JP2001227294A - 薄肉亀甲型セグメントを用いたトンネル覆工内面の保護構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】既設トンネルの覆工内面から内面側への張出し
を少なくして、かつ、構造が簡潔で、迅速施工を可能と
し、建築限界を確保した保護構造体を提供する。 【解決手段】覆工内面の保護面材を構成する薄肉亀甲型
セグメント７は、金属製枠１３と、その内側を覆うよう
にトンネル軸方向に掛け渡す金属製枠１３の厚さ以下の
金属製面材１８あるいは、これとコンクリートとの合成
構造の面材とにより、トンネル半径方向の投影が３対の
辺が平行な６角形のセグメントで構成される。金属製枠
１３の１対の辺は、トンネル周方向に平行な主桁１４を
なし、２対の辺は継手桁１５として、トンネル周方向の
セグメント端部にトンネル周方向に対し３０度乃至６０
度の角度を成すように形成され、主桁１４と継手桁１５
は、凹状部と凸状部からなるセグメント継手１６とリン
グ継手２１を具備している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、老朽化した、また
は健全な鉄道トンネル、道路トンネル等の既設トンネル
において、覆工コンクリートの崩落・剥落を未然に防止
し、万一コンクリートの崩落があった場合でも、トンネ
ル内に剥落片が落下しないように保護し、更には地山の
緩みあるいは塑性圧等の外力による変状に対して補強す
ることを目的とした既設トンネル覆工内面の保護構造に
関するものである。

【０００２】

【従来の技術】最近、鉄道トンネルや道路トンネル等の
覆工コンクリートの剥落事故が多く見られ、通過中の列
車に損傷を与える例もでている。このため、各方面で既
設トンネルの調査・診断が精力的に行われ、原因究明が
行われている。

【０００３】現在のところ、覆工コンクリートの剥落原
因は、トンネル建設時のコンクリート打設に伴うコール
ドジョイント、コンクリートの中性化、アルカリ骨材反
応等が取りざたされているが、本当の原因は分かってい
ない。また、剥落原因として、地山の緩みや塑性圧等の
外力の変化も考えられている。

【０００４】一方、トンネル内を通行する列車や車両に
対して安全性の確保は極めて重要であり、国をあげてそ
の対策が検討されている。

【０００５】従来の、老朽化したトンネルの補修・補強
対策については「トンネル補修・補強マニュアル」：平
成２年１０月（鉄道総合技術研究所）や「変状トンネル
対策マニュアル」：平成１０年２月（鉄道総合技術研究
所）がある。

【０００６】これらのマニュアルでは、トンネルの変状
原因に応じて十数種の対策工法が示され、適切なものを
選定するようになされている。この対策工法のうち、覆
工コンクリートの剥落の対策として適用できるのもの
は、「当て板工法」、「鋼板接着工法」と、「セ
ントル補強工」がある。

【０００７】前記「当て板工法」は、剥落部の覆工内
面に鋼板当て板（帯鋼、型鋼）を張付け、ロックボルト
で覆工コンクリートにアンカーした後、裏込め材を注入
するもので、局所的に補修する場合に適用される。

【０００８】「鋼板接着工法」は、比較的新しい工法
であって、覆工面に４．５ｍｍ標準厚の鋼板をエポキシ
樹脂系接着剤で張付け、覆工コンクリートにアンカーボ
ルトで固定するものである。アンカーボルトは７本／ｍ
²程度に配置する。なお、鋼板の端部は隣接鋼板と掛け
渡し重ねた継手鋼板を接着材とアンカーボルトで固定す
る。

【０００９】「セントル補強工」は、トンネル覆工内
面の形状と同じ形状に曲げ加工した１００〜１５０ｍｍ
サイズのＨ型鋼板を覆工内面に沿って適当な間隔で配置
し、覆工内面に適宜間隔毎にくさびで固定されるもの
で、当て板、金網等との併用する場合が多い。

【００１０】また、前記「鋼板接着工法」に類似する他
の従来技術として、特公平３−６８２００「既設トンネ
ルの内張設置方法および内張設置装置」で開示されてい
る、「鋼板内張工法」がある。

【００１１】この工法は、既設トンネル断面に対して僅
かに小さい相似形の内張り材（鋼板、強化プラスチッ
ク）を分割製作し、前記分割した内張り材をトンネル中
心側に引き寄せて縮径したものを特殊な台車に搭載して
既設トンネル内に搬入し、所定の位置で内張り材を拡径
してトンネル内壁に近付け、設置済みの内張り材に溶接
接合し、最後にグラウト材を充填するものである。この
内張り工法は、補修後のトンネル内空間を殆ど狭めない
特徴を有し、主として農工水、下水トンネル等の水路ト
ンネル補修工法として多くの実績がある。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】本発明が対象とする鉄
道トンネルや、道路トンネル等の既設トンネル覆工コン
クリート剥落に対する保護工法では、トンネル内の車両
通過の安全性を確保するため保護部材等の設置は建築限
界をはみ出すことが許されない。

【００１３】また、道路トンネルでは１日の作業時間が
深夜の運行休止時間帯（数時間）に限られ、さらに、給
電ケーブルや信号ケーブル等の障害物が多い等の制約条
件がある。また、鉄道トンネルでは、迂回路がない場
合、交通規制しながら工事する必要があり、迅速施工が
重要な課題となる。

【００１４】さらに、工事期間および対策工事の完成後
において、トンネル内で通行する列車等の風圧、振動に
対して、保護構造の緩み等が生じないようにしなければ
ならない。特に、トンネル上部から保護構造の部材等の
落下があってはならない。したがって、このような条件
下で従来技術を適用しようとすると、以下のような問題
がある。

【００１５】前記従来の、「当て板工法」、「鋼板
接着工法」は、剥落部の覆工内面に鋼製当て板（帯板、
型鋼）を張付けロックボルトで覆工コンクリートにアン
カーするため、覆工コンクリートにロックボルト用の孔
を穿孔する作業が伴い迅速施工できない。また、劣化し
た覆工コンクリートではアンカー強度が確保できないた
め健全なコンクリート面まではつる必要があり、さら
に、作業時間が長くなってしまう。

【００１６】また、この構造では、ロックボルトを使用
しているため、ボルトの切断・アンカー抜けがあるとボ
ルトが落下してトンネル内を通過中の列車、車両に損傷
を与えることも考えられる。

【００１７】従来技術の「セントル補強工」は、トン
ネル覆工内面に大型のＨ型鋼セントルを配置するためト
ンネル内の空間を狭めてしまい、建築限界を確保できな
い場合は採用できない。

【００１８】「鋼板内張工法」は、覆工面に沿って薄
鋼板を溶接接合に依って組立て設置するため、トンネル
内部への張出しが少なく建築限界をクリアーできる。ま
た、ボルト等の部材を使用していないため、工事完成後
の部材落下等の心配もない。

【００１９】しかし、「鋼板内張工法」では、分割し
た鋼板を現地にて周方向、長手方向に溶接接合するた
め、溶接接合時間が長く係り、供用トンネルにおいて１
日数時間の作業時間しか得られない工事条件下では適用
が難しい課題があった。

【００２０】本発明は、前記の課題を解消し、既設トン
ネルの覆工内面からの内面側への張出しを少なくして、
建築限界を確保した保護構造体をセグメントの接合によ
り構成したもので、各セグメントの接合は、トンネル上
方から落下するような部材を使用せず、かつ迅速施工を
可能とした既設トンネル覆工内面の保護構造を提供する
ものである。

