JP2001205058A - 非対称性ポリイミド分離膜の製造方法 - Google Patents

非対称性ポリイミド分離膜の製造方法

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JP2001205058A
JP2001205058A JP2000013445A JP2000013445A JP2001205058A JP 2001205058 A JP2001205058 A JP 2001205058A JP 2000013445 A JP2000013445 A JP 2000013445A JP 2000013445 A JP2000013445 A JP 2000013445A JP 2001205058 A JP2001205058 A JP 2001205058A
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Yon-Suu Kan
ヨン−スー カン
Hyun-Chae Park
ヒュン−チャエ パーク
Jon-Oku Won
ジョン−オク ウォン
Hyuku-Jai Lee
ヒュク−ジャイ リー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 非対称性ポリイミド分離膜を製造する際に、
相反転の効率を良くし、分離膜構造の調節を可能とし、
分離膜の耐溶媒性を向上させることができるようにす
る。 【解決手段】 ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬し、
相反転法で分離膜を製造し、この分離膜を高温でイミド
化させてポリイミド分離膜を製造する方法であって、上
記ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬する前に加熱処理
することによって部分的にイミド化させる。これによ
り、相反転法で分離膜を製造するのに要する時間を短縮
できるので、生産性を向上させることができる。また、
イミド化率を調節することにより膜の構造を非対称構造
に形成することができ、分離膜の耐溶媒性を向上させる
こともできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、相反転法(phase inve
rsion)による非対称性ポリイミド分離膜の製造方法に
関し、より詳しくは、相反転の効率が良く、分離膜構造
の調節が可能で、分離膜の耐溶媒性を向上させることの
できるポリイミド分離膜の製造方法に関する。
【0002】即ち、本発明は、耐溶媒性の優れたポリイ
ミド分離膜の生産性を高めると共に、膜製造のための高
分子溶液の物性の調節を通じて、製造される膜の構造を
予測、調節する方法を提供するものである。
【0003】
【従来の技術】今までに、様々な方法による高分子分離
膜の製造技術が知られており、その大部分の方法が貧溶
媒の相反転法に基礎を置いたものである。貧溶媒の相反
転法による高分子分離膜の製造方法は、米国特許3,133,
132号に示されるように、所望の高分子を適当な溶媒に
溶かして溶液を製造してから、この溶液をこの高分子に
対する貧溶媒に浸漬して平板形や糸板形の非対称性分離
膜を製造するというものである。
【0004】高分子分離膜を区分するには、いろいろな
方法があるが、その中で代表的な例が分離膜構造による
区分方法である。この方法によると、高分子分離膜は大
別して対称形と非対称形に区分し得る。前者は分離膜の
断面構造が縦断方向に均一となったものであり、後者は
そうではないものを意味する。
【0005】現在では、製造される大部分の分離膜が非
対称形構造のものである。気体−気体又は液体−液体の
分子単位からなる対象物を効果的に分離するために、選
択的な分離能力のある高分子素材を導入して選択的な分
離領域を作ることが行われている。
【0006】現在、高分子分離膜に対する開発及び研究
は、両方向、即ち、分離能力に優れた素材を開発する方
向と、実用に適合する構造を有する膜を製造する方向に
進んでいる。しかしながら実際には、相反転法を用いた
分離膜の製造に対する研究の大部分は、後者の方向で分
離膜の構造調節及び製造(生成)機構の解明を行ってい
ると言っても過言ではない。
【0007】分離しようとする流体と接する上部表面に
気孔が存在する非対称性の多孔質高分子分離膜は、その
使用範囲によって、大きく精密濾過(microfiltration)
