JP2001200337A - 焼付硬化性と耐常温時効性に優れた冷延鋼板およびその製造方法 - Google Patents
焼付硬化性と耐常温時効性に優れた冷延鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 重量%で、C:0.0010〜0.0035%、Si:
0.05%以下、Mn:0.17〜0.80%、P:0.01〜0.08%、S:
0.003〜0.02%、SolAl:0.03〜0.1%、Nb:0.003〜0.02
%かつ93/12[C%]以下、N: 0.0015%以下を含み、さら
にC+N≦0.0035%かつC/N≧1となるように含有し、残部
がFeおよび不可避的不純物からなる冷延鋼板。前記鋼板
は、熱間圧延、冷間圧延を施し、次いで平均昇温速度:
20℃/sec以上で昇温し、次いで温度:800〜870℃で保持
し、次いで平均冷却速度:5〜20℃/secで600℃以下まで
冷却し、さらに100℃以下まで冷却後、圧延率:1.0〜2.
0%の調質圧延を施し製造される。
Description
板などに用いられる冷延鋼板(冷延鋼板に亜鉛めっきな
どの表面処理を施した表面処理鋼板を含む)およびその
製造方法に関し、特に加工性に優れ、焼付硬化性を有す
る、冷延鋼板およびその製造方法に関する。
て行われる塗装焼付処理(170℃×20分程度の加熱工
程)を利用し、固溶C、N原子によるひずみ時効現象によ
って部品強度が上昇する鋼板である。このBH鋼板には低
炭素系鋼種、極低炭素系鋼種があるが、低炭素系は伸び
およびr値が極低炭素系と比較すると劣る。そのため自
動車外板などの深絞り部品の成形には一般的に極低炭素
系BH鋼板が用いられている。
硬化性を表し、引張試験において2%ひずみ時の変形応
力と、そこで直ちに除荷重し170℃、20分の熱処理を行
った後再引張りを行った時の降伏応力の差である)が高
く、常温時効量(:鋼板を製造後、ユーザーで使用まで
の時効による材質劣化を表し、評価は一般的に鋼板を製
造後一定時間恒温保持し、YPElの発生およびYP上昇を観
察することにより行う)が少ないことが必要であり、こ
れらの特性はFe格子中の固溶C、N濃度に依存するので、
固溶C、N濃度の制御が重要となる。
素および窒化物生成元素の添加により行われている。炭
窒化物生成元素を添加する技術として、例えば特公昭60
-17004号公報にはNb添加が、特公昭61-45689号公報、特
開平3-257124号公報、特開平5-230598号公報、特開平5-
263184号公報にはNb-Ti添加が、特公昭60-47328号公報
にはNb-Ti-B添加が、特公昭61-11296号公報にはNb-B添
加がそれぞれ開示されている。
60-17004号公報に記載のNb添加鋼は固溶C量をNbで調整
し、Alで固溶N量を調整しているため、AlNの析出はAlの
拡散速度に律速され、従来レベルの0.0015%を超えるN
が含まれる場合、Alを添加しても実際には固溶Nが数ppm
残留してしまう。
公報、特開平5-230598号公報、特開平5-263184号公報記
載のNb-Ti添加鋼では、Nの固定をより促進するためにTi
を添加している。しかし、BH鋼板にTiを添加する場合、
過剰に添加してC原子をTiCとして析出させてしまうとBH
性そのものが失われるので、N原子のみをTiNとして析出
させるために、Tiの添加量はNとの化学量論的関係か
ら、例えばN濃度が0.0020%の時、Ti濃度は0.0069%程
度としていた。しかしながらこのようなTi、N濃度領域
ではオーステナイト中のTiNの析出開始温度が900℃近辺
