JP2001222933A - 真空バルブ用接点材料及びその製造方法 - Google Patents
真空バルブ用接点材料及びその製造方法Info
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Abstract
真空バルブ用接点材料を得ること。 【解決手段】 導電棒5,6の一端にそれぞれ設けられ
る一対の電極7,8に取付けられた接点13a、13b
の材料として、90〜98wt%の含有量でCuを主成
分とする導電成分と、10〜2wt%の含有量のBを有
する材料とする。
Description
大電流通電特性に優れた真空バルブ用接点材料及びその
製造方法に関する。
真空中で電流遮断を行わせる真空バルブの接点は、対向
する固定、可動の2つの接点から構成されている。真空
バルブ用接点は、主として溶解法または焼結溶浸法によ
って作られる。溶解法によって作られる接点にはCuを
主成分として、これにBi,TeおよびSeのような耐
溶着性改善成分が添加されたCu−Bi系接点およびC
u−Te−Se系接点等があり、低電圧領域での大電流
遮断に用いられる。一方焼結系接点には、CuにCrや
Wなどの高融点成分が複合化されたCu−Cr系接点お
よびCu−W系接点等がある。 Cu−Cr系接点は優
れた遮断性能を有し、汎用、高耐圧用の遮断器用接点と
して使用される。特にCu−25wt%Cr接点は通電
特性も優れ、定格電流の大きい遮断器に向いている。ま
たCu−W接点は、遮断能力はあまり期待できないが、
卓越した耐電圧特性を有し、高耐圧用開閉器として使用
されている。また、Agに同様に高融点成分であるWC
を複合化したAg−WC系接点は、低サージ真空遮断器
用接点としてよく知られている。
は、通常の定格電流の通電と、事故電流発生時の大電流
遮断特性が要求される。このような汎用の真空バルブ用
接点には、一般的にCu−Cr接点が用いられている
が、近年の磁界発生電極の構造の改善により、遮断特性
は大幅に改善され、遮断性能の観点からは、大きな接点
径を必要としなくなった。しかしながら、接点材料の通
電特性は、電極構造によって改善するのは困難で、むし
ろ構造が複雑化する磁界発生電極のため通電性能は低下
している。そこで、接点材料の固有抵抗および接触抵抗
の低減が求められている。本発明の目的は、優れた遮断
特性と通電特性を兼備した真空バルブ用接点材料及びそ
の製造方法を提供することにある。
をCrより遮断性能改善効果の大きい元素とすることで
耐弧成分を少量化し、遮断性能を低下させることなく通
電性能を向上させることにより上記課題を解決した。さ
らに、耐弧成分の遮断性能改善効果は適度な融点および
沸点を有する耐弧成分の中では、原子量が軽いほど有利
であることを見出し、これらの条件を満たすB(ホウ
素)を耐弧成分としての適用したCu−B系接点材料が
有効であるとの知見を得た。すなわち、請求項1記載の
真空バルブ用接点材料では、90〜98wt%の含有量
でCuを主成分とする導電性分と、10〜2wt%の含
有量のBで構成されることを特徴とする。このような構
成において、Crより遮断性能改善効果の優れたBを使
用することにより、Cu−25wt%Cr接点より少な
い体積率の耐弧成分で同等以上の遮断性能が得られ、通
電性能の改善が可能となる。請求項2記載の真空バルブ
用接点材料では、導電成分がB含有量の1〜20wt%
のCr及びLaの内のいずれか一方を含むCu基の合金
であることを特徴とする。この構成により、B粒子表面
が優れた熱電子放出能力を有するほう化Crあるいはほ
う化Laとなり、優れた低サージ性を発揮させる事が可
能となる。
は、導電成分中にB相を高度に微細分散させ、当該Bの
平均粒子径を10μm以下としたことを特徴とする。こ
のようなB相の存在形態により、遮断時の接点表面の局
部的な温度上昇を防ぐ事が可能となる。一方、本発明者
らは、上述したようなCu−B系接点材料を以下の方法
で製造するのが有効であることを見出した。すなわち、
請求項4記載の真空バルブ用接点材料の製造方法は、真
空雰囲気下でCu溶湯中にBまたはBを主成分とする物
質を溶解することを特徴とする。Cu−B2元系合金は
共晶合金であり、溶解法により容易にBをCu中に微細
分散させることが可能となる。尚、Bは活性な成分であ
るため、溶解は真空中で行なうことが必要である。請求
項5記載の真空バルブ用接点材料の製造方法は、少なく
ともB粉末またはB粉末を主成分とする粉末を予め成形
