JP2001207336A - 潜在捲縮発現性ポリエステル糸の製造方法 - Google Patents

潜在捲縮発現性ポリエステル糸の製造方法

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JP2001207336A
JP2001207336A JP2000019785A JP2000019785A JP2001207336A JP 2001207336 A JP2001207336 A JP 2001207336A JP 2000019785 A JP2000019785 A JP 2000019785A JP 2000019785 A JP2000019785 A JP 2000019785A JP 2001207336 A JP2001207336 A JP 2001207336A
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Takashi Ochi
隆志 越智
Akira Kidai
明 木代
Masayuki Sato
正幸 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、従来問題となっていた発色性を改善
し、しかも糸斑の小さなストレッチ性に優れた高品位の
布帛を得ることができる潜在捲縮発現性ポリエステル糸
の製造方法を提供するものである。 【解決手段】極限粘度差Δ[η]が0.10以下で、ポリエ
ステルとスルホン酸金属塩または有機塩を有する構成単
位を全酸成分に対し1〜7mol%共重合した改質ポリエステ
ルを、30重量%/70重量%〜70重量%/30重量%の複合比で
サイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸として紡
糸した糸を多段延伸する際、1段目の延伸温度85℃以
上、1段目の延伸倍率をNDR×1.00以上、トータル延伸
倍率をNDR×1.20以上として延伸することを特徴とする
潜在捲縮発現性ポリエステル糸の製造方法。 NDR:自然延伸倍率

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた捲縮発現能
力により布帛にストレッチ性を与えることのでき、さら
にカチオン可染により発色性に優れ、しかも糸斑が小さ
な潜在捲縮発現性ポリエステル糸の製造方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルは機械的特性をはじめ様々
な優れた特性を有しているため衣料用途をはじめ各種分
野に利用されている。そして、ポリエステル布帛にスト
レッチ性を与えるため種々の方法が採用されている。
【0003】例えば、織物中にポリウレタン系の糸を混
用し、ストレッチ性を付与する方法がある。しかしなが
ら、ポリウレタン系の糸は、ポリウレタン固有の性質と
して風合いが硬く、さらにポリエステル用の染料には染
まり難いため、風合いや染色での問題点があった。
【0004】また、ポリエステル糸の仮撚加工糸を用い
る方法もあるが、仮撚トルクが織物表面のシボに転移し
易い傾向があり、織物欠点となり易い問題があった。
【0005】このため、ポリウレタン系の糸や仮撚加工
糸を用いない方法として、サイドバイサイド複合を利用
した潜在捲縮発現性ポリエステル糸が種々提案されてい
る。例えば、特公昭44-2504号公報や特開平4-308271号
公報には固有粘度差あるいは極限粘度差(Δ[η])を
有するポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)
のサイドバイサイド複合糸、特開平5-295634号公報には
ホモPETとそれより高収縮性の共重合PETのサイドバイサ
イド複合糸が記載されている。このような潜在捲縮発現
性ポリエステル糸を用いれば、ストレッチ性織物を得る
ことができる。しかしながら、分散染料でしか染色でき
ないため発色性という点では不充分であった。そのた
め、発色性を高めることを目的とし、低い延伸倍率を採
用し繊維構造をルーズにすることによって染料吸尽率を
高める方法もあるが、この方法では延伸倍率が低いため
糸斑が発生しやすく染め斑等の欠点となるばかりか、捲
縮特性が大きく低下してしまう問題があった。
【0006】ところで、極限粘度差サイドバイサイド複
合糸ではΔ[η]を高くするほど捲縮特性としては向上
するが、いわゆるベンディング(口金直下でのポリマー
流曲がり)のため取り得る極限粘度差には限界がある。
ここでベンディングとは以下のことを言うものである。
すなわち、大きな極限粘度差があるポリマの組み合わせ
を用い、平行合流タイプ口金(図2a)から複合ポリマ
ー流を吐出する際大きなポリマー流速の違いが発生し、
吐出直後に、流速の大きな低粘度ポリマーが高粘度ポリ
マーを押し、顕著な複合ポリマー流の曲がりが発生す
る。そのため、複合ポリマー流が口金に接着し紡糸不可
能となる。そのため、このような大きな粘度差を有する
ポリマーの組み合わせでは、口金に種々の工夫が施され
てきたが、いづれの口金でもベンディングの抑制が不充
