JP2005055340A - 計量装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、水平のとれてない設置場所でも、被計量物の正確な重量計測を行うことができる計量装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 被計量物を載置する上皿10と設置場所に接地する下皿40とを第一、第二コイルバネ51、52などで弾性的に結合し、上皿10が下皿40に対して変位する方向を第一案内棒42と第一リニアブッシュ12との作用により一方向に規定することを特徴とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、被計量物の重量を計測する計量装置に関し、特に、水平を確保できない場所に設置しても、計測精度を損なわない計量装置に関するものである。
従来、被計量物の重量を計量装置で計測する場合、この被計量物を載置する載置面が水平となるように、計量装置の接地面に配置されているアジャスト脚を調整するレベル出しという作業を行う必要があった。これは、重量を検出するセンサは通常、主軸方向のみに入力する荷重に対して正確な計測を行うよう設計されているためである。すなわち、水平がとれていない場所に計量装置を設置して計量を行うとセンサが荷重を正確に検出できる主軸方向と被計量物の荷重が作用する鉛直方向とがずれることになる。この為、主軸方向以外に発生する分力がセンサに作用することとなり、重量を検出するセンサが正常に作動するための前提が崩れてしまい、被計量物の計測精度が低下することになる。(例えば、非特許文献1参照)
日本工業規格 JISB7602 電気式ロードセル性能試験方法 5.1.1ロードセルの設置条件
しかし、アジャスト脚の調整による、レベル出しの作業は、水平基準器等を参照しながら行う作業である為、手間のかかる作業であった。また、計量装置が飲料自動販売機等の他の動作機器に組み込まれて使用される場合、この動作機器の内部設計の制約上かかるレベル出しを行えない場合がある。また、この動作機器本体のアジャスト脚の調整により計量装置のレベル出しをしようとしても動作機器の設置状況によっては、かかる作業に差し障りがあるという問題があった。
本発明は、以上の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、水平のとれてない設置場所でも、正確な重量の計測を行うことができる計量装置を提供することを課題とするものである。
本発明は、前記した目的を達成するために創案されたものであり、まず請求項1に記載の計量装置は、被計量物を載置する上皿と、弾性体を介して前記上皿を弾性的に支持する下皿とを有し、前記弾性体の変形量に基づいて前記被計量物の重量を計測する計量装置であって、前記上皿において前記被計量物が載置される載置面に直交するように、前記上皿または前記下皿のどちらか一方に固定された案内棒と、前記下皿または前記上皿の他方に設けられ、中空の内側面に有する転動体を介して前記案内棒をその長手方向に案内する直動案内支持体とを備え、前記直動案内支持体は、前記転動体が前記直動案内支持体と前記案内棒とに密接し、前記案内棒がその径方向に振れることなく案内されるように構成されたことを特徴とした。
かかる構成によれば、被計量物から弾性体(重量を検出するセンサの要部)に作用する荷重は、計量装置の設置が載置面の水平が取れた状態であるか否かにかかわらず、常時一定の方向から入力されることとなる。すなわち、案内棒が、被計量物の重力か作用する鉛直方向とずれた場合であっても、案内棒の長手方向以外に生じた分力は、直動案内支持体の内側面からの反力により打ち消される為、弾性体に直接作用しないからである。
また、案内棒は、直動案内支持体の中空の内側面に配置された転動体の作用により、軸ぶれなく長手方向に摩擦抵抗なく支持されているため、載置面が水平面となす角度(θ)の余弦(cosθ)に被計量物の重量を乗した値の荷重が弾性体に正確に伝達することとなる。
また、請求項2に記載の計量装置は請求項1に記載の計量装置であって、前記案内棒は長手方向にスプライン溝を有し、前記直動案内支持体の前記内側面も前記スプライン溝に対応して刻設された案内溝を有し、前記転動体が前記スプライン溝と前記案内溝とに沿って転動するために前記直動案内支持体の軸まわりの回転が規制されるように支持されていることを特徴とした。
