JP2001223018A - 燃料電池とその燃料電池を用いた電源 - Google Patents

燃料電池とその燃料電池を用いた電源

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造簡易で、製造コストの低いコンパクトな
燃料電池とその燃料電池を用いた電源の提供。 【解決手段】 単セルとセパレータとが交互に積層さ
れ、積層された一方端側に陽極側集電板、他方端側に陰
極側集電板を有する積層体を備えた燃料電池において、
前記積層体の積層方向に2本の導電体を通し、前記一方
の導電体に陽極側集電板を、他方の導電体に陰極側集電
板をそれぞれ電気的に接続し、前記一方の導電体の端部
を陽極側電流端子、他方の導電体の端部を陰極側電流端
子としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は燃料電池に関するも
ので、燃料電池の構成や集電方法、更にはその燃料電池
を用いた電源に関するものである。以下、本発明は固体
高分子型燃料電池を例として説明するが、メタノール直
接型燃料電池やリン酸燃料電池等他の燃料電池にも適用
することができる。又、本発明の燃料電池の構成及び集
電方法は、電気自動車用燃料電池の他に、可搬型燃料電
池、家庭用や小型ビル用の燃料電池等に適用することが
できる。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は周知のように、電解質を介し
て一対の電極を有し、この電極の一方に燃料を、他方の
電極に酸化剤を供給し、燃料と酸化剤を電池内で電気化
学的に反応させることにより化学エネルギーを直接電気
エネルギーに変換する装置である。燃料電池には電解質
によりいくつかの型があるが、近年高出力の得られる燃
料電池として、電解質に固体高分子電解質膜を用いた固
体高分子型燃料電池が注目されている。例えば燃料電池
に水素ガスを、酸化剤電極に酸素ガスを供給し、外部回
路より電流を取り出すときに下記化学反応式(1)及び
(2)で示されるような反応が生じる。 陰極反応:H2 → 2H+ + 2e- (1) 陽極反応:2H+ + 2e- + (1/2)O2→ H2O (2) この反応が生じるとき、燃料電極上で水素はプロトンと
なり、水を伴って電解質体中を酸化剤電極上まで移動
し、酸化剤電極上で酸素と反応して水を生じる。従っ
て、前記のような燃料電池の運転には、反応ガスの供給
と排出、電流の取り出しが必要となる。
【0003】電解質膜を燃料電極及び酸化剤電極で挟持
した単セルと表裏に燃料ガス流路、酸化剤ガス流路、冷
却水流路の何れかが設けられたセパレータとを交互に積
層して燃料電池積層体(以下、積層体ともいう)が構成
される。燃料電池積層体は、燃料ガスと酸化剤ガスのガ
スシール性を確保し、単セルとセパレータとの接触電気
抵抗を極力下げるために、一定の面圧をかける構造が用
いられる。通常、押え板にシャフトを通し、コイルバネ
や円盤状の板バネを用いてナットで締めて面圧が保たれ
る。シャフトは積層体の外周部に通されるのが一般的で
あったが、近年は、単セルやセパレータの主表面に貫通
孔を設けてシャフトを通す方式が用いられている。この
方式は、単セルやセパレータのガスシール構造が複雑に
なる反面、コンパクト化が容易になるので、電気自動車
用燃料電池、可搬型燃料電池、家庭用や小型ビル用燃料
電池等コンパクト化を求められる用途に適している。
【0004】単セルやセパレータの主表面に貫通孔を設
けてシャフトを通す方式の積層体としては、本願出願人
が平成11年3月16日に出願した特願平11−695
90号がある。図18は、この特願平11−69590
号に記載されているような燃料電池積層体であり、
(A)はその平面図、(B)はその断面図である。図1
8において、1は燃料電池積層体、6は電気絶縁被覆、
7は円盤状の板バネ、8は押え板、51はシャフト、5
2は陰極側電流端子、53は陽極側電流端子、54は陰
極側集電板、55は陽極側集電板である。上記のシャフ
ト51は、積層体の両端側に配された押え板8を介して
積層体に面圧を掛けるため、当該積層体に貫通させた軸
である。
【0005】従来の積層体では、上記のシャフト51
は、陰極や陽極とは電気的に絶縁されており、積層体1
の積層方向両端側に配置された陰極側及び陽極側の集電
板54、55から、当該集電板54、55の積層面方向
即ち積層体1の積層方向と直交する当該積層体1の側面
方向(以下、外周部若しくは側面側ともいう)に突き出さ
れた電流端子52、53に電流線を接続して、外部負荷
に接続していた。しかし、積層体1の外周部は、断熱や
電気絶縁のために断熱材を巻いたりアクリル等のプラス
チック板でふさがれることが多く、又、複数の積層体1
を並べられることも多いので、外周部側即ち横に張り出
された電流端子52、53との電気接続はコンパクト化
の支障になっていた。又、燃料電池積層体には電圧が低
い割に大きな電流が流れるので、電流ケーブル(非図示)
は太いものを使用せざるを得ず、結線のための電流ケー
ブルの長さをできるだけ短くする必要があるが、陽極側
と陰極側とで電流端子の位置が離れていると、複数の積
層体1をこの電流ケーブルで結線する場合に、配線が複
雑になると共に、長い電流ケーブルを必要とするため、
コンパクト化に支障があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
積層体では、電流端子が互いに離れた位置にあり、しか
も、積層体の外周部に突き出して電気配線を行う必要が
ある上、長い電流ケーブルが必要になる等、燃料電池や
燃料電池を用いた電源のコンパクト化に大きな支障があ
った。本発明は、このような課題を解消するためなされ
たものであり、燃料電池の外周部(側面側)をコンパク
トにすると共に、電気配線が簡単にでき、長い電流ケー
ブルを不要とする燃料電池とその燃料電池を用いた電源
の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、単セ
ルとセパレータとが交互に積層され、積層された一方端
側に陽極側集電板、他方端側に陰極側集電板を有する積
層体を備えた燃料電池において、前記積層体の積層方向
に2本の導電体を通し、前記一方の導電体に陽極側集電
板を、他方の導電体に陰極側集電板をそれぞれ電気的に
接続し、前記一方の導電体の端部を陽極側電流端子、他
方の導電体の端部を陰極側電流端子としたことを特徴と
する。
【0008】請求項2の発明は、電解質膜を燃料電極及
び酸化剤電極で挟持してなり、主表面に少なくとも2つ
の貫通孔を有する単セルと、前記燃料電極に燃料流体を
供給するために流体供給口から流体排出口までを並行す
る複数の燃料流路と前記酸化剤電極に酸化剤流体を供給
するために流体供給口から流体排出口までを並行する複
数の酸化剤流路を備え、主表面に少なくとも2つの貫通
孔を有するセパレータとを順次積層し、更に、主表面に
少なくとも2つの貫通孔を有する陽極側集電板及び陰極
側集電板で挟んで積層体を構成し、前記2つの貫通孔に
