JP2001214379A - 皮革様シート状物およびその製造方法 - Google Patents
皮革様シート状物およびその製造方法Info
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Abstract
がら、ソフト性と挫掘性が両立してバランスしており、
折り曲げしわが繊細で丸みをもって変形される皮革様シ
ート状物およびその製造方法を提供することを目的とす
る。 【解決手段】 本発明の皮革様シート状物は、極細繊維
および/または極細繊維束からなる繊維集合体と該繊維
集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(A)とか
ら構成されるシート層(1)と、主として繊維から構成
されるシート層(2)とが、100%伸長応力が200
N/cm2以上1200N/cm2以下である高分子弾性
体(B)により接着されている物であって、該高分子弾
性体(B)のシート層(1)およびシート層(2)中へ
の侵入深さがそれぞれ該層厚さの4分の1以下で、かつ
該高分子弾性体(B)層の平均厚さが0.01mm以上
0.2mm以下であることことを特徴とする。
Description
でありながら、ソフト性と挫掘性のバランスに優れた新
規な皮革様シート状物とその製造方法に関するものであ
る。特に本発明は家具や靴用途に適する皮革様シート状
物とその製造方法に関するものである。
の極細繊維化、含浸樹脂の凝固、仕上げ加工などの技術
改良が進み、ソフト性、実用耐久性、スエード・ヌバッ
ク調外観品位などにおいて品質の向上が見られ、広く衣
料、家具、シューズなどの用途に使用されている。しか
し、良質の天然皮革に見られるソフトで腰のある風合い
に関しては、まだ不十分である。
々に作った2枚のシート層を張り合わせる方法が、特公
昭62−15673号公報や特公昭62−38474号
公報などに開示されているが、表裏の差異こそ発現する
ものの、全体がソフトであれば腰が無く、腰の強さがあ
ればハードなものとなり、天然皮革のようなソフトで腰
のあるシート状物は、これらの方法では得られなかっ
た。また、シートを構成している樹脂や繊維などの成分
を溶剤により溶解して接着するため、処理液を非膜状に
塗布しない場合には硬くなりすぎるという問題があっ
た。さらに、接着面に処理液による溶解成分が少ない場
合、例えば繊維が多く樹脂含浸量が少ないシートを樹脂
成分を溶解して接着させる場合などに、接着力が確保し
にくいという問題があった。
工工程中の張力により基材が無理に伸ばされる結果、風
合い、挫掘性が悪くなり、天然皮革のようなソフトで折
り曲げしわが繊細で丸みをもって変形される性質が得ら
れないといった問題があった。
術の有する問題点を鑑みなされたもので、その目的は、
天然皮革のように伸び止め性が良好でありながら、ソフ
ト性と挫掘性が両立してバランスしており、折り曲げし
わが繊細で丸みをもって変形される皮革様シート状物お
よびその製造方法を提供することにある。
状物は、極細繊維および/または極細繊維束からなる繊
維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子
弾性体(A)とから構成されるシート層(1)と、主と
して繊維から構成されるシート層(2)とが、100%
伸長応力が200N/cm2以上1200N/cm2以下
である高分子弾性体(B)により接着されている皮革様
シート状物であって、該高分子弾性体(B)のシート層
(1)およびシート層(2)中への侵入深さがそれぞれ
該層厚さの4分の1以下で、かつ該高分子弾性体(B)
層の平均厚さが0.01mm以上0.2mm以下である
ことことを特徴とし、好ましくはシート層(2)が極細
繊維および/または極細繊維束からなる繊維集合体と該
繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)
とから構成されることが望ましい。
は、極細繊維および/または極細繊維束からなる繊維集
合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性
体(A)とから構成されるシート層(1)と、主として
繊維から構成されるシート層(2)の少なくとも一方の
表面に、100%伸長応力が200N/cm2以上12
00N/cm2以下の高分子弾性体(B)を乾燥重量が
20g/m2以上200g/m2以下となるように塗布
し、次いで両シート層を張合わせて積層する方法であ