【００２１】

【課題を解決するための手段】前記の課題を解決するた
め、本発明に係る薄肉亀甲型セグメントを用いた既設ト
ンネル覆工内面の保護構造は、次のように構成する。第
１の発明は、既設トンネルの覆工内面に沿って保護面材
を設置する既設トンネル覆工内面の保護構造において、
前記保護面材は、トンネル周方向および軸方向に分割製
作された覆工内面形状と略相似形でトンネル半径方向の
投影が３対の辺が平行な６角形のセグメントで構成さ
れ、前記セグメントは、１対の辺はトンネル周方向に平
行で、２対の辺はトンネル周方向のセグメント端部にト
ンネル周方向に対し３０度乃至６０度の角度を成すよう
に形成され、前記セグメントは、隣接セグメントとトン
ネル周方向端部の４辺に設けたセグメント継手およびト
ンネル軸方向端部の２辺に設けたリング継手で接合さ
れ、前記保護面材は、前記セグメントを覆工内面に隙間
を形成して組立て設置されており、前記セグメントは、
セグメント厚さ方向に短辺のある略矩形断面形状の帯板
からなる６辺の金属製枠と、当該金属製枠内を覆うよう
にトンネル軸方向に掛け渡す金属製枠厚さ以下の金属製
面板あるいは、金属製面板と面材用コンクリートとの合
成構造の面材とからなり、前記金属製枠を構成するトン
ネル周方向セグメント端部の４本の継手桁は、隣接セグ
メントと相対する面は互いに噛み合うようにトンネル半
径方向のズレ防ぐ凸状部あるいは凹状部が形成されたリ
ング継手となり、また、最下段のセグメントは固定手段
で既設トンネルのコンクリートに固定され、少なくとも
リング継手部近傍の各セグメント背面と覆工内面の隙間
には周方向に渡ってグラウト材が充填され、各セグメン
トが覆工内面に密着されている、ことを特徴とする。

【００２２】第２の発明は、第１発明において、前記金
属製枠を含むトンネル周方向のセグメント端部の２対の
片は、トンネル周方向に対し３０度乃至６０度の角度を
成す直線であり、前記面材は、一方のトンネル周方向の
セグメント端部の２辺を含む平面と、他方のトンネル周
方向のセグメント端部の２辺を含む平面と周方向に平行
な２辺を含む曲線とで形成される、ことを特徴とする。

【００２３】第３の発明は、第１または第２発明におい
て、前記金属製枠を構成するトンネル周方向の２本の主
桁の略矩形断面形状の帯板は、隣接セグメントとトンネ
ル軸方向に相対する面が互いに噛み合うようにトンネル
半径方向のズレ防ぐ凸状部あるいは凹状部が形成された
リング継手となる、ことを特徴とする。

【００２４】第４の発明は、第１乃至第３発明におい
て、前記金属製枠を構成するトンネル周方向の２本の主
桁の間で、当該主桁の配置面と同一横断面内にトンネル
周方向の中主桁が所定本数配設され、端部が継手桁に結
合されている、ことを特徴とする。

【００２５】第５の発明は、第１乃至第４発明におい
て、前記面材はトンネル内空側の金属製面板と、当該金
属製面板の背面側に打設された面板用コンクリートによ
り構成され、前記金属製面材の背面側には突起あるいは
補剛板が固着されている、ことを特徴とする。

【００２６】第６の発明は、既設トンネルの覆工内面に
沿って保護面材を設置する既設トンネル覆工内面の保護
構造において、前記保護面材は、トンネル周方向および
軸方向に分割製作された覆工内面形状と略相似形で、ト
ンネル半径方向の投影が３対の辺が平行な６角形のセグ
メントで構成され、前記セグメントは、１対の辺はトン
ネル周方向に平行で、２対の辺はトンネル周方向のセグ
メント端部にトンネル周方向に対し３０度乃至６０度の
角度を成すように形成され、前記セグメントは、隣接セ
グメントとトンネル周方向端部の４辺に設けたセグメン
ト継手およびトンネル軸方向端部の２辺に設けたリング
継手で接合され、前記保護面材は、前記セグメントを覆
工内面に隙間を形成して組立て設置されており、前記セ
グメントは、周囲に継手を備えた比較的薄手で金属製の
厚板あるいは格子板の面部材からなり、前記セグメント
のトンネル周方向セグメント端部の４辺の継手は、隣接
セグメントと相対する面が互いに噛み合うようにトンネ
ル半径方向のズレ防ぐ凸状部あるいは凹状部が形成され
たセグメント継手となり、また、最下段のセグメントは
固定手段で既設トンネルのコンクリートに固定され、少
なくともリング継手部近傍の各セグメント背面と覆工内
面の隙間には周方向に渡ってグラウト材が充填され、各
セグメントが覆工内面に密着されている、ことを特徴と
する。

【００２７】第７の発明は、第６発明において、前記ト
ンネル周方向のセグメント端部の２対の辺は、トンネル
周方向に対し３０度乃至６０度の角度を成す直線であ
り、前記面材は、一方のトンネル周方向のセグメント端
部の２辺を含む平面と、他方のトンネル周方向のセグメ
ント端部の２辺を含む平面と周方向に平行な２辺を含む
曲面とで形成される、ことを特徴とする。

【００２８】第８の発明は、第６または第７発明におい
て、前記各セグメントは、嵌合継手を形成した縁部材を
面部材の端部に固着している、ことを特徴とする。

【００２９】第９の発明は、第６乃至第８発明におい
て、前記セグメントをトンネル内面形状に曲げ加工する
際、セグメントに継手縁部材を取付けた１枚を曲げる
か、または複数枚の平板形状のセグメントを平らに組み
立てた後まとめて曲げ加工を行う、ことを特徴とする。

【００３０】第１０の発明は、第１乃至第８のいずれか
の発明において、前記リング継手の相対する主桁間にお
いて、一方の主桁の背面の複数箇所にトンネル周方向の
幅の金属製薄板が固着され、当該金属製薄板は他方の主
桁の接合面と相対する主桁端面まで、あるいは他方の主
桁の背面側に係合用に設けた凹部まで主桁背面に沿って
トンネル軸方向に突出し、当該金属製薄板の先端には、
前記主桁端面あるいは前記凹部と接触してリング継手の
トンネル軸方向への離脱を防ぐようにフックが形成され
ている、ことを特徴とする。

【００３１】第１１の発明は、第１乃至第８のいずれか
の発明において、トンネル半径方向のずれを防ぐ凸状部
および凹状部が形成されたリング継手を有する、前記金
属製枠を構成するトンネル周方向の２本の主桁におい
て、先端に突没自在な係合突起を設けた金属製薄板が、
凹状部が形成された主桁のトンネル背面側の複数箇所に
固着されており、凹状部が形成された側の主桁の当該凹
状部を形成する２つの両突出部のうち、セグメント背面
側の突出部の複数箇所に貫通孔が設けられ、当該貫通孔
には前記係合突起が設置されており、隣接するセグメン
トの凸状部を有する側の主桁の当該凸状部には、前記係
合突起が係合するための貫通孔または窪みが設けられて
いる、ことを特徴とする。

【００３２】第１２の発明は、第１乃至第８のいずれか
の発明において、前記セグメント背面と覆工内面の隙間
のうち、少なくとも前記主桁近傍には筒状袋体を使用し
たグラウト材が充填・固着されている、ことを特徴とす
る。

【００３３】

【作用】第１発明によると、セグメントの主桁に、略矩
形断面形状の短辺を厚みとし、長辺の長さで、軸圧縮強
度および曲げ強度を設計できる金属製の帯板を用いるこ
とにより、かつ曲げ性能に優れた金属製面材あるいは金
属とコンクリートとの合成構造の面材を主桁に掛け渡す
ことにより、薄肉だが高強度のセグメントを実現してい
る。

【００３４】さらに、セグメントを接合して覆工内面に
わずかな隙間をおいて設置された保護構造体は、背面の
充填グラウト材でトンネル覆工内面に密着され、最下段
セグメントの下端部は固定手段で既設トンネルに固定し
て支持されるアーチ構造となるので、天井部はロックボ
ルトによる覆工コンクリートへの固定手段を必要とせず
に、覆工コンクリートの剥落荷重、更には地山の圧力増
加に対して変形を拘束され、セグメント主桁に作用する
曲げモーメントが低減され、前記の薄肉高強度のセグメ
ント構造特性との相乗効果により、トンネル内建築限界
内に収まる保護構造体の薄肉化を可能としている。