分であった。さらに、特殊な口金であるため紡糸パック
内、口金内でのポリマー流路が複雑となり、ポリマーの
異常滞留による熱劣化ポリマーが発生しやすく、紡糸や
延伸工程といった製糸工程での糸切れが頻発する問題も
あった。
【0007】このような問題点を解決する方法として、
Δ[η]が小さいホモPETと5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸(以下SSIAと略す)を共重合したカチオン可染
性PETのサイドバイサイド複合糸が特開昭61-70012、特
開平2-139414等に記載されているが、これらはいわゆる
短繊維であり、捲縮特性を向上させるために機械捲縮を
付加している。そのため、平面ジグザグ構造となり嵩高
感は得られるものの、長繊維のサイドバイサイド複合糸
のようなコイル状の捲縮とはならずストレッチ性はほと
んど得られなかった。また、機械捲縮を施す前の捲縮特
性も低く、該公報記載の方法を長繊維に適用したとして
も満足なストレッチ性は得られなかった。また、該公報
では、延伸温度が80℃以下と低いため糸斑が発生し易
く、短繊維からなる紡績糸や不織布では許容されても、
より高品位のものが要求される長繊維の分野では大きな
問題となっていた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来問題と
なっていた発色性を改善し、しかも糸斑の小さなストレ
ッチ性に優れた高品位の布帛を得ることができる潜在捲
縮発現性ポリエステル糸の製造方法を提供するものであ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、極限粘度差
Δ[η]が0.10以下で、ポリエステルとスルホン酸金属
塩または有機塩を有する構成単位を全酸成分に対し1〜7
mol%共重合した改質ポリエステルを、30重量%/70重量%
〜70重量%/30重量%の複合比でサイドバイサイド複合糸
または偏心芯鞘複合糸として紡糸した糸を多段延伸する
際、1段目の延伸温度85℃以上、1段目の延伸倍率をND
R×1.00以上、トータル延伸倍率をNDR×1.20以上として
延伸することを特徴とする潜在捲縮発現性ポリエステル
糸の製造方法により達成される。NDR:自然延伸倍率
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。
【0011】ポリエステルは、ポリエチレンテレフタレ
ート(以下PETと略す)、ポリプロピレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられるが、PE
Tが最も汎用的に使用されており好ましい。
【0012】ポリエステルは、ジオール成分および酸成
分の一部が各々15mol%以下の範囲で他の共重合可能な成
分で置換されたものであってもよい。なお、ポリエチレ
ングリコール(以下PEGと略す)を共重合する場合は10
重量%以下である。また、これらは艶消剤、難燃剤、帯
電防止剤、顔料などの添加物を含有していてもよい。
【0013】また、改質ポリエステルとは前記ポリエス
テルにスルホン酸金属塩または有機塩を有する構成単位
を全酸成分に対し1〜7mol%共重合したものをいうもので
ある。金属塩スルホネート基を有する構成単位とは、具
体的には5−スルホネートイソフタル酸のナトリウム塩
やリチウム塩等の金属塩、またホスホニウム塩等の有機
塩が挙げられるが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
(以下SSIAと略す)が最も汎用的であり好ましい。改質
ポリエステルのスルホン酸金属塩または有機塩を有する
構成単位の共重合量は全酸成分に対し1〜7mol%共重合で
あれば、充分なカチオン染色性が得られ、優れた発色性
を有する潜在捲縮発現性ポリエステル糸が得られる。ス
ルホン酸金属塩または有機塩を有する構成単位の共重合
量は1〜3mol%であれば、溶融ポリマーの流動性が向上す
るため、製糸性が向上し好ましい。スルホン酸金属塩ま
たは有機塩を有する構成単位の共重合量は多い方がカチ
オン染色性は向上するが、7mol%より高くする等、過度
に多いとアルカリ減量速度が高くなりすぎ、複合するポ
リエステルとのバランスが悪化してしまう。また、カチ
オン染料の染着量を増加させるためPEG等ソフト成分を
共重合することも可能である。PEG等のソフト成分の共
重合量は3重量%以下で充分な効果を発現する。
【0014】本発明は2種類のポリマーからなる複合糸
であり、サイドバイサイド複合あるいは偏心芯鞘複合の
形態を採ることが必須である。ここで、サイドバイサイ
ド複合とは例えば図3(a)〜(g)の如く、2種類の
ポリマーが貼り合わされており、いずれの成分も糸表面
の少なくとも一部を占めるものを言う。また、偏芯芯鞘
複合とは例えば図3(h)〜(j)の如く、2種類のポ
リマーのうち一方が糸表面に露出せず芯部を形成し、ま
た芯部を形成するポリマーの重心が鞘部を形成するポリ
マーの重心と一致しないものを言う。また、本発明にお
いて糸断面形状は何等限定されるものではないが、例え