かかる構成によれば、案内棒と直動案内支持体の内側面とにそれぞれ刻設された溝に沿うように転動体が転動する為、長手方向へは自由に移動ができる状態を維持しつつ直動案内支持体の軸周り方向の動きが拘束される。これにより、他に特別な機構を付加することなく、案内棒と直動案内支持体との作用のみで上皿を下皿との相対的な回転を抑制することができる。
また、請求項3に記載の計量装置は請求項1または請求項2に記載の計量装置であって、前記弾性体の変形量は、前記上皿に固定された可動平板電極と、この可動平板電極に平行となるように前記下皿に固定された固定平板電極とからなるキャパシタの静電容量の変化を検出することにより計測されることを特徴とした。
かかる構成によれば、上皿に載置した被計量物の重量に比例して、可動平板電極と固定平板電極との間隔が変化する。この間隔に対応してキャパシタの静電容量が変化するため、この静電容量を計測することにより、被計量物の重量を計測することができる。そして、可動平板電極は、上皿を介して案内棒に連結しており、常に固定平板電極に対して平行を維持することができる為、再現性の高い被計量物の重量の計測が可能となる。
また、請求項4に記載の計量装置は請求項1または請求項2に記載の計量装置であって、前記計量装置は、前記下皿または前記上皿のいずれか一方に固定されたレーザ発振素子と、このレーザ発振素子が他方の前記上皿または前記下皿のいずれかに向けて照射するレーザ光を、直接にまたは前記レーザ光の反射光を間接に検出するレーザ光検出素子と、を有するレーザ位置検出器を備え、このレーザ位置検出器が、前記上皿の変位量を測定することにより、前記弾性体の変計量が検出されることを特徴とした。
かかる構成によれば、載置した被計量物の重量に比例して変位する上皿の変位量を直接レーザ位置検出器で検出することにより、被計量物の重量が計測されることとなる。これにより、レーザ位置検出器の測長レンジが広いこと(0.1μm〜数cm)から、重量の計測レンジも広がる。さらにレーザ位置検出器の形状が小さいことにより、検出器やその他構成品の配置等、設計の自由度が広がるといった効果が期待される。
また、請求項5に記載の計量装置は請求項1または請求項2に記載の計量装置であって、前記弾性体の変形量は、前記弾性体に貼設された歪ゲージにより検出されることを特徴とした。
かかる構成によれば、被計量物の重量に比例して変形する弾性体の表面における一方向の変形に応じて歪ゲージも変形し、この歪ゲージの抵抗値を変化させることとなる。そして、この抵抗値の変化を検出することにより、被計量物の重量を計測することとなるが、案内棒と直動案内支持体の作用により、弾性体の変形は一定の荷重に対して常に一様に変形する為、安定した抵抗値の変化が得られる。
また、請求項6に記載の計量装置は請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の計量装置であって、前記弾性体は、前記上皿と前記下皿とにそれぞれ両端が接するコイルバネで構成されることを特徴とした。
かかる構成によれば、上皿は下皿に対して案内棒の長手方向に変位が規定された状態で、コイルバネの伸縮により弾性的に支持されることになる。そして、コイルバネの線形変形範囲において、被計量物の重量に比例して上皿は下皿に対して変位することになる。また、計量装置の感度はコイルバネのバネ定数により決定させることとなる。
また、請求項7に記載の計量装置は請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の計量装置であって、前記弾性体は、第一コイルバネと、この第一コイルバネよりバネ定数が大きい第二コイルバネとが直列に配置して構成されることを特徴とした。
かかる構成によれば、前記弾性体は、一端が前記上皿に固定され他端が例えば可動板を介して第二コイルバネの一端に連結する第一コイルバネと、他端が前記下皿に連結する第二コイルバネからなり、上皿と下皿とを弾性的に結合することになる。そして、低重量物の計測時は第一コイルバネが変形して重量を検出し、高重量物の計測時は第二コイルバネが変形して被計量物の重量を検出することになる。また、特に低重量物の計測においては、直動案内支持体の作用により荷重が低減することなく正確に弾性体に伝達される。
また、請求項8に記載の計量装置は請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の計量装置であって、前記弾性体は、前記下皿に一端が固定された片持ち梁形状の板バネであって、前記上皿は、前記板バネの自由端である先端に接して支持されていることを特徴とした。
