JP2001207364A - 多孔性繊維複合体およびその製造方法 - Google Patents

多孔性繊維複合体およびその製造方法

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JP2001207364A JP2000021163A JP2000021163A JP2001207364A JP 2001207364 A JP2001207364 A JP 2001207364A JP 2000021163 A JP2000021163 A JP 2000021163A JP 2000021163 A JP2000021163 A JP 2000021163A JP 2001207364 A JP2001207364 A JP 2001207364A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数のセル状空隙部を有する繊維層とその少
なくとも1表面に繊維融着緻密層を有する新規な多孔性
繊維複合体を提供すること。 【解決手段】 湿熱接着性繊維を10〜100重量%含
有し、多数のセル状空隙部を有する繊維層と、該繊維層
の少なくとも1表面に該繊維層と同一繊維組成からなる
通気性の繊維融着緻密層を有してなる多孔性繊維複合
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は多数のセル状空隙部
を有する新規な多孔性繊維複合体に関し、さらに詳しく
は多数のセル状空隙部を有する繊維層とその少なくとも
1表面に繊維融着緻密層を有する新規な多孔性繊維複合
体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より繊維製品の表面を改質して新た
な機能を付与する表面加工が多く行われてきた。その代
表的なものに透湿・防水加工や、人工皮革などがある。
透湿・防水加工は、布帛表面に樹脂をコーティングして
形成される皮膜によって機能を発現するものである。ま
た、人工皮革は、不織布にウレタン系樹脂溶液を含浸さ
せて微多孔構造体とし、さらにその表面に樹脂層を付与
したり、研磨加工して製品としている。また、特開平8
−85181号公報は、インキ吸収性に優れた吸収性フ
ィルム、即ち合成紙を開示している。該合成紙は、未延
伸繊維ウエブを熱圧着し、圧着した未延伸繊維ウエブ層
を延伸することにより、少なくとも片側表面に微細なク
レーター状膜面を持ち、内部に繊維状多孔質層を形成し
たものである。上記した従来技術は、いずれも布帛また
は不織布の表面を樹脂加工または、熱圧着処理して、緻
密層を形成するものであり、本発明が目的とするセル状
空隙部を有する多孔性繊維層をもつ繊維成型体とは異な
る繊維構造体である。
【0003】本出願人は、新規なセル状空隙部を有する
多孔性繊維成型体に関して発明を行い、特願平11−2
93679号、特願平11−316483号および特願
平11−366430号を出願している。これらの発明
で得られる多孔性繊維成型体は、セル状空隙部のため
に、その空隙率が布帛や不織布に比してはるかに大き
く、断熱性、吸音性、吸液性などに優れた性能を示す。
多孔性繊維構造のこれらの性能を、用途に応じて調整す
るためには、その表面に緻密層を有する構造が必要であ
ることを知見した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多数のセル
状空隙部を有する繊維層とその少なくとも1表面に繊維
融着緻密層を有する新規な多孔性繊維複合体およびその
製造方法を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち第1の発明は、湿熱
接着性繊維を10〜100重量%含有し、多数のセル状
空隙を有する繊維層と、該繊維層の少なくとも1表面に
該繊維層と同一繊維組成からなる通気性の繊維融着緻密
層を有することを特徴とする多孔性繊維複合体である。