【００３５】また、トンネル周方向の隣接セグメントに
相対する面は、トンネル周方向に対し、３０度乃至６０
度の角度をなし、かつ互いに噛み合うようにトンネル半
径方向のズレを防ぐ凸状部あるいは凹状部が形成されて
いるので、セグメント継手に作用する曲げモーメントを
半径方向せん断力のセグメント継手に沿う方向の変化に
より伝達することができる。なお、このセグメント継手
のトンネル周方向に対する角度が３０度未満となると、
トンネル周方向の軸力の伝達が困難となり、６０度を超
えると周方向の曲げモーメントの伝達が困難となる。

【００３６】本発明の継手構造により、少なくともセグ
メント継手にボルトを用いずに急速組立施工が可能とな
り、高強度セグメント継手も実現できる。

【００３７】第２発明によると、金属製枠を構成するト
ンネル周方向セグメント端部の４本の継手桁が直線部材
となり、その隣接セグメントと相対する面に形成される
凸状部あるいは凹状部が簡素な幾何形状となりセグメン
ト継手の精度が向上し、製造も容易となる。

【００３８】また、保護面材の横断面形状は、セグメン
ト継手部の範囲のみが直線状となるが、全体は覆工内面
形状と概ね相似形のアーチとなり、トンネル覆工内面に
密着されるので、第１発明と同様に覆工コンクリートの
剥落に対して、変形を拘束され、セグメント主桁に作用
する曲げモーメントは低減される。

【００３９】第３発明によると、第１発明の嵌合方式の
セグメント継手に加えて、リング継手が差込嵌合継手と
なっているので、セグメントを組み立てる際に、トンネ
ル軸方向に押し込むだけで容易に装着でき、第１発明よ
りもさらに急速組立施工が可能となり、かつ工事中や完
成後に落下するようなボルト等の部材の使用を避けるこ
とができる。

【００４０】第４発明によると、トンネル周方向軸力
が、同一横断面内に配置された主桁および中主桁の単純
なアーチ作用により伝達されるので、第１発明よりも耐
荷力および構造信頼性が向上する。

【００４１】第５発明によると、面材が金属板とコンク
リートとの合成構造となるので、さらに薄肉で高強度な
面材を実現でき、覆工コンクリートの剥落荷重に抵抗で
きるのは勿論のこと、より大きな背面グラウト材注入圧
力に耐えることができるので、グラウト材注入作業が迅
速に行える。

【００４２】第６発明によると、保護構造体は、背面の
充填グラウトでトンネル覆工内面に密着されたシェルア
ーチ構造となるので、第１発明の帯板による骨組みアー
チ構造よりも更に薄肉化が可能となる。

【００４３】また、面部材として透過床版に用いられて
いるグレーチングのような開口を有する面部材を使用す
れば、保護構造完成後にトンネル内から既設覆工面の状
況が点検可能となると共に、覆工コンクリートからの漏
水に対し排水が容易となり、保護構造に大きな水圧が作
用することを防止できる。

【００４４】第７発明によると、トンネル周方向セグメ
ント端部の４辺が直線となり、その隣接セグメントと相
対する面に形成される凸状部あるいは凹状部が簡素な幾
何形状となり、セグメント継手の精度が向上し、製造も
容易となる。

【００４５】また、保護面材の横断面形状は、セグメン
ト継手部の範囲のみが直線となるが、全体は、覆工内面
形状と概ね相似形状のアーチとなるので、第６発明と同
様に面部材に作用する曲げモーメントは低減される。

【００４６】第８発明によると、各セグメントは、嵌合
継手を形成した縁部材を面部材と分離して製作し、その
縁部材を面部材に溶接や、かしめによって固着したもの
にすれば、継手精度を容易に確保し、かつ、製作コスト
を低減できる。

【００４７】第９発明によると、周囲に嵌合継手を設け
た六角形の平板形状セグメントを製作した後で、冷間で
３点ロール曲げや、プレス曲げを行って曲率を形成すれ
ばよく、セグメントコストを低減できる。更に、その平
板形状セグメントを複数重ねて曲げ加工することによ
り、製作コストを更に低減できる。

【００４８】第１０発明によると、セグメントを組み立
てる際にセグメントをトンネル軸方向に押し込むだけで
容易に嵌合し、抜けないように装着できるリング継手を
経済的に実現することできる。

【００４９】第１１の発明によると、セグメントを組み
立てる際にセグメントをトンネル軸方向に押し込むだけ
で容易に嵌合し、抜けないように装着できるリング継手
を経済的に実現することができる。

【００５０】第１２発明によると、セグメント背面に充
填されたグラウト材は、柔軟性があり、所定範囲内で変
形自在な袋体を型枠として用いているためグラウト材注
入時にシール材の必要がなく、しかも、漏れのトラブル
を回避できる。なお、セグメントの背面を覆工内面に密
着させる充填グラウト材は、セグメント背面の全面に施
した方が望ましいが、少なくとも、主桁近傍の周方向に
渡って施せば構造上はよく、この場合においては袋体の
利用により部分的なグラウト充填が容易に施工できる。

【００５１】また、覆工コンクリートからの漏水に対
し、主桁近傍の背面を部分的にグラウト充填する場合、
未充填部を排水路として排水することができ、セグメン
ト背面の全面をグラウト充填する場合、袋体の背面に集
水孔の開いた管を所要の間隔で設置することにより袋体
とコンクリート覆工内面との僅かな隙間から管へ集水し
て排水することができ、保護構造体に大きな水圧が作用
することを防止できる。

【００５２】

【発明の実施の形態】次に、本発明の実施形態を図を参
照して詳細に説明する。

【００５３】図１、図２は、請求項１に対応し、既設ト
ンネル覆工内面の保護構造の基本構造である第１例と、
第２例の全体概要例を示す。図１、図２において、既設
トンネル１の床版部２には枕木３を介して、鉄道レール
４が設置されている。また、この既設トンネル１は、地
山５の内面にコンクリート６を打設して覆工内面が構築
されており、補強前は、コンクリート６がトンネル内に
露呈している。

【００５４】本発明では、前記コンクリート６の内面に
保護面材７ａを設置することで、当該コンクリート６の
崩落を防止するものであり、必要に応じて、地山の緩み
や塑性圧等の外力に対し、当該コンクリート６を補強す
るものである。この保護面材７ａは、トンネル軸に垂直
な面とトンネル軸に概ね平行な面で切断したトンネル周
方向および、軸方向に分割製作された覆工内面形状と略
相似の薄肉亀甲型セグメント７で構成される。

【００５５】また、図１の第１例では、床版部２を除
き、天井部と両側を含み、トンネル内面全体に渡って薄
肉亀甲型セグメント７が設置されている。図２の第２例
では、天井部と両側上部のトンネル内面に渡って略半円
弧状に薄肉亀甲型セグメント７が設置された例が示され
ている。薄肉亀甲型セグメント７は、図１（Ｃ）、図２
（Ｃ）に矢印で示すように、トンネル軸方向に移動させ
ながら覆工内面に隙間を形成して組立て設置される。

【００５６】図２の第２例では、覆工上半部に渡り、略
円弧状に薄肉亀甲型セグメント７を配置する例が示され
ており、最下段（円弧状配置の両端部）の薄肉薄肉亀甲
型セグメント７は、次の固定手段で既設トンネルのコン
クリートに固定される。すなわち、トンネル内両側の中
間高さ位置に設置したＨ形鋼、ボックス形鋼などからな
る梁材８で支持されており、この梁材８は、トンネル軸
方向に伸長して設置されており、トンネル軸方向に渡
り、保護構造の分布荷重を支えている。また、この梁材
８は、トンネル軸方向に所定間隔で配置された支持ブラ
ケット１０に載置され、連結ボルト１１で固定されて支
持されている。支持ブラケット１０は、コンクリート６
に打設するアンカーボルト１２によってトンネル側壁に
固着されている。