それぞれシャフトを挿嵌すると共に、前記陽極側集電板
と一方のシャフトとを電気的に接続し、前記陰極側集電
板と他方のシャフトとを電気的に接続して、前記2本の
シャフトの端部を電流端子としたことを特徴とする。
【0009】請求項3の発明は、単セルとセパレータと
が交互に積層され、積層された一方端側に陽極側集電
板、他方端側に陰極側集電板を有する積層体を備えた燃
料電池において、前記積層体を積層方向に電気絶縁板を
介して重ね、重ねられた複数の積層体の積層方向に2本
のシャフトを通し、前記一方のシャフトに各積層体の陽
極側集電板を、他方のシャフトに各積層体の陰極側集電
板をそれぞれ電気的に接続し、前記一方のシャフトの端
部を陽極側電流端子、他方のシャフトの端部を陰極側電
流端子としたことを特徴とする。
【0010】請求項4の発明は、電解質膜を燃料電極及
び酸化剤電極で挟持してなり、主表面に少なくとも2つ
の貫通孔を有する単セルと、前記燃料電極に燃料流体を
供給するために流体供給口から流体排出口までを並行す
る複数の燃料流路と前記酸化剤電極に酸化剤流体を供給
するために流体供給口から流体排出口までを並行する複
数の酸化剤流路を備え、主表面に少なくとも2つの貫通
孔を有するセパレータとを順次積層し、更に、主表面に
少なくとも2つの貫通孔を有する陽極側集電板及び陰極
側集電板で挟んで積層体を構成し、主表面に少なくとも
2つの貫通孔を有する電気絶縁体を介して、前記積層体
を少なくとも2つ連結し、前記2つの貫通孔にそれぞれ
シャフトを挿嵌すると共に、全ての積層体の陽極側集電
板とシャフトの1本とを電気的に接続し、全ての積層体
の陰極側集電板と他方のシャフトとを電気的に接続し、
前記2本のシャフトの端部を電流端子としたことを特徴
とする。
【0011】請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4
の何れかに記載の燃料電池において、陽極側集電板及び
陰極側集電板と相応するシャフトとの接続部は、溶接に
よる接続であることを特徴とする。
【0012】請求項6の発明は、請求項1乃至請求項4
の何れかに記載の燃料電池において、陽極側集電板及び
陰極側集電板と相応するシャフトとの接続部は、シャフ
トの抜き差しが可能な摺動接触であることを特徴とす
る。
【0013】請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6
の何れかに記載の燃料電池において、シャフトの端部
は、当該端部に螺合する着脱自在なナットを介して電流
ケーブルと着脱自在に構成したことを特徴とする。
【0014】請求項8の発明は、請求項1乃至請求項7
の何れかに記載の燃料電池において、陽極側集電板及び
陰極側集電板は、積層体の両端側に配設された押え板を
兼用したことを特徴とする。
【0015】請求項9の発明は、請求項1乃至請求項8
の何れかに記載の燃料電池を、シャフトの軸が横並びと
なる方向に並べ、隣り合う燃料電池の陽極側電流端子と
陰極側電流端子とを連結子を介して接続したことを特徴
とする。
【0016】請求項10の発明は、請求項1乃至請求項
8の何れかに記載の燃料電池を、シャフトの軸が縦並び
となる方向であって、前後の燃料電池の陽極側電流端子
及び陰極側電流端子の極性が異極となるように並べ、前
後の燃料電池の所要の陽極側電流端子と陰極側電流端子
とを連結子を介して接続させたことを特徴とする。
【0017】請求項11の発明は、請求項1乃至請求項
8の何れかに記載の燃料電池を、シャフトの軸が縦並び
となる方向であって、前後の燃料電池の陽極側電流端子
及び陰極側電流端子の極性が同極となるように並べ、前
後の燃料電池の所要の陽極側電流端子と陰極側電流端子
とを連結子を介して接続させたことを特徴とする。
【0018】請求項12の発明は、請求項1乃至請求項
8の何れかに記載の燃料電池を、シャフトの軸が横並び
となる横方向に並べ、隣り合う燃料電池の陽極側電流端
子と陰極側電流端子とを連結子を介して接続して組み合
わせた横組み燃料電池を、シャフトの軸方向に縦に並
べ、前後の横組み燃料電池を連結子を介して接続したこ
とを特徴とする。
【0019】請求項13の発明は、内側に単セルとセパ
レータとが交互に積層され、積層された一方端側に陽極
側集電板、他方端側に陰極側集電板を有する積層体を備
えた燃料電池において、前記陽極側集電板と陰極側集電
板のそれぞれに接続された陽極側導電体と陰極側導電体
とを、最寄りの積層体端面にそれぞれ延在させ、当該両
導電体の延在端部をそれぞれ電流端子としたことを特徴
とする。
【0020】請求項14の発明は、内側に単セルとセパ
レータとが交互に積層され、積層された一方端側に陽極
側集電板、他方端側に陰極側集電板を有する積層体を備
えた燃料電池において、前記陽極側集電板と陰極側集電
板のそれぞれに接続された陽極側導電体と陰極側導電体
との何れか一方の導電体を寄りの積層体端面に延在させ
ると共に、他方の導電体を、前記の積層された単セルと
セパレータ及び前記一方の導電体が接続された集電板を
貫通して、前記一方の導電体が延在されたと同じ前記積
層体端面に延在させ、当該両導電体の延在端部を電流端
子としたことを特徴とする。
【0021】請求項15の発明は、内側に単セルとセパ
レータとが交互に積層され、積層された一方端側に陽極
側集電板、他方端側に陰極側集電板を有する積層体と、
当該積層体を積層方向に貫通するシャフトとを備えた燃
料電池において、前記陽極側集電板と陰極側集電板のそ
れぞれに接続された陽極側導電体と陰極側導電体とをそ
れぞれ最寄りの積層体端面に延在させ、当該両導電体の
一方の延在端部を一方の電流端子とすると共に、当該両
導電体の他方の延在端部を最寄りのシャフトの端部に接
続し、当該シャフトの他方の端部を電流端子としたこと
を特徴とする。
【0022】請求項16の発明は、請求項13乃至請求
項15の何れかに記載の燃料電池のいて、導電体は、棒
状部材であって、陽極側集電板及び陰極側集電板集電板
に対して垂直に接続されたことを特徴とする。
【0023】請求項17の発明は、請求項13乃至請求
項16の何れかの燃料電池を用いて構成されたことを特
徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施の形態を示す
図1乃至図12に基づいて説明する。尚、図18におい
て説明した従来と同一若しくは相当部分には、同一符号
を付してその説明を省略する。
【0025】実施の形態1.実施の形態1は、電解質膜
を燃料電極及び酸化剤電極で挟持し主表面に少なくとも
2つの貫通孔を有する単セルと、前記燃料電極に燃料流
体を供給するために流体供給口から流体排出口までを並
行する複数の燃料流路と前記酸化剤電極に酸化剤流体を
供給するために流体供給口から流体排出口までを並行す
る複数の酸化剤流路とを備え主表面に少なくとも2つの
貫通孔を有するセパレータとを順次積層し、更に、主表
面に少なくとも2つの貫通孔を有する陽極側集電板及び
陰極側集電板で挟んで積層体を構成し、前記2つの貫通