用と限外濾過(ultrafiltration)用とに区分される。
【0008】精密濾過は、粒子のサイズが数μm以下で
あるコロイド性物質を分離する際に用いる方法である。
膜の分離工程の中で、精密濾過膜の細孔のサイズは比較
的に大きい方に属するので、主に分子のサイズによって
選択的に分離するために用いられている。
【0009】歴史的に見ると、精密濾過膜の歴史は、元
々商業的に用いられている透析膜(dialysis)の歴史の分
だけ長く、1846年のニトロセルロースの発見以来、引き
続き発展している。そして、今まで倦まず続いてきた精
密濾過膜の発展の速度は比較的鈍かったが、最近では、
多くの高分子物質が開発されることにより、生物学分野
における菌株の分離から飲用水の浄化に至るまでその用
途が激増したことに伴って、現在は急速に発展してい
る。
【0010】限外濾過(ultrafiltration)は、圧力差を
推進力とする膜分離法であって、原理上、膜の細孔のサ
イズと溶質のサイズとの差によって特定物質を分離する
方法であり、分子のサイズが0.005μmから0.5μm程度
の範囲にあるものを処理することができる。限外濾過が
実際に分離工程に用いられだしたのは、1970年代半ば以
降に優れた膜材料及び膜モジュールが開発された後のこ
とであって、現在その応用分野が急速に拡大している。
【0011】限外濾過膜は約10オングストロームから50
0オングストロームの範囲のサイズの細孔を有する。従
って、分子量300〜300,000程度の中分子量及び高分子量
を有する糖類、蛋白質等の生体物質、そして高分子物質
等の分離に主に用いられる。
【0012】貧溶媒の相反転法により非対称性分離膜を
製造する工程において、分離膜の素材である高分子は、
適切な溶媒に溶かすことができるものの中から選択しな
ければならない。今まで開発された非対称性高分子分離
膜は、このような溶媒に対して常用性のある高分子素材
からなるので、実際に分離に用いた場合には、その耐溶
媒性が問題となってその応用範囲が大きく制限されてし
まう。現在、精密濾過と限外濾過の分離膜は、大部分は
水中に存在する固形紛の分離に限定的に使われているだ
けである。
【0013】耐溶媒性分離膜は、大別して(1)及び
(2)の分野で要求されている。
【0014】(1) 分離膜工程は、有機溶媒に混合し
ている粒子を回収する分野(精密濾過或は限外濾過)や、
他の有機溶媒から有機溶媒を分離及び回収する分野(透
過、留去、蒸留)に広く応用されるであろうと考えられ
る。この場合、有機溶媒が分離膜の素材を変形させる可
能性がかなり高いため、耐溶媒性分離膜の開発は必須で
ある。
【0015】(2) 分離膜は、透過性能と機械的な性
質とを同時に向上させるために複合薄膜形態を取ること
が普通であり、多孔層支持膜と分離が実際に行なわれる
分離層とからなる。複合薄膜を製造するためには、ま
ず、多孔性支持膜を形成してから分離性能の優れた素材
を溶媒に溶解して(稀釈して)、支持膜の上にコーティ
ング等の方法を用いて薄く結合性のない分離層を形成す
る。しかるに、現在透過性の優れた分離膜素材はガラス
状の高分子に多く、代表的なものとしてはポリイミドや
ポリアミド、ポリフェニレンオキシド及びその誘導体等
が挙げられる。このような高分子は溶解性が低いため、
ある特定の溶媒のみに溶解する。もし、分離用素材の溶
媒が支持膜を溶かすか膨潤させる場合には、支持膜の構
造が変わって元の構造を維持できなくなるため、優れた
複合薄膜を製造することができない。もし、支持膜が優
れた耐溶媒性を有し、分離素材の溶媒が制限されない場
合には、多様な溶媒を使用することができるので、容易
に分離層をコーティングすることができる。
【0016】一方、ポリイミドは、分離膜素材として多
くの研究が行なわれており、透過性能の優れた素材が多
く開発され、分離層素材として脚光を浴びている。さら
に、耐溶媒性と耐熱性とが優れているので、支持膜の素
材としても非常に重要なものとなっている。しかし、多
くの種類のポリイミドは、適切な溶媒を発見できないた
め分離膜を製造することができないという問題がある。
【0017】ポリイミドの前駆体であるポリアミック酸
(polyamic acid:PAA)は、N-メチル-2-ピロリドン、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の一般的な
有機溶媒によく溶ける優れた溶解性を有しているので、
ポリアミック酸を適当な溶媒に溶かして分離膜の形態に
してから高温でイミド化させれば最終的な耐溶媒性分離