【００５７】さらに詳しく説明すると、図３、図４およ
び、図５、図６は、薄肉亀甲型セグメント７を覆工上半
部に施工する場合における、セグメント両下端部の支持
構造の第１例と、第２例を示す。この支持構造におい
て、図２に示した構造と共通要素には、共通符号を付し
て説明する。

【００５８】図３、図４の第１例では、トンネル軸方向
に伸長するボックス形鋼製の梁材８が、支持ブラケット
１０を介して、図２と同じ支持構造でトンネル内壁面に
固定されている。また、薄肉亀甲型セグメント７の下端
は、梁材８に上面に突設した挟持板３０および挟持ばね
板３１で挟持されている。この場合、薄肉亀甲型セグメ
ント７の保護面材のトンネル軸方向の分布荷重を梁材８
で受けてトンネル側に伝達できる。

【００５９】図５、図６の第２例では、トンネル軸方向
に伸長するボックス形鋼製の梁材８の支持構造として、
比較的長尺の鋼材からなる脚部材３２で支持しており、
この点が、図３、図４の第１例と相異している。つま
り、脚部材３２の下端部３２ａが床版部２で支持されて
おり、脚部材３２の上端部３２ｂで支持されている。薄
肉亀甲型セグメント７の下端と梁材８との挟持構造は図
３、図４の第１例と同じである。

【００６０】図７（Ａ）、（Ｂ）は、請求項１に対応
し、本発明の主構成要素である、薄肉亀甲型セグメント
７の２例を斜視図で示している。

【００６１】各図において、薄肉亀甲型セグメント７
は、６辺の薄肉の金属製枠１３と、当該金属製枠１３内
を覆うようにトンネル軸方向に掛け渡す当該金属製枠１
３の厚さ以下の金属製面材１８からなる面材、あるいは
金属製面材１８と面板用コンクリートとの合成構造の面
材（この図では、金属製面材１８の例を示す）とからな
る。固着方法としては、接着でもよい。

【００６２】前記の構成を具体的に説明すると、亀甲型
の金属製枠１３は、トンネル周方向および軸方向に分割
製作された覆工内面形状と略相似形でトンネル半径方向
の投影が３対の辺が平行な６角形の枠で構成される。前
記金属製枠１３は、１対の辺（主桁となる）はトンネル
周方向に平行で、２対の辺（継手桁となる）はトンネル
周方向のセグメント端部にトンネル周方向に対し３０度
乃至６０度の角度を成すように形成される。

【００６３】すなわち、６辺の前記薄肉の金属製枠１３
の内、トンネル軸方向に位置し、トンネル周方向に平行
する２辺の枠は主桁１４を構成し、トンネル周方向に位
置し、トンネル周方向に対し３０度乃至６０度の角度を
成す２対の各辺の枠は継手桁１５を構成している。

【００６４】前記金属製枠１３を構成するトンネル周方
向の２本の主桁１４は、セグメント厚さ方向に短辺のあ
る略矩形断面形状の帯板からなる。また、主桁１４にお
いて、前記帯板の隣接セグメントとトンネル軸方向に相
対する面は、図７（Ａ）では、トンネル半径方向のズレ
防ぐ凸状部あるいは凹状部２１ａが形成されたリング継
手２１となる。図７（Ｂ）では係合突起あるいはこれが
嵌合する係合凹部（２１ｂ）が形成された突合せのリン
グ継手２１となる。

【００６５】薄肉亀甲型セグメント７は、周方向端部に
おいて２対の辺からなる継手桁１５を介して、隣接セグ
メントと接合される。この継手桁１５は、主桁１４と同
様セグメント厚さ方向に短辺のある略矩形断面形状の帯
板からなり、その連結手段としては、図７（Ａ）、
（Ｂ）に示すように、凹凸状部１６ａからなるセグメン
ト継手部１６の突合せ接合とする。

【００６６】また、図７（Ａ）において、金属製面材１
８は、フラットな鋼板で構成されている。図７（Ｂ）に
おいては、金属製面材１８は、デッキプレートで構成さ
れており、面板本体の内側に幅方向（トンネル軸方向）
に延びる断面T字形折曲げ部の補強鋼板１９が所定間隔
で複数形成されている。

【００６７】図８（Ａ）、（Ｂ）を参照して更に説明す
ると、各図では、金属製面材１８の両端が面板本体の内
側面に溶接で固着されている。主桁１４の一側面におい
ては、金属製面材１８の厚み分だけ凹ました載置段部２
５が形成されていて、そこに金属製面材１８のトンネル
軸方向両端部を載置し、溶接で固着している。主桁１４
の凹凸状部からなるリング継手構造は、図７（Ａ）と同
じである。

【００６８】本発明では、薄肉亀甲型セグメント７は、
所定の強度を備え、かつ所定の厚さ（例えば、３０mmの
厚さ）以内に収めることが最優先の課題である。この視
点から、図示例では、主桁１４と継手桁１５（金属製枠
１３）の厚みを３０mmの厚さとして、これを前記薄肉亀
甲型セグメント７の最大厚とし、金属製面材１８は、前
記金属製枠１３の厚みからはみ出さない配置とされる。
このため、主桁１４と継手桁１５の上面には、金属製面
材１８の厚み分だけ（または、後述するように、厚み分
以上）凹ました載置段部２５が形成されている。

【００６９】薄肉亀甲型セグメント７にあっては、金属
製面材１８に必要な強度を付与するため、図８（Ａ）に
示すように当該金属製面材１８を厚鋼板製とし、あるい
は図７（Ｂ）、図８（Ｂ）に示すように補強鋼板１９を
設けることがある。補強鋼板１９を金属製面材１８の内
側に設ける場合は、図８（Ｂ）に示すように当該補強鋼
板１９は金属製面材１８の内側において、主桁１４の厚
さによって形成される内部空間に配置されるから、補強
鋼板１９は、主桁１４の厚さ部の外にはみ出すことがな
い。

【００７０】図８（Ａ）、（Ｂ）において、前記薄肉亀
甲型セグメント７が組まれた後に、セグメント背面と既
設トンネルのコンクリート６の覆工内面との隙間にグラ
ウト材２２が充填される。

【００７１】図９（Ａ）、（Ｂ）は、金属製面材１８と
主桁１４との結合構造の他の例を示す。各図示例では、
金属製面材１８の載置段部２５の高さを、主桁１４の厚
み部分の下部近くまで下げる。それにより、金属製面材
１８の上部には、主桁１４（および継手桁１５も同じ）
の厚み部分を有効に利用して、深い凹み部２７が形成さ
れる。

【００７２】図９（Ａ）、（Ｂ）では、深い凹み部２７
により比較的広いグラウト充填空間が形成されるので、
グラウトの充填が容易でグラウト注入圧を低く押えるこ
とができ、グラウト注入圧による保護構造の変形を低減
できる。この金属製面材１８は、その端縁をトンネル内
空側に落として、載置段部２５に乗せ掛けるだけでグラ
ウト材により押えられるので、止水性能のみを発揮する
簡易な溶接あるいは接着で固定する程度でよい。

【００７３】また、図９（Ｂ）では、背面側に比較的背
の高い突起あるいは、補剛板２８が設けられていて、こ
の補剛板２８で金属製面材１８の剛性および強度が向上
されるが、この場合でも、比較的背の高い補剛板２８
は、深い凹み部２７に位置しているから、主桁１４の厚
み部の外に出張ることがない。また、補剛板２８の背が
高い分、グラウト材２２と金属製面材１８の一体性が向
上することにより、当該金属製面材１８の剛性および強
度が一層向上する。また、図９（Ａ）では、金属製面材
１８は、図８（Ａ）と同様、厚鋼板で構成することで、
強度が向上されている。

