JP2001219496A - 窓ガラス貼着用フィルム - Google Patents

窓ガラス貼着用フィルム

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JP2001219496A
JP2001219496A JP2000363970A JP2000363970A JP2001219496A JP 2001219496 A JP2001219496 A JP 2001219496A JP 2000363970 A JP2000363970 A JP 2000363970A JP 2000363970 A JP2000363970 A JP 2000363970A JP 2001219496 A JP2001219496 A JP 2001219496A
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titanium oxide
window glass
less
surface layer
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JP2000363970A
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Mitsuyoshi Machida
町田  光義
Makoto Hayakawa
信 早川
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 大気の汚染された場所で使用された場合で
も、透光性及び外観を損ねることがなく、セルフクリー
ニング性及び易清掃性を有する窓ガラス貼着用フィルム
を提供すること。 【解決手段】 可撓性を有する基材上に、光触媒性酸化
チタン粒子を含む表面層が形成された窓ガラス貼着用フ
ィルムであって、前記表面層は屋外暴露時に白濁を生じ
ず、かつ波長400nm以下の紫外線照射に応じて層表
面が水との接触角20゜以下になりうることを特徴とす
るセルフクリーニング性窓ガラス貼着用フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大都市等の大気汚
染が激しい場所で使用しても透光性及び外観を損ねるこ
とがなく、降雨や水洗浄により表面に付着する汚れが清
浄化される窓ガラス貼着用フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】建物の窓ガラスの外側は、自動車排ガス
中の煤煙等の燃焼生成物や空気中に浮遊する煤塵によっ
て汚染される。窓ガラスが汚れると外の景色がよく見え
ずに不快である。高層ビルに代表されるように、建築用
窓ガラスの清掃はその面積の大きさから重労働であるた
めコストがかかる。同時に、高所での作業であるため、
危険を伴う。上記汚れに対する防汚方法として、例えば
特開平11−138686号に示すように、高分子樹脂
フィルム上に非常に活性の高い光触媒層を設け、この光
触媒担持フィルムを基材にラミネートして使用する方法
が提案されている。そして、係る構造にすることによ
り、上記汚れは光触媒の強力な酸化分解力によって分解
され、きれいな表面が維持できることも開示されてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな非常に活性の高い光触媒を用いると、汚れに含まれ
る有機物は分解することができるのであるが、それと同
時に、光触媒層表面に吸着された大気中の窒素酸化物
(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が光触媒によって酸
化されて硝酸イオン(NO3 -)や硫酸イオン(S
4 2-)となり、これらと空気中に浮遊している煤塵等
に含まれるナトリウム(Na)やカルシウム(Ca)成
分とが結合し、水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫酸塩が
大量に生成され、これらがフィルム表面に残存して窓ガ
ラスの透光性や外観を損ねてしまうという問題があっ
た。
【0004】そこで、本発明では上記事情に鑑み、大都
市のように大気が汚染された場所で使用しても、透光性
及び外観を損ねることがなく、セルフクリーニング性及
び易清掃性を有する窓ガラス貼着用フィルムを提供する
ことを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明では、上記課題を
解決すべく、可撓性を有する基材上に、光触媒性酸化チ
タン粒子と太陽光の照射では光触媒性を実質的に示さな
い粒子状でない親水性成分とを含む表面層が形成され、
太陽光の照射に応じて水との接触角が20°以下になる
セルフクリーニング性を有する窓ガラス貼着用フィルム
であって、屋外暴露1ヶ月後に前記表面層への付着物を
回収することにより得た水溶液をろ過してろ液を抽出
し、このろ液をキャピラリー電気泳動装置を用いて測定
することにより得られる前記表面層への屋外暴露時の硫
酸イオン(SO4 2-)付着量が750ng/cm2以下で
あることを特徴とする窓ガラス貼着用フィルムを提供す
る。屋外暴露1ヶ月後に前記表面層への付着物を回収す
ることにより得た水溶液をろ過してろ液を抽出し、この
ろ液をキャピラリー電気泳動装置を用いて測定すること
により得られる前記表面層への屋外暴露時の硫酸イオン
(SO4 2-)付着量が750ng/cm2以下とすること
により、大気中の窒素酸化物及び硫黄酸化物が光触媒に
酸化されることによって生成される水に不溶性で白色の
硝酸塩及び硫酸塩が、目視で確認される量よりも少なく
することが可能になり、フィルムの透光性や外観を損な
うことがなくなる。また、太陽光の照射に応じて光触媒
親水化反応により層表面が水との接触角20゜以下にな
りうることで、雨水や水洗により付着汚れが除去される
ようになる。
【0006】本発明の好ましい態様においては、前記光
触媒性酸化チタン粒子は、平均粒子径40nm未満、好
ましくは36nm以下、より好ましくは32nm以下の
アナターゼ型結晶又はブルッカイト型結晶であり、かつ
その結晶子径は6.0nm未満、好ましくは5.5nm
以下、より好ましくは5.0nm以下であり、かつ前記
表面層の前記光触媒性酸化チタン粒子と前記親水性成分
の組成比は、重量比で70対30から40対60の間で
あるようにする。フィルム表面が水に不溶性で白色の硝
酸塩及び硫酸塩の大量に生成により、透光性や外観を損
ねてしまうのは、フィルム表面の光触媒層に窒素酸化
物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)が吸着する吸着反
応と、吸着反応により吸着された窒素酸化物(NO
x)や硫黄酸化物(SOx)が光触媒酸化されて硝酸イ
オン(NO3 -)や硫酸イオン(SO4 2-)が生成する光
触媒酸化反応と、硝酸イオン(NO3 -)や硫酸イオン
(SO4 2-)と、空気中に浮遊している煤塵等に含まれ
るナトリウム(Na)やカルシウム(Ca)成分とが結
合する白色付着物生成反応とが順次行われることによ