ば図3のような断面形状が挙げられる。このうち、捲縮
発現性と風合いのバランスが取れているものは丸断面の
半円状サイドバイサイド複合(図3(a))であるが、
ドライ風合い狙う場合は三角断面、(図3(c))軽
量、保温を狙う場合は中空サイドバイサイド複合(図3
(f)(g)(j))等用途に合わせて適宜断面形状を
選択することができる。
【0015】また、ポリマーの複合比は良好なストレッ
チ性を得るためには重量%で30/70〜70/30とすることが
重要である。好ましくは40/60〜60/40、さらに好ましく
は50/50である。
【0016】ここで、ポリエステルと改質ポリエステル
の極限粘度差(以下Δ[η]と略す)が0.10以下とする
ことが重要である。これにより、複合ポリマー流吐出時
のベンディングが大幅に減少し、製糸性が大幅に向上す
る。Δ[η]は好ましくは0.05以下である。また、ポリ
エステルおよび改質ポリエステルの極限粘度は0.75以下
であればポリマーの流動性が良好であり、口金やパック
内でのポリマーの異常滞留がほとんど無く優れた製糸性
が得られる。極限粘度(以下[η]と略す)は好ましく
は0.70以下である。一方、得られる潜在捲縮発現性ポリ
エステル糸の収縮応力を高め、ストレッチ性を確保する
ためには極限粘度は0.55以上であることが好ましい。
【0017】また、改質ポリエステル側を捲縮の内側と
する場合には、改質ポリエステルの極限粘度を高く設定
すると、紡糸/延伸過程で改質ポリエステル側に応力集
中し、延伸糸段階で改質ポリエステル側が捲縮の内側に
入り、その後布帛成形後の熱処理により収縮差(改質ポ
リエステルが高収縮)によりさらに捲縮が強くなるとい
う、2重の効果が発現し好ましい。なお、改質ポリエス
テル側を捲縮の外側とする場合は、捲縮の内側となるポ
リエステルとして高収縮ポリエステルやポリプロピレン
テレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のスト
レッチ性ポリエステルを用いると捲縮伸長率が向上し好
ましい。
【0018】本発明では、未延伸糸に多段延伸を施すこ
とが重要である。これは、まず1段目の延伸で未延伸糸
を予備配向結晶化させ、続いて行われる2段目以降の延
伸における延伸応力を高くするためである。これにより
分子鎖の緊張度が増すため捲縮特性が飛躍的に向上する
のである。延伸の段数は2段以上であれば良いが、2段
延伸が工程簡略化の点から好ましい。また、2段目以降
の延伸は、1段目の延伸に引き続きいて行うことが工程
簡略化の点から好ましいが、1段延伸糸を一旦巻き取っ
た後、改めて2段目以降の延伸を行ってもさしつかえな
い。このように、ホモポリエステルと改質ポリエステル
の複合糸が多段延伸により捲縮特性が向上することは、
発明者らが初めて明らかにしたものである。
【0019】充分な延伸を施し、捲縮特性を向上させる
ためにはトータル延伸倍率はNDR×1.20以上とすること
が重要である。トータル延伸倍率は好ましくはNDR×1.3
0以上である。ここで、NDRとはいわゆる自然延伸倍率の
ことを意味し、図4にように1+定応力伸長領域長(%)
として定義されるものである。また、不均一延伸を防
ぎ、太細糸のような糸長手方向の太さ斑、収縮斑を抑制
するためには、1段目の延伸倍率はNDR×1.00以上とす
ることが重要である。1段目の延伸倍率はNDR×1.12以
上であると布帛にした際の染め斑がさらに抑制され、好
ましい。
【0020】さらに、1段目延伸の延伸温度は85℃以上
とすることが重要である。1段目延伸の延伸温度は好ま
しくは90℃以上である。1段目延伸の延伸温度が85℃未
満の場合は、分子鎖の運動性が低いため、不均一延伸が
発生し糸斑が大きくなりやすく、染色斑、シワ等の布帛
欠点が発生する。また、同様の理由から2段目以降の延
伸も延伸温度は85℃以上であることが好ましい。また、
延伸温度の上限は特に制限はないが、延伸の安定性を考
慮すると、延伸温度は110℃以下であることが好まし
い。なお、ここで言う延伸温度とは延伸前の予熱のこと
を意味し、延伸直前のホットローラーや熱ピン温度が延
伸温度となる。
【0021】また、捲縮特性を向上させ、さらに糸斑や
毛羽を抑制するためには、未延伸糸の配向を進めておく
ことが好ましく、未延伸糸の紡糸速度は2500m/分以上と
することが好ましい。未延伸糸の紡糸速度はより好まし
くは3000m/分以上である。
【0022】本発明により得られる潜在捲縮発現性ポリ
エステル糸のストレッチ性は糸の捲縮特性に依存してお
り、捲縮伸長率で7%以上であることが好ましい。捲縮伸
長率はより好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以
上である。ここで捲縮伸長率とは、図1に示すように糸
かせに0.9×10-3cN/dtex(1mg/d)の荷重を吊した状態
で熱処理を行い、処理した後の糸の捲縮の伸びを表す量
であり、値が高いほど捲縮特性が高い、すなわちストレ
ッチ性が良好である。
【0023】また、織物拘束に打ち勝って捲縮発現する
ためには収縮応力も重要であり、収縮応力の極大値が0.