かかる構成によれば、上皿は下皿に対して案内棒の長手方向に変位が規定されて、板バネのたわみ変形により弾性的に支持されることになる。そして、板バネの線形変形範囲において、被計量物の重量に比例して上皿は下皿に対して変位することになる。
本発明に係る計量装置により以下に示す優れた効果を奏する。
請求項1の発明によれば、計量装置の設置面の傾き如何にかかわらず、荷重を検出するセンサに対し常に一定方向に荷重が付加されることになり精度の高い、被計量物の荷重計測が可能となる。
請求項2の発明によれば、上皿と下皿との相対的な回転を防止する為の特別な機構を設ける必要がなくなる為、計量装置の構成を簡易にすることができる。
請求項3の発明によれば、弾性体の変形量はキャパシタの静電容量の変化量に対応し、さらにキャパシタを構成する二枚の電極が、常に平行を維持できるので再現性の高い被計量物の重量の計測が可能となる。
請求項4の発明によれば、弾性体の変形量の計測はレーザ位置検出器により行われ、このレーザ位置検出器の測長レンジが広範であることにより被計量物の荷重計測のダイナミックレンジも拡大する。
請求項5の発明によれば、弾性体に作用する荷重点の位置ならびに方向は、常時一定となるため、歪ゲージも一様に変形することとなり、安定した荷重検出が可能となる。
請求項6の発明によれば、コイルバネの線径や巻径をかえることにより任意のバネ定数が得られ、計量装置の設置面における傾斜如何にかかわらずコイルバネは、荷重に対して感度よく応答し、安定性の高い高精度の被計量物の重量計測が可能となる。
請求項7の発明によれば、一つの計量装置で扱うことができる重量範囲のダイナミックレンジを拡大することができ、低重量物から高重量物にわたり被計量物の重量計測を高精度に安定して行える。
請求項8の発明によれば、板バネの板厚、幅、長さをかえることにより任意のバネ定数が得られ、計量装置の設置面における傾斜如何にかかわらず板バネは、荷重に対して感度よく応答し、安定性の高い高精度の被計量物の重量計測が可能となる。また、板バネは、形状が単純なので弾性体としての品質を安定させて量産することができる。これにより、例えば請求項3の発明において、被計量物を載置していない初期状態における電極間隔のバラツキを少なくし、品質を安定させて計量装置を量産化できる。
以下本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
(第一の実施の形態)
図1および図2を参照して本発明における第一の実施の形態について説明する。図1は本実施の形態にかかる計量装置を示す分解斜視図である。図2は本実施形態にかかる計量装置を示し、(a)は平面図、(b)縦断面図である。
図1に示すように、計量装置1Aは、上皿10、下皿40、キャパシタ20および可動板30からなる。
上皿10は、載置面15に被計量物(図示せず)を載置するものである。上皿10には、第一固定ボス11を介して第一リニアブッシュ(直動案内支持体)12、他端が自由端で断面が円形の第二案内棒13,13および他端が自由端であるストッパ14,14が、上皿10の下面にそれぞれ固定されている。そして可動平板電極22が腕部22aを介して同下面に固定されている。
下皿40は、計量装置1Aが設置されるスペースに接地する計量装置1Aのベースである。下皿40には、第二固定ボス43,43、他端が自由端で断面が円形の第一案内棒42および第二コイルバネ52,52が、下皿40の片面にそれぞれの一端が固定されている。そして第二固定ボス43の先端には、第二案内棒13にそれぞれ貫通する第二リニアブッシュ44が固定されている。第一案内棒42は、先端が第一リニアブッシュ12の中空部分に貫通し、第一リニアブッシュ12を第一案内棒42の長手方向に摺動自在に案内するものである。そして、第二案内棒13,13と第二リニアブッシュ44,44との摩擦力がほとんど発生しない作用により、上皿10が下皿40に対して、第一案内棒の軸周りに相対的に回転することが抑制される。
可動板30は、二本の第二コイルバネ52,52により下皿40と弾性的に結合され、さらに第一コイルバネ51により上皿10と弾性的に結合しており、上皿10および下皿40の弾性結合を中継するものである。可動板30には、第二固定ボス43がそれぞれ貫通する貫通孔30d、第一案内棒53が貫通する貫通孔30bおよび第二コイルバネ52の他端がそれぞれ嵌合する孔部30cを有している。二つの第二固定ボス43がそれぞれ貫通孔30dに貫通することにより、下皿40と可動板30とは、第一案内棒42の軸周りに相対的に回転することがない。可動板30は、第一案内棒42の長手方向のみに動きが限定され上皿10と下皿40とに対して弾性的に連結している。