【００７４】図１０（Ａ）、（Ｂ）は、主桁１４に設け
られるリング継手２１の凹凸嵌合継手部における止水構
造例を示す。図１０（Ａ）では、凹状部２４の底部に水
膨潤性止水材２９が配置されており、凸状部２３を凹状
部２４に嵌合したとき、水膨潤性止水材２９は凹状部圧
されて弾性変形し、凹凸嵌合継手部内の金属面に密着す
ることで止水がなされている。更に水が浸入すると、水
膨潤性止水材２９が水を吸収して膨張することで、凹凸
嵌合継手部の止水性能が向上する。

【００７５】図１０（Ｃ）、（Ｄ）では、凸状部２３の
根元部に膨潤性止水材２９が配置されている。この例で
も、凸状部２３を凹状部２４に嵌合したとき、水膨潤性
止水材２９は凹状部圧されて弾性変形し、凹凸嵌合継手
部内の金属面に密着することで止水がなされている。更
に水が浸入すると、水膨潤性止水材２９が水を吸収して
膨張することで、凹凸嵌合継手部の止水性能が向上す
る。

【００７６】図１１、図１２は、請求項２に対応する薄
肉亀甲型セグメント７を示し、図１１には、この薄肉亀
甲型セグメント７が、図２と同様に、トンネル覆工上半
部に渡り、略円弧状に配置した例が示されている。この
例では、金属製枠１３を含むトンネル周方向のセグメン
ト端部の２対の片である継手桁１５は、トンネル周方向
に対し３０度乃至６０度の角度を成す直線である。ま
た、金属製面材１８は、一方のトンネル周方向のセグメ
ント端部の２辺を含む平面（平面区間ハで示す）と、他
方のトンネル周方向のセグメント端部の２辺を含む平面
と周方向に平行な２辺（主桁１４）を含む曲線（曲面区
間ニで示す）とで形成される。金属製面材１８の背面に
は、図１６（後述する）に示すものと同じ、リブ３６が
設けられている。

【００７７】図１３は、請求項４に対応する薄肉亀甲型
セグメント７を示し、前記金属製枠を構成するトンネル
周方向の２本の主桁１４の間において、当該主桁１４の
配置面と同一横断面内にトンネル周方向の中主桁１４ａ
が配設され、端部が継手桁１５に結合されている。その
他の構成は、図７（Ａ）に示す薄肉亀甲型セグメント７
と同じである。

【００７８】図１４は、請求項５に対応し、薄肉亀甲型
セグメント７の面材が金属製面材１８と面板用コンクリ
ート２６からなる合成面材として構成され、この金属製
面材１８がその背面にトンネル軸方向に所要の間隔で設
けられ、トンネル周方向に連続した小突起３５を具備し
た突起付き鋼板よりなる例が示されている。この小突起
３５により、金属製面材１８と面材用コンクリート２６
のトンネル軸方向の一体性が確保され、面材のトンネル
軸方向（主桁間）の面外曲げに対し、剛性および強度が
向上する。また、この面材が周方向の圧縮軸力に対して
も抵抗してくれるので、主桁１４の応力度を低減でき
る。

【００７９】図１５には、図１４の合成構造面材を有す
る薄肉亀甲型セグメント７を組立ててトンネル覆工内面
を補強し、既設のコンクリート６と薄肉亀甲型セグメン
ト７の間隙にグラウト材２２を充填した例が示されてい
る。

【００８０】図１６には、図１４、図１５の例と反対
に、金属製面材１８の背面にトンネル周方向に所要の間
隔で設けられ、トンネル軸方向に連続したリブ３６を具
備したリブ付き鋼板で構成された例が示されている。図
１６において、面材が金属製面材１８と面板用コンクリ
ート２６からなる合成面材として構成されている点は、
図１４、図１５と同じである。リブ３６により、金属製
面材１８と面材用コンクリート２６のトンネル軸方向の
一体性が確保され、面材のトンネル軸方向（主桁間）の
面外曲げに対し、剛性および強度が向上するのみなら
ず、トンネル周方向の圧縮軸力および面外曲げに対して
も剛性および強度が向上する。

【００８１】図１７は、請求項６に対応する。前述の各
実施形態における、薄肉亀甲型セグメント７では、金属
製枠１３と面材とは、帯板と薄鋼板との厚さの異なる２
部材の組合わせで構成しているのに対し、図１７の例で
は、金属製枠１３と面材の両部材の機能を、比較的薄手
で金属製の厚板１３ａの一部材でなさしめている。この
金属製枠１３と面材の両機能を兼ねる厚板１３ａの周囲
には、縁金物としてリング継手４３とセグメント継手４
４を備えている。

【００８２】図１８は、同じく請求項６に対応し、薄肉
亀甲型セグメント７は、図１７の厚板１３ａに代えて、
金属製枠１３と面材の両部材の機能をなす、金属製の格
子板の面材１３ｂで構成された例が示されている。この
例においても、格子板の面材１３ｂの周囲には、縁金物
としてリング継手４３とセグメント継手４４を備えてい
る。

【００８３】図１９（Ａ）、（Ｂ）は、図１７、図１８
の薄肉亀甲型セグメント７における、厚板１３ａと面材
１３ｂにそれぞれ設けられるリング継手４３とセグメン
ト継手４４の凹凸嵌合の継手構造例を示す。（なお、リ
ング継手４３とセグメント継手４４は同一構造なので、
図では、リング継手４３の例として説明する）

【００８４】図１９（Ａ）では、嵌合用の凸状部４５ま
たは凹状部４６を有するリング継手４３には、前記各凸
状部４５と凹状部４６の反対側に嵌合固着凹部４７が形
成されており、この嵌合固着凹部４７を厚板１３ａの端
縁に嵌着し、両端部を隅肉溶接４８で固着している。

【００８５】図１９（Ｂ）では、嵌合用の凸状部４５と
凹状部４６を有するリング継手４３には、前記各凸状部
４５と凹状部４６の背面側に突合せ平面４９が形成され
ており、この突合せ平面２９に格子板の面材１３ｂの端
面を突合せ、両端部を隅肉溶接２９で固着している。

【００８６】図２０は、請求項７、８に対応する薄肉亀
甲型セグメント７を示す。この例では薄肉亀甲型セグメ
ント７が、あたかも図１７と、図１２に示すものを組合
わせた如くに構成されている。すなわち、この薄肉亀甲
型セグメント７が、金属製枠１３と面材を兼ねる厚板１
３ａと、その縁金具として、リング継手４３とセグメン
ト継手４４で構成される点では、図１７の例と同じであ
り、また、一方のトンネル周方向のセグメント端部の２
辺を含む平面（平面区間ハで示す）と、他方のトンネル
周方向のセグメント端部の２辺を含む平面と周方向に平
行な２辺（主桁１４）を含む曲線（曲面区間ニで示す）
とで形成される点では、図１２の例と同じである。

【００８７】図２１には、請求項９に対応する実施形態
として、薄肉亀甲型セグメント７をトンネル内面形状に
曲げ加工する際、雌金型１７ａと雄金型１７ｂを用いて
セグメントに継手縁部材を取付けた１枚（符号７ｂで示
す）を冷間プレスにより曲げ加工する例を示している。
なお、前記の他に、複数枚の平板形状のセグメントを平
らに組立てた後、まとめて曲げ加工を行ってもよい。ま
た、冷間での３点ロール曲げにより曲げ加工してもよ
い。