22cN/dtex(0.25g/d)以上であることが好ましい。より
好ましくは応力の極大値は0.26cN/dtex(0.30g/d)以上
である。また収縮応力の極大値を示す温度は、撚糸の撚
り止め熱セット時の寸法安定性を考慮すると、110℃以
上が好ましい。110℃以上とすると撚糸の撚り止め熱セ
ット時に過度な収縮や捲縮が発生を抑制し、またそれを
布帛にした際も不均一なシボが発生を抑制することがで
きる。
【0024】本発明により得られる潜在捲縮発現性ポリ
エステル糸の強度は2.0cN/dtex以上とすることが布帛の
引き裂き強力を確保する点から好ましい。また、糸の伸
度は、20〜50%とすることが糸の取り扱い性の点から好
ましい。より好ましくは25〜40%である。また、布帛形
成後の取り扱い性を考慮すると、糸の直線収縮率は20%
以下であることが好ましい。直線収縮率はより好ましく
は15%以下である。
【0025】本発明により得られる潜在捲縮発現性ポリ
エステル糸のウースター斑(以下U%と略す)は2%以下で
あることが好ましい。U%が2%より大きくなると、特に長
繊維の場合、布帛にした際、染色斑、また捲縮斑による
布帛表面の荒れ等の欠点が発生してしまう場合がある。
このような欠点が発生してしまうと商品価値が大きく低
下してしまうのである。U%はより好ましくは1.5%以下、
さらに好ましくは1.0%以下である。
【0026】また、本発明により得られる潜在捲縮発現
性ポリエステル糸は無撚りで織物に使用すると、捲縮に
よる収縮が大きくなりすぎ織物表面が荒れてしまう傾向
がある。そのため、本発明により得られる潜在捲縮発現
性ポリエステル糸においても撚糸を施すことが好まし
く、撚り係数K=8000〜25000の中撚から強撚とするこ
とが好ましい。より好ましくはK=10000〜17000であ
る。
【0027】本発明により得られる潜在捲縮発現性ポリ
エステル糸は単独で用いることも可能であるが、沸騰水
収縮率が3%以下の低収縮性ポリエステル糸と混繊して用
いると、ストレッチ性に、ふくらみ感や反発感を付加す
ることができ好ましい。また、このような混繊糸として
用いる際はふくらみ感を強調するためK≦5000の甘撚り
で用いることが好ましい。
【0028】本発明は、シャツ、ブラウス、パンツ、ス
ーツ、ブルゾン等に好適に用いることができる。
【0029】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明す
る。なお、実施例中の測定方法は以下の方法を用いた。 A.捲縮伸長率 糸かせに0.9×10-3cN/dtex(1mg/d)の荷重を吊したま
ま沸騰水処理を15分間施した後、さらに180℃乾熱処理
を15分間施す。そして以下の処理後長L1、L 2を測定し
以下の式で計算した(図1)。
【0030】捲縮伸長率(%)=[(L1−L2)/L1
×100% L1:糸かせに180×10-3cN/dtex荷重を吊した時のかせ
長 L2:糸かせに0.9×10-3cN/dtex荷重を吊した時のかせ
長 B.収縮応力 カネボウエンジニアリング社製熱応力測定器で、昇温速
度150℃/分で測定した。サンプルは10cm×2のループと
し、初期張力は繊度(デシテックス)×0.9×(1/30)gf
とした。 C.極限粘度([η]) オルソクロロフェノール中、25℃で測定した。 D.直線収縮率 直線収縮率(%)=[(L0−L1’)/L0)]×100% L0 :糸かせを初荷重0.18cN/dtex下で測定したかせの
原長 L1’:L0を測定したかせを実質的に荷重フリーの状態
で沸騰水処理を15分間施し、さらに160℃乾熱処理を15
分間施す。その後初荷重0.18cN/dtex下でのかせ長すな
わち、比較的重い荷重により捲縮を完全に引き伸ばした
時の糸の乾熱収縮率である。 E.ウースター斑(U%) Zellweger社製 USTER TESTER 1 ModelCを使用し、2
5m/分の速度で糸を給糸しながらノーマルモードで測定
を行った。 F.強度および伸度 初期試料長=50mm、引っ張り速度=50mm/分とし、JIS
L1013にしたがい荷重−伸長曲線を求めた。次に、荷重
−伸長曲線において最高到達荷重を初期繊度で割り強度