孔に、それぞれ導電体としてのシャフトを挿嵌すると共
に、前記陽極側集電板と一方のシャフトとを電気的に接
続し、前記陰極側集電板と他方のシャフトとを電気的に
接続して、前記2本のシャフトの端部を電流端子として
用いた構成の燃料電池である。
【0026】以下、この実施の形態1を図1、図2に基
づいて説明する。図1は、年リュウ電池の積層体を示すも
ので、(A)はその平面図、(B)はその断面図、図2
は、前記のシャフト2、3を通すための2つの貫通孔を
有するセパレータ12の平面図である。図1において、
2は陽極側のシャフト、3は陰極側のシャフト、4は陽
極側集電板、5は陰極側集電板、6は電気絶縁被覆、7
は円盤状の板バネ、8は押え板、9は締め付けナット、
10は電気絶縁板、11は単セル、12はセパレータ、
13は陽極側集電板と陽極側のシャフトとの接合部、1
4は陰極側集電板と陰極側のシャフトとの接合部、15
は陽極側電流端子、16は陰極側電流端子である。尚、
図1において、単セル11とセパレータ12については
部分的に模式的に示しているが、積層体の全域にわたっ
て積層されている。
【0027】単セル11は、電解質膜を燃料電極及び酸
化剤電極で挟持してなり、主表面に少なくとも2本のシ
ャフト2、3を通すための2つの貫通孔を有している。
セパレータ12は、燃料電極に燃料流体を供給するため
に流体供給口から流体排出口までを並行する複数の燃料
流路と酸化剤電極に酸化剤流体を供給するために流体供
給口から流体排出口までを並行する複数の酸化剤流路等
を備え、主表面に前記のシャフト2、3、を通すための
2つの貫通孔を有している。陽極側集電板4及び陰極側
集電板5の各主表面も、前記の2本のシャフト2、3を
通すための2つの貫通孔を有する。更に、押え板8にも
2つの貫通孔があって、これに前記のシャフト2、3が
挿嵌され、円盤状の板バネ7によって積層体全体が積層
方向に締め付けられる構造になっている。
【0028】前記の陽極側集電板4と陽極側のシャフト
2とは、接合部13において電気的に接続されており、
陰極側集電板5と陰極側のシャフト3も接合部14にお
いて電気的に接続されている。図示の実施の形態1で
は、前記2本のシャフト2、3の両端部が積層体1の積
層方向の両端側に配設されているため、積層体1の両端
側のどちらの端面側からでも、それぞれ陽極の電流端子
15、陰極の電流端子16として用いることができる。
(以下、積層体1の積層方向の両側の端面を両端とい
う。)勿論、これに限らず、積層体1の一方端側にだけ
陽極の電流端子15と陰極の電流端子16とを設けても
よいし、積層体1の一方端側に陽極の電流端子15を、
他方端側に陰極の電流端子16を設けてもよい。
【0029】押え板8、8は、前記のシャフト2、3に
支持されて積層体1を積層方向に押圧するため、当該積
層体1の両端側に配置されており、これ等の押え板8、
8には、絶縁被膜としての電気絶縁フィルムが張られて
いる。又、陽極側集電板4或いは陰極集側電板5とも短
絡しないようになっている。又、前記のシャフト2、3
も同様に絶縁被膜としての電気絶縁フィルム6によって
被覆されており、従って、単セル11やセパレータ12
と電気的に絶縁されている。このように実施の形態1に
よれば、集電はシャフト2、3の両端部を用いて行うこ
とができ、従来のように、集電板の一部が積層体1の外
周部(側面側)に突き出されて形成された電流端子から
取り出す必要がなくなる。
【0030】図2に示すセパレータの平面図において、
24は酸化剤供給口、25は酸化剤排出口、26は燃料
供給口、27は燃料排出口、28は冷却水供給口、29
は冷却水排出口、43は燃料流路、45は陰極側のシャ
フト孔、46は陽極側のシャフト孔である。陽極側のシ
ャフト孔は燃料ガスの中間マニホールドとしても用いら
れる構造になっている。又、前記のようなセパレータ1
2の構造については、従来のものをそのまま用いること
ができる。
【0031】実施の形態2.実施の形態2を図3に基づ
いて説明する。図3は前記実施の形態1における接合部
13の構成例を示すもので、(A)は例えば陽極側集電
板4と陽極側のシャフト2の接合部13を拡大して示し
た横断面図、(B)はその縦断面図である。尚、陰極側
集電板5と陰極側シャフト3についても同様の構造にな
る。図3において、陽極側集電板4とこの陽極側集電板
4を貫通する陽極側のシャフト2とは、その貫通部位の
接合部13において、溶接によって電気的に接続された
構成となっている。この場合の溶接部17は陽極側集電
板4の表裏においてシャフト4に溶接されている。尚、
18はゴムパッキンである。陽極側及び陰極側の集電板
4、5やシャフト2、3等はステンレスや銅等の金属で
構成されているので、一般的な溶接手段を用いて容易に
接続させることができる。
【0032】実施の形態3.実施の形態3を図4に基づ
いて説明する。図4は前記実施の形態1における接合部
13の別の構成例を示すもので、陽極側集電板4と陽極
側のシャフト2の接合部13を拡大して示した断面図で
ある。尚、陰極側集電板5と陰極側シャフト3との接合
部14についても同様の構造になる。図4において、陽
極側集電板4と陽極側のシャフト2の接合部13は、電
気接面摺動部19を介して、シャフト2の抜き差しが可
能な摺動接触する構成とされている。図示の電気接面摺
動部19はシャフト2が抜き差し可能な筒状形態のもの
で、陽極側集電板4の貫通孔に挿入固定されている。
【0033】図中の20は、電気接面摺動部19を陽極
側集電板4に固定させる固定部である。この固定部20
は、陽極側集電板4の表裏をドーナツ状に巻いて電気接
面摺動部19を固定することで、陽極側集電板4と電気
接面摺動部19との電気接続を確実に行うように構成さ
れている。又、電気接面摺動部19はシャフト2に筒状
に密着するので、電気的な接続が確実に行なわれる。こ
の実施の形態3によれば、前記実施の形態2の溶接と異
なり、電気接面摺動部19を用いることで、シャフト2
の摺動、即ち移動が可能となるので、シャフト2を後で
挿入する等積層体1の組立工程に選択の余地が増え、よ
り組立作業が容易となる。
【0034】実施の形態4.実施の形態4を図5に基づ
いて説明する。図5は前記実施の形態1における接合部
13の別の構成例を示すもので、陽極側のシャフト2の
端部側即ち陽極側の電流端子部を拡大して示した断面図
である。尚、陰極側集電板5と陰極側シャフト3との接
合部14についても同様の構造になる。図5において、
8は押え板、10は電気絶縁板、7は押え板8を付勢す
る板バネ、21はワッシャー、22は電流ケーブル、2
3は電流端子取り付けナット、30はネジ部分である。
このシャフト2の端子部は、当該端子部に螺合する着脱
自在な2つのナット9、23を介して、電流ケーブル2
2と着脱自在に構成されている。従って、電流ケーブル
22は、シャフト2の端部に形成されたネジ部分におい
て、一般のワッシャー21やナット9、23を用いて、
端子部に簡単に取り付け、取り外しができる。
【0035】実施の形態5.実施の形態5を図6に基づ
