JP2001205216A - 難分解性有機ハロゲン化合物の除去処理法 - Google Patents

難分解性有機ハロゲン化合物の除去処理法

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JP2001205216A
JP2001205216A JP2000014292A JP2000014292A JP2001205216A JP 2001205216 A JP2001205216 A JP 2001205216A JP 2000014292 A JP2000014292 A JP 2000014292A JP 2000014292 A JP2000014292 A JP 2000014292A JP 2001205216 A JP2001205216 A JP 2001205216A
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hardly decomposable
organic halogen
decomposable organic
halogen compound
pulp fibers
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JP2000014292A
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Kenichi Otani
健一 大谷
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Nuclear Fuel Industries Ltd
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Nuclear Fuel Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物性繊維構成物中にて、繊維間に吸着され
ている難分解性有機ハロゲン化合物の脱着を容易にし、
植物性繊維構成物中の難分解性有機ハロゲン化合物の濃
度を低下させる難分解性有機ハロゲン化合物の除去処理
方法を得る。 【解決手段】 植物性繊維構成物中から難分解性有機ハ
ロゲン化合物を溶出するに際し、前記植物性繊維構成物
のパルプ繊維間の結合を弱めるか、該結合を解除する工
程を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば規制になる
前に製造されたコンデンサ等の紙や木材等の植物性繊維
構成物中に含まれるポリ塩化ビフェニル(以降、「PC
B」と記載する)、ダイオキシン等の有害な難分解性有
機ハロゲン化合物を除去処理する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ポリ塩化ビフェニル、ダイオキシン等の
有害な難分解性有機ハロゲン化合物が、紙、木材中に含
有され、存在していて、処理されてない。つまり、PC
B等が規制になる前に製造されたコンデンサには、絶縁
油たるPCB含有油が含浸された紙が使用されており、
また同様にトランスには、内部の固定部材として、絶縁
油たるPCB含有油が含浸された木材、木材加工品が使
用されており、そのまま保管されている。また、紙には
その漂白時に塩素化合物が使用されることにより、紙パ
ルプ汚泥にダイオキシンが存在する事例がスエーデン国
等で既知である。
【0003】一方、紙、木材等の植物性繊維構成物中の
難分解性有機ハロゲン化合物は、この繊維構成物に吸着
的に強固に結合しており、テトラクロロエチレン、石油
系炭化水素等の溶剤で抽出しても、脱着しきれないもの
があると恐れられている。しかも、抽出後の残存量の微
量定量分析は、定評のある方法がない。
【0004】例えば、よく用いられる繊維構成物を燃焼
させ、その後燃焼物中の塩素を定量する方法では、数十
ppm程度であるのに対し、PCBの規制値は、繊維構
成物に吸着されている時は、0.003ppmであり、