膜を製造することができる。しかしながら、ポリアミッ
ク酸は、最も普遍的に用いられる貧溶媒である水に対す
る親和力が高いため、相反転法で分離膜を製造する場合
には、高分子溶液の沈澱時間が長過ぎるために実用的で
はないという問題がある。
【0018】実際に、ポリアミック酸から分離膜を製造
する方法として次のような方法等が発表されている。
【0019】日本国特開昭49-45152号公報には、ポリア
ミック酸の溶液を支持体の上に薄くコーティングし、こ
れをイミド化させる物質(即ち脱水剤)が入っている沈澱
槽で相反転させてポリイミド分離膜を製造する方法が提
案されている。このとき用いられる脱水剤としては、低
級脂肪族酸と3次アミン等がある。この方法によれば、
ポリアミック酸溶液が相反転することによって膜が形成
されると共にイミド化が行なわれ、対応するポリイミド
を得ることができる。
【0020】米国特許第4,485,056号公報には、高分子
溶液を低級アルコールを含む水に浸漬し、相反転を経て
膜を製造する方法が記載されている。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の方法ではいずれも満足できる結果を得ることはできな
い。
【0022】また、上記のような従来の技術において
は、相反転に要する時間が0.1〜30時間かかり、これが
実際工程において膜を製造する際の相当な弱点として指
摘されている。
【0023】本発明は、相反転法によりポリイミド分離
膜を製造する際に、相反転するときのポリアミック酸溶
液の沈澱速度を早めて生産性を向上させ得る方法を提供
することを目的とする。さらに、本発明は、非対称形構
造を有すると共に耐溶媒性が優れたポリイミド分離膜の
製造方法を提供することを目的とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明は、相反転法によ
る非対称性ポリイミド分離膜の製造方法に関し、より詳
しくは、本発明は相反転の効率が良く、分離膜構造の調
節が可能であり、分離膜の耐溶媒性を向上させることの
できるポリイミド分離膜の製造方法に関するものであ
る。
【0025】本発明では、相反転時の高分子溶液の沈澱
速度を早めて膜の生産性を向上させ、膜に存在する気孔
等が互いに連結されるようにして膜の透過性能を向上さ
せてから、構造を固定化するために完全にイミド化させ
て、耐溶媒性と透過性能とを向上させた多孔性支持膜を
製造する。
【0026】沈澱速度を早める方法には、高分子溶液の
組成或いは貧溶媒の組成を変化させる方法もあるが、本
発明においては、ポリアミック酸のイミド化率を調節す
ることにより、沈澱速度を増加させて連結した気孔構造
を有する多孔性支持膜を製造する方法を採用する。
【0027】ポリアミック酸は、イミド化率に応じて良
溶媒及び貧溶媒との親和力が変化する。イミド化率が低
い場合には溶解性が優れ貧溶媒である水との親和性が良
いが、イミド化率が高ければ高いほど溶媒に対する溶解
度が低くなり、貧溶媒に対する親和度も低くなる。従っ
て、ポリアミック酸のイミド化率を予め調節して良溶媒
及び貧溶媒との相互作用を変化させれば、沈澱速度を増
加させることができるようになる。その結果得られた膜
は、気孔等が互いによく連結し、機械的強度が優れた支
持膜形態を有するようになる。その後、この膜を乾燥過
程において完全にイミド化すれば、耐溶媒性と耐熱性と
を有するだけでなく、透過性能も優れた多孔性支持膜を
製造することができる。
【0028】本発明は、ポリアミック酸溶液を貧溶媒に
浸漬して相反転法で分離膜を製造してから、これを高温
でイミド化させてポリイミド分離膜を製造する際に、上
記ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬させる前に加熱処
理することによって部分的にイミド化させることを特徴
とする。
【0029】より具体的には、本発明によれば、下記の
(a)〜(c)の工程によって非対称性ポリイミド分離膜を製
造することができる。 (a) 100℃〜150℃の温度でポリアミック酸溶液(固形粉
15重量%〜20重量%)を部分的にイミド化させる工程、(b)
部分的にイミド化させた上記ポリアミック酸溶液を貧
溶媒に浸漬し、相反転法によって非対称性ポリアミック
酸分離膜を製造する工程、及び、(c) 上記非対称性ポ
リアミック酸分離膜を200℃〜300℃の温度で処理するこ
とによって非対称性ポリイミド分離膜を製造する工程。