る。の事情から、光触媒の親水化反応は生じさせて雨
水や水洗により付着汚れが除去性を発揮させたいが、光
触媒酸化反応は抑制したい。本発明ではそのために、前
記光触媒性酸化チタン粒子は、平均粒子径40nm未満
のアナターゼ型結晶又はブルッカイト型結晶であり、か
つその結晶子径は6.0nm未満であるようにした。ま
た、の光触媒酸化反応はの吸着反応が生じるからこ
そ生じるので、吸着反応の抑制をすることで、さらに抑
制できる。その観点から本発明では表面層に光触媒性を
実質的に示さない粒子状でない親水性成分を含有させ
て、表面層中の窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(S
Ox)の吸着サイトを減少させた。その際に、光触媒の
親水化反応は生じさせたいので、そのバランスを考慮し
て、表面層の前記光触媒性酸化チタン粒子と前記親水性
成分の組成比は、重量比で70対30から40対60の
間であるようにした。
【0007】以下に詳述する。一般的に、酸化チタンの
光触媒活性はその粒子径及び結晶子径の大きさに比例し
て大きくなる。そのため、従来の光触媒担持フィルムは
粒子径及び結晶子径の大きな酸化チタンを含有する表面
層が形成されていた。しかしながら、粒子径及び結晶子
径の大きな酸化チタンは、その強力な光触媒活性により
大気中の窒素酸化物及び硫黄酸化物を酸化し、水に不溶
性で白色の硝酸塩及び硫酸塩が大量に生成され、これが
表面に残存して透明部材の透光性や外観を損ねていた。
これに対して、本発明のように粒子径及び結晶子径の小
さな酸化チタン粒子を使用することにより、光触媒活性
が小さいので窒素酸化物及び硫黄酸化物の酸化が抑えら
れ、水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫酸塩の生成量が減
少し、透光性や外観が維持されるようになる。ここで、
無定型ないし粒子径及び結晶子径の小さすぎる酸化チタ
ンを使用すると、光励起により表面層が親水化しなくな
るという問題が生じる。そこで、本発明では、平均粒子
径40nm未満、好ましくは36nm以下、より好まし
くは32nm以下のアナターゼ型結晶又はブルッカイト
型結晶であり、かつその結晶子径は6.0nm未満、好
ましくは5.5nm以下、より好ましくは5.0nm以
下の光触媒結晶性酸化チタン粒子を含有する表面層とし
た。そうすることにより、光励起により表面層が水との
接触角で20゜以下の高度の親水性を呈しつつ、透光性
や外観を損ねる水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫酸塩が
表面に残存しなくなる。上述したように、粒子径及び結
晶子径の小さな酸化チタン粒子を使用することにより、
粒子径及び結晶子径が大きい酸化チタン粒子と比較し
て、粒子一個一個の光触媒活性は減少するのであるが、
粒子径が小さくなった分だけ比表面積が増加することに
なり、表面層全体としての光触媒活性はむしろ増加する
傾向にある。ここで、光触媒性酸化チタンに対して光触
媒性を実質的に示さない粒子状でない親水性成分を重量
比で30%以上添加することにより、酸化チタン粒子表
面の一部または全部を親水性成分が覆うようになり、表
面に露出する酸化チタンの表面積が減少するので、表面
層の光触媒活性が小さくなると共に、酸化チタン粒子表
面に吸着する大気中の窒素酸化物及び硫黄酸化物が減少
することになり、その結果、酸化反応によって生成する
水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫酸塩の生成量が抑えら
れるようになる。しかし、光触媒性酸化チタンに対して
親水性成分が重量比で60%を超えると、光触媒活性が
低下しすぎてしまい、波長400nm以下の紫外線照射
を行っても層表面の水との接触角が20゜以下に親水化
しなくなってしまう。従って、光触媒性酸化チタンと第
二成分の組成比が重量比で70対30から40対60の
間になるようにすることにより、光励起により表面層が
水との接触角で20゜以下の高度の親水性を呈しつつ、
透光性や外観を損ねる水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫
酸塩の生成量が抑えられるのである。
【0008】本発明の好ましい態様においては、クリプ
トン(Kr)ガス吸着法による比表面積測定装置(島津
製作所製「ASAP2010M」)を用いたフィルム全
体の比表面積が0.150m2/g以下であるようにす
る。フィルム状態で定量可能な比表面積をこの程度に抑
えることで、上記の吸着反応がかなり抑制される。
【0009】本発明の好ましい態様においては、表面層
の親水性成分は、太陽光の照射時の光触媒反応により親
水化されるシリコーンが含有されているようにする。シ
リコーンが含有されることにより、光触媒の光励起によ
って、シリコーン中のシリコン原子に結合する有機基の
少なくとも一部が水酸基に置換され、さらにその上に物
理吸着水層が形成されることにより、表面が水との接触
角で20゜以下の高度の親水性を呈するようになると共
に、光励起されず暗所に放置されたときの親水維持性が
向上する。また、シリコーンが光触媒性酸化チタン粒子
の結着剤として働き、表面層の接着強度や耐摩耗性等が
向上する。さらに、粒子径及び結晶子径の小さな酸化チ
タン粒子を使用する場合、粒子径及び結晶子径が大きい
酸化チタン粒子と比較して、粒子一個一個の光触媒活性
は減少するのであるが、粒子径が小さくなった分だけ比
表面積が増加することになり、表面層全体としての光触
媒活性はむしろ増加する傾向にある。ここで、光触媒性
酸化チタン粒子表面の一部または全部をシリコーンが覆
うようにすることにより、表面に露出する酸化チタンの
表面積が減少し、その結果、酸化チタン粒子表面に吸着
する大気中の窒素酸化物及び硫黄酸化物が減少すること
になり、酸化反応によって生成する水に不溶性で白色の
硝酸塩及び硫酸塩の生成量が抑えられる。
【0010】本発明の好ましい態様においては、表面層
の上記親水性成分は、無定型酸化チタンが含有されてい
るようにする。そうすることにより、無定型酸化チタン
が光触媒性酸化チタン粒子の結着剤として働き、表面層
の接着強度や耐摩耗性等が向上する。さらに、粒子径及
び結晶子径の小さな酸化チタン粒子を使用する場合、粒
子径及び結晶子径が大きい酸化チタン粒子と比較して、
粒子一個一個の光触媒活性は減少するのであるが、粒子
径が小さくなった分だけ比表面積が増加することにな
り、表面層全体としての光触媒活性はむしろ増加する傾
向にある。ここで、光触媒性酸化チタン粒子表面の一部
または全部を無定型酸化チタンが覆うようにすることに
より、表面に露出する酸化チタンの表面積が減少し、そ
の結果、酸化チタン粒子表面に吸着する大気中の窒素酸
化物及び硫黄酸化物が減少することになり、酸化反応に
よって生成する水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫酸塩の
生成量が抑えられる。
【0011】本発明の好ましい態様においては、表面層
には、シリカが含有されているようにする。シリカが含