キャパシタ20は、上皿10および下皿40の相対変位を検出するもので、下皿40に対して固定されている固定平板電極21と腕部22aを介して上皿10に固定されている可動平板電極22とから構成されている。そして、上皿10の上下動に連動して変化する電極面の間隔に対応してキャパシタ20の静電容量が変化する。この静電容量変化を特に図示していない回路により検出することにより、後記するコイルバネ51、52の変形量に比例する被計量物の重量が計測される。
固定平板電極21は、第二案内棒13,13が貫通する貫通孔21cおよび第一コイルバネ51が貫通する貫通孔21bを有している。そして固定平板電極21は、止ネジ穴21aを貫通する止ネジにより第二固定ボス43の頭部端面に、可動平板電極22に対し平行となるよう固定される。この固定は、組立手順からいうと可動板30、第一コイルバネ51、可動平板電極22の順番に第一案内棒42に貫通させてから行われる。
第一コイルバネ51は、一端が貫通孔30bに同軸の孔部30aに嵌合し、胴部がキャパシタ20の貫通孔21b・22bを貫通し、第一リニアブッシュを内径部に挿通させた状態で、他端が第一固定ボス11の先端部分に接して、上皿10と可動板30とを弾性的に連結している。
図3は、本発明の要部である直動案内支持体の一例としてリニアブッシュ12に第一案内棒42が貫通している状態を示す断面図である。第二リニアブッシュ44がそれぞれ第二案内棒13に貫通している状態も全く同様である。第一、第二リニアブッシュ12、44の中空の内側面と、第一、第二案内棒42、13の外側面とは図示するように転動体12aを介して密接している。直動案内支持体は、転動体12aの転動により、案内棒長手方向ならびに回転方向へ相互にスムーズに動けるように構成され、案内棒の径方向つまり長手方向以外に振れることなく案内される。
図1に戻って説明を続ける。
第一リニアブッシュ12の作用は、載置面15と第一案内棒42の長手方向とが垂直を維持するようにかつ摩擦なく、軸ぶれなく上皿10を案内することである。そして、第二リニアブッシュ44の作用は、上皿10の動きのスムーズさを維持しつつ、上皿10と下皿13とが、第一案内棒42を軸として相対的に回転することを防止することである。
第一コイルバネ51と第二コイルバネ52とは、可動板30を介して直列に配置して一つの弾性体を形成し、両端がそれぞれ上皿10と下皿40とに固定され両者を弾性的に結合している。第一コイルバネ51のバネ定数は、第二コイルバネ52のバネ定数の数十分の一から百分の一程度に設定する。これにより、計量装置1Aにおける対象とする被計量物の重量計測のダイナミックレンジが広がることとなる。すなわち、低重量物を計測する場合は、第一コイルバネ51が変形して重量を検出し、高重量物を計測する場合は第二コイルバネ52が変形して重量を検出することとなる。
ストッパ14は、載置面15に垂直になるように上皿10の下面に形成されている。そして、ストッパ14の下端は、載置面15に被計量物が載置されていない場合、すなわち無負荷の場合は宙に浮いている状態であるが、被計量物の重量が増加するにつれ第一コイルバネ51の変形に伴い可動板30の上面に近接する。そして、ある一定量以上の重量の被計量物が載置面15に載置されると、ストッパ14の先端は可動板30に接し、可動板30を下方向に押圧して第二コイルバネ52のみを変形させることになる。
次に図1、図4および図5を参照して本実施形態にかかる計量装置1Aの動作を説明する。図4(a)は、上皿10に被計量物45を載置しない計量装置1Aを水平面に設置した状態を示す模式図である。図4(b)は、上皿10に被計量物45を載置しない計量装置1Aを傾斜面(傾斜角θ)に設置した状態を示す模式図である。図4(c)は、上皿10に低重量の被計量物45(質量m)を載置した計量装置1を傾斜面(傾斜角θ)に設置した状態を示す模式図である。図4(d)は、上皿10に高重量の被計量物45(質量m´)を載置した計量装置1Aを傾斜面(傾斜角θ)に設置した状態を示す模式図である。図4(e)は、載置面15に載置される質量mの被計量物53を拡大して示し、この被計量物53に付加する力を示す図である。図5は、被計量物の質量mに対する上皿10の変位量xを示すグラフである。
ここで、図4(b)に示すように、計量装置1Aを水平面に設置した状態でストッパ14の先端と可動板30の上面との間隔を間隔sとする。そして、傾斜角θの傾斜面に計量装置1Aを設置し、質量mの被計量物53を上皿10に載置したとする(図4(c))。なお、第一コイルバネ51のバネ定数をk、第二コイルバネ52のバネ定数をKとする。