【0030】また、本発明によれば、下記の(a)〜(d)の
工程によっても非対称性ポリイミド分離膜を製造するこ
とができる。 (a) 100℃〜150℃の温度でポリアミック酸溶液(固形粉
15重量%〜20重量%)を部分的にイミド化させる工程、(b)
この部分的にイミド化させたポリアミック酸溶液を貧
溶媒に浸漬してポリアミック酸を析出させてから、この
析出物を再び良溶媒に溶かしてポリアミック酸溶液を製
造する工程、(c)このポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸
漬させ、相反転法によって非対称性ポリアミック酸分離
膜を製造する工程、及び、(d) この非対称性ポリアミ
ック酸分離膜を200℃〜300℃の温度で処理することによ
って非対称性ポリイミド分離膜を製造する工程。
【0031】即ち、本発明は以下のようなものを提供す
る。
【0032】(1) ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸
漬し、相反転法で分離膜を製造し、この分離膜を高温で
イミド化させてポリイミド分離膜を製造する方法におい
て、上記ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬する前に加
熱処理することによって部分的にイミド化させることを
特徴とする非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。
【0033】(2) 上記貧溶媒として、水又は低級ア
ルコールを含む溶媒を用いることを特徴とする上記
(1)記載の非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。
【0034】(3) 上記ポリアミック酸溶液として、
ポリアミック酸の含有量が15重量%〜20重量%程度である
溶液を用いることを特徴とする上記(1)又は(2)記
載の非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。
【0035】(4) 上記貧溶媒に浸漬する前にポリア
ミック酸溶液を100℃から150℃で加熱処理することを特
徴とする上記(1)〜(3)いずれか記載の非対称性ポ
リイミド分離膜の製造方法。
【0036】(5) 上記相反転法で製造した分離膜を
200℃〜300℃でイミド化させることを特徴とする上記
(1)〜(4)いずれか記載の非対称性ポリイミド分離
膜の製造方法。
【0037】(6) 下記の(a)〜(c)の工程を含むこと
を特徴とする非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。 (a) 100℃〜150℃の温度でポリアミック酸溶液(固形粉
15重量%〜20重量%)を部分的にイミド化させる工程、(b)
部分的にイミド化させた上記ポリアミック酸溶液を貧
溶媒に浸漬し、相反転法によって非対称性ポリアミック
酸分離膜を製造する工程、及び、(c) 上記非対称性ポ
リアミック酸分離膜を200℃〜300℃の温度で処理するこ
とによって非対称性ポリイミド分離膜を製造する工程。
【0038】(7) 下記の(a)〜(d)の工程を含むこと
を特徴とする非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。 (a) 100℃〜150℃の温度でポリアミック酸溶液(固形粉
15重量%〜20重量%)を部分的にイミド化させる工程、(b)
この部分的にイミド化させたポリアミック酸溶液を貧
溶媒に浸漬してポリアミック酸を析出させてから、この
析出物を再び良溶媒に溶かしてポリアミック酸溶液を製
造する工程、(c) このポリアミック酸溶液を貧溶媒に
浸漬し、相反転法によって非対称性ポリアミック酸分離
膜を製造する工程、及び、(d) この非対称性ポリアミ
ック酸分離膜を200℃〜300℃の温度で処理することによ
って非対称性ポリイミド分離膜を製造する工程。
【0039】(8) 上記良溶媒として、N-メチル-2-
ピロリドン、γ-ブチロラクトン又はこれらの混合溶液
を用いることを特徴とする上記(7)記載の非対称性ポ
リイミド分離膜の製造方法。
【0040】
【発明の実施の形態】以下、本発明による非対称膜の製
造方法を具体的に説明する。
【0041】まず、高分子溶液の総重量を基準として、
15重量%〜20重量%のポリアミック酸、特に、ピロメリト
酸二無水物[pyromellitic dianhydride(PMDA)]とジアニ
