JP2001219892A - 船体抵抗低減装置 - Google Patents

船体抵抗低減装置

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JP2001219892A
JP2001219892A JP2000033717A JP2000033717A JP2001219892A JP 2001219892 A JP2001219892 A JP 2001219892A JP 2000033717 A JP2000033717 A JP 2000033717A JP 2000033717 A JP2000033717 A JP 2000033717A JP 2001219892 A JP2001219892 A JP 2001219892A
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hull
trim tab
water flow
ship
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JP2000033717A
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Kenji Kawakami
健次 川上
Yasushi Ikeda
泰 池田
Oshi Miyazawa
多 宮沢
Nobuyuki Manabe
宜行 真鍋
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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Mitsubishi Heavy Industries Ltd
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    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B1/00Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils
    • B63B1/02Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils deriving lift mainly from water displacement
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    • B63SHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; RELATED EQUIPMENT
    • B63BSHIPS OR OTHER WATERBORNE VESSELS; EQUIPMENT FOR SHIPPING 
    • B63B1/00Hydrodynamic or hydrostatic features of hulls or of hydrofoils
    • B63B1/32Other means for varying the inherent hydrodynamic characteristics of hulls
    • B63B2001/325Interceptors, i.e. elongate blade-like members projecting from a surface into the fluid flow substantially perpendicular to the flow direction, and by a small amount compared to its own length

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速船舶の船尾沈下量を減らすこと等によっ
て船体抵抗を低減し、高速船舶の航行効率を向上させる
こと。 【解決手段】 高速船舶の船尾底面3に対して隙間無く
固定されるものであって、船体1の縦断面上の上記船尾
底面3に対して、後ろ下がりに傾斜した下面を有する水
流偏向体4を備える。本発明によれば、水流偏向体4の
下面によって水流を下方へ偏向し、船尾2の沈下量を低
減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、高速船舶の航行
時に生じる船体抵抗を低減するための船体抵抗低減装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高速船舶が航海速力域において
航行する際には、船首の流速よりも船尾の流速が速くな
るために、この船尾の負圧が大きくなり、船首の沈下量
