JP2001204480A - 新規タンパク質およびそのdna - Google Patents

新規タンパク質およびそのdna

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JP2001204480A JP2000347107A JP2000347107A JP2001204480A JP 2001204480 A JP2001204480 A JP 2001204480A JP 2000347107 A JP2000347107 A JP 2000347107A JP 2000347107 A JP2000347107 A JP 2000347107A JP 2001204480 A JP2001204480 A JP 2001204480A
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淳 中西
Shigeru Morita
滋 森田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】新規タンパク質、それをコードするDNAなど
の提供。 【解決手段】新規タンパク質、該タンパク質をコードす
るDNA、該タンパク質の活性を促進または阻害する化
合物のスクリーニング方法など。 【効果】本発明のタンパク質およびそれをコードするD
NAは、例えば感染症などの疾病の治療・予防剤として
使用することができる。また、本発明のタンパク質は、
本発明のタンパク質の活性を促進もしくは阻害する化合
物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有
用である。さらに、本発明のタンパク質の活性を阻害す
る化合物は、例えば気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患など
の疾病の治療・予防剤として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、気管支喘息や慢性
閉塞性肺疾患などの診断マーカー、薬剤ターゲット、ま
たは感染症、免疫不全症などの治療薬、予防薬などとし
て有用な新規タンパク質およびそのDNAに関する。
【0002】
【従来の技術】気管支喘息は気道の慢性炎症性疾患であ
り、気道狭窄を示し、発作性の呼吸困難、喘鳴、咳など
の症状が見られる。その発症と進展には気道上皮細胞、
肥満細胞、好酸球、Tリンパ球などの多くの細胞が関与
している。気管支喘息の最も重要な特徴の1つは、気道
が刺激に対して反応しやすいこと(気道過敏性)であ
る。この気道過敏性は、好酸球など気道に浸潤した細胞
から分泌される化学伝達物質による気道上皮の剥離を中
心とする気道の炎症に起因するが、さらに、遺伝因子や
環境因子も複雑に影響していると考えられている。外界
からの刺激(アレルゲン、排気物)やウイルス感染によ
り気道の炎症反応の引き金が引かれると、気道上皮細胞
や気管支周辺の毛細血管内皮細胞上にVCAM-1やICAM-1な
どの接着分子が発現し[ジャーナル オブ アラジー
アンド クリニカル イムノロジー(J. Aller
gy Clin. Immunol.)、96巻、94
1項(1995)]、サイトカインや化学遊走物質が産
生される。気管支喘息の患者はTh2型のヘルパーT細
胞の機能が亢進しており、IL−3、IL−4、IL−
5、IL−13、GM−CSFなどのTh2型のサイト
カインやeotaxin、RANTESなどのケモカイ
ンの産生が増加する。IL−4やIL−13はIgEの
産生誘導作用があり、IL−3やIL−4は肥満細胞の
増殖誘導作用がある。さらに、IL−5、GM−CSF
などの作用により好酸球が分化増殖し、eotaxi
n、RANTESにより気道に浸潤してくる[アラジー
アンド アズマ プロシーディング(Allergy
Asthma Proc.)、20巻、141項(1
999)]。気管・気管支の粘膜を覆っている上皮細胞
は外界からの刺激が直接粘膜下組織に伝わるのを防ぐバ
リヤーの機能、分泌物や異物の排泄機能を持つだけでな
く、上皮由来平滑筋弛緩因子の分泌などによって気管の
収縮を制御している。気管支喘息患者の気道に浸潤して
きた好酸球は、活性化されMBP(主要塩基性蛋白)や
ECP(好酸球陽イオン蛋白)などの細胞内の顆粒蛋白
を脱顆粒により放出する[コンプリヘンシブ セラピー
(Compr. Ther.)、20巻、651項(1
994)]。これら顆粒蛋白の細胞傷害作用により上皮
細胞の剥離・損傷が起こる。上皮細胞の剥離は知覚神経
末端の露出、上皮透過性の亢進、上皮由来平滑筋弛緩因
子の喪失につながる。また、好酸球が産生するロイコト
リエンC4(LTC4)や血小板活性化因子(PAF)
は気管支平滑筋の緊張を亢進する。以上のような変化が
繰り返されて慢性化すると、気管支壁が肥厚し、気道過
敏性につながると考えられる。
【0003】以上のように、気道の炎症に伴って上述し
たサイトカインや接着分子の遺伝子の発現が上昇するこ
とが知られているが、肺・気管支の病変部位に発現が限
局し気道過敏性の成立と関連がある遺伝子の変動を体系
的に解析した報告はない。一方、ガウチャー病患者血漿
中にキチン分解酵素活性が検出され[ジャーナルオブ
クリニカルインベスティゲーション(J. Clin.
Invest.)、第93巻、1288頁(199
4)]、ほ乳類で唯一のキチン分解酵素として精製[ジ
ャーナル オブ バイオロジカルケミストリー(J.
Biol.Chem.)、第270巻、2198頁(1
995)]・クローニング[ジャーナル オブ バイオ
ロジカルケミストリー(J. Biol. Che
m.)、第270巻、26252頁(1995)]さ
れ、疾患マーカーとなっているが、気管支喘息とキチン
分解酵素の関連は報告されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、気道過敏性
が亢進した肺・気管支において発現が上昇する新規なタ
ンパク質またはその塩、部分ペプチドまたはその塩、シ
グナルペプチド、該タンパク質、部分タンパク質または
シグナルペプチドをコードするDNA、組換えベクター、
形質転換体、該タンパク質の製造法、該タンパク質また
はDNAを含有してなる医薬、該タンパク質に対する抗
体、該タンパク質の発現を抑制または促進する化合物の
スクリーニング方法、該タンパク質の活性を抑制または
促進する化合物のスクリーニング方法、該スクリーニン
グ方法で得られる化合物などを提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、マウス喘息
モデルの肺・気管支において発現が顕著に増加する遺伝
子を見出した。さらに、この遺伝子の塩基配列を基に、
ヒト胃cDNAライブラリーから新規な塩基配列を有す
るcDNAをクローニングすることに成功し、それにコ
ードされるタンパク質がキチン分解酵素のファミリーに
属することを見出した。本発明者らは、これらの知見に
基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成する
に至った。
【0006】すなわち、本発明は、(1)配列番号:1
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有するタンパク質またはその塩、
(2)上記(1)記載のタンパク質の部分ペプチドまた
はその塩、(3)配列番号:2で表わされるアミノ酸配
列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する
シグナルペプチドまたはその塩、(4)上記(1)記載
のタンパク質または上記(2)記載の部分ペプチドをコ
ードするDNAを含有するDNA、(5)配列番号:3
で表わされる塩基配列を有する上記(4)記載のDN
A、(6)上記(3)記載のシグナルペプチドをコード
するDNAを含有するDNA、(7)配列番号:4で表
わされる塩基配列を有する上記(6)記載のDNA、
(8)上記(4)記載のDNAを含有する組換えベクタ
ー、(9)上記(8)記載の組換えベクターで形質転換
された形質転換体、(10)上記(9)記載の形質転換
体を培養し、上記(1)記載のタンパク質または上記
(2)記載の部分ペプチドを生成、蓄積せしめ、これを
採取することを特徴とする上記(1)記載のタンパク質
もしくは上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の
製造法、(11)上記(1)記載のタンパク質もしくは
上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩を含有して
なる医薬、(12)上記(4)記載のDNAを含有して
なる医薬、(13)上記(1)記載のタンパク質もしく
は上記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩に対する
抗体、(14)上記(1)記載のタンパク質もしくは上
記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩を用いること
を特徴とする、上記(1)記載のタンパク質もしくは上
記(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進
または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方
法、(15)上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(2)記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してな
る、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記(2)記
載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害
する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(16)上記(14)記載のスクリーニング方法または
上記(15)記載のスクリーニング用キットを用いて得
られる、上記(1)記載のタンパク質もしくは上記
(2)記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進ま
たは阻害する化合物またはその塩、(17)上記(1
4)記載のスクリーニング方法または上記(15)記載
のスクリーニング用キットを用いて得られる上記(1)
記載のタンパク質もしくは上記(2)記載の部分ペプチ
ドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合物また
はその塩を含有してなる医薬、(18)配列番号:18
で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一
のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくはその部分
ペプチドまたはその塩を用いることを特徴とする、配列
番号:18で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合
物またはその塩のスクリーニング方法、(19)配列番
号:18で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質
的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩を含有してなる、配列番
号:18で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質
的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしくは
その部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合物
またはその塩のスクリーニング用キット、(20)上記
(18)記載のスクリーニング方法または上記(19)
記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、配列
番号:18で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質もしく
はその部分ペプチドまたはその塩の活性を阻害する化合
物またはその塩、(21)上記(20)記載の化合物ま
たはその塩を含有してなる医薬、などに関する。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明の配列番号:1で表わされ
るアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸
配列を含有するタンパク質(以下、本発明のタンパク質
Iと称することもある)または本発明で用いられる配列
番号:18で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を含有するタンパク質(以
下、タンパク質IIと称することもある)は、ヒトや温
血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワト
リ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞
(例えば、肝細胞、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵
臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハン
ス細胞、表皮細胞、上皮細胞、杯細胞、内皮細胞、平滑
筋細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免
疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュ
ラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸
球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨
芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細
胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン
細胞など)もしくはそれらの細胞が存在するあらゆる組
織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳
基底球、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小
脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、
甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管
(例、大腸、小腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下
腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関
節、骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、
合成タンパク質であってもよい。
【0008】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1で
表わされるアミノ酸配列と約80%以上、好ましくは約
90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有
するアミノ酸配列などが挙げられる。本発明の配列番
号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質としては、例えば、前記
の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と実質的に同
一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質の性質を
有するタンパク質などが好ましい。実質的に同質の性質
としては、例えば、肺・気管支における発現パターンや
発現時期、キチン分解酵素活性などが挙げられる。実質
的に同質とは、それらの性質が定性的に同質であること
を示す。したがって、肺・気管支における発現パターン
や時期またはキチン分解酵素活性が同等であることが好
ましいが、これらの性質の程度、タンパク質の分子量な
どの量的要素は異なっていてもよい。
【0009】また、本発明のタンパク質Iとしては、例
えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1
または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好まし
くは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)
個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:
1で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ま
しくは、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、
さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加し
たアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸
配列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程
度、好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列中の1または
2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1
〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のア
ミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、また
はそれらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタン
パク質などのいわゆるムテインも含まれる。
【0010】配列番号:18で表わされるアミノ酸配列
と実質的に同一のアミノ酸配列としては、配列番号:1
8で表わされるアミノ酸配列と約80%以上、好ましく
は約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性
を有するアミノ酸配列などが挙げられる。配列番号:1
8で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸
配列を含有するタンパク質としては、例えば、前記の配
列番号:18で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一
のアミノ酸配列を有し、配列番号:18で表わされるア
ミノ酸配列を有するタンパク質と実質的に同質の性質を
有するタンパク質などが好ましい。実質的に同質の性質
としては、例えば、肺・気管支における発現パターンや
発現時期などが挙げられる。実質的に同質とは、それら
の性質が定性的に同質であることを示す。したがって、
肺・気管支における発現パターンや時期が同等であるこ
とが好ましいが、これらの性質の程度、タンパク質の分
子量などの量的要素は異なっていてもよい。
【0011】また、タンパク質IIとしては、例えば、
配列番号:18で表わされるアミノ酸配列中の1また
は2個以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは
1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)の
アミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:18で
表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(好ましく
は、1〜30個程度、好ましくは1〜10個程度、さら
に好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加したア
ミノ酸配列、配列番号:18で表わされるアミノ酸配
列に1または2個以上(好ましくは、1〜30個程度、
好ましくは1〜10個程度、さらに好ましくは数(1〜
5)個)のアミノ酸が挿入されたアミノ酸配列、配列
番号:18で表わされるアミノ酸配列中の1または2個
以上(好ましくは、1〜30個程度、好ましくは1〜1
0個程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ
酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または
それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク
質などのいわゆるムテインも含まれる。
【0012】本明細書におけるタンパク質は、ペプチド
標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端
がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1ま
たは配列番号:18で表わされるアミノ酸配列を含有す
るタンパク質をはじめとする、本発明のタンパク質Iま
たはタンパク質IIは、C末端が通常カルボキシル基
(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)で
あるが、C末端がアミド(−CONH2)またはエステ
ル(−COOR)であってもよい。ここでエステルにお
けるRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピ
ル、イソプロピル、n−ブチルなどのC1-6アルキル
基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC
3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチ
ルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネ
チルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナ
フチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基な
どのC7-14アラルキル基、ピバロイルオキシメチル基な
どが用いられる。本発明のタンパク質Iまたはタンパク
質IIがC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキ
シレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド
化またはエステル化されているものも本発明のタンパク
質Iまたはタンパク質IIに含まれる。この場合のエス
テルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが
用いられる。さらに、本発明のタンパク質Iには、N末
端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が
保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6
アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されて
いるもの、生体内で切断されて生成するN末端のグルタ
ミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミ
ノ酸の側鎖上の置換基(例えば−OH、−SH、アミノ
基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基な
ど)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基
などのC1-6アルカノイル基などのC1-6アシル基など)
で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆ
る糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
本発明のタンパク質Iの具体例としては、例えば、配列
番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するヒト胃由
来のタンパク質などがあげられる。また、タンパク質I
Iの具体例としては、例えば、配列番号:18で表わさ
れるアミノ酸配列を含有するマウス由来のタンパク質な
どがあげられる。
【0013】本発明の配列番号:1で表わされるアミノ
酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含
有するタンパク質には、例えば、前記した本発明のタン
パク質IのN末端または(および)C末端に1個または
2個以上、好ましくは1〜200個程度、より好ましく
は1〜100個程度、さらに好ましくは1〜50個程度
のアミノ酸が結合した前駆体タンパク質(以下、本発明
の前駆体タンパク質Iと略記する場合もある)も含まれ
る。本発明の前駆体タンパク質Iは、例えば、上記した
ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウ
ス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルな
ど)の細胞またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織
などに由来するタンパク質であってもよく、合成タンパ
ク質であってもよい。また、本発明の前駆体タンパク質
Iは、前記した本発明のタンパク質Iを生成し得るタン
パク質であれば何れのものであってもよい。したがっ
て、タンパク質の分子量などの量的要素は異なっていて
もよい。
【0014】また、本発明の前駆体タンパク質IはC末
端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキ
シレート(−COO-)であるが、前記した本発明のタ
ンパク質Iのごとく、C末端がアミド(−CONH2
またはエステル(−COOR)であってもよい。
【0015】さらに、本発明の前駆体タンパク質Iに
は、前記した本発明のタンパク質Iと同様に、C末端以
外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有し
ている場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル
化されているもの、N末端のアミノ酸残基(例、メチオ
ニン残基)のアミノ基が保護基で保護されているもの、
N端側が生体内で切断され生成したグルタミン残基がピ
ログルタミン酸化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上
の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるい
は糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タン
パク質なども含まれる。本発明の前駆体タンパク質Iの
具体例としては、例えば、配列番号:1で表わされるア
ミノ酸配列を含有する本発明のタンパク質IのN末端
に、後述する配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を
含有する本発明のシグナルペプチドが結合したタンパク
質(すなわち、配列番号:5で表わされるアミノ酸配列
を含有するタンパク質)などがあげられる。例えば、後
述するシグナルペプチドを有する本発明の前駆体タンパ
ク質Iは、本発明のタンパク質Iを効率よく細胞外に分
泌させることができる。また、本発明のタンパク質Iを
製造するための中間体として有用である。さらに、本発
明の前駆体タンパク質は、本発明のタンパク質Iと同様
の活性を発揮し得るので、本発明のタンパク質Iと同様
に使用することができる。
【0016】配列番号:18で表わされるアミノ酸配列
と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有する
タンパク質には、例えば、前記したタンパク質IIのN
末端または(および)C末端に1個または2個以上、好
ましくは1〜200個程度、より好ましくは1〜100
個程度、さらに好ましくは1〜50個程度のアミノ酸が
結合した前駆体タンパク質(以下、本発明の前駆体タン
パク質IIと略記する場合もある)も含まれる。前駆体
タンパク質IIは、例えば、上記したヒトや温血動物
(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウ
サギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、サルなど)の細胞またはそ
れらの細胞が存在するあらゆる組織などに由来するタン
パク質であってもよく、合成タンパク質であってもよ
い。また、前駆体タンパク質IIは、前記したタンパク
質IIを生成し得るタンパク質であれば何れのものであ
ってもよい。したがって、タンパク質の分子量などの量
的要素は異なっていてもよい。
【0017】また、前駆体タンパク質IIはC末端が通
常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレー
ト(−COO-)であるが、前記したタンパク質IIの
ごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエステ
ル(−COOR)であってもよい。
【0018】さらに、前駆体タンパク質IIには、前記
したタンパク質IIと同様に、C末端以外にカルボキシ
ル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カ
ルボキシル基がアミド化またはエステル化されているも
の、N末端のアミノ酸残基(例、メチオニン残基)のア
ミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内
で切断され生成したグルタミン残基がピログルタミン酸
化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当
な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合し
たいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含
まれる。前駆体タンパク質IIの具体例としては、例え
ば、配列番号:18で表わされるアミノ酸配列を含有す
るタンパク質IIのN末端に、シグナルペプチドが結合
したタンパク質(すなわち、配列番号:17で表わされ
るアミノ酸配列を含有するタンパク質)などがあげられ
る。例えば、シグナルペプチド(配列番号:17で表わ
されるアミノ酸配列の第1〜21番目のアミノ酸残基)
を有する前駆体タンパク質IIは、タンパク質IIを効
率よく細胞外に分泌させることができる。また、タンパ
ク質IIを製造するための中間体として有用である。さ
らに、前駆体タンパク質IIは、タンパク質IIと同様
の活性を発揮し得るので、タンパク質IIと同様に使用
することができる。
【0019】本発明のタンパク質Iの部分ペプチド(以
下、本発明の部分ペプチドIと略記する場合もある)と
しては、前記した本発明のタンパク質Iの部分ペプチド
であって、好ましくは、前記した本発明のタンパク質I
と同様の性質を有するものであればいずれのものでもよ
い。例えば、本発明のタンパク質Iの構成アミノ酸配列
のうち少なくとも20個以上、好ましくは50個以上、
さらに好ましくは70個以上、より好ましくは100個
以上、最も好ましくは200個以上のアミノ酸配列を有
するペプチドなどが用いられる。また、本発明の部分ペ
プチドIは、そのアミノ酸配列中の1または2個以上
(好ましくは、1〜10個程度、さらに好ましくは数
(1〜5)個)のアミノ酸が欠失し、または、そのアミ
ノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜20個
程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ましく
は数(1〜5)個)のアミノ酸が付加し、または、その
アミノ酸配列に1または2個以上(好ましくは、1〜2
0個程度、より好ましくは1〜10個程度、さらに好ま
しくは数(1〜5)個)のアミノ酸が挿入され、また
は、そのアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましく
は、1〜10個程度、より好ましくは数個、さらに好ま
しくは1〜5個程度)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換
されていてもよい。
【0020】また、本発明の部分ペプチドIはC末端が
通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレ
ート(−COO-)であるが、前記した本発明のタンパ
ク質Iのごとく、C末端がアミド(−CONH2)また
はエステル(−COOR)であってもよい。さらに、本
発明の部分ペプチドIには、前記した本発明のタンパク
質Iと同様に、C末端以外にカルボキシル基(またはカ
ルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基が
アミド化またはエステル化されているもの、N末端のア
ミノ酸残基(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基
で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成
したグルタミン残基がピログルタミン酸化したもの、分
子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護
されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペ
プチドなどの複合ペプチドなども含まれる。本発明の部
分ペプチドIは抗体作成のための抗原としても用いるこ
とができる。
【0021】タンパク質IIの部分ペプチド(以下、部
分ペプチドIIと略記する場合もある)としては、前記
したタンパク質IIの部分ペプチドであって、好ましく
は、前記したタンパク質IIと同様の性質を有するもの
であればいずれのものでもよい。例えば、タンパク質I
Iの構成アミノ酸配列のうち少なくとも20個以上、好
ましくは50個以上、さらに好ましくは70個以上、よ
り好ましくは100個以上、最も好ましくは200個以
上のアミノ酸配列を有するペプチドなどが用いられる。
また、部分ペプチドIIは、そのアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜10個程度、さらに好
ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が欠失し、また
は、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好ましく
は、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個程度、
さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が付加
し、または、そのアミノ酸配列に1または2個以上(好
ましくは、1〜20個程度、より好ましくは1〜10個
程度、さらに好ましくは数(1〜5)個)のアミノ酸が
挿入され、または、そのアミノ酸配列中の1または2個
以上(好ましくは、1〜10個程度、より好ましくは数
個、さらに好ましくは1〜5個程度)のアミノ酸が他の
アミノ酸で置換されていてもよい。
【0022】また、部分ペプチドIIはC末端が通常カ
ルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート
(−COO-)であるが、前記したタンパク質IIのご
とく、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル
(−COOR)であってもよい。さらに、部分ペプチド
IIには、前記した本発明のタンパク質IIと同様に、
C末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレー
ト)を有している場合、カルボキシル基がアミド化また
はエステル化されているもの、N末端のアミノ酸残基