り、好ましくはさらにその皮革様シート状物を接着後に
染色する製造方法である。
発明のシート層(1)は、極細繊維および/または極細
繊維束からなる繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙
に存在する高分子弾性体(A)とから構成され、好まし
くは緻密に絡合した3次元絡合不織布の繊維間空隙に高
分子弾性重合体を主体とした樹脂が含有されたものであ
る。
は、0.5dtex以下の極細繊維あるいは0.5dt
ex以下の極細繊維が束として集合している極細収束繊
維のことであり、例えば具体的には、単独で0.5dt
ex以下の極細繊維に紡糸した繊維、溶剤溶解性の異な
る2成分以上の重合体組成物から複合紡糸法、混合紡糸
法などにより海島型繊維として紡糸して得た多成分繊維
の少なくとも一成分を除去し極細化した繊維、または交
互張り合わせ断面を有する複合繊維を分割し極細化した
繊維等である。さらに後に処理する高分子弾性体(A)
との非接合構造をとるために、シリコンまたはポリビニ
ルアルコールなどの糊剤を繊維に処理してあっても良
い。また、溶剤溶解性の異なる2成分以上の重合体組成
物の好ましい組み合わせとしては、不溶解成分としてポ
リエステルを選定したときには易溶解成分としてポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどのポリオレ
フィン類が、不溶解成分としてポリアミドを選定した時
には易溶解成分としてポリエステル類、ポリオレフィン
類が好ましく選定される。
は、例えば公知のカード、レーヤー、ニードルロッカ
ー、流体絡合装置などを用い、交絡繊維密度の高い緻密
に絡合した3次元絡合不織布とすることが好ましい。
る高分子弾性体(A)は、ポリウレタンエラストマー、
ポリウレアエラストマー、ポリウレタンウレアエラスト
マーなどのポリウレタン系エラストマー、ポリエステル
系エラストマー、合成ゴム、天然ゴム、ポリアクリル酸
樹脂、などであるが、中でもポリウレタン系エラストマ
ーが好ましい。例えばポリウレタン系エラストマーの具
体例として、分子量500〜4000のポリエチレング
リコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ポリブチレンカーボネート、ポリヘキ
サメチレンカーボネート、ポリエチレンアジペート、ポ
リブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート
などのポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネー
ト、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシア
ネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシア
ネート、3,3,5−トリメチル−5−イソシアネート
メチルシクロヘキシルイソシアネート、などの有機ジイ
ソシアネートと、エチレングリコール、ブチレングリコ
ール、キシリレングリコール、プロピレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、4,4’ジアミノジフェニルメ
タン、3,3,5−トリメチル−5−アミノメチルシク
ロヘキシルアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシ
ルメタン、ヒドラジン、アミノ酸ヒドラジッド、ジカル
ボン酸ヒドラジットなどの低分子鎖伸長剤などを反応さ
せて得たものである。好ましい高分子弾性体(A)の硬
さは100%伸長応力で示して100〜3000N/c
m2、さらに好ましくは300〜1500N/cm2、最
も好ましくは400〜1000N/cm2の範囲にある
ものである。
に存在させるには、例えば有機溶剤溶液、水性分散液な
どとして繊維集合体に処理し、従来公知の湿式凝固法、
または乾式凝固法などにより繊維集合体に凝固させる。
また、処理液には高分子弾性体の弾性度を損なわない範
囲で多孔調整剤、着色剤などの任意の配合剤を添加して
も構わない。これら高分子弾性体(A)の繊維複合体へ
の含有量によりシート状物のソフト性と反発弾性が調整
されるので、乾燥後の重量含有率は繊維集合体重量に対
して好ましくは10〜120%、さらに好ましくは25
〜80%の範囲である。そして、シート層(1)の繊維