有されることにより、光励起によって、表面が水との接
触角20゜以下の高度の親水性を呈しやすくなると共
に、光励起されず暗所で放置されたときの親水維持性が
向上する。これは、シリカがその構造中に水を蓄えるこ
とができる性質と関係していると思われる。
【0012】本発明の好ましい態様においては、前記基
材は高分子樹脂フィルムであるようにする。適当な厚み
の高分子樹脂フィルムにおいては、窓ガラス上に貼着し
て使用する場合に、その大きさや形状に合わせて切断し
て使用可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】図1に本発明に係る窓ガラス貼着
用フィルムの基本的構造に関する一実施例を示す。図1
では、フィルム基材1上に光触媒性酸化チタン粒子と光
触媒性を実質的に示さない粒子状でない親水性成分を含
む表面層4が形成されている。光触媒性酸化チタン粒子
は、平均粒子径40nm未満、好ましくは36nm以
下、より好ましくは32nm以下のアナターゼ型結晶又
はブルッカイト型結晶であり、かつその結晶子径は6.
0nm未満、好ましくは5.5nm以下、より好ましく
は5.0nm以下である。ここで、酸化チタン粒子の平
均粒子径は、動的光散乱法による粒径分布測定器等を用
いて測定することができる。また、酸化チタン粒子の結
晶子径は、X線回折装置による測定データから得られる
Kα1ピークの半価幅等から、Scherrer法によ
って求めることができる。
【0014】表面層4は、屋外暴露1ヶ月後に前記表面
層への付着物を回収することにより得た水溶液をろ過し
てろ液を抽出し、このろ液をキャピラリー電気泳動装置
を用いて測定することにより得られる前記表面層への屋
外暴露時の硫酸イオン(SO 4 2-)付着量が750ng
/cm2以下であり、かつ波長400nm以下の紫外線
照射に応じて層表面が水との接触角20゜以下になりう
る性質を有している。ここで、屋外暴露時の硫酸イオン
は、フィルム表面から回収した付着物を含む水溶液を、
フィルターを通すことによりろ過し、このろ液中のイオ
ン性物質をイオンクロマトグラフやキャピラリー電気泳
動等の装置を用いて定量することができる。水との接触
角は、接触角測定装置等を用いて測定が可能である。上
記構成であることにより、雨水や水洗により付着汚れが
除去されるようになると同時に大気中の窒素酸化物及び
硫黄酸化物が光触媒に酸化されることによって生成され
る水に不溶性で白色の硝酸塩及び硫酸塩が、目視で確認
される量よりも少なくすることが可能になり、フィルム
の透光性や外観を損なうこともなくなる。
【0015】表面層には、光触媒以外の親水性成分とし
て、太陽光の照射時の光触媒反応により親水化されるシ
リコーン、無定型酸化チタン等が含有されているように
する。また、光触媒以外の成分として、シリカ等が含有
されていてもよい。シリコーンが添加されている場合に
は、未硬化若しくは部分的に硬化したシリコーン又はシ
リコーン前駆体から成る塗料と、酸化チタンゾルとを混
合し、シリコーン前駆体を必要に応じて加水分解させた
後、混合物を基材表面に塗布し、加熱等の方法でシリコ
ーン前駆体の加水分解物を脱水縮重合に付して、酸化チ
タン粒子とシリコーンから成る表面層を基材上に形成す
る。また、ゾルを使用する場合には、安定化のために、
酸やアルカリの解膠剤等が添加されていてもよい。
【0016】ここで、シリコーン前駆体としては、シリ
コーン中のケイ素原子に1つ以上の有機基が結合されて
いるシリコーン、すなわち、平均組成式RpSiXq
(4-p-q )/2(式中、Rは炭素数1〜18の一価の有機
基、Xは炭素数1〜4のアルコキシ基であり、p及びq
は、0<p<2、0<q<4、0<p+q<4を満足す
る数である)で表される未硬化のシリコーンを硬化させ
て得たものが好適に利用できる。
【0017】上記未硬化のシリコーンは、2官能シラン
誘導体モノマー(分子当り2個の加水分解性基を有し、
各ケイ素原子に2つの酸素原子が結合した2官能シロキ
サン結合を形成するモノマー)及び/又は3官能シラン
誘導体モノマー(分子当り3個の加水分解性基を有し、
各ケイ素原子に3つの酸素原子が結合した3官能シロキ
サン結合を形成するモノマー)を必須成分とし、必要に
応じて4官能シラン誘導体モノマー(分子当り4個の加
水分解性基を有し、各ケイ素原子に4つの酸素原子が結
合した4官能シロキサン結合を形成するモノマー)を配
合させた組成物を、加水分解、縮重合させることにより
得られる。
【0018】ここで、2官能シラン誘導体としては、ジ
メチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、
ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシ
ラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチ
ルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチル
ジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジ
エトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチ
ルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエト
キシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルメチルジメト
キシシラン、ヘプタデカフルオロオクチルメチルジエト
キシシラン等が好適に利用できる。
【0019】3官能シラン誘導体としては、メチルトリ
メトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルト
リイソプロポキシシラン、メチルトリt−ブトキシシラ
ン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシ
ラン、エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリt
−ブトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニル
トリエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラ
ン、ビニルトリt−ブトキシシラン、n−プロピルトリ
メトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、n
−プロピルトリイソプロポキシシラン、n−プロピルト
リt−ブトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラ
ン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−ヘキシルト
リイソプロポキシシラン、n−ヘキシルトリt−ブトキ
シシラン、n−デシルトリメトキシシラン、n−デシル
トリエトキシシラン、n−デシルトリイソプロポキシシ
