JP2001228312A - 軸外し異方性光散乱フィルム及びその製造に用いる偏向用光重合性組成物 - Google Patents

軸外し異方性光散乱フィルム及びその製造に用いる偏向用光重合性組成物

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JP2001228312A
JP2001228312A JP2000036504A JP2000036504A JP2001228312A JP 2001228312 A JP2001228312 A JP 2001228312A JP 2000036504 A JP2000036504 A JP 2000036504A JP 2000036504 A JP2000036504 A JP 2000036504A JP 2001228312 A JP2001228312 A JP 2001228312A
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JP
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light
film
scattering
scattering film
anisotropic light
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JP2000036504A
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English (en)
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Makoto Kume
誠 久米
Yasushi Oe
靖 大江
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Toppan Inc
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Toppan Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】散乱特性に入射角度の依存性を持たせ、縦横の
散乱範囲に係る散乱指向性までも制御することが容易で
あると共に、軸外し機能によって最も観察に好適な方向
へ強い散乱光を生じ、且つまた観察位置によって表示光
の色が変化しない軸外し異方性光散乱体を提供する。 【解決手段】屈折率の高低からなる帯状の濃淡を形成し
ており、且つ、フィルム断面では、前記帯状の濃淡の伸
びる方向がフィルムの主面に対して傾斜している樹脂成
分が未硬化または半硬化の異方性光散乱フィルム上に、
ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する化合物を有
する光重合性化合物と、ラジカル種を発生する光重合開
始剤を少なくとも含有する偏向用光重合性組成物を積
層、硬化して、帯状の濃淡の伸びる方向をフィルムの厚
さ方向に渡って徐々に変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光の入射角度に応
じて散乱性が異なる(あるいは、入射角度選択性を持
つ)と共に、光散乱特性に異方性を持つ光散乱フィルム
において、入射光の入射角度とは異なる方向へ強い光散
乱を生じる軸外しの機能を発現させうる偏向用光重合性
組成物およびこれを用いて作製した軸外し異方性光散乱
フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置では、観察の際の視野角を
確保する(すなわち、表示装置の前面には、明るく表示
画像を見せる)ことや、表示画面の全面に渡って均一な
明るさで表示画像を見えるようにする目的で、装置の前
面に光散乱フィルムを配置することが行なわれている。
なお、本明細書中の言語「フィルム」とは、薄い樹脂シ
ートの事を意味し、「シート」という言語と同意として
使用する。従来の光散乱フィルムとしては、表面をマッ
ト状に加工した樹脂フィルムや、内部に拡散材を包含し
た樹脂フィルムなどが用いられている。
【0003】従来のマット状に加工した樹脂フィルムや
内部に拡散材を含有するフィルムの場合、入射光の入射
角度に依存した散乱性の変化といった入射角度選択機能
や、入射光の入射角度と異なる方向へ強い散乱光を出射
するという軸外しの機能を持たせることは原理上困難で
あり、現実的にそのような機能は持ち合わせていない。
【0004】表面をマット状に加工した光散乱フィルム
の場合、フィルム表面をサンドブラスター処理のように
物理的に加工してマット面を形成したり、あるいは、酸
性またはアルカリ性の溶液による溶解処理により化学的
にマット面を形成する。従って光の散乱性を制御する事
が難しく、また縦と横の散乱性を変えるといったことも
出来ないため、光散乱に指向性を持たせることもできな
い。
【0005】また、内部に拡散材を包含した光散乱フィ
ルムにおいても、散乱性を制御するために、拡散材の屈
折率,大きさ,形状などを制御する試みもなされている
が、技術的に難易度が高く、実用上十分であるとは言え
ないのが現状である。
【0006】従って、上記の光散乱フィルムやスクリー
ンでは、光散乱の入射角度依存性や軸外し機能がなく光
散乱の指向性も無いか、もしくは少ないため、表示装置
に使用した際に装置最表面からの照り返し光の方向や、
表示画像観察に不適な方向への不必要な散乱光が生じ、
結果として表示の明るさやコントラストの低下或いは表
示画像のぼけを招くという問題点がある。
【0007】一方、光散乱に異方性を持つ散乱板を用い
た反射型液晶表示装置に係る発明として、特開平8−2
01802号公報が公知である。上記公報に開示された
散乱板は、後方散乱特性がほとんどなく前方散乱特性が
強い散乱板であり、液晶表示装置への入射光あるいは液
晶表示装置からの出射表示光のどちらか一方を選択的に
散乱させる特性を有する。
