JP2001221197A - 遠心式送風機 - Google Patents

遠心式送風機

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JP2001221197A
JP2001221197A JP2000038217A JP2000038217A JP2001221197A JP 2001221197 A JP2001221197 A JP 2001221197A JP 2000038217 A JP2000038217 A JP 2000038217A JP 2000038217 A JP2000038217 A JP 2000038217A JP 2001221197 A JP2001221197 A JP 2001221197A
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雅晴 酒井
Kazutoshi Kuwayama
和利 桑山
Koji Ito
伊藤  功治
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ラジアルファン(60°<ファン出口角β<
120°)に適した送風機を提供する。 【解決手段】 スクロールケーシングの縦拡大部74
d、74eのうち吸入口75側における拡大寸法HUP
を吸入口75と反対側にける拡大寸法HLRの0.4倍
未満(0<HUP/HLR<0.4)とするとともに、
吸入口75側において流量断面積を拡大させる拡大部分
74dを、ケーシング74の巻き終わり部からノーズ部
74cに至る範囲を起点として吹出口74b側に向けて
形成し、かつ、吸入口75と反対側において流量断面積
を拡大させる拡大部分74eを、ノーズ部74cからフ
ァン72の回転の向きに略60°の範囲を起点として吹
出口74b側に向けて形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遠心式多翼ファン
を有する遠心式送風機(以下、送風機と略す。)に関す
るもので、車両用空調装置に適用して有効である。
【0002】
【従来の技術】遠心式多翼ファン(以下、ファンと略
す。)は、軸方向から吸入した空気を遠心力により径外
方側に吹き出すものであるので、ファンを収納するスク
ロールケーシングは、ファンの回転方向前進側に向かう
ほど流路断面積(空気通路断面積)が拡大するように、
渦巻き状に形成されている。
【0003】そこで、出願人は、特開平7−20839
6号公報に記載の発明のごとく、流路断面積を径方向に
加えて、回転軸と平行な方向にも拡大させることによ
り、送風機の小型化及び送風量の向上を図っている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、送風機の消
費動力(消費電力)の低減を図るべく、発明者等は、フ
ァン出口角βが比較的大きい(60°<β<120°)
ラジアルファンを用いた送風機を試験研究していたが、
上記公報に記載の発明は、ファン出口角βが比較的小さ
い(ファン出口角βが60°以下)シロッコファンに関
するものであるので、上記公報に記載の発明をラジアル
ファンに対してそのまま適用することができない。
【0005】なお、ファン出口角βとは、図10に示す
ように、翼(ブレード)71とファン72の外径縁との
交差角度であって、ファン72の回転方向前進側から測
定した角度を言う。
【0006】本発明は、上記点に鑑み、ラジアルファン
に適した送風機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、請求項1に記載の発明では、回転軸周り
に多数枚の翼(71)を有し、回転軸の軸方向から吸入
した空気を径外方に向けて吹き出すとともに、翼(7
1)のファン出口角(β)が60°より大きく、かつ、
120°未満である遠心式多翼ファン(72)と、遠心
式多翼ファン(72)を収納するとともに遠心式多翼フ
ァン(72)から吹き出した空気が流れる渦巻き状の空
気流路(74a)を構成し、軸方向一端側に吸入口(7
5)を有し、かつ、渦巻の巻き終わり部より空気流れ下
流側に吹出口(74b)を有するスクロールケーシング
(74)とを備え、空気流路(74a)は、空気流れ下
流側の流路断面積が上流側より大きくなるように、回転
軸と平行な方向に拡大する拡大部(74d、74e)が
設けられており、さらに、拡大部(74d、74e)の
うち吸入口(75)側における拡大寸法(HUP)は、
吸入口(75)と反対側にける拡大寸法(HLR)の
0.4倍未満であることを特徴とする。