このとき、図4(e)に示すように被計量物53には鉛直方向に重力mgがかかり、mg・sinθで表わされる分力が第一案内棒42(図2参照)の径方向に発生し、mg・cosθで表わされる分力が上皿10の変位する方向(第一案内棒42(図2)の長手方向)に発生する。径方向の分力mg・sinθは、第一リニアブッシュ12(図3)の中空内側面に対して垂直に作用し、この中空内側面からの抗力により打ち消される。
一方、長手方向の分力mg・cosθは、第一案内棒42の外側面と第一リニアブッシュ12の中空内側面とが摺動する際に発生した摩擦力の分だけ減少するものである。しかし、転動体12a(図3)の作用によりこの摩擦力はほとんど発生しないため、長手方向の分力mg・cosθは減じることがない。この為、微小な荷重であっても、長手方向の分力mg・cosθは正確に第一、第二コイルバネ51、52(図1)に伝達されこれらのバネを歪ませ、上皿10を変位させキャパシタ20(図1)によりその変位が検出されることになる。
ここで低重量物の質量mが第一コイルバネ51のバネ定数kと間隔sとの関係式ks/(g・cosθ)より小さい場合(図5)は、ストッパ14の先端は可動板30の上面に接しない(図4(c))。そして、分力mg・cosθは、第一コイルバネ51をmg/k・cosθだけ歪ませ、さらに第二コイルバネ52をmg/K・cosθだけ歪ませ、図5式(1)で表わされる変位量xをキャパシタ20の電極間に発生させる。
また高重量物の質量m´が第一コイルバネ51のバネ定数kと間隔sとの関係式ks/(g・cosθ)より大きい場合(図5)は、ストッパ14の先端は可動板30の上面に接する(図4(d))。そして、分力mg・cosθは、第二コイルバネ52をmg/K・cosθ歪ませ、図5式(2)で表わされる変位をキャパシタ20の電極間に発生させる。
一方、分力mg・sinθは、第一案内棒42の外側面とこの外側面に接する第一リニアブッシュ12の中空の内側面との相互間で作用し打ち消される。また第一案内棒42を軸中心として発生する回転力も、第二リニアブッシュ44と第二案内棒13により止められる。従って、上皿10は、下皿13に対して載置面15の面方向へのぶれが生じることがない。
ところで、載置面15が水平面に対して傾きθを有する場合、被計量物の重量を正確に計測するためには、計量装置1Aのキャリブレーションが必要となる。すなわち、前述したように、被計量物の計測値は真値に対してcosθのゲイン誤差を有している為、予め、重量が既知の基準分銅を用いて、このゲイン誤差を補正するための補正係数を求めておく。そして、得られた検出値に補正係数を乗算して、被計量物の重量とする。
以上述べた動作より、載置面15が水平面に対して傾くように計量装置1Aが設置されても、第一、第二リニアブッシュ12、44および第一、第二案内棒42、13の作用により、載置面15がぶれることない。さらに、上皿10を支える部材(第一、第二案内棒42、13)が摺接する部分に摩擦力が発生しないので、弾性体(第一、第二コイルバネ51、52)に付勢する荷重が減衰することがない。これにより、低重量から高重量にわたって被計量物45を安定して高精度に計測することができる。
以上の実施形態は本発明を説明するための一例であり、本発明は前記した実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、前記直動案内支持体は、リニアブッシュにより構成したがこれに変えて、ボールスプライン機構を採用してもよい。
図6は、ボールスプライン機構60の部分断面斜視図を示す図である。
ボールスプライン機構60を採用する場合、スプライン軸42´(案内棒)には転動体12aが転動するスプライン溝61が刻設される。そして、スプライン溝61を転動する転動体12aが同時に接する案内溝62を有する外筒(直動案内支持体)12´が第一固定ボス11(図1)に固定される。
外筒12´をスプライン軸42´の長手方向に移動させると転動体12aは、スプライン溝61と案内溝62とに共に接しつつ一方向に転動する。そして、外筒12´の終端部において転動体12aはスプライン溝61から離隔して今度は方向を反転させ外筒12´の肉厚部の内部を転動する。そして、転動体12aが外筒12´の始端部に達すると再び案内溝62に復帰しスプライン溝61に接して終端方向に向けて転動し、これを繰り返す。また、外筒12´に軸周方向の回転力が付与された場合、この回転力は転動体12aを通じてスプライン溝61と案内溝62との接触面を互いに垂直方向に押圧し打ち消しあう為、外筒12´の回転が抑止される。