(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタ
ミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミ
ノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されている
もの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなど
の複合ペプチドなども含まれる。部分ペプチドIIは抗
体作成のための抗原としても用いることができる。
【0023】本発明のシグナルペプチドは、例えば、配
列番号:2で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実
質的に同一のアミノ酸配列を有するペプチド(以下、本
発明のシグナルペプチドIと略記する場合もある)など
が用いられる。本発明のシグナルペプチドIは、例え
ば、上記したヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラ
ット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウ
シ、サルなど)の細胞またはそれらの細胞が存在するあ
らゆる組織などに由来するペプチドであってもよく、合
成ペプチドであってもよい。配列番号:2で表わされる
アミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列と約70%以
上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%
以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するア
ミノ酸配列などが挙げられる。より具体的には、配列番
号:2で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミ
ノ酸配列を有し、シグナルペプチドとしての機能を発揮
し得るペプチドであれば何れのものであってもよい。し
たがって、タンパク質の分子量などの量的要素は異なっ
ていてもよい。
【0024】また、本発明のシグナルペプチドIは、そ
のアミノ酸配列中の1または2個以上(好ましくは、1
〜10個程度、好ましくは1〜5個、さらに好ましくは
1〜3個)のアミノ酸が欠失し、または、そのアミノ酸
配列に1または2個以上(好ましくは、1〜10個程
度、好ましくは1〜5個程度、さらに好ましくは1〜3
個)のアミノ酸が付加し、または、そのアミノ酸配列に
1または2個以上(好ましくは、1〜10個程度、好ま
しくは1〜5個程度、さらに好ましくは1〜3個)のア
ミノ酸が挿入され、または、そのアミノ酸配列中の1ま
たは2個以上(好ましくは、1〜10個程度、好ましく
は1〜5個程度、さらに好ましくは1〜3個)のアミノ
酸が他のアミノ酸で置換されていてもよい。また、本発
明のシグナルペプチドIはC末端が通常カルボキシル基
(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-
であるが、前記した本発明のタンパク質Iのごとく、C
末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−CO
OR)であってもよい。さらに、本発明のシグナルペプ
チドIには、前記した本発明のタンパク質Iと同様に、
C末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレー
ト)を有している場合、カルボキシル基がアミド化また
はエステル化されているもの、N末端のアミノ酸残基
(例、メチオニン残基)のアミノ基が保護基で保護され
ているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタ
ミン残基がピログルタミン酸化したもの、分子内のアミ
ノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されている
もの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなど
の複合ペプチドなども含まれる。本発明のシグナルペプ
チドIの具体例としては、例えば、配列番号:5で表わ
されるアミノ酸配列を有する本発明の前駆体タンパク質
Iから、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有す
る本発明のタンパク質Iを取り除いた、配列番号:2で
表わされるアミノ酸配列を含有するペプチドなどが用い
られる。本発明のシグナルペプチドIは、本発明のタン
パク質Iをはじめとする、種々の細胞外分泌タンパク質
を効率よく細胞外に分泌させることができる。
【0025】本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質
I、部分ペプチドIもしくはシグナルペプチドIまたは
タンパク質II、前駆体タンパク質IIもしくは部分ペ
プチドIIの塩としては、生理学的に許容される酸
(例、無機酸、有機酸)や塩基(例、アルカリ金属塩)
などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される
酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無
機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との
塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン
酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン
酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。本発明の
タンパク質I、前駆体タンパク質I、部分ペプチドI、
タンパク質II、前駆体タンパク質II、部分ペプチド
IIまたはその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞ま
たは組織から自体公知のタンパク質の精製方法によって
製造することもできるし、それらのタンパク質またはペ
プチドをコードするDNAを含有する形質転換体を培養
することによっても製造することができる。また、後述
のペプチド合成法に準じて製造することもできる。ヒト
や哺乳動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや
哺乳動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸な
どで抽出を行ない、該抽出液を逆相クロマトグラフィ
ー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラ
フィーを組み合わせることにより精製単離することがで
きる。
【0026】本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質
I、部分ペプチドI、シグナルペプチドI、タンパク質
II、前駆体タンパク質II、部分ペプチドIIもしく
はその塩、またはそのアミド体の合成には、通常市販の
タンパク質合成用樹脂を用いることができる。そのよう
な樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキ
シメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチ
ル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、
4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−
ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹
脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシ
フェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−
(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェ
ノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂
を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したア
ミノ酸を、目的とするタンパク質またはペプチドの配列
通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合
させる。反応の最後に樹脂からタンパク質またはペプチ
ドを切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希
釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、
目的のタンパク質もしくはペプチドまたはそのアミド体
を取得する。上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、
タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いるこ
とができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボ
ジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカルボ
ジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)カ
ルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化に
はラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)ととも
に保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸
無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとし
てあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なった後に樹脂
に添加することができる。
【0027】保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用
いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しう
ることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド,N,N−ジメチル
アセトアミド,N−メチルピロリドンなどの酸アミド
類、塩化メチレン,クロロホルムなどのハロゲン化炭化
水素類、トリフルオロエタノールなどのアルコール類、
ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、ピリジ
ン,ジオキサン,テトラヒドロフランなどのエーテル
類、アセトニトリル,プロピオニトリルなどのニトリル
類、酢酸メチル,酢酸エチルなどのエステル類あるいは
これらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタ
ンパク質結合形成反応に使用され得ることが知られてい
る範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範
囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は
通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応
を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基
の脱離を行なうことなく縮合反応を繰り返すことにより
十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても
十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセ
チルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化
することによって、後の反応に影響を与えないようにす
ることができる。
【0028】原料のアミノ基の保護基としては、例え
ば、Z、Boc、t−ペンチルオキシカルボニル、イソボ
ルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシ
カルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニ
ル、トリフルオロアセチル、フタロイル、ホルミル、2
−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノ
チオイル、Fmocなどが用いられる。カルボキシル基は、
例えば、アルキルエステル化(例えば、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、t−ブチル、シクロペンチル、
シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2
−アダマンチルなどの直鎖状、分枝状もしくは環状アル
キルエステル化)、アラルキルエステル化(例えば、ベ
ンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メ
トキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステ
ル、ベンズヒドリルエステル化)、フェナシルエステル
化、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド化、t−ブト
キシカルボニルヒドラジド化、トリチルヒドラジド化な
どによって保護することができる。セリンの水酸基は、
例えば、エステル化またはエーテル化によって保護する
ことができる。このエステル化に適する基としては、例
えば、アセチル基などの低級(C1-6)アルカノイル
基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカ
ルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭酸から誘導
される基などが用いられる。また、エーテル化に適する
基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニ
ル基、t-ブチル基などである。チロシンのフェノール性
水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−
ニトロベンジル、Br-Z、t−ブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、
Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニ
ル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmoc
などが用いられる。
【0029】原料のカルボキシル基の活性化されたもの
としては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エ
ステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノー
ル、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノ
ール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノー
ル、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタ
ルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原
料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対
応するリン酸アミドが用いられる。保護基の除去(脱
離)方法としては、例えば、Pd−黒あるいはPd-炭
素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、
また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオ
ロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれら
の混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルア
ミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなど
による塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによ
る還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応
は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、
酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、
チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジ
メチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタン
ジチオールなどのようなカチオン捕捉剤の添加が有効で
ある。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用
いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理
により除去され、トリプトファンのインドール保護基と
して用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオー
ル、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による
脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニア
などによるアルカリ処理によっても除去される。
【0030】原料の反応に関与すべきでない官能基の保
護ならびに保護基、およびその保護基の脱離、反応に関
与する官能基の活性化などは公知の基または公知の手段
から適宜選択しうる。目的とするタンパク質もしくはペ
プチドのアミド体を得る別の方法としては、例えば、ま
ず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をア
ミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(タンパ
ク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖の
N末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク質
もしくはペプチドとC末端のカルボキシル基の保護基の
みを除去したタンパク質もしくはペプチドとを製造し、
この両タンパク質またはペプチドを上記したような混合
溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と
同様である。縮合により得られた保護タンパク質もしく
はペプチドを精製した後、上記方法によりすべての保護
基を除去し、所望の粗タンパク質またはペプチドを得る
ことができる。この粗タンパク質またはペプチドは既知
の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥
することで所望のタンパク質もしくはペプチドのアミド
体を得ることができる。目的とするタンパク質もしくは
ペプチドのエステル体を得るには、例えば、カルボキシ
末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール
類と縮合しアミノ酸エステルとした後、タンパク質もし
くはペプチドのアミド体と同様にして、所望のタンパク
質もしくはペプチドのエステル体を得ることができる。
【0031】本発明の部分ペプチドI、シグナルペプチ
ドIもしくは部分ペプチドまたはその塩は、自体公知の
ペプチドの合成法に従って、あるいは本発明のタンパク
質I、前駆体タンパク質I、タンパク質Iまたは前駆体
タンパク質IIを適当なペプチダーゼで切断することに
よって製造することができる。ペプチドの合成法として
は、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによって
も良い。すなわち、本発明の部分ペプチドまたはシグナ
ルペプチドを構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸
と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合
は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造す
ることができる。公知の縮合方法や保護基の脱離として
は、例えば、以下の〜に記載された方法が挙げられ
る。 M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シン
セシス (Peptide Synthesis), Interscience Publisher
s, New York (1966年) SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptid
e), Academic Press, NewYork (1965年) 泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株)
(1975年) 矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タン
パク質の化学IV、 205、(1977年) 矢島治明監修、続医薬品の開発、第14巻、ペプチド合
成、広川書店 また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留
・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー
・再結晶などを組み合わせて本発明のタンパク質または
ペプチドを精製単離することができる。上記方法で得ら
れるタンパク質またはペプチドが遊離体である場合は、
公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩
に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、
公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体ま
たは他の塩に変換することができる。
【0032】本発明のタンパク質Iまたはタンパク質I
IをコードするDNAとしては、前述した本発明のタン
パク質Iまたはタンパク質IIをコードする塩基配列を
含有するものであればいかなるものであってもよい。ま
た、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記し
た細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来
のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよ
い。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオフ
ァージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいず
れであってもよい。また、前記した細胞・組織よりtota
lRNAまたはmRNA画分を調製したものを用いて直
接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction
(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅する
こともできる。
【0033】本発明のタンパク質IをコードするDNA
としては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配列
を含有するDNA、または配列番号:3で表わされる塩
基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下
でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明のタンパ
ク質Iと実質的に同質の性質を有するタンパク質をコー
ドするDNAであれば何れのものでもよい。タンパク質
IIをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:
14で表わされる塩基配列において第72〜1142番
目の塩基配列を含有するDNA、または配列番号:14
で表わされる塩基配列において第72〜1142番目の
塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件
下でハイブリダイズする塩基配列を有し、タンパク質I
Iと実質的に同質の性質を有するタンパク質をコードす
るDNAであれば何れのものでもよい。配列番号:3で
表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、
例えば、配列番号:3で表わされる塩基配列と約80%
以上、好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95
%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなど
が用いられる。配列番号:14で表わされる塩基配列に
おいて第72〜1142番目の塩基配列を有するDNA
とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズでき
るDNAとしては、例えば、配列番号:14で表わされ
る塩基配列において第72〜1142番目の塩基配列と
約80%以上、好ましくは約90%以上、最も好ましく
は約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するD
NAなどが用いられる。ハイブリダイゼーションは、自
体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレ
キュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd
(J. Sambrook etal., Cold Spring Harbor Lab. Pres
s, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができ
る。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の
使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って
行なうことができる。ハイストリンジェントな条件と
は、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ま
しくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好
ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウ
ム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ま
しい。より具体的には、配列番号:1で表わされるアミ
ノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAとし
ては、配列番号:3で表わされる塩基配列を有するDN
Aを含有するDNAなどが用いられる。配列番号:18
で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコード
するDNAとしては、より具体的には、配列番号:14
で表わされる塩基配列において第72〜1142番目の
塩基配列を有するDNAを含有するDNAなどが用いら
れる。
【0034】本発明の前駆体タンパク質Iまたは前駆体
タンパク質IIをコードするDNAとしては、前述した
本発明の前駆体タンパク質Iまたは前駆体タンパク質I
Iをコードする塩基配列を含有するものであればいかな
るものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムD
NAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDN
A、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、
合成DNAのいずれでもよい。本発明の前駆体タンパク
質IをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:
16で表わされる塩基配列を有するDNA、または配列
番号:16で表わされる塩基配列を有するDNAとハイ
ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配
列を有し、前記した本発明のタンパク質Iを生成し得る
タンパク質をコードするDNAなどが用いられる。
【0035】前駆体タンパク質IIをコードするDNA
としては、例えば、配列番号:14で表わされる塩基配
列において第9〜1142番目の塩基配列を含有するD
NA,または配列番号:14で表わされる塩基配列にお
いて第9〜1142番目の塩基配列を有するDNAとハ
イストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基
配列を有し、タンパク質IIを生成し得るタンパク質を
コードするDNAなどがあげられる。配列番号:16で
表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、
例えば、配列番号:16で表わされる塩基配列と約80
%以上、好ましくは約90%以上、最も好ましくは約9
5%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAな
どが用いられる。配列番号:14で表わされる塩基配列
において第9〜1142番目の塩基配列を有するDNA
とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする
DNAとしては、例えば、配列番号:14で表わされる
塩基配列において第9〜1142番目の塩基配列と約8
0%以上、好ましくは約90%以上、最も好ましくは約
95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNA
などが用いられる。ハイブリダイゼーションの方法およ
びハイストリンジェントな条件は前記と同様のものが用
いられる。より具体的には、配列番号:5で表わされる
アミノ酸配列を含有する本発明の前駆体タンパク質Iを
コードするDNAとしては、配列番号:16で表わされ
る塩基配列を有するDNAを含有するDNAなどが用い
られる。また、配列番号:17で表わされるアミノ酸配
列を有する前駆体タンパク質IIをコードするDNAと
しては、より具体的には、配列番号:14で表わされる
塩基配列において第9〜1142番目の塩基配列を有す
るDNAを含有するDNAなどが用いられる。
【0036】本発明の部分ペプチドIまたは部分ペプチ
ドIIをコードするDNAとしては、前述した本発明の
部分ペプチドIまたは部分ペプチドIIをコードする塩
基配列を含有するものであればいかなるものであっても
よい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリ
ー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞
・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいず
れでもよい。本発明の部分ペプチドIをコードするDN
Aとしては、例えば、配列番号:3で表わされる塩基配
列の一部分を有するDNA、または配列番号:3で表わ
される塩基配列を有するDNAとハイストリンジェント
な条件下でハイブリダイズする塩基配列を有し、本発明
のタンパク質Iと実質的に同質の活性を有するタンパク
質をコードするDNAの一部分を有するDNAなどが用
いられる。配列番号:3で表わされる塩基配列を有する
DNAとハイブリダイズできるDNAは、前記と同意義
を示す。部分ペプチドIIをコードするDNAとして
は、例えば、配列番号:14で表わされる塩基配列にお
いて第72〜1142番目の塩基配列中の一部分を有す
るDNA、または配列番号:14で表わされる塩基配列
において第72〜1142番目の塩基配列を有するDN
Aとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズす
る塩基配列を有し、タンパク質IIと実質的に同質の活
性を有するタンパク質をコードするDNAの一部分を有
するDNAなどが用いられる。配列番号:14で表わさ
れる塩基配列において第72〜1142番目の塩基配列
を有するDNAとハイブリダイズできるDNAは、前記
と同意義を示す。ハイブリダイゼーションの方法および
ハイストリンジェントな条件は前記と同様のものが用い
られる。
【0037】本発明のシグナルペプチドIをコードする
DNAとしては、前述した本発明のシグナルペプチドI
をコードする塩基配列を含有するものであればいかなる
ものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDN
Aライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、
前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成
DNAのいずれでもよい。本発明のシグナルペプチドI
をコードするDNAとしては、例えば、配列番号:4で
表わされる塩基配列を有するDNA、または配列番号:
4で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有
し、シグナルペプチドとしての機能を発揮し得るペプチ
ドをコードするDNAなどが用いられる。配列番号:4
で表わされる塩基配列を有するDNAとハイブリダイズ
できるDNAとしては、例えば、配列番号:4で表わさ
れる塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以
上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約
95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNA
などが用いられる。ハイブリダイゼーションの方法およ
びハイストリンジェントな条件は前記と同様のものが用
いられる。より具体的には、配列番号:2で表わすアミ
ノ酸配列を有する本発明のシグナルペプチドIをコード
するDNAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配
列を有するDNAを含有するDNAなどが用いられる。
【0038】本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質
I、部分ペプチドI、シグナルペプチドI、タンパク質
II、前駆体タンパク質IIまたは部分ペプチドII
(以下、これらを単に本発明のタンパク質と略記するこ
ともある)を完全にコードするDNAのクローニングの
手段としては、本発明のタンパク質の部分塩基配列を有
する合成DNAプライマーを用いてPCR法によって増
幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを
本発明のタンパク質の一部あるいは全領域をコードする
DNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものと
のハイブリダイゼーションによって選別することができ
る。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキ
ュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J.
Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 19
89)に記載の方法などに従って行なうことができる。ま
た、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説
明書に記載の方法に従って行なうことができる。DNA
の塩基配列の変換は、PCRや公知のキット、例えば、
MutanTM-superExpress Km(宝酒造(株))、MutanTM-K
(宝酒造(株))等を用いて、ODA-LAPCR法やGapped du
plex法やKunkel法等の自体公知の方法あるいはそれらに
準じる方法に従って行なうことができる。クローン化さ
れた本発明のタンパク質をコードするDNAは目的によ
りそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、
リンカーを付加したりして使用することができる。該D
NAはその5’末端側に翻訳開始コドンとしてのATG
を有し、また3’末端側には翻訳終止コドンとしてのT
AA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これら
の翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DN
Aアダプターを用いて付加することもできる。本発明の
タンパク質の発現ベクターは、例えば、(イ)本発明の
タンパク質をコードするDNAから目的とするDNA断
片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクタ
ー中のプロモーターの下流に連結することにより製造す
ることができる。
【0039】ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミ
ド(例、pBR322,pBR325,pUC12,p
UC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB11
0,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド
(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバ
クテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイル
ス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、p
A1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RS
V、pcDNAI/Neoなどが用いられる。本発明で
用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用い
る宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなる
ものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場
合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、L
TRプロモーター、CMVプロモーター、HSV-TK
プロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMV
(サイトメガロウイルス)プロモーター、SRαプロモ
ーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア
属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモ
ーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、
lppプロモーター、T7プロモーターなどが、宿主が
バチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、S
PO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主
が酵母である場合は、PHO5プロモーター、PGKプ
ロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター
などが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘ
ドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好まし
い。
【0040】発現ベクターには、以上の他に、所望によ
りエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加
シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以
下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有
しているものを用いることができる。選択マーカーとし
ては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfr
と略称する場合がある)遺伝子〔メソトレキセート(M
TX)耐性〕、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amp
rと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子
(以下、Neorと略称する場合がある、G418耐
性)等が挙げられる。特に、dhfr遺伝子欠損チャイ
ニーズハムスター細胞を用いてdhfr遺伝子を選択マ
ーカーとして使用する場合、目的遺伝子をチミジンを含
まない培地によっても選択できる。また、必要に応じ
て、宿主に合ったシグナル配列を、本発明のタンパク質
のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である
場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列な
どが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラー
ゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列など
が、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、
SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場
合には、インシュリン・シグナル配列、α−インターフ
ェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などが
それぞれ利用できる。このようにして構築された本発明
のタンパク質をコードするDNAを含有するベクターを
用いて、形質転換体を製造することができる。
【0041】宿主としては、例えば、エシェリヒア属
菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞な
どが用いられる。エシェリヒア属菌の具体例としては、
例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K1
2・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユー
エスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60
巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・
アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9
巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オ
ブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecul
ar Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB
101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジ
ー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネテ
ィックス(Genetics),39巻,440(1954)〕な
どが用いられる。バチルス属菌としては、例えば、バチ
ルス・サブチルス(Bacillus subtilis)MI114
〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21
〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of
Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用
いられる。酵母としては、例えば、サッカロマイセス
セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,A
H22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B
−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccha
romyces pombe)NCYC1913,NCYC203
6、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71
などが用いられる。
【0042】昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがA
cNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodop
tera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia ni
の中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のH
igh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞または
Estigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイル
スがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mor
i N 細胞;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞
としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf
21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィボ(In V
ivo),13, 213-217,(1977))などが用いられる。昆虫と
しては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田
ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(198
5)〕。動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−
7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以
下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニ
ーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhf
-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−2
0,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細
胞などが用いられる。エシェリヒア属菌を形質転換する
には、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナ
ル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユ
ーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69
巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,1
07(1982)などに記載の方法に従って行なうことが
できる。
【0043】バチルス属菌を形質転換するには、例え
ば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティッ
クス(Molecular & General Genetics),168巻,
111(1979)などに記載の方法に従って行なうこと
ができる。酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ
・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymolog
y),194巻,182−187(1991)、プロシ
ージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ
・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(197
8)などに記載の方法に従って行なうことができる。昆
虫細胞または昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ
/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))
などに記載の方法に従って行なうことができる。動物細
胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細
胞工学実験プロトコール.263−267(1995)
(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,
456(1973)に記載の方法に従って行なうことがで
きる。このようにして、本発明のタンパク質をコードす
るDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質
転換体を得ることができる。宿主がエシェリヒア属菌、
バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使
用される培地としては液体培地が適当であり、その中に
は該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物
その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、
グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、
窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩
類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉
エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有
機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リ
ン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどが挙げら
れる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子な
どを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望まし
い。
【0044】エシェリヒア属菌を培養する際の培地とし
ては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地
〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメ
ンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journa
l of Experiments in Molecular Genetics),431−
433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1
972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを
効率よく働かせるために、例えば、3β−インドリルア
クリル酸のような薬剤を加えることができる。宿主がエ
シェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約
3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加える
こともできる。宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常
約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通
気や撹拌を加えることもできる。宿主が酵母である形質
転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホ
ールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L.
ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデ
ミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー
(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,450
5(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培
地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. US
A),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。
培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は
通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要
に応じて通気や撹拌を加える。宿主が昆虫細胞または昆
虫である形質転換体を培養する際、培地としては、Grac
e's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Natur
e),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の
添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpH
は約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通
常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や
撹拌を加える。宿主が動物細胞である形質転換体を培養
する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛
血清を含むMEM培地〔サイエンス(Science),12
2巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジ
ー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI
1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・
メディカル・アソシエーション(The Journal of the A
merican Medical Association)199巻,519(19
67)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソ
サイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン
(Proceeding ofthe Society for the Biological Medi
cine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。p
Hは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃
〜40℃で約15〜60時間行ない、必要に応じて通気
や撹拌を加える。以上のようにして、形質転換体の細胞
膜に本発明のタンパク質を生成せしめることができる。
【0045】上記培養物から本発明のタンパク質を分離
精製するには、例えば、下記の方法により行なうことが
できる。本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞か
ら抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体ある
いは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音
波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌
体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により
タンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用いられ
る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどの蛋白質変
性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含ま
れていてもよい。培養液中に本発明のタンパク質が分泌
される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌
体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。この
ようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含ま
れる本発明のタンパク質の精製は、自体公知の分離・精
製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これら
の公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法など
の溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ
過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交
換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、
アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性
を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなど
の疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの
等電点の差を利用する方法などが用いられる。
【0046】かくして得られる本発明のタンパク質が遊
離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれ
に準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩
で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じ
る方法により、遊離体または他の塩に変換することがで
きる。なお、組換え体が産生するタンパク質を、精製前
または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることに
より、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に
除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例え
ば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペ
プチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなど
が用いられる。かくして生成する本発明のタンパク質の
存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイや
ウエスタンブロッティングなどにより測定することがで
きる。
【0047】本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質
I、部分ペプチドI、タンパク質II、前駆体タンパク
質II、部分ペプチドIIまたはその塩に対する抗体
は、本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質I、部分
ペプチドI、タンパク質II、前駆体タンパク質II、
部分ペプチドIIまたはその塩を認識し得る抗体であれ
ば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れで
あってもよい。本発明のタンパク質I、前駆体タンパク
質I、部分ペプチドI、タンパク質II、前駆体タンパ
ク質II、部分ペプチドIIまたはその塩(以下、これ
らを単に本発明のタンパク質と略記することもある)に
対する抗体は、本発明のタンパク質を抗原として用い、
自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造する
ことができる。 〔モノクローナル抗体の作製〕 (a)モノクロナール抗体産生細胞の作製 本発明のタンパク質は、温血動物に対して投与により抗
体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤と
ともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるた
め、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントア
ジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に
1回ずつ、計2〜10回程度行われる。用いられる温血
動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモッ
ト、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが挙げら
れるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。モ
ノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原で免
疫された温血動物、例えばマウスから抗体価の認められ
た個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリン
パ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種ま
たは異種動物の骨髄腫細胞と融合させることにより、モ
ノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することが
できる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標
識化タンパク質と抗血清とを反応させたのち、抗体に結
合した標識剤の活性を測定することにより行なうことが
できる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミ
ルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495
(1975)〕に従い実施することができる。融合促進剤とし
ては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセ
ンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEG
が用いられる。
【0048】骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、
P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物の骨髄
腫細胞が挙げられるが、P3U1が好ましく用いられ
る。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細
胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、
PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)
が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、
好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベート
することにより効率よく細胞融合を実施できる。モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには
種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質抗原を
直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイク
ロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に
放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体
(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス
免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインA
を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する
方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着
させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性
物質や酵素などで標識したタンパク質を加え、固相に結
合したモノクローナル抗体を検出する方法などが挙げら
れる。モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいは
それに準じる方法に従って行なうことができる。通常H
AT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を
添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別お
よび育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できる
ものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1
〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含む
RPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含
むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリ
ドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬
(株))などを用いることができる。培養温度は、通常
20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間
は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間であ
る。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができ
る。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清
中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
【0049】(b)モノクロナール抗体の精製 モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例
えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アル
コール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換
体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ
過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロ
テインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結
合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行な
うことができる。
【0050】〔ポリクローナル抗体の作製〕本発明のポ
リクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じ
る方法に従って製造することができる。例えば、免疫抗
原(タンパク質抗原)自体、あるいはそれとキャリアー
蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体
の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物
から本発明のタンパク質に対する抗体含有物を採取し
て、抗体の分離精製を行なうことにより製造することが
できる。温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原
とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白
質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キ
ャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が
効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋
させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサ
イログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1
に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合で
カプルさせる方法が用いられる。また、ハプテンとキャ
リアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることが
できるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレ
イミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を
含有する活性エステル試薬等が用いられる。縮合生成物
は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自
体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際
して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバ
ントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよ
い。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜1
0回程度行なわれる。ポリクローナル抗体は、上記の方
法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは
血液から採取することができる。抗血清中のポリクロー
ナル抗体価の測定は、上記の抗血清中の抗体価の測定と
同様にして測定できる。ポリクローナル抗体の分離精製
は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫
グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
【0051】本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質
I、部分ペプチドI、シグナルペプチドI、タンパク質
II、前駆体タンパク質IIまたは部分ペプチドIIを
コードするDNA(以下、これらのDNAを本発明のD
NAと略記することもある)に相補的な、または実質的
に相補的な塩基配列を有するアンチセンスDNAとして
は、本発明のDNAに相補的な、または実質的に相補的
な塩基配列を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を
有するものであれば、いずれのアンチセンスDNAであ
ってもよい。本発明のDNAに実質的に相補的な塩基配
列とは、例えば、本発明のDNAに相補的な塩基配列
(すなわち、本発明のDNAの相補鎖)の全塩基配列あ
るいは部分塩基配列と約70%以上、好ましくは約80
%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは
約95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられ
る。特に、本発明のDNAの相補鎖の全塩基配列うち、
本発明のタンパク質のN末端部位をコードする部分の塩
基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相
補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好
ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の
相同性を有するアンチセンスDNAが好適である。これ
らのアンチセンスDNAは、公知のDNA合成装置など
を用いて製造することができる。
【0052】以下に、本発明のタンパク質I、前駆体タ
ンパク質Iもしくは部分ペプチドIまたはその塩(以
下、本発明のタンパク質aと略記する場合がある)、タ
ンパク質II、前駆体タンパク質IIもしくは部分ペプ
チドIIまたはその塩(以下、タンパク質bと略記する
場合がある)、本発明のタンパク質aをコードするDN
A(以下、本発明のDNAaと略記する場合がある)、
タンパク質bをコードするDNA(以下、DNAbと略
記する場合がある)、本発明のタンパク質I、前駆体タ
ンパク質I、部分ペプチドI、タンパク質II、前駆体
タンパク質II、部分ペプチドIIもしくはシグナルペ
プチドIまたはその塩に対する抗体(以下、本発明の抗
体と略記する場合がある)、およびアンチセンスDNA
の用途を説明する。本発明のタンパク質aとタンパク質
bを本発明のタンパク質と総称し、また本発明のDNA
aとDNAbを本発明のDNAと総称する場合がある。
【0053】本発明のタンパク質aおよびタンパク質b
は喘息モデル動物の肺・気管支において組織特異的に発
現が上昇するので、疾患マーカーとして利用することが
出来る。すなわち、肺・気道の炎症を伴う肺・胸部疾患
における早期診断、症状の重症度の判定、疾患進行の予
測のためのマーカーとして有用である。 (1)本発明のタンパク質aが関与する各種疾病の治療
・予防剤 本発明のタンパク質aは、キチン分解酵素のファミリー
の属している。キチン分解酵素は、外界から進入してき
た細菌、ウイルスなどの病原体に対する生体防御機構に
とって重要である。よって、本発明のタンパク質aまた
は本発明のDNAaは免疫疾患(例えば、自己免疫疾
患、免疫不全、アレルギー性疾患など)、感染症(例え
ば、HIV(human immunodeficiency virus)感染、H
BV(hepatitis B virus)感染、HCV(hepatitis C
virus)感染、結核感染、日和見感染など)などの種々
の疾患の治療・予防薬などの医薬として使用することが
出来る。例えば、生体内において本発明のタンパク質a
などが減少あるいは欠損しているために、生体防御機構
が十分に、あるいは正常に発揮されない患者がいる場合
に、(イ)本発明のDNAaを該患者に投与し、生体内
で本発明のタンパク質を発現させることによって、
(ロ)細胞に本発明のDNAaを挿入し、本発明のタン
パク質を発現させた後に、該細胞を患者に移植すること
によって、または(ハ)本発明のタンパク質aを該患者
に投与することなどによって、該患者における本発明の
タンパク質aの役割を十分に、あるいは正常に発揮させ
ることができる。本発明のDNAaを上記の治療・予防
剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレト
ロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ
ウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当
なベクターに挿入した後、常套手段に従って、ヒトまた
は温血動物に投与することができる。本発明のDNAa
は、そのままで、あるいは摂取促進のための補助剤など
の生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子
銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによっ
て投与できる。本発明のタンパク質aを上記の治療・予
防剤として使用する場合は、少なくとも90%、好まし
くは95%以上、より好ましくは98%以上、さらに好
ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好
ましい。
【0054】本発明のタンパク質aは、例えば、必要に
応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、
マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいはエア
ロゾル化して吸入剤の形で、あるいは水もしくはそれ以
外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁
液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例え
ば、本発明のタンパク質aを生理学的に認められる担
体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合
剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される
単位用量形態で混和することによって製造することがで
きる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲
の適当な用量が得られるようにするものである。錠剤、
カプセル剤などに混和することができる添加剤として
は、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、
アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのよう
な賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸など
のような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤
滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、
ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味
剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場
合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担
体を含有することができる。注射のための無菌組成物は
注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子
油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁さ
せるなどの通常の製剤実施に従って処方することができ
る。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブ
ドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソ
ルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)
などが挙げられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコー
ル(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例え
ば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールな
ど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート
80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油
性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが挙げら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、
リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化
剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインな
ど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチ
レングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアル
コール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合して
もよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに
充填される。本発明のDNAaが挿入されたベクターも
上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用され
る。
【0055】このようにして得られる製剤は、安全で低
毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例え