【0008】上記公報では、散乱板の構成は具体的に説
明されておらず、「透明微細粒子を透明な重合性高分子
で固めたもの」とだけ記載されている。このような散乱
板では、上述した「内部に拡散材を包含した光散乱フィ
ルム」と同様に、入射角度選択性(前方か後方か)を持
たせられたとしても、入射光の入射角度と異なる方向へ
強い散乱光を出射する軸外しの機能や縦と横の散乱特性
(指向性)までも制御するのは難しい。
【0009】また、散乱板としてホログラムを用いた透
過型液晶表示装置に係る発明として、特開平9−152
602号公報が公知である。上記提案は、バックライト
を有する液晶表示装置からの出射表示光を散乱させるも
のであり、散乱板としてホログラムを採用しているた
め、散乱特性に入射角度選択性を持たせることも容易で
あり、縦と横の散乱特性も制御することも容易ではある
が、必然的に回折現象による分光(波長分散)を伴って
しまうため、観察する視点を移動するに応じて、表示光
の色が虹色に変化して視覚されることになる。
【0010】これらの問題点を解決した発明として、本
出願人による特願平10−346743号がある。この
発明は、フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則
な形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低から
なる濃淡模様が形成されており、屈折率の異なる部分の
大きさ、形、分布を、フィルム表面での縦横方向および
フィルムの厚さ方向に沿って最適化することにより、入
射光の入射角度に依存した散乱特性に変化を持たせると
共に、不必要な方向への光散乱を無くし、必要な方向
(範囲)にのみ光を散乱させるものである。しかしなが
ら、この異方性光散乱フィルムにおいては、出射散乱光
が入射角度と同じ角度で強く散乱するため、反射型液晶
表示装置の前面散乱板として用いた際に、観察される方
向と異なる方向に強く散乱光が出射され、効率が若干悪
くなってしまう。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、散乱特性に
入射角度の依存性を持たせ、縦横の散乱範囲に係る散乱
指向性までも制御することが容易であると共に、軸外し
機能によって最も観察に好適な方向へ強い散乱光を生
じ、且つまた観察位置によって表示光の色が変化しない
軸外し異方性光散乱体を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形
状・厚さで分布することにより、屈折率の高低からなる
帯状の濃淡を形成しており、且つ、フィルム断面では、
前記帯状の濃淡の伸びる方向がフィルムの主面に対して
傾斜している樹脂成分が未硬化または半硬化の異方性光
散乱フィルム上に、(A)ラジカル重合可能な不飽和二
重結合を有する化合物を少なくとも1つ以上有する光重
合性化合物と、(B)紫外光もしくは可視光を照射する
ことによってラジカル重合を活性化させるラジカル種を
発生する光重合開始剤を少なくとも含有し、実質的に透
明である偏向用光重合性組成物を積層、硬化してなり、
前記帯状の濃淡の伸びる方向がフィルムの厚さ方向に渡
って徐々に変化していることを特徴とする軸外し異方性
光散乱フィルムである。
【0013】請求項2に記載の発明は、(A)ラジカル
重合可能な不飽和二重結合を有する化合物を少なくとも
1つ以上有する光重合性化合物と、(B)紫外光もしく
は可視光を照射することによってラジカル重合を活性化
させるラジカル種を発生する光重合開始剤を少なくとも
含有し、実質的に透明であり、且つ、樹脂成分が未硬化
または半硬化の異方性光散乱フィルムを膨潤させること
が可能なことを特徴とする軸外し異方性光散乱フィルム
の製造に用いる偏向用光重合性組成物である。
【0014】請求項3に記載の発明は、高分子結合剤を
さらに含有することを特徴とする請求項2に記載の軸外
し異方性光散乱フィルムの製造に用いる偏向用光重合性
組成物である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の偏向用光重合性組成物を
用いて作製した軸外し異方性光散乱フィルムは、フィル
ム内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで
分布することにより、屈折率の高低からなる濃淡模様が
形成されており、屈折率の異なる部分の大きさ、形、分
布を、フィルム表面での縦横方向およびフィルムの厚さ
方向に沿って最適化することにより、入射光の入射角度
に依存した散乱特性に変化を持たせると共に、入射角度
とは異なる方向へ強い散乱光を出射し、必要な方向(範
囲)にのみ光を散乱させる散乱指向性の機能を持たせる
ことで、不必要な方向への光散乱を無くしたものであ
る。
【0016】このような軸外し異方性光散乱フィルムを
適用することで、高精細で明るく高コントラストであ
り、且つ像のぼけの少ない表示が可能な液晶表示装置が
提供される。また、屈折率の異なる部分はフィルム表面
と平行な面で見ると不規則に分布しているため、ホログ
ラムで見られるような観察位置による出射光の色変化は
生じない。
【0017】以下、図面に基づいて本発明で作製された
軸外し異方性光散乱フィルムを説明する。図1は、屈折
率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分布して、屈折
率の高低(同図では、黒と白で表現する)からなる濃淡
模様が形成された軸外し異方性光散乱フィルム1を示す
説明図であり、左が平面図,右が断面図である。平面図
から分かるように、屈折率の異なる部分の形状は横長で
ある。また、断面図から分かるように、屈折率の異なる
部分は、フィルム1の厚さ方向に対して傾斜して分布し
ているが、その傾斜方向はフィルム厚み方向に対して徐
々に傾斜角(フィルム垂線からの角度)が小さくなって
いる構造である。
【0018】図1の軸外し光散乱フィルム1の光学特性