(cN/dtex)とし、最高到達荷重での伸びを初期試料長
で割り伸度(%)とした。 G.自然延伸倍率(NDR) 初期試料長=50mm、引っ張り速度=50mm/分とし、JIS
L1013にしたがい荷重−伸長曲線を求めた。次に、荷重
−伸長曲線において、降伏点以後の一定荷重値を示す領
域を定応力伸長領域とし、その一定荷重値を初期の繊度
で割り定応力伸長領域応力、定応力伸長領域の終了点の
伸度を100%で割り、定応力伸長領域長とした。そしてND
R=1+定応力伸長領域長とした(図4)。 H.布帛評価 得られた潜在捲縮発現性ポリエステル糸に撚り係数1500
0の強撚を施し、S/Z交互配置としたものを経糸およ
び緯糸に用いて平織りを作製した。それに90℃温水中で
でリラックス精練により収縮を施した後180℃で中間セ
ットを行った。そして、常法にしたがい10重量%のアル
カリ減量を施した後、やはり常法にしたがいカチオン染
料を用い青色に染色、洗浄を施した。そして、得られた
布帛のストレッチ性、発色性、染め斑、布帛表面の審美
性について官能評価を1〜5級で行い、3級以上を合格
とした。
【0031】実施例1〜8 [η]=0.63の酸化チタンを含まないホモPETと[η]
=0.65のSSIAを2mol%、PEGを1重量%共重合し酸化チタン
を0.03重量%含む改質PETをそれぞれ290℃、300℃で別々
に溶融し、絶対濾過径15μmのステンレス製不織布フィ
ルターを用い別々に濾過を行った後、孔数12の平行合流
タイプ複合紡糸口金(図2a)から複合比50重量%/50
重量%のサイドバイサイド複合糸(図3(b))として
紡糸温度300℃で吐出した。紡糸−延伸後56dtexとなる
よう吐出量を調整し、紡糸速度3000m/分で12フィラメン
トの未延伸糸を巻き取った(図5)。この未延伸糸のND
Rは1.30であった。そして、3つのホットーローラーを
有する延伸機(図6)を用い、表2に示す延伸条件で2
段延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸
切れは無かった。得られた糸の物性値を表3に示すが、
優れた捲縮発現能力を示し、糸斑も優れていた。この潜
在捲縮発現性ポリエステル糸を用い、布帛評価を行った
ところ、ストレッチ性、発色性が優れており、染め斑、
布帛表面荒れ等も発生しなかった(表4)。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】実施例9〜10 紡糸速度を1500m/分とした以外は実施例2と同様の条件
で紡糸を行った。この未延伸糸のNDRは2.10であった。
そして、延伸条件を表2の如く変更した以外は実施例2
と同様に2段延伸を行った。実施例10では延伸糸伸度
が低いため、許容範囲ではあったが延伸で糸切れが発生
した。得られた糸の物性値を表3に示すが、未延伸糸紡
速が低いため合格レベルではあるが捲縮特性が低下し、
糸斑も若干悪化した。この潜在捲縮発現性ポリエステル
糸を用い、布帛評価を行ったところ、発色性が優れてい
たが、捲縮特性が低く、ウースター斑が大きいため、ス
トレッチ性、染め斑、布帛表面審美性は実施例2には一
歩譲るものであった(表4)。
【0037】実施例11 ホモPETを[η]=0.60とした以外は実施例2と同様の
条件で紡糸を行った。この未延伸糸のNDRは1.33であっ
た。そして、延伸条件を表2の如く変更した以外は実施
例2と同様に2段延伸を行った。紡糸の際、若干口金直
下での糸曲がりが見られたが、紡糸、延伸とも製糸性は
良好であり糸切れはなかった。得られた糸の物性値を表
3に示すが、優れた捲縮発現能力を示し、糸斑も優れて
いた。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を用い、布帛
評価を行ったところ、ストレッチ性、発色性が優れてお
り、染め斑、布帛表面荒れ等も発生しなかった(表
4)。
【0038】実施例12 ホモPETを[η]=0.55、口金として孔数12の特開平9-1
57941号公報記載の挿入タイプ口金(図2b)を用いた
以外は実施例2と同様の条件で紡糸を行った。この未延
伸糸のNDRは1.34であった。そして、延伸条件を表2の
如く変更した以外は実施例2と同様に2段延伸を行っ