このようにして、ボールスプライン機構60を採用することにより、上皿10のスプライン軸42´(図1)長手方向への変位を摩擦のないスムーズなものとするのみでなく、上皿10の下皿40に対する相対回転を抑止する作用も奏することになる。これにより、ボールスプライン機構60を採用すれば、計量装置1Aの構成において上皿10の下皿40に対する相対回転を抑止する為の特別な機構(第二案内棒13、第二リニアブッシュ44)を設ける必要がなくなる。
また、本実施形態において、弾性体(第一、第二コイルバネ51、52)の変形に伴う上皿10の変位をキャパシタ20で検出する方式を採用しているが、この変位検出もこの方式に限定されるものでなく、例えばレーザ位置検出器を用いてもよい。
図7は、レーザ位置検出器70の構成を説明する図である。
レーザ位置検出器70は、レーザ駆動回路71、半導体レーザ(レーザ発振素子)72、投光レンズ73、受光レンズ74、位置検出素子(レーザ光検出素子)75および信号増幅回路76からなる。そしてレーザ位置検出器70は、下皿40(図1)の何れかの位置に取り付けられ、半導体レーザ72から出射したレーザ光は投光レンズ73を透過して上皿10の下面に照射される。そしてレーザ光は反射され受光レンズ74を経て位置検出素子75に入射し検出され、信号増幅回路76により位置信号として出力される。
次に、上皿10が変位してレーザ光が照射する距離が変化したとすると、レーザ光の反射光の光路が変化したことに伴い、レーザ光が位置検出素子75に入射する位置が変化する。このように、上皿10の位置に対応して、位置検出素子75に入射するレーザ光の位置が変化する原理に従い、上皿10の変位を検出することができる。
このようにレーザ位置検出器70を弾性体(第一、第二コイルバネ51、52)の変計量を検出するセンサとして用いることにより、レーザ位置検出器70の位置検出分解能が0.1μm以下でありさらに弾性体の変位ストロークが数cmであることを鑑みれば、ダイナミックレンジの広い計量が可能な計量装置1Aを得ることになる。
なお、前記したレーザ位置検出器70は、一例であり、本発明で使用するレーザ位置検出器は、説明した前記レーザ位置検出器70の形態に限定されるものではない。例えば、レーザ光76を出力するレーザ発振素子72の機能と、レーザ光76を検出する位置検出素子75の機能とを分離し、どちらか一方を下皿40(図1)に、他方を上皿10に備えたものであってもよい。この場合、投光レンズ73は、コリメーティングレンズ(非球面レンズ)としてレーザ発振素子72と一体化して下皿40または上皿10の何れか一方の位置に取り付けられ、他方に取り付けられた位置検出素子75は、レーザ光76を直接検出することになる。そして、上皿10の変位に基づいて変化する位置検出素子70の検出信号を信号増幅回路76により増幅し出力することとなる。
(第二の実施の形態)
次に図8を参照して本発明における第二の実施の形態について説明する。図8は本実施形態における計量装置1Bの基本構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)に示すb−b線の縦断面図、(c)は(a)に示すc−c線の縦断面図である。尚、図8において図1と実質的に同一な部位は同一符号を付し詳細な説明を省略する。
第一実施の形態と第二実施の形態との相違は、上皿10を支持する弾性体として、コイルバネに代わり、一端が下皿40に固定され先端が自由端になっている板バネ81を採用したものである。この板バネ81は、面が載置面15に対して平行になるようにかつ一端が下皿40の一部に固定端となるように取り付けられている片持ち梁である。ここで第一リニアブッシュ12は、上皿10の中央に設けられた第一固定ボス11を介して固定されており、さら下部にカラー82が配置されている。そしてカラー82の下端が、板バネ81の先端に接することにより、上皿10は下皿40に対して弾性的に支持されている。この板バネ81は、上皿10に載置された被計量物(図示せず)の重量に比例して、弾性的にたわみ変形することになる。そして、このたわみに伴い固定ボス83を介して下皿40に固定された固定平板電極21と上皿10に固定された可動平板電極22との間隔が変化し、キャパシタ20の静電容量を計測することにより、被計量物の重量が計測される。
なお、板バネ81は、形状および寸法を変えることにより、任意のバネ定数kを得ることができ、計量装置1Bの重量検出感度を変更することが可能である。また、板バネ(弾性体)81の変位検出は図8に示されるキャパシタ20により行われる場合もあるが、他に、前記したレーザ位置検出器80(図7)による場合や、板バネ81の表面に貼設された歪ゲージ(図示せず)である場合もある。