が溶剤溶解性の異なる2成分以上の重合体組成物から形
成されている場合には、極細繊維となる非溶解成分およ
び高分子弾性体(A)をともに溶解せず、繊維の易溶解
成分を溶解する溶剤で処理し、極細繊維束からなるシー
トとする。
の表面となる片面に、従来公知の方法によって極細繊維
の立毛層が形成されていても良い。またシート状物は染
色されていても良く、これらの処理は高分子弾性体
(B)による接着工程の前後いずれで行っても良い。染
色を接着前に行なう場合はシート層を別々の色に染める
ことや、片方を非染色とすることによりコストを低減で
きる。
(1)の厚さと密度は以下に述べる構成からなることが
好ましい。まず厚さt1(mm)は0.2以上1.5以
下が好ましく、0.3以上1.3以下がさらに好まし
い。厚さが上記値より小さい場合薄すぎ強度不足、ある
いは実質の加工が困難となる傾向にある。上記値より大
きい場合厚すぎ風合いが硬く用途が制限される傾向にあ
る。さらに、シート層(1)の見掛密度ρ1(g/c
m3)は0.20以上0.48以下が好ましく、0.2
5以上0.45以下がさらに好ましい。
(2)は、主として繊維から構成されるものであり、そ
の構成繊維は極細繊維以外の通常繊維でも良く、例えば
綿、麻、ウール等の天然繊維、レーヨン、ナイロン、ポ
リエステル、ポリウレタン等の化学繊維、これらの混紡
糸等があげられる。また、繊維は3次元絡合不織布以外
の編織物等の布帛でもよい。そして、高分子弾性体
(C)を主体とした樹脂を含浸していることが好まし
く、さらには上記シート層(1)と同様に、極細繊維お
よび/または極細繊維束からなる繊維集合体と該繊維集
合体の繊維間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから
構成されることが好ましい。この高分子弾性体(C)に
はシート層(1)で用いられる前記の高分子弾性体
(A)と同様のものが用いられる。
に述べる構成からなることが好ましい。まず厚さt
2(mm)は0.2以上2.5以下が好ましく、0.3
以上2.0以下がさらに好ましい。厚さが上記値より小
さい場合薄すぎ強度不足、あるいは実質の加工が困難と
なる傾向にある。上記値より大きい場合厚すぎ風合いが
硬く用途が制限される傾向にある。さらに、シート層
(2)の見掛密度ρ2(g/cm3)は0.20以上0.
48以下が好ましく、0.23以上0.45以下がさら
に好ましい。
さと密度は以下に述べる関係にあることが好ましい。ま
ずシート層(1)の厚さt1(mm)とシート層(2)
の厚さt2(mm)について、(t1+t2)は0.4以
上4.0以下が好ましく、0.4以上3.6以下がさら
に好ましい。(t1+t2)が0.4未満では薄すぎ強度
が不足し張り合わせ加工が困難となる傾向にあり、また
4.0を超える場合、厚すぎ風合いが硬く用途が制限さ
れる傾向にある。さらに、シート層(1)の見掛密度ρ
1(g/cm3)とシート層(2)の見掛密度ρ2(g/
cm3)についてρ1/ρ2は0.60以上2.4以下が
好ましく、1.00以上2.0以下が、さらには1.0
5以上1.18以下が特に好ましい。
れ厚手のシートを作成しておきそれを2層以上にスライ
スしたものでも良く、同じ厚手のシートからスライスし
て得たシートをシート層(1)、(2)として使用して
も良い。一般に、厚さ1mm以下の薄い不織布は強度が
小さいため、工程通過性が低く、ラインスピードも上げ
られないため、生産性が低い。このため、厚手のシート
を作り、スライスにより求める厚さのシートを得るのは
好ましい方法である。
(1)とシート層(2)を接着するには、例えば高分子
弾性体(B)の有機溶剤溶液あるいは水性分散液など
を、一方のシート層の表面に塗布した後、他方のシート
層と張り合わせれば良い。塗布液には接着を損なわない
範囲で各種添加剤を配合しても良い。また、塗布量はシ
ート内部への浸透度にもよるが乾燥重量で20g/m2
以上200g/m2以下が好ましい。
ン樹脂、ポリアクリル酸樹脂、合成ゴム、ポリ酢酸ビニ
ル樹脂などの有機溶剤溶液あるいは水分散液などを用い
ることができるが、本発明の皮革様シート状物の用途か
らポリウレタン樹脂が最も好ましい。ポリウレタン樹脂
は具体例として分子量500〜4000のポリエチレン
グリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメ
チレングリコール、ポリブチレンカーボネート、ポリヘ
キサメチレンカーボネート、ポリエチレンアジペート、
ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペー
トなどのポリオールと、ジフェニルメタンジイソシアネ
ート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシ
アネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシ
アネート、3,3,5−トリメチル−5−イソシアネー
トメチルシクロヘキシルイソシアネート、などの有機ジ
イソシアネートと、エチレングリコール、ブチレングリ
コール、キシリレングリコール、プロピレンジアミン、
ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニ
ルメタン、3,3,5−トリメチル−5−アミノメチル
シクロヘキシルアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘ
キシルメタン、ヒドラジン、アミノ酸ヒドラジッド、ジ
カルボン酸ヒドラジットなどの低分子鎖伸長剤などを反
応させて得たものである。さらには接着強度を満足させ
るうえで有機イソシアネートとしてトリメチロールプロ
パンにトリレンジイソシアネート、あるいはジフェニル
メタンジイソシアネートなどを付加させた多官能イソシ
アネートを用い架橋型ポリウレタン樹脂とすることが好
ましい。この場合には、未架橋状態でいずれかのシート
層に塗布し、シート層(1)と(2)を張り合わせた
後、架橋が終了するまでエージングを行い、接着を終了
させる。また、エージングを短縮するために塗布液に各
種触媒を添加しても良い。
子弾性体(B)のみからなる層のことだけではなく、シ
ート層(1)および(2)の空隙の一部に高分子弾性体
(B)が存在することにより、接着に関与しないシート
層の他の部分よりも、高密度となっている層のことをさ
す。この高分子弾性体(B)層の平均厚さが0.01m
m以上0.2mm以下であり、高分子弾性体(B)がシ
ート層(1)および(2)の層の厚さの4分の1以下の
範囲にしか存在していないことが必要である。またこの
高分子弾性体(B)を単独でシートとした場合の物性
は、100%伸長応力が200N/cm2以上1200
N/cm2以下であることが必要であり、見掛密度が
0.5g/cm3以上1.3g/cm3以下であることが
好ましい。これらの特性値が下限未満の場合、接着強度
が不足するなど問題を生じやすい。一方上限を超える場
合風合いが硬くなる傾向にある。本発明では、高分子弾
性体(B)層の平均厚さ、高分子弾性体(B)のシート
層での存在範囲、および高分子弾性体(B)の100%
伸長応力を規定することにより、ソフト性と挫掘性のバ
ランスのとれた皮革様シート状物を得ることを可能にし
ている。
以下とすることが好ましい。ここでいうレザーライク指
数とは後述測定法に従って曲げ硬さ(RB)、曲げ圧縮
力(P3)、反発弾性度(ER)を測定し次式により計
算した値で示すものである。レザーライク指数=曲げ圧
縮力(P3)/(曲げ硬さ(RB)×反発弾性度(E
R))
大きい程ソフト性に富み曲げ圧縮力(腰の強さ)が大き
く、反発弾性が小さい性格を表しており、レザーライク
指数が大きいことは天然皮革の性格により近いことを示
すものである。
さ(RB)および反発弾性度(ER)を小さく、曲げ圧
縮力(P3)を大きくすれば良い。例えば本発明の構造
物で曲げ硬さ(RB)を小さくするためには、高分子弾
性体(A)と繊維質基材とが非接合構造をなしたり、高
分子弾性体(B)層がシート層(1)とシート層(2)
の間に中立層の役割りを果たすように存在したりするこ
とで、曲げ圧縮力(P3)を大きくするためには、シー
ト層(1)及びシート層(2)の見掛密度を上記適性範
囲に設定したり、高分子弾性体(B)層の厚さや樹脂の
モジュラスを上記適性値に設定したりすることが好まし
い。また、反発弾性度を小さくするためには、シート層
(1)の高分子弾性体(A)と繊維集合体及び/または
シート層(2)の高分子弾性体(C)と繊維とが非接合
構造をなしていることが好ましい。
などに使用しようとする場合には、剥離強力が20N/
cm以上であることが好ましく、さらに25N/cm以
上が望ましい。この剥離強力は、2.5cm×9.0c
m試験片の表同士をポリウレタン接着剤で貼り合わせた
後、剥離試験したときの剥離力を1cm幅当たりに換算
した値である。これを満足した剥離強力を得るには、繊
維質基材の厚さ方向の絡合繊維密度を十分に上げること