いて説明する。図6は前記実施の形態1における接合部
13の別の構成例の積層体を示すもので、(A)はその
横断面図、(B)はその縦断面図である。この実施の形
態5に示す接合部は、前記実施の形態1でいう陽極側集
電板4及び陰極側集電板5とこれに相応するシャフト
2、3との接合ではなく、積層体1の両端側に配設され
た押え板8、8を、前記実施の形態1の陽極側集電板4
及び陰極側集電板5として兼用させ、これ等の集電板と
しての機能を果たす押え板8、8とシャフト2、3とを
接合させた構成としたものである。従って、図6の
(B)に示すように、前記実施の形態1における陽極側
集電板4及び陰極側集電板5は存在しない。尚、押え板
8、8をその外側から付勢する円盤状の板バネ7、7に
は電気絶縁フィルムが貼られており、更に、ポリカーボ
ネートからなる分厚い絶縁板17,17を挿入すること
で、集電板代わりに用いられている押え板8、8との電
気絶縁を確実なものとしている。尚、押え板8とシャフ
ト2との電気接続は、図5に示すようなワッシャー21
やナット9、23等を用いるだけで容易に接続すること
ができる。このように、この実施の形態5によれば、集
電板4、5を省くことができると共に、シャフト2、3
と集電板としての押え板8、8との電気接続を容易に構
成することができる。
【0036】次に、実施の形態6乃至9において、上記
実施の形態1乃至5の何れかに記載の燃料電池を複数用
いた電源の構成例を示す。
【0037】実施の形態6.実施の形態6は、前記実施
の形態1の燃料電池を横手方向に4つ並べ、電気的に直
列に接続した構成例であり、これを図7に基づいて説明
する。図7の(A)はその平面図、(B)はその断面図
である。図において、4つの燃料電池は、各燃料電池の
シャフト2、3の軸が、横並びとなる方向に並べられ、
隣り合う燃料電池31、31の陽極側電流端子15と陰
極側電流端子16とが連結子、この例では横手方向に延
在するよう形成された横手方向の連結子32を介して接
続されている。そして、横方向両端側に位置する陽極側
電流端子15と陰極側電流端子16とには電流ケーブル
22がそれぞれ接続されている。この実施の形態6によ
れば、横手方向の連結子32を用いることで、4つの燃
料電池31を横並びにコンパクトに構成することができ
る。又、横手方向の連結子32は燃料電池31の両側に
取付けることができるので、確実な電気接続が得られる
と共に、複数の燃料電池を確実に固定することもでき
る。尚、この実施の形態6では4つの燃料電池を用いた
が、2つ以上の燃料電池を用いても、同様の効果が得ら
れる。
【0038】実施の形態7.実施の形態7は、前記実施
の形態1の燃料電池を長手方向に4つ並べ、電気的に直
列に接続した構成例であり、これを図8に基づいて説明
する。図8は断面図である。図において、4つの燃料電
池31は、各燃料電池31のシャフト2、3の軸が縦並
びとなる方向に並べられ、前後の燃料電池31、31の
陽極側電流端子15及び陰極側電流端子16の極性が異
極となるように並べ、前後の燃料電池31、31の所
要、即ち、直列接続となる陽極側電流端子15と陰極側
電流端子16とを連結子、この例では長手方向の連結子
33、33、33を介して接続している。この実施の形
態7によれば、長手方向の連結子33を用いることで、
複数の燃料電池31を縦並びにコンパクトに構成するこ
とができる。又、長手方向の連結子33により、確実な
電気接続が得られると共に、複数の燃料電池を確実に固
定することもできる。尚、図中の34は絶縁キャップで
あり、接続されない陽極側電流端子15及び陰極側電流
端子16に装着されて、燃料電池31間の短絡が防止さ
れている。又、この実施の形態7では4つの燃料電池を
用いたが、2つ以上の燃料電池を用いても、同様の効果
が得られる。
【0039】実施の形態8.実施の形態8は、前記実施
の形態1の燃料電池を長手方向に4つ並べ、電気的に直
列に接続した構成例であり、これを図9に基づいて説明
する。図9は断面図である。図において、4つの燃料電
池31は、各燃料電池31のシャフト2、3の軸が縦並
びとなる方向に並べられ、前後の燃料電池31、31の
陽極側電流端子15及び陰極側電流端子16の極性が同
極となるように並べ、前後の燃料電池31、31の所
要、即ち、直列接続となる陽極側電流端子15と陰極側
電流端子16とを連結子、この例では斜め方向の連結子
35、35、35を介して接続している。
【0040】この実施の形態8によれば、斜め方向の連
結子35を用いることで、複数の燃料電池31を縦並び
にコンパクトに構成することができる。又、斜め方向の
連結子35により、確実な電気接続が得られると共に、
複数の燃料電池を確実に固定することもできる。更に、
上記実施の形態7と異なり、燃料電池31の左右の極性
が異なるように交互に組み込む必要が無く、左右の極性
を同じ状態にしたまま単純に組み込むことができるの
で、その作業が容易となる。尚、図中の符号34は絶縁
キャップであり、接続されない陽極側電流端子15及び
陰極側電流端子16に装着されて、燃料電池31間の短
絡が防止されている。又、この実施の形態7では4つの
燃料電池を用いたが、2つ以上の燃料電池を用いても、
同様の効果が得られる。
【0041】実施の形態9.実施の形態9は、前記実施
の形態1の燃料電池を縦横に複数個づつ、例えば田の字
に4つ並べ、前記実施の形態7の横並び構成と実施の形
態8の縦並び構成とを組み合わせて、電気的に直列に接
続した構成例であり、これを図10に基づいて説明す
る。図10の(A)はその平面図、(B)はその断面図
である。図において、31は実施の形態1の燃料電池、
32は燃料電池間の横手方向の連結子、33は燃料電池
間の長手方向の連結子、34は絶縁キャップである。図
において、シャフト2、3の軸が横並びとなる横方向に
複数の燃料電池31、31を並べ、隣り合う燃料電池3
1、31の陽極側電流端子15と陰極側電流端子16と
を横手方向の連結子32を介して接続する。こうして接
続し、組み合わされた横組み燃料電池、この例では横並
びの2つの燃料電池31、31の横組みを一組として、
2つの横組みをシャフト2、3の軸方向に縦に2段に並
べ、段の前後の横組み燃料電池31、31、即ち、前後
2組の横組み燃料電池31、31の所要の陽極側電流端
子15と陰極側電流端子16とを縦方向の連結子33、
33を介して接続させている。このように、4つ以上の
燃料電池31を縦横に配置し、所要の陽極側電流端子1
5と陰極側電流端子16とを横手方向の連結子32或い
は長手方向の連結子33等で組み合わせることでコンパ
クトな電源を構成することができる。尚、実施の形態6
乃至9における連結子32、33、35は何れも金属、
例えば銅板或いは銅線等で形成されており、電流ケーブ
ル等と結線される連結子32、33、35の端部を除い
て絶縁被覆(非図示)が施されている。
【0042】実施の形態10.実施の形態10は、電解
質膜を燃料電極及び酸化剤電極で挟持し、主表面に少な