【0006】第2の発明は、該繊維層が繊維支持層と該
繊維支持層上に立設した湿熱接着性繊維から構成され、
該立設した繊維の繊維支持層の反対側端部に通気性の繊
維融着緻密層を有するシート状で第1の発明の構造を持
つ多孔性繊維複合体である。
【0007】第3の発明は、該繊維層が繊維層の平面に
ほぼ平行に配置された繊維から構成さた繊維層で、第1
の発明の構造を持つシート状の多孔性繊維複合体であ
る。
【0008】第4の発明は、該繊維層が収束された繊維
束であり、該繊維束の長さ方向の周面に通気性の繊維融
着緻密層を有する第1の発明の構造を持つ円筒状の多孔
性繊維複合体である。
【0009】第5の発明は、該湿熱接着性繊維が、繊維
表面の少なくとも1部にエチレンビニルアルコール系共
重合体が存在する繊維である上記第1ないし第4の発明の
いずれかに記載された多孔性繊維複合体である。
【0010】第6の発明は、湿熱接着性繊維を10〜1
00重量%含む繊維層を水に浸漬し、該繊維層内に気泡
を発生させつつ加熱処理してセル状空隙部を形成後た
後、該繊維層の少なくとも一表面を熱圧着することによ
り繊維融着緻密層を形成することを特徴とする多数のセ
ル状空隙を有する繊維層と、該繊維層の少なくとも1表
面に該繊維層と同一繊維組成からなる通気性の繊維融着
緻密層を有する多孔性繊維複合体の製造方法である。
【0011】第7の発明は、湿熱接着性繊維を10〜1
00重量%含む繊維層の少なくとも一表面を熱圧着する
ことにより繊維融着緻密層を形成した後、該繊維層を水
に浸漬し、該繊維層内に気泡を発生させつつ加熱処理し
てセル状空隙部を形成することを特徴とする多数のセル
状空隙部を有する繊維層と、該繊維層の少なくとも1表
面に該繊維層と同一繊維組成からなる通気性の繊維融着
緻密層を有する多孔性繊維複合体の製造方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明で使用する多孔質繊維複合
体は、湿熱接着性繊維を含有する。本発明でいう湿熱接
着性繊維とは約95〜100℃の熱水で軟化して、自己
接着または他の繊維に接着するポリマー成分を含有する
繊維である。 この様なポリマーの一例として、エチレ
ンビニルアルコール系共重合体を挙げることができる。
エチレンビニルアルコール系共重合体とは、ポリビニル
アルコールにエチレン残基が10モル%以上、60モル
%以下共重合されたものを示す。とくにエチレン残基が
30モル%以上、50モル%以下共重合されたものが、
湿熱接着性の点で好ましい。またビニルアルコール部分
は95モル%以上の鹸化度を持ものである。エチレン残
基が多いことにより、湿熱接着性を有するが熱水溶解性
はないという、特異な性質が得られる。重合度は必要に
応じて選択できるが、通常は400から1500程度で
ある。目的とする多孔性繊維成型体とした後、染色性付
与または繊維改質などの後加工のために、エチレンビニ
ルアルコ−ル系共重合体を部分架橋処理することもでき
る。他のポリマーとしては、アクリルアミドを1成分と
する共重合体、ポリ乳酸などを挙げることができる。
【0013】本発明の湿熱接着性繊維としては、該共重
合体からなる繊維でもよいし、他の熱可塑性重合体との
複合繊維や、他の熱可塑性重合体へ該共重合体をコート
した繊維でもよい。該熱可塑性重合体としては耐熱性、
寸法安定性等の点で融点がエチレンビニルアルコール系
共重合体より高いものが必要であり、例えば150℃以
上の結晶性熱可塑性重合体が好ましく、具体的にはポリ
エステル、ポリアミド、ポリプロピレン等を挙げること
ができる。
【0014】ポリエステルとしてはテレフタル酸、イソ
フタル酸、ナフタレンー2、6ージカルボン酸、フタル
酸、α,βー(4ーカルボキシフェノキシ)エタン、
4,4ージカルボキシジフェニル、5ーナトリウムスル
ホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;アゼライン
酸、アジピン酸、セバシン酸等の脂肪族シ゛カルボン酸ま