【００８８】図２２には、請求項１０に対応する実施形
態として、薄肉亀甲型セグメント７の相対する主桁１４
間のリング継手２１において、一方の主桁１４の背面の
複数箇所に、トンネル周方向に所要の幅のある金属製薄
板３８が固着された例が示されている。この金属製薄板
３８は、他方の主桁１４の接合面と相対する主桁端面ま
で、主桁背面に沿ってトンネル軸方向に突出し、その先
端には、相対する主桁１４の端面と接触してリング継手
２１のトンネル軸方向への離脱を防ぐようにフック３７
が形成されている、

【００８９】したがって、図２２の継手構造によると、
リング間の薄肉亀甲型セグメント７の相対する主桁１４
のリング継手２１の凸状部または凹状部２１ａを嵌合さ
せて、トンネル軸方向にスライドして差込み嵌合するこ
とにより、フック３７が相対する主桁１４の端面と係合
しするので、相対するリング継手２１の接合面にトンネ
ル軸方向へ引離し応力が掛かっても、その接合面は離間
しない。

【００９０】図２３、図２４には、請求項１１に対応す
る実施形態として、図２２の変形例を示し、薄肉セグメ
ント７の相対する主桁１４間のリング継手２１におい
て、一方の主桁１４の背面の複数箇所に固着された、ト
ンネル周方向に所要の幅のある金属製薄板３８が、他方
の主桁１４の背面側に係合用に設けた凹部４８まで、主
桁１４の背面に沿ってトンネル軸方向に突出し、当該金
属製薄板３８の先端には、前記凹部４９と接触してリン
グ継手２１のトンネル軸方向への離脱を防ぐようにフッ
ク３７が形成された例が示されている。

【００９１】図２３、図２４において、リング継手２１
には、相対する当該リング継手２１を接続する際のガイ
ドとなるガイド突起４９ａ、４９ｂが対向して設けられ
ており、また、一方のガイド突起４９ｂの側部には、ガ
イド凹部５０が設けられていて、ガイド凹部５０の底に
は、水膨潤性止水材２９が装着されている。

【００９２】したがって、図２３、図２４の構成による
と、リング継手２１を接続するとき、対向するガイド突
起４９ａ、４９ｂを相互に滑らすことで、安定したリン
グ接続作業を行える。なお、一方のガイド突起４９ａが
ガイド凹部５０に嵌合することで、薄肉セグメント７の
相対する主桁１４間のリング継手２１において、トンネ
ル半径方向のずれを防ぐことができる。

【００９３】図２５、図２６は、リング継手２１のトン
ネル軸方向への離脱を防ぐようにするための、更に他の
実施形態を示す。この例では、薄肉セグメント７の相対
する主桁１４間のリング継手２１において、トンネル半
径方向のずれを防ぐ凸状部５１および凹状部５２が形成
されている。また、金属製枠１３を構成するトンネル周
方向の２本の主桁１４において、先端に突没自在な係合
突起５３を設けた金属製薄板５４が、凹状部４６が形成
された側の主桁１４ｂのトンネル背面側に配置され、複
数箇所がネジ５５で固着されている。また、主桁１４ｂ
の凹状部５２を形成する２つの両突出部の一方の複数箇
所に、前記係合突起５３が係合する貫通孔５７が設けら
れている。また、隣接するセグメントの凸状部５１を有
する主桁１４ｃの当該凸状部５１には、前記係合突起５
３が係合するための窪み５６が設けられている。凹状部
５２の底には、水膨潤性止水材２９が装着されている。

【００９４】従って、図２５、２６に示す継手構造によ
ると、リング間の薄肉セグメント７の主桁１４ｂの凹状
部５２を相対する主桁１４ｃの凸状部５１に嵌合させ
て、トンネル軸方向にスライドして差し込み嵌合するこ
とにより、係合突起５３が相対する主桁１４ｃの凸状部
５１に設けられた窪み５６と係合するので、相対するリ
ング継手２１の接合面にトンネル軸方向へ引き離し応力
が掛かっても、その接合面は離間しない。

【００９５】また、本実施形態のように係合突起５３に
は、当該係合突起５３の相対する主桁１４ｃ側に向かっ
て斜めに傾斜を設けることにより、凸状部５１の凹状部
５２への挿入に伴い当該係合突起５３がセグメント背面
側に押し出され、金属製薄板５１がバネとして機能する
ため、嵌合終了時には係合突起５３と凸状部５１に設け
られた窪み５６（あるいは貫通孔でもよいが図示せず）
にスムーズに係合されるので、スムーズに薄肉セグメン
ト７同士を接合することができる。

【００９６】図２７、図２８には、請求項１２に対応す
る実施形態として、薄肉亀甲型セグメント７の背面側主
桁１４の背面全体に袋体３９を配置し、この袋体３９内
にグラウト材２２を充填・固化した例が、平面図と断面
図で示されている。袋体３９は柔軟性があって、注入し
たグラウト材２２が袋体３９内部に円滑に充填され、ま
わりの隙間を埋めるものがよく、合繊シート、テント生
地を縫製したもの等がある。各図において、図２８が図
２７の中央部縦断面図である。また、各図において、薄
肉亀甲型セグメント７には、覆工内面側から薄肉亀甲型
セグメント７の背面側に湧き出す地下水を排水するた
め、多数の通水小孔があるドレンパイプ４０が設けられ
ている。

【００９７】図示の例では、薄肉亀甲型セグメント７の
背面側の全面に、グラウト材２２を充填した袋体３９
（これを面状袋体という）が配置されているので、覆工
内面と薄肉亀甲型セグメント７には、排水用の空隙部が
存在しない。そのためトンネル周方向に延びる複数本の
ドレンパイプ４０は、面状袋体３９の背面にめり込むよ
うに所定間隔で配設される。また、この例では、薄肉亀
甲型セグメント７で覆工内面を補強したとき、複数の薄
肉亀甲型セグメント７のそれぞれのドレンパイプ４０が
接続して、両端部がトンネル両側の下部方向に連続した
排水路が形成される。

【００９８】この例にあっては、薄肉亀甲型セグメント
７の背面側の地下水は、ドレンパイプ４０で形成された
排水路を通ってトンネル内両側下部に円滑に導かれ、薄
肉亀甲型セグメント７の背面側に水圧が掛からない。排
水路の端部には配管を接続するとよい。（但し、図示省
略）

【００９９】なお、前記の薄肉亀甲型セグメント７にお
いて、グラウト注入パイプ４２が金属製面材１８の中央
部を貫通して、内空側に突出しており、これらのグラウ
ト注入パイプ４２を通して、面状袋体３９にグラウト材
２２を注入する。

【０１００】また、前記の説明では、本発明を主として
既設の鉄道トンネル内面の保護構造に適用した例を説明
したが、道路トンネル等にも同様に適用できる。道路ト
ンネルに適用する場合は、迂回路があれば、トンネル内
の通行を閉鎖して施工容易となるが、片側通行可として
施工する場合は、施工用の仮設材や装置を工夫する必要
がある。

【０１０１】

【発明の効果】本発明によると、以下の効果がある。 （１）本発明に係る保護構造は、アーチ形状に組立てた
薄肉セグメントを背面の充填グラウト材で覆工内面に密
着させて変形を拘束するようにし、下端部は固定手段で
既設トンネルのコンクリートに固定して支持しているた
め、前記セグメント薄肉化を可能とし、完成後の保護構
造体の内面はトンネル内建築限界内に収めることができ
る。

【０１０２】（２）少なくともセグメント継手は、ボル
トを使用しない嵌合継手を用いて接合強度を確保すると
ともに、差込接合手段によって容易に装着可能とし、か
つ工事中や完成後に落下するようなボルト等の部材の使
用を極力避けているため、安全性を確保でき、しかも迅
速施工ができる。

【０１０３】（３）セグメント背面に充填されたグラウ
ト材は柔軟性があり、所定範囲内で変形自在な袋体を型
枠材として用いることにより、施工時にグラウト材注入
用のシール材の必要がなく、しかも、グラウト漏れのト
ラブルを回避でき、迅速施工ができる。