ラン、n−デシルトリt−ブトキシシラン、n−オクタ
デシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエト
キシシラン、n−オクタデシルトリイソプロポキシシラ
ン、n−オクタデシルトリt−ブトキシシラン、フェニ
ルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、
フェニルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリt−
ブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリイソプロポキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキ
シル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポ
キシシクロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラ
ン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルト
リt−ブトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシ
プロピルトリイソプロポキシシラン、γ−(メタ)アク
リロキシプロピルトリt−ブトキシシラン、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキシシラン、γ−アミノプロピルトリイソプロポキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプ
トプロピルトリイソプロポキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリt−ブトキシシラン、トリフルオロプロピ
ルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエト
キシシラン、トリフルオロプロピルトリイソプロポキシ
シラン、トリフルオロプロピルトリt−ブトキシシラ
ン、ヘプタデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、
ヘプタデカフルオロオクチルトリエトキシシラン、ヘプ
タデカフルオロオクチルトリイソプロポキシシラン、ヘ
プタデカフルオロオクチルトリt−ブトキシシラン等が
好適に利用できる。
【0020】4官能シラン誘導体としては、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポ
キシシラン、テトラt−ブトキシシラン、ジメトキシジ
エトキシシラン等が好適に利用できる。
【0021】上記コーティング組成物をフィルムに塗布
する方法としては、塗布液をグラビア印刷法、マイクロ
グラビア印刷法、コンマコート法、ロールコート法、リ
バースロールコート法、バーコート法、キスコート法、
フローコート法でコートし、乾燥する方法が好適に利用
できる。乾燥方法としては、加熱処理、室温放置、紫外
線照射等により行うことができる。ここで、加熱処理の
場合、その温度は、塗布方法や溶媒やフィルムの樹脂の
種類やフィルムの厚みによっても異なるが、一般的には
150℃以下が望ましい。
【0022】無定型酸化チタンが添加されている場合に
は、未硬化若しくは部分的に硬化した有機チタネート又
は無定形酸化チタンの前駆体から成る塗料と、酸化チタ
ンゾルとを混合し、無定形酸化チタンの前駆体を必要に
応じて加水分解させた後、混合物を基材表面に塗布し、
加熱等の方法で無定形酸化チタンの前駆体の加水分解物
を脱水縮重合に付して、酸化チタン粒子と無定形酸化チ
タンから成る表面層を基材上に形成する。ここで、無定
型酸化チタンの前駆体としては、例えばテトラエトキシ
チタン、テトラメトキシチタン、テトラプロポキシチタ
ン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタ
ン;チタンキレート、アセテートチタン;硫酸チタン、
四塩化チタン等の溶解性無機チタン化合物、水酸化チタ
ン、過酸化チタン等の結晶性酸化チタンの前駆体が好適
に利用できる。
【0023】上記コーティング組成物をフィルムに塗布
する方法としては、塗布液をグラビア印刷法、マイクロ
グラビア印刷法、コンマコート法、ロールコート法、リ
バースロールコート法、バーコート法、キスコート法、
フローコート法でコートし、乾燥する方法が好適に利用
できる。乾燥方法としては、加熱処理、室温放置、紫外
線照射等により行うことができる。ここで、加熱処理の
場合、その温度は、塗布方法や溶媒やフィルムの樹脂の
種類やフィルムの厚みによっても異なるが、一般的には
150℃以下が望ましい。
【0024】シリカが添加されている場合には、上記酸
化チタンゾルとシリコーンから成る塗料又は酸化チタン
と無定形酸化チタンから成る塗料と、シリカゾルとを混
合し、シリコーン又は無定形酸化チタンの前駆体を必要
に応じて加水分解させた後、混合物を基材表面に塗布
し、加熱等の方法でシリコーン又は無定形酸化チタンの
前駆体の加水分解物を脱水縮重合に付して、酸化チタン
粒子とシリコーンとシリカ又は酸化チタン粒子と無定形
酸化チタンとシリカから成る表面層を基材上に形成す
る。ここで、シリカとしては、例えばテトラクロルシラ
ン、テトラブロムシラン等のテトラハロゲン化シランの
加水分解、脱水縮重合;又は、テトラメトキシシラン、
テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ
イソプロポキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン等
のテトラアルコキシシランの加水分解、脱水縮重合;又
は、メチルシリケート、エチルシリケート、プロピルシ
リケート、ブチルシリケート等のアルキルシリケートの
加水分解、脱水縮重合により生成されるシリカ;又は、
コロイダルシリカ等が好適に利用できる。
【0025】上記コーティング組成物をフィルムに塗布
する方法としては、塗布液をグラビア印刷法、マイクロ
グラビア印刷法、コンマコート法、ロールコート法、リ
バースロールコート法、バーコート法、キスコート法、
フローコート法でコートし、乾燥する方法が好適に利用
できる。乾燥方法としては、加熱処理、室温放置、紫外
線照射等により行うことができる。ここで、加熱処理の
場合、その温度は、塗布方法や溶媒やフィルムの樹脂の
種類やフィルムの厚みによっても異なるが、一般的には
150℃以下が望ましい。
【0026】表面層溶液を塗布する方法は幾つか考えら
れるが、本例ではマイヤーバーを用いたバーコートを行
うことにより、塗布直後において液状成分(シリコー
ン)が濡れ拡がる時に粒子状成分(酸化チタン)を覆う
ことになるので、スプレー法に比べても粒子状成分が表
面に露出する確率が減少することになり、フローコート
法に比べてもサンプル全体における膜厚がほぼ均一に揃
えられるという利点がある。