くとも2つの貫通孔を有する単セルと、前記燃料電極に
燃料流体を供給するために流体供給口から流体排出口ま
でを並行する複数の燃料流路と前記酸化剤電極に酸化剤
流体を供給するために流体供給口から流体排出口までを
並行する複数の酸化剤流路を備え、主表面に少なくとも
2つの貫通孔を有するセパレータとを順次積層し、更
に、主表面に少なくとも2つの貫通孔を有する陽極側集
電板及び陰極側集電板で前記積層体を挟んで燃料電池ブ
ロックとしての積層体を構成し、主表面に少なくとも2
つの貫通孔を有する電気絶縁体を介して、前記燃料電池
ブロックとしての積層体を少なくとも2つ連結し、前記
2つの貫通孔にそれぞれシャフトを挿嵌すると共に、全
ての燃料電池ブロックとしての積層体の陽極側集電板と
シャフトの1本とを電気的に接続し、全ての燃料電池ブ
ロックとしての積層体の陰極側集電板と他方のシャフト
とを電気的に接続し、前記2本のシャフトの端部を電流
端子として用いる構成としたものである。この実施の形
態10を図11、図12に基づいて説明する。図11は
燃料電池ブロックとしての積層体を2つ連結した例を示
すもので、(A)はその平面図、(B)はその断面図で
あり、図12はこの燃料電池ブロックを3つ連結した例
を示すもので、(A)はその平面図、(B)はその断面
図である。
【0043】図11、図12において、図中の符号36
は単セル11とセパレータ12とが交互に積層された燃
料電池ブロック36としての積層体であり、この燃料電
池ブロック36の両端側の一方には陽極側ブロック集電
板4、38が、他方には陰極側ブロック集電板5、37
が配設されている。このように構成された燃料ブロック
36を、図11では2つ、図12では3つ、電気絶縁板
39を挟んで積層方向に積み上げ、積み上げた状態にお
いて積層方向両端に押え板を8、8を当てて、積層方向
に2本のシャフト2、3を貫通させている。従って、各
々の燃料電池ブロック36相互は両者間に介在する電気
絶縁板39によって区切られており、互いに電気絶縁さ
れている。この電気絶縁板39は例えばポリカーボネー
トで形成されており、この電気絶縁板39を始め、単セ
ル11、セパレータ12、陽極側ブロック集電板4、3
8、陰極側ブロック集電板5、37、押え板8、8に
は、予めシャフト2、3を通すための2つの穴が設けら
れている。
【0044】陽極側のシャフト2には、各燃料電池ブロ
ック36の陽極側集電板4、38が、同様に、陰極側の
シャフト3には、各燃料電池ブロック36の陰極側集電
板5、37が電気的に接続されている。従って、各々の
燃料電池ブロック36は、ガス的に並列に接続され、電
気的にも並列に接続されており、実施の形態1の燃料電
池に比べると、同じセル数でも、積層体としての出力
は、図11の場合では、電圧が2分の1、電流は2倍、
図12の場合では、電圧が3分の1、電流は3倍にな
る。
【0045】従って、この実施の形態10によれば、燃
料電池ブロック36の数を適宜変化させることによっ
て、外部の電流ケーブルとの取り合いを変化させること
なく、電流と電圧を変化させることができる。又、電流
や電圧の要求スペックが異なる場合でも、同じ形状の単
セルやセパレータを用いて燃料電池を構成することがで
きるので、製造コストを大幅に低減させることができ
る。
【0046】上記実施の形態1乃至実施の形態10にお
いては、貫通孔に通す導電体としてシャフトを用いた
が、本発明は、これに限らず、導電体としては線状部
材、例えばケーブル等であってもよい。又、この導電体
は、積層板を押圧する機能を必ずしも備えている必要は
なく、この場合には、別途に、積層板を押圧する適当な
装置を備えることになろう。又、シャフトを通す穴が2
つの場合を示したが、3つ以上ある場合でも同様の効果
が得られる。又、前記実施の形態10においても、実施
の形態2乃至5で示したシャフトと集電板或いは集電板
を兼ねる押え板との接合構成を適用することができる。
【0047】実施の形態11.実施の形態11は、内側
に単セルとセパレータとが交互に積層され、積層された
一方端側に陽極側集電板、他方端側に陰極側集電板を有
する積層体を備えた燃料電池の前記陽極側集電板と陰極
側集電板とに、それぞれ導電体を接続し、それぞれの集
電板から最寄りの積層体端面に延在させ、当該両導電体
の延在端部をそれぞれ電流端子として構成された燃料電
池である。これを図13に基づいて説明する。図13の
(A)はその断面図、(B)はその底面図である。
【0048】図13の(A)、(B)において、図中の
符号1は積層体であり、上記実施の形態1乃至10の積
層体1と同様である。即ち、積層体1は、内側に単セル
11とセパレータ12とが交互に積層されており(図1
に示す)、この単セル11とセパレータ12とが積層さ
れた構成部の、積層方向両端側のうちの一方端側に陽極
側集電板4が、他方端側に陰極側集電板5を有する構成
となっている。
【0049】積層体1の両端側に配置された陽極側集電
板4と陰極側集電板5との、更に両外側には、それぞれ
電気絶縁板10で覆われており、この電気絶縁板10を
介して、抑え板8や板ばね7の順に接圧構成部材が、積
層体1を積層方向に貫通したシャフト62,63に関連
して構成されている。即ち、上記実施の形態1において
説明したように、このシャフト62(2),63(3)
の両端側からねじ込まれたナット9,9によって、積層
体1が積層方向の面圧を受けている。
【0050】図中の符号74は一端が陽極側集電板4に
接続された導電体であり、この導電体74の他端即ち延
在端部は、当該陽極側集電板4に当接された電気絶縁板
10を貫通して積層方向の外側に延在させると共に、陰
極側集電板5にも同様にして導電体75が配設され、こ
れらの導電体74,75のそれぞれの延長端部が電流端
子とされている。
【0051】上記実施の形態11によれば、各集電板
4,5から、それぞれ最寄りの積層体端面の外側、即ち
積層方向の両端面側にそれぞれ導電体74,75が引出
され、引出された導電体74,75の延在端部がそれぞ
れ電流端子として構成されているので、一方端側の電流
端子にプラスの電流ケーブルを、他方端側の電流端子に
マイナスの電流ケーブルが接続されることになる。
【0052】従って、従来のように、積層方向の外周部
即ち側面側で電流ケーブルと接続する場合に比べて、側
面側のスペースを接続に使用しないため、燃料電池の側
面側をコンパクトに構成することができる。又、複数個
の燃料電池を直列に接続する場合には、同一端面側に両
極の電流端子が併存するよりも、両端側にそれれぞれ一
方の電流端子が在る方が、却って、一方の燃料電池のプ
ラス側と他方の燃料電池のマイナス側とを近距離で接続
できるという利点がある。
【0053】実施の形態12.実施の形態12は、上記
実施の形態11のように、陰極側及び陽極側の集電板
4,5にそれぞれ接続した導電体74、75の延長端部
を積層体1の積層方向の外側に引出して電流端子とする
ものであるが、上記実施の形態11と異なる点は、何れ
か一方の導電体の延在端部を、積層方向の内側方向即ち