【0008】これにより、比騒音を十分に小さくするこ
とができるので、ラジアルファンに適した送風機を得る
ことができる。
【0009】ところで、ラジアルファンでは、翼(7
1)間の距離がファン外径側に向かうほど拡大するた
め、翼(71)間を流通する空気流れが不安定になり易
い。そこで、一般的に、翼(71)の長さを、ファン出
口角βの小さいシロッコファンより長くして、翼(7
1)間を流通する空気流れが不安定になることを防止し
ている。
【0010】このため、ラジアルファンでは、翼(7
1)の長さを長くせざるを得なく、空気が翼(71)間
に滞在する時間が長くなってしまうことに加えて、ファ
ンから吹き出す際の絶対速度がシロッコファンより小さ
いので、ファンから吹き出す空気は吸入口(75)と反
対側に偏ってしまう。
【0011】これに対して、請求項2に記載の発明で
は、拡大部(74d、74e)のうち吸入口(75)側
において流量断面積を拡大させる拡大部分(74d)
は、スクロールケーシング(74)の巻き終わり部近傍
からスクロールケーシング(74)のノーズ部(74
c)近傍に至る範囲内から吹出口(74b)側に向けて
形成されていることを特徴としている。
【0012】これにより、風量が増大するスクロールケ
ーシング(74)の巻き終わり部において、遠心式多翼
ファン(72)から吹き出す空気の動圧をスムーズに静
圧に変換することができるので、遠心式多翼ファン(7
2)から吹き出す空気の動圧を効率的に静圧に変換する
ことができ、遠心式送風機の効率及び送風量を増大させ
ることができる。
【0013】請求項3に記載の発明では、拡大部(74
d、74e)のうち吸入口(75)と反対側において流
量断面積を拡大させる拡大部分(74e)は、ノーズ部
(74c)から遠心式多翼ファン(72)の回転の向き
に略60°の範囲内から吹出口(74b)側に向けて形
成されていることを特徴とする。
【0014】これにより、遠心式多翼ファン(72)か
ら吹き出す空気の動圧を効率的に静圧に変換することが
できるので、遠心式送風機の効率及び送風量を増大させ
ることができる。
【0015】請求項4に記載の発明では、拡大部(74
d、74e)のうち吸入口(75)と反対側において流
量断面積を拡大させる拡大部分(74e)において、径
外方側の外径基準稜線(L1)の拡がり角(n1)に対
する径内方側の内径基準稜線(L2)の拡がり角(n
2)の比(n2/n1)が0.4より大きく、かつ、
0.8より小さいことを特徴とする。
【0016】これにより、比騒音を十分に小さくするこ
とができるので、ラジアルファンに適した送風機を得る
ことができる。
【0017】請求項5に記載の発明では、拡大部(74
d、74e)のうち吸入口(75)と反対側は、スクロ
ールケーシング(74)の最外周壁(74f)、吸入口
(74)と反対側に位置する底壁(74g)、及び遠心
式多翼ファン(72)の径外方側から最外周壁(74
f)に向かって傾斜しながら吸入口(74)と反対側に
延びる傾斜壁(74h)を有して構成されており、さら
に、底壁(74g)のうちスクロールケーシング(7
4)の径方向と平行な部位の長さ(d1)に対する、底
壁(74g)に平行な面に傾斜壁(74h)を投射した
ときのスクロールケーシング(74)の径方向と平行な
部位の長さ(d2)の比(d2/d1)は、0.3より
大きく、かつ、0.8より小さいことを特徴とする。
【0018】これにより、比騒音を十分に小さくするこ
とができるので、さらにラジアルファンに適した送風機
を得ることができる。
【0019】因みに、上記各手段の括弧内の符号は、後
述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す
一例である。
【0020】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)本実施形態は、
本発明に係る送風機を車両用空調装置の遠心式送風機に
適用したものであって、図1は、本実施形態に係る遠心
送風機(以下、送風機と略す。)を水冷エンジン搭載車
両の車両用空調装置1の模式図である。
【0021】空気流路をなす空調ケーシング2の空気上
流側部位には、車室内気を吸入するための内気吸入口3
と外気を吸入するための外気吸入口4とが形成されると
ともに、これらの吸入口3、4を選択的に開閉する吸入
口切換ドア5が設けられている。また、この吸入口切換
ドア5は、サーボモータ等の駆動手段または手動操作に
よって開閉される。
【0022】この吸入口切換ドア5の下流側部位には、
空気中の塵埃を取り除く、フィルタ(図示せず)及び本