と低温になるため、熱間圧延工程で析出するTiN析出物
サイズが極めて細かくなり、この析出物が強度を上昇さ
せ、成形性を劣化させる問題がある。
Nb-Ti添加鋼と同様にBNとして固溶Nの低減を狙っている
が、Bが粒界に偏析することによりr値を低下させるとい
う問題がある。
するため、高いBH量を得ようとすると常温時効により材
質が劣化する。一方、常温時効での特性安定性を求める
とBH量が不足した。
板は諸々の問題点を有している上に、特性面でBH性と耐
常温時効性との両立が困難であった。
工程でのC、N制御が非効率かつ不安定であったため、固
溶C、Nを最適に制御することができなかった。すなわ
ち、従来の製鋼法では、脱珪、脱燐を脱炭、脱窒工程で
同時に行うもしくは溶銑予備処理工程として脱燐工程な
どを備えてC、N制御を行っていたが、燐、珪素の低減が
不十分であり、そのため所望のC、N濃度に調整するため
に非常に長い処理時間を要するばかりか、安定制御が不
可能でチャージ間のばらつきが大きかった。
もので、BH量を安定して確保しつつ常温時効を抑制し
た、焼付硬化性と耐常温時効性のバランスに優れ、成形
性低下などの窒化物起因の問題点がない、冷延鋼板およ
びその製造方法を提供することを目的とする。
解決するために、固溶C、Nのひずみ時効挙動について詳
細に検討を重ねた結果、鋼中C、N濃度を限られた範囲に
制御することで、BH性と耐常温時効性を両立し、さらに
自動車外板などのプレス素材として最適な特性が得られ
ることを見出した。
を最適化し、C+Nを制御することにより耐常温時効性を
優れたものとした。さらにC/Nを1以上にすることにより
BH性と常温時効性のバランスを向上させた。また、さら
にN濃度を従来にない極めて低いレベルで制御するとコ
イル内での材質変動の抑制に対して極めて良好な領域が
あることをも見出し、本発明に至った。
燐工程、脱珪工程、脱炭工程、脱窒工程および真空脱ガ
ス工程を各々独立して行い、溶鋼を成分制御し、さらに
薄鋼板製造工程での浸炭、浸窒を抑制することにより、
鋼中の総炭素、窒素濃度を従来にない極めて低いレベル
にしかも安定的に制御することを見出した。
で、以下のような構成を有する。 [1]重量%で、C:0.0010〜0.0035%、Si:0.05%以下、
Mn:0.17〜0.80%、P:0.01〜0.08%、S:0.003〜0.02
%、SolAl:0.03〜0.1%、Nb:0.003〜0.02%かつ93/12
[C%]以下、N:0.0015%以下を含み、さらにC+N≦0.003
5%かつC/N≧1となるように含有し、残部がFeおよび不
可避的不純物からなることを特徴とする焼付硬化性と耐
常温時効性に優れた冷延鋼板。
Ti:0.001〜0.02%かつ48/32[S%]+48/14[N%]以下を含
有することを特徴とする焼付硬化性と耐常温時効性に優
れた冷延鋼板。
重量%で、B:0.0001〜0.001%含有することを特徴と
する焼付硬化性と耐常温時効性に優れた冷延鋼板。
制御後、連続鋳造によりスラブとし、熱間圧延、冷間圧
延を施し、次いで平均昇温速度:20℃/sec以上で昇温
し、次いで温度:800〜870℃で保持し、次いで平均冷却
速度:5〜20℃/secで600℃以下まで冷却し、さらに100
℃以下まで冷却後、圧延率:1.0〜2.0%の調質圧延を施
すことを特徴とする焼付硬化性と耐常温時効性に優れた
冷延鋼板の製造方法。
由とともに説明する。まず成分の限定理由を説明する。
存在する。それらのうち、固溶Cは、本発明に係るBH鋼
板においてBH量を安定して確保するために最も重要な要
件である。従って、Cの制御が極めて重要であり、Cが0.