積層体1の内部を貫いて他方端側の外側に引出して、他
方の導電体の延在端部が引出されている同じ積層体端面
に両電極の電流端子を併存させる構成としたものであ
る。これを図14に基づいて説明する。図14の(A)
はその断面図、(B)はその底面図である。
【0054】図14の(A)、(B)において、図示の
例では、積層体1の一方端側に位置する一方の集電板と
しての例えば陰極側集電板5に接続された導電体75の
延在端部を、積層体1の単セルとセパレータとが交互に
積層された積層体1の内部側から積層体1の他方端側の
陰極側集電板4及び電気絶縁板10を貫いて、当該他方
端側の外側に引出している。尚、その他の構成は上記実
施の形態11と同様である。
【0055】上記実施の形態12によれば、積層体の何
れか一方端側の端面に、両極の電流端子を並んで併存さ
せることができるので、燃料電池への電流ケーブルの接
続作業を同一面に対して行うことができ、接続作業が容
易になると共に、従来のように、離れた反対側の主表面
に位置している電流端子へ電流ケーブルを引き回す必要
がなくなるので、短い電流ケーブルで所要の接続を行う
ことができる。
【0056】実施の形態13.実施の形態13は、積層
体1を貫通すシャフトを備えた上記実施の形態11の燃
料電池において、積層体1の両端側にそれぞれ引出され
た導電体のうち、何れか一方端側の導電体の延在端部
を、当該一方端側に突出させた最寄りのシャフトの端部
に接続し、接続された当該シャフトの他方端を、当該導
電体が接続された集電板の電流端子として構成したもの
である。これを図17に基づいて説明する。図17の
(A)はその断面図、(B)は底面図である。
【0057】図17の(A)、(B)において、上記実
施の形態11の場合と同様に、陽極側集電板4と陰極側
集電板5とにそれぞれに接続された陽極側導電体74と
陰極側導電体75とを、それぞれ最寄りの積層体1の端
面にそれぞれ延在させる。こうして延在させた両導電体
74,75の何れか一方の延在端部、この実施の形態で
は、陰極側導電体75の延在端部を、当該端面側におい
て、最寄りの1本のシャフト62の端部に接続して、当
該シャフト62(63)の他方の端部を陰極側電流端子
750としてある。図中の符号66は陰極側導電体75
の延在端部とシャフト62の端部とに架け渡された電気
的接続手段としての接続板である。
【0058】上記実施の形態13によれば、積層体1の
両端面の内何れか一方の同一端面側に両極の電流端子7
4,750を併存させることができるので、上記実施の
形態12と同様の作用効果を発揮させることができる。
又、この実施の形態13では、上記実施の形態12のよ
うに導電体74,75の一方をわざわざ積層体1の内部
に貫通させる必要はなく、既存のシャフト62を導電体
として利用しているので、上記実施の形態12の燃料電
池に比べて、構造が簡易となり、製造コストを低減させ
ることができる。
【0059】上記実施の形態11乃至13における導電
体74,75は、文字通り、導電体であれば如何なる形
態の部材を用いてもよいが、上記実施の形態11乃至1
3では、図示のような丸棒状で、剛性を備えた棒状部材
(以下、集電棒ともいう)を用いている。以下、この集電
棒74,75を実施の形態12を示す図15及び図16
に基づいて説明する。図15は陽極側集電板と陽極側導
電体を示す図であり、(A)はその側面図、(B)はそ
の底面図、図16は陰極側集電板と陰極側導電体を示す
図であり、(A)はその側面図、(B)はその底面図で
ある。
【0060】図15及び図16において、導電体として
の集電棒74,75は何れも集電板4,5の板面に対し
て直交するよう垂直に、即ち積層方向に向けて接続され
ている。この集電棒74,75は、集電板4,5と同様
に、ステンレスや銅等の金属で構成されており一般的な
溶接手段を用いて接続される。この形態に示す集電棒7
4,75は、その端部にネジが形成されており、ナット
9やばねワッシャー等を用いて、電流ケーブル(非図示)
と容易に接続できるように構成している。
【0061】このように、導電体として集電棒を用いて
上記実施の形態12のように、一方の集電棒(導電体7
5)を積層体1の積層方向に向けて垂直に貫通させた構
成とすると、積層体1を構成する単セル11やセパレー
タ12等の組み立ての際には、位置合わせするためのガ
イド棒として活用することができると共に、組み立て後
には、単セル11やセパレータ12の位置ずれを防止す
る機能を発揮させることができる。
【0062】又、上記実施の形態11乃至13の燃料電
池を用いて電源を構成すると、各燃料電池自体の側面が
コンパク化されるので、小スペースに効率よく収めるこ
とができ、しかも、配線(電流ケーブル)の全長を短く
できるので、容積の小さいコンパクトな電源を提供する
ことができる。
【0063】
【発明の効果】請求項1乃至請求項12の各発明によれ
ば、何れも、電流端子が積層体の外周部(側面側)に突
き出ること無く、積層方向の端面側において近接した位
置に配設されるので、電気配線が簡単になり、長い電流
ケーブルが不要になる。又、従来では積層体を面圧する
為だけに用いられていたシャフトを電流端子として用い
ているので、構成部品点数が少なくて済み、製造コスト
が低く、コンパクトな燃料電池及びその燃料電池を用い
た電源を提供することができる。
【0064】請求項3、請求項4の各発明によれば、何
れも、積層体の数を変化させるだけで、外部の電流ケー
ブルの取り合いを変化させること無く、電流と電圧とを
変化させることができる。従って、電流や電圧の要求ス
ペックが異なる場合でも、同じ形状の単セルやセパレー
タを用いて燃料電池積層体を構成することができ、低コ
ストの電源を提供することができる。
【0065】請求項5の発明によれば、溶接されている
ので、電気的接続が確実となる。
【0066】請求項6の発明によれば、組立て作業或い
は交換作業において、シャフトを容易に取付けたり取り
外したりすることができる。
【0067】請求項7の発明によれば、電流ケーブルと
の接続或いは取外しを容易に行うことができる。
【0068】請求項8の発明によれば、従来積層体の押
圧用としてのみ用いられていた押え板を集電板として兼
用したるので、構成部品点数が削減され、組立てが容易
となり、製造コストを低減することができる。
【0069】請求項9乃至請求項12の発明によれば、
比較的短い連結子や電流ケーブルを用いるだけで、燃料
電池間の配線を行うことができ、しかも、全体の形状も
自由に選択することができるので、限られた収納空間に
燃料電池を効率的に収納でき、コンパクトな電源を提供
することができる。
【0070】請求項12の発明によれば、複数の燃料電
池の配線を最短のループを描くように構成することがで
きるので、陽極側電流端子と陰極側電流端子とを近接さ
せることができ、コンパクトな電源を提供することがで
きる。
【0071】請求項13の発明によれば、陽極側及び陰
極側集電板からそれぞれ最寄りの積層方向の端面に引出
された導電体の延在端部を電流端子としているので、従