実施形態に係る送風機7が配設されており、この送風機
7により両吸入口3、4から吸入された空気が、後述す
る各吹出口14、15、17に向けて送風される。
【0023】また、送風機7の空気下流側には、空気冷
却手段をなす蒸発器9が配設されており、送風機7によ
り送風された空気は全てこの蒸発器9を通過する。そし
て、蒸発器9の空気下流側には、空気加熱手段をなすヒ
ータコア10が配設されており、このヒータコア10
は、エンジン11の冷却水を熱源として空気を加熱して
いる。なお、図1に示された送風機は、模式図であり、
詳細は後述する。
【0024】また、空調ケーシング2には、ヒータコア
10を迂回するバイパス通路12が形成されており、ヒ
ータコア10の空気上流側には、ヒータコア10を通る
風量とバイパス通路12を通る風量との風量割合を調節
することにより、車室内に吹き出す空気の温度を調節す
るエアミックスドア13が配設されている。
【0025】また、空調ケーシング2の最下流側部位に
は、車室内乗員の上半身に空調空気を吹き出すためのフ
ェイス吹出口14と、車室内乗員の足元に空気を吹き出
すためのフット吹出口15と、フロントガラス16の内
面に向かって空気を吹き出すためのデフロスタ吹出口1
7とが形成されている。
【0026】そして、上記各吹出口14、15、17の
空気上流側部位には、それぞれ吹出モード切換ドア1
8、19、20が配設されている。なお、これらの吹出
モード切換ドア18、19、20は、サーボモータ等の
駆動手段または手動操作によって開閉される。
【0027】次に、送風機7について詳述する。
【0028】この送風機7は、図2に示すように、回転
軸方向から吸入した空気を径外方に向けて吹き出す遠心
式の送風機であり、72は回転軸周りに多数枚のブレー
ド71、及び復数枚のブレード71を保持するボス部7
1aを有する樹脂製(本実施形態では、ポリプロピレン
製)の遠心式多翼ファン(以下、ファンと略す。)であ
る。
【0029】そして、本実施形態では、ファン72は、
ブレード(翼)のファン出口角βが60°より大きく、
かつ、120°未満であるラジアルファンを採用してい
る。なお、ファン72は、電動モータ(以下、モータと
略す。)73によって回転駆動されており、送風量の制
御は、このモータ73の回転数を制御することによって
行われている。
【0030】74はファン72を収納するとともに、フ
ァン72から吹き出した空気が流通する空気流路74a
を構成するとともに、図3、4に示すように、ファン7
2の回転軸周りに渦巻き状に形成された樹脂製(本実施
形態では、ポリプロピレン製)のスクロールケーシング
(以下、ケーシングと略す。)であり、ケーシング74
の巻き終わり部位より空気流れ下流側には、空調ケーシ
ング2に連通する吹出口74bが形成されている。
【0031】そして、このケーシング74のうち回転軸
方向であって、モータ73の反対側には、図2に示すよ
うに、ケーシング74内に空気を導く吸入口75が開口
しており、この吸入口75の開口外縁部75aには、ベ
ルマウス形状に形成されたベルマウス76が形成されて
いる。
【0032】また、ブレード71のうち吸入口75側端
部には、回転軸方向の断面形状が吸入口75から径外方
に向けて転向する空気流れに沿うような形状を有する環
状のシュラウド77が形成され、一方、ケーシング74
のうちベルマウス76近傍には、シュラウド77と所定
の隙間77aを有して対向するとともに、ベルマウス7
6から径外方に向けてシュラウド77の形状に沿うよう
に滑らかに屈曲する対向屈曲壁78が形成されている。
【0033】ところで、ケーシング74の空気流路74
aは、空気流れ下流側(吹出口74b側)の流路断面積
が上流側(ケーシング74のノーズ部74c)より大き
くなるように、径方向(回転軸と直交する方向)に加え
て、図2に示すように、回転軸と平行な方向に拡大する
拡大部74d、74eが設けて流路断面積を徐々に拡大
させている。そして、本実施形態では、拡大部74d、
74eのうち吸入口75側における拡大寸法HUPを、
吸入口75と反対側にける拡大寸法HLRの0.4倍未
満(0<HUP/HLR<0.4)としている。
【0034】ここで、吸入口75側における拡大寸法H
UPとは、図3に示すように、ケーシング74の巻き終
わり側のうち、ファン72の回転中心(回転軸)に対応
する部位から吹出口74bに向けてファン72の外径寸
法D2だけずれた部位(以下、この部位を上方側拡大部
と呼ぶ。)において、図2に示すように、ケーシング7
4の吸入口75側内壁から上方側拡大部の内壁まで回転