について、まず、断面図で考える。屈折率の異なる部分
が分布した上記傾斜方向に概ね沿った角度(フィルム1
の垂線から角度θをなす、図の矢印3の方向)で入射す
る光に対しては、光散乱が生じることになる。この時、
屈折率の異なる部分の傾斜方向がフィルム1の厚み方向
で徐々に変化し、これに沿った方向に強く光散乱が生じ
るため、フィルム1から出射する散乱光は、入射光の入
射角度とは異なる方向(図の矢印4の方向)を中心に広
がる事になる。上記傾斜方向とは概ね垂直な角度(図の
矢印5の方向)で入射する光に対しては、単なる透明フ
ィルムとして機能し、入射光は散乱されずに出射する。
【0019】次に、平面図で考えると、屈折率の異なる
部分はフィルム表面と平行な面で見ると不規則に分布し
ているため、ホログラムのような規則性がなく、そのた
め光の回折現象によって引き起こされる色分散が生じな
い。従って本発明の光散乱フィルムによれば観察位置に
よる出射光の色変化は生じず、理想的な白色を呈するこ
とになる。
【0020】屈折率の異なる部分の形状が縦長(あるい
は、横長)であると、その部分に入射する光が散乱出射
する場合には、それぞれの部分からの出射光の光散乱特
性が、横長(あるいは、縦長)となるような指向性を持
つ。図1では形状が横長であるから出射光は縦長に散乱
することになる。
【0021】図2は、本発明の偏向用光重合性組成物を
用いて作製した軸外し異方性光散乱フィルム1の持つ入
射角度依存性の一例を示すグラフである。図中実線5で
示すように、ある特定入射角度範囲(図では0度から6
0度)の光に対してはヘイズ値が80%以上あり、逆に
それとは対称な入射角度(図では−60度から0度)の
光に対してのヘイズ値は20%以下となっており、これ
が本明細書中で言う散乱性の入射角度依存性を指す。
【0022】図3は、本発明の偏向用光重合性組成物を
用いて作製した軸外し異方性光散乱フィルム1の持つ軸
外しの機能の一例を示すグラフである。同図は、入射角
度30度(図2においてヘイズ値が80%以上である角
度の1例)にて照明光が、本発明で作製された軸外し異
方性光散乱フィルム1に入射した場合の出射する散乱光
の強度分布を示している。図に示されるように出射角度
10度の方向に最も強い散乱光が生じている。つまり入
射角度30度とは異なる方向に光軸をずらした事になっ
ており、これが、本明細書中で言う軸外し機能を指す。
【0023】また、上述したように、屈折率の異なる部
分のフィルム表面上の形状が横長(あるいは、縦長)で
あると、その部分に入射する光が散乱出射する場合に
は、それぞれの部分からの出射光の光散乱特性が、縦長
(あるいは、横長)となるような指向性を持つ。例え
ば、図1のように形状が横長であると、光散乱フィルム
からの散乱出射光は、図4に示すように、縦長の楕円形
となるような分布となる。
【0024】次に、本発明で作製された軸外し異方性光
散乱フィルム1の構造について更に詳細に説明する。上
述したように、本発明で作製された軸外し異方性光散乱
フィルム1の内部には、屈折率の異なる部分が不規則な
形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低からな
る濃淡模様が形成されている。この屈折率の差異は、小
さすぎると散乱性が悪くなり、逆に大きすぎるとどのよ
うな角度で光が入射しても光散乱が生じてしまうことに
なり、散乱性の入射角依存性を持たせることが困難とな
る。そのため、表面上の屈折率差だけでは光散乱が生じ
ず、フィルム1に厚みがあることで十分な散乱性を持つ
ような最適な屈折率差である必要がある。
【0025】本発明では、上記条件に当てはまるよう
に、屈折率差が0.001から0.2の範囲で適宜選択
し、同様にフィルム厚みも前記屈折率差に応じて100
0μmから1μmの範囲で適宜選択している。
【0026】記録できる屈折率差は作成方法や記録材料
などにより制限を受けるため、大きな屈折率差を持つ場
合はフィルムを薄く、小さな屈折率差を持つ場合はフィ
ルムを厚くすることで、本発明の光散乱フィルムを実現
することが可能である。また、屈折率の異なる部分のフ
ィルム厚み方向での傾斜角度は、本発明の光散乱フィル
ムを適用するアプリケーション毎に異なるが、図5に示
した反射型液晶表示装置用の前面散乱板を例にとると、
表示装置の垂線方向(0度方向)から60度方向(観察
者の頭上方向)までから入射する光を散乱させ、逆に垂
線方向から−60度方向(観察者の足元方向)までの光
に対しては散乱を生じないという機能が望ましいとされ
ている。このため、30度の入射角度(斜め上方向)の
光に対して最も効率よく光散乱を生じさせる必要があ
り、この例では、フィルム界面での光の屈折を考慮し
て、フィルム前側の表面周辺では、前記傾斜角度はフィ
ルム垂線方向から約19度傾いて分布する。
【0027】次に図3に示したような軸外しの機能を実
現させるために、本発明の光散乱フィルムは、前記傾斜
角度がフィルムの厚み方向に対して徐々に変化している
構造となっている。
【0028】例えば前記したのと同じ図5の反射型液晶
表示装置用の前面散乱板を例にとると、液晶表示装置が
概ねその垂線方向(0度方向=正面)から−20度方向
(概ね装置正面方向)の間で観察される事が多いため、
前記したように30度の入射角度で入射する光を−10
度方向へ光軸をずらすことが望ましい。このため、30
度方向からの入射光を、−10度方向を中心に散乱させ
るように、フィルム厚み方向に対して屈折率の異なる部
分の傾斜角度が徐々に変化している構造としている。こ
の例では、フィルム界面での光の屈折を考慮して、前記
傾斜角度は、フィルム表面近傍では前記した通りに垂線
方向から約19度傾いており、そこからフィルム裏面に
向かって徐々に傾斜角度が小さくなり、フィルム裏面近
傍では、約6.5度傾斜した構造としている。
【0029】屈折率の異なる部分の大きさは、光散乱を
生じさせるためにランダムで規則性はないが、必要な散
乱性を持たせるために、その平均の大きさは直径で0.