が大切で、例えばニードルパンチングまたは流体絡合法
などにより有効な絡合繊維密度をとることにより達成さ
れる。また、高分子弾性体(B)層の層間剥離強力を高
めることも大切で、例えば高分子弾性体(B)をシート
層(1)およびシート層(2)に浸透させれば良い。
来公知の方法により表面を起毛させたり、染色等を行っ
ても良い。これらは工程のどの段階で行っても良いが、
張力による基材の変形を避けたい場合には、高分子弾性
体(B)による接着後に行えば良い。特に染色の場合に
おいては、高分子弾性体(B)層の存在により工程張力
による品質の低下を抑えることができる。また、スウェ
ード調またはヌバック調の立毛を有するシートに加工し
た本発明の皮革様シート状物を、接着後に染色した場
合、立毛の脱落が少なくライテイング効果の優れたシー
ト状物を得ることができる。液流染色機などの基材シー
トにかかる剪断力が大きい染色機を使用した場合にこの
効果は顕著である。しかし、これらの手法に限定される
ものではなく、順序を変更しても、他のエンボス、揉み
等の工程をさらに組み合わせても良い。
うに伸び止め性が良好でありながら、ソフト性と挫掘性
が両立してバランスしており、折り曲げしわが繊細で丸
みをもって変形される皮革様シート状物であり、特に家
具や靴用途に適した皮革様シート状物である。
とシート層(2)を高分子弾性体(B)を介して接着す
ることによって、高分子弾性体(B)層を皮革様シート
状物の中間部分に成形し、シートの曲げ変形にたいして
高分子弾性体(B)層が中立層の役割を果たし、高分子
弾性体(B)層がなく繊維集合体と高分子弾性体のみか
らなるシート状物と対比して小変形の際の曲げ硬さ(R
B)、反発弾性度(ER)を大きくせず、引張応力、大
変形の際の曲げ圧縮力(P3)を大きくすることがで
き、レザーライク指数の大きい、より革らしい特性を有
した皮革様シート状物を得ることができる。
たときシート内には曲げ変形にたいして伸長変形(外側
に湾曲する部分)も圧縮変形(内側に圧縮される部分)
も生じない層が材料力学的に存在するが、ここで言う中
立層とはこの層を意味する。
立層からの距離とその位置における応力との積の積分値
で表されるので、この中立層となる位置の近くに高モジ
ュラス、高密度の層が存在しても小変形の際の曲げ硬さ
(RB)は損なわれない。
り曲げ圧縮したときの力、大変形の際の曲げ圧縮力(P
3)は密度に比例して高くなるので、シート層よりも高
密度の高分子弾性体層が中立層として存在することによ
り、天然皮革のもつソフトで腰の強さのある性格により
近いレザーライク性を有するものをうることを可能とし
た。
いるため、上述のソフトで挫掘性に優れている点に加え
て、接着以降の工程、特に染色の場合において工程張力
等による品質低下を抑えることができるようになった。
もに詳述するが、本発明はこれらによって限定されるも
のではない。なお、実施例、比較例、参考例における各
測定値は、次の方法により求めたものである。
11.8kPa(120gf/cm2)の測定器を使用
した以外は、JIS K 6505法に準じて測定し
た。
び JIS K 6505法によった。
の位置で固定具に把持する。試料他端より2.0cmの
位置で、曲率半径2cm90度に曲げたときの反発力を
測定し、この値を試験片の幅1cm当たりに換算して曲
げ硬さ(N/cm)とした。
恒速圧縮試験器に装着する。圧縮試験器のヘッドを1c
m/minで降ろし試験片を曲げ圧縮変形させ厚さの3
倍の間隙まで圧縮したときの圧縮力を幅1cmに換算し
て示す。
3N/cmの荷重をかけ1時間おいた後荷重を取り除き
30秒後に開いた角度(開角度θ)を測定次式により求
める。 反発弾性度=(θ/180)×100
接着剤で貼り合わせた後、剥離試験したときの剥離力を
1cm幅当たりに換算した値で示す。
し、その平均値を高分子弾性体(B)層の平均厚さとし
た。
なるシート層の作成例) ナイロン−6と低密度ポリエチレンを50:50の割合
で混合紡糸し、60℃の温水浴中で3倍に延伸、カット
し4.4dtex、51mmの繊維を得た。これをカー
ド、クロスレーヤーを用い、ニードルパンチングを行い
ウェブ目付が412g/m2のニードルパンチウェブを
得た。ついでこれを140℃のチャンバーで3分間加熱
した後35℃の冷却ロール間を通し、表1に示す厚さの
不織布を作成した。
のポリエーテル・エステルポリウレタン樹脂(高分子重
合体(A)に相当する)のジメチルホルムアミド溶液