軸と平行に図った寸法を言う。
【0035】また、吸入口75と反対側にける拡大寸法
HLRとは、ケーシング74の巻き終わり側のうち、フ
ァン72の回転中心(回転軸)に対応する部位から吹出
口74bに向けてファン72の外径寸法D2だけずれた
部位(以下、この部位を下方側拡大部と呼ぶ。)におい
て、ケーシング74の吸入口75と反対側の内壁から下
方側拡大部の内壁まで回転軸と平行に図った寸法を言
う。
【0036】さらに、本実施形態では、拡大部74d、
74eのうち吸入口75側において流量断面積を拡大さ
せる拡大部分74dは、ケーシング74の巻き終わり部
近傍から吹出口74b側に向けて形成され、一方、拡大
部74d、74eのうち吸入口75と反対側において流
量断面積を拡大させる拡大部分74eは、ケーシング7
4のノーズ部74c近傍からファン72の回転の向きに
略60°の範囲内から吹出口74b側に向けて形成され
ている。
【0037】なお、ノーズ部74cとは、周知のごと
く、ケーシング74の巻き始め側と巻き終わり側との重
なる部分を言い、このノーズ部74cでは、空気上流側
と空気下流とが、僅かな隙間(図示せず)を介して連通
している。
【0038】次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0039】図5の破線は、上記公報に記載のスクロー
ルケーシングにおいて、単純にファンをラジアルファン
としたときの最低比騒音を示す試験結果であり、図5の
実線は、本実施形態に係る送風機7の最低比騒音を示す
試験結果である。そして、図5から明らかなように、拡
大部74d、74eのうち吸入口75側における拡大寸
法HUPを、吸入口75と反対側にける拡大寸法HLR
の0.4倍未満とすれば、比騒音を十分に小さくするこ
とができる。
【0040】因みに、比騒音の定義は、JIS B 0
132によるものであり、試験方法はJIS B 83
40に準拠したものである。
【0041】ところで、ラジアルファンでは、ブレード
71間の距離がファン外径側に向かうほど拡大するた
め、ブレード71間を流通する空気流れが不安定になり
易い。そこで、一般的に、ブレード71の長さ(ブレー
ド71の寸法のうち空気流れに沿って図った寸法)を、
ファン出口角βの小さいシロッコファンより長くして、
ブレード71間を流通する空気流れが不安定になること
を防止している。
【0042】このため、ラジアルファンでは、ブレード
71の長さを長くせざるを得なく、空気がブレード71
間に滞在する時間が長くなってしまうことに加えて、フ
ァンから吹き出す際の絶対速度がシロッコファンより小
さいので、ファンから吹き出す空気は吸入口75と反対
側(下方側)に偏ってしまう。
【0043】これに対して、本実施形態にごとく、拡大
部74d、74eのうち吸入口75側において流量断面
積を拡大させる拡大部分74dを、ケーシング74の巻
き終わり部からノーズ部74c近傍に至る範囲を起点と
して吹出口74b側に向けて形成すれば、風量が増大す
るケーシング74の巻き終わり部において、ファン72
から吹き出す空気の動圧をスムーズに静圧に変換するこ
とができる。したがって、ファン72から吹き出す空気
の動圧を効率的に静圧に変換することができるので、送
風機7の効率及び送風量を増大させることができる。
【0044】一方、ラジアルファンでは、前述のごと
く、ファン72から吹き出す空気が吸入口75と反対側
(下方側)に偏っているので、本実施形態のごとく、拡
大部74d、74eのうち吸入口75と反対側において
流量断面積を拡大させる拡大部分74eを、ノーズ部7
4cからファン72の回転の向きに略60°の範囲を起
点として吹出口74b側に向けて形成すれば、ファン7
2から吹き出す空気の動圧を効率的に静圧に変換するこ
とができるので、送風機7の効率及び送風量を増大させ
ることができる。
【0045】(第2実施形態)第1実施形態では、回転
軸方向に流量断面積を拡大させる拡大部分74d、74
eの最適化を図ることにより送風機7の比騒音を低減し
たが、本実施形態は、径方向における流路断面積の拡大
を最適化することにより送風機7の比騒音を低減するも
のである。
【0046】そして、本実施形態では、吸入口75と反
対側において流量断面積を拡大させる拡大部分74e
を、第1実施形態と同様に(図2〜4参照)、ノーズ部
74cから吹出口74b側に向けて形成するとともに、
拡大部74eのうち径外方側の外径基準稜線L1の拡が
り角n1に対する拡大部74eのうち径内方側の内径基
準稜線L2の拡がり角n2の比(=n2/n1)を0.