1μmから300μmの範囲内で、それぞれの用途での
必要な散乱性に応じて適宜選択される。また、光散乱に
指向性を持たせるために、フィルムの縦方向と横方向と
では平均の大きさを異ならせている。1例として、縦方
向に伸びた楕円状に光散乱を生じさせるために、縦方向
の平均サイズは12μmであるが、横方向の平均サイズ
は50μmという横長の形状とすることで、縦方向に約
±40度、横方向には約±10度という散乱指向性を持
つ光散乱フィルムを得ることができる。
【0030】本発明で作製した軸外し異方性光散乱フィ
ルム1は、請求項1で述べたような構造の樹脂層である
という観点から、本明細書中ではフィルムという言語で
統一して述べたが、例えば、ガラス基板や樹脂基板のよ
うな硬質基板上に形成されたシートであっても良い。
【0031】以下、本発明の軸外し異方性光散乱フィル
ムを作製する手段について説明する。本発明のフィルム
内部に、屈折率の異なる部分が不規則な形状・厚さで分
布することにより、屈折率の高低からなる濃淡模様が形
成されており、且つその屈折率の異なる部分が、フィル
ムの厚さ方向に対して傾斜して層状に分布している構造
である異方性光散乱フィルムは光学的な露光手段により
作製することができる。
【0032】図6は、フィルム内部に、屈折率の異なる
部分が不規則な形状・厚さで分布することにより、屈折
率の高低からなる濃淡模様が形成されており、且つその
屈折率の異なる部分が、フィルムの厚さ方向に対して傾
斜して層状に分布している構造である異方性光散乱フィ
ルムを、スペックルパターンを利用して作製する光学系
の一例を示す説明図である。レーザー光源15から出た
レーザー光16ですりガラス17を照射する。すりガラ
ス17のレーザー照射側とは反対の面には、所定距離F
をおいて感光材料20を配置し、すりガラス17で透過
散乱したレーザー光が作り出す複雑な干渉パターンであ
るスペックルパターンが感光材料20に露光照射され
る。
【0033】この際、図示のようにレーザー光16と感
光材料20は所定角度αだけ傾いて配置されているた
め、スペックルパターンは感光材料中で、所定角度傾い
て露光されることになる。この角度が、異方性光散乱フ
ィルム中の屈折率の異なる部分の傾き(すなわち、入射
角度依存性の散乱ピーク角度θ)に相当することになる
ので、前記角度は用途に応じて0から60度程度の範囲
内で適宜選択される。当然の事ながら、異方性光散乱フ
ィルム中の屈折率の異なる部分の傾きと入射角度依存性
の散乱ピーク角度θとは、フィルム界面で光の屈折現象
が生じるため、異なる角度である。またレーザー光16
と感光材料20との傾き角度αと入射角度依存性の散乱
ピーク角度θも、使用する感光材料によっては、記録、
現像等の処理工程によって異なる場合もある。
【0034】記録に使用するレーザ光源15は、アルゴ
ンイオンレーザーの514.5nm,488nmまたは
457.9nmの波長のうち、感光材料の感度に応じて
適宜選択して使用することができる。また、アルゴンイ
オンレーザー以外でもコヒーレント性の良いレーザー光
源であれば使用可能であり、例えばヘリウムネオンレー
ザーやクリプトンイオンレーザーなどが使用できる。
【0035】また、ここで使用する感光材料20は、レ
ーザー光の露光部と未露光部との屈折率の変化の形態で
記録できる感光材料であり、記録しようとする濃淡模様
より高い解像力を持ち、その厚みの方向にもパターンを
記録できるような材料である必要がある。
【0036】このような記録材料としては、本出願人に
よりなされた、特願平11−255453号に記載のビ
スフェノールA型エポキシ樹脂或いは臭素化ビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂(A)と、分子内に少なくともひ
とつのオキシラン環を有した化合物(B)と、前記
(A)及び(B)より屈折率の低い、ラジカル重合性を
有する化合物(C)と、化学放射線によってカチオン種
及びラジカル種を発生する光開始剤(D)を含有する異
方性光散乱フィルム用組成物、特願平11−25545
4号に記載のビスフェノールA型エポキシ樹脂或いは臭
素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)と、ラジカ
ル重合性或いはカチオン重合性を有し分子内に(メタ)
アクリロイル基を除くエチレン性不飽和結合を有した化
合物(B)と、前記(A)及び(B)より屈折率が低
く、分子内に少なくともひとつの(メタ)アクリロイル
基を有した脂肪族化合物(C)と、化学放射線によって
カチオン種及びラジカル種を発生する光開始剤(D)を
含有する異方性光散乱フィルム用組成物、特願平11−
255455号に記載のビスフェノールA型エポキシ樹
脂或いは臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂(A)
と、濃淡模様を形成する際の露光に対しては非反応性で
あり、分子量が2000以下である化合物(B)と、前
記(A)及び(B)より屈折率が低い、ラジカル重合性
を有する化合物(C)と、化学放射線によってカチオン
種及びラジカル種を発生する光開始剤(D)を含有する
異方性光散乱フィルム用組成物、特願平11−1085
73号に記載の(A)カチオン重合性を有する化合物
と、(B)ラジカル重合性を有する化合物、(C)化学
放射線によってカチオン種及びラジカル種を発生する光
開始剤からなり、(A)カチオン重合性を有する化合物
と、(B)ラジカル重合性を有する化合物の屈折率に差
がある異方性光散乱フィルム用組成物、特願平11−1
08574号に記載の屈折率の差がある重合可能なエチ
レン性二重結合を分子内に1個以上有する化合物を複数
有する異方性光散乱フィルム用組成物、特願平11−1
08575号に記載の屈折率の差がある重合可能なカチ
オン重合性置換基を有する化合物を複数有する異方性光
散乱フィルム用組成物、特願平11−108576号に
記載の(A)重合可能なエチレン性二重結合を分子内に
1個以上有する化合物と、(B)重合可能なエチレン性
二重結合を持たない化合物とからなり、前記(A)重合
可能なエチレン性二重結合を分子内に1個以上有する化
合物と、(B)重合可能なエチレン性二重結合を持たな
い化合物の屈折率が異なる異方性光散乱フィルム用組成