リン酸素[oxygendianiline(ODA)]とを化合させたポリア
ミック酸を含む高分子溶液を製造する。このとき、溶媒
としてはジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシ
ド、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン等を用
いる。
【0042】相反転法に用いる貧溶媒としては、水や低
級アルコール等があり、この中でも水を用いることがよ
り望ましい。貧溶媒の交換により相反転するときには、
ポリアミック酸溶液においては相反転にかかる時間がか
なり長いため、これが実際に分離膜を製造するときの大
きな問題点となる。従って、相反転速度を増加させるた
めに、ポリアミック酸溶液を、溶解度をあまり阻害しな
い程度(範囲)にまで溶液状態でイミド化させ、それか
ら貧溶媒の相反転法により分離膜を製造する。
【0043】溶液状態でイミド化させる場合には、イミ
ド化にかかる時間が増加すれば増加するほど相反転に要
する時間が短縮されたが、イミド化にかかる時間が120
分を超えると、ポリアミック酸がポリイミドに変化しな
がら粉末状となった沈澱物が形成された。一方、イミド
化の時間が長ければ長いほど、生成された膜は膜の断面
構造において巨大気孔の占める比率が漸次的に減少し、
イミド化の時間を最適化した場合には巨大気孔が完全に
無い膜を得ることができる。
【0044】ポリアミック酸溶液のイミド化は、100℃
〜150℃で10分〜120分間行なうことが望ましい。しか
し、本発明は、これらの温度及び時間に特に限定される
ものではない。一般的にイミド化率が高いと、貧溶媒と
の親和力が悪くなって相反転の時間が短縮される。
【0045】本発明によれば、部分的にイミド化した上
記ポリアミック酸溶液を即座に貧溶媒に浸漬して相反転
法によってポリアミック酸分離膜を製造することができ
る他、部分的にイミド化したポリアミック酸溶液を貧溶
媒に浸漬してポリアミック酸を析出させてから、この析
出物を再び良溶媒に溶解させて相反転法でポリアミック
酸分離膜を製造することもできる。このとき、良溶媒と
しては、N-メチル2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン或
いはこれらの混合溶液を用いる。
【0046】部分的にイミド化させたポリアミック酸溶
液を貧溶媒で析出させ、これを良溶媒であるN-メチル-2
-ピロリドンとγ-ブチロラクトンとの混合溶液に溶かし
て製造したポリアミック酸溶液を相反転させて分離膜を
製造した場合には、イミド化の時間を一定にすると、溶
液中のγ-ブチロラクトンの量が増加すれば増加するほ
ど気孔のサイズが減少した。
【0047】また、この場合には、分離膜の表面に緻密
な高分子層部分と下部の多孔性部分との両部分層を有す
る膜が得られる。高分子分離膜の場合、実際に分離を行
なう部分は上部の緻密な部分であり、本発明によれば、
ポリアミック酸の部分的なイミド化と共に良溶媒を用い
る場合には、このような分離能力を有する部分を一段階
のみの膜製造過程で得ることができる。
【0048】以上のように、相反転法で製造した非対称
性ポリアミック酸分離膜を高温でイミド化させてポリイ
ミド分離膜を製造する。このとき、200℃〜300℃で1時
間以上イミド化させることが望ましい。イミド化率が高
ければ高いほど耐溶媒性はより向上する。
【0049】
【実施例】以下、実施例を通じて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるも
のではない。
【0050】
【実施例1】デュポン社の製品(ピラリンPI 2808)であ
るポリアミック酸をN-メチル-2-ピロリドン溶媒に溶か
してポリアミック酸溶液を製造する。このとき、溶液中
の高分子の含量は16重量%である。上記ポリアミック酸
溶液を密閉容器に入れてから窒素雰囲気で120℃で30分
間イミド化させる。
【0051】部分的にイミド化させた上記ポリアミック
酸溶液をガードナーナイフ(Gardnerknife)を用いてガラ
ス板上に厚さ200μmの薄いフィルムを作り、これを貧
溶媒である水に浸漬して分離膜を製造する。製造したポ
リアミック酸膜を200℃の高温にて1.5時間で完全にイミ
ド化させて、非対称性ポリイミド分離膜を製造する。膜
の透過度は気泡流れ法で測定し、GPU [10-5cm3(STP)/
cm2・cmHg・sec]でその量を示した。このように製造し