4より大きく、かつ、0.8より小さくしたものであ
る。なお、ファン出口角βは、第1実施形態と同様に、
60°より大きく、かつ、120°未満である。
【0047】ここで、外径基準稜線L1とは、図6
(a)に示すように、ケーシング74のうち最外周壁7
4fとモータ73側(吸入口74と反対側)に位置する
底壁74gとの連結部位Cが描く稜線(軌跡)を言い、
内径基準稜線L2とは、ファン72の径外方側から最外
周壁74fに向かって傾斜しながらモータ73側(吸入
口74と反対側)に延びる傾斜壁74hと底壁74gと
の連結部位Bが描く稜線(軌跡)を言う。
【0048】また、外径基準稜線L1の曲率半径r1
(ファン72の回転中心から外径基準稜線L1までの距
離)、及び内径基準稜線L2の曲率半径r2(ファン7
2の回転中心から内径基準稜線L2までの距離)は、下
記の数式1、2により表されるが、数式1、2中、n
1、n2を拡がり角と呼ぶ。なお、θは、図7に示すよ
うに、ノーズ部74cの曲率半径の中心とファン72の
回転中心とを結ぶ基準線Loからファンの回転の向きに
図った角度(ラジアン)である。
【0049】
【数1】r1=D2/2・en1・θ
【0050】
【数2】r2=D2/2・en2・θ 次に、本実施形態の特徴を述べる。
【0051】図8は拡がり角の比(=n2/n1)と比
騒音との関係を示す試験結果であり、図8から明らかな
ように、拡がり角の比(=n2/n1)を0.4より大
きく、かつ、0.8より小さく(理想的には、0.6)
すると、比騒音を十分に小さくすることができる。因み
に、試験方法はJIS B 8340に準拠したもので
ある。
【0052】ところで、ラジアルファンでは、前述のご
とく、ファン72から吹き出す空気が吸入口75と反対
側(下方側)に偏っているので、ファン72から吹き出
す空気を傾斜壁74hに沿って(剥離させることなく)
滑らかに底壁74g側に導く必要がある。
【0053】そこで、本実施形態では、図6(a)に示
すように、底壁74gのうちケーシング74の径方向と
平行な部位の長さd1に対する、傾斜壁74hの余弦長
さ(傾斜壁74hを底壁74gに平行な面に投射した長
さ)d2の比γ(=d2/d1)を0.3より大きく、
かつ、0.8より小さくしている。
【0054】これにより、ファン72から吹き出す空気
を傾斜壁74hに沿って(剥離させることなく)滑らか
に底壁74g側に導くことができるので、図9に示すよ
うに、比騒音を十分に小さくすることができる。因み
に、試験方法はJIS B 8340に準拠したもので
ある。
【0055】(その他の実施形態)上述の実施形態で
は、拡大部74d、74eは直線的に流路面積を拡大さ
せるものであったが、曲線的又は段階的に流路面積を拡
大させてもよい。
【0056】また、上述の実施形態では、本発明に係る
送風機7を車両用空調装置に適用したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、換気扇等その他の送風機に
も適用することができる。
【0057】また、上述の実施形態では、流路面積を対
数螺旋(数式1、2)に従って拡大させたが、本発明は
これに限定されるものではなく、その他の関数に従って
流路面積を拡大させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】車両用空調装置の模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る送風機の模式図で
ある。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図2のB矢視図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る送風機における最
低比騒音と拡大寸法との関係を示すグラフである。
【図6】(a)は(b)のA部拡大図であり、(b)は
本発明の第1実施形態に係る送風機の模式図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る送風機の模式図で
ある。
【図8】本発明の第2実施形態に係る送風機における比
騒音と拡がり角との関係を示すグラフである。
【図9】本発明の第2実施形態に係る送風機における比
騒音とd1とd2との比γとの関係を示すグラフであ
る。
【図10】ファン出口角の説明図である。
【符号の説明】
72…遠心式多翼ファン、74…スクロールケーシン
グ、74a…空気流路、74b…吹出口、75…吸入