【0027】上記表面層には、Ag、Cu、Znのよう
な金属を添加することができる。前記金属を添加した表
面層は、表面に付着した細菌や黴を死滅させることがで
きる。
【0028】図2のように、基材11と表面層14との
間には、保護層13を設けてもよい。この基材と表面層
との間に設けられる保護層13は、保護層塗布液をフィ
ルム上に塗布・乾燥することにより形成され、光触媒性
酸化チタンを含む表面層をフィルム基材に接着させる作
用と、光触媒の酸化分解力よるフィルム基材の劣化を保
護する作用を有しており、また保護層自身が光触媒の酸
化分解力による劣化を受けにくいという特徴を有してい
る。
【0029】図3のように、基材21と保護層23との
間には、易接着層22を設けてもよい。この基材21と
保護層23との間に設けられる易接着層22は、易接着
層塗布液をフィルム上に塗布・乾燥することにより形成
され、保護層をフィルム基材に強固に接着させる作用を
有している。例えば、光触媒の酸化分解力からの保護機
能を優先させた保護層とした場合、フィルム基材との接
着力が得られないことがあるため、このような構造とす
ることが望ましい。
【0030】上記基材の材質としては、高分子樹脂フィ
ルムが好ましく、以下に限定されるものではないが、例
えば、その材質としてポリエチレンテレフタレート樹
脂、ポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート
樹脂、ポリアクリレート樹脂、ナイロン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、
ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セロファン樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、酢酸ビニル−エチレン
共重合体樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹
脂、の中から選ばれた樹脂から成るフィルムを挙げるこ
とができる。
【0031】上記易接着層塗布液としては、アクリル系
樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オレフィ
ン系樹脂、フッ素系樹脂、ビニル系樹脂、塩素系樹脂、
スチレン系樹脂、尿素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリ
アミド系樹脂、各種グラフト樹脂等が挙げられる。ま
た、電子線硬化や紫外線硬化樹脂等を使用してもよい。
しかし、塗膜強度や接着性に優れ、環境に対する影響や
衛生性等の汎用性を考慮した場合、ポリエステル系樹脂
又はオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。
【0032】上記保護層塗布液としては、シリコーン樹
脂、アクリルシリコーン樹脂等が挙げられる。上記シリ
コーン樹脂は、一般式R2SiX2(式中、Rは炭素数1
〜18の一価の有機基、Xは塩素、臭素、又は炭素数1
〜4のアルコキシ基である、以下同様)で表される加水
分解性2官能シラン誘導体0〜60モル%と、一般式R
SiX3で表される加水分解性3官能シラン誘導体10
〜100モル%と。一般式SiX4で表される加水分解
性4官能シラン誘導体0〜30モル%との混合物を加水
分解縮重合したものであるようにする。加水分解性3官
能シラン誘導体モノマー単位(分子当たり3個の加水分
解性基X(塩素、臭素、又はアルコキシ基)を有し、各
ケイ素原子に3つの酸素原子が結合した3官能シロキサ
ン結合を形成するモノマー単位)は、シリコーン被膜を
形成する上で重要な成分であり、保護層の硬度、平滑
性、成膜性を良好に保つには10モル%以上含有させる
のが好ましい。保護層に可撓性を付与するためには、加
水分解性2官能シラン誘導体モノマー単位(分子当たり
2個の加水分解性基X(塩素、臭素、又はアルコキシ
基)を有し、各ケイ素原子に2つの酸素原子が結合した
2官能シロキサン結合を形成するモノマー単位)を含有
させるか、γ−グリシドキシアルキルトリアルコキシシ
ランの加水分解縮重合物等のエポキシ変性シリコーンを
含むようにするのが好ましい。但し、架橋密度を大きく
し、充分な硬度の硬化被膜を得るためには、加水分解性
2官能シラン誘導体モノマー単位の含有量は60モル%
以下であるのが好ましい。また、保護層の硬度を向上さ
せるため、加水分解性4官能シラン誘導体モノマー単位
(分子当たり4個の加水分解性基X(塩素、臭素、又は
アルコキシ基)を有し、各ケイ素原子に4つの酸素原子
が結合した4官能シロキサン結合を形成するモノマー単
位)を含有させるのが好ましい。
【0033】上記易接着層又は保護層塗布液をフィルム
に塗布する方法としては、塗布液をグラビア印刷法、マ
イクログラビア印刷法、コンマコート法、ロールコート
法、リバースロールコート法、バーコート法、キスコー
ト法、フローコート法でコートし、乾燥する方法が好適
に利用できる。乾燥方法としては、加熱処理、室温放
置、紫外線照射等により行うことができる。ここで、加
熱処理の場合、その温度は、塗布方法や溶媒やフィルム
の樹脂の種類やフィルムの厚みによっても異なるが、一
般的には150℃以下が望ましい。
【0034】図4のように、基材31の表面層34があ
る面の裏側に粘着層35を設けてもよい。この基材31
の裏面に設けられる粘着層35は、粘着剤塗布液をフィ
ルム裏面上に塗布・乾燥することにより形成され、フィ
ルム全体を窓ガラス等の部材に粘着させる作用を有して
いる。粘着剤には、例えば熱に反応する粘着剤あるい
は、圧力を感ずる粘着剤を用いることができる。熱を感
じる粘着剤としては、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、
スチレン−アクリル共重合体、スチレン−アクリロニト
リル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等を例示
することができる。圧力を感じる粘着剤としては、アク
リルエステル系樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、ゴム系
樹脂、ポリエチレン−酢酸ビニル共重合体等を例示する
ことができる。
【0035】図5のように、さらに上記粘着層45を保
護するシート46があってもよい。この保護シート46
は、上記フィルムをロール状に巻き取って保管する際
に、粘着層45と光触媒性酸化チタンを含む表面層44
が直接触れ合うことを防止する作用を有している。この
ような構造とすることによって、使用時に光触媒性酸化
チタンを含む表面層に粘着層の一部が残存したりして起
こる問題を無くすことが可能となる。
【0036】
【実施例】(比較例1)メチルアルコール223.5
部、エチルシリケート40(コルコート製、エチルシリ
ケート5量体相当品)30部を500ccビーカーに入
れ、303Kに保持してマグネティックスターラーで均
一に撹拌した。これに、蒸留水45部と60%硝酸1.