0010%未満では大部分がNbCとして析出し、BH量が不足
する。一方、Cが0.0035%を超えるとBH量が大きすぎ、
成形前における常温時効による材質劣化が大きくなる。
以上より、Cは0.0010%〜0.0035%とする。
を調整するため適宜添加してよい。しかし0.05%を超え
ると鋼板表面性状が劣化するため、Siは0.05%以下とす
る。
作用によりBH量を安定に調整する目的で添加される。Mn
が0.17%未満ではBH量が不十分となる。一方、Mnが0.80
%を超えると強度が高くなりすぎ、成形性が劣化する。
従って、Mnは0.17%〜0.80%とする。BH性の観点から望
ましくは0.36%以上とする必要があるPはr値向上の目的
および固溶強化元素として添加される。Pが0.01%未満
ではr値が低下する。一方、Pが0.08%を超えると鋼板表
面性状が劣化する。従ってPは0.01%〜0.08%とする。
化させるので低減する必要がある。Sが0.02%を超える
と延性劣化への影響が顕著である。一方、Sが0.003%未
満に低減しても材質向上効果が得られないばかりか製造
コストが極めて上昇する。従ってSは0.003%〜0.02%と
する。
素である。Alは、Nを熱延後および焼鈍中にAlNとして析
出させる働きがある。Alが0.03%未満ではNをすべて析
出させることができず、そのため残留した固溶Nがひず
み時効により成形前に常温時効による材質劣化をもたら
し、極めて有害である。一方、Alが0.1%を超えるとAlN
析出効果は飽和し、鋼板の表面性状が劣化する。従って
Alは0.03%〜0.1%とする。
目的で添加される。Nbが0.003%未満ではこの効果が不
十分である。一方、Nbが0.02%または93/12Cを超えて添
加するとCの大部分がNbCとして析出し、固溶Cが少なく
なるためBH量が不十分となる。従って、Nbは0.003%〜
0.02%かつ93/12C以下とする必要がある。
ある。NはCと比較して拡散が早いため、常温時効に対し
て有害であると考えられる。そのため一般にAl、Ti、B
などの窒化物生成元素を添加して固溶Nを低減する。し
かし窒化物としても今度は窒化物そのものが材質劣化、
コイル内の材質ばらつきをもたらす。このような材質劣
化はNが0.0015%を超えると顕著となる。従ってNは0.00
15%以下とする必要がある。Nが0.0012%以下でさらに
コイル内の材質変動が少なくなるので、Nは望ましくは
0.0012%以下、さらに望ましくは0.0010%以下とする。
で常温時効に係る。C+Nが0.0035%を超えると上記の成
分範囲内においてもC、Nが材質劣化をもたらす。C、N原
子が固溶C、Nとして鋼中に過剰に存在すると耐常温時効
性を劣化させることは勿論であるが、たとえTi、Nb、A
l、Bなどの炭窒化物生成元素を添加して析出物として
も、これら析出物が焼鈍時の結晶粒成長を阻害し、その
ため降伏応力が増加し、調質圧延でのひずみ導入が不十
分となる。このことがBH鋼板の耐常温時効特性に著しい
劣化をもたらすため、C+Nは0.0035%以下としなければ
ならない。望ましくは0.0030%以下にすることによりさ
らに耐常温時効性が向上する。
が不可欠なパラメータである。C/Nが1未満ではBH量が低
いまたは常温時効による材質劣化が著しくなる。よっ
て、C/Nは1以上とする。
じて添加される。添加する場合は0.001%〜0.02%でかつ4
8/32[%S]+48/14[%N]以下の範囲で行う。Tiが0.001%未
満ではその効果がなく、0.02%を超えると合金化溶融亜
鉛めっきを行った場合に表面性状を劣化させるので好ま
しくない。さらに48/32[%S]+48/14[%N]を超えるとTiCを
析出し固溶C量が減少するためBH量が低下する。
る。そのため加工度が高く、使用温度が低い場合につい
ては必要に応じて添加する。Bが0.0001%未満ではその
効果がなく、0.001%以上ではr値が極めて劣化するの
で、Bを添加する場合は0.0001〜0.001%とするのが好ま
しい。
優れた冷延鋼板の製造方法について説明する。まず、製
鋼工程において、脱燐工程、脱珪工程、脱炭工程、脱窒
工程により、溶鋼の成分を調整する。この時、従来の如
く脱炭工程および脱窒工程で同時に脱珪、脱燐を行うと
所望のC、N濃度を得るのに非常に長い処理時間がかか
り、本発明で必須である極低C、Nを安定的に達成するこ
とが困難となる。そのため、各工程は独立して行う。ま
たBH鋼板ではC濃度のばらつき制御が非常に重要である
ので、脱炭工程、脱窒工程前に脱珪工程、脱燐工程をそ