して多孔質のスケルトンを形成し、当該スケルトンの空
隙にCuまたはCuを主成分とする合金を真空中で溶浸
させることを特徴とする。CuとBは相互の濡れ性が良
いので、溶浸法により容易に製造が可能である。さら
に、Bは前述したように活性な元素であるので、溶浸は
真空下で行なうのが最も好ましく、スケルトンの溶浸を
真空雰囲気好ましくは1×10− 1Paより低い圧力下
で行うのが理想的である。
造方法は、B粉末とCu粉末を主成分とする混合粉末を
成形した後、高真空中で焼結することによっても製造す
ることは可能である。この場合、焼結は1×10−1P
aより低い圧力下で行うのが理想的である。さらに、成
形、焼結を複数回繰り返すようにすれば、接点材料中の
欠陥の量を最小限に抑える事ができる。
体的に説明する。 (供試真空バルブの構成)図1は、本実施例を説明する
ための真空バルブの断面図、図2は図1の電極部分の拡
大断面図である。図1において、遮断室1は、絶縁材料
によりほぼ円筒状に形成された絶縁容器2と、この両端
に封止金具3a、3bを介して設けた金属製の蓋体4
a、4bとで真空気密に構成されている。遮断室1内に
は、導電棒5,6の対向する端部に取付けられた一対の
電極7,8が配設され、上部の電極7を固定電極、下部
の電極8を可動電極としている。また、この電極8の電
極棒6には、ベローズ9が取付けられ遮断室1内を真空
気密に保持しながら電極8の軸方向の移動を可能にして
いる。また、このベローズ9上部には金属製のアークシ
ールド10が設けられ、ベローズ9がアーク蒸気で覆わ
れることを防止している。また、電極7,8を覆うよう
に、遮断室1内に金属製のアークシールド11が設けら
れ、これにより絶縁容器2がアーク蒸気で覆われること
を防止している。さらに、電極8は、図2に拡大して示
す如く、導電棒6にろう付け部12によって固定される
か、又はかしめによって圧着接続されている。接点13
aは電極8にろう付け14によってろう付けで取付けら
れる。なお、接点13bは、電極7にろう付けにより取
付けられる。
を得た評価方法、および評価条件について説明する。こ
こで、表1に各接点の製造条件、組成および特性を示し
た。 (1)大電流遮断特性 遮断試験をJEC規格の5号試験により行い、これによ
り遮断特性を評価した。 (2)通電特性 通電電流1000Aで、真空バルブの温度が一定となる
まで行い、その温度上昇値により評価した。表2に通電
特性として、比較例3の温度上昇値を1.0とした場合
の相対値を示し、この相対値が0.8未満のものを合格
とした。 (3)電流裁断特性 実施例7および比較例5以降では、上記項目に加えて電
流裁断特性についても評価した。各接点を取付けて10
−5Pa以下に排気した組立て式バルブを製作し、この
装置を0.8m/秒の開極速度で開極させ遅れ小電流を
遮断した時の裁断電流を測定した。遮断電流は、20A
(実効値)、50Hzとした。開極位相はランダムに行
い、500回遮断されたときの裁断電流を接点数3個に
つき測定し、その最大値を表2に示した。尚数値は、比
較例3の裁断電流値の最大値を1.0とした場合の相対
値で示し、この相対値が0.5未満のものを合格とし
た。
説明する。製造は以下の3通りの方法で行なった。 (A)真空溶解法 無酸素銅を真空中で誘導溶解し、溶湯中に純度99.9
%の塊状のBを所定量添加することにより製造 (B)焼結溶浸法 まず所定粒径のBの所定量を用意し、場合によっては所
定粒径のCuの所定量の一部を用意して混合し、加圧成
形して粉末成形体を得る。ついで、この粉末成形体を所
定温度で所定時間、例えば1150℃、1時間の条件に
て1×10− 1Paより高真空中で、仮焼結し、仮焼結
体を得る。ついで、この仮焼結体の残存空孔中にCuま
たはCu合金を、1×10−1Paより高真空中で、1
150℃、1時間で溶浸し所定の合金を得る。Cu等の
溶浸素材は、所定温度で、所定比率で真空溶解して得た
インゴットを切断して用いた。 (C)固相焼結法 まず所定粒径のBの所定量と、所定粒径のCuの所定量
とを混合し、8tonで加圧成形して粉末成形体を得
る。ついで、この粉末成形体を所定温度で所定時間、例
えば1050℃、8時間の条件にて1×10−1Paよ
り高真空中で仮焼結し、焼結体を得る。焼結、プレスを
2回繰り返す実施例7では1回目の成形圧力を4to
n、2回目の成形圧力を8tonとした。
る特性データについて、表1を参照しながら説明する。