物、特願平11−108577号に記載の複数の(A)
分子内にオキシラン環を少なくとも一つ有する化合物
と、(B)ラジカル重合性を有する化合物と、(C)化
学放射線によってカチオン種及びラジカル種を発生する
光開始剤からなり、(A)分子内にオキシラン環を少な
くとも一つ有する化合物と、(B)ラジカル重合性を有
する化合物の屈折率に差がある異方性光散乱フィルム用
組成物が利用でき、また、体積型ホログラム用感光材料
も利用できる。
【0037】スペックルパターンは、コヒーレント性の
良い光が粗面で散乱反射または透過した時に生ずる明暗
の斑点模様であり、粗面の微小な凹凸で散乱した光が不
規則な位相関係で干渉するために生ずるものである。
【0038】「光測定ハンドブック 朝倉書店 田幸敏
治ほか著 1994年11月25日発行」の記述(p.266 〜p.26
8 )によれば、濃度や位相が位置によってランダムな値
を示すようなスペックルパターンでは、前記パターンの
大きさは、感光材料から拡散板を見込む角度に反比例し
て、パターンの平均径が決定される。従って、拡散板の
大きさを、水平方向よりも垂直方向で大きくした場合、
感光材料上に記録されるパターンは、水平方向よりも垂
直方向が細かいものとなる。
【0039】図6の光学系での作製方法によるスペック
ルパターンでは、使用するレーザー光16の波長λおよ
びすりガラス17の大きさD,すりガラス17と感光材
料20との距離Fが、記録されるスペックルパターンの
平均サイズdを決定することになり、一般に、dは次式
で表される。
【0040】d=1.2λF/D
【0041】また、このスペックルパターンの奥行き方
向の平均長さtは以下の式で表される。
【0042】t=4.0λ(F/D)2
【0043】以上より、λおよびF/Dの値を最適な散
乱性を持つように最適化することで所望の3次元的な屈
折率分布を持つ異方性光散乱フィルムを得ることが出来
る。
【0044】一例として、λ=0.5μmで、F/D=
2とすると、d=1.2μm,t=8μmとなり、フィ
ルム表面上の濃淡模様は平均1.2μmで分布し、フィ
ルムの厚み方向には、前記傾斜角度に従った方向に平均
8μmの大きさで分布することになる。
【0045】ただし、これらの大きさはあくまでも平均
の大きさであり、実際にはこれらの大きさを中心に大小
様々な大きさで、屈折率の異なる部分が表面上および奥
行き方向に傾斜して分布することになる。
【0046】なお、異方性散乱フィルムを後述する偏向
用光重合性組成物により膨潤させ、帯状の濃淡の伸びる
方向がフィルムの厚さ方向に渡って徐々に変化させるた
めに、偏向用光重合性組成物を積層、硬化前の異方性光
散乱フィルムの樹脂成分は、未硬化または半硬化である
必要がある。本明細書において未硬化または半硬化と
は、重合、架橋が完全には完了していない状態をいう。
【0047】上述の作製手段により作製された異方性光
散乱フィルムは、原理的にフィルムの厚み方向に同じ傾
斜角度φで、屈折率の異なる部分が分布している(図7
a)ため、本発明の軸外し異方性光散乱フィルムを実現
するためにフィルムの厚み方向に従って徐々に前記傾斜
角度を変化させる手段について以下説明する。
【0048】屈折率の異なる部分の傾斜角度φを変動さ
せるには、異方性光散乱フィルムのフィルム厚Lを変化
させる事で為される。これは図7aに示したような同一
の傾斜角度φで記録された異方性光散乱フィルムのフィ
ルム厚Lを、図7bに示すようにL‘に増加させると、
傾斜角度φがそれに従ってφ’に変化するという原理を
利用する事でなされる。
【0049】具体的には、図7c に示すようにフィルム
表面近傍(図中X近傍)ではあまり厚み変動がなく、フ
ィルム裏面近傍(図中Y近傍)で厚み変動が大きけれ
ば、請求項1あるいは2に記載の軸外し異方性光散乱フ
ィルム1を実現できる。
【0050】軸外し異方性光散乱フィルムは該異方性光
散乱フィルムを膨潤させうる(A)実質的に透明な光重
合性化合物が異方性光散乱フィルム中に浸透し、作製さ
れた屈折率の濃淡模様を膨潤させることを利用したもの
である。更に、浸透した化合物を硬化させることで、異
方性光散乱フィルムの光散乱性を再現性よく変換させる
偏向用光重合性組成物である。このような(A)光重合
性化合物としては、ラジカル重合可能な不飽和二重結合
を有する化合物を少なくとも1つ以上含まれることが望
ましい。また、固体の(A)光重合性化合物を用いる場
合、それを溶解させる液体の(A)光重合性化合物と組
み合わせて使用してもよい。(A)光重合性化合物は下
記に示す化合物を1つ又は2つ以上を混合して使用して
もよい。
【0051】ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有す
る化合物の具体例として、具体的に液体化合物として
は、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の高沸点
ビニルモノマー、さらには、脂肪族ポリヒドロキシ化合
物、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、
1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、
1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,10−デカンジオール、トリメチロールプロパ
ン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、
ソルビトール、マンニトールなどのジあるいはポリ(メ
タ)アクリル酸エステル類、またはエチルカルビトール
アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレ
ート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、
フェニルカルビトールアクリレート、ノニルフェノキシ
エチルアクリレート、2-ヒドロキシ-3- フェノキシプロ
ピルアクリレート、ω- ヒドロキシヘキサノイルオキシ
エチルサクシネート、アクリロイルオキシエチルフタレ
ート、フェニルアクリレート、トリブロモフェニルアク
リレート、トリブロモフェノキシエチルアクリレート、
2-(p- クロロフェノキシ) エチルアクリレート、2-(1-