上記値より遇かに低く、定量分析の精度外である。この
ように溶剤抽出では繊維構成物に吸着されている難分解
性有機ハロゲン化合物の脱着が難しく、また脱着したと
の保証もできない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記の課題
を鑑みてなされたものであり、植物性繊維構成物中に
て、繊維間に吸着されている難分解性有機ハロゲン化合
物の脱着を容易にし、植物性繊維構成物中の難分解性有
機ハロゲン化合物の濃度を低下させる難分解性有機ハロ
ゲン化合物の除去処理方法を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載された発
明に係る難分解性有機ハロゲン化合物の除去処理法は、
植物性繊維構成物中から難分解性有機ハロゲン化合物を
溶出するに際し、前記植物性繊維構成物のパルプ繊維間
の結合を弱めるか、該結合を解除する工程を備える。
【0007】請求項2に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、請求項1に記載さ
れた工程中に、植物性繊維構成物から、繊維質間結合物
質を除去した後に、残存するパルプ繊維間の結合を弱め
るか、該結合を解除する処理を施す。
【0008】請求項3に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、請求項2に記載さ
れた工程中に、パルプ繊維をばらばらにし、水に分散・
膨潤させてスラリー状とし、このスラリー中でパルプ繊
維間に吸着している難分解性有機ハロゲン化合物を溶出
させる処理を施す。
【0009】請求項4に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、請求項2に記載さ
れた工程中に、パルプ繊維を溶解させて溶液状とし、こ
の溶液中でパルプ繊維間に吸着している難分解性有機ハ
ロゲン化合物を溶出させる処理を施す。
【0010】請求項5に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、請求項2に記載さ
れた工程中に、パルプ繊維の主成分であるセルロースを
化学的に変性した後に、溶解させて溶液状として、この
溶液中でパルプ繊維問に吸着している難分解性有機ハロ
ゲン化合物を溶出させる処理を施す。
【0011】請求項6に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、請求項2に記載さ
れた工程中に、パルプ繊維の主成分であるセルロースを
解重合により低分子化して溶解させることにより溶液状
とし、この溶液中でパルプ繊維間に吸着している難分解
性有機ハロゲン化合物を溶出させる処理を施す。
【0012】請求項7に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、アルミ箔と難分解
性有機ハロゲン化合物が含浸した紙とを含むコンデンサ
ー内容物から難分解性有機ハロゲン化合物を溶出するに
際し、前記アルミ箔の溶解を伴いながら前記紙の植物性
繊維間の結合を弱めるか、該結合を解除する工程を備え
る。
【0013】請求項8に記載された発明に係る難分解性
有機ハロゲン化合物の除去処理法は、表面被覆もしくは
含浸材によりエポキシ樹脂を含む紙又は木製構造物から
難分解性有機ハロゲン化合物を溶出するに際し、前記エ
ポキシ樹脂の溶解を伴いながら前記構造物の植物性繊維
間の結合を弱めるか、該結合を解除する工程を備える。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明では、植物性繊維構成物の
繊維間の結合を弱めるか、より好ましくはその結合を解
除する工程を備えることにより、繊維間に吸着されてい
る難分解性有機ハロゲン化合物の脱着を容易にし、植物
性繊維構成物中の難分解性有機ハロゲン化合物の濃度を
低下させることができる。
【0015】本発明での植物性繊維構成物としては、植
物繊維を構成成分として含み、この植物繊維同士が繊維