たはこれらのエステル類;エチレングリコール、ジエチ
レングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−
ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペン
チルグリコール、シクロヘキサン−1,4−ジメタノー
ル、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリ
コール等のジオールからなる繊維形成性のポリエステル
を挙げることができ、構成単位の80モル%以上がエチ
レンテレフタレート単位であることが好ましい。ポリア
ミドとしてはナイロン6、ナイロン66、ナイロン12
を主成分とする脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド
を挙げることができ、少量の第3成分を含有するポリア
ミドでもよい。
【0015】エチレンビニルアルコール系共重合体と他
の熱可塑性重合体からなる複合繊維において、複合比は
前者:後者(重量比)=10:90〜90:10、とく
に30:70〜70:30であることが、紡糸性の点で
好ましい。また、複合形態は従来公知の複合形態であれ
ば特に限定はなく、芯鞘型、偏心心鞘型、多層貼合型、
サイドバイサイド型、ランダム複合型、放射状貼合型、
微細繊維分割型等を挙げることができる。これらの繊維
の断面形状は中実断面形状である丸断面や異型断面形状
に限らず、中空断面形状等、種々の断面形状とすること
ができる。また他の熱可塑性繊維にエチレンビニルアル
コール系共重合体をコーテイングした繊維においては、
該共重合体が他の繊維の表面の1/4以上、好ましくは
1/3以上を被覆した繊維である。
【0016】本発明の繊維融着緻密層を有する多孔性繊
維複合体は上記の湿熱接着性繊維を10〜100重量%
含むことが必要であり、好ましくは50〜100重量%
である。湿熱接着性繊維が10重量%を下回ると繊維間
の接着が不十分となり、繊維融着緻密層の形成が不十分
で、破断強度が低く、実用上好ましくない状態となる。
さらにセル状空隙部の形成も不十分となる。本発明のセ
ル状空隙部を有する繊維層は、繊維層を構成する繊維
が、ランダムウエブ状に配置されたもの、繊維層の平面
にほぼ平行に配置されたもの、および繊維支持層を有し
その支持層から立設した繊維からなるもののいずれでも
よい。
【0017】本発明の多孔性繊維層は、上記の各種の繊
維配置の繊維層にセル状空隙部を有している。セル状空
隙部とは、多孔性繊維層内部に形成される空隙部で、繊
維層を構成する繊維が移動し、その状態で繊維が融着固
定されてできた空間域である。その形状は球形から雲型
などの各種の不定形を含み、その大きさは長径約1mm
から約30mmにわたり、好適には約2mmから約10
mmの広い分布を有する。セル状空隙部は独立または連
続した形状であり、拡大写真で微視的に見れば、数十セ
ンチにわたり繊維間微細孔で連続する空隙もある。
【0018】本発明の繊維複合体が有する繊維融着緻密
層は、上記した多孔性繊維層の表面を熱圧着して、湿熱
接着性繊維を融着して得られる緻密層である。走査型電
子顕微鏡写真観察によれば、緻密層は湿熱接着性繊維が
不規則に絡合融着して網状構造を形成しており、断面は
約100μm以上、好ましくは約300μmの厚みを有
し、多数の貫通微細孔を有している。緻密層の厚さおよ
び微細孔の孔径は、湿熱接着性繊維の種類およびその含
有量ならびに熱圧着条件によって調整できる。本発明の
繊維複合体の緻密層は、湿熱接着性繊維成分が溶融し他
の繊維を融着接合して形成された繊維絡合層であり、平
滑でかつ通気性を有する層である。
【0019】本発明の繊維融着緻密層を有する多孔性繊
維複合体は任意の形状にすることができる。本発明は表
面構造と内部構造に特徴を有するもので、外観形状には
制限されない。以下代表的な形状の繊維複合体の製造方
法について説明する。