ば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツ
ジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。本発明のタン
パク質aの投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルート
などにより差異はあるが、例えば、感染症の治療目的で
本発明のタンパク質aを経口投与する場合、一般的に成
人(60kgとして)においては、一日につき該タンパ
ク質を約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0
〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与す
る。非経口的に投与する場合は、該タンパク質の1回投
与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例
えば、感染症の治療目的で本発明のタンパク質aを注射
剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、
一日につき該タンパク質を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を患部に注射することにより投与
するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当
たりに換算した量を投与することができる。
【0056】(2)疾病に対する医薬候補化合物のスク
リーニング 本発明のタンパク質aはキチン分解酵素のファミリーに
属するため、本発明のタンパク質aの活性(例、キチン
分解酵素活性など)を促進する化合物またはその塩は、
免疫疾患(例えば、自己免疫疾患、免疫不全、アレルギ
ー性疾患など)、感染症(例えば、HIV感染、HBV
感染、HCV感染、結核感染、日和見感染など)などの
種々の疾患の治療・予防剤などの医薬として使用でき
る。一方、本発明のタンパク質aは肺・気道の炎症に先
立ち発現が増加するので、本発明のタンパク質aの活性
を阻害する化合物またはその塩は、気管支喘息や慢性閉
塞性肺疾患など肺・気道の炎症を伴う肺・胸部疾患の治
療・予防剤などの医薬として使用できる。したがって、
本発明のタンパク質aは、本発明のタンパク質aの活性
を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニ
ングのための試薬として有用である。すなわち、本発明
は、(1)本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質I
もしくは部分ペプチドIまたはその塩を用いることを特
徴とする本発明のタンパク質I、前駆体タンパク質Iも
しくは部分ペプチドIまたはその塩の活性(例えば、キ
チン分解酵素活性など)を促進する化合物もしくはその
塩(以下、促進剤と略記する場合がある)、または本発
明のタンパク質I、前駆体タンパク質Iもしくは部分ペ
プチドIまたはその塩の活性を阻害する化合物(以下、
阻害剤と略記する場合がある)のスクリーニング方法を
提供し、より具体的には、例えば、(2)(i)本発明
のタンパク質I、前駆体タンパク質Iもしくは部分ペプ
チドIまたはその塩にキチン分解酵素の基質を接触させ
た場合と(ii)本発明のタンパク質I、前駆体タンパク
質Iもしくは部分ペプチドIまたはその塩にキチン分解
酵素の基質および試験化合物を接触させた場合との比較
を行なうことを特徴とする促進剤または阻害剤のスクリ
ーニング方法を提供する。具体的には、上記スクリーニ
ング方法においては、例えば、(i)と(ii)の場合に
おける、本発明のタンパク質aのキチン分解酵素活性を
測定して、比較することを特徴とするものである。
【0057】基質としては、例えば、4-methylumbellif
eryl β-D-N,N’-diacetylchitobiose、4-methylumbell
iferyl β-D-N,N’,N’’-triacetylchitobiose、p-nit
rophenyl β-D-N,N’-diacetylchitobiose、p-nitrophe
nyl β-D-N,N’,N’’-triacetylchitobiose、chitin a
zureなどが用いられる。試験化合物としては、例えば、
ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合
物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽
出液などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であ
ってもよいし、公知の化合物であってもよい。上記のス
クリーニング方法を実施するには、本発明のタンパク質
aを、スクリーニングに適したバッファーに懸濁するこ
とにより本発明のタンパク質aの標品を調製する。バッ
ファーには、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜
8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなど
の、本発明のタンパク質aと基質との反応を阻害しない
バッファーであればいずれでもよい。
【0058】本発明のタンパク質aのキチン分解酵素活
性は、自体公知の方法、例えば、ジャーナル オブ バ
イオロジカルケミストリー(J. Biol. Che
m.)、第270、巻2198頁(1995)に記載の
方法あるいはそれに準じる方法に従って測定することが
できる。例えば、上記(ii)の場合におけるキチン分解
酵素活性が上記(i)の場合に比べて、約20%以上、
好ましくは30%以上、より好ましくは約50%以上上
昇させる試験化合物を本発明のタンパク質aのキチン分
解酵素活性を促進する化合物として、一方、上記(ii)
の場合におけるキチン分解酵素活性を上記(i)の場合
に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、より
好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を本発明の
タンパク質aのキチン分解酵素活性を阻害する化合物と
して選択することができる。
【0059】本発明のスクリーニング用キットは、本発
明のタンパク質I、前駆体タンパク質Iもしくは部分ペ
プチドIまたはその塩を含有するものである。
【0060】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから
選ばれた化合物であり、本発明のタンパク質aの活性
(例、キチン分解酵素活性など)を促進または阻害する
化合物である。該化合物の塩としては、前記した本発明
のタンパク質Iの塩と同様のものが用いられる。本発明
のタンパク質aの活性(例、キチン分解酵素活性など)
を促進する化合物は、例えば、免疫疾患(例えば、自己
免疫疾患、免疫不全、アレルギー性疾患など)、感染症
(例えば、HIV感染、HBV感染、HCV感染、結核
感染、日和見感染など)などの種々の疾患の治療・予防
剤などの医薬として使用できる。一方、本発明のタンパ
ク質aの活性を阻害する化合物は、例えば、気管支喘息
や慢性閉塞性肺疾患など肺・気道の炎症を伴う肺・胸部
疾患の疾病に対する治療・予防剤などの医薬として有用
である。
【0061】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のタンパク質
aを含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤、などとすることができる。このようにして得られる
製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温
血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。該化合物また
はその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、
投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、気管支喘
息治療の目的で本発明のタンパク質aの活性を阻害する
化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60k
gとして)においては、一日につき該化合物を約0.1
〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好
ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与
する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾
患などによっても異なるが、例えば、気管支喘息治療の
目的で本発明のタンパク質aの活性を阻害する化合物を
注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場
合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、
好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約
0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好
都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算
した量を投与することができる。一方、感染症の治療目
的で本発明のタンパク質aの活性を促進する化合物を経
口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)
においては、一日につき該化合物を約0.1〜100m
g、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約
1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合
は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などに
よっても異なるが、例えば、感染症の治療目的で本発明
のタンパク質aの活性を促進する化合物を注射剤の形で
通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につ
き該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約
0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10
mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。
他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与
することができる。
【0062】(3)本発明のタンパク質aまたはタンパ
ク質bが関与する疾病に対する医薬候補化合物のスクリ
ーニング 本発明のタンパク質は分泌タンパク質であり、例えば、
タンパク質IIはマウス喘息モデルの肺・気道において
炎症に先立ち産生され、好酸球やマクロファージ等の浸
潤、活性化に関与していると考えられる。よって、本発
明のタンパク質aまたはタンパク質bの活性を阻害する
化合物またはその塩は、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患
など肺・気道の炎症を伴う肺・胸部疾患の治療・予防剤
などの医薬として使用できる。したがって、本発明のタ
ンパク質は、本発明のタンパク質の活性を阻害する化合
物またはその塩のスクリーニングのための試薬として有
用である。すなわち、本発明は、(1)本発明のタンパ
ク質を用いることを特徴とする、本発明のタンパク質の
活性(例えば、好酸球遊走活性など)を阻害する化合物
(以下、阻害剤と略記する場合がある)のスクリーニン
グ方法を提供し、より具体的には、例えば、(2)
(i)本発明のタンパク質に好酸球を接触させた場合と
(ii)本発明のタンパク質に好酸球および試験化合物を
接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする阻害
剤のスクリーニング方法を提供する。具体的には、上記
スクリーニング方法においては、例えば、(i)と(i
i)の場合における、本発明のタンパク質の好酸球遊走
活性を測定して、比較することを特徴とするものであ
る。好酸球としては、例えばマウス好酸球が用いられ、
自体公知の方法、例えば、ジャーナル オブ リューコ
サイト バイオロジー(J. LeukocyteBi
ol.)、第60巻、573項(1996)に記載の方
法あるいはそれに準じる方法に従って調製することがで
きる。試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液などが挙げら
れ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公
知の化合物であってもよい。上記のスクリーニング方法
を実施するには、本発明のタンパク質を、スクリーニン
グに適したバッファーに懸濁することにより本発明のタ
ンパク質の標品を調製する。バッファーには、pH約4
〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファ
ー、トリス−塩酸バッファーなどの、好酸球の遊走反応
を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。本発
明のタンパク質の好酸球遊走活性は、自体公知の方法、
例えば、イミュニティー(Immunity)、第4
巻、1項(1996)に記載の方法あるいはそれに準じ
る方法に従って測定することができる。例えば、上記
(ii)の場合における好酸球遊走活性を上記(i)の場
合に比べて、約20%以上、好ましくは30%以上、よ
り好ましくは約50%以上阻害する試験化合物を本発明
のタンパク質の好酸球遊走活性を阻害する化合物として
選択することができる。
【0063】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩
は、上記した試験化合物、例えば、ペプチド、タンパ
ク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細
胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などから
選ばれた化合物であり、本発明のタンパク質の活性
(例、好酸球遊走活性など)を阻害する化合物である。
該化合物の塩としては、前記した本発明のタンパク質I
の塩と同様のものが用いられる。本発明のタンパク質の
活性を阻害する化合物は、例えば、気管支喘息や慢性閉
塞性肺疾患など肺・気道の炎症を伴う肺・胸部疾患の疾
病に対する治療・予防剤などの医薬として有用である。
【0064】本発明のスクリーニング方法またはスクリ
ーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療
・予防剤として使用する場合、常套手段に従って実施す
ることができる。例えば、前記した本発明のタンパク質
aを含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エ
リキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液
剤、などとすることができる。このようにして得られる
製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温
血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブ
タ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジ
ーなど)に対して投与することができる。該化合物また
はその塩の投与量は、その作用、対象疾患、投与対象、
投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、気管支喘
息治療の目的で本発明のタンパク質の活性を阻害する化
合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kg
として)においては、一日につき該化合物を約0.1〜
100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ま
しくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与す
る場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患
などによっても異なるが、例えば、気管支喘息治療の目
的で本発明のタンパク質の活性を阻害する化合物を注射
剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、
一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ま
しくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.
1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合
である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した
量を投与することができる。
【0065】(4)本発明のタンパク質aまたはタンパ
ク質bの定量 本発明のタンパク質に対する抗体(以下、本発明の抗体
と略記する場合がある)は、本発明のタンパク質を特異
的に認識することができるので、被検液中の本発明のタ
ンパク質の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定
量などに使用することができる。すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発
明のタンパク質とを競合的に反応させ、該抗体に結合し
た標識化された本発明のタンパク質の割合を測定するこ
とを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質の定量
法、および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の
抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時ある
いは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の
活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタ
ンパク質の定量法を提供する。上記(ii)の定量法にお
いては、一方の抗体が本発明のタンパク質(好ましく
は、本発明のタンパク質Iまたはタンパク質II)のN
端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパク
質(好ましくは、本発明のタンパク質Iまたはタンパク
質II)のC端部に反応する抗体であることが望まし
い。
【0066】また、本発明のタンパク質に対するモノク
ローナル抗体(以下、本発明のモノクローナル抗体と称
する場合がある)を用いて本発明のタンパク質の定量を
行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともで
きる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いても
よく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるい
はFab画分を用いてもよい。本発明の抗体を用いる本
発明のタンパク質の定量法は、 特に制限されるべきも
のではなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質
量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の
量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知
量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算
出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよ
い。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリッ
ク法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感
度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるの
が特に好ましい。標識物質を用いる測定法に用いられる
標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光
物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素とし
ては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14
C〕などが用いられる。上記酵素としては、安定で比活
性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダ
ーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファター
ゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが用い
られる。蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミ
ン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが用いられ
る。発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノー
ル誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどが用いられ
る。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオ
チン−アビジン系を用いることもできる。
【0067】抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物
理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵
素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用
いる方法でもよい。担体としては、アガロース、デキス
トラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレ
ン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、ある
いはガラス等が挙げられる。サンドイッチ法においては
不溶化した本発明のモノクローナル抗体に被検液を反応
させ(1次反応)、さらに標識化した別の本発明のモノ
クローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化
担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の
本発明のタンパク質量を定量することができる。1次反
応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行な
ってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤
および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができ
る。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、
固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ず
しも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等
の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。本
発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質の測定
法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明
のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質の結合す
る部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわ
ち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例え
ば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質
のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体
は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗
体が用いられる。
【0068】本発明のモノクローナル抗体をサンドイッ
チ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメト
リック法あるいはネフロメトリーなどに用いることがで
きる。競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体
に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原
(F)と、抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し
(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被
検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として
可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコー
ル、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、お
よび、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるい
は、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相
化抗体を用いる固相化法とが用いられる。イムノメトリ
ック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の
標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離
するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗
体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化
抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。
次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量
を定量する。また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるい
は溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の
量を測定する。被検液中の抗原量が僅かであり、少量の
沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用す
るレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
【0069】これら個々の免疫学的測定法を本発明の定
量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の
設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の
条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発
明のタンパク質の測定系を構築すればよい。これらの一
般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参
照することができる。例えば、入江 寛編「ラジオイム
ノアッセイ」(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編
「続ラジオイムノアッセイ」(講談社、昭和54年発
行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭
和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第
2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編
「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年
発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」 Vol. 70 (Immunoc
hemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73 (Immuno
chemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74 (Immun
ochemical Techniques(PartC))、 同書 Vol. 84 (Immun
ochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassay
s))、 同書 Vol. 92 (Immunochemical Techniques(Part
E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay M
ethods))、 同書 Vol. 121 (Immunochemical Technique
s(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antib
odies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照
することができる。以上のようにして、本発明の抗体を
用いることによって、本発明のタンパク質を感度良く定
量することができる。さらには、本発明の抗体を用いて
本発明のタンパク質の濃度を定量することによって、
(1)本発明のタンパク質の濃度の増加が検出された場
合、例えば、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など肺・気
道の炎症を伴う肺・胸部疾患などの疾病である、または
将来罹患する可能性が高いと診断することができる。ま
た、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在
する本発明のタンパク質を検出するために使用すること
ができる。また、本発明のタンパク質を精製するために
使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明
のタンパク質の検出、被検細胞内における本発明のタン
パク質の挙動の分析などのために使用することができ
る。
【0070】(5)遺伝子診断剤 本発明のDNAは、例えば、プローブとして使用するこ
とにより、ヒトまたは温血動物(例えば、ラット、マウ
ス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、
ウマ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)における
本発明のタンパク質をコードするDNAまたはmRNA
の異常(遺伝子異常)を検出することができるので、例
えば、該DNAまたはmRNAの損傷、突然変異あるい
は発現低下や、該DNAまたはmRNAの増加あるいは
発現過多などの遺伝子診断剤として有用である。本発明
のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公
知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSC
P法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜8
79頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・
ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ
・ユーエスエー(Proceedings ofthe National Academy
of Sciences of the United States of America),第
86巻,2766〜2770頁(1989年))などに
より実施することができる。例えば、ノーザンハイブリ
ダイゼーションにより発現過多が検出された場合やPC
R−SSCP法によりDNAの突然変異が検出された場
合は、例えば、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など肺・
気道の炎症を伴う肺・胸部疾患などの疾病である可能性
が高いと診断することができる。
【0071】(6)アンチセンスDNAを含有する医薬 本発明のDNAに相補的に結合し、該DNAの発現を抑
制することができるアンチセンスDNAは、生体内にお
ける本発明のタンパク質の産生を抑制することができる
ので、例えば、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など肺・
気道の炎症を伴う肺・胸部疾患などの治療・予防剤とし
て使用することができる。上記アンチセンスDNAを上
記の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明
のDNAを含有する各種疾病の治療・予防剤と同様にし
て実施することができる。例えば、該アンチセンスDN
Aを用いる場合、該アンチセンスDNAを単独あるいは
レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、ア
デノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの
適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施す
ることができる。該アンチセンスDNAは、そのまま
で、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に
認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロ
ゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与でき
る。あるいは、エアロゾル化して吸入剤として気管内に
局所投与することもできる。さらに、該アンチセンスD
NAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やそ
の発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプ
ローブとして使用することもできる。
【0072】(7)本発明の抗体を含有する医薬 本発明のタンパク質の活性を中和する作用を有する本発
明の抗体は、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など肺・気
道の炎症を伴う肺・胸部疾患などの疾患に対する医薬と
して使用することができる。本発明の抗体を含有する上
記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または
適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物
(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イ
ヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与す
ることができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症
状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人
の気管支喘息の治療・予防のために使用する場合には、
本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg
/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体
重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程
度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程
度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非
経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与
することができる。症状が特に重い場合には、その症状
に応じて増量してもよい。本発明の抗体は、それ自体ま
たは適当な医薬組成物として投与することができる。上
記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と
薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤と
を含むものである。かかる組成物は、経口または非経口
投与に適する剤形として提供される。すなわち、例え
ば、経口投与のための組成物としては、固体または液体
の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティン
グ錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフ
トカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤など
があげられる。かかる組成物は自体公知の方法によって
製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈
剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤
用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ス
テアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
【0073】非経口投与のための組成物としては、例え
ば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射
剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤
などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方
法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射
剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁
または乳化することによって調製する。注射用の水性液
としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補
助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、
例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコー
ル(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコー
ル)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、
HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of
hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。
油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いら
れ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアル
コールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通
常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられ
る坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に
混合することによって調製される。上記の経口用または
非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するよ
うな投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。
かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル
剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞ
れの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ
注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜2
50mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ま
しくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有し
てもよい。
【0074】(8)DNA転移動物 本発明は、外来性の本発明のタンパク質をコードするD
NA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)または
その変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する
場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。すな
わち、本発明は、(1)本発明の外来性DNAまたはそ
の変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、(2)非ヒト哺
乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載の動物、(3)ゲ
ッ歯動物がマウスまたはラットである第(2)記載の動
物、および(4)本発明の外来性DNAまたはその変異
DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベ
クターを提供するものである。本発明の外来性DNAま
たはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本
発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精
卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対し
て、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生
の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の
段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム
法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイ
クロインジェクション法、パーティクルガン法、DEA
E−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移
することによって作出することができる。また、該DN
A転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞など
に目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培
養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これ
ら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により
融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出す
ることもできる。
【0075】非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、
ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモッ
ト、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。な
かでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生およ
び生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ
歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57
BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6
C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BAL
B/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、
Wistar,SDなど)などが好ましい。哺乳動物に
おいて発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」
としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げ
られる。本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が
本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳
動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。本発
明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配
列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体
的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生
じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれ
る。該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質
を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明の
タンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるD
NAなどが用いられる。本発明の外来性DNAは、対象
とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来
のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転
移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させ
うるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラク
トとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明
のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本
発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、
イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス
など)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの
下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンスト
ラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、
例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションする
ことによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺
乳動物を作出することができる。
【0076】本発明のタンパク質の発現ベクターとして
は、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミ
ド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリ
オファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィ
ルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなど
の動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由
来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由
来のプラスミドなどが好ましく用いられる。上記のDN
A発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、
ウイルス(例、シミアンウイルス、サイトメガロウイル
ス、モロニー白血病ウイルス、JCウイルス、乳癌ウイ
ルス、ポリオウイルスなど)に由来するDNAのプロモ
ーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、
モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来の
プロモーター、例えば、アルブミン、インスリンII、
ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、
エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸
性タンパク質ク、グルタチオンS−トランスフェラー
ゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およ
びK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリック
AMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジス
トロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、
心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキ
ナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリ
ウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPas
e)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインI
およびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビタ
ー、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レ
ニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダ
ーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−
1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシ
ン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロ
ブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(V
NP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビ
ン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケ
ファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用
いられる。なかでも、全身で高発現することが可能なサ
イトメガロウイルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖
延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよ
びニワトリβアクチンプロモーターなどが好適である。
【0077】上記ベクターは、DNA転移哺乳動物にお
いて目的とするメッセンジャーRNAの転写を終結する
配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有しているこ
とが好ましく、例えば、ウィルス由来および各種哺乳動
物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましく
は、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用
いられる。その他、目的とする外来性DNAをさらに高
発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、
エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部など
をプロモーター領域の5´上流、プロモーター領域と翻
訳領域間あるいは翻訳領域の3´下流 に連結すること
も目的により可能である。正常な本発明のタンパク質の
翻訳領域は、ヒトまたは各種哺乳動物(例えば、ウサ
ギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マ
ウスなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞
由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリー
よりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝
臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知
の方法により調製された相補DNAを原料として取得す
ることが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の
細胞または組織より得られた正常なタンパク質の翻訳領
域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製す
ることができる。該翻訳領域は転移動物において発現し
うるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーター
の下流および所望により転写終結部位の上流に連結させ
る通常の遺伝子工学的手法により作製することができ
る。受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転
移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに
存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の
胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在するこ
とは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体
細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを
意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の
動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発
明の外来性DNAを有する。
【0078】本発明の外来性正常DNAを転移させた非
ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持
することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。受精卵細胞段階に
おける本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の
胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確
保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において
本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動
物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発
明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発
明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はそ
の胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNA
を過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つ
ホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配す
ることによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するよ
うに繁殖継代することができる。本発明の正常DNAを
有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現
させられており、内在性の正常DNAの機能を促進する
ことにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢進症を
発症することがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、本発明
のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこ
れらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能であ
る。また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳
動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有す
ることから、本発明のタンパク質に関連する疾患に対す
る治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
【0079】一方、本発明の外来性異常DNAを有する
非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保
持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼
育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とす
る外来DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科とし
て用いることができる。プロモーターとのDNAコンス
トラク卜は、通常の遺伝子工学的手法によって作製する
ことができる。受精卵細胞段階における本発明の異常D
NAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の
全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出
動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在する
ことは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細
胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味す
る。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の
子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異
常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持
つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配
することによりすべての子孫が該DNAを有するように
繁殖継代することができる。本発明の異常DNAを有す
る非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させ
られており、内在性の正常DNAの機能を阻害すること
により最終的に本発明のタンパク質の機能不活性型不応
症となることがあり、その病態モデル動物として利用す
ることができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症の
病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行な
うことが可能である。また、具体的な利用可能性として
は、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のタンパ
ク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパ
ク質による正常タンパク質の機能阻害(dominant negat
ive作用)を解明するモデルとなる。また、本発明の外
来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明
のタンパク質の増加症状を有することから、本発明のタ
ンパク質の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリー
ニング試験にも利用可能である。
【0080】また、上記2種類の本発明のDNA転移動
物のその他の利用可能性として、例えば、 組織培養のための細胞源としての使用、 本発明のDNA転移動物の組織中のDNAもしくはR
NAを直接分析するか、またはDNAにより発現された
タンパク質組織を分析することによる、本発明のタンパ
ク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパク質
との関連性についての解析、 DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により
培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織から
の細胞の機能の研究、 上記記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高
めるような薬剤のスクリーニング、および 本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作
製などが考えられる。さらに、本発明のDNA転移動物
を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症な
どを含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床症
状を調べることができ、また、本発明のタンパク質に関
連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的
所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾
患による二次的疾患の研究および治療に貢献することが
できる。また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取
り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵素
により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養また
はその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さ
らに、本発明のタンパク質産生細胞の特定化、アポトー
シス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにお
けるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べるこ
となどができ、本発明のタンパク質およびその作用解明
のための有効な研究材料となる。さらに、本発明のDN
A転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性
型不応症を含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の
治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量
法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリー
ニング法を提供することが可能となる。また、本発明の
DNA転移動物または本発明の外来性DNA発現ベクタ
ーを用いて、本発明のタンパク質が関連する疾患のDN
A治療法を検討、開発することが可能である。
【0081】(9)ノックアウト動物 本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳
動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳
動物を提供する。すなわち、本発明は、(1)本発明の
DNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来の
β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不
活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、(3)ネオマ
イシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、(4)非
ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹
細胞、(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載
の胚幹細胞、(6)本発明のDNAが不活性化された該
DNA発現不全非ヒト哺乳動物、(7)該DNAがレポ
ーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポー
ター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制
御下で発現しうる第(6)項記載の非ヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記
載の非ヒト哺乳動物、(9)ゲッ歯動物がマウスである
第(8)項記載の非ヒト哺乳動物、および(10)第
(7)項記載の動物に、試験化合物を投与し、レポータ
ー遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のD
NAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化
合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
【0082】本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明
のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの
発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしてい
る本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させること
により、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能
を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称す
ることがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES
細胞と略記する)をいう。非ヒト哺乳動物としては、前
記と同様のものが用いられる。本発明のDNAに人為的
に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手
法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNA
を挿入または置換させることによって行なうことができ
る。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠
をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を
破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製
すればよい。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺
乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細
胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の
具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が
有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネ
オマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を
代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガ
ラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコー
ルアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレ
ポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能
を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に
遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA
付加シグナルなど)を挿入し、完全なメッセンジャーR
NAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子
を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖
(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例
えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得ら
れたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近
傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼ
ーション解析あるいはターゲッティングベクター上のD
NA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本
発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマー
としたPCR法により解析し、本発明のノックアウトE
S細胞を選別することにより得ることができる。
【0083】また、相同組換え法等により本発明のDN
Aを不活化させる元のES細胞としては、例えば、前述
のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知
EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでも
よい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的
には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的
背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免
疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなど
の目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/
6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善し
たBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2との
1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。B
DF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫である
という利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持
つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマ
ウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバックク
ロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウス
に代えることが可能である点で有利に用い得る。また、
ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の
胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚
盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期
胚を取得することができる。また、雌雄いずれのES細
胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列
キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の
手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行
なうことが望ましい。ES細胞の雌雄の判定方法として
は、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の
遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げる
ことができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析
をするのに約106個の細胞数を要していたのに対し
て、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むの
で、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを
雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の
選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削
減できる。
【0084】また、第二次セレクションとしては、例え
ば、G−バンディング法による染色体数の確認等により
行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常
数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の
関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウト
した後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n
=40である細胞)に再びクローニングすることが望ま
しい。このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その
増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすい
ので、注意深く継代培養することが必要である。例え
ば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上
でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養
器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5
%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養
するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプ
シン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシ
ン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%ト
リプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、
新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などが
とられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なう
が、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が
見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望ま
れる。ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るま
で単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊
培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々
のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J.
Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292
巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディング
ス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス
・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第7
8巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナ
ル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメン
タル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発
明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現
不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の
細胞生物学的検討において有用である。本発明のDNA
発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知
方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較するこ
とにより、正常動物と区別することが可能である。該非
ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられ
る。
【0085】本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティン
グベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入
し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のD
NAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えに
より、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の
本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることに
より、本発明のDNAをノックアウトさせることができ
る。本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発
明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブと
したサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッ
ティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティング
ベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の
近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法に
よる解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹
細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明
のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、そ
の細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動
物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠
させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された
動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変
異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成さ
れるキメラ動物である。該キメラ動物の生殖細胞の一部
が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキ
メラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体
群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のD
NA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コート
カラーの判定等により選別することにより得られる。こ
のようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク
質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質の
ヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本
発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができ
る。卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマ
イクロインジェクション法でDNA溶液を注入すること
によりターゲッティングベクターを染色体内に導入した
トランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、
これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、
遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のある
ものを選択することにより得られる。
【0086】このようにして本発明のDNAがノックア
ウトされている個体は、交配により得られた動物個体も
該DNAがノックアウトされていることを確認して通常
の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。さらに、
生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよ
い。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を
交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両
方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホ
モザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,
ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することに
より効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物
の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有する
ホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代
する。本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物
胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を
作出する上で、非常に有用である。また、本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のタンパク質によ
り誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明
のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病の
モデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治
療法の検討に有用である。
【0087】(10)本発明のDNAの欠損や損傷など
に起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物
のスクリーニング方法 本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本発明のD
NAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、感染症な
ど)に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリー
ニングに用いることができる。すなわち、本発明は、本
発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投
与し、該動物の変化を観察・測定することを特徴とす
る、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に
対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。該スクリーニング方法に
おいて用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動
物としては、前記と同様のものが挙げられる。試験化合
物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド
性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物
抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら
化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物
であってもよい。具体的には、本発明のDNA発現不全
非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照
動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状など
の変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験
することができる。試験動物を試験化合物で処理する方
法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いら
れ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて
適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量
は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選
択することができる。例えば、気管支喘息に対して治療
・予防効果を有する化合物をスクリーニングする場合、
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に抗原(例え
ば、OVA)を免役し、さらに同じ抗原(例えば、OV
A)を吸入させて気道過敏性を亢進させる際に、試験化
合物を投与し、該動物の気道抵抗や好酸球の浸潤などを
経時的に測定する。該スクリーニング方法において、試
験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の抗原
吸入による気道抵抗上昇が約10%以上、好ましくは約
30%以上、より好ましくは約50%以上抑制された場
合、該試験化合物を気管支喘息に対して治療・予防効果
を有する化合物として選択することができる。
【0088】本発明のスクリーニング方法を用いて得ら
れる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物
であり、本発明のタンパク質の発現上昇などによって引
き起こされる疾患(例、気管支喘息など)に対して治療
・予防効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性
な治療・予防剤などの医薬として使用することができ
る。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から
誘導される化合物も同様に用いることができる。該スク
リーニング方法で得られた化合物は塩を形成していても
よく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸
(例、無機酸、有機酸)や塩基(例アルカリ金属)など
との塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付
加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸
(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、
あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、
フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、
リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼ
ンスルホン酸)との塩などが用いられる。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬
は、前記した本発明のタンパク質を含有する医薬と同様
にして製造することができる。このようにして得られる
製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは
哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサ
ギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルな
ど)に対して投与することができる。該化合物またはそ
の塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなど
により差異はあるが、例えば、気管支喘息の治療目的で
該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60
kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.