ナフチルオキシ) エチルアクリレート、o-ビフェニルア
クリレート、フェノキシエチルアクリレート、イソボル
ニルアクリレート、ベンジルアクリレート、p-ブロモベ
ンジルアクリレート、ラウリルアクリレート、2,2,3,3-
テトラフルオロプロピルアクリレート、エチレングリコ
ールモノアクリレート、エチレングリコールジアクリレ
ート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ジエチ
レングリコールジアクリレート、トリエチレングリコー
ルモノアクリレート、トリエチングリコールジアクリレ
ート、テトラエチレングリコールモノアクリレート、テ
トラエチレングリコールジアクリレート、プロピレング
リコールモノアクリレート、プロピレングリコールジア
クリレート、ジプロピレングリコールモノアクリレー
ト、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロ
ピレングリコールモノアクリレート、トリプロピレング
リコールジアクリレート、テトラプロピレングリコール
モノアクリレート、テトラプロピレングリコールジアク
リレート、ネオペンチルグリコールモノアクリレート、
ネオペンチルグリコールジアクリレート、4-ヒドロキシ
ブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレー
ト、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-アクリロイ
ルオキシエチル-2- ヒドロキシプロピルフタレート、2-
ヒドオロキシ-3- フェノキシプロピルアクリレート、2-
アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-
アクリロイルオキシハイドロゲンフタレート、2-アクリ
ロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレ
ート、及びこれらアクリレートに対応するメタアクリレ
ート、さらに、固体化合物としては、ポリエステルアク
リレート、ポリオールポリアクリレート、変性ポリオー
ルポリアクリレート、イソシアヌル酸骨格のポリアクリ
レート、メラミンアクリレート、ヒダントイン骨格のポ
リアクリレート、ポリブタジエンアクリレート、エポキ
シアクリレート、ウレタンアクリレート、ビスフェノー
ルAジアクリレート等の多官能アクリレート或いはこれ
らに対応するメタクリレート類のオリゴマー或いはポリ
マー等、及びこれらの混合物が挙げられるがこれらに限
定されるものでない。
【0052】(B)光重合開始剤としては、紫外光もし
くは可視光を照射することによってラジカル重合を活性
化させるラジカル種を発生する化合物1種類又は複数の
化合物からなることを特徴とする。具体的には、ベンゾ
フェノン、ベンジル、ミヒラーズケトン、2-クロロチオ
キサントン、ベンゾインエチルエーテル、ジエトキシア
セトフェノン、ベンジルジメチルケタール、2-ヒドロキ
シ-2- メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘ
キシルフェニルケトン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニ
ルメタン-1- オン、2-メチル-1-[4-( メチルチオ) フェ
ニル]-2-モルフォリノプロパノン-1、2-ベンジル-2- ジ
メチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-
1、2-ヒドロキシ-2- メチル-1- フェニルプロパン-1-
オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒド
ロキシ-2- メチル-1- プロパン-1-オン、ビス( シクロ
ペンタジエニル)-ビス(2,6- ジフルオロ-3-(ピル-1- イ
ル)チタニウム、鉄アレーン錯体、トリハロゲノメチル
置換s−トリアジン、芳香族オニウム塩等を挙げられる
がこれに限定されるものではない。
【0053】これら偏向用光重合性組成物は、必要に応
じて適当な溶剤で希釈しても良いが、その場合には異方
性光散乱フィルムあるいは基材上に塗布した後、乾燥を
要する。上記溶剤としては、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、アセトン、2−ブタノン、シクロヘキサノン、エ
チルアセテート、2−メトキシエタノール、2−エトキ
シエタノール、2−ブトキシエタノール、2−エトキシ
エチルアセテート、2−ブトキシエチルアセテート、2
−メトキシエチルエーテル、2−エトキシエチルエーテ
ル、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−
(2−ブトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エト
キシエトキシ)エチルアセテート、2−(2−ブトキシ
エトキシ)エチルアセテート、テトラヒドロフラン、
1,4−ジオキサン等が挙げられる。
【0054】さらに請求項2あるいは3に記載の偏向用
光重合性組成物には、必要に応じて公知の高分子結合
剤、シランカップリング剤、可塑剤、重合禁止剤、連鎖
移動剤、酸化防止剤、レベリング剤、消泡剤などの各種
添加剤を加えても良い。高分子結合剤は偏向用光重合性
組成物の成膜性、膜厚の均一性、保存安定性などを向上
させるために使用される。高分子結合剤は光重合性化合
物や光重合開始剤と相溶性のよいものであれば良く、そ
の具体例としては、ポリスチレン、塩素化ポリエチレ
ン、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート
と他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合
体、塩化ビニルとアクリロニトリルの共重合体、ポリ酢
酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマー
ル、ポリビニルブチラール、ポリビニルピロリドン、エ
チルセルロース、アセチルセルロース、フェノキシ樹脂