5部の混合液を一括添加し、303Kに保持したまま約
6時間加水分解した。このようにして調製したシリコー
ンの加水分解液を溶液Aとする。なお、溶液Aの固形分
濃度はSiO2として4%であった。次に、上記溶液A
を25部、イソプロピルアルコール70部を200cc
ビーカーに入れ、303Kに保持してマグネティックス
ターラーで均一に撹拌した。これに、アナターゼ型酸化
チタンゾルSTS−01(石原産業製、固形分濃度30
%、硝酸解膠型pH1.5)を5部加えて、303Kに
保持したまま約1時間撹拌した。このようにして調製し
た酸化チタンとシリコーンの混合液を溶液Bとする。な
お、溶液Bの固形分濃度は2.5%、TiO2/SiO2
重量比は60/40である。溶液Aと混合する前に、ア
ナターゼ型酸化チタンゾルSTS−01単独で動的光散
乱粒径分布測定器(大塚電子製「DLS−600」)に
より平均粒子径を測定したところ、49nmであった。
また、STS−01ゾルを60℃で乾燥後メノウ乳鉢で
粉砕して粉末にし、X線回折装置(マックサイエンス製
「MXP−18」)を用いてScherrer法により
平均結晶子径を測定したところ、77Å(7.7nm)
であった。マイヤーバー#2を用いて、厚み38μm、
サイズ20×20cmのPETフィルム(東洋紡製「A
−4100」、PE系レジン易接着層(4μm)付き)
にシリコーン樹脂塗料KP−85(信越化学製、固形分
濃度20%)を塗布し、393Kで3分間かけて加熱硬
化させ、計算上の膜厚3μmの保護層を形成させた。続
いて、マイヤーバー#1を用いて、この保護層上に前記
溶液Bを塗布し、393Kで3分間かけて加熱硬化さ
せ、計算上の膜厚0.1μm光触媒性酸化チタンとシリ
コーンとから成る表面層を形成させた。
【0037】得られた試験片フィルムについて、フィル
ム全体の比表面積測定、紫外線照射時におけるメチルメ
ルカプタンガスの分解率(R30)測定、屋外暴露時の外
観観察と硫酸イオン量測定、紫外線照射後の水との接触
角測定を行った。比表面積測定は、クリプトン(Kr)
ガス吸着法による比表面積測定装置(島津製作所製「A
SAP2010M」)を用いて基材のPETフィルムを
含めたフィルム全体について行った。その結果、0.1
73m2/gであった。紫外線照射時におけるメチルメ
ルカプタンガスの分解率測定は、容積約4リットルのデ
シケータ中に、100cm2の試験片とメチルメルカプ
タンガスを入れ、紫外線強度計(トプコン製「UVR−
2+UD−36」)で1mW/cm2になるようにブラ
ックライトブルー蛍光灯(三共電気製「FL−4SBL
B」)を30分間照射し、ガスクロマトグラフ装置(H
EWLETTPACKARD製「5890SERIES
II」)で照射前後のガス濃度を測定し、計算により分解
率R30を求めた。その結果、は5.4%であった。屋外
暴露時の外観観察は、東陶機器虎ノ門ビル(東京都港区
虎ノ門1−1−28)屋上にフィルム試験片を貼着し、
約1ヶ月経過後に試験片表面の汚れ方と白色物質発生の
有無を目視で観察した。その結果、煤塵の付着による汚
れはほとんど無かったが、小さな斑点状の白色物質が発
生しているのを確認した。また、硫酸イオン量の測定
は、外観を観察した後、蒸留水を含ませた石英ウールを
用いて試験片表面に付着した物質を回収し、孔径0.2
μmのフィルターで水に不溶性の物質をろ過し、キャピ
ラリー電気泳動装置(HEWLETTPACKARD製
「HP3DCE」)で硫酸イオンを定量することにより行
った。その結果、硫酸イオン量は1300ng/cm2
であった。紫外線照射後の試料片表面と水との接触角
は、紫外線強度計(トプコン製「UVR−2+UD−3
6」)で1mW/cm2になるようにブラックライトブ
ルー蛍光灯(三共電気製「FL−20SBLB」)を2
4時間照射し、接触角測定器(協和界面科学製「CA−
X150」)を用い、マイクロシリンジから試料片表面
に水を滴下した後30秒後に測定した。その結果、水と
の接触角は3°であった。
【0038】(比較例2)比較例1で調製した溶液Aを
87.5部、イソプロピルアルコール105部を300
ccビーカーに入れ、303Kに保持してマグネティッ
クスターラーで均一に撹拌した。これに、アナターゼ型
酸化チタンゾルSTS−100(石原産業製、固形分濃
度20%、硝酸解膠型pH1.2)を7.5部加えて、
303Kに保持したまま約1時間撹拌した。このように
して調製した酸化チタンとシリコーンの混合液を溶液C
とする。なお、溶液Cの固形分濃度は2.5%、TiO
2/SiO2重量比は30/70である。溶液Aと混合す
る前に、アナターゼ型酸化チタンゾルSTS−100単
独で動的光散乱粒径分布測定器(大塚電子製「DLS−
600」)により平均粒子径を測定したところ、32n
mであった。また、STS−100ゾルを60℃で乾燥
後メノウ乳鉢で粉砕して粉末にし、X線回折装置(マッ
クサイエンス製「MXP−18」)を用いてScher
rer法により平均結晶子径を測定したところ、50Å
(5.0nm)であった。マイヤーバー#2を用いて、
厚み38μm、サイズ20×20cmのPETフィルム
(東洋紡製「A−4100」、PE系レジン易接着層
(4μm)付き)にシリコーン樹脂塗料KP−85(信
越化学製、固形分濃度20%)を塗布し、393Kで3
分間かけて加熱硬化させ、計算上の膜厚3μmの保護層
を形成させた。続いて、マイヤーバー#1を用いて、こ