【0020】シ−ト状成型体を製造する一例として、モ
ケット地を前駆体とする方法を挙げることが出来る。
湿熱接着性繊維をカットパイル糸として製織し、得られ
たモケット地の表面を水に浸漬してマイクロ波を照射
し、該モケット地の内部から気泡を生じさせつつ加熱す
ることによりセル状空隙部を形成した後、熱シリンダ−
で圧着して表面に繊維融着緻密層を形成させる。また、
モケット地の表面に熱シリンダ−を圧着して繊維融着緻
密層を形成させた後、該モケット地を水に浸漬してマイ
クロ波を照射し、該モケット地の内部から気泡を生じさ
せつつ加熱する方法を採用してもよい。この方法におい
て、繊維融着緻密層とセル状空隙部をもたない均質多孔
質繊維層からなる繊維複合構造体が、中間製品として得
られる。該中間製品はセル状空隙部はないが、本発明の
繊維複合体の類似品として使用することが可能である。
【0021】シート状の繊維複合体は、上記のモケット
地を使用するほか、通常の長繊維または短繊維からなる
繊維ウエブを用いて同様に製造することができる。さら
に該繊維ウエブは、不規則な繊維配置でも、繊維ウエブ
平面にほぼ平行な繊維配置でもよい。繊維の配置によっ
て、繊維層内に形成されるセル状空隙部の形状が、不規
則な形状か、繊維層の平面に沿った形状となる傾向があ
る。なお、本発明では、湿熱接着性繊維を含有する各種
の繊維ウエブで中間処理段階のものを、前駆体と称する
ことがある。
【0022】円筒状多孔質繊維複合体の製造法の一例と
して、繊維束を前駆体として利用する方法を挙げること
ができる。湿熱接着性繊維を含む約10万デニールの繊
維束を中空ヒーターの内壁に接触させながら通過させ
る。接触圧は中空ヒーターの径を絞ることで調整でき
る。これにより、表面に繊維融着緻密層を形成させるこ
とができる。次いで、該繊維束を連続または所望の長さ
に切断して、水を満たした容器に浸漬し、マイクロ波を
照射して該繊維束から気泡を生じさせつつ加熱すること
により、内部にセル状空隙を形成させる。もちろん、上
記と逆の方法でも同一の製品が得られる。
【0023】以下、図面によって本発明の繊維複合体の
構造を詳細に説明する。図1は本発明の繊維融着緻密層
を有するシ−ト状の繊維複合体の一例を示す断面模式図
である。多孔性繊維層1は繊維が不規則に配置されてお
り、該繊維層内に形成されるセル状空隙部2は不定形な
形状が多い。繊維層1の一表面に繊維融着緻密層3を有
する。図2は本発明の繊維融着緻密層を有するシ−ト状
の繊維複合体の他の一例を示す断面模式図である。多孔
性繊維層1は繊維が繊維層の平面にほぼ平行に配置され
ており、該繊維層内に形成されるセル状空隙部2も繊維
層の平面に沿った形状が多い。繊維層1の一表面に繊維
融着緻密層3を有する。
【0024】図3は本発明の繊維融着緻密層を有するシ
−ト状の繊維複合体の他の一例を示す断面模式図であ
る。多孔性繊維層1は繊維が繊維支持層4の上に立設さ
れており、該繊維層内に形成されるセル状空隙部2は立
設された繊維に沿って、支持層からその反対面に順次拡
大する形状が多い。繊維層1の一表面(支持層に対して
反対面)に繊維融着緻密層3を有する。図4は本発明の
繊維融着緻密層を有する繊維複合体の他の一例を示す部
分破断模式図である。多孔性繊維層1は繊維が長軸に沿
って円筒状に配置されており、該繊維層内に形成される
セル状空隙部2は配置された繊維に沿って、長さ方向に
配置された形状が多い。円筒状繊維層1の外表面に繊維
融着緻密層3を有する。
【0025】図5は本発明の繊維融着緻密層の構造を示
す拡大断面部分図である。繊維融着緻密層3は、例えば
ポリエステル繊維のような湿熱接着性繊維以外の繊維5
が、湿熱接着性繊維が溶融したポリマー層6で被覆さ
れ、それらの間に微細な連通孔7を有している。
【0026】以下、本発明の繊維融着緻密層を有する繊
維複合体の製造方法を詳細に説明する。湿熱接着性繊維
を含有する前記前駆体に水を含浸させ、該含水した前駆
体を加熱する。好適な加熱法は例えば2450MHzの