た。許容範囲ではあったが、紡糸、延伸とも製糸性は実
施例2に比較すると劣るものであった。得られた糸の物
性値を表3に示すが、優れた捲縮発現能力を示し、糸斑
も優れていた。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を用
い、布帛評価を行ったところ、ストレッチ性、発色性が
優れていたが、ウースター斑が大きいため、染め斑は実
施例2に一歩譲るものであった(表4)。
【0039】実施例13 改質PETのSSIAの共重合量を6mol%とした以外は実施例2
と同様に紡糸を行った。この未延伸糸のNDRは1.36であ
った。そして、延伸条件を表2の如く変更した以外は実
施例2と同様に2段延伸を行った。許容範囲ではあった
が、紡糸、延伸とも製糸性は実施例2に比較すると劣る
ものであった。得られた糸の物性値を表3に示すが、優
れた捲縮発現能力を示し、糸斑も問題無いレベルであっ
た。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を用い、布帛評
価を行ったところ、ストレッチ性、発色性は優れていた
が、ウースター斑が大きいため染め斑、布帛表面審美性
は実施例2には一歩譲るものであった(表4)。
【0040】実施例14 複合比をホモPET/改質PET=40重量%/60重量%とした以
外は実施例2と同様に紡糸を行い、未延伸糸を得た。こ
の未延伸糸のNDRは1.34であった。そして、延伸条件を
表2の如く変更した以外は実施例2と同様に2段延伸を
行った。許容範囲ではあったが、紡糸、延伸とも製糸性
は実施例2に比較すると劣るものであった。得られた糸
の物性を表3に示すが、優れた捲縮発現能力を示し、糸
斑も優れていた。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を
用い、布帛評価を行ったところ、ストレッチ性、発色性
が優れていたが、ウースター斑が大きいため、染め斑は
実施例2に一歩譲るものであった(表4)。
【0041】実施例15 改質PETとして、[η]=0.64の5−(テトラn-ブチル
ホスホニウム)スルホイソフタル酸(以下PSIAと略す)
を2mol%共重合し、酸化チタンを0.03重量%含む[η]=
0.64の改質PETを用いたこと以外は実施例2と同様に紡
糸および2段延伸を行った。得られた糸の物性を表3に
示すが、優れた捲縮発現能力を示し、糸斑も優れてい
た。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を用い、布帛評
価を行ったところ、ストレッチ性、発色性が優れてお
り、染め斑、布帛表面荒れ等も発生しなかった(表
4)。
【0042】比較例1 図7の延伸装置を用い、表2に示した延伸倍率、温度と
した以外は実施例2と同様の条件で1段延伸を行った。
紡糸、延伸とも製糸性は良好であり糸切れはなかった。
得られた糸の物性値を表3に示すが、捲縮発現能力が劣
るものであった。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を
用い、布帛評価を行ったところ、捲縮発現能力が低いた
めストレッチ性に劣るものであった(表4)。
【0043】比較例2 表2の如く延伸倍率を変更した以外は実施例9と同様の
条件で2段延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好
であり糸切れはなかった。得られた糸の物性値を表3に
示すが、比較例2は1段目延伸倍率がNDR×1.00未満で
あるためウースター斑が大きく、布帛での染め斑が大き
く品位に劣るものであった(表4)。
【0044】比較例3 表2の如く延伸倍率を変更した以外は実施例2と同様の
条件で2段延伸を行った。紡糸、延伸とも製糸性は良好
であり糸切れはなかった。得られた糸の物性値を表3に
示すが、捲縮発現能力が劣るものであった。この潜在捲
縮発現性ポリエステル糸を用い、布帛評価を行ったとこ
ろ、捲縮発現能力が低いためストレッチ性に劣るもので
あった(表4)。
【0045】比較例4 1HR温度を75℃とした以外は実施例2と同様に2段延伸
を行った。得られた糸の物性値を表3に示すが、捲縮発
現能力が劣っていた。この潜在捲縮発現性ポリエステル