れぞれ行い、燐、珪素の濃度をBH鋼板で所望の濃度レベ
ルまで低減しておくことがC、Nの安定制御のために望ま
しい。
鋳造スラブはそのまま、または再加熱後熱間圧延を行
う。再加熱を行う際の再加熱温度は、表面性状を向上さ
せるため1250℃以下で行うことが望ましい。熱間圧延は
仕上げ温度:Ar3以上920℃未満で仕上げることが望まし
い。仕上げ温度がAr3未満の温度では鋼板表層に粗大粒
を発生し、r値が劣化する。また、仕上げ温度が920℃以
上では冷却中に結晶粒が成長し、r値を劣化させる。
却速度:20℃/sec以上で700℃以下の温度まで冷却され
ることが望ましい。これは冷却中のフェライトの粒成長
を抑制することが目的で冷却速度が20℃/sec未満ではそ
の効果が少ない。また、冷却温度が700℃以下では実質
的に粒成長は起こらないためである。熱間圧延板の巻き
取りは温度:640〜700℃で行うことが望ましい。巻き取
り温度が640℃未満では熱延コイル冷却中の析出物の生
成および成長が十分おこらないため材質劣およびコイル
内材質変動の原因となる。また、巻き取り温度が700℃
を超えるとスケールが成長し、鋼板表面性状を劣化させ
る。
後、冷間圧延を行う。冷間圧延率は65〜83%が望まし
い。冷間圧延率が65%未満では平均r値が低く、83%を
超えるとΔrが高くなるためである。
平均昇温速度:20℃/sec以上で昇温する。平均昇温速度
が20℃/sec未満では良好な集合組織が成長せず、r値が
低くなる。
℃に保持する。保持温度が800℃未満ではBH量に対して
常温時効量が大きくなる。また、保持温度が870℃超え
では結晶粒径が大きくなりすぎ、プレス成形すると肌荒
れ欠陥が発生する上に、固溶Cが多くなりすぎ耐常温時
効性が劣化する。
20℃/secで冷却する。600℃まで冷却する間にCをNbCと
して一部析出させる。平均冷却速度が5℃/sec未満では
固溶Cが少なく、BH量が不足する。また、平均冷却速度
が20℃/sec超えでは固溶Cが多くなり、耐常温時効性が
劣化する。
1.0〜2.0%の調質圧延する。100℃を超える温度で調質
圧延を行うと動的ひずみ時効および巻き取り後の時効に
より耐常温時効性が劣化する。圧延率が1.0%未満では
調質圧延の効果が十分でなく、耐常温時効性が劣化す
る。また、調質圧延率が2.0%を超えると調質圧延の効
果が飽和するばかりか、加工硬化により成形性が劣化す
る。以上より、本発明の焼付硬化性と耐常温時効性に優
れた冷延鋼板が得られる。
を施すかどうかに拘わらず、得られるものであり、本発
明の対象は冷延鋼板か表面処理鋼板かどうかは問わな
い。すなわち、通常行われる冷延鋼板に亜鉛めっき等を
施した表面処理鋼板も本発明に含まれる。
行った後、脱炭工程、RH脱ガス工程により本発明範囲内
に成分調整し、連続鋳造によりスラブとした。次いで、
直接または再加熱により熱間圧延を板厚2.8mmまで行っ
た。熱間圧延時の熱延開始温度は1170〜1220℃、熱間圧
延完了温度は、900〜920℃であった。その後、平均冷却
速度25℃/secで640℃まで冷却した後、巻き取った。次
いで得られた熱間圧延板を酸洗後板厚0.7mmまで冷間圧
延を行った。次いで、連続焼鈍を行った。連続焼鈍は、
平均昇温速度:約25℃/secで昇温し、850℃で約60sec保
持し、保持温度から600℃まで平均冷却速度:9〜15℃/s
ecで冷却を行った。引き続き、溶融亜鉛めっきラインを
用いて、合金化溶融亜鉛めっきを行った。めっき付着量
は片面45g/m2、合金化処理は誘導加熱方式合金化炉を用
い、500〜550℃の温度でめっき中のFe濃度を約10%に調
整し行った。調質圧延は圧延率1.4%で行った。調質圧
延時の板温度は約80℃であった。こうして得られた供試
材の成分を表1に示す。また得られた供試材の特性評価
結果を表2に示す。
して0,45,90°方向の平均で測定した。引張試験はJIS5
号型引張試験片をコイル長手方向中央の材質安定部分
(M部)から圧延方向に対して直角方向で採取したもの
を用いて実施した。
応力と、そこで除荷重して170℃で20分間オイルバスで
加熱保持後、再荷重した際の降伏応力の変化量を評価し
た。
後の降伏伸び(YPEl)で評価した。ここで、YPElはプレ
ス成形時のストレッチャーストレインマークの発生を防
止するため0.3%以下とする必要がある。
イルトップ部(T部)から引張試験片を採取し、M部との
差をΔTS(=TS(T部)−TS(M部))を測定して、コ
イル内の材質変動の指標とした。表面性状の評価方法と
して、めっきの色むらなど表面性状の良否を目視で判定