質間結合物質により結合された紙又は木製構造物を指
す。例えば、パルプ繊維同士がリグニン、ヘミセルロー
ス等の繊維質間結合物質で結合した紙又は木材を始めと
して、これら紙、木材を更に加工したものをも含む。
【0016】本発明での難分解性有機ハロゲン化合物と
しては、例えばPCB、ダイオキシン類等のハロゲンを
含む有機化合物を指し、特に動植物に有害とされるもの
を含む。特に、植物性繊維構成物中に含有される難分解
性有機ハロゲン化合物を植物繊維質から溶出して処理で
きるものであればよい。
【0017】本発明では、具体的に、前記工程中に、植
物性繊維構成物から、リグニン、ヘミセルロース等の繊
維質間結合物質を除去した後に、残存するパルプ繊維間
の結合を弱めるか、該結合を解除する処理を施す。この
処理により、パルプ繊維を膨潤もしくは溶解させること
により、単純な溶剤抽出等にて取り切れなかったパルプ
繊維間に吸着されていた有害な難分解性有機ハロゲン化
合物を、脱着し、溶出させることにより除去することが
できる。
【0018】更に具体的には、前記工程中に、パルプ繊
維をばらばらにし、水に分散・膨潤させてスラリー状と
し、このスラリー中でパルプ繊維間に吸着している難分
解性有機ハロゲン化合物を溶出させる処理を施すか、前
記工程中に、パルプ繊維を溶解させて溶液状とし、この
溶液中でパルプ繊維間に吸着している難分解性有機ハロ
ゲン化合物を溶出させる処理を施す。
【0019】特に、溶液状とするには、前記工程中に、
パルプ繊維の主成分であるセルロースを化学的に変性し
た後に、溶解させて溶液状として、この溶液中でパルプ
繊維問に吸着している難分解性有機ハロゲン化合物を溶
出させる処理を施すか、前記工程中に、パルプ繊維の主
成分であるセルロースを解重合により低分子化して溶解
させることにより溶液状とし、この溶液中でパルプ繊維
間に吸着している難分解性有機ハロゲン化合物を溶出さ
せる処理を施すことで可能である。
【0020】これらの処理は、難分解性有機ハロゲン化
合物を含有する紙、木材、紙加工品、木材加工品に関し
て有効である。具体的には、従来は除去方式がなかった
PCBを絶縁油として使用されているコンデンサー、ト
ランス等の内部部材である紙部材、木材部材よりPCB
を除去することができる。
【0021】例えば、アルミ箔と難分解性有機ハロゲン
化合物が含浸した紙とを含むコンデンサー内容物から難
分解性有機ハロゲン化合物を溶出するに際し、前記アル
ミ箔の溶解を伴いながら前記紙の植物性繊維間の結合を
弱めるか、該結合を解除する工程を備えたものであるた
め、難分解性有機ハロゲン化合物を溶出させる処理と、
前記アルミ箔の溶解処理とを同時に行うことができる。
【0022】更に、表面被覆もしくは含浸材によりエポ
キシ樹脂、ポリエステル等の加水分解性樹脂を含む紙又
は木製構造物から難分解性有機ハロゲン化合物を溶出す
るに際し、前記加水分解性樹脂の溶解を伴いながら前記
構造物の植物性繊維間の結合を弱めるか、該結合を解除
する工程を備えるため、難分解性有機ハロゲン化合物を
溶出させる処理と、前記加水分解性樹脂の溶解処理とを
同時に行うことができる。
【0023】より好ましくは、紙、木材等の植物性繊維
構成物中に含まれる難分解性有機ハロゲン化合物を除く
に当たり、必要に応じ、「脱脂を行い」、その後、「パ
ルプ繊維間の接着している成分であるリグニン、ヘミセ
ルロースを除去し」、同時に、又は次いで「パルプ繊維
を膨潤もしくは溶解させる」。
【0024】更に、パルプ繊維を溶解し易くするため
に、「パルプ繊維の主体物であるセルロースを分解し分
子量を低下させ最終的にはデンプン、糖にする」こと、
もしくは「セルロースを化学的に変性する」ことも用い
ることができる。
【0025】これらの膨潤もしくは溶解の処理により、
難分解性有機ハロゲン化合物は溶液に溶出する。この
時、少なくともパルプ繊維を完全溶解すれば、難分解性
有機ハロゲン化合物は溶液に完全に溶出するので、溶液
中の難分解性有機ハロゲン化合物の濃度が正確に把握で