に対して船尾の沈下量が大きくなる。したがって、船体
抵抗の観点からすると、船尾が肥大化した状態となり、
船体全体の抵抗が急激に増加することになる。このよう
な傾向は、フルード数(フルード数Fr、航行速度V、
船体の代表長さL、重力加速度gとした時、下記の式
(1)にて定義される無次元数)が所定数(たとえば、
0.30)以上の高速船舶、たとえば、RO/RO船
(ロールオン/ロールオフ船)やフェリー等において特
に明確である。
【0003】
【数1】
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の高速
船舶においては、船尾の沈下量を低減する特段の手段を
備えていないために、船体抵抗が増加して航行効率が低
下していた。このような状態においては、当然のことな
がら船舶の運行効率が低下し、運行コストが増大するこ
とになるために好ましくない。さらに、小型の高速船舶
においては、船尾が沈下して船首が浮かび上がった状態
となり、船体の航行上の安全性が損なわれるおそれがあ
った。
【0005】この発明は、上記に鑑みてなされたもので
あって、高速船舶の船尾沈下量を減らすこと等によって
船体抵抗を低減し、高速船舶の航行効率を向上させるこ
とのできる船体抵抗低減装置を提供することを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、請求項1にかかる船体抵抗低減装置は、高速船舶
の船尾底面に対して隙間無く固定されるものであって、
船体縦断面上の上記船尾底面に対して、後ろ下がりに傾
斜した下面を有する水流偏向体を備えることを特徴とし
て構成されている。
【0007】従来においては、船尾の沈下量を低減する
特段の手段を備えていないために、船体抵抗が増加して
航行効率が低下していた。これに対して、本発明におい
ては、船舶が航行した際に船尾に沿って生じる水流が、
水流偏向体の下面に沿って下方側に偏向される。このよ
うに下方に向かう水流によって、船尾が上方へ押し上げ
られ、船尾の沈下量を低減することができる。したがっ
て、船尾が沈下することによって生じていた抵抗を低減
することができ、船舶の運行効率を向上させることがで
きる。また、船尾が上昇する分、船首が下降することに
なり、船体が全体として水平化されるので、運行上の安
定性を高めることができる。
【0008】特に、水流偏向体は、船尾船底に対して隙
間無く取り付けられているので、この水流偏向体と船尾
船底との間に水が入り込むことがないので、乱流の発生
を防止することができ、船体抵抗を不用意に増加させる
ことがない。さらに、水流偏向体は、船底に対して溶接
等されることによって、固定されている。この水流偏向
体はその傾斜角度を可変できるように可動的に取り付け
ることもできるが、この場合には装置構成が複雑化し、
また、可動機構によって水流が乱されて乱流を生じさせ
るおそれがある等の弊害がある。これに対して、水流偏
向体を固定的に設けた場合には、装置構成を簡易化でき
ると共に、乱流の発生を防止することができる。
【0009】ここで、高速船舶とは、本発明にかかる船
体抵抗低減装置を船体に取り付けた場合に、当該装置に
て低減される抵抗が、当該装置によって生じる抵抗に比
べて大きくなり得る全ての船舶を意味するものであり、
たとえば、フルード数が0.35以上の船舶が該当す
る。しかしながら、フルード数が0.35より小さな船
舶であっても、上述のように低減される抵抗力が大きく
なり得る船舶がある場合には、当該船舶をも含む。ま
た、船舶規模の大小は問わない。
【0010】また、船尾底面に対して隙間無く固定され
るとは、船尾底面に対して水流偏向体が完全に密着する
場合の他、製造誤差による隙間等のように、当業者の常
識範囲内で考え得る隙間を空けて固定される場合をも含
み、さらには、これら船尾底面と水流偏向体との相互間
に水が浸入して水流の乱れを生じさせること、が防止で
きる全ての固定状態を意味する。
【0011】また、後ろ下がりに傾斜する下面とは、船
体の後方(船舶前進時の進行方向を前方、当該前方に対
する逆方向を後方とする。また、これら前後方向に直交
する方向を、側方、左右方向、あるいは幅方向とする)
に至るにつれて、徐々に下方に下降する下面を意味す
る。この後ろ下がりの傾斜として許容され得る傾斜角度
については、後述する。また、水流偏向体を備えると
は、水流偏向体のみによって船体抵抗低減装置を構成す
ることの他、水流偏向体にさらに他の任意の構成要素を
付加することによって船体抵抗低減装置を構成する場合
をも含む。なお、以下の実施の形態においては、水流偏
向体のみによって構成される例を示す。
【0012】また、請求項2にかかる船体抵抗低減装置
は、水流偏向体後面を、船舶の船尾後面と同一面または
それよりも前方に配置したことを特徴として構成されて