(樹脂濃度15%)100部、親水性凝固調整剤(松本
油脂(株)製、FG−10)0.5部、疎水性凝固調整
剤(松本油脂(株)製、FG−12)0.5部からなる
含浸液に浸漬し、余分な含浸液をスクイズし、40℃の
15%ジメチルホルムアミド水溶液中で湿式凝固させ水
洗、乾燥し含浸基材を得た。含浸樹脂量を表1に併せて
示す。
し、基材厚さの60%の間隙でニップを繰り返し、ポリ
エチレンを抽出除去し、さらに90℃の熱水中に導きト
ルエンを除去し乾燥した。抽出工程でのタテ伸びが6
%、幅収縮が10%であった。
の1/2の位置でスライスし、2枚のシートとした。抽
出、スライス後の目付、厚さ、見掛密度を表1に併記し
た。
2、185g/m2となるシート層の作成例) ウェブ目付がそれぞれ294g/m2、572g/m2で
ある以外は参考例1と同様に処理を行った。樹脂含浸前
の不織布厚さ、密度、含浸樹脂量、抽出後の目付、厚
さ、見掛密度を表1に併せて示す。
なるシート層の作成例) スライスを行わない以外は参考例1と同様に処理を行っ
た。樹脂含浸前の不織布厚さ、密度、含浸樹脂量、抽出
後の目付、厚さ、見掛密度を表1に併せて示す。
合体(B)に相当する)を主体とする接着剤として大日
本インキ(株)製クリスボンTA−290;50部、大
日本インキ(株)製クリスボンTA−265;50部、
日本ポリウレタン(株)製コロネート2094;12
部、大日本インキ(株)製クリスボンアクセル−T;3
部、メチルエチルケトン;20部である組成物を調整し
た。この接着剤組成物を離形紙上に塗布、乾燥、エージ
ングを同様に行ったフィルムで測定した見掛密度は1.
15g/cm3、100%伸長応力は294N/cm2で
あった。
い、スライスした一方の基材のスライス面に接着剤組成
物をウエットで200g/m2になるように塗布し、つ
いでスライスしたもう一方の基材のスライス面と合わさ
るように重ね合わせ、スライス前の基材の厚さの75%
の間隙のニップロール間を通し張り合わせ、ロール状に
巻き取った状態で60℃、48時間エージングを行っ
た。
は各シート層内にそれぞれ最大で0.03mm浸透して
おり、高分子弾性体(B)層の平均厚さは、0.05m
mであった。
ムアミドを200メッシュのグラビアロールで塗布、乾
燥させた後、400メッシュのエメリーペーパーをつけ
た研磨機でバフィングし、生機を作成、この生機を液流
染色機を用いて染色をおこなった。
レザーライク指数が高く、また表面は微細な立毛を有し
ライテイング効果も優れており、天然皮革のヌバックに
近似したものであった。表2に得られたシートの特性値
を示した。
シートを用いる替わりに、参考例2または参考例3のス
ライスしたシートを用いる以外は、実施例1と同様に処
理を行った。得られたシートの特性値を表2に併せて示
した。
のシートを接着して用いる替わりに、参考例4のスライ
スを行わない基材1枚を用い、実施例1と同様に立毛、
染色処理を行った。得られたシートの特性値を表2に併
せて示した。
の腰がなく挫掘性も劣り、レザーライク指数の値も劣っ
ていた。
合体(B)に相当する)を主体とする接着剤として大日
本インキ(株)製クリスボンTA−290;30部、大
日本インキ(株)製クリスボンTA−265;30部、
大日本インキ(株)製クリスボンNB−765;40
部、日本ポリウレタン(株)製コロネート2094;1
0部、大日本インキ(株)製クリスボンアクセル−T;
3部、メチルエチルケトン;20部である組成物を調整
した。この接着剤組成物を離形紙上に塗布、乾燥、エー
ジングを同様に行ったフィルムで測定した100%伸長
応力は588N/cm2であった。
基材を下層に用い、上記の接着剤を用いる以外は、実施
例1と同様に張り合わせ、立毛、染色処理を行った。
イク指数も高く、靴用素材として優れたものであった。
表3に得られたシートの特性値を示した。
合体(B)に相当する)を主体とする接着剤として大日
本インキ(株)製クリスボンTA−290;15部、大
日本インキ(株)製クリスボンTA−265;15部、
大日本インキ(株)製クリスボンNB−765;80
部、日本ポリウレタン(株)製コロネート2094;8
部、大日本インキ(株)製クリスボンアクセル−T;3
部、メチルエチルケトン;20部である組成物を調整し
た。この接着剤組成物を離形紙上に塗布、乾燥、エージ
ングを同様に行ったフィルムで測定した100%伸長応
力は883N/cm2であった。
基材を下層に用い、上記の接着剤を用いる以外は、実施
例1と同様に張り合わせ、立毛、染色処理を行った。