きるもし、十分に濃度が低ければ、難分解性有機ハロゲ
ン化合物が含有する溶液でないと見なせる。
【0026】本発明の除去処理法により、除去された難
分解性有機ハロゲン化合物の分解は既知の方法で行えば
よい。即ち、溶出した難分解性有機ハロゲン化合物を水
系の既知の脱塩素化分解技術により、無害化できる。既
知の脱塩素化分解技術としては、例えば、「廃棄物処理
法新基準に基づくPCB処理技術ガイドブック;編集財
団法人 産業廃棄物処理事業振興財団 発行 株式会社
きょうせい」等に述べられている。
【0027】この難分解性有機ハロゲン化合物の脱塩素
化分解処理は、この分解反応が非水系の場合は、難分解
性有機ハロゲン化合物を有機溶剤で水溶液より繰り返し
抽出し、脱塩素化分解処理に備えなければならない。
【0028】具体的には、「脱脂を行う」必要があるの
は、油脂が紙、木材等の被除去体に付着している場合で
あり、残存油脂が、次の工程以降での水系の化学反応の
妨げにならない様に除去しなければならない。この時、
その油脂は、難分解性有機ハロゲン化合物その物である
か、もしくは微量の難分解性有機ハロゲン化合物を溶融
させた鉱油等であり、油脂の種類に応じて、テトラクロ
ロエチレン、石油系炭化水素等の溶剤で洗浄するか、界
面活性剤水溶液で洗浄するか、アルカリ水溶液で洗浄す
るか等を選択する。
【0029】また、コンデンサー等のPP(ポリプロピ
レン)フィルムが存在するときは、該フィルムの一部が
PCBに溶出している場合があり、PCBとポリプロピ
レンを共に溶解する溶剤系を選択しなければならない。
この脱脂溶剤系としては、ノルマルヘキサン、石油系等
の炭化水素溶剤、及びこれらと界面活性剤水のエマルジ
ョンが挙げられる。
【0030】この時、溶剤を用いた時は、溶剤相を紙、
木材等の被除去体より分離、除去し、脱塩素分解処理を
すれば良い。界面活性剤水溶液、アルカリ水溶液は、特
に次工程で妨げにならない限り、除去する必要はない。
この時、使用される界面活性剤としては、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
フェニルエーテル等の非イオン系界面活性剤が好まし
い。また、この脱脂は、加熱真空乾燥方法にて、紙、木
材等の被除去体に付着している油脂を除去することもで
きる。
【0031】リグニン、ヘミセルロースを除去するに
は、製紙加工で用いられている蒸解等の解繊の技術が利
用できる。つまり、水酸化ナトリウム水溶液で熱するソ
ーダ法、亜硫酸塩等のアルカリ性水溶液で熱する亜硫酸
法等のアルカリ水処理であり、パルプ繊維の膨潤、溶解
も同時にある程度生じる。この解繊の技術でのリグニン
の除去が不十分な時は、酸化分解によりリグニンをアル
カリ溶解を可能とさせる。この酸化分解は次亜塩素酸ソ
ーダ、塩素、酸素、オゾン、過酸化水素等の製紙加工の
漂白工程で用いられている酸化剤を利用ことができる。
【0032】これら製紙加工で用いられている解繊、漂
白時の条件は、製紙加工では、出来るだけセルロースを
分解しないように選択されているが、本発明において
は、とくに紙を回収する目的は主旨ではなく、分解はむ
しろセルロースの溶解性を高め、難分解性有機ハロゲン
化合物をセルロースより脱着し易くする。例えば次亜塩
素酸ソーダは、一般的にはセルロースの分解を回避する
ためPH9〜10のアルカリ環境で用いられるが、PH
4〜8の環境で用いてもかまわない。
【0033】パルプ繊維を膨潤(スラリー化)もしくは
溶解させるには、アルカリ水溶液以外に、銅アンモニア
水溶液、銅エチレンジアミン水溶液、第4級アンモニウ
ム塩水溶液等を用いることができ、これらの方がより溶
解性が高く好ましい。
【0034】「パルプ繊維の主体物であるセルロースを
分解する」には、酸を用いることができる、硫酸、燐酸
は溶解とともに分子量を低下させる。また、「セルロー
スを化学的に変性し、溶解性を向上させる」には、ビス
コース法を利用できる。つまり、セルロースを苛性ソー
ダで処理した後、二硫化炭素と反応させて、セルロース
・ザントゲン酸ナトリウムのアルカリ水溶液とする。