いる。
【0013】このような構成によれば、船尾後面から水
流偏向体が後方に突出していないので、船体寸法を増加
させることなく、抵抗を低減することができる。
【0014】また、請求項3にかかる船体抵抗低減装置
は、水流偏向体後端を、船舶の船尾後面よりも後方へ突
出するように配置したことを特徴として構成されてい
る。
【0015】このような構成においては、請求項2の構
成に比べ船体寸法は少し長くなるが、水流を下面に沿っ
て下方側に偏向し、船尾の沈下量を減らして抵抗を低減
する効果は一層向上することができる。
【0016】また、請求項4にかかる船体抵抗低減装置
は、水流偏向体の横幅が、船体の最大船幅に対して30
%〜100%の範囲内にあることを特徴として構成され
ている。
【0017】水流偏向体の横幅は、0%より大きい限り
において、任意に決定することができる。しかしなが
ら、最大船幅に対して約30%〜約100%の幅となる
ように決定されることが一層好ましい。これは、トリム
タブの幅が狭い場合には偏向水流の量が少なくなるため
に抵抗低減効果があまり得られず、一方で、幅が広すぎ
る場合には、水流偏向体自体の抵抗が抵抗低減効果を上
回ったり、あるいは船尾を必要以上に持ち上げるおそれ
があり、また、トリムタブが突出することによって運行
に支障をきたすおそれがあるからである。すなわち、水
流偏向体の横幅を上記の約30%〜約100%の幅とす
ることが最も好ましく、この範囲内において臨界的効果
を得ることができる。
【0018】ここで、最大船幅とは、船舶の船体本体の
横幅のうちで、最も大きい幅を意味する。しかしなが
ら、船体本体の一部が当業者の常識に照らして特別に側
方に突出している等の特殊な船体においては、当該突出
部分を含まない横幅である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明にかかる船体抵抗
低減装置の実施の形態につき図面を参照しつつ詳細に説
明する。ただし、この実施の形態によりこの発明が限定
されるものではない。
【0020】(実施の形態1)図1は実施の形態1にか
かる船体抵抗低減装置を備えた高速船舶の全体側面図、
図2は図1の高速船舶の全体平面図、図3は船体抵抗低
減装置の周辺を拡大して示す側面図、図4は船体抵抗低
減装置の周辺の背面図(後方から見た図)である。本実
施の形態は概略的に、船尾底面に対して後ろ下がりに傾
斜する水流偏向体として構成された船体抵抗低減装置に
かかるものである。
【0021】図1において高速船舶の船体1には、その
船尾2の底面(以下、船尾底面)3に、水流偏向体(以
下、トリムタブ)4が取り付けられている。このトリム
タブ4は、概略的に、側面形状を三角形状(図1、3参
照)、後面形状を横長方形状(図4参照)とする角柱状
に形成されている。また、トリムタブ4の平面形状は、
前面をほぼ直線状として形成されている(図2参照)。
【0022】そして、このトリムタブ4の下面5は、船
尾底面3に対して所定角度で後ろ下がりに傾斜する傾斜
面として形成されている(このトリムタブ4の各部形状
等の詳細については後述する)。このトリムタブ4は、
鉄鋼材や非鉄鋼材を用いて製造することができ、その外
面には、船体1と同様、耐蝕性等を高めるための各種塗
装等を施すことができる。
【0023】このトリムタブ4の船体1に対する取り付
け位置について説明する。このトリムタブ4は、図2、
4に示すように、船体中心線(船体1の横幅方向に関す
る中心線)CLを中心として左右対称に形成されてお
り、後述する抵抗低減効果を船体1の左右方向について
ほぼ均等に得ることができる。また、トリムタブ4は、
図3に示すように、その後面6が船尾2の後面7に対し
て同一面となるように配置され、当該船尾2に対して後
方に非突出状とされている。したがって、船体全長を増
加させることがない。
【0024】つぎに、船体1に対するトリムタブ4の取
り付け構造について説明する。このトリムタブ4は、図
3に示すように、その上面を船尾底面3に沿うように形
成されており、この上面を船尾底面3に対して面接触さ
せた状態で船体1に固定されている。すなわち、トリム
タブ4は、船尾底面3に対して隙間無く取り付けられて
いる。このため、このトリムタブ4と船尾底面3との間
に水が入り込むことがないので、乱流の発生を防止する
ことができ、船体抵抗を不用意に増加させることがな
い。
【0025】また、トリムタブ4は、船尾底面3に対し
て溶接等されることによって、固定されている。このト
リムタブ4は、船尾底面3に対してその傾斜角度を可変
できるように可動的に取り付けることもできるが、この
場合には可動機構が必要となるために装置構成が複雑化
し、また、可動機構によって水流が乱されて乱流を生じ