た膜の構造及び透過性能を後の表3に示す。
【0052】
【実施例2、実施例3】ポリアミック酸溶液を部分イミ
ド化させるための加熱時間を、下記の表1に示すように
変更したことを除いて、実施例1と同一の工程及び条件
で非対称性ポリイミド分離膜を製造する。
【0053】膜の透過度は気泡流れ法で測定し、GPU
[10-5cm3(STP)/cm2・cmHg・sec]でその量を示した。こ
のように製造した膜の構造及び透過性能を後の表3に示
す。
【0054】
【表1】
【0055】
【実施例4】デュポン社の製品(ピラリンPI 2808)であ
るポリアミック酸をN-メチル-2-ピロリドン溶媒に溶か
してポリアミック酸溶液を製造する。このとき、溶液中
の高分子の含量は16重量%である。上記ポリアミック酸
溶液を密閉容器に入れてから窒素雰囲気で120℃で60分
間イミド化させる。
【0056】部分的にイミド化させた上記ポリアミック
酸溶液を水に沈澱させて部分的にイミド化させたポリア
ミック酸の高分子を析出させ、この析出物を70℃の真空
条件下で24時間乾燥させる。乾燥したイミド化させた析
出物をγ-ブチロラクトンとN-メチル-2-ピロリドンとを
95重量%:5重量%の割合で混合した混合溶媒に溶かして
分離膜製造用の高分子溶液を製造し、これを水に浸漬し
て貧溶媒の相反転法で非対称分離膜を製造する。膜の透
過度は気泡流れ法で測定し、GPU [10-5cm3(STP)/cm2
・cmHg・sec]でその量を示した。このように製造した膜
の構造及び透過性能を下記の表3に示す。
【0057】
【実施例5〜実施例7】ポリアミック酸溶液内の高分子
の含量(濃度)と部分的にイミド化させたポリアミック酸
の析出物を溶かす際に用いる良溶媒の混合比率を後の表
2に示すように変更したことを除いて、実施例4と同一
の工程及び条件で非対称性ポリアミド分離膜を製造す
る。
【0058】膜の透過度は気泡流れ法で測定し、GPU
[10-5cm3(STP)/cm2・cmHg・sec]でその量を示した。こ
のように製造した膜の構造及び透過性能を下記の表3に
示す。
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】実施例1で製造したポリイミド分離膜を30
0℃で1時間追加的にイミド化させてから、これに10重
量%のN-メチル-2-ピロリドンを含む1気圧の原液を供給
して25℃で12時間透過試験をした結果、透過度は23.2L
/m2・時間・気圧(L/m2・hr・atm)であり、60℃で12時
間透過試験した結果、透過度は51.7L/m2・時間・気圧
であった。
【0062】また、実施例7で製造したポリイミド分離
膜を上記と同様にして25℃で透過試験した結果、透過度
は14.1L/m2・時間・気圧であり、60℃で12時間透過試
験した結果、透過度は、24.7L/m2・時間・気圧であっ
た。
【0063】本発明の分離膜は耐溶媒性がとても優れた
ものである。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
相反転法で分離膜を製造するときポリアミック酸溶液が
貧溶媒に早く沈殿するので、生産性が向上する。また、
本発明によれば、イミド化率の調節と分離膜の構造とを
選択的に決定することができ、分離膜の耐溶媒性を優れ
たものとすることもできる。
【0065】製造した膜は一般的な膜分離工程の限界温
度を超えても用いられ得るものであり、本発明による方
法で製造した膜が支持膜として用いられる場合、分離素
材の溶媒に制限がないので多様な溶媒を使用することが
でき、容易に分離層をコーティングすることができる。
【0066】また、本発明によれば膜に優れた耐溶媒性
を持たせることができるので、製造した膜を、有機溶媒
が分離膜素材を変形させるおそれがある分離工程、即ち
有機溶媒と混合されている粒子を回収する分野(精密濾
過或は限外濾過)や、他の有機溶媒から有機溶媒を分離
