軸支した1対のドリブンギア343,343と、ドラ
イブギア342とドリブンギア343,343とを連結
するように固定ケーシング30に夫々支軸12とピスト
ンロッド24aとを介して軸支した第1と第2の2個の
中間ギア344,345とで構成されている。
【0017】また、第2回転体32はブレーキ手段35
によって制動し得るように構成されている。ブレーキ手
段35は、固定ケーシング30内に、第2回転体32の
外周に接離するように夫々ピン350を介して揺動自在
に軸支した1対のブレーキシュー351,351と、両
ブレーキシュー351,351にワイヤ352,352
を介して連結される、レンチ本体1に取付けたシリンダ
353とで構成されている。そして、シリンダ353に
よりワイヤ352,352を介してブレーキシュー35
1,351を引張ることにより、ブレーキシュー35
1,351が第2回転体32の外周に圧接して、第2回
転体32が制動されるようにしている。
【0018】第1回転体31には、第1回転体31に形
成した挿入溝31bの両側に位置させて、1対のクラン
プアーム36,36が夫々ピン36aを支点にして挿入
溝31bの溝幅方向に揺動自在に設けられている。そし
て、第2回転体32に対し第1回転体31を両回転体3
1,32の挿入溝31b,32bが合致する基準位相か
ら正逆転させたとき、カム機構37により両クランプア
ーム36,36が溝幅方向外方のアンクランプ位置から
溝幅方向内方のクランプ位置に揺動されるようにしてい
る。
【0019】カム機構37は、各クランプアーム36の
外側縁に形成したカム部370と、第2回転体32に両
クランプアーム36,36に対応させて1対に固設し
た、カム部370に当接するカムピン371とで構成さ
れている。カム部370には、クランプアーム36がア
ンクランプ位置に存する状態で軸線Oと同心の円弧に合
致する第1円弧部370aと、第1円弧部370aから
クランプアーム36の先端側に向けて径方向外方に傾斜
してのびる第1斜辺部370bと、第1斜辺部370b
からクランプアーム36の先端側にのびる、クランプア
ーム36がクランプ位置に存する状態で軸線Oと同心の
円弧に合致する第2円弧部370cと、第1円弧部37
0aからクランプアーム36の尾端側に向けて径方向外
方に傾斜してのびる第2斜辺部370dと、第2斜辺部
370dからクランプアーム36の尾端側にのびる、ク
ランプアーム36がクランプ位置に存する状態で軸線O
と同心の円弧に合致する第3円弧部370eとが形成さ
れている。カムピン371は、第2回転体32に対する
第1回転体31の位相が上記基準位置であるときに、第
1円弧部370aの中央に当接するように設けられてい
る。かくて、第2回転体32に対し第1回転体31を基
準位相から正逆転させると、第1円弧部370aの中心
角の半分の角度α分回転したところで、回転方向前位
(回転方向が図5の時計方向であれば右側、反時計方向
であれば左側)のクランプアーム36の第1斜辺部37
0bと回転方向後位のクランプアーム36の第2斜辺部
370dとが夫々カムピン371に当接し、以後、回転
方向前位のクランプアーム36の第2円弧部370cと
回転方向後位のクランプアーム36の第3円弧部370
eとが夫々カムピン371に当接するまでの回転で各ク
ランプアーム36が各斜辺部370b,370dに案内
されてアンクランプ位置からクランプ位置に揺動され
る。
【0020】また、各クランプアーム36にカム部37
0と相似形状のカム溝372を形成すると共に、第2回
転体32にカム溝372に係合する係合ピン373を固
設し、第1回転体31を第2回転体32に対し上記方向
とは反対方向に回転させて基準位相に戻すときに、係合
ピン373とカム溝372との相互作用で各クランプア
ーム36がアンクランプ位置に復帰されるようにしてい
る。また、第2回転体32に対する第1回転体31の相
対回転角度範囲を、カム溝372の端部への係合ピン3
73の当接により、基準位相からクランプアーム36を
クランプ位置に揺動させるまでに必要な回転角度より若
干大きな範囲に規制し得るようにしている。図9は、第
2回転体32に対する第1回転体31の相対回転角度と
クランプアーム36の溝幅方向への揺動角とを示してお
り、第1回転体31の相対回転角度が上記角度α以内の
範囲ではクランプアーム36がアンクランプ位置に保持
され、αを越えたβの角度範囲でクランプアーム36が
アンクランプ位置からクランプ位置に揺動され、βを越
えてから相対回転が規制されるまでのγの角度範囲でク