イク指数も高く、靴用素材として優れたものであった。
表3に得られたシートの特性値を示した。
合体(B)に相当する)を主体とする接着剤として大日
本インキ(株)製クリスボンTA−290;10部、大
日本インキ(株)製クリスボンTA−265;10部、
大日本インキ(株)製クリスボン9004;80部、日
本ポリウレタン(株)製コロネート2094;8部、大
日本インキ(株)製クリスボンアクセル−T;2部、メ
チルエチルケトン;20部である組成物を調整した。こ
の接着剤組成物を離形紙上に塗布、乾燥、エージングを
同様に行ったフィルムで測定した100%伸長応力は1
960N/cm2であった。
基材を下層に用い、上記の接着剤を用いる以外は、実施
例1と同様に張り合わせ、立毛、染色処理を行った。
ト材としては劣っていた。表3に得られたシートの特性
値を示した。
行なう以外は、実施例5と同様に処理を行った。高分子
弾性体(B)層の平均厚さは0.25mmあり、シート
風合いは硬く革らしさにかけるものであった。得られた
シートの特性値を表3に併せて示した。
ト2枚を用いる替わりに、参考例3のスライスしたシー
トを基材の上層に、参考例2のスライスしたシートを基
材の下層に用いること以外は、実施例1と同様に処理を
行った。
8mmで得られたシートの表面は緻密なヌバック調の外
観をもち、かつ柔軟性に優れたもので皮革様シート状物
として、靴、家具などに適していた。得られたシートの
特性を表4に示した。
に、接着剤組成物中にエアホーマーを用い空気を吹き込
むと同時に高速撹拌を行い気泡を含んだ接着剤を作成
し、これを用いること以外は、実施例6と同様に処理を
行った。高分子弾性体(B)層の平均厚さは0.10m
mであり、この接着剤組成物のフィルムで測定した見か
け密度は0.6g/cm3であった。得られたシートの
特性を表4に併せて示した。
トをそのまま基材の表面に用いる替わりに、参考例3の
基材を100℃に加熱したプレスロールで処理し、厚さ
0.45mm、基材密度0.44g/cm3のシートを
作成、これを表面に用いる以外は実施例6と同様に処理
を行った。
性がなく靴素材として優れていた。得られたシートの特
性を表4に併せて示した。
のように伸び止め性がありながら、ソフト性と挫掘性が
両立してバランスしており、折り曲げしわが繊細で丸み
をもって変形される皮革様シート状物である。また、本
発明の製造方法によれば、染色時等での工程張力による
ダメージが抑制される。
Claims (6)
- 【請求項1】 極細繊維および/または極細繊維束から
なる繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する
高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)
と、主として繊維から構成されるシート層(2)とが、
100%伸長応力が200N/cm2以上1200N/
cm2以下である高分子弾性体(B)により接着されて
いる皮革様シート状物であって、該高分子弾性体(B)
のシート層(1)およびシート層(2)中への侵入深さ
がそれぞれ該層厚さの4分の1以下で、かつ該高分子弾
性体(B)層の平均厚さが0.01mm以上0.2mm
以下であることを特徴とする皮革様シート状物。 - 【請求項2】 シート層(2)が極細繊維および/また
は極細繊維束からなる繊維集合体と該繊維集合体の繊維
間空隙に存在する高分子弾性体(C)とから構成される
請求項1記載の皮革様シート状物。 - 【請求項3】 レザーライク指数が0.4以上2.0以
下である請求項1または2に記載の皮革様シート状物。 - 【請求項4】 剥離強力が20N/cm以上である請求
項1〜3のいづれか1項に記載の皮革様シート状物。 - 【請求項5】 極細繊維および/または極細繊維束から
なる繊維集合体と該繊維集合体の繊維間空隙に存在する
高分子弾性体(A)とから構成されるシート層(1)
と、主として繊維から構成されるシート層(2)の少な
くとも一方の表面に、100%伸長応力が200N/c
m2以上1200N/cm2以下の高分子弾性体(B)を
乾燥重量が20g/m2以上200g/m2以下となるよ
うに塗布し、次いで両シート層を張合わせて積層するこ
とを特徴とする皮革様シート状物の製造方法。 - 【請求項6】 接着後に染色を行う請求項5記載の皮革
様シート状物の製造方法。
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