【0035】「水溶液中の難分解性有機ハロゲン化合物
の分析」は、例えばPCBに関しては、既知の廃酸、廃
アルカリの分析として行う。既知の廃酸、廃アルカリの
分析としては、前述した「廃棄物処理法新基準に基づく
PCB処理技術ガイドブック」にも示されており、例え
ば、難分解性有機ハロゲン化合物を有機溶剤で水溶液よ
り抽出するには、ノルマルヘキサン、CFCFCH
l2等のフッ素系溶剤、テトラクロロエチレン、石油
系溶剤等の水と相分離を行う溶剤を用いる。
【0036】この時、溶剤の存在が脱塩素化分解処理の
妨げになる等の場合は、溶剤は難分解性有機ハロゲン化
合物と沸点が異なり、分留除去可能でなければならな
い。また、上記の抽出が十分に行われ、残存水溶液相に
難分解性有機ハロゲン化合物の濃度が規制値以下である
ことの確認を、残存水溶液相について上記分析方法等に
て行ってもよい。
【0037】以上のように、本発明では、パルプ繊維を
溶解するにより、難分解性有機ハロゲン化合物を全て溶
液内に溶出でき、繊維に吸着されている難分解性有機ハ
ロゲン化合物を無くすことができる。また、これによ
り、溶液中の難分解性有機ハロゲン化合物の濃度を正確
に分析、把握できる効果をも有する。この時、難分解性
有機ハロゲン化合物の濃度が規制値以下であれば、この
溶解溶液を難分解性有機ハロゲン化合物含有物質として
取り扱わなくて済む。
【0038】
【実施例】実施例1 コンデンサーのPCBが含浸している紙、木材、木材加
工品等の構成材のPCBを除去する一実施例として、図
1にコンデンサーに関する処理フローチャートに示し
た。
【0039】図1に示す通り、先ず紙、アルミ箔、PP
フィルムの複合体からなるコンデンサーの内容物を5〜
50mm角程度に裁断して裁断物(1) とし、それを溶剤
で脱脂する。溶剤溶解物(2) は、脱塩素分解処理工程
(9) に回す。
【0040】残存固形体(3) はアルカリ水処理を行うこ
とにより、アルミ箔が溶解した物(4) が得られる。これ
を必要に応じて水素イオン濃度を調整した後、酸化処理
を行い、残存リグニンを分解し、更にセルロース溶解処
理を行い、紙を溶解させた。この時、固形物残渣(5) は
PP(ポリプロピレン)フイルムであり、溶剤、界面活
性剤水等で溶剤洗浄する。
【0041】洗浄されたPPフィルム(6) は、その表面
に付着しているPCBの濃度の分析を行い、規制値以下
ならば、廃棄でき、満足出来なければ溶剤洗浄を繰り返
す。この時、溶剤洗浄の場合は、洗浄済み溶剤(7) は、
脱塩素分解処理工程(9) に回し、界面活性剤水等の場合
は、上記の紙の溶解液と一緒にして、以降の処理を施す
(図1の「※」参照)。
【0042】さて紙を溶解した溶解水溶液(8) は、溶剤
でPCBを抽出する。残存水溶液のPCBの濃度が規制
値以下になるまでこの処理を繰り返す。PCBが抽出さ
れた溶剤は、必要に応じ、脱水処理後、脱塩素分解処理
工程(9) に回す。
【0043】以下、具体的には、先ずPCBが絶縁油と
して使用され、絶縁紙、ポリプロピレンフィルム、アル
ミ箔より構成されるコンデンサーの内容物5gを10m
m角に裁断し、ノルマルヘキサン200Lにて、常温
で、60分間、超音波洗浄・脱脂した。これを3回繰り
返した。
【0044】乾燥後、2重量%の苛性ソーダ水溶液20
0Lに浸漬し、常温にて、2時間撹拌加熱した(アルカ
リ水処理)。この時、アルミ箔は、水素を発生させなが
ら、溶解消滅した。この後、25メッシュのステンレス
網を用いて濾過分離を行い、濾過液を液Aとして保管
し、固形分を水で洗浄後、洗浄水を液Bとして保管し、
固形分Fを分離した。
【0045】固形分Fに水200Lと次亜塩素酸ソーダ
20gを加え、pH11となるように、氷酢酸を添加し
(酸化処理)、80℃で1時間攪拌加熱した。更に、硫
酸を加え、硫酸濃度が40重量%となるようにした。そ
れを50℃で2時間攪拌加熱した(セルロース溶解)。
25メッシュのステンレス網を用いて濾過分離を行い、
濾過液を液Cとして保管し、固形分を水で洗浄後、洗浄