ランプアーム36がクランプ位置に保持される。
【0021】両クランプアーム36,36の内側縁の工
具係合部C3に対する当接辺36b,36bは、クラン
プ位置において、図10(A)に示すように、工具係合
部C3の断面形状の外接円と等径で前記軸線Oと同心の
円Sにおける第1回転体31の挿入溝31bの溝幅方向
両側の所定の2つの弦に合致するように形成されてい
る。この2つの弦は、挿入溝31bの中心線Tに対し挿
入溝31bの開口端側に向って挿入溝31b溝幅方向内
方に傾斜し、且つ、前記円Sと両弦との挿入溝31bの
開口端側の交点間の距離L1が工具係合部C3の断面形
状の対辺間の距離L2より大きくなる弦である。当接辺
36bをこのように形成すると、図10(B)に示す如
く、第1回転体31の回転で回転方向後位(図10
(B)では右側)のクランプアーム36の当接辺36a
が工具係合部C3の角部に係合した時点において、回転
方向前位(図10(B)では左側)のクランプアーム3
6の当接辺36aと工具係合部C3との間に未だ隙間が
明いている状態になり、かくて、カム機構37の加工誤
差等で回転方向前位のクランプアーム36のクランプ位
置が溝幅方向内方に多少ずれても、回転方向後位のクラ
ンプアーム36が回転方向前位のクランプアーム36に
先行して工具係合部C3を把持するようになる。
【0022】前記各ドリブンギア343は、図8に示す
如く、これを軸支する支軸11に固定したピストン11
aを受容するシリンダ部343aを備えている。そし
て、支軸11のブラケット10側の端部に取付けたエア
ジョイント11bから支軸11内のエア通路11cを介
してシリンダ部343a内にエアを供給することによ
り、ドリブンギア343が第2回転体32の配置部側に
向けて軸方向に前進され、エア供給を停止したとき、戻
しばね343bにより第1回転体31の配置部側に後退
されるようにしている。そして、第2回転体32の外周
に歯部32cを形成し、ドリブンギア343を軸方向に
上記の如く進退させることで、ドリブンギア343が歯
部32cに係脱されるようにしている。尚、ドリブンギ
ア343の歯の端部にはチャンファン部343cが形成
されており、第1回転体31の歯部31cに対し第2回
転体32の歯部32cの位相が多少ずれていても、チャ
ンファン部343cで位相ずれを矯正して、ドリブンギ
ア343を歯部32cに係合し得るようにしている。ま
た、固定ケーシング30に、ドリブンギア343の前進
側の端面に装着した反射板343dに対するレーザ光の
入反射でドリブンギア343の位置を検出するレーザ測
距器38を取付けている。
【0023】車輪のトー調整に際しては、先ず、ナット
回転部2の回転体21をその挿入溝21bが可動ケーシ
ング20の切欠き20cに合致する原点位相にすると共
に、ロッド回転部3の第1と第2の両回転体31,32
を両者31,32の挿入溝31b,32bが固定ケーシ
ング30の切欠き30cに合致する原点位相にし、この
状態でタイロッドCのロッドエンドC2と工具係合部C
3とを各切欠き20c,30cを通して各回転体21,
31,32の挿入溝21b,31b,32bに挿入す
る。この際、ロッドエンドC2と工具係合部C3は可動
ケーシング20と固定ケーシング30に固定したワーク
ガイド22,33の挿入溝22a,33aにも挿入さ
れ、ロッドエンドC2と工具係合部C3とを挿入溝22
a,33aの半円形底部に押し付けることで、タイロッ
ドC全体が回転体21,31,32の回転軸線Oと同心
になる。
【0024】次に、可動ケーシング20を軸方向に移動
して、回転体21のソケット部21cをロックナットC
4に嵌合させ、回転体21の回転でロックナットC4を
緩める。また、第2回転体32をブレーキ手段35によ
り制動した状態で第1回転体31を駆動手段34により
所要の方向、例えば、図11の反時計方向に回転させ
る。これによれば、第2回転体32に対し第1回転体3
1が基準位相から相対回転され、カム機構37の働きで
1対のクランプアーム36,36が軸線回りに公転しつ
つアンクランプ位置からクランプ位置に揺動される。
【0025】ここで、工具係合部C3が挿入溝33aの
底部の半円形の弦xに工具係合部C3の断面形状の何れ
か1つの対角線が合致する位相に存する場合は、図11
(A)に示す如く、回転方向後位のクランプアームたる
右側のクランプアーム36の当接辺36bが挿入溝33
aの底部から外れた工具係合部C3の右上方の角部C3
aに係合する。
【0026】また、工具係合部C3が挿入溝33aの底