てB含有量の異なるCu−Bを作製した。また、Cu−
B合金と比較のため、固相焼結法によりCu−25wt
%Cr合金も作製した。B含有量が2〜10wt%の範
囲にある実施例1および2は、遮断特性、通電特性、裁
断特性ともに良好であるが、B含有量が約15wt%の
比較例1はB添加量が多すぎるため通電特性が不十分で
あり、また、 B含有量が約1wt%の比較例2はB添
加量が少なすぎるため遮断性能が不合格となっている。
また、比較のため作製したCu−25wt%Cr合金も
遮断性能が不合格となっている。 (実施例3,4および比較例4)真空溶解法によってB
含有量10wt%のCu−Bインゴットを数本作製し、
このインゴットの内のいくつかを熱処理によりB相の粒
子を成長させ異なる粒子径のCu−B素材を得た。熱処
理を行なっていないB粒子径が5μmの実施例3および
熱処理によって粒子径を10μmとした実施例4は、遮
断特性、通電特性、裁断特性ともに良好であるが、B粒
子径が15μmとなるまで熱処理した比較例4ではB粒
子径が大きすぎるため十分な遮断特性が得られず不合格
となっている。
の実施例は真空溶解法で作製したCu−B合金について
示したが、焼結溶浸法および固相焼結法でも作製し、評
価した。真空中で製造した実施例5および6は良好な効
果が得られているが、水素雰囲気中で製造した比較例5
および6は水素含有量が高く、遮断特性が不合格となっ
ている。また、固相焼結において、焼結と溶浸を2回繰
り返した実施例7では、1回の場合に比べ、水素含有量
が低く抑えられ良好である。 (実施例8〜11および比較例7〜10)焼結溶浸法に
よってBスケルトン中にCr含有量の異なるCu−Cr
合金を溶浸することにより、Cuの溶浸とともにB粒子
表面をCrほう化物に変化させた。接点中のB含有量に
対するCr含有量の割合が1〜20wt%の範囲にある
実施例8および9は、遮断特性、通電特性、裁断特性と
もに良好であるが、この割合が1wt%以下の比較例7
ではB表面が完全にCrほう化物に変化していないた
め、十分な低裁断性が得られず、また多すぎる比較例8
では表面がCr−richとなりすぎたため十分な熱電
子放出特性が得られず不合格となっている。LaをCu
溶浸材に添加した実施例10,11および比較例9,1
0についても同様な結果が、得られている
り遮断性能改善効果の大きいBを耐弧成分としてCuに
複合化したのでより少量の耐弧成分量で所定の遮断性能
が得られ、通電特性を改善することが可能となり、大電
流遮断特性、大電流通電特性を向上させた真空バルブ用
接点材料を得ることができる。
ス中にB相が微細分散された組織を形成することがで
き、より安価に真空バルブ用Cu−B系接点材料を製造
することができる。
用接点材料が適用される真空バルブの断面図。
Claims (6)
- 【請求項1】 90〜98wt%の含有量でCuを主成
分とする導電成分と、10〜2wt%の含有量のBを有
することを特徴とする真空バルブ用接点材料。 - 【請求項2】 前記導電成分は、前記Bの含有量の1〜
20wt%のCr及びLaの内のいずれか一方を含むC
u基の合金であることを特徴とする請求項1記載の真空
バルブ用接点材料。 - 【請求項3】 前記導電成分中に粒子状のB相を高度に
微細分散させ、当該Bの平均粒子径を10μm以下とし
たことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の真空バ
ルブ用接点材料。 - 【請求項4】 真空雰囲気下でCu溶湯中にBまたはB
を主成分とする物質を溶解させることを特徴とする真空
バルブ用接点材料の製造方法。 - 【請求項5】 少なくともB粉末またはB粉末を主成分
とする粉末を予め成形して多孔質のスケルトンを形成
し、当該スケルトンの空隙にCuまたはCuを主成分と
する合金を真空中で溶浸させることを特徴とする真空バ
ルブ用接点材料の製造方法。 - 【請求項6】 B粉末とCu粉末を主成分とする混合粉
末を成形した後、当該粉末成形体を高真空中で焼結させ
ることを特徴とする真空バルブ用接点材料の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2000030073A JP2001222933A (ja) | 2000-02-08 | 2000-02-08 | 真空バルブ用接点材料及びその製造方法 |
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