糸を用い、布帛評価を行ったところ、染色斑、布帛表面
審美性が劣っていた(表4)。
【0046】比較例5 複合比をホモPET/改質PET=25重量%/75重量%とした以
外は実施例2と同様に紡糸を行った。この未延伸糸のND
Rは1.20であった。そして、表2の如く延伸倍率を変更
した以外は実施例2と同様の条件で2段延伸を行った。
得られた糸の物性を表3に示すが、捲縮伸長率が低いも
のであった。この潜在捲縮発現性ポリエステル糸を用
い、布帛評価を行ったところ、ストレッチ性に劣るもの
であった(表4)。
【0047】比較例6 改質PETのSSIA共重合量を10mol%とした以外は実施例2
と同様に紡糸を行ったが、紡糸性が悪化した。この未延
伸糸のNDRは1.20であった。そして、表2の如く延伸倍
率を変更した以外は実施例2と同様の条件で2段延伸を
行った。得られた糸の物性は表3に示すが、強度が低く
糸斑が悪化したものであった。この潜在捲縮発現性ポリ
エステル糸を用い、布帛評価を行ったところ、ウースタ
ー斑が大きいため染め斑、布帛表面審美性に劣るもので
あった(表4)。
【0048】
【発明の効果】従来問題となっていた発色性を改善し、
しかも糸斑の小さなストレッチ性に優れた布帛を得るた
めの潜在捲縮発現性ポリエステル糸を生産性良く提供す
ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】捲縮伸長率の測定法を示す図である。
【図2】口金を示す図である。
【図3】本発明のポリエステル糸の糸断面形状を示す図
である。
【図4】未延伸糸の強伸度曲線を現す図である。
【図5】紡糸、巻き取り装置を示す図である。
【図6】2段延伸装置を示す図である。
【図7】1段延伸装置を示す図である。
【符号の説明】
1:スピンブロック 2:不織布フィルター 3:口金 4:チムニー 5:糸条 6:給油ガイド 7:交絡ガイド 8:第1ゴデットローラー 9:第2ゴデットローラー 10:巻き取り糸 11:未延伸糸 12:フィードローラー 13:第1ホットローラー 14:第2ホットローラー 15:第3ホットローラー 16:コールドドローローラー 17:延伸糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4L041 AA07 AA08 BA02 BA05 BA09 BA22 BA24 BA34 BA35 BA37 BA42 BC04 BC17 BC20 BD20 CA06 CA12 CA16 CB05 DD01 DD04 DD15 DD21

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】極限粘度差Δ[η]が0.10以下で、ポリエ
    ステルとスルホン酸金属塩または有機塩を有する構成単
    位を全酸成分に対し1〜7mol%共重合した改質ポリエステ
    ルを、30重量%/70重量%〜70重量%/30重量%の複合比で
    サイドバイサイド複合糸または偏心芯鞘複合糸として紡
    糸した糸を多段延伸する際、1段目の延伸温度85℃以
    上、1段目の延伸倍率をNDR×1.00以上、トータル延伸
    倍率をNDR×1.20以上として延伸することを特徴とする
    潜在捲縮発現性ポリエステル糸の製造方法。 NDR:自然延伸倍率
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190121931A (ko) * 2018-04-19 2019-10-29 원창머티리얼 주식회사 복합 기능성 다중직 텍스타일의 제조방법

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20190121931A (ko) * 2018-04-19 2019-10-29 원창머티리얼 주식회사 복합 기능성 다중직 텍스타일의 제조방법
KR102053234B1 (ko) * 2018-04-19 2019-12-06 원창머티리얼 주식회사 복합 기능성 다중직 텍스타일의 제조방법

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