などが挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。また、これらは1つ又は2つ以上混合して使用して
も良い。
【0055】(A),(B)成分を適宜選択し、任意の
割合で混合して得た偏向用光重合性組成物を前記異方性
光散乱フィルム上にスピンコーター、ロールコーター、
バーコーター、などの公知の塗工手段を用いて塗布、あ
るいは前記偏向用光重合性組成物をガラス基板や、ポリ
エチレンテレフタレート(PET) 、ポリプロピレン(PP)、
ポリカーボネート(PC)等のフィルム基材上に公知の塗工
手段を用いて塗布したものを前記異方性光散乱フィルム
上に積層し、十分な時間放置した後、紫外線または可視
光で全面露光し、固定化させる。この時、加熱処理を同
時または逐次行ってもよい。
【0056】偏向用光重合性組成物を未硬化または半硬
化の異方性光散乱フィルム上に塗布あるいは積層し、硬
化する手段として、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノン
ランプ、カーボンアーク灯、超高圧水銀灯、メタルハラ
イドランプ等の全面露光などがあるが、これに限定され
るものではない。また、同時または逐次にオーブンまた
はホットプレートなどによる加熱を行ってもよい。
【0057】以下、本発明の実施の形態について具体的
な実施例を挙げて説明する。
【0058】<実施例1>ウレタンアクリレート(アロ
ニックスM−1200、東亜合成(株)製商品名)10
0重量部、トリプロピレングリコールジアクリレート
(VISCOAT#310HP、大阪有機化学(株)製
商品名)10重量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフ
ェニルケトン(IRGACURE184、チバスペシャ
リティケミカルズ(株)製商品名)5.0重量部を2−
ブタノン100重量部に混合溶解したものを感光液とし
た。該感光液をPET フィルム(ルミラーS−10、東レ
(株)製商品名)上に、バーコーター#16で塗布、乾
燥して偏向用光重合性組成物とした。
【0059】異方性光散乱フィルム用材料として、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂(エピコート1007、油
化シェルエポキシ(株)製商品名)100重量部、トリ
プロピレングリコールジアクリレート(VISCOAT
−310HP、大阪有機化学製(株)商品名)50重量
部、グリシジルフェニルエーテル30重量部、および
4,4’−ビス(tert−ブチルフェニル)ヨードニ
ウムヘキサフルオロフォスフェート5.0重量部、4,
4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン0.2重
量部を2−ブタノン100重量部に混合溶解したものを
感光液とした。該感光液を青板ガラス(1.1mm厚、
5インチ角)に、膜厚が約30ミクロンになるようにド
クターブレードで塗布、乾燥し記録用媒体とした。該感
光材料を、図6に示した光学系で、光源としてクリプト
ンイオンレーザー(413nm)をレンズを用いて広げ
た光ですりガラス15を介して、感光材料面から露光し
て異方性光散乱フィルムを記録した(傾斜角度19
度)。半硬化である該異方性光散乱フィルムに偏向用光
重合性組成物をラミネートし、85℃で5分間加温放置
してから、高圧水銀灯で全面照射することによって硬
化、定着した。さらに、硬化物をPET フィルム、ガラス
基板から剥離することによって軸外し異方性光散乱フィ
ルムを得た。得られた該フィルムの厚みは40ミクロン
であった。
【0060】得られた軸外し異方性光散乱フィルムの散
乱強度及び散乱光出射角度は以下のようにして測定し
た。測定条件は幅3 mmの白色光を試料に30°の角度で入
射し、試料を中心とした半径20cmの円周上に設置し
た幅3mmのスリットを有するフォトマルチメーターを
試料の周りの円周上を走査しながら試料からの散乱光強
度と散乱角度を検出した。その結果を表1に示す。
【0061】
【表1】
【0062】<実施例2〜6>実施例1の偏向用光重合
性組成物中のトリプロピレングリコールジアクリレート
の代わりに、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレー
ト(M−120、東亜合成(株)製商品名)、フェノキ
シエチルアクリレート(VISCOAT#192、大阪
有機化学(株)製商品名)、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート(NPGDA)(日本化薬(株)製)、ト
リメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)
(M−309、東亜合成(株)製商品名)、ジペンタエ
リスリトールヘキサアクリレート(DPHA)(日本化
薬(株)製)を用いて実施例1と同様の操作を行って、
軸外し異方性光散乱フィルムを作製した。測定結果を表
2に示す。
【0063】
【表2】
【0064】<実施例7〜11>実施例2−6の偏向用
光重合性組成物中のウレタンアクリレート、アロニック
スM−1200の代わりに、ポリエステルアクリレート
(アロニックスM−7100、東亜合成(株)製商品
名)を用いて実施例2−6と同様の操作を行って、軸外
し異方性光散乱フィルムを作製した。測定結果を表3に
示す。
【0065】
【表3】
【0066】<実施例12〜16>実施例2〜6の偏向
用光重合性組成物に高分子結合剤としてアクリル樹脂
(ダイヤナールBR−90、三菱レーヨン(株)製商品
名)100重量部を添加して、実施例2−6と同様の操
作を行って、軸外し異方性光散乱フィルムを作製した。
測定結果を表4に示す。
【0067】
【表4】
【0068】<実施例17>実施例1に記載の光重合性
組成物を偏向用光重合性組成物とした。異方性光散乱フ
ィルム用材料として、ビスフェノール系エポキシアクリ
レート(リポキシVR60、昭和高分子(株)製商品
名)100重量部、トリプロピレングリコールジアクリ
レート(VISCOAT−310HP、大阪有機化学製
(株)商品名)50重量部および3,3’,4,4’−
テトラ(tert−ブチルペルオキシカルボニル)ベン
ゾフェノン7.5重量部、3,3’−カルボニルビス