部に下側3つの角部で接する位相に存する場合は、右側
のクランプアーム36がクランプ位置に達する前に、図
11(B)に示す如く、右側のクランプアーム36の当
接辺36bが挿入溝33aの底部から外れた工具係合部
C3の右側の角部C3bに当接することがある。この場
合、当接辺36bが工具係合部C3の断面形状の外接円
に対する接線にほぼ合致していると、当接辺36bは角
部C3bに対し滑る。この際、クランプアーム36の溝
幅方向内方への揺動が角部C3bによって規制されるた
め、第2回転体32に対する第1回転体31の相対回転
が中断される。即ち、第2回転体32がカム機構37を
介して伝達される第1回転体31からの回転力によりブ
レーキ手段35の制動力に抗して第1回転体31と一緒
に回転する。そして、右側のクランプアーム36の当接
辺36bが角部C3bを乗り越えたところで、第2回転
体32に対する第1回転体31の相対回転が再開され
て、クランプアーム36がクランプ位置に揺動され、図
11(C)に示す如く、工具係合部C3の最上方の角部
C3cに右側のクランプアーム36の当接辺36bが係
合する。
【0027】かくて、工具係合部C3がどのような位相
に存していても、挿入溝33aの底部から外れた工具係
合部C3の角部に回転方向後位のクランプアーム36の
当接辺36bが係合することになり、工具係合部C3が
挿入溝33aの底部との間に挟み込まれて両回転体3
1,32の軸線Oと同心に芯決めされる。そして、回転
方向後位のクランプアーム36を介して工具係合部C3
が第1回転体31に対し回り止めされ、以後、ロッド本
体C1が第1回転体31と一体に回転され、この回転で
タイロッドCの長さが変化して、トーが調整される。
【0028】トー調整が完了すると、ナット回転部2に
おいて、回転体21の回転によりロックナットC4を締
め付け、その後、可動ケーシング20を移動して回転体
21をロックナットC4から離脱させ、次いで、回転体
21を原点位相に戻す。また、ロッド回転部3において
は、第2回転体32をブレーキ手段35で制動したま
ま、第1回転体31を駆動手段34によりトー調整時と
は反対方向に図7のαとβの合計角度分だけ回転させ、
次に、ブレーキ手段35による第2回転体32の制動を
解除した状態で各ドリブンギア343を軸方向に前進さ
せ、第2回転体32の歯部32cに各ドリブンギア34
3を係合させる。
【0029】ところで、トー調整時における両回転体3
1,32の基準位相に対するずれ角は最大でα+β+γ
になり、第1回転体31を上記の如くα+βの角度分戻
し回転させても、第2回転体32に対する第1回転体3
1の位相は基準位相からγ分ずれる可能性がある。ま
た、クランプ位置に達する前にクランプアーム36が工
具係合部C3に係合する場合もあり、この場合も第1回
転体31をα+βの角度分戻し回転すると、第2回転体
32に対する第1回転体31の位相は基準位相からずれ
る。ここで、第1と第2の両回転体31,32の歯部3
1c,32cのピッチ角をθとして、基準位相からの十
側や一側へのずれ角がθ/2より小さければ、第2回転
体32の歯部32cにドリブンギア343を係合させる
ことで、基準位相に対するずれを無くすことができる。
一方、基準位相からのずれ角がθ/2より大きければ、
歯部32cにドリブンギア343を係合させることで、
基準位相に対するずれ角はθになってしまう。然し、基
準位相に対するずれ角がα以下の範囲ではクランプアー
ム36がアンクランプ位置に保持されるため、ずれ角が
θになってもクランプアーム36はアンクランプ位置か
ら左程揺動しない。本実施形態では、α,β,γ,θを
夫々10°,11°,3°,12°に設定し、基準位相
からθずれても、クランプアーム36が第1回転体31
の挿入溝31bの溝幅内に突出しないようにしている。
【0030】第2回転体32の歯部32cへのドリブン
ギア343の係合がレーザ測距器38からの信号で確認
されると、次に、駆動手段34により第1回転体31を
回転させて原点位相に戻す。次に、ドリブンギア343
を後退させて第2回転体32の歯部32cから離脱さ
せ、この状態でレンチ本体1を切欠き20c,30cの
開口方向と反対方向に引いて、オープンエンドレンチを
タイロッドCから離脱させる。ここで、第1回転体31
を原点位相に戻す際は、ドリブンギア343を介して第
2回転体32も一体に回転されるため、第1回転体31
に対する第2回転体32の位相ずれでクランプアーム3
6が挿入溝31bの溝幅内に突出することを確実に防止