1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より
好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投
与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象
疾患などによっても異なるが、例えば、気管支喘息の治
療目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgと
して)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.0
1〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程
度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射
により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、
60kg当たりに換算した量を投与することができる。
【0089】(11)本発明のDNAに対するプロモー
ターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニン
グ方法 本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、
試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出す
ることを特徴とする本発明のDNAに対するプロモータ
ーの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のス
クリーニング方法を提供する。上記スクリーニング方法
において、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物とし
ては、前記した本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物
の中でも、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入す
ることにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発
明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる
ものが用いられる。試験化合物としては、前記と同様の
ものが挙げられる。レポーター遺伝子としては、前記と
同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子
(lacZ)、可溶性アルカリフォスファターゼ遺伝子
またはルシフェラーゼ遺伝子などが好適である。本発明
のDNAをレポーター遺伝子で置換された本発明のDN
A発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本
発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在する
ので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレ
ースすることにより、プロモーターの活性を検出するこ
とができる。
【0090】例えば、本発明のタンパク質をコードする
DNA領域の一部を大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ
遺伝子(lacZ)で置換している場合、本来、本発明
のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の
代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例
えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−
ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラク
トシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することによ
り、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発
現状態を観察することができる。具体的には、本発明の
タンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルア
ルデヒドなどで固定し、リン酸緩衝生理食塩液(PB
S)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または
37℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組
織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄すること
によって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色
を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコー
ドするmRNAを検出してもよい。
【0091】上記スクリーニング方法を用いて得られる
化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれ
た化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター
活性を促進または阻害する化合物である。該スクリーニ
ング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、
該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、
無機酸)や塩基(例、有機酸)などとの塩が用いられ、
とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。こ
の様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リ
ン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例
えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安
息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との
塩などが用いられる。本発明のDNAaに対するプロモ
ーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明の
タンパク質aの発現を促進し、該タンパク質の活性を促
進することができるので、例えば、感染症(例えば、H
IV感染、HBV感染、HCV感染、結核感染、日和見
感染など)などの疾病に対する安全で低毒性な治療・予
防剤などの医薬として有用である。一方、本発明のDN
AaまたはDNAbに対するプロモーター活性を阻害す
る化合物またはその塩は、本発明のタンパク質の発現を
阻害し、該タンパク質の活性を阻害することができるの
で、例えば、気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患など肺・気
道の炎症を伴う肺・胸部疾患などの疾病に対する安全で
低毒性な治療・予防剤などの医薬として有用である。さ
らに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導さ
れる化合物も同様に用いることができる。
【0092】該スクリーニング方法で得られた化合物ま
たはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパ
ク質を含有する医薬と同様にして製造することができ
る。このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であ
るので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラッ
ト、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウ
シ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与するこ
とができる。該化合物またはその塩の投与量は、対象疾
患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例
えば、気管支喘息の治療目的で本発明のDNAに対する
プロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場
合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、
一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましく
は約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20
mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の
1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なる
が、例えば、気管支喘息の治療目的で本発明のDNAに
対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形
で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日に
つき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは
約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜1
0mg程度を静脈注射により投与するのが好都合であ
る。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を
投与することができる。一方、例えば、感染症の治療目
的で本発明のDNAaに対するプロモーター活性を促進
する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重6
0kgとして)においては、一日につき該化合物を約
0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、
より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的
に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、
対象疾患などによっても異なるが、例えば、感染症の治
療目的で本発明のDNAaに対するプロモーター活性を
促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとし
て)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01
〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、
より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射によ
り投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60
kg当たりに換算した量を投与することができる。この
ように、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、本
発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または
阻害する化合物またはその塩をスクリーニングする上で
極めて有用であり、本発明のDNA発現不全に起因する
各種疾患の原因究明または予防・治療薬の開発に大きく
貢献することができる。また、本発明のタンパク質のプ
ロモーター領域を含有するDNAを使って、その下流に
種々のタンパク質をコードする遺伝子を連結し、これを
動物の卵細胞に注入していわゆるトランスジェニック動
物(遺伝子移入動物)を作成すれば、特異的にそのタン
パク質を合成させ、その生体での作用を検討することも
可能となる。さらに上記プロモーター部分に適当なレポ
ーター遺伝子を結合させ、これが発現するような細胞株
を樹立すれば、 本発明のタンパク質そのものの体内で
の産生能力を特異的に促進もしくは抑制する作用を持つ
低分子化合物の探索系として使用できる。また該プロモ
ーター部分を解析することにより新たなシスエレメント
やそれに結合する転写因子を見つけることも可能であ
る。
【0093】本明細書および図面において、塩基やアミ
ノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB
Commision on Biochemical Nomenclature による略号あ
るいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、
その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があ
り得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとす
る。 DNA :デオキシリボ核酸 cDNA :相補的デオキシリボ核酸 A :アデニン T :チミン G :グアニン C :シトシン RNA :リボ核酸 mRNA :メッセンジャーリボ核酸 dATP :デオキシアデノシン三リン酸 dTTP :デオキシチミジン三リン酸 dGTP :デオキシグアノシン三リン酸 dCTP :デオキシシチジン三リン酸 ATP :アデノシン三リン酸 EDTA :エチレンジアミン四酢酸 SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
【0094】Gly :グリシン Ala :アラニン Val :バリン Leu :ロイシン Ile :イソロイシン Ser :セリン Thr :スレオニン Cys :システイン Met :メチオニン Glu :グルタミン酸 Asp :アスパラギン酸 Lys :リジン Arg :アルギニン His :ヒスチジン Phe :フェニルアラニン Tyr :チロシン Trp :トリプトファン Pro :プロリン Asn :アスパラギン Gln :グルタミン pGlu :ピログルタミン酸
【0095】また、本明細書中で繁用される置換基、保
護基および試薬を下記の記号で表記する。 Me :メチル基 Et :エチル基 Bu :ブチル基 Ph :フェニル基 TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基 Tos :p−トルエンスルフォニル CHO :ホルミル Bzl :ベンジル Cl2−Bzl :2,6−ジクロロベンジル Bom :ベンジルオキシメチル Z :ベンジルオキシカルボニル Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル Boc :t−ブトキシカルボニル DNP :ジニトロフェニル Trt :トリチル Bum :t−ブトキシメチル Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキ ソ−1,2,3−ベンゾトリアジン HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキ シイミド DCC :N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
【0096】本願明細書の配列表の配列番号は、以下の
配列を示す。 〔配列番号:1〕本発明のヒト胃由来タンパク質(成熟
体)のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:2〕本発明のシグナルペプチドのアミノ酸
配列を示す。 〔配列番号:3〕配列番号:1で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のヒト胃由来タンパク質(成熟体)を
コードするDNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:4〕配列番号:2で表わされるアミノ酸配
列を有する本発明のシグナルペプチドをコードするDN
Aの塩基配列を示す。 〔配列番号:5〕本発明のヒト胃由来タンパク質の前駆
体タンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:6〕実施例1で用いられたプライマーPR
1の塩基配列を示す。 〔配列番号:7〕実施例1で用いられたプライマーPR
2の塩基配列を示す。 〔配列番号:8〕実施例1、4で用いられたプライマー
PR3の塩基配列を示す。 〔配列番号:9〕実施例1で用いられたプライマーPR
4の塩基配列を示す。 〔配列番号:10〕実施例1で用いられたプライマーP
R5の塩基配列を示す。 〔配列番号:11〕実施例1で用いられたプライマーP
R6の塩基配列を示す。 〔配列番号:12〕実施例1で用いられたプライマーP
R7の塩基配列を示す。 〔配列番号:13〕実施例1で用いられたプライマーP
R8の塩基配列を示す。 〔配列番号:14〕実施例1で取得したECF−L全長
遺伝子を含むcDNAの塩基配列を示す。 〔配列番号:15〕実施例2で用いたECF−L遺伝子
プローブの塩基配列を示す。 〔配列番号:16〕実施例5で取得したクローンhEC
F−L−2の塩基配列を示す。 〔配列番号:17〕実施例1で取得したECF−L全長
遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列を示す。 〔配列番号:18〕ECF−Lタンパク質(成熟体)の
アミノ酸配列を示す。
【0097】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではな
い。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュ
ラー・クローニング(Molecular cloning)に記載され
ている方法に従った。実施例1において、マウスECF
−L全長遺伝子DNA断片をpT7 Blue−T V
ectorにクローニングして得られたプラスミドを保
持するEscherichia coli JM109/pT7-mECFLは1999年
9月20日に日本国茨城県つくば市東1丁目1番3号
(郵便番号305−8566)の通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所(NIBH)にFERM BP
−6881として寄託され、また1999年8月24日
に日本国大阪市淀川区十三本町2丁目17番85号(郵
便番号532−8686)の財団法人発酵研究所(IF
O)にIFO16315として寄託されている。実施例
6で得られたプラスミドpcDNA−hECFLを保持
するEscherichia coli DH5α/pcDNA-hECFLは1999
年9月20日にNIBHにFERM BP−6878と
して寄託され、また1999年8月24日にIFOにI
FO16312として寄託されている。
【0098】実施例1 気道過敏性亢進モデルマウスで発現が増加する遺伝子と
してのECF−L遺伝子のクローニング 気道過敏性亢進モデルマウスはBALB/cマウス(オ
ス、6週齢)に20μgOVA(オボアルブミン)、2
mgアラム含有生理食塩水を400μl腹腔注射し、1
週後に10μgOVA、 1mgアラム含有生理食塩水
を200μl腹腔注射することで感作を行ったあと、さ
らに1週間後より7日間連続して1/2濃度のPBSに
溶解させた5%OVA溶液を無麻酔自発呼吸下で25分
間吸入させることにより作製した。ステロイド投与群は
OVA吸入1時間前にデキサメサゾンを1mg/kg腹
腔注射することにより作製した。エアロゾル化は超音波
ネブライザー(ソニックライザー305、ATOMメデ
ィカル)を用いて行った。気道過敏性の亢進は最終抗原
吸入の24時間後にアセチルコリン(62.5−200
0μg/kg)による気道狭窄反応をKonzett−
Rossker法を用いて測定することにより判定し
た。また気管支肺胞洗浄液(BALF)はマウスをペン
トバルビタール麻酔による致死後、気管カニューレを挿
入し、0.5mlのPBSで3回洗浄を行うことにより
調製した。次にサイトスピン(700rpm、1mi
n)により塗抹標本を作製し、Diff−Quick染
色後検鏡し、マクロファージ、好酸球、好中球、リンパ
球およびその他の細胞の割合を計算した。サンプルとし
て用いたpoly(A)+RNAは正常マウス肺・気管
支および気道過敏性亢進モデルマウス肺・気管支及びそ
のデキサメサゾン投与群よりISOGEN(和光純薬社
製)を用いて全RNAを抽出し、さらにオリゴ−dTセ
ルロースカラム(ファルマシア社製)を通して調製し
た。これらのpoly(A)+RNAそれぞれ2μgを
出発材料としてPCR−select cDNAサブト
ラクションキット(クロンテック社製)を用いたサブト
ラクションにより気道過敏性亢進モデルマウス肺・気管
支で特異的に発現しているcDNA断片(cDNAの一
部をPCRで増幅した断片)を収集した。得られたPC
R断片の両端に付加しているサブトラクションのための
アダプターの配列を制限酵素RsaIで消化することに
より除去し、平滑末端のDNA断片にした後、この断片
をpT7Blue T−Vector(ノバゲン社製)
にサブクローニングした。サブクローニングされたcD
NA断片のDNA塩基配列を解読し、明らかとなった塩
基配列をもとに公のデータベースであるGeneble
データベースを用いてblastNによるホモロジー検
索を行った。その結果、調べた120クローンのうち1
0クローンは全て公知のマウスECF−L遺伝子(GE
NBANK ACCESSION NUMBER:D87
757 )をコードしている塩基配列と同一であること
が判明した。そこで気道過敏性亢進モデルマウス肺のp
oly(A)+RNAよりcDNA合成キット(宝酒造
社製)を用いてcDNAを合成し、これを鋳型としてE
CF−L遺伝子5’−非翻訳領域(PR1: 配列番
号:6)と3’−非翻訳領域(PR2:配列番号:7)
の2種のプライマーDNAをもちいてPCRを行い、E
CF−L全長遺伝子を取得した(配列番号14)。反応
はTakara EX Taq(宝酒造社製)を用いて
サーマルサイクラーGene Amp PCR Sys
tem 9700(パーキンエルマー社製)にて最初9
8℃で1分間おいた後で98℃で10秒、60℃で1
分、72℃で3分を1反応サイクルとして30サイクル
繰り返し、最後は72℃で10分間反応させた。得られ
たECF−L全長遺伝子DNA断片はpT7 Blue
−T Vectorにクローニングした。さらに合成プ
ライマー(PR1−8:配列番号6−13)を用いてサ
イクルシークエンス反応を行い、蛍光DNAシークエン
サー(ABI PRISM TM377、パーキンエ
ルマー社製)で得られた反応物の塩基配列を確認した。
【0099】実施例2 気道過敏性亢進モデルマウスでのECF−L遺伝子産物
の組織分布の解析 正常および気道過敏性亢進モデルマウスから各組織(肺
・心臓・肝臓・腎臓・脳・胸腺・脾臓・小腸・大腸・
胃)を摘出し、ISOGEN(和光純薬社製)を用いて
全RNAを調製した。この全RNAからオリゴ−dTセ
ルロースカラム(ファルマシア社製)を通してpoly
(A)+RNAを調製した。このpoly(A)+RN
A 0.5μgを2.2Mホルマリンを含む1.1%ア
ガロースゲル電気泳動にかけた後、ナイロンメンブレン
フィルター(ハイボンドN+、アマシャムファルマシア
バイオテク社製)にキャピラリーブロッティングにより
18時間ブロッティングした。紫外線処理によりこのナ
イロンメンブレンフィルター上にRNAを固定した後、
Express Hyb Hybridization
Solution(クロンテック社製)中65℃でプ
レハイブリダイゼーションを行った。一方、プローブと
して実施例1で示したECF−L cDNA断片の1つ
(配列番号15)を[α−32P]dCTPとBcaBES
T Labeling Kit(宝酒造社製)を用いて
標識した。ハイブリダイゼーションは標識プローブを含
むExpress Hyb Hybridizatio
n Solution中65℃、2時間で行った。フィ
ルターは最終的に0.1xSSC、0.1%SDS液中
50℃で洗浄し、検出はBAS−2000(フジフィル
ム社製)を用いて行った。その結果、ECF−L遺伝子
産物(mRNA)は正常マウスでは肺・胸腺・胃で発現
がみられた。気道過敏性亢進モデルマウスでは肺で顕著
に発現がみられ、気道過敏性亢進に伴い発現が強く誘導
されることが判明した。また胸腺・胃でも発現の増強が
認められた(図1)。
【0100】実施例3 気道過敏性亢進モデルマウスでのECF−L遺伝子発現
の経時変化の解析 上記、実施例1で説明した気道過敏性モデルマウスを用
いて、OVA吸入前、OVA吸入後2、3、4、5、
6、7日目における気道過敏性亢進および肺胞洗浄液中
への浸潤細胞数を実施例1と同様にして測定した(図
2、図3、図4)。また、OVA吸入前、OVA吸入後
1、2、3、5、7日目の肺を摘出し、実施例2と同様
にしてノーザンブロット解析を行った(図5)。その結
果、気道過敏性の亢進および肺胞洗浄液中への好酸球の
浸潤はOVA吸入後4日目から誘導されるのに対し、E
CF−L遺伝子の発現はOVA吸入後2日目から顕著に
誘導された。すなわち、ECF−L遺伝子の発現は気道
過敏性の亢進および好酸球の浸潤に先立って起こり、気
道炎症の結果としてECF−L遺伝子が発現してきたの
ではなく、ECF−L遺伝子の発現誘導が気道過敏性の
亢進および肺胞洗浄液中への好酸球の浸潤を引き起こし
た可能性を示唆する。
【0101】実施例4 気道過敏性亢進モデルマウスでのECF−L遺伝子発現
部位の同定 正常および気道過敏性亢進モデルマウス肺を4%パラホ
ルムアルデヒドにより灌流固定後摘出し、4℃で一晩固
定した。その後スクロース−HBSS溶液にスクロース
濃度を順次上げて置換し、最終的に18%スクロース−
HBSS溶液で置換、ドライアイスにて凍結した。凍結
した肺はクリオスタット内で−14℃、3時間静置後、
10−15μlの厚さに切断し、APSコート済みのス
ライドガラスに貼り付けた。DIGラベルプローブの調
製のためにはまず、実施例1で得たECF−L全長遺伝
子断片を鋳型に、合成プライマー(PR3:配列番号
8、PR6:配列番号11)を用いてPCRにより0.
6kbのECF−L DNA断片を増幅した。反応はT
akara EX Taq(宝酒造社製)を用いてサー
マルサイクラーGene Amp PCR Syste
m 9700(パーキンエルマー社製)にて最初94℃
で1分間おいた後で94℃で10秒、60℃で30秒、
72℃で90秒を1反応サイクルとして30サイクル繰
り返し、最後は72℃で10分間反応させた。次に増幅
したDNA断片をpCRII−TOPOvector
(インビトロゲン社製)に挿入し、DIG Label
ingKit(ベーリンガー・マンハイム社製)を用い
て添付のマニュアルに従い、SF6 RNA poly
meraseおよびT7 RNA polymeras
eによりベクターの両方向から伸長させ、DIGラベル
アンチセンスおよびセンスプローブを調製した。In
situハイブリダイゼーションはISHR Star
ter Kit(ニッポンジーン社製)を用いて添付の
マニュアルに従って行った。その結果、ECF−L遺伝
子は気道過敏性亢進モデルにおいて高発現していること
が認められた。正常マウスではECF−L遺伝子の発現
は肺のどの部位にもみられなかった(図6)。
【0102】実施例5 ヒト由来ECF−L様タンパク質をコードする遺伝子の
クローニング 実施例1で示したマウスECF−L全長遺伝子をプロー
ブに用い、ヒトRNAマスターブロット(クロンテック
社製)に対してノーザンブロット解析を行った。ハイブ
リダイゼーションは標識プローブを含むExpress
Hyb Hybridization Soluti
on中68℃、2時間で行い、洗浄は最終的に0.1x
SSC、0.1%SDS液中50℃で行った。検出はB
AS−2000(フジフィルム社製)を用いて行った。
その結果、胃に顕著なシグナルが検出された。そこでE
CF−L遺伝子のヒトカウンターパートをヒト胃cDN
Aライブラリーから取得することにした。ヒト胃5’−
ストレッチプラスcDNAライブラリー(ベクターとし
てλgt11ファージDNAを使用、クロンテック社
製)を大腸菌Y1090r株に感染させた後、軟寒天
プレート上に約20万プラークずつ7枚にまき、37℃
で一晩培養してプラークを形成させた。プラークをナイ
ロンメンブレンフィルター(Hybond−N、アマシ
ャムファルマシアバイオテク社製)上に移した後、変性
溶液(0.5N NaOH、 1.5M NaCl)、
中和液(0.5M Tris Cl pH8.0、1.
5M NaCl)、2xSSCで順次処理し、風乾後、
紫外線照射を行いファージDNAをナイロンメンブレン
フィルター上に固定した。プラークハイブリダイゼーシ
ョンは標識プローブを含むExpressHyb Hy
bridization Solution中68℃、
3時間以上行った。フィルターは最終的に0.1xSS
C、0.1%SDS液中50℃で洗浄後、オートラジオ
グラムをとってプローブとハイブリダイゼーションする
プラークを検索した。この方法を繰り返してシングルク
ローンにまで純化したファージクローンhECF−L-
1、2、3、10、13、a、bの7クローンよりキア
ゲンラムダミニキット(キアゲン社製)を用いて添付の
マニュアルに従い、ラムダDNAを調製した。続いてB
igDye Terminator Cycle Se
quencing Ready Reaction K
it(パーキンエルマー社製)を用いて反応を行い、挿
入されているcDNA断片の塩基配列をDNAシークエ
ンサー377(パーキンエルマー社製)を用いて決定し
た。その結果、取得した7クローンは同一のDNA断片
を含んでおり、最も長いDNA断片を有するクローンh
ECF−L−2は1678個の塩基配列を有していた
(配列番号16)。該cDNA断片には476個のアミ
ノ酸がコードされており、ヒト由来の新規ECF−L様
タンパク質がコードされていた(配列番号5)。該タン
パク質はマウスECF−Lとは塩基レベルで70%、ア
ミノ酸レベルで68%の相同性を有していた(図7、図
8)。またGenebleデーダベースを用いてbla
st Nによるホモロジー検索を行った結果、該cDN
Aはキチン分解酵素に属する新規遺伝子であることが判
明した(図9、図10)。該タンパク質はキチン分解酵
素の触媒中心に保存されている配列を有し、ヒトで報告
されている唯一のキチン分解酵素であるヒトキトトリオ
シダーゼ[ジャーナル オブ バイオロジカルケミスト
リー(J. Biol. Chem.)、第270巻、
26252頁(1995)]とは塩基レベルで57%、
アミノ酸レベルで51%の相同性を示した。
【0103】実施例6 ヒト由来新規ECF−L様タンパク質をコードする遺伝
子を動物細胞で発現させるためのベクターの構築 実施例5で示したヒト由来ECF−L様タンパク質をコ
ードする遺伝子を挿入したλgt11ファージDNAを
EcoRIで消化し、得られたヒト由来ECF−L様タ
ンパク質をコードする遺伝子を含む1.7kbpのDN
A断片を、同じくEcoRIで消化したpcDNA3.
1プラスミド(Invitrogen社製)に挿入し、
サイトメガロウイルスエンハンサー/プロモーター下流
にヒト由来ECF−L様タンパク質をコードする遺伝子
を有し、選択マーカーとしてネオマイシン耐性遺伝子を
有するプラスミドpcDNA−hECFLを得た。
【0104】実施例7 ヒト由来新規ECF−L様タンパク質をコードする遺伝
子のCOS−7細胞での発現とキチン分解酵素活性の検
定 COS−7細胞9×105個をT−75フラスコを用い
て、10%牛胎児血清(FCS)を含むダルベッコ変法
最少培地(DMEM)で24時間培養し、実施例6で示
した発現プラスミド(pcDNA−hECFL)7.5
μgをリポフェクトアミン(GIBCO BRL)を用
いて導入した。導入2日後、培地をFCSを含まないD
MEMに換えて4日間培養した後、培養上清を得た。キ
チン分解酵素活性の測定はRenkema,G.H.ら
の報告[ジャーナル オブ バイオロジカル ケミスト
リー(J. Biol. Chem.)、第20巻、2
198頁、(1995)]に従い行った。すなわち最終
濃度0.027mMとなるように蛍光基質(4−met
hylumbelliferyl β−D−N,N’−
diacetylchitobioside(4MU−
chitobioside),4−methylumb
elliferyl β−D−N,N,N’−tria
cetylchitotorioside(4MU−c
hitotriosoide))を溶解した反応バッフ
ァー(McIlvain buffer、pH 5.