させるおそれがある等の弊害がある。これに対して、本
実施の形態のようにトリムタブ4を固定的に設けた場合
には、装置構成を簡易化できると共に、乱流の発生を防
止することができる。
【0026】このようなトリムタブ4を設けた場合の基
本的効果は以下のとおりである。すなわち、船舶航行時
には船体1に沿って水流が生じるため、当然のことなが
ら、船尾2においては、当該船尾2に沿って後方に流れ
る水流が生じる。しかしながら、この水流は、トリムタ
ブ4の下面5に沿って下方側に偏向される。このように
下方に向かう水流によって、船尾2が上方へ押し上げら
れ、船尾2の沈下量を低減することができる。したがっ
て、船尾2が沈下することによって生じていた抵抗を低
減することができ、また、船体1の水平化を図ることに
よって安定性を高めることができる。
【0027】図8は、トリムタブ4による抵抗低減の効
果を確認するために行われた実験結果であって、フルー
ド数Fr(横軸)と抵抗係数Cr(縦軸)との関係をグ
ラフとして示す図である。この図8において、トリムタ
ブ4を取り付けた場合の各フルード数における抵抗係数
(実線にて示す)は、従来のようにトリムタブ4を取り
付けていない場合の各フルード数における抵抗係数(破
線にて示す)に比べて、いずれのフルード数においても
低減されていることが分かる。
【0028】この低減比率は船体1の船型によって若干
異なるが、約4〜6%の抵抗低減効果を得ることができ
る。なお、このように抵抗が低減されるため、同一速度
で航行するために必要となる動力源の所要馬力数も、従
来に比べて低減する。
【0029】また、この図8に示されるように、トリム
タブ装着状態での抵抗係数と、未装着状態での抵抗係数
との差異は、フルード数0.35以上の範囲において比
較的に顕著である。すなわち、トリムタブ4は、フルー
ド数0.35以上の高速船舶において特に有効であるこ
とが分かる。これは、低速船舶においては、トリムタブ
4によって生じる抵抗増大の割合が高くなるため、当該
トリムタブ4による抵抗低減効果が減殺されるためと考
えられる。ただし、本発明の適用対象が、フルード数
0.35以上の船舶に限定されるものでないことは、上
述のとおりである。
【0030】なお、フルード数が無次元数であることか
らも明らかなように、当該抵抗低減効果は、船舶の大小
には起因しない。したがって、RO/RO船やフェリー
の如き大型船舶のみならず、高速ボートの如き小型船舶
についても同様の効果を得ることができる。
【0031】つぎに、図9には、フルード数Fr(横
軸)と船舶の沈下量S/L(%)(縦軸、ここで、S=
絶対沈下量、L=船体1の全長)との関係をグラフとし
て示す。この図9において、船尾2の沈下量に関して
は、トリムタブ4を装着した場合の沈下量(実線にて示
す)は、従来のようにトリムタブ4を装着していない場
合の沈下量(破線にて示す)よりも少なくなっているこ
とが分かる。この沈下量の低減分だけ、上述のような抵
抗低減効果を得ることができる。
【0032】一方、船首8の沈下量に関しては、トリム
タブ4を装着した場合の沈下量(実線にて示す)は、従
来のようにトリムタブ4を装着していない場合の沈下量
(破線にて示す)よりも多くなっていることが分かる。
これは、船尾2の沈下量が低減して当該船尾2が持ち上
げられることによって、船首8が沈下したことによる。
このことから、従来であれば船尾2が沈下することによ
って船体全体が前上がり状に傾斜していたのに対し、ト
リムタブ4を装着した場合には、船体全体が従来に比べ
て水平状に姿勢制御されるため、一層安定した航行を行
うことができる。
【0033】図10には、トリムタブ4を装着した船体
1(実線にて示す)と、装着していない従来の船体10
0(破線にて示す)の全体側面図を示す。この図10に
示すように、従来の船体100は船尾101が大きく沈
下すると共に船首102が上昇しているのに対して、船
体1は船尾2の沈下量が低減して、船首8が若干沈下し
ていることが分かる。
【0034】つぎに、上述のような効果を得るためのト
リムタブ4の各部形状について、より詳細に説明する。
図3において、船尾底面3を基準とする下面5の傾斜角
度θは、あまり大きくなると、船首8が下がりすぎた
り、トリムタブ4による抵抗が増大して逆効果になるお
それがあるため、約40度以下とすることが最も好まし
い。
【0035】これらのことから、トリムタブ4の傾斜角
度θは、0度より大きく、約40度以下となるように決
定することが好ましい。また、より厳密には、傾斜角度
θが約5度〜約20度の範囲にある場合に、トリムタブ
4の効果が一層顕著である。なお、本トリムタブ4は、
このような範囲に限定されることなく、他の傾斜角度で
形成することが可能である。
【0036】また、図2において、トリムタブ4の幅W