マイクロ波による加熱である。繊維層内より気泡が生ず
る状態で湿熱処理することにより、繊維層内およびその
表面に不定形のセル状空隙部を多数形成させることがで
きる。該処理では、加熱下で気泡を発生するに十分な量
の水の存在が必要である。気泡により繊維層内にセル状
空隙部が形成される。ところで繊維層内で気泡が発生
し、構成繊維が移動しても、その構造が繊維層内で固定
されなければ、セル状空隙部は形成されない。繊維層内
にセル状空隙部を形成させるために、湿熱接着性繊維が
必要である。即ち、気泡を含んだ状態で湿熱接着性繊維
を含む繊維層が加熱融着され、セル状空隙部が形成され
固定される。この基本的構成を利用してシ−ト状、円筒
状などの各種形状の繊維複合体を製造することができ
る。
【0027】繊維層内に気泡が発生するために要する加
熱は、加熱雰囲気の気圧に依存し、通常1気圧であれば
約100℃である。加熱を減圧下または加圧下で行なえ
ば、該気圧に応じて沸騰温度が変動する。セル状空隙部
の形成のためには、前駆体が充分な気泡存在下で加熱さ
れることが重要である。含水した前駆体の加熱は、スチ
ーム吹き込みか、高周電磁波または減圧加熱機(真空セ
ット機)により加熱することができる。高周電磁波加熱
によると、繊維層内での気泡発生が容易である。
【0028】加熱温度はまた湿熱接着性繊維の融着温度
と関連する。加熱温度が湿熱接着性繊維の融着温度また
はそれ以上10℃未満の温度となることが好ましい。湿
熱処理時間は前駆体の繊維量、繊維の融着の程度等によ
り調整することが出来る。
【0029】湿熱接着性繊維が融着した後に、周知の方
法で繊維成型体を冷却し、多孔質繊維成型体の構造を固
定する。湿熱処理後の繊維成型体は熱水を含有している
から、冷水中に浸漬するか、冷水シャワーによる冷却が
好ましく、冷風による冷却は効率が低い。充分に冷却す
る前に繊維成型体を圧縮すると、セル状空隙部の変形が
生ずる恐れがある。一方、圧縮処理を利用して、セル状
空隙部の調整を行なうことも可能である。かかる簡単な
方法で、繊維成型体の多孔質構造を調整できるのも、本
発明の利点の一つである。
【0030】繊維層表面に繊維融着緻密層を形成する方
法は、前記した湿熱処理後の繊維層表面を通常の方法で
熱圧着することであり、それにより表面層の湿熱接着性
繊維が溶融、再固化して表面が平滑な緻密層が形成され
る。連続的な熱圧着方法としては、180℃の熱ローラ
ーと接触加熱する方法が好ましい。本発明は、セル状空
隙部を形成するのに、有機溶媒や発泡性樹脂を一切必要
としない特長を有する。また、表面の緻密層形成におい
ても樹脂や溶剤を一切使用しない点で、環境および作業
者への負荷や負担が極めて少なく、製造コストを低減す
ることもできる。該利点は実用上大きな効果である。
【0031】本発明の製品は、繊維融着緻密層とセル状
空隙部を有する繊維層からなる複合構造により、種々の
応用が可能で、例えば防音材、断熱材、断熱性衣料、電
線被覆材、敷物、寝装用マット、土木用吸水材、インク
などの各種吸液材、皮革様シート、液体展開用シート、
ペイントローラー用基布、医療用吸液材、支持材など各
種用途に使用できる。
【0032】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
また、実施例ではすべて湿熱接着性繊維を100%使用
した例について記載してあるが、異素材を混入させても
良いことはもちろん、湿熱接着性繊維のデニ−ル、捲縮
形状、断面形状を違えて混入させてもよいことはもちろ
んである。
【0033】実施例1 微粒子シリカを3重量%含有したポリエチレンテレフタ
レ−ト[フェノ−ル/テトラクロロエタン等重量混合溶
媒中、30℃で測定した固有粘度=0.68]を芯成分
とし、鞘成分として、エチレン含有量40モル%、MI
=10のエチレンビニルアルコール共重合体を用い、芯
鞘複合繊維を得た。(芯/鞘比率=50/50、150
デニ−ル/48フィラメント)この繊維を用いて仮撚数