2)100μlに上記の培養上清10μlを加え、37
℃で30分間インキュベートした。1mlの反応停止バ
ッファー(0.3M Glycine/NaOH bu
ffer、pH 10.6)を加え、反応を止め、キチ
ン分解酵素活性を蛍光測定装置(励起波長355nm、
測定波長460nm)にて測定した。陰性コントロール
としてはプラスミド未導入COS−7細胞培養上清を、
陽性コントロールとしてはSerratia marc
escensキチナーゼ0.001Uを使用した。その
結果、発現プラスミド(pcDNA−hECFL)導入
COS−7細胞培養上清中にキチン分解酵素活性を検出
した。
【0105】実施例8 ヒト由来新規ECFL様タンパク質をコードする遺伝子
の組織分布の解析 実施例4で示したヒト由来ECF−L様タンパク質をコ
ードする遺伝子挿入DNA断片(1.7kbp)をプロ
ーブに用い、ヒトRNAマスターブロット(クロンテッ
ク社製)に対してノーザンブロット解析を行った。ハイ
ブリダイゼーションは標識プローブを含むExpres
s Hyb Hybridization Solut
ion中68℃、2時間で行い、洗浄は最終的に0.1
xSSC、0.1%SDS液中50℃で行った。検出は
BAS−2000(フジフィルム社製)を用いて行っ
た。その結果、胃に顕著なシグナルが検出され、肺や胎
児肺にも発現が観察された(図11)。
【0106】
【発明の効果】本発明のタンパク質およびそれをコード
するDNAは、例えば、感染症などの疾病の治療・予防
剤として使用することができる。また、本発明のタンパ
ク質は、本発明のタンパク質の活性を促進もしくは阻害
する化合物またはその塩のスクリーニングのための試薬
として有用である。さらに、本発明のタンパク質の活性
を阻害する化合物またはその塩、本発明のタンパク質の
活性を阻害する中和抗体は、例えば、気管支喘息、慢性
閉塞性肺疾患などの疾病の治療・予防剤として使用する
ことができる。さらに、本発明のタンパク質に対する抗
体は、本発明のタンパク質を特異的に認識することがで
きるので、被検液中の本発明のタンパク質の定量などに
使用することができる。
【0107】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Takeda Chemical Industries, Ltd. <120> Novel protein and its DNA <130> B00333 <150> JP 11-324467 <151> 1999-11-15 <160> 18 <210> 1 <211> 455 <212> PRT <213> Human <400> 1 Tyr Gln Leu Thr Cys Tyr Phe Thr Asn Trp Ala Gln Tyr Arg Pro Gly 5 10 15 Leu Gly Arg Phe Met Pro Asp Asn Ile Asp Pro Cys Leu Cys Thr His 20 25 30 Leu Ile Tyr Ala Phe Ala Gly Arg Gln Asn Asn Glu Ile Thr Thr Ile 35 40 45 Glu Trp Asn Asp Val Thr Leu Tyr Gln Ala Phe Asn Gly Leu Lys Asn 50 55 60 Lys Asn Ser Gln Leu Lys Thr Leu Leu Ala Ile Gly Gly Trp Asn Phe 65 70 75 80 Gly Thr Ala Pro Phe Thr Ala Met Val Ser Thr Pro Glu Asn Arg Gln 85 90 95 Thr Phe Ile Thr Ser Val Ile Lys Phe Leu Arg Gln Tyr Glu Phe Asp 100 105 110 Gly Leu Asp Phe Asp Trp Glu Tyr Pro Gly Ser Arg Gly Ser Pro Pro 115 120 125 Gln Asp Lys His Leu Phe Thr Val Leu Val Gln Glu Met Arg Glu Ala 130 135 140 Phe Glu Gln Glu Ala Lys Gln Ile Asn Lys Pro Arg Leu Met Val Thr 145 150 155 160 Ala Ala Val Ala Ala Gly Ile Ser Asn Ile Gln Ser Gly Tyr Glu Ile 165 170 175 Pro Gln Leu Ser Gln Tyr Leu Asp Tyr Ile His Val Met Thr Tyr Asp 180 185 190 Leu His Gly Ser Trp Glu Gly Tyr Thr Gly Glu Asn Ser Pro Leu Tyr 195 200 205 Lys Tyr Pro Thr Asp Thr Gly Ser Asn Ala Tyr Leu Asn Val Asp Tyr 210 215 220 Val Met Asn Tyr Trp Lys Asp Asn Gly Ala Pro Ala Glu Lys Leu Ile 225 230 235 240 Val Gly Phe Pro Thr Tyr Gly His Asn Phe Ile Leu Ser Asn Pro Ser 245 250 255 Asn Thr Gly Ile Gly Ala Pro Thr Ser Gly Ala Gly Pro Ala Gly Pro 260 265 270 Tyr Ala Lys Glu Ser Gly Ile Trp Ala Tyr Tyr Glu Ile Cys Thr Phe 275 280 285 Leu Lys Asn Gly Ala Thr Gln Gly Trp Asp Ala Pro Gln Glu Val Pro 290 295 300 Tyr Ala Tyr Gln Gly Asn Val Trp Val Gly Tyr Asp Asn Ile Lys Ser 305 310 315 320 Phe Asp Ile Lys Ala Gln Trp Leu Lys His Asn Lys Phe Gly Gly Ala 325 330 335 Met Val Trp Ala Ile Asp Leu Asp Asp Phe Thr Gly Thr Phe Cys Asn 340 345 350 Gln Gly Lys Phe Pro Leu Ile Ser Thr Leu Lys Lys Ala Leu Gly Leu 355 360 365 Gln Ser Ala Ser Cys Thr Ala Pro Ala Gln Pro Ile Glu Pro Ile Thr 370 375 380 Ala Ala Pro Ser Gly Ser Gly Asn Gly Ser Gly Ser Ser Ser Ser Gly 385 390 395 400 Gly Ser Ser Gly Gly Ser Gly Phe Cys Ala Val Arg Ala Asn Gly Leu 405 410 415 Tyr Pro Val Ala Asn Asn Arg Asn Ala Phe Trp His Cys Val Asn Gly 420 425 430 Val Thr Tyr Gln Gln Asn Cys Gln Ala Gly Leu Val Phe Asp Thr Ser 435 440 445 Cys Asp Cys Cys Asn Trp Ala 450 455 <210> 2 <211> 21 <212> PRT <213> Human <400> 2 Met Thr Lys Leu Ile Leu Leu Thr Gly Leu Val Leu Ile Leu Asn Leu 5 10 15 Gln Leu Gly Ser Ala 20 <210> 3 <211> 1368 <212> DNA <213> Human <400> 3 TACCAGCTGA CATGCTACTT CACCAACTGG GCCCAGTACC GGCCAGGCCT GGGGCGCTTC 60 ATGCCTGACA ACATCGACCC CTGCCTCTGT ACCCACCTGA TCTACGCCTT TGCTGGGAGG 120 CAGAACAACG AGATCACCAC CATCGAATGG AATGATGTGA CTCTCTACCA AGCTTTCAAT 180 GGCCTGAAAA ATAAGAACAG CCAGCTGAAA ACTCTCCTGG CCATTGGAGG CTGGAACTTC 240 GGGACTGCCC CTTTCACTGC CATGGTTTCT ACTCCTGAGA ACCGCCAGAC TTTCATCACC 300 TCAGTCATCA AATTCCTGCG CCAGTATGAG TTTGACGGGC TGGACTTTGA CTGGGAGTAC 360 CCTGGCTCTC GTGGGAGCCC TCCTCAGGAC AAGCATCTCT TCACTGTCCT GGTGCAGGAA 420 ATGCGTGAAG CTTTTGAGCA GGAGGCCAAG CAGATCAACA AGCCCAGGCT GATGGTCACT 480 GCTGCAGTAG CTGCTGGCAT CTCCAATATC CAGTCTGGCT ATGAGATCCC CCAACTGTCA 540 CAGTACCTGG ACTACATCCA TGTCATGACC TACGACCTCC ATGGCTCCTG GGAGGGCTAC 600 ACTGGAGAGA ACAGCCCCCT CTACAAATAC CCGACTGACA CCGGCAGCAA CGCCTACCTC 660 AATGTGGATT ATGTCATGAA CTACTGGAAG GACAATGGAG CACCAGCTGA GAAGCTCATC 720 GTTGGATTCC CTACCTATGG ACACAACTTC ATCCTGAGCA ACCCCTCCAA CACTGGAATT 780 GGTGCCCCCA CCTCTGGTGC TGGTCCTGCT GGGCCCTATG CCAAGGAGTC TGGGATCTGG 840 GCTTACTACG AGATCTGTAC CTTCCTGAAA AATGGAGCCA CTCAGGGATG GGATGCCCCT 900 CAGGAAGTGC CTTATGCCTA TCAGGGCAAT GTGTGGGTTG GCTATGACAA CATCAAGAGC 960 TTCGATATTA AGGCTCAATG GCTTAAGCAC AACAAATTTG GAGGCGCCAT GGTCTGGGCC 1020 ATTGATCTGG ATGACTTCAC TGGCACTTTC TGCAACCAGG GCAAGTTTCC CCTAATCTCC 1080 ACCCTGAAGA AGGCCCTCGG CCTGCAGAGT GCAAGTTGCA CGGCTCCAGC TCAGCCCATT 1140 GAGCCAATAA CTGCTGCTCC CAGTGGCAGC GGGAACGGGA GCGGGAGTAG CAGCTCTGGA 1200 GGCAGCTCGG GAGGCAGTGG ATTCTGTGCT GTCAGAGCCA ACGGCCTCTA CCCCGTGGCA 1260 AATAACAGAA ATGCCTTCTG GCACTGCGTG AATGGAGTCA CGTACCAGCA GAACTGCCAG 1320 GCCGGGCTTG TCTTCGACAC CAGCTGTGAT TGCTGCAACT GGGCATAA 1368 <210> 4 <211> 63 <212> DNA <213> Human <400> 4 ATGACAAAGC TTATTCTCCT CACAGGTCTT GTCCTTATAC TGAATTTGCA GCTCGGCTCT 60 GCC 63 <210> 5 <211> 476 <212> PRT <213> Human <400> 5 Met Thr Lys Leu Ile Leu Leu Thr Gly Leu Val Leu Ile Leu Asn Leu 5 10 15 Gln Leu Gly Ser Ala Tyr Gln Leu Thr Cys Tyr Phe Thr Asn Trp Ala 20 25 30 Gln Tyr Arg Pro Gly Leu Gly Arg Phe Met Pro Asp Asn Ile Asp Pro 35 40 45 Cys Leu Cys Thr His Leu Ile Tyr Ala Phe Ala Gly Arg Gln Asn Asn 50 55 60 Glu Ile Thr Thr Ile Glu Trp Asn Asp Val Thr Leu Tyr Gln Ala Phe 65 70 75 80 Asn Gly Leu Lys Asn Lys Asn Ser Gln Leu Lys Thr Leu Leu Ala Ile 85 90 95 Gly Gly Trp Asn Phe Gly Thr Ala Pro Phe Thr Ala Met Val Ser Thr 100 105 110 Pro Glu Asn Arg Gln Thr Phe Ile Thr Ser Val Ile Lys Phe Leu Arg 115 120 125 Gln Tyr Glu Phe Asp Gly Leu Asp Phe Asp Trp Glu Tyr Pro Gly Ser 130 135 140 Arg Gly Ser Pro Pro Gln Asp Lys His Leu Phe Thr Val Leu Val Gln 145 150 155 160 Glu Met Arg Glu Ala Phe Glu Gln Glu Ala Lys Gln Ile Asn Lys Pro 165 170 175 Arg Leu Met Val Thr Ala Ala Val Ala Ala Gly Ile Ser Asn Ile Gln 180 185 190 Ser Gly Tyr Glu Ile Pro Gln Leu Ser Gln Tyr Leu Asp Tyr Ile His 195 200 205 Val Met Thr Tyr Asp Leu His Gly Ser Trp Glu Gly Tyr Thr Gly Glu 210 215 220 Asn Ser Pro Leu Tyr Lys Tyr Pro Thr Asp Thr Gly Ser Asn Ala Tyr 225 230 235 240 Leu Asn Val Asp Tyr Val Met Asn Tyr Trp Lys Asp Asn Gly Ala Pro 245 250 255 Ala Glu Lys Leu Ile Val Gly Phe Pro Thr Tyr Gly His Asn Phe Ile 260 265 270 Leu Ser Asn Pro Ser Asn Thr Gly Ile Gly Ala Pro Thr Ser Gly Ala 275 280 285 Gly Pro Ala Gly Pro Tyr Ala Lys Glu Ser Gly Ile Trp Ala Tyr Tyr 290 295 300 Glu Ile Cys Thr Phe Leu Lys Asn Gly Ala Thr Gln Gly Trp Asp Ala 305 310 315 320 Pro Gln Glu Val Pro Tyr Ala Tyr Gln Gly Asn Val Trp Val Gly Tyr 325 330 335 Asp Asn Ile Lys Ser Phe Asp Ile Lys Ala Gln Trp Leu Lys His Asn 340 345 350 Lys Phe Gly Gly Ala Met Val Trp Ala Ile Asp Leu Asp Asp Phe Thr 355 360 365 Gly Thr Phe Cys Asn Gln Gly Lys Phe Pro Leu Ile Ser Thr Leu Lys 370 375 380 Lys Ala Leu Gly Leu Gln Ser Ala Ser Cys Thr Ala Pro Ala Gln Pro 385 390 395 400 Ile Glu Pro Ile Thr Ala Ala Pro Ser Gly Ser Gly Asn Gly Ser Gly 405 410 415 Ser Ser Ser Ser Gly Gly Ser Ser Gly Gly Ser Gly Phe Cys Ala Val 420 425 430 Arg Ala Asn Gly Leu Tyr Pro Val Ala Asn Asn Arg Asn Ala Phe Trp 435 440 445 His Cys Val Asn Gly Val Thr Tyr Gln Gln Asn Cys Gln Ala Gly Leu 450 455 460 Val Phe Asp Thr Ser Cys Asp Cys Cys Asn Trp Ala 465 470 475 <210> 6 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 6 AAGACACCAT GGCCAAGCTC 20 <210> 7 <211> 24 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 7 ACAAGCATGG TGGTTTTACA GGAA 24 <210> 8 <211> 18 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 8 TGGTGAAGGA AATGCGTA 18 <210> 9 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 9 TTACGCATTT CCTTCACCA 19 <210> 10 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 10 ATTTAGGAGG TGCCGTGGT 19 <210> 11 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 11 GACCACGGCA CCTCCTAAAT 20 <210> 12 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 12 TACTCCTCAG AACCGTCAGA 20 <210> 13 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 13 CTCCAGTGTA GCCATCCTTA 20 <210> 14 <211> 1409 <212> DNA <213> Mouse <400> 14 AAGACACCAT GGCCAAGCTC ATTCTTGTCA CAGGTCTGGC AATTCTTCTG AACGTACAGC 60 TGGGATCTTC CTACCAGCTG ATGTGCTACT ATACCAGTTG GGCTAAGGAC AGGCCAATAG 120 AAGGGAGTTT CAAACCTGGT AATATTGACC CCTGCCTGTG TACTCACCTG ATCTATGCCT 180 TTGCTGGAAT GCAGAATAAT GAGATCACTT ACACACATGA GCAAGACTTG CGTGACTATG 180 AAGCATTGAA TGGTCTGAAA GACAAGAACA CTGAGCTAAA AACTCTCCTG GCCATTGGAG 240 GATGGAAGTT TGGACCTGCC CCGTTCAGTG CCATGGTCTC TACTCCTCAG AACCGTCAGA 300 TATTCATTCA GTCAGTTATC AGATTCCTTC GTCAATATAA CTTTGATGGC CTCAACCTGG 360 ACTGGCAGTA CCCTGGGTCT CGAGGAAGCC CTCCTAAGGA CAAACATCTC TTCAGTGTTC 420 TGGTGAAGGA AATGCGTAAA GCTTTTGAGG AAGAATCTGT GGAGAAAGAC ATTCCAAGGC 480 TGCTACTCAC TTCCACAGGA GCAGGAATCA TTGACGTAAT CAAGTCTGGG TACAAGATCC 540 CTGAACTGTC TCAGTCTCTT GACTATATTC AGGTCATGAC ATATGATCTC CATGATCCTA 600 AGGATGGCTA CACTGGAGAA AATAGTCCCC TCTATAAATC TCCATATGAC ATTGGAAAGA 660 GTGCTGATCT CAATGTGGAT TCAATCATTT CCTACTGGAA GGACCATGGA GCAGCTTCTG 720 AGAAGCTCAT TGTGGGATTT CCAGCATATG GGCATACCTT TATCCTGAGT GACCCTTCTA 780 AGACTGGAAT TGGTGCCCCT ACAATTAGTA CTGGCCCACC AGGAAAGTAC ACAGATGAAT 840 CAGGACTCCT GGCTTACTAT GAGGTTTGTA CATTTCTGAA TGAAGGAGCC ACTGAGGTCT 900 GGGATGCCCC CCAGGAAGTA CCCTATGCCT ATCAGGGTAA TGAGTGGGTT GGTTATGACA 960 ATGTCAGGAG CTTCAAGTTG AAGGCTCAGT GGCTCAAGGA CAACAATTTA GGAGGTGCCG 1020 TGGTCTGGCC CCTGGACATG GATGACTTCA GTGGTTCTTT CTGTCACCAG AGACATTTCC 1080 CTCTGACATC TACTTTAAAG GGAGATCTCA ATATACACAG TGCAAGTTGC AAGGGCCCTT 1140 ATTGAGAGGA GCTTTACACA ATGATTTGTC CTTGAAACTC TCAGAATAAG ATCAAGTTCA 1200 ACGGTTTTTC CACAGTGCAT TCTGCATCAT GCTTCCATGG AGAATAATAG AAATAAGTCA 1260 TGAACTTTCC TAAATTGAAT CCCAGAGTAG TACTAAGATG GATGTCTTGT CTGCTGTACC 1320 AGCTGGGAAG AAACAAAAAA TGCTCTTCAT CTGTCAGCTT TGGCTAAGCT CTGAACATCT 1380 TTTGCTTCCT GTAAAACCAC CATGCTTGT 1409 <210> 15 <211> 369 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Primer <400> 15 ACCCTATGCC TATCAGGGTA ATGAGTGGGT TGGTTATGAC AATGTCAGGA GCTTCAAGTT 60 GAAGGCTCAG TGGCTTAAGG ACAACAATTT AGGAGGTGCC