(7−ジエチルアミノクマリン)0.25重量部を2-
ブタノン100重量部に混合溶解したものを感光液とし
た。該感光液を青板ガラス(1.1mm厚、5インチ
角)に、膜厚が約70ミクロンになるようにドクターブ
レードで塗布、乾燥し記録用媒体とした。該感光材料
を、図6に示した光学系で、光源としてアルゴンイオン
レーザー(488nm)をレンズを用いて広げた光です
りガラス15を介して、感光材料面から露光して異方性
光散乱フィルムを記録した(傾斜角度19度)。該異方
性光散乱フィルムに偏向用光重合性組成物をラミネート
し、85℃で5分間加温放置してから、高圧水銀灯で全
面照射することによって定着した。さらに、硬化物をPE
T フィルム、ガラス基板から剥離することによって軸外
し異方性光散乱フィルムを得た。得られた該フィルムの
厚みは79ミクロンであった。測定結果を表5に示す。
【0069】
【表5】
【0070】
【発明の効果】異方性光散乱フィルムが所定角度範囲で
入射する光に対しては光散乱が生じ、逆にそれとは垂直
な光に対しては透明フィルムとして機能することによ
り、光散乱性に入射角度選択性を持ち、光散乱が生じる
角度で光が入射した際に、その入射角度とは異なる方向
へ強い散乱光を生じ、そのため散乱性を要する光と散乱
性が不要な光とを、そのフィルムへの入射角度により分
離し、且つ必要な散乱光を所望の方向へ偏向することが
でき、結果として表示装置などに用いた場合に、不必要
な散乱を生じることなく、装置正面での表示の明るさや
細かさ、見易さやコントラストを向上し、且つ表示像の
ぼけを軽減させるなどの効果がある。
【0071】また、屈折率の異なる部分はフィルム表面
と平行な面で見ると不規則に分布しているため、ホログ
ラムで見られるような観察位置による出射光の色変化は
生じない。加えて、光散乱が生じる入射角度で光が入射
した際に、その散乱光の広がりが、縦横で異なるような
散乱指向性をも併せ持つことが可能である。そのため、
必要な方向にのみ散乱光を出射することができ、結果と
して表示装置に用いた場合に、不必要な散乱を生じるこ
となく表示の明るさ、コントラストを向上させるなどの
効果がある。
【0072】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で作製された軸外し異方性光散乱フィル
ム1を示す説明図であり、左が平面図,右が断面図であ
る。
【図2】本発明で作製された軸外し異方性光散乱フィル
ム1の持つ入射角度依存性の一例を示すグラフ図であ
る。
【図3】本発明で作製された軸外し異方性光散乱フィル
ム1の持つ軸外し機能を説明するための出射光強度分布
の一例を示すグラフ図である。
【図4】本発明で作製された軸外し異方性光散乱フィル
ムが持つ光散乱の指向性についての説明図である。
【図5】本発明で作製された軸外し異方性光散乱フィル
ムを用いた反射型液晶表示装置について、要部を概念的
に示す断面図である。
【図6】異方性光散乱フィルムを、スペックルパターン
を利用して作製する光学系の一例を示す説明図である。
【図7】本発明で異方性光散乱フィルムに軸外し機能を
付与する作製手段を概念的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…軸外し異方性光散乱フィルム 2…偏向用光重合性組成物 3…散乱方向から入射する照明光 4…異方性光散乱フィルムからの出射散乱光 5…透過方向から入射する照明光 6…実測したヘイズ値のプロット 7…液晶パネル 8…反射板 9…周辺照明光 10…散乱光 11…出射散乱光 12…液晶パネル前面ガラス板 13…液晶層 14…液晶パネル背面ガラス板 15…レーザー光源 16…レーザー光 17…すりガラス 18…ビームエキスパンダー 19…コリメーター 20…感光材料

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィルム内部に、屈折率の異なる部分が不
    規則な形状・厚さで分布することにより、屈折率の高低
    からなる帯状の濃淡を形成しており、且つ、フィルム断
    面では、前記帯状の濃淡の伸びる方向がフィルムの主面
    に対して傾斜している樹脂成分が未硬化または半硬化の
    異方性光散乱フィルム上に、(A)ラジカル重合可能な
    不飽和二重結合を有する化合物を少なくとも1つ以上有
    する光重合性化合物と、(B)紫外光もしくは可視光を
    照射することによってラジカル重合を活性化させるラジ
    カル種を発生する光重合開始剤を少なくとも含有し、実
    質的に透明である偏向用光重合性組成物を積層、硬化し
    てなり、前記帯状の濃淡の伸びる方向がフィルムの厚さ
    方向に渡って徐々に変化していることを特徴とする軸外
    し異方性光散乱フィルム。
  2. 【請求項2】(A)ラジカル重合可能な不飽和二重結合
    を有する化合物を少なくとも1つ以上有する光重合性化
    合物と、(B)紫外光もしくは可視光を照射することに
    よってラジカル重合を活性化させるラジカル種を発生す
    る光重合開始剤を少なくとも含有し、実質的に透明であ
    り、且つ、樹脂成分が未硬化または半硬化の異方性光散
    乱フィルムを膨潤させることが可能なことを特徴とする
    軸外し異方性光散乱フィルムの製造に用いる偏向用光重
    合性組成物。
  3. 【請求項3】高分子結合剤をさらに含有することを特徴
    とする請求項2に記載の軸外し異方性光散乱フィルムの
    製造に用いる偏向用光重合性組成物。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006043508A1 (ja) * 2004-10-20 2006-04-27 Tomoegawa Co., Ltd. 異方性拡散媒体
JP2009237418A (ja) * 2008-03-28 2009-10-15 Nitto Denko Corp 指向性拡散フィルム、偏光板、液晶表示装置および指向性拡散フィルムの製造方法
JP2017227889A (ja) * 2016-06-17 2017-12-28 株式会社半導体エネルギー研究所 表示装置

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