来の燃料電池のように、積層方向の外周部(側面側)で
電流ケーブルと接続する場合に比べて、側面側のスペー
スを接続に使用しないため、燃料電池の側面側をコンパ
クトに構成することができる。又、複数個の燃料電池を
直列に接続する場合には、同じ端面よりも反対側の端面
側に他方の電流端子がある方が、一方の燃料電池のプラ
ス側と他方の燃料電池のマイナス側とを近距離で接続す
ることができる。
【0072】請求項14の発明によれば、積層方向の何
れか一方の端面側において近接した位置に両極の電流端
子が配設されるので、電気配線が簡単になり、長い電流
ケーブルが不要になる。又、燃料電池への電流ケーブル
の接続作業を同一面に対して行うことができるので接続
作業が容易になると共に、従来のように、離れた反対側
の主表面に位置している電流端子へ電流ケーブルを引き
回す必要がなくなり、短い電流ケーブルで所要の接続を
行うことができる。
【0073】請求項15の発明によれば、積層体の何れ
か一方の端面に両極の電流端子を併存させることができ
るので、上記請求項14の発明と同様の作用効果を発揮
させることができる。しかも、この請求項15の発明に
よれば、既存のシャフトを一方の導電体として利用して
いるので、請求項14の発明に比べて、構造が簡易とな
り、製造コストを低減させることができる。
【0074】請求項16の発明によれば、請求項14の
発明の燃料電池において、一方の集電棒が積層体を貫通
した構成となるでの、当該集電棒を、単セルやセパレー
タ等の組み立ての際に、位置合わせするためのガイド棒
として活用できると共に、組み立て後には、単セルやセ
パレータの位置ずれを防止する機能を発揮させることが
できる。
【0075】請求項17の発明によれば、比較的短い連
結子や電流ケーブルを用いるだけで、燃料電池間の配線
を行うことができ、しかも、各燃料電池の側面側がコン
パクトになるので、限られた収納空間に燃料電池を効率
的に収納でき、コンパクトな電源を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の燃料電池を示す図で、(A)
はその平面図、(B)はその断面図である。
【図2】 セパレータの平面図である。
【図3】 実施の形態2の接合部を示す図で、(A)は
拡大して示した横断面図、(B)はその縦断面図であ
る。
【図4】 実施の形態3の接合部を拡大して示した断面
図である。
【図5】 実施の形態4の接合部を拡大して示した断面
図である。
【図6】 実施の形態5の接合部を示す図で、(A)は
その平面図、(B)はその断面図である。
【図7】 実施の形態6の燃料電池の配置の構成例を示
す図で、(A)はその平面図、(B)はその断面図であ
る。
【図8】 実施の形態7を示す燃料電池の配置の構成例
を示す断面図である。
【図9】 実施の形態8を示す燃料電池の配置の構成例
を示す断面図である。
【図10】 実施の形態9の燃料電池の配置の構成例を
示す図で、(A)はその平面図、(B)はその断面図で
ある。
【図11】 実施の形態10の燃料電池ブロックを2つ
連結した例を示す図で、(A)はその平面図、(B)は
その断面図である。
【図12】 実施の形態10の燃料電池ブロックを3つ
連結した例を示す図で、(A)はその平面図、(B)は
その断面図である。
【図13】 実施の形態11の燃料電池を示す図で、
(A)はその断面図、(B)はその底面図である。
【図14】 実施の形態12の燃料電池を示す図で、
(A)はその断面図、(B)はその底面図である。
【図15】 実施の形態12の陽極側集電棒を示す図
で、(A)はその側面図、(B)はその底面図である。
【図16】 実施の形態12の陰極側集電棒を示す図
で、(A)はその側面図、(B)はその底面図である。
【図17】 実施の形態13の燃料電池を示す図で、
(A)はその断面図、(B)はその底面図である。
【図18】 従来の燃料電池を示す図で、(A)はその
平面図、(B)はその断面図である。
【符号の説明】
1 積層体、2 陽極側のシャフト、3 陰極側のシャ
フト、4 陽極側集電板(集電板)、5 陰極側集電板
(集電板)、7 板バネ、8 押さ板、9 ナット、10
電気絶縁板、11 単セル、12 セパレータ、13
接合部(陽極側集電板と陽極側のシャフト)、14
接合部(陰極側集電板と陰極側のシャフト)、15 陽
極側電流端子(電流端子)、16 陰極側電流端子(電
流端子)、17 溶接部、19 電気接面摺動部分、2
1 ワッシャー、22 電流ケーブル、23 ナット、
30 ネジ部分、31 燃料電池、32 横手方向の連
結子、33 長手方向の連結子、34 絶縁キャップ、
35 斜め方向の接続子、36 積層体(燃料電池ブロ
ック)、37 陽極側ブロック集電板、38 陰極側ブ
ロック集電板、39 電気絶縁板、62,63 シャフ
ト、66 接続板(電気的接続部材)74 陽極側導電体
(導電体)、75 陰極側導電体(導電体)、750 陰極
側電流端子。
フロントページの続き (72)発明者 林 龍也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 小田 啓介 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 福本 久敏 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 濱野 浩司 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA04 AA06 AA08 CC08 CX09

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単セルとセパレータとが交互に積層さ
    れ、積層された一方端側に陽極側集電板、他方端側に陰
    極側集電板を有する積層体を備えた燃料電池において、 前記積層体の積層方向に2本の導電体を通し、前記一方
    の導電体に陽極側集電板を、他方の導電体に陰極側集電
    板をそれぞれ電気的に接続し、前記一方の導電体の端部
    を陽極側電流端子、他方の導電体の端部を陰極側電流端
    子としたことを特徴とする燃料電池。
  2. 【請求項2】 電解質膜を燃料電極及び酸化剤電極で挟
    持してなり、主表面に少なくとも2つの貫通孔を有する
    単セルと、前記燃料電極に燃料流体を供給するために流
    体供給口から流体排出口までを並行する複数の燃料流路
    と前記酸化剤電極に酸化剤流体を供給するために流体供
    給口から流体排出口までを並行する複数の酸化剤流路を
    備え、主表面に少なくとも2つの貫通孔を有するセパレ
    ータとを順次積層し、更に、主表面に少なくとも2つの
    貫通孔を有する陽極側集電板及び陰極側集電板で挟んで
    積層体を構成し、前記2つの貫通孔にそれぞれシャフト
    を挿嵌すると共に、前記陽極側集電板と一方のシャフト
    とを電気的に接続し、前記陰極側集電板と他方のシャフ