【０１０４】（４）また、グラウト材注入時の袋体の利
用により、セグメント背面と覆工内面との間に排水路を
形成することが容易になり、覆工コンクリートからの漏
水によるセグメントへの過大な水圧の作用を防止するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】（Ａ）は、既設トンネル覆工内面の保護構造の
第１例の概要断面図、（Ｂ）は、（Ａ）の側面図、
（Ｃ）は、同図（Ｂ）おける薄肉亀甲型セグメントの組
立て概要側面図である。

【図２】（Ａ）は、既設トンネル覆工内面の保護構造の
第２例の概要断面図、（Ｂ）は、（Ａ）の側面図、
（Ｃ）は、同図（Ｂ）おける薄肉亀甲型セグメントの組
立て概要側面図である。

【図３】（Ａ）は、薄肉セグメントを覆工上半部に施工
する場合における、既設トンネル覆工内面の保護構造の
第１例の概要断面図、（Ｂ）は、図（Ａ）セグメント最
下端部の固定構造を示す部分拡大図である。

【図４】図３（Ａ）の側面拡大図である。

【図５】（Ａ）は、薄肉セグメントを覆工上半部に施工
する場合における、既設トンネル覆工内面の保護構造の
第２例の概要断面図、（Ｂ）は、図（Ａ）セグメント最
下端部の固定構造を示す部分拡大図である。

【図６】図５（Ａ）の側面拡大図である。

【図７】（Ａ）、（Ｂ）は、本発明の主構成要素であ
る、薄肉亀甲型セグメントの第１、第２例を示す斜視図
である。

【図８】（Ａ）、（Ｂ）は、本発明の２つの実施形態を
示し、それぞれ薄肉セグメントで覆工内面を補強した後
のトンネル縦断面図である。

【図９】（Ａ）、（Ｂ）は、本発明の更に他の２つの実
施形態を示し、それぞれ薄肉セグメントで覆工内面を補
強した後のトンネル縦断面図である。

【図１０】（Ａ）、（Ｂ）と（Ｃ）、（Ｄ）は、リング
継手の凹凸嵌合継手部における止水構造の２例を示す、
嵌合前と嵌合後の断面説明図である。

【図１１】（Ａ）は図１０の薄肉亀甲型セグメントで、
既設トンネル覆工内面の保護構造とした例の概要断面
図、（Ｂ）は、（Ａ）の部分拡大図、（Ｃ）は、同図
（Ａ）の拡大側面図である。

【図１２】（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、薄肉亀甲型セグ
メントにおいて、トンネル周方向に曲面区間と平面区間
を形成した例の平面図、長手方向縦断面図、幅方向縦断
面図である。

【図１３】本発明の主構成要素である、薄肉亀甲型セグ
メントの第３例を示す斜視図である。

【図１４】（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、面材が突起付き
鋼板とコンクリートよりなる薄肉亀甲型セグメントの平
面図、長手方向縦断面図、幅方向縦断面図である。

【図１５】（Ａ）は、図１４の合成構造面材を有する薄
肉亀甲型セグメントを組立ててトンネル覆工内面を補強
した図で、同図（Ｂ）のイ−イ拡大断面図、同図（Ｂ）
は、組立てた薄肉セグメントの平面図である。

【図１６】（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、面材がトンネル
軸方向リブを有する金属製面板とコンクリートよりなる
薄肉亀甲型セグメントの平面図、長手方向縦断面図、幅
方向縦断面図である。

【図１７】（Ａ）、（Ｂ）は、本発明の更に他の実施形
態を示し、薄肉亀甲型セグメントの平面図と断面図であ
る。

【図１８】（Ａ）、（Ｂ）は、本発明の更に他の実施形
態を示し、薄肉亀甲型セグメントの平面図と断面図であ
る。

【図１９】（Ａ）、（Ｂ）は、図１７、図１８の薄肉亀
甲型セグメントにおけるリング継手の凹凸嵌合継手構造
例を示す拡大断面図である。

【図２０】（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、薄肉亀甲型セグ
メントにおいて、トンネル周方向に曲面区間と平面区間
を形成した例の平面図、長手方向縦断面図、幅方向縦断
面図である。

【図２１】薄肉亀甲型セグメントをトンネル周方向と相
似の曲率に金型で曲げ加工する態様を示す説明図であ
る。

【図２２】（Ａ）は、リング間の離間防止部材を有する
リング継手を具備した薄肉セグメントを組立ててトンネ
ル覆工内面を補強した図で、同図（Ｂ）のロ−ロ拡大断
面図、同図（Ｂ）は、組立てた薄肉セグメントの平面図
である。

【図２３】（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、リング間の離間
防止部材を有するリング継手の他例の係合工程図であ
る。

【図２４】図２３のリング間の離間防止部材を有するリ
ング継手で組立てた薄肉セグメントの平面図である。

【図２５】（Ａ）、（Ｂ）、（Ｃ）は、リング間の離間
防止部材を有するリング継手のさらに他例の係合工程図
である。

【図２６】図２５のリング間の離間防止部材を有するリ
ング継手で組立てた薄肉セグメントの平面図である。

【図２７】（Ａ）、（Ｂ）は、セグメント背面にグラウ
ト材充填用袋体を有した薄肉亀甲型セグメント例を示す
平面図である。

【図２８】図２７の中央部縦断面図である

【符号の説明】

１ 既設のトンネル ２ 床版部 ３ 枕木 ４ 鉄道レール ５ 地山 ６ コンクリート ７ 薄肉セグメント ７ａ 保護面材 ８ 梁材 １０ 支持ブラケット １１ 連結ボルト １２ アンカーボルト １３ 金属製枠材 １３ａ 厚板 １３ｂ 格子板の面材 １４ 主桁 １４ａ 中主桁 １５ 継手桁 １６ セグメント継手 １７ａ 雌金型 １７ｂ 雄金型 １８ 金属製面材 １９ 帯状補剛鋼板 ２０ 突合せ平面 ２１ リング継手 ２２ グラウト材 ２５ 嵌合固着凹部 ２６ 面板用コンクリート ２７ 凹み部 ２８ 補強板 ２９ 隅肉溶接 ３０ 挟持板 ３１ 挟持ばね板 ３２ 脚部材 ３５ 小突起 ３６ リブ ３７ フック ３８ 金属製薄板 ３９ 袋体 ４０ ドレンパイプ ４２ グラウト注入パイプ ４３ リング継手 ４４ セグメント継手 ４５ 凹状部 ４６ 凸状部 ４７ 嵌合固着凹部 ４８ 凹部 ４９ ガイド突起 ５０ ガイド凹部 ５１ 凹状部 ５２ 凸状部 ５３ 係合突起 ５４ 金属薄板 ５５ ネジ ５６ 窪み ５７ 貫通孔

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 広沢 規行 富津市新富20−１ 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 (72)発明者 中沢 好夫 東京都千代田区大手町２−６−３ 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 郡司 盛 東京都千代田区大手町２−６−３ 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 羽上田 裕章 東京都千代田区大手町２−６−３ 新日本 製鐵株式会社内 (72)発明者 松本 嘉司 東京都練馬区大泉学園町５丁目29番25号 Ｆターム(参考） 2D055 KB03 LA17