1は、最大船幅Wに対して約30%〜約100%の幅W
1となるように決定されることが好ましい。これは、ト
リムタブ4の幅W1があまり狭い場合には、下方に偏向
できる水流の量が少なくなるために抵抗低減効果があま
り得られず、この効果が出はじめるのは約30%程度だ
からである。また、一方で、幅W1が広すぎて、最大船
幅Wを超える状態(トリムタブ4が船体1よりも側方に
突出する状態)となる場合には、トリムタブ4自体の抵
抗が抵抗低効果を上回ったり、船尾2を必要以上に持ち
上げたりするおそれがあり、また、トリムタブ4が突出
することによって運行に支障をきたすおそれがあるた
め、最大でも約100%程度とすることが好ましいから
である。これらのことから、トリムタブ4の幅W1は、
約30度より大きく、約100度以下となるように決定
することが好ましい。
【0037】図11には、最大船幅Wに対するトリムタ
ブ4の幅W1の比率(%)(横軸)と抵抗係数Crとの
関係をグラフとして示す。この図11において、抵抗係
数Crは、トリムタブ4の幅W1の比率が約30%以上
である時に徐々に低減し始め、約80%になるまで抵抗
係数Crの低減量が増加し、その後の低減量は徐々に少
なくなるものの、約100%に至るまで低減効果を得ら
れることがわかる。この結果からも、上述のように、ト
リムタブ4の幅W1は、約30度〜約100度の範囲に
あることが特に好ましいといえる。しかしながら、本ト
リムタブ4は、このような範囲に限定されることなく、
他の幅で形成することが可能である。
【0038】つぎに、船尾底面3の形状と、トリムタブ
4の下面5の横断面形状との関係について説明する(図
4〜7はトリムタブ4の横断面形状である)。図4にお
いては、船尾底面3がほぼ水平状に形成されており、ト
リムタブ4の下面5も、当該船尾底面3に対応してほぼ
水平状に形成されている。すなわち、この場合には、船
尾底面3と下面5とが、船幅方向において相互に平行と
されている。
【0039】この他の例として、図5には、船尾2Aの
船尾底面3Aを非水平状に形成した例を示す。この図5
において、船尾底面3AはほぼU字状に湾曲して形成さ
れており、また、トリムタブ4Aの下面5Aも、当該船
尾底面3Aに対応してほぼU字状に湾曲して形成されて
いる。すなわち、この場合においても、船尾底面3Aと
下面5Aとは、船幅方向において相互に平行とされてい
る。これら図4、5に示すように、船尾底面3、3Aと
下面5、5Aとを平行とした場合には、この下面5、5
Aの傾斜角度が船幅方向においてほぼ一定となるため、
抵抗低減効果を船幅方向の各部においてほぼ均一に得る
ことができる。
【0040】これに対して、船尾底面3と下面5とを非
平行にすることも可能である。たとえば、図6におい
て、船尾底面3Bはほぼ水平に形成されているのに対し
て、トリムタブ4Bの下面5BはほぼU字状に湾曲して
形成されている。あるいは逆に、図7において、船尾底
面3Cは図5と同様にほぼU字状に湾曲して形成されて
いるのに対して、トリムタブ4Cの下面5Cはほぼ水平
状に形成されている。すなわち、これら図6、7に示す
場合において、船尾底面3B、3Cと下面5B、5Cと
は、船幅方向において相互に非平行である。
【0041】このように船尾底面3B、3Cと下面5
B、5Cとを非平行とした場合には、この下面5B、5
Cの傾斜角度が船幅方向において異なるものになり、抵
抗低減効果を船幅方向の各部において異なるものとし、
当該各部での必要量に適合させること等ができる。な
お、図4、7に示すように、下面5、5Cを平行にとし
た場合には、当該トリムタブ4の製造が容易になるとい
う利点を有する。
【0042】この他、上述の説明においては、図2に示
すようにトリムタブ4の前面が直線状であるとして説明
したが、非直線状に形成することも可能である。図1
2、13には、変形例における船尾周辺の平面図を示
す。たとえば、図12に示すように、トリムタブ4Dの
前面のうち船幅方向の中心部分のみを前方に突出させる
ように形成してもよい。あるいは、図13に示すよう
に、トリムタブ4Eの前面のうちの両側部を前方に突出
させた形状としてもよい。この場合には、図7に示すよ
うにトリムタブ4Cの下面5Cを船尾底面3Cに対して
非平行状とした場合においても、船幅方向の各部におけ
る傾斜角度を一定にすることができる。
【0043】この他、トリムタブ4を、船幅方向におい
て複数分割して配置することもできる。図14には、変
形例における船尾周辺の平面図を示す。たとえば、この
図14に示すように、上述のトリムタブ4の約半分程度
の幅のトリムタブ4Fを、船幅方向の両側部にそれぞれ
取り付けてもよい。
【0044】(実施の形態2)図15は実施の形態2に
かかる船体抵抗低減装置周辺を拡大して示す側面図であ