    トとを電気的に接続して、前記2本のシャフトの端部を
    電流端子としたことを特徴とする燃料電池。
  3. 【請求項3】 単セルとセパレータとが交互に積層さ
    れ、積層された一方端側に陽極側集電板、他方端側に陰
    極側集電板を有する積層体を備えた燃料電池において、 前記積層体を積層方向に電気絶縁板を介して重ね、重ね
    られた複数の積層体の積層方向に2本のシャフトを通
    し、前記一方のシャフトに各積層体の陽極側集電板を、
    他方のシャフトに各積層体の陰極側集電板をそれぞれ電
    気的に接続し、前記一方のシャフトの端部を陽極側電流
    端子、他方のシャフトの端部を陰極側電流端子としたこ
    とを特徴とする燃料電池。
  4. 【請求項4】 電解質膜を燃料電極及び酸化剤電極で挟
    持してなり、主表面に少なくとも2つの貫通孔を有する
    単セルと、前記燃料電極に燃料流体を供給するために流
    体供給口から流体排出口までを並行する複数の燃料流路
    と前記酸化剤電極に酸化剤流体を供給するために流体供
    給口から流体排出口までを並行する複数の酸化剤流路を
    備え、主表面に少なくとも2つの貫通孔を有するセパレ
    ータとを順次積層し、更に、主表面に少なくとも2つの
    貫通孔を有する陽極側集電板及び陰極側集電板で挟んで
    積層体を構成し、主表面に少なくとも2つの貫通孔を有
    する電気絶縁体を介して、前記積層体を少なくとも2つ
    連結し、前記2つの貫通孔にそれぞれシャフトを挿嵌す
    ると共に、全ての積層体の陽極側集電板とシャフトの1
    本を電気的に接続し、全ての積層体の陰極側集電板と他
    方のシャフトとを電気的に接続し、前記2本のシャフト
    の端部を電流端子としたことを特徴とする燃料電池。
  5. 【請求項5】 陽極側集電板及び陰極側集電板と相応す
    るシャフトとの接続部は、溶接による接続であることを
    特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の燃料
    電池。
  6. 【請求項6】 陽極側集電板及び陰極側集電板と相応す
    るシャフトとの接続部は、シャフトの抜き差しが可能な
    摺動接触であることを特徴とする請求項1乃至請求項4
    の何れかに記載の燃料電池。
  7. 【請求項7】 シャフトの端部は、当該端部に螺合する
    着脱自在なナットを介して電流ケーブルと着脱自在に構
    成したことを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか
    に記載の燃料電池。
  8. 【請求項8】 陽極側集電板及び陰極側集電板は、積層
    体の両端側に配設された押え板を兼用したことを特徴と
    する請求項1乃至請求項7の何れかに記載の燃料電池。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至請求項8の何れかに記載の
    燃料電池を、シャフトの軸が横並びとなる方向に並べ、
    隣り合う燃料電池の陽極側電流端子と陰極側電流端子と
    を連結子を介して接続したことを特徴とする電源。
  10. 【請求項10】 請求項1乃至請求項8の何れかに記載
    の燃料電池を、シャフトの軸が縦並びとなる方向であっ
    て、前後の燃料電池の陽極側電流端子及び陰極側電流端
    子の極性が異極となるように並べ、前後の燃料電池の所
    要の陽極側電流端子と陰極側電流端子とを連結子を介し
    て接続させたことを特徴とする電源。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至請求項8の何れかに記載
    の燃料電池を、シャフトの軸が縦並びとなる方向であっ
    て、前後の燃料電池の陽極側電流端子及び陰極側電流端
    子の極性が同極となるように並べ、前後の燃料電池の所
    要の陽極側電流端子と陰極側電流端子とを連結子を介し
    て接続させたことを特徴とする電源。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至請求項8の何れかに記載
    の燃料電池を、シャフトの軸が横並びとなる横方向に並
    べ、隣り合う燃料電池の陽極側電流端子と陰極側電流端
    子とを連結子を介して接続して組み合わせた横組み燃料
    電池を、シャフトの軸方向に縦に並べ、前後の横組み燃
    料電池を連結子を介して接続したことを特徴とする電
    源。
  13. 【請求項13】 内側に単セルとセパレータとが交互に
    積層され、積層された一方端側に陽極側集電板、他方端
    側に陰極側集電板を有する積層体を備えた燃料電池にお
    いて、 前記陽極側集電板と陰極側集電板のそれぞれに接続され
    た陽極側導電体と陰極側導電体とを、最寄りの積層体端
    面にそれぞれ延在させ、当該両導電体の延在端部をそれ
    ぞれ電流端子としたことを特徴とする燃料電池。
  14. 【請求項14】 内側に単セルとセパレータとが交互に
    積層され、積層された一方端側に陽極側集電板、他方端
    側に陰極側集電板を有する積層体を備えた燃料電池にお
    いて、 前記陽極側集電板と陰極側集電板のそれぞれに接続され
    た陽極側導電体と陰極側導電体との何れか一方の導電体
    を寄りの積層体端面に延在させると共に、他方の導電体
    を、前記の積層された単セルとセパレータ及び前記一方
    の導電体が接続された集電板を貫通して、前記一方の導
    電体が延在されたと同じ前記積層体端面に延在させ、当
    該両導電体の延在端部を電流端子としたことを特徴とす
    る燃料電池。
  15. 【請求項15】 内側に単セルとセパレータとが交互に
    積層され、積層された一方端側に陽極側集電板、他方端
    側に陰極側集電板を有する積層体と、当該積層体を積層
    方向に貫通するシャフトとを備えた燃料電池において、 前記陽極側集電板と陰極側集電板のそれぞれに接続され
    た陽極側導電体と陰極側導電体とをそれぞれ最寄りの積
    層体端面に延在させ、当該両導電体の一方の延在端部を
    一方の電流端子とすると共に、当該両導電体の他方の延
    在端部を最寄りのシャフトの端部に接続し、当該シャフ
    トの他方の端部を電流端子としたことを特徴とする燃料
    電池。
  16. 【請求項16】 導電体は、棒状部材であって、陽極側
    集電板及び陰極側集電板集電板に対して垂直に接続され
    たことを特徴とする請求項13乃至請求項15の何れか
    に記載の燃料電池。
  17. 【請求項17】 請求項13乃至請求項16の何れかの
    燃料電池を用いて構成されたことを特徴とする電源。
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