ここで、弾性体として板バネ81を用いる利点として、他の弾性体(コイルバネ等)よりも、弾性体の成形時における寸法精度を出しやすいといった点がある。これにより、計量装置1Bを量産した際、品質を安定させ製品間における性能バラツキを極力低減させることができる。また、弾性体の変位量の検出にキャパシタ20を使用する場合においては、被計量物(図示せず)が載置されない初期状態において、固定平板電極21と可動平板電極22との電極間隔を極力狭い一定間隔(1mm以下、望ましくは0.5mm以下)として量産機を作り込むことが可能になる。これにより、電極間隔が狭い程、間隔変化に対する静電容量変化の割合が大きくなるというキャパシタ20の性質を有効に利用して、弾性体を一枚の板バネ81で構成しても、広いレンジで荷重の計測が可能になる。初期状態における電極間隔を極力狭い一定間隔に設定することは、コイルバネを複数組み合わせて弾性体を構成する場合よりも、一枚の板バネ81で構成する場合のほうが、継合部分の点数が少ない為、より好適である。
(第三の実施の形態)
図9を参照して第三の実施の形態を説明する。図9は、本実施形態における計量装置1Cの縦断面図である。計量装置1Cにおいては、重量を検出するセンサとして一般に市販されているロードセル91を下皿40に固定して用いている。そして、直動案内支持体(リニアブッシュ12、ボールスプラインの外筒12´)が下皿40´と一体化して固定されている。そして上皿10の載置面15に垂直になるように一端が固定された案内棒92が、直動案内支持体12(12´)の中空部分を貫通して、先端がロードセル91の荷重作用部93を押圧する構成を有している。このような構成をとることにより、計量装置1Cの設置場所における傾斜の如何にかかわらず荷重作用部93に作用する荷重方向はロードセルの主軸方向と一致し、安定した重量計測が保証される。
ロードセル91とは、荷重の検出原理として、内部に配置された弾性体の変形を歪ゲージで検出するものであり、荷重検出のための要素部品が一体化されたユニットである。
(第四の実施の形態)
図10を参照して第四の実施の形態を説明する。図10は、本実施形態における計量装置1Dの縦断面図である。図10においては、図9と対比して上皿10、案内棒92、直動案内支持体12(12´)、下皿40´の構成は同一のものであって、相違点は荷重を検出するセンサとして起歪体95を用いている点である。
起歪体95は、アルミ製の長方形の枠体であって、二本の縦軸のうち一方の縦軸Bが下皿40´に固定され、他方の縦軸Bの上部には平板の延長板97が縦軸Bの軸心に面が直交するよう片持ち梁状に固定されている。この延長板97の面には、案内棒92の先端が接触している。一方、起歪体95の横軸の一部は、肉厚の薄い薄肉部分が形成されており、この薄肉部分には歪ゲージ96が貼設されている。そして、縦軸Bの軸方向に荷重が作用すると、この薄肉部分が歪ゲージ96とともに優先的に変形し、歪ゲージ96の抵抗値を変化させ、この変化を図示しないブリッジ回路で検出し、出力された信号が荷重に変換される。
被計量物(図示せず)が上皿10の載置面15に載置され、荷重が直動案内支持体12(12´)を経由して延長板97の面に伝達されると、この荷重は延長板97をさらに伝達して縦軸Aを軸方向に押圧する。案内棒92は直動案内支持体12(12´)により軸方向のみに変位が限定されて低摩擦で支持されているため、微小な荷重も安定して縦軸Aの軸方向に伝達され、被計量物の重量は高精度に検出することが可能である。
本発明における第一の実施の形態である計量装置を示す分解斜視図である。 本発明における第一の実施の形態である計量装置を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図である。 本発明の要部である直動案内支持体の一例として示すリニアブッシュが、案内棒に貫通している状態を示す断面図である。 (a) 上皿に被計量物を載置しない状態にある計量装置を水平面に設置した状態を示す模式図である。 (b) 上皿に被計量物を載置しない状態にある計量装置を傾斜角θの傾斜面に設置した状態を示す模式図である。 (c) 上皿に低重量の被計量物を載置した状態にある計量装置を傾斜角θの傾斜面に設置した状態を示す模式図である。 (d) 上皿に高重量の被計量物を載置した状態にある計量装置を傾斜角θの傾斜面に設置した状態を示す模式図である。 (e)載置面上の質量mの被計量物を拡大して示し、この被計量物に付加する力を示す図である。 第一実施形態にかかる計量装置において被計量物の重量mに対する上皿の変位量xを示すグラフである。 本発明の要部である直動案内支持体の一例として示すボールスプライン機構の外筒が、スプライン軸(案内棒)に貫通している状態を示す断面図である。 上皿の変位を検出するレーザ位置検出器の構成を示す説明図である。 本発明における第二の実施の形態にかかる計量装置である。 本発明における第三の実施の形態にかかる計量装置である。 本発明における第四の実施の形態にかかる計量装置である。