る。本実施の形態は概略的に、上述のトリムタブに、船
尾に対して後方に突出する部分を付加して構成された船
体抵抗低減装置にかかるものである。なお、特に説明な
き構成は上述した実施の形態1と同じであり、同じ構成
を同符号にて示す。
【0045】図15に示すように、本実施形態のトリム
タブ10は、船尾底面3に取り付けられた前部11と、
船尾2の後面7よりも後方に突出するように取り付けら
れた後部12とを、一体に備えて形成されている。この
うち、前部11は、実施の形態1のトリムタブ4とほぼ
同様に形成されるもので、その下面13を介して水流を
下方へ偏向して抵抗低減効果を得る。
【0046】また、後部12は、前部11の下面13に
対して同一の傾斜角度θで連続する下面14を備えてい
る。このように後部12を設けることによってトリムタ
ブ10が上述のトリムタブ4に比べて後方に延長された
形状となり、抵抗低減効果が一層向上する。なお、後部
12の突出長さは任意に決定することができる。また、
下面13、14は、必ずしも同一の傾斜角度θで形成さ
れる必要はなく、それぞれ異なる傾斜角度にて形成する
ことも可能である。
【0047】(実施の形態3)図16は実施の形態3に
かかる船体抵抗低減装置周辺を拡大して示す側面図であ
る。本実施の形態は概略的に、船尾に対して後方に突出
する部分のみにて構成された船体抵抗低減装置にかかる
ものである。なお、特に説明なき構成は上述した実施の
形態1と同じであり、同じ構成を同符号にて示す。
【0048】図16に示すように、本実施形態のトリム
タブ20は、船尾2の後面7よりも後方に突出するよう
に固定されており、その下方には、船尾底面3に対して
傾斜する下面21が形成されている。この下面21は、
船尾底面3に対して、傾斜角度θを有して後ろ下がりに
傾斜するように形成されている。したがって、船尾2を
通過して後方に流れた水流が、下面21によって下方に
偏向されるので、船尾2の沈下量を低減して、船体1の
抵抗を低減することができる。
【0049】この他、トリムタブの変形例として、図1
7に示す如きものを挙げることができる。この図17に
おいてトリムタブ30は、船尾2の後面7に対して後方
に突出するように固定されており、その下面には、船尾
底面3に対して連続するものであって、当該船尾底面3
に対してほぼ平行に延びる底面31が形成されている。
すなわち、この変形例においては、トリムタブ30の底
面31は船尾底面3に対して非傾斜状となるように形成
されているが、この構成においても、若干の抵抗低減効
果を得ることができる。これは、船尾底面3が見かけ
上、後方に延長されたようになり、船尾波の盛り上がり
を低減することができるためである。
【0050】(実施の形態4)図18は実施の形態4に
かかる船体抵抗低減装置周辺を拡大して示す側面図、図
19は船体抵抗低減装置の周辺の背面図(後方から見た
図)である。本実施の形態は概略的に、舵およびスケグ
と平面状のほぼ同一位置に設けられた船体抵抗低減装置
にかかるものである。なお、特に説明なき構成は上述し
た実施の形態1と同じであり、同じ構成を同符号にて示
す。
【0051】図18、19に示す船舶は2軸船として構
成されており、船尾底面3には、船体中心線CLを中心
として左右ほぼ対称に配置された一対のスケグ42およ
び舵43が設けられている。このうち、スケグ42は、
平面形状を流線形等に形成されており、船尾底面3にお
いて下方に突出するように取り付けられて、舵43の周
囲を流れる水流を整流している。このスケグ42の内部
には舵軸44が挿通されており、この舵軸44の下方側
に舵43が取付けられている。そして、舵軸44を介し
て舵43を回動させることによって船体を旋回させるこ
とができる。
【0052】ここで、トリムタブ40には、スケグ42
に対応する位置および形状にて切欠き部41が形成され
ており、この切欠き部41にスケグ42が配置されてい
る。このように、トリムタブ40に対する平面状の同一
位置にスケグ42および舵43を配置することが可能で
ある。なお、本実施の形態においては2軸船を例にとっ
て説明したが、1軸船や3軸船等においても、あるい
は、スケグ42の位置が舵43の上方でない場合であっ
ても、スケグ42を有する船舶において同様にトリムタ
ブ40を設けることができる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、この発明にかかる
船体抵抗低減装置(請求項1)によれば、高速船舶の船
尾底面に対して隙間無く固定されるものであって、船体
縦断面上の上記船尾底面に対して、後ろ下がりに傾斜し
た下面を有する水流偏向体を備えて構成されているの
で、船尾の沈下量を低減することができ、船舶の運行効
率を向上させることができる。また、船体が全体として