の保護層上に前記溶液Cを塗布し、393Kで3分間か
けて加熱硬化させ、計算上の膜厚0.1μm光触媒性酸
化チタンとシリコーンとから成る表面層を形成させた。
得られた試験片フィルムについて、比較例1と同様に評
価したところ、フィルム全体の比表面積は、0.056
2/gであった。紫外線照射時におけるメチルメルカ
プタンガスの分解率R30は2.7%であった。屋外暴露
時の外観は、白色物質の発生は見られなかったが、多量
の煤塵の付着が認められた。また、硫酸イオン量は41
3ng/cm2であった。紫外線照射後の水との接触角
は35゜であった。
【0039】(実施例1)比較例1で調製した溶液Aを
25部、イソプロピルアルコール67.5部を200c
cビーカーに入れ、303Kに保持してマグネティック
スターラーで均一に撹拌した。これに、アナターゼ型酸
化チタンゾルSTS−100(石原産業製、固形分濃度
20%、硝酸解膠型pH1.2、平均粒子径32nm、
平均結晶子径5.0nm)を7.5部加えて、303K
に保持したまま約1時間撹拌した。このようにして調製
した酸化チタンとシリコーンの混合液を溶液Dとする。
なお、溶液Dの固形分濃度は2.5%、TiO2/Si
2重量比は60/40である。マイヤーバー#2を用
いて、厚み38μm、サイズ20×20cmのPETフ
ィルム(東洋紡製「A−4100」、PE系レジン易接
着層(4μm)付き)にシリコーン樹脂塗料KP−85
(信越化学製、固形分濃度20%)を塗布し、393K
で3分間かけて加熱硬化させ、計算上の膜厚3μmの保
護層を形成させた。続いて、マイヤーバー#1を用い
て、この保護層上に前記溶液Dを塗布し、393Kで3
分間かけて加熱硬化させ、計算上の膜厚0.1μm光触
媒性酸化チタンとシリコーンとから成る表面層を形成さ
せた。得られた試験片フィルムについて、比較例1と同
様に評価したところ、紫外線照射時におけるメチルメル
カプタンガスの分解率R30は2.2%であった。屋外暴
露時の外観は、煤塵の付着による汚れはほとんど無く、
白色物質も発生していなかった。また、硫酸イオン量は
450ng/cm2であった。紫外線照射後の水との接
触角は6゜であった。
【0040】(実施例2)比較例1で調製した溶液Aを
62.5部、イソプロピルアルコール125部を300
ccビーカーに入れ、303Kに保持してマグネティッ
クスターラーで均一に撹拌した。これに、平均粒子径4
0nmで平均結晶子径6.4nmのアナターゼ型酸化チ
タンの水性分散液(固形分濃度20%、硝酸解膠型pH
1.5)とアナターゼ型酸化チタンゾルSTS−100
(石原産業製、固形分濃度20%、硝酸解膠型pH1.
2、平均粒子径32nm、平均結晶子径5.0nm)の
1:1混合液を12.5部加えて、303Kに保持した
まま約1時間撹拌した。このようにして調製した酸化チ
タンとシリコーンの混合液を溶液Eとする。なお、溶液
Eの固形分濃度は2.5%、TiO2/SiO2重量比は
50/50である。マイヤーバー#2を用いて、厚み3
8μm、サイズ20×20cmのPETフィルム(東洋
紡製「A−4100」、PE系レジン易接着層(4μ
m)付き)にシリコーン樹脂塗料KP−85(信越化学
製、固形分濃度20%)を塗布し、393Kで3分間か
けて加熱硬化させ、計算上の膜厚3μmの保護層を形成
させた。続いて、マイヤーバー#1を用いて、この保護
層上に前記溶液Eを塗布し、393Kで3分間かけて加
熱硬化させ、計算上の膜厚0.1μm光触媒性酸化チタ
ンとシリコーンとから成る表面層を形成させた。得られ
た試験片フィルムについて、比較例1と同様に評価した
ところ、紫外線照射時におけるメチルメルカプタンガス
の分解率R30は2.2%であった。屋外暴露時の外観
は、煤塵の付着による汚れはほとんど無く、白色物質も
発生していなかった。また、硫酸イオン量は658ng
/cm2であった。紫外線照射後の水との接触角は5゜
であった。
【0041】(実施例3)比較例1で調製した溶液Aを
50部、イソプロピルアルコール120部を300cc
ビーカーに入れ、303Kに保持してマグネティックス
ターラーで均一に撹拌した。これに、ブルッカイト型酸
化チタンゾルNTB−1(昭和電工製、固形分濃度10
%、塩酸解膠型pH4)を30部加えて、303Kに保
持したまま約1時間撹拌した。このようにして調製した
酸化チタンとシリコーンの混合液を溶液Fとする。な
お、溶液Fの固形分濃度は2.5%、TiO2/SiO2
重量比は60/40である。溶液Aと混合する前に、ブ
ルッカイト型酸化チタンゾルNTB−1単独で動的光散
乱粒径分布測定器(大塚電子製「DLS−600」)に
より平均粒子径を測定したところ、35nmであった。
マイヤーバー#2を用いて、厚み38μm、サイズ20
×20cmのPETフィルム(東洋紡製「A−410
0」、PE系レジン易接着層(4μm)付き)にシリコ
ーン樹脂塗料KP−85(信越化学製、固形分濃度20
%)を塗布し、393Kで3分間かけて加熱硬化させ、
計算上の膜厚3μmの保護層を形成させた。続いて、マ
イヤーバー#1を用いて、この保護層上に前記溶液Fを
塗布し、393Kで3分間かけて加熱硬化させ、計算上
の膜厚0.1μm光触媒性酸化チタンとシリコーンとか
ら成る表面層を形成させた。得られた試験片フィルムに
ついて、比較例1と同様に評価したところ、紫外線照射
時におけるメチルメルカプタンガスの分解率R30は1.