2350T/M、1段ヒ−タ−温度120℃、2段ヒ−
タ−温度135℃により仮撚加工を施して、捲縮伸長率
が17%の仮撚加工糸を得た。
【0034】前記湿熱接着性繊維150デニールの仮撚
糸を2本合糸して300デニールとしたカットパイル糸
と、レギュラ−ポリエステル150デニール仮撚糸を地
糸として丸編ボアを編立した。該丸編ボア編地を30c
m四方に裁断して、これを拡布状態で水中に浸漬し、2
450MHz、1KWのマイクロ波を照射した。マイク
ロ波の照射により編地のパイル面内部より気泡の発生が
見られる。気泡発生後約1分間照射を続けた後、取り出
して水中にて冷却、遠心脱水して乾燥させて、表面およ
び内部にセル状空隙を有する繊維構造体を得た。次い
で、該繊維構造体を、圧着温度180℃、ロ−ル線圧5
kg/cmのカレンダーロールを用いて熱圧着した。得
られた繊維複合体は表面が平滑な緻密層を備え、その下
面には隣接してセル状空隙を有する繊維層が形成されて
いる。
【0035】実施例2 実施例1で使用したのと同一の複合繊維を用い、紡糸、
延伸、捲縮工程を経て3デニ−ル、カット長64mmの
捲縮伸長率が7%の芯鞘複合ステ−プル繊維を得た。得
られた芯鞘複合ステ−プル繊維100%をカ−ディング
してパンチ密度90本/cm2で厚さ10mm、目付3
00g/m3のニ−ドルパンチ不織布を作成した。該ニ
−ドルパンチ不織布を常温の水に十分に含浸させ、不織
布が浮き上がらないようにネットで抑えながら2450
MHz 1kwのマイクロ波を照射した。該不織布から
気泡の発生を確認してから2分間照射を続けた。処理
後、不織布を取り出して常温の冷却水に浸漬させて冷却
固定化した。次にこれを遠心脱水した後、乾熱110℃
で乾燥した。
【0036】得られた不織布の断面には、厚み方向に貫
通する繊維束がニードル跡としてほぼ均一に分布してお
り、該繊維束の間に1mm〜5mmの大きいセル状空隙
部が多数確認できた。一方、該不織布の表面をスライス
して内部の状態を観察すると、不定形のセル状空隙部が
存在し、独立した空隙部や部分的に連なったセル状空隙
部も確認出来た。次いで、該不織布の両面をカレンダ−
ロ−ルに導き、両面を180℃で熱圧着した。両面には
平滑な緻密層が形成されており、表面と隣接する内部層
は上述したセル状空隙を持った繊維層を形成した繊維複
合体が得られた。
【0037】実施例3 実施例1の丸編ボアを使用し、マイクロ波照射に先立っ
て繊維融着緻密層を形成した。すなわち、圧着温度18
0℃、ロ−ル線圧5kg/cmのカレンダーロールを用
いて該丸編ボアの表面を熱圧着した。得られた繊維構造
体は表面が平滑な緻密層を備えている。該繊維構造体を
水中に浸漬し、2450MHz、1KWのマイクロ波を
照射した。マイクロ波の照射により編地のパイル面内部
より気泡の発生が見られる。気泡発生後約1分間照射を
続けた後、取り出して水中にて冷却、遠心脱水して乾燥
させて繊維融着緻密層と支持層との間にセル状空隙を有
する繊維層が形成されていることを確認した。
【0038】比較例1 実施例2で使用した芯鞘複合ステ−プル繊維6%と、レ
ギュラ−ポリエステルステ−プル繊維3デニ−ル、カッ
ト長51mm94%を混綿してカ−ディングした後、パ
ンチ密度90本/cm2で目付300g/m3、厚み10
mmのニ−ドルパンチ不織布を得た。上記のニ−ドルパ
ンチ不織布を水に含浸させ、2450MHz,1kwで
マイクロ波照射を実施した。不織布内部から気泡の発生
を確認後、2分間照射を続けた。次いで、冷水中で冷却
した後、乾燥した。該不織布の両面をカレンダ−ロ−ル
に導き、両面を180℃で熱圧着した。得られた不織布
は繊維間の絡合性が弱く、またセル状空隙と判断できる
構造は見出せなかった。また、不織布表面には緻密層形
成の状態は見られず、繊維断面が圧力により変形してい
るのみで、繊維間の融着、固化は見られなかった。
【0039】
【発明の効果】本発明により、多数のセル状空隙部を有
する繊維層とその少なくとも1表面に繊維融着緻密層を