口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桑山 和利 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 (72)発明者 伊藤 功治 愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会 社デンソー内 Fターム(参考) 3H034 AA02 AA15 AA18 BB02 BB06 CC03 DD06 DD08 DD25 EE06 EE08 EE12 EE18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸周りに多数枚の翼(71)を有
    し、前記回転軸の軸方向から吸入した空気を径外方に向
    けて吹き出すとともに、前記翼(71)のファン出口角
    (β)が60°より大きく、かつ、120°未満である
    遠心式多翼ファン(72)と、 前記遠心式多翼ファン(72)を収納するとともに前記
    遠心式多翼ファン(72)から吹き出した空気が流れる
    渦巻き状の空気流路(74a)を構成し、前記回転軸の
    軸方向一端側に吸入口(75)を有し、かつ、渦巻の巻
    き終わり部より空気流れ下流側に吹出口(74b)を有
    するスクロールケーシング(74)とを備え、 前記空気流路(74a)は、空気流れ下流側の流路断面
    積が上流側より大きくなるように、前記回転軸と平行な
    方向に拡大する拡大部(74d、74e)が設けられて
    おり、 さらに、前記拡大部(74d、74e)のうち前記吸入
    口(75)側における拡大寸法(HUP)は、前記吸入
    口(75)と反対側にける拡大寸法(HLR)の0.4
    倍未満であることを特徴とする遠心式送風機。
  2. 【請求項2】 前記拡大部(74d、74e)のうち前
    記吸入口(75)側において前記流量断面積を拡大させ
    る拡大部分(74d)は、前記スクロールケーシング
    (74)の巻き終わり部近傍から前記スクロールケーシ
    ング(74)のノーズ部(74c)近傍に至る範囲内か
    ら前記吹出口(74b)側に向けて形成されていること
    を特徴とする請求項1に記載の遠心式送風機。
  3. 【請求項3】 前記拡大部(74d、74e)のうち前
    記吸入口(75)と反対側において前記流量断面積を拡
    大させる拡大部分(74e)は、前記ノーズ部(74
    c)から前記遠心式多翼ファン(72)の回転の向きに
    略60°の範囲内から前記吹出口(74b)側に向けて
    形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遠心
    式送風機。
  4. 【請求項4】 前記拡大部(74d、74e)のうち前
    記吸入口(75)と反対側において前記流量断面積を拡
    大させる拡大部分(74e)において、径外方側の外径
    基準稜線(L1)の拡がり角(n1)に対する径内方側
    の内径基準稜線(L2)の拡がり角(n2)の比(n2
    /n1)は、0.4より大きく、かつ、0.8より小さ
    いことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに
    記載の遠心式送風機。
  5. 【請求項5】 前記拡大部(74d、74e)のうち前
    記吸入口(75)と反対側は、前記スクロールケーシン
    グ(74)の最外周壁(74f)、前記吸入口(74)
    と反対側に位置する底壁(74g)、及び前記遠心式多
    翼ファン(72)の径外方側から前記最外周壁(74
    f)に向かって傾斜しながら前記吸入口(74)と反対
    側に延びる傾斜壁(74h)を有して構成されており、 さらに、前記底壁(74g)のうち前記スクロールケー
    シング(74)の径方向と平行な部位の長さ(d1)に
    対する、前記底壁(74g)に平行な面に前記傾斜壁
    (74h)を投射したときの前記スクロールケーシング
    (74)の径方向と平行な部位の長さ(d2)の比(d
    2/d1)は、0.3より大きく、かつ、0.8より小
    さいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つ
    に記載の遠心式送風機。
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