JP2001223100A - 加速管位置調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 据付精度の向上を図れる加速管位置調整装置
を提供する。 【解決手段】 一列に配置した複数の加速管１のそれぞ
れの両端部に設けられ且つ加速管１を架台２に支持する
微小変位手段３と、加速管１の縦列方向に延び且つ上方
が開口した媒体槽５と、媒体槽５に貯留した液体６と、
加速管１縦列方向に延び且つ液体６に浸漬されるように
媒体槽５内に張設した基準線材８ａ，８ｂと、各加速管
１の両端近傍部分に固着され且つ先端部が液体６に浸漬
される同形状のアーム９と、アーム９の先端部に装着さ
れ且つ基準線材８ａ，８ｂまでの間隙を計測し得る測長
器１０とを備え、基準線材８ａ，８ｂの風、重力などに
よる撓みを液体６で抑制させた状態で、測長器１０によ
り基準線材８ａ，８ｂに対するアーム９の先端部の間隔
を計測する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、加速管位置調整装
置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】図２乃至図４は線形加速器の一例であ
り、この線形加速器は、多数の加速管１を備えている。

【０００３】各加速管１は、軸線方向一端寄り部分の内
径が大きく且つ軸線方向他端寄り部分の内径が小さい環
状に形成した銅製のデイスクＤを、拡散接合によって複
数個同軸に並べて固着したものである。

【０００４】この線形加速器では、複数の加速管１を架
台２の上面に、それぞれの加速管１の両端部に設けたＸ
軸―Ｚ軸ステージなどの左右方向及び上下方向へ位置を
微小に調整できる微小変位手段３を介して一列に支持さ
せ、隣接する加速管１の端面をベローズ４によって相互
に接続している。

【０００５】各加速管１の軸線を一致させる際には、た
とえば、水準儀や経緯儀などの光学計測機器を用いて各
加速管１の軸線の見通しを行ない、微小変位手段３を適
宜調整することになる。

【０００６】このような、光学計測機器を用いて軸線の
見通しを行なった場合の加速管１の据付精度は、０．１
ｍｍ程度である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、近年計
画中の長大な線形加速器では、加速管１の据付精度を、
１０μｍ程度にする必要があり、光学計測機器による軸
線の見通しでは、要求される据付精度を確保することが
できない。

【０００８】本発明は上述した実情に鑑みてなしたもの
で、据付精度の向上を図れる加速管位置調整装置を提供
することを目的としている。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の請求項１に記載の加速管位置調整装置で
は、一列に配置した複数の加速管の両端部に設けられ且
つそれぞれの加速管を架台に支持する微小変位手段と、
加速管の縦列方向に延び且つ上方が開口した媒体槽と、
該媒体槽に貯留された液体と、基端部が媒体槽の加速管
縦列方向一端寄り内壁に係止され且つ先端部が媒体槽の
加速管縦列方向他端寄り内壁に張力付与手段を介して係
止された基準線材と、該基準線材が浸漬されるように媒
体槽に貯留した液体と、各加速管の両端近傍部分にそれ
ぞれ固着され且つ先端部が前記媒体槽に貯留されている
液体に浸漬される同形状のアームと、該アームの先端部
に装着され且つ基準線材までの間隙を計測し得る距離検
出手段とを備えている。

【００１０】また、本発明の請求項２に記載の加速管位
置調整装置では、基準線材と液体の比重を略等しく設定
している。

【００１１】本発明の請求項１あるいは請求項２に記載
の加速管位置調整装置のいずれにおいても、基準線材を
液体中に配置して風や重力による基準線材の撓みを抑制
させた状態で、距離検出手段により基準線材に対するア
ームの先端部の間隔を計測し、更に、微小変位手段を適
宜調整して、一列に配置した加速管の軸線の一致を図
る。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図示
例とともに説明する。

【００１３】図１は、本発明の加速管位置調整装置の実
施の形態の一例であり、図中、図２と同一の符号を付し
た部分は同一物を表している。

【００１４】この加速管位置調整装置は、線形加速器に
組み込まれるべき複数の加速管１を架台２に支持する微
小変位手段３と、架台２の側方に設置され且つ上方が開
口した架台２長手方向へ延びる媒体槽５と、基端部が媒
体槽５の加速管縦列方向一端寄り内壁に係止され且つ先
端部が媒体槽５の加速管縦列方向他端寄り内壁にばね部
材７ａ，７ｂを介して係止された互いに平行な基準線材
８ａ，８ｂと、該基準線材８ａ，８ｂが浸漬されるよう
に媒体槽５に貯留した水などの液体６と、先端部が液体
６中で基準線材８ａの直上に且つ基準線材８ｂの側方に
位置するように各加速管１の両端近傍部分にそれぞれ固
着された同形状のアーム９と、アーム９の先端部に装着
され且つ基準線材８ａまでの鉛直方向の間隔及び基準線
材８ｂまでの水平方向の間隔を計測し得る非接触方式の
測長器１０とを備えている。