有する新規な多孔性繊維複合体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシ−ト状の繊維複合体の一例を示す断
面模式図。
【図2】本発明のシ−ト状の繊維複合体の他の一例を示
す断面模式図。
【図3】本発明のシ−ト状の繊維複合体の他の一例を示
す断面模式図。
【図4】本発明の円筒状の繊維複合体の一例を示す部分
破断模式図。
【図5】本発明の繊維融着緻密層の構造を示す拡大断面
部分図。
【符号の説明】
1:多孔性繊維層、2:セル状空隙部、3:繊維融着緻
密層、4:繊維支持層、5:湿熱接着性繊維以外の繊
維、6:溶融ポリマー層、7:微細孔
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA20H AK42 AK69A BA02 BA03 BA06 BA10B BA32 CA23 DG06A DG06B DG16A DG20 DJ10A EJ191 EJ192 EJ251 EJ252 EJ421 EJ422 EJ461 EJ462 GB08 GB66 GB74 GB81 JA14B JD02B JD14 JH01 JJ02 JL12A JL12B YY00A 4L047 AA16 AA21 AA27 AA28 AB02 BA09 BB09 CA02 CA05 CA10 CB03 CB06 CB08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿熱接着性繊維を10〜100重量%含
    有し、多数のセル状空隙部を有する繊維層と、該繊維層
    の少なくとも1表面に該繊維層と同一繊維組成からなる
    通気性の繊維融着緻密層を有することを特徴とする多孔
    性繊維複合体。
  2. 【請求項2】 該繊維層が繊維支持層と該繊維支持層上
    に立設した湿熱接着性繊維から構成され、該立設した繊
    維の繊維支持層の反対側端部に通気性の繊維融着緻密層
    を有する請求項1に記載されるシート状多孔性繊維複合
    体。
  3. 【請求項3】 該繊維層が繊維層の平面にほぼ平行に配
    置された繊維から構成さた繊維層である請求項1に記載
    されるシート状多孔性繊維複合体。
  4. 【請求項4】 該繊維層が収束された繊維束であり、該
    繊維束の長さ方向の周面に通気性の繊維融着緻密層を有
    する請求項1に記載される円筒状多孔性繊維複合体。
  5. 【請求項5】 該湿熱接着性繊維が、繊維表面の少なく
    とも1部にエチレンビニルアルコール系共重合体が存在
    する繊維である請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載された多孔性繊維複合体。
  6. 【請求項6】 湿熱接着性繊維を10〜100重量%含
    む繊維層を水に浸漬し、該繊維層内に気泡を発生させつ
    つ加熱処理してセル状空隙部を形成後た後、該繊維層の
    少なくとも一表面を熱圧着することにより繊維融着緻密
    層を形成することを特徴とする多数のセル状空隙部を有
    する繊維層と、該繊維層の少なくとも1表面に該繊維層
    と同一繊維組成からなる通気性の繊維融着緻密層を有す
    る多孔性繊維複合体の製造方法。
  7. 【請求項7】 湿熱接着性繊維を10〜100重量%含
    む繊維層の少なくとも一表面を熱圧着することにより繊
    維融着緻密層を形成した後、該繊維層を水に浸漬し、該
    繊維層内に気泡を発生させつつ加熱処理してセル状空隙
    部を形成することを特徴とする多数のセル状空隙を有す
    る繊維層と、該繊維層の少なくとも1表面に該繊維層と
    同一繊維組成からなる通気性の繊維融着緻密層を有する
    多孔性繊維複合体の製造方法。
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