GTGGTCTGGC CCCTGGACAT 120 GGATGACTTC AGTGGTTCTT TCTGTCACCA GAGACATTTC CCTCTGACAT CTACTTTAAA 180 GGGAGATCTC AATATACACA GTGCAAGTTG CAAGGGCTCT TATTGAGAGG AGCTTTACAC 240 AATGATTTGT CCTGAAACTC TCAGAATAAG ATCAAGTTCA ACGGTTTTTC CACAGGCATT 300 CTGCATCATG CTTCCATGGA GAATAATAGA AATAAGTCAT GAACTTTCCT AAATGAATCC 360 CAGAGTAGT 369 <210> 16 <211> 1678 <212> DNA <213> Human <400> 16 GAATTCCGGG CAAAAAGGTC ATCCAAGGAG GAAGCCGAGA TGGCCTACAA AGACTTCCTG 60 CTCCAGTCCA GCACCGTGGC CGCCGAGGCC CAGGACGGCC CCCAGGAAGC CTAGACGGTG 120 TCGCCGCCTG CTCCCTGCAC CCATGACAAA GCTTATTCTC CTCACAGGTC TTGTCCTTAT 180 ACTGAATTTG CAGCTCGGCT CTGCCTACCA GCTGACATGC TACTTCACCA ACTGGGCCCA 240 GTACCGGCCA GGCCTGGGGC GCTTCATGCC TGACAACATC GACCCCTGCC TCTGTACCCA 300 CCTGATCTAC GCCTTTGCTG GGAGGCAGAA CAACGAGATC ACCACCATCG AATGGAATGA 360 TGTGACTCTC TACCAAGCTT TCAATGGCCT GAAAAATAAG AACAGCCAGC TGAAAACTCT 420 CCTGGCCATT GGAGGCTGGA ACTTCGGGAC TGCCCCTTTC ACTGCCATGG TTTCTACTCC 480 TGAGAACCGC CAGACTTTCA TCACCTCAGT CATCAAATTC CTGCGCCAGT ATGAGTTTGA 540 CGGGCTGGAC TTTGACTGGG AGTACCCTGG CTCTCGTGGG AGCCCTCCTC AGGACAAGCA 600 TCTCTTCACT GTCCTGGTGC AGGAAATGCG TGAAGCTTTT GAGCAGGAGG CCAAGCAGAT 660 CAACAAGCCC AGGCTGATGG TCACTGCTGC AGTAGCTGCT GGCATCTCCA ATATCCAGTC 720 TGGCTATGAG ATCCCCCAAC TGTCACAGTA CCTGGACTAC ATCCATGTCA TGACCTACGA 780 CCTCCATGGC TCCTGGGAGG GCTACACTGG AGAGAACAGC CCCCTCTACA AATACCCGAC 840 TGACACCGGC AGCAACGCCT ACCTCAATGT GGATTATGTC ATGAACTACT GGAAGGACAA 900 TGGAGCACCA GCTGAGAAGC TCATCGTTGG ATTCCCTACC TATGGACACA ACTTCATCCT 960 GAGCAACCCC TCCAACACTG GAATTGGTGC CCCCACCTCT GGTGCTGGTC CTGCTGGGCC 1020 CTATGCCAAG GAGTCTGGGA TCTGGGCTTA CTACGAGATC TGTACCTTCC TGAAAAATGG 1080 AGCCACTCAG GGATGGGATG CCCCTCAGGA AGTGCCTTAT GCCTATCAGG GCAATGTGTG 1140 GGTTGGCTAT GACAACATCA AGAGCTTCGA TATTAAGGCT CAATGGCTTA AGCACAACAA 1200 ATTTGGAGGC GCCATGGTCT GGGCCATTGA TCTGGATGAC TTCACTGGCA CTTTCTGCAA 1260 CCAGGGCAAG TTTCCCCTAA TCTCCACCCT GAAGAAGGCC CTCGGCCTGC AGAGTGCAAG 1320 TTGCACGGCT CCAGCTCAGC CCATTGAGCC AATAACTGCT GCTCCCAGTG GCAGCGGGAA 1380 CGGGAGCGGG AGTAGCAGCT CTGGAGGCAG CTCGGGAGGC AGTGGATTCT GTGCTGTCAG 1440 AGCCAACGGC CTCTACCCCG TGGCAAATAA CAGAAATGCC TTCTGGCACT GCGTGAATGG 1500 AGTCACGTAC CAGCAGAACT GCCAGGCCGG GCTTGTCTTC GACACCAGCT GTGATTGCTG 1560 CAACTGGGCA TAAACCTGAC CTGGTCTATA TTCCCTAGAG TTCCAGTCTC TTTTGCTTAG 1620 GACATGTTGC CCCTACCTAA AGTCCTGCAA TAAAATCAGC AGTCAAAACC CGGAATTC 1678 <210> 17 <211> 398 <212> PRT <213> Mouse <400> 17 Met Ala Lys Leu Ile Leu Val Thr Gly Leu Ala Ile Leu Leu Asn Val 5 10 15 Gln Leu Gly Ser Ser Tyr Gln Leu Met Cys Tyr Tyr Thr Ser Trp Ala 20 25 30 Lys Asp Arg Pro Ile Glu Gly Ser Phe Lys Pro Gly Asn Ile Asp Pro 35 40 45 Cys Leu Cys Thr His Leu Ile Tyr Ala Phe Ala Gly Met Gln Asn Asn 50 55 60 Glu Ile Thr Tyr Thr His Glu Gln Asp Leu Arg Asp Tyr Glu Ala Leu 65 70 75 80 Asn Gly Leu Lys Asp Lys Asn Thr Glu Leu Lys Thr Leu Leu Ala Ile 85 90 95 Gly Gly Trp Lys Phe Gly Pro Ala Pro Phe Ser Ala Met Val Ser Thr 100 105 110 Pro Gln Asn Arg Gln Ile Phe Ile Gln Ser Val Ile Arg Phe Leu Arg 115 120 125 Gln Tyr Asn Phe Asp Gly Leu Asn Leu Asp Trp Gln Tyr Pro Gly Ser 130 135 140 Arg Gly Ser Pro Pro Lys Asp Lys His Leu Phe Ser Val Leu Val Lys 145 150 155 160 Glu Met Arg Lys Ala Phe Glu Glu Glu Ser Val Glu Lys Asp Ile Pro 165 170 175 Arg Leu Leu Leu Thr Ser Thr Gly Ala Gly Ile Ile Asp Val Ile Lys 180 185 190 Ser Gly Tyr Lys Ile Pro Glu Leu Ser Gln Ser Leu Asp Tyr Ile Gln 195 200 205 Val Met Thr Tyr Asp Leu His Asp Pro Lys Asp Gly Tyr Thr Gly Glu 210 215 220 Asn Ser Pro Leu Tyr Lys Ser Pro Tyr Asp Ile Gly Lys Ser Ala Asp 225 230 235 240 Leu Asn Val Asp Ser Ile Ile Ser Tyr Trp Lys Asp His Gly Ala Ala 245 250 255 Ser Glu Lys Leu Ile Val Gly Phe Pro Ala Tyr Gly His Thr Phe Ile 260 265 270 Leu Ser Asp Pro Ser Lys Thr Gly Ile Gly Ala Pro Thr Ile Ser Thr 275 280 285 Gly Pro Pro Gly Lys Tyr Thr Asp Glu Ser Gly Leu Leu Ala Tyr Tyr 290 295 300 Glu Val Cys Thr Phe Leu Asn Glu Gly Ala Thr Glu Val Trp Asp Ala 305 310 315 320 Pro Gln Glu Val Pro Tyr Ala Tyr Gln Gly Asn Glu Trp Val Gly Tyr 325 330 335 Asp Asn Val Arg Ser Phe Lys Leu Lys Ala Gln Trp Leu Lys Asp Asn 340 345 350 Asn Leu Gly Gly Ala Val Val Trp Pro Leu Asp Met Asp Asp Phe Ser 355 360 365 Gly Ser Phe Cys His Gln Arg His Phe Pro Leu Thr Ser Thr Leu Lys 370 375 380 Gly Asp Leu Asn Ile His Ser Ala Ser Cys Lys Gly Pro Tyr 385 390 395 <210> 18 <211> 377 <212> PRT <213> Mouse <400> 18 Tyr Gln Leu Met Cys Tyr Tyr Thr Ser Trp Ala Lys Asp Arg Pro Ile 5 10 15 Glu Gly Ser Phe Lys Pro Gly Asn Ile Asp Pro Cys Leu Cys Thr His 20 25 30 Leu Ile Tyr Ala Phe Ala Gly Met Gln Asn Asn Glu Ile Thr Tyr Thr 35 40 45 His Glu Gln Asp Leu Arg Asp Tyr Glu Ala Leu Asn Gly Leu Lys Asp 50 55 60 Lys Asn Thr Glu Leu Lys Thr Leu Leu Ala Ile Gly Gly Trp Lys Phe 65 70 75 80 Gly Pro Ala Pro Phe Ser Ala Met Val Ser Thr Pro Gln Asn Arg Gln 85 90 95 Ile Phe Ile Gln Ser Val Ile Arg Phe Leu Arg Gln Tyr Asn Phe Asp 100 105 110 Gly Leu Asn Leu Asp Trp Gln Tyr Pro Gly Ser Arg Gly Ser Pro Pro 115 120 125 Lys Asp Lys His Leu Phe Ser Val Leu Val Lys Glu Met Arg Lys Ala 130 135 140 Phe Glu Glu Glu Ser Val Glu Lys Asp Ile Pro Arg Leu Leu Leu Thr 145 150 155 160 Ser Thr Gly Ala Gly Ile Ile Asp Val Ile Lys Ser Gly Tyr Lys Ile 165 170 175 Pro Glu Leu Ser Gln Ser Leu Asp Tyr Ile Gln Val Met Thr Tyr Asp 180 185 190 Leu His Asp Pro Lys Asp Gly Tyr Thr Gly Glu Asn Ser Pro Leu Tyr 195 200 205 Lys Ser Pro Tyr Asp Ile Gly Lys Ser Ala Asp Leu Asn Val Asp Ser 210 215 220 Ile Ile Ser Tyr Trp Lys Asp His Gly Ala Ala Ser Glu Lys Leu Ile 225 230 235 240 Val Gly Phe Pro Ala Tyr Gly His Thr Phe Ile Leu Ser Asp Pro Ser 245 250 255 Lys Thr Gly Ile Gly Ala Pro Thr Ile Ser Thr Gly Pro Pro Gly Lys 260 265 270 Tyr Thr Asp Glu Ser Gly Leu Leu Ala Tyr Tyr Glu Val Cys Thr Phe 275 280 285 Leu Asn Glu Gly Ala Thr Glu Val Trp Asp Ala Pro Gln Glu Val Pro 290 295 300 Tyr Ala Tyr Gln Gly Asn Glu Trp Val Gly Tyr Asp Asn Val Arg Ser 305 310 315 320 Phe Lys Leu Lys Ala Gln Trp Leu Lys Asp Asn Asn Leu Gly Gly Ala 325 330 335 Val Val Trp Pro Leu Asp Met Asp Asp Phe Ser Gly Ser Phe Cys His 340 345 350 Gln Arg His Phe Pro Leu Thr Ser Thr Leu Lys Gly Asp Leu Asn Ile 355 360 365 His Ser Ala Ser Cys Lys Gly Pro Tyr 370 377
【0108】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例2で示した正常および気道過敏性亢進モ
デルマウスでのECF−L遺伝子産物(mRNA)の組
織分布を示す。図中、Lu、H、Li、Ki、Br、Thy、Sp、S
I、LI、StおよびPBLはそれぞれ、肺、心臓、肝臓、腎
臓、脳、胸腺、脾臓、小腸、大腸、胃および末梢血リン
パ球を示す。
【図2】実施例3で示した実験における投薬スケジュー
ルを示す。
【図3】アセチルコリン500μg/kg投与に対する
気道反応性の経時変化を示す。Achはアセチルコリン
を示す。
【図4】実施例3で示した肺胞洗浄液中の浸潤細胞数の
経時変化を示す。Mφ、Eos、NeuおよびLymはそれぞれ、
マクロファージ、好酸球、好中球およびリンパ球を示
す。
【図5】実施例3で示した気道過敏性亢進モデルマウス
でのECF−L遺伝子産物(mRNA)の経時変化を示
す。
【図6】実施例4で示した気道過敏性亢進モデルマウス
および正常マウスの肺凍結切片でのECF−L遺伝子発
現部位を示す。
【図7】ヒト由来ECF−L様タンパク質をコードする
DNA(ヒトECF−L)とマウスECF−L遺伝子
(マウスECF−L)との塩基配列の比較を示す。
【図8】ヒト由来ECF−L様タンパク質(ヒトECF
−L)とマウスECF−Lタンパク質(マウスECF−
L)とのアミノ酸配列の比較を示す。
【図9】ヒト由来ECF−L様タンパク質(ヒトECF
−L)と、キチン分解酵素ファミリーに属する他のタン
パク質(ヒトキトトリオキシダーゼ、ヒトHC−gp3
9prt、ヒトYKL−39)とのアミノ酸配列の比較
を示す。(図10へつづく)
【図10】ヒト由来ECF−L様タンパク質(ヒトEC
F−L)と、キチン分解酵素ファミリーに属する他のタ
ンパク質(ヒトキトトリオキシダーゼ、ヒトHC−gp
39prt、ヒトYKL−39)とのアミノ酸配列の比
較を示す。(図9からのつづき)
【図11】ヒト由来ECF−L様タンパク質をコードす
る遺伝子(mRNA)の組織分布を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 11/06 A61P 31/06 31/04 31/12 31/06 31/18 31/12 37/02 31/18 37/08 37/02 43/00 111 37/08 C07K 16/40 43/00 111 C12N 1/15 C07K 16/40 1/19 C12N 1/15 1/21 1/19 9/34 1/21 G01N 33/15 Z 5/10 33/50 Z 9/34 C12P 21/08 G01N 33/15 C12N 15/00 ZNAA 33/50 A61K 37/02 // C12P 21/08 C12N 5/00 A

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
    ンパク質またはその塩。
  2. 【請求項2】請求項1記載のタンパク質の部分ペプチド
    またはその塩。
  3. 【請求項3】配列番号:2で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するシグ
    ナルペプチドまたはその塩。
  4. 【請求項4】請求項1記載のタンパク質または請求項2
    記載の部分ペプチドをコードするDNAを含有するDN
    A。
  5. 【請求項5】配列番号:3で表わされる塩基配列を有す
    る請求項4記載のDNA。
  6. 【請求項6】請求項3記載のシグナルペプチドをコード
    するDNAを含有するDNA。
  7. 【請求項7】配列番号:4で表わされる塩基配列を有す
    る請求項6記載のDNA。
  8. 【請求項8】請求項4記載のDNAを含有する組換えベ
    クター。
  9. 【請求項9】請求項8記載の組換えベクターで形質転換
    された形質転換体。
  10. 【請求項10】請求項9記載の形質転換体を培養し、請
    求項1記載のタンパク質または請求項2記載の部分ペプ
    チドを生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴と
    する請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記載の
    部分ペプチドまたはその塩の製造法。
  11. 【請求項11】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項2記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる医
    薬。
  12. 【請求項12】請求項4記載のDNAを含有してなる医
    薬。
  13. 【請求項13】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項2記載の部分ペプチドまたはその塩に対する抗体。
  14. 【請求項14】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項2記載の部分ペプチドまたはその塩を用いることを特
    徴とする、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻
    害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
  15. 【請求項15】請求項1記載のタンパク質もしくは請求
    項2記載の部分ペプチドまたはその塩を含有してなる、
    請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記載の部分
    ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害する化合
    物またはその塩のスクリーニング用キット。
  16. 【請求項16】請求項14記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項15記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2
    記載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻
    害する化合物またはその塩。
  17. 【請求項17】請求項14記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項15記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる請求項1記載のタンパク質もしくは請求項2記
    載の部分ペプチドまたはその塩の活性を促進または阻害
    する化合物またはその塩を含有してなる医薬。
  18. 【請求項18】配列番号:18で表わされるアミノ酸配
    列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    るタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を
    用いることを特徴とする、配列番号:18で表わされる
    アミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配
    列を含有するタンパク質もしくはその部分ペプチドまた
    はその塩の活性を阻害する化合物またはその塩のスクリ
    ーニング方法。
  19. 【請求項19】配列番号:18で表わされるアミノ酸配
    列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    るタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩を
    含有してなる、配列番号:18で表わされるアミノ酸配
    列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有す
    るタンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の
    活性を阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用
    キット。
  20. 【請求項20】請求項18記載のスクリーニング方法ま
    たは請求項19記載のスクリーニング用キットを用いて
    得られる、配列番号:18で表わされるアミノ酸配列と
    同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を含有するタ
    ンパク質もしくはその部分ペプチドまたはその塩の活性
    を阻害する化合物またはその塩。
  21. 【請求項21】請求項20記載の化合物またはその塩を
    含有してなる医薬。
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JPN6010041154, Gene. 1999 Nov 1;239(2):325−331. *
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