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 既設トンネルの覆工内面に沿って保護面
   材を設置する既設トンネル覆工内面の保護構造におい
   て、 前記保護面材は、トンネル周方向および軸方向に分割製
   作された覆工内面形状と略相似形でトンネル半径方向の
   投影が３対の辺が平行な６角形のセグメントで構成さ
   れ、 前記セグメントは、１対の辺はトンネル周方向に平行
   で、２対の辺はトンネル周方向のセグメント端部にトン
   ネル周方向に対し３０度乃至６０度の角度を成すように
   形成され、 前記セグメントは、隣接セグメントとトンネル周方向端
   部の４辺に設けたセグメント継手およびトンネル軸方向
   端部の２辺に設けたリング継手で接合され、 前記保護面材は、前記セグメントを覆工内面に隙間を形
   成して組立て設置されており、 前記セグメントは、セグメント厚さ方向に短辺のある略
   矩形断面形状の帯板からなる６辺の金属製枠と当該金属
   製枠内を覆うようにトンネル軸方向に掛け渡す金属製枠
   厚さ以下の金属製面板あるいは、金属製面板と面板用コ
   ンクリートとの合成構造の面材とからなり、 前記金属製枠を構成するトンネル周方向セグメント端部
   の４本の継手桁は、隣接セグメントと相対する面は互い
   に噛み合うようにトンネル半径方向のズレを防ぐ凸状部
   あるいは凹状部が形成されたリング継手となり、 また、最下段のセグメントは固定手段で既設トンネルの
   コンクリートに固定され、少なくともリング継手部近傍
   の各セグメント背面と覆工内面の隙間には周方向に渡っ
   てグラウト材が充填され、各セグメントが覆工内面に密
   着されている、 薄肉亀甲型セグメントを用いたトンネル覆工内面の保護
   構造。
2. 【請求項２】 前記金属製枠を含むトンネル周方向のセ
   グメント端部の２対の片は、トンネル周方向に対し３０
   度乃至６０度の角度を成す直線であり、 前記面材は、一方のトンネル周方向のセグメント端部の
   ２辺を含む平面と、他方のトンネル周方向のセグメント
   端部の２辺を含む平面と周方向に平行な２辺を含む曲線
   とで形成される、ことを特徴とする請求項１に記載の薄
   肉亀甲型セグメントを用いたトンネル覆工内面の保護構
   造。
3. 【請求項３】 前記金属製枠を構成するトンネル周方向
   の２本の主桁の略矩形断面形状の帯板は、隣接セグメン
   トとトンネル軸方向に相対する面が互いに噛合うように
   トンネル半径方向のズレを防ぐ凸状部あるいは凹状部が
   形成されたリング継手となる、ことを特徴とする請求項
   １または請求項２に記載の薄肉亀甲型セグメントを用い
   たトンネル覆工内面の保護構造。
4. 【請求項４】 前記金属製枠を構成するトンネル周方向
   の２本の主桁の間において、当該主桁の配置面と同一横
   断面内にトンネル周方向の中主桁が所定本数配設され、
   端部が継手桁に結合されている、ことを特徴とする請求
   項１乃至請求項３のいずれかに記載の薄肉亀甲型セグメ
   ントを用いたトンネル覆工内面の保護構造。
5. 【請求項５】 前記面材はトンネル内空側の金属製面板
   または、当該金属製面板とその背面側に打設された面板
   用コンクリートにより構成され、 前記金属製面板の背面側には突起あるいは補剛板が固着
   されている、ことを特徴とする請求項１乃至請求項３の
   いずれかに記載の薄肉亀甲型セグメントを用いたトンネ
   ル覆工内面の保護構造。
6. 【請求項６】 既設トンネルの覆工内面に沿って保護面
   材を設置する既設トンネル覆工内面の保護構造におい
   て、 前記保護面材は、トンネル周方向および軸方向に分割製
   作された覆工内面形状と略相似形でトンネル半径方向の
   投影が３対の辺が平行な６角形のセグメントで構成さ
   れ、 前記セグメントは、１対の辺はトンネル周方向に平行
   で、２対の辺はトンネル周方向のセグメント端部にトン
   ネル周方向に対し３０度乃至６０度の角度を成すように
   形成され、 前記セグメントは、隣接セグメントとトンネル周方向端
   部の４辺に設けたセグメント継手およびトンネル軸方向
   端部の２辺に設けたリング継手で接合され、 前記保護面材は、前記セグメントを覆工内面に隙間を形
   成して組立て設置されており、 前記セグメントは、周囲に継手を備えた比較的薄手で金
   属製の厚板あるいは格子板の面材からなり、 前記セグメントのトンネル周方向セグメント端部の４辺
   の継手は、隣接セグメントと相対する面が互いに噛み合
   うようにトンネル半径方向のズレ防ぐ凸状部あるいは凹
   状部が形成されたセグメント継手となり、 また、トンネル周方向最下段のセグメントは固定手段で
   既設トンネルのコンクリートに固定され、少なくともリ
   ング継手部近傍の各セグメント背面と覆工内面の隙間に
   は周方向に渡ってグラウト材が充填され、各セグメント
   が覆工内面に密着されている、 薄肉亀甲型セグメントを用いたトンネル覆工内面の保護
   構造。
7. 【請求項７】 前記トンネル周方向のセグメント端部の
   ２対の辺は、トンネル周方向に対し３０度乃至６０度の
   角度を成す直線であり、 前記面材は、一方のトンネル周方向のセグメント端部の
   ２辺を含む平面と、他方のトンネル周方向のセグメント
   端部の２辺を含む平面と周方向に平行な２辺を含む曲面
   とで形成される、ことを特徴とする請求項６に記載の薄
   肉亀甲型セグメントを用いたトンネル覆工内面の保護構
   造。
8. 【請求項８】 前記各セグメントは、嵌合継手を形成し
   た縁部材を面材の端部に固着している、ことを特徴とす
   る請求項６または請求項７に記載の薄肉亀甲型セグメン
   トを用いたトンネル覆工内面の保護構造。
9. 【請求項９】 前記セグメントをトンネル内面形状に曲
   げ加工する際、セグメントに継手縁部材を取付けた１枚
   を曲げるか、または複数枚の平板形状のセグメントを平
   らに組み立てた後まとめて曲げ加工を行う、ことを特徴
   とする請求項６乃至請求項８のいずれかに記載の薄肉亀
   甲型セグメントを用いたトンネル覆工内面の保護構造。
10. 【請求項１０】 前記リング継手の相対する主桁間にお
    いて、一方の主桁の背面の複数箇所にトンネル周方向の
    所要幅の金属製薄板が固着され、 当該金属製薄板は他方の主桁の接合面と相対する主桁端
    面まで、あるいは他方の主桁の背面側に係合用に設けた
    凹部まで主桁背面に沿ってトンネル軸方向に突出し、 当該金属製薄板の先端には、前記主桁端面あるいは前記
    凹部と接触してリング継手のトンネル軸方向への離脱を
    防ぐようにフックが形成されている、ことを特徴とする
    請求項１乃至請求項８のいずれかに記載の薄肉亀甲型セ
    グメントを用いたトンネル覆工内面の保護構造。
11. 【請求項１１】トンネル半径方向のずれを防ぐ凸状部お
    よび凹状部が形成されたリング継手を有する、前記金属
    製枠を構成するトンネル周方向の２本の主桁において、
    先端に突没自在な係合突起を設けた金属製薄板が、凹状
    部が形成された主桁のトンネル背面側の複数箇所に固着
    されており、凹状部が形成された側の主桁の当該凹状部
    を形成する２つの両突出部のうち、セグメント背面側の
    突出部の複数箇所に貫通孔が設けられ、当該貫通孔には
    前記係合突起が設置されており、隣接するセグメントの
    凸状部を有する側の主桁の当該凸状部には、前記係合突
    起が係合するための貫通孔または窪みが設けられてい
    る、ことを特徴とする請求項１乃至請求項８のいずれか
    に記載の薄肉亀甲型セグメントを用いたトンネル覆工内
    面の保護構造。
12. 【請求項１２】 前記セグメント背面と覆工内面の隙間
    のうち少なくとも前記主桁近傍には筒状袋体を使用した
    グラウト材が充填・固着されている、ことを特徴とする
    請求項１乃至請求項８のいずれかに記載の薄肉亀甲型セ
    グメントを用いたトンネル覆工内面の保護構造。