できる。従って、工具係合部C3に対するクランプアー
ム36の引掛りを生ずることなく、オープンエンドレン
チをタイロッドCからスムーズに離脱できる。また、第
1回転体31に対し第2回転体32の位相が基準位相か
らθずれていても、オープンエンドレンチをタイロッド
Cから離脱させる際、第2回転体32の挿入溝32bの
側縁に工具係合部C3が摺接して、第2回転体32の基
準位相からのずれが矯正され、オープンエンドレンチの
離脱作業を支障なく行い得られる。
【0031】以上、第1回転体31にクランプアーム3
6から成るクランプ部材を取付けた実施形態について説
明したが、第2回転体32にクランプ部材を取付けても
良く、この場合も同様に本発明を適用できる。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、第1回転体を原点位相に戻す際に、第2回転
体が第1回転体に対し位相ずれしてクランプ部材がクラ
ンプ位置側に動くことを防止でき、オープンエンドレン
チをワークに対するクランプ部材の引掛りを生ずること
なくスムーズにワークから離脱できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明オープンエンドレンチの縦断面図
【図2】 図1の左側面図
【図3】 図1の右側面図
【図4】 図1のIV-IV線拡大截断面図
【図5】 図1のV-V線拡大截断面図
【図6】 図1のVI-VI線拡大截断面図
【図7】 図5のVII-VII線截断面図
【図8】 図5のVIII-VIII線截断面図
【図9】 第1と第2の両回転体の相対回転角度とクラ
ンプアームの揺動角との関係を示すグラフ
【図10】 (A)クランプアームをクランプ位置に揺
動させたときの当接辺の位置を示す図、(B)工具係合
部に対する当接辺の係合状態を示す図
【図11】 (A)工具係合部の把持状態を示す図、
(B)図10(A)とは異なる位相に存する工具係合部
を把持する前の中間状態を示す図、(C)この工具係合
部の把持状態を示す図
【図12】 タイロッドの斜視図
【図13】 従来のオープンエンドレンチの要部の側面
【符号の説明】
C タイロッド(ワーク) C3 工具係合部 1 レンチ本体 30 固定ケーシング(レンチ本体の先端部) 31 第1回転体 32 第2回転体 31b,32b 挿入溝 31c,32c 歯部 34 駆動手段 343 ドリブンギア(第1回転体の歯部に噛合するギ
ア) 35 ブレーキ手段 36 クランプアーム 37 カム機構
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長田 篤 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 3C038 AA01 AA03 AA04 AA06 BB03 BB08 BC04 DA02 EA01 EA03 EA06

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軸状ワークの断面六角形の工具係合部に
    係合させてワークを正逆転させるのに用いるオープンエ
    ンドレンチであって、 レンチ本体の先端部に同一軸線回りに回転自在に軸支し
    た、工具係合部を径方向に挿入可能な挿入溝を有する第
    1と第2の1対の回転体と、 両回転体の一方に、工具係合部を把持するクランプ位置
    とこの把持を解くアンクランプ位置とに移動自在に取付
    けたクランプ部材と、 第2回転体に対し第1回転体を両回転体の挿入溝が合致
    する基準位相から正逆転させたとき、クランプ部材をア
    ンクランプ位置からクランプ位置に移動させるカム機構
    と、 第1回転体の外周に形成した歯部に噛合するギアを介し
    て第1回転体を正逆転させる駆動手段と、 第2回転体を制動するブレーキ手段とを備えるものにお
    いて、 前記ギアを軸方向に進退自在とし、この進退動作で前記
    ギアを第2回転体の外周に形成した歯部に係脱自在とす
    る、 ことを特徴とするオープンエンドレンチ。
  2. 【請求項2】 前記カム機構を、前記第2回転体に対す
    る前記第1回転体の前記基準位相からの回転角が所定の
    角度範囲を超えるまで前記クランプ部材がアンクランプ
    位置に保持されるように構成することを特徴とする請求
    項1に記載のオープンエンドレンチ。
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