【００１５】そして上述の基準線材８ａ，８ｂには、液
体６に水を用いた場合、当該水と比重が略等しいナイロ
ンやＡＢＳなどの高分子線材を用いるようにする。

【００１６】これによって、基準線材８ａ，８ｂに作用
する重力の影響を小さくし、ばね部材７ａ，７ｂで、基
準線材８ａ，８ｂをたるみなく媒体槽５の内壁間に張設
できるようにしている。

【００１７】次に、図１に示す加速管位置調整装置の作
用を説明する。

【００１８】基準線材８ａ，８ｂは、媒体槽５に貯留し
てある液体６に浸漬されているため、風などの影響を受
けることがなく、しかも基準線材８ａ，８ｂと液体６の
比重を略等しくすることにより、基準線材８ａ，８ｂは
直線状に媒体槽５の内壁間に張設された状態を保持する
ことができるようになる。

【００１９】各アーム９の先端部に装着されているマイ
クロセンサなどの測長器１０によって、直線状の基準線
材８ａ，８ｂと各測長器１０との間隔を計測しながら、
微小変位手段３を調整して加速管１の端部を鉛直方向、
水平方向に微小に変位させると、測長器１０はアーム９
とともに加速管１の端部と一体的に変位するため、基準
線材８ａ，８ｂと全ての測長器１０との間の間隔を同一
計測値に揃えることができる。

【００２０】従って、基準線材８ａ，８ｂと全ての測長
器１０との間の間隔を同一計測値に揃えると、全ての加
速管１の両端は直線状の基準線材８ａ，８ｂと平行する
ように揃えられ、一列に配置した複数の加速管１の軸線
は、正確に一致することになる。

【００２１】なお、本発明の加速管位置調整装置は上述
した実施の形態のみに限定されるものでなく、たとえ
ば、基準線材及び張力付与手段の数を変更すること、そ
の他、本発明の要旨を逸脱しない範囲において変更を加
え得ることは勿論である。

【００２２】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の加速管位置
調整装置によれば、下記のような種々の優れた効果を奏
し得る。

【００２３】（１）本発明の請求項１あるいは請求項２
に記載の加速管位置調整装置のいずれにおいても、基準
線材を液体に浸漬して風や重力による基準線材の撓みを
抑制させた状態で、距離検出手段により基準線材に対す
る各アームの先端部の間隔を計測するので、加速管の据
付精度を向上させることができる。

【００２４】（２）本発明の請求項２に記載の加速管位
置調整装置においては、基準線材と液体の比重を略等し
くしているので、基準線材に作用する重力の影響がより
小さくなり、加速管の据付精度を更に向上させることが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の加速管位置調整装置の実施の形態の一
例を示す斜視図である。

【図２】線形加速器の一例を示す斜視図である。

【図３】図２における加速管の縦断側面図である。

【図４】図３のＩＶ−ＩＶ矢視図である。

【符号の説明】

１ 加速管 ２ 架台 ３ 微小変位手段 ５ 媒体槽 ６ 液体 ７ａ，７ｂ ばね部材（張力付与手段） ８ａ，８ｂ 基準線材 ９ アーム １０ 測長器（距離検出手段）

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一列に配置した複数の加速管の両端部に
   設けられ且つそれぞれの加速管を架台に支持する微小変
   位手段と、加速管の縦列方向に延び且つ上方が開口した
   媒体槽と、基端部が媒体槽の加速管縦列方向一端寄り内
   壁に係止され且つ先端部が媒体槽の加速管縦列方向他端
   寄り内壁に張力付与手段を介して係止された基準線材
   と、該基準線材が浸漬されるように媒体槽に貯留した液
   体と、各加速管の両端近傍部分にそれぞれ固着され且つ
   先端部が媒体槽に貯留されている液体に浸漬される同形
   状のアームと、該アームの先端部に装着され且つ基準線
   材までの間隙を計測し得る距離検出手段とを備えてなる
   ことを特徴とする加速管位置調整装置。
2. 【請求項２】 基準線材と液体の比重を略等しく設定し
   た請求項１に記載の加速管位置調整装置。