回収する分野(透過、留去、蒸留)でも用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 79:08 C08L 79:08 (72)発明者 パーク ヒュン−チャエ 大韓民国 ソウル スンブク−グ ハウォ ルゴク−ドン 39−1 ケイアイエスティ ー−アパート エー−202 (72)発明者 ウォン ジョン−オク 大韓民国 ソウル スンブク−グ ハウォ ルゴク−ドン 39−1 ケイアイエスティ ー−アパート ビー−305 (72)発明者 リー ヒュク−ジャイ 大韓民国 キュンギ−ド ゴヤン−シティ イルサン−グ ジュイアップ−ドン ム ーンチョン−タウン 507−902 Fターム(参考) 4D006 GA06 GA07 MA25 MB02 MB13 MC58 NA10 NA40 NA63 4F074 AA71 AA74 CB31 CB34 CB43 CB44 CB45 CC04X CC04Z CC07X CC12Z CC29Y CC32X CC32Z DA08 DA10 DA13 DA15 DA20 DA59 4J043 PA19 RA34 YA06 YA13 ZA06 ZA12 ZA17 ZA31 ZB13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬し、
    相反転法で分離膜を製造し、この分離膜を高温でイミド
    化させてポリイミド分離膜を製造する方法において、 上記ポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬する前に加熱処
    理することによって部分的にイミド化させることを特徴
    とする非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記貧溶媒として、水又は低級アルコー
    ルを含む溶媒を用いることを特徴とする請求項1記載の
    非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記ポリアミック酸溶液として、ポリア
    ミック酸の含有量が15重量%から20重量%程度である溶液
    を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の非対称
    性ポリイミド分離膜の製造方法。
  4. 【請求項4】 上記貧溶媒に浸漬する前にポリアミック
    酸溶液を100℃から150℃で加熱処理することを特徴とす
    る請求項1から3いずれか記載の非対称性ポリイミド分
    離膜の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記相反転法で製造した分離膜を200℃
    から300℃でイミド化させることを特徴とする請求項1
    から4いずれか記載の非対称性ポリイミド分離膜の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 下記の(a)から(c)の工程を含むことを特
    徴とする非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。 (a) 100℃から150℃の温度でポリアミック酸溶液(固形
    粉15重量%から20重量%)を部分的にイミド化させる工
    程、 (b) 部分的にイミド化させた上記ポリアミック酸溶液
    を貧溶媒に浸漬し、相反転法によって非対称性ポリアミ
    ック酸分離膜を製造する工程、及び、 (c) 上記非対称性ポリアミック酸分離膜を200℃から30
    0℃の温度で処理することによって非対称性ポリイミド
    分離膜を製造する工程。
  7. 【請求項7】 下記の(a)から(d)の工程を含むことを特
    徴とする非対称性ポリイミド分離膜の製造方法。 (a) 100℃から150℃の温度でポリアミック酸溶液(固形
    粉15重量%から20重量%)を部分的にイミド化させる工
    程、 (b) この部分的にイミド化させたポリアミック酸溶液
    を貧溶媒に浸漬してポリアミック酸を析出させてから、
    この析出物を再び良溶媒に溶かしてポリアミック酸溶液
    を製造する工程、 (c) このポリアミック酸溶液を貧溶媒に浸漬し、相反
    転法によって非対称性ポリアミック酸分離膜を製造する
    工程、及び、 (d) この非対称性ポリアミック酸分離膜を200℃から30
    0℃の温度で処理することによって非対称性ポリイミド
    分離膜を製造する工程。
  8. 【請求項8】 上記良溶媒として、N-メチル-2-ピロリ
    ドン、γ-ブチロラクトン又はこれらの混合溶液を用い
    ることを特徴とする請求項7記載の非対称性ポリイミド
    分離膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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