7%であった。屋外暴露時の外観は、煤塵の付着による
汚れはほとんど無く、白色物質も発生していなかった。
また、硫酸イオン量は712ng/cm2であった。紫
外線照射後の水との接触角は3゜であった。
【0042】
【表1】
【0043】本発明の実施例における評価結果をまとめ
て表1に示す。このように本発明の実施例においては、
平均結晶子径が6.0nm未満の酸化チタン粒子を光触
媒として使用することにより、ガス分解力(R30)が小
さく、生成する硫酸イオン量も少なく抑えられており、
白色物質の発生が無いフィルム表面になっている。ま
た、高度の親水性を呈し降雨によるセルフクリーニング
効果が期待できるため、窓ガラス貼着用フィルムとして
の実使用においても、外観や透光性が良い状態を維持で
きる表面になっているものと推定される。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、大都市のように大気が
汚染された場所で使用しても、透光性及び外観を損ねる
ことがなく、セルフクリーニング性及び易清掃性を有す
る窓ガラス貼着用フィルムを提供することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る窓ガラス貼着用フィルムの表面
構造の一実施例を示す図。
【図2】 本発明に係る窓ガラス貼着用フィルムの表面
構造の他の実施例を示す図。
【図3】 本発明に係る窓ガラス貼着用フィルムの表面
構造の他の実施例を示す図。
【図4】 本発明に係る窓ガラス貼着用フィルムの表面
構造の他の実施例を示す図。
【図5】 本発明に係る窓ガラス貼着用フィルムの表面
構造の他の実施例を示す図。
【符号の説明】
1、11、21,31、41…フィルム基材 22…易接着層 13、23…保護層 4、14、24、34、44…表面層 35,45…粘着層 46…保護シート

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性を有する基材上に、光触媒性酸化
    チタン粒子と太陽光の照射では光触媒性を実質的に示さ
    ない粒子状でない親水性成分とを含む表面層が形成さ
    れ、太陽光の照射に応じて水との接触角が20°以下に
    なるセルフクリーニング性を有する窓ガラス貼着用フィ
    ルムであって、屋外暴露1ヶ月後に前記表面層への付着
    物を回収することにより得た水溶液をろ過してろ液を抽
    出し、このろ液をキャピラリー電気泳動装置を用いて測
    定することにより得られる前記表面層への屋外暴露時の
    硫酸イオン(SO4 2-)付着量が750ng/cm2以下
    であることを特徴とする窓ガラス貼着用フィルム。
  2. 【請求項2】 前記光触媒性酸化チタン粒子は、平均粒
    子径40nm未満のアナターゼ型結晶又はブルッカイト
    型結晶であり、かつその結晶子径は6.0nm未満であ
    り、かつ前記表面層の前記光触媒性酸化チタン粒子と前
    記親水性成分の組成比は、重量比で70対30から40
    対60の間であることを特徴とする請求項1に記載の窓
    ガラス貼着用フィルム。
  3. 【請求項3】 クリプトン(Kr)ガス吸着法による比
    表面積測定装置(島津製作所製「ASAP2010
    M」)を用いたフィルム全体の比表面積が0.150m
    2/g以下であることを特徴とする請求項1又は2に記
    載の窓ガラス貼着用フィルム。
  4. 【請求項4】 前記光触媒性酸化チタン粒子は、平均粒
    子径36nm以下のアナターゼ型結晶又はブルッカイト
    型結晶であり、かつその結晶子径は5.5nm以下であ
    ることを特徴とする請求項2又は3に記載の窓ガラス貼
    着用フィルム。
  5. 【請求項5】 前記光触媒性酸化チタン粒子は、平均粒
    子径32nm以下のアナターゼ型結晶又はブルッカイト
    型結晶であり、かつその結晶子径は5.0nm以下であ
    ることを特徴とする請求項2又は3に記載の窓ガラス貼
    着用フィルム。
  6. 【請求項6】 前記表面層の親水性成分のうちの少なく
    とも一部は、太陽光の照射時の光触媒反応により親水化
    されるシリコーンであることを特徴とする請求項1〜5
    に記載の窓ガラス貼着用フィルム。
  7. 【請求項7】 前記表面層の親水性成分のうちの少なく
    とも一部は、無定型酸化チタンであることを特徴とする
    請求項1〜6に記載の窓ガラス貼着用フィルム。
  8. 【請求項8】 前記表面層には、さらにシリカが含有さ
    れていることを特徴とする請求項1〜7に記載の窓ガラ
    ス貼着用フィルム。
  9. 【請求項9】 前記基材は、高分子樹脂フィルムである
    ことを特徴とする請求項1〜8に記載の窓ガラス貼着用
    フィルム。
  10. 【請求項10】 前記高分子樹脂は、ポリエチレンテレ
    フタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、ポ
    リメチルメタクリレート(PMMA)のいずれかである
    ことを特徴とする請求項9記載の窓ガラス貼着用フィル
    ム。
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