水平化されるので、運行上の安定性を高めることができ
る。
【0054】また、この発明にかかる船体抵抗低減装置
(請求項2)によれば、水流偏向体後面を、船舶の船尾
後面と同一面またはそれよりも前方に配置したので、船
体寸法を増加させることがない。
【0055】また、この発明にかかる船体抵抗低減装置
(請求項3)によれば、水流偏向体後端を、船舶の船尾
後面よりも後方へ突出するように配置しているので、船
尾の沈下量を一層低減することができ、船舶の運行効率
を向上させることができると共に、運行上の安定性を高
めることができる。
【0056】また、この発明にかかる船体抵抗低減装置
(請求項4)によれば、水流偏向体の横幅が、船体の最
大船幅に対して30%〜100%の範囲内にあるので、
水流偏向体による抵抗低減効果を得ることができ、ま
た、トリムタブ自体の抵抗が抵抗低減効果を上回ること
がなく、船尾を必要以上に持ち上げる等の弊害を生じさ
せることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる船体抵抗低減
装置を備えた高速船舶の構成を示す全体側面図である。
【図2】図1に示した高速船舶の構成を示す全体平面図
である。
【図3】船体抵抗低減装置の周辺を拡大して示す側面図
である。
【図4】船体抵抗低減装置の周辺を示す背面図である。
【図5】船尾底面およびトリムタブ下面を非水平状に形
成した例を示す背面図である。
【図6】トリムタブ下面のみを非水平状に形成した例を
示す背面図である。
【図7】船尾底面のみを非水平状に形成した例を示す背
面図である。
【図8】フルード数と抵抗係数との関係を示すグラフで
ある。
【図9】フルード数と船舶の沈下量との関係を示すグラ
フである。
【図10】トリムタブを装着した船体と装着していない
従来の船体の構成を示す全体側面図である。
【図11】最大船幅に対するトリムタブの幅の比率と抵
抗係数との関係を示すグラフである。
【図12】トリムタブの前面中央を突出させた例を示す
平面図である。
【図13】トリムタブの前面両側方を突出させた例を示
す平面図である。
【図14】トリムタブを幅方向において分割した例を示
す平面図である。
【図15】この発明の実施の形態2にかかる船体抵抗低
減装置の周辺を拡大して示す側面図である。
【図16】この発明の実施の形態3にかかる船体抵抗低
減装置の周辺を拡大して示す側面図である。
【図17】トリムタブの底面を船尾底面に対して平行に
形成した例を示す側面図である。
【図18】この発明の実施の形態4にかかる船体抵抗低
減装置周辺を拡大して示す側面図である。
【図19】船体抵抗低減装置の周辺を示す背面図であ
る。
【符号の説明】 1、100 船体 2、101 船尾 3 船尾底面 4、10、20、30、40 水流偏向体(トリムタ
ブ) 5、13、14、21 下面 6 (トリムタブの)後面 7 (船尾の)後面 8、102 船首 11 前部 12 後部 31 底面 41 切欠き部 42 スケグ 43 舵 44 舵軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮沢 多 長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工 業株式会社長崎研究所内 (72)発明者 真鍋 宜行 長崎市深堀町五丁目717番1号 三菱重工 業株式会社長崎研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高速船舶の船尾底面に対して隙間無く固
    定されるものであって、船体縦断面上の上記船尾底面に
    対して、後ろ下がりに傾斜した下面を有する水流偏向体
    を備えることを特徴とする船体抵抗低減装置。
  2. 【請求項2】 水流偏向体後面を、船舶の船尾後面と同
    一面またはそれよりも前方に配置したことを特徴とする
    請求項1に記載の船体抵抗低減装置。
  3. 【請求項3】 水流偏向体後端を、船舶の船尾後面より
    も後方へ突出するように配置したことを特徴とする請求
    項1に記載の船体抵抗低減装置。
  4. 【請求項4】 水流偏向体の横幅が、船体の最大船幅に
    対して30%〜100%の範囲内にあることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか一つに記載の船体抵抗低減装
    置。
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Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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