水を液Dとして保管し、固形分を固形分Gとして保管し
た。固形分Gは、全てポリプロピレンフィルムであっ
た。
【0046】液A、液B、液C、液Dを個別に分液ロー
トを用いて、ノルマルヘキサン50mlを加え(溶媒抽
出)、シェイクし、ノルマルヘキサンを分離した。新し
いノルマルヘキサンにて、この作業を3回繰り返し全て
のノルマルヘキサンを合わせ液Eとした。この作業の
後、ノルマルヘキサン中のPCBの濃度を「特別管理産
業廃棄物に係わる基準の検定方法(平成4年厚生省告示
第192号、改正 平成10年8月第222号)第二号
のロの別表第二の一」にて、液A、液B、液C、液Dを
同第二号のハ(引用;「産業廃棄物に含まれる金属等の
検定方法」(昭和48年2月環境庁告示第13号))に
て、固形分Gを試料の量がすくないが、同第二号の二の
別表第二の第三に準じて、検定した。
【0047】その結果、液A、液B、液C、液DのPC
Bの濃度は、0.03mg/l以下であり、固形分G
は、0.01mg/kg(試料質量)以下であり、液E
は、173mg/lであった。つまり、PCBは、ノル
マルヘキサンに抽出され、残存物の廃酸、廃アルカリ、
ポリプロピレンフィルムには無視できる程しか存在しな
かった。これにより、ノルマルヘキサンに抽出されたP
CBを除き、本コンデンサーのPCB除去処理が達成で
きた。
【0048】実施例2 実施例1の「固形分Fに水200Lと次亜塩素酸ソーダ
20gを加え、pH11となるように氷酢酸を添加し
(酸化処理)、80℃で1時間攪拌加熱した(セルロー
ス溶解)。」に換えて、「固形分Fに20重量%の苛性
ソーダと4%の過酸化水素を含む水溶液200Lを加
え、80℃で1時間攪拌加熱した(酸化処理及びセルロ
ース溶解処理)」とした。
【0049】その結果、液A、液B、液C、液DのPC
Bの濃度は、0.03mg/l以下であり、固形分G
は、0.01mg/kg(試料質量)以下であり、液E
は、150mg/lであった。つまり、PCBは、ノル
マルヘキサンに抽出され、残存物の廃酸、廃アルカリ、
ポリプロピレンフィルムには無視できる程しか存在しな
かった。これにより、ノルマルヘキサンに抽出されたP
CBを除き、本コンデンサーのPCB除去処理が達成で
きた。
【0050】尚、トランスを処理の対象とした例も図1
のコンデンサーと同様に処理できる。ただし、アルミ
箔、PPフィルムは存在しないので、この処理は不要で
ある。つまり、柱上トランスについて、PCBが含浸し
た紙は、5〜50mm角程度に裁断して裁断物(1) とす
る。木材は5mm径程度に切断して裁断物(1) とする。
【0051】これらを溶剤で脱脂し、溶剤溶解物(2)
は、脱塩素分解処理工程(9) に回す。残存固形体はアル
カリ水処理を行うことにより紙中のリグニンの一部が溶
解し、更に紙表面に塗布(・含浸)されたエポキシ樹脂
も剥離溶解される。これを必要に応じて水素イオン濃度
を調整した後、酸化処理を行い、残存リグニン、残存エ
ポキシを分解し、更にセルロース溶解処理を行い、紙を
溶解させた。
【0052】さて紙を溶解した液は、溶剤でPCBを抽
出する。残存水溶液のPCBの濃度が規制値以下になる
までこの処理を繰り返す。PCBが抽出された溶剤は、
必要に応じ、脱水処理後、脱塩素分解処理工程(9) に回
す。
【0053】本処理法により、従来の単純な溶剤抽出等
にて、取れ切れなかったパルプ繊維間に吸着されていた
有害な難分解性有機ハロゲン化合物を除去することがで
きる。また、本処理法では、コンデンサーの如く、紙、
PP等のポリオレフィンフィルム、アルミ箔より構成さ
れている場合、アルミ箔は、アルカリ水溶液、過酸化水
素水、酸等で溶解できる。
【0054】つまり特別なアルミ箔の溶解工程を用いな
くても、紙をアルカリ水溶液等を用いて溶解する時、ア
ルミ箔も同時に溶解できる。また、PPフィルムは、剥
離回収され、付着液を除去すれば、難分解性有機ハロゲ
ン化合物の非汚染物と見なせる。つまり、コンデンサー
の溶解処理については、アルミ箔、ポリオレフィンフィ