符号の説明
1A、1B、1C、1D 計量装置
10 上皿
12 第一リニアブッシュ(直動案内支持体)
12´ 外筒(直動案内支持体)
12a 転動体
13 第二案内棒
14 ストッパ
15 載置面
20 キャパシタ
21 固定平板電極
22 可動平板電極
30 可動板
40、40´ 下皿
42 第一案内棒(案内棒)
42´ スプライン軸(案内棒)
44 第二リニアブッシュ
51 第一コイルバネ(弾性体)
52 第二コイルバネ(弾性体)
53 被計量物
60 ボールスプライン機構
61 スプライン溝
62 案内溝
70 レーザ位置検出器
72 半導体レーザ(レーザ発振素子)
75 位置検出素子(レーザ光検出素子)
81 板バネ(弾性体)
91 ロードセル
92 案内棒

Claims (8)

  1. 被計量物を載置する上皿と、弾性体を介して前記上皿を弾性的に支持する下皿とを有し、前記弾性体の変形量に基づいて前記被計量物の重量を計測する計量装置であって、
    前記上皿において前記被計量物が載置される載置面に直交するように、前記上皿または前記下皿のどちらか一方に固定された案内棒と、
    前記下皿または前記上皿の他方に設けられ、中空の内側面に有する転動体を介して前記案内棒をその長手方向に案内する直動案内支持体とを備え、
    前記直動案内支持体は、前記転動体が前記直動案内支持体と前記案内棒とに密接し、前記案内棒がその径方向に振れることなく案内されるように構成されたことを特徴とする計量装置。
  2. 前記案内棒は長手方向にスプライン溝を有し、前記直動案内支持体の前記内側面も前記スプライン溝に対応して刻設された案内溝を有し、前記転動体が前記スプライン溝と前記案内溝とに沿って転動するために前記直動案内支持体の軸まわりの回転が規制されるように支持されていることを特徴とする請求項1に記載の計量装置。
  3. 前記弾性体の変形量は、前記上皿に固定された可動平板電極と、この可動平板電極に平行となるように前記下皿に固定された固定平板電極とからなるキャパシタの静電容量の変化を検出することにより計測されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計量装置。
  4. 前記計量装置は、
    前記下皿または前記上皿のいずれか一方に固定されたレーザ発振素子と、このレーザ発振素子が他方の前記上皿または前記下皿のいずれかに向けて照射するレーザ光を、直接にまたは前記レーザ光の反射光を間接に検出するレーザ光検出素子とを有するレーザ位置検出器を備え、
    このレーザ位置検出器が、前記上皿の変位量を測定することにより、前記弾性体の変計量が検出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計量装置。
  5. 前記弾性体の変形量は、前記弾性体に貼設された歪ゲージにより検出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の計量装置。
  6. 前記弾性体は、前記上皿と前記下皿とにそれぞれ両端が接するコイルバネで構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の計量装置。
  7. 前記弾性体は、第一コイルバネと、この第一コイルバネよりバネ定数が大きい第二コイルバネとが直列に配置して構成されることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の計量装置。
  8. 前記弾性体は、前記下皿に一端が固定された片持ち梁形状の板バネであって、前記上皿は、前記板バネの自由端である先端に接して支持されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の計量装置。
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