した。
と良好で、かつ耐時効性の指標である38℃×180日時効
後の降伏伸び(YPEl180)は0.3%以下と良好である。さ
らに、コイル内での強度のばらつきを示す、コイル内の
材質変動(ΔTS)は10MPa以下と良好である。また、表
面性状も良好であった。
はBH量、38℃×180日時効後の降伏伸び(YPEl180)、コ
イル内の材質変動(ΔTS)、表面性状のいずれかの特性
が少なくとも一つ以上優れなかった。例えば、比較鋼7
〜9はNが本発明範囲を外れるためコイル内の材質変動
(ΔTS)が大きい。特に比較鋼8,9はコイル内の材質変
動が大きい上にかつYPEl180が0.4%以上と耐時効性も劣
る。
鋼11,12はC+Nが高いためYPEl180が高く、耐常温時効性
が劣る。比較鋼13はC/Nが1未満であるためBH量が低
い。比較鋼14はC/Nが1未満であり、C+Nが0.0035%を超
えるので耐常温時効性が劣る上にコイル内の材質変動が
大きい。
比較鋼16はMnが高すぎるため強度が高く、延性が劣る上
にYPEl180が高く、耐時効性も劣り、さらに表面性状も
よくない。
く、延性が劣り、さらに表面性状もよくない。
が不十分となりYPEl180が高く、耐時効性が劣る。また
コイル内の材質変動も大きい。比較鋼19、20はNbが0.02
%または93/12Cを超えているため、BH量が低い。
BH量が低い。
工程、RH脱ガス工程からなる製鋼工程により成分調整し
た表1の鋼番号1〜3に示す成分を有する溶鋼を連続鋳造
法によりスラブとした。次いで表3に示す条件で熱間圧
延、冷間圧延、焼鈍を行い、溶融亜鉛めっき鋼板を作製
した。得られた供試材の特性評価結果を表4に示す。
以上と良好で、かつ耐常温時効性の指標である38℃×18
0日時効後の降伏伸び(YPEl180)も0.3%以下と良好で
ある。さらにコイル内での強度のばらつきを示す、コイ
ル内の材質変動(ΔTS)は10MPa未満と良好である。ま
た、表面性状も良好であった。
板はBH量、38℃×180日時効後の降伏伸び(YPEl180)、
コイル内の材質変動(ΔTS)、表面性状のいずれかの特
性が少なくとも一つ以上優れなかった。
の平均昇温速度および平均冷却速度が遅いためにBH量が
低い。比較鋼板Qは焼鈍温度が780℃と低いためBH量が低
い。比較鋼板Rは焼鈍温度が高すぎるため、耐常温時効
性が劣る。比較鋼板Sは平均冷却速度が遅いため、BH量
が低い。比較鋼板Tは焼鈍後の平均冷却速度が速すぎる
ため耐常温時効性が劣る。
が安定して確保できるため焼付硬化性に優れ、かつ耐常
温時効性にも優れた冷延鋼板を得ることができる。さら
に本発明の製造方法によれば成形性低下などの問題がな
く安定して製造することができるので、自動車用外板等
に使用される材料として最適である。
場合、製造から成形までの時間が長くまた気温が日本国
内より高い場合が多いので、ますます耐常温時効性が求
められる。このような場合でも、本発明によれば、世の
中のニーズに合致する優れたBH鋼板を提供することが可
能となる。
Claims (4)
- 【請求項1】 重量%で、C:0.0010〜0.0035%、Si:0.
05%以下、Mn:0.17〜0.80%、P:0.01〜0.08%、S:0.
003〜0.02%、SolAl:0.03〜0.1%、Nb:0.003〜0.02%
かつ93/12[C%]以下、N:0.0015%以下を含み、さらにC
+N≦0.0035%かつC/N≧1となるように含有し、残部がFe
および不可避的不純物からなることを特徴とする焼付硬
化性と耐常温時効性に優れた冷延鋼板。 - 【請求項2】 さらに、重量%で、Ti:0.001〜0.02%か
つ48/32[S%]+48/14[N%]以下を含有することを特徴と
する請求項1記載の焼付硬化性と耐常温時効性に優れた
冷延鋼板。 - 【請求項3】 さらに、重量%で、B:0.0001〜0.001%
含有することを特徴とする請求項1または2記載の焼付硬
化性と耐常温時効性に優れた冷延鋼板。 - 【請求項4】 溶鋼を請求項1ないし3記載の成分に制御
後、連続鋳造によりスラブとし、熱間圧延、冷間圧延を
施し、次いで平均昇温速度:20℃/sec以上で昇温し、次
いで温度:800〜870℃で保持し、次いで平均冷却速度:
5〜20℃/secで600℃以下まで冷却し、さらに100℃以下
まで冷却後、圧延率:1.0〜2.0%の調質圧延を施すこと
を特徴とする焼付硬化性と耐常温時効性に優れた冷延鋼
板の製造方法。
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