ルム付着の紙をそのまま、本発明の処理に従って実施で
きる。
【0055】また、本処理法では、トランスの如く、接
着剤付きの紙については、一般的にはエポキシ樹脂、ポ
リエステル等加水分解性樹脂が使用されているが、アル
カリ水溶液による加水分解、酸化剤による分解によっ
て、溶解でき、本発明のプロセスにおいて、リグニンの
溶解処理と同時に溶解できる。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上説明した通り、植物性繊維
構成物中にて、繊維間に吸着されている難分解性有機ハ
ロゲン化合物の脱着を容易にし、植物性繊維構成物中の
難分解性有機ハロゲン化合物の濃度を低下させる難分解
性有機ハロゲン化合物の除去処理方法を得ることができ
るという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】難分解性有機ハロゲン化合物の除去処理方法の
概要を示すフローチャートである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 植物性繊維構成物中から難分解性有機ハ
    ロゲン化合物を溶出するに際し、前記植物性繊維構成物
    のパルプ繊維間の結合を弱めるか、該結合を解除する工
    程を備えたことを特徴とする難分解性有機ハロゲン化合
    物の除去処理法。
  2. 【請求項2】 前記工程中に、植物性繊維構成物から、
    繊維質間結合物質を除去した後に、残存するパルプ繊維
    間の結合を弱めるか、該結合を解除する処理を施すこと
    を特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記工程中に、パルプ繊維をばらばらに
    し、水に分散・膨潤させてスラリー状とし、このスラリ
    ー中でパルプ繊維間に吸着している難分解性有機ハロゲ
    ン化合物を溶出させる処理を施すことを特徴とする請求
    項2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記工程中に、パルプ繊維を溶解させて
    溶液状とし、この溶液中でパルプ繊維間に吸着している
    難分解性有機ハロゲン化合物を溶出させる処理を施すこ
    とを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記工程中に、パルプ繊維の主成分であ
    るセルロースを化学的に変性した後に、溶解させて溶液
    状として、この溶液中でパルプ繊維問に吸着している難
    分解性有機ハロゲン化合物を溶出させる処理を施すこと
    を特徴とする請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記工程中に、パルプ繊維の主成分であ
    るセルロースを解重合により低分子化して溶解させるこ
    とにより溶液状とし、この溶液中でパルプ繊維間に吸着
    している難分解性有機ハロゲン化合物を溶出させる処理
    を施すことを特徴とする請求項2に記載の方法。
  7. 【請求項7】 アルミ箔と難分解性有機ハロゲン化合物
    が含浸した紙とを含むコンデンサー内容物から難分解性
    有機ハロゲン化合物を溶出するに際し、前記アルミ箔の
    溶解を伴いながら前記紙の植物性繊維間の結合を弱める
    か、該結合を解除する工程を備えたことを特徴とする難
    分解性有機ハロゲン化合物の除去処理法。
  8. 【請求項8】 表面被覆もしくは含浸材により加水分解
    性樹脂を含む紙又は木製構造物から難分解性有機ハロゲ
    ン化合物を溶出するに際し、前記加水分解性樹脂の溶解
    を伴いながら前記構造物の植物性繊維間の結合を弱める
    か、該結合を解除する工程を備えたことを特徴とする難
    分解性有機ハロゲン化合物の除去処理法。
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