JP2001200246A - 蓄熱用マイクロカプセル - Google Patents

蓄熱用マイクロカプセル

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JP2001200246A
JP2001200246A JP2000010540A JP2000010540A JP2001200246A JP 2001200246 A JP2001200246 A JP 2001200246A JP 2000010540 A JP2000010540 A JP 2000010540A JP 2000010540 A JP2000010540 A JP 2000010540A JP 2001200246 A JP2001200246 A JP 2001200246A
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heat storage
microcapsule
acrylate
meth
thermoplastic resin
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JP2000010540A
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Kenichi Matsumura
健一 松村
Noriki Fujii
紀希 藤井
Takahiro Omura
貴宏 大村
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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  • Manufacturing Of Micro-Capsules (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 相転移自在な化合物の潜熱貯蔵材を主成分と
する芯物質の周囲に、樹脂膜から成るカプセル壁を形成
させる際、未反応モノマーが実質的に残留しない反応形
態を用い、且つマイクロカプセルの最外層は粘着性をも
った熱可塑性樹脂に覆われているために施工が容易で、
さらに従来品に比べて安価な蓄熱用マイクロカプセルの
提供。 【解決手段】 相転移自在な化合物を主成分とする芯物
質の周囲に、ラジカル付加重合によって得られる熱可塑
性樹脂を主成分とするカプセル壁を少なくとも1層以上
形成してなる蓄熱用マイクロカプセルであって、カプセ
ル壁の少なくとも最外層(表面)が、単独重合体のガラ
ス転移温度が−140℃〜−20℃であるビニル系モノ
マーを主成分とする熱可塑性樹脂である蓄熱用マイクロ
カプセル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蓄熱用マイクロカ
プセルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽光などの自然の熱エネルギー
を、住宅用の暖房に用いて省エネルギー化を図ることが
要望されている。その際必要となる熱貯蔵媒体、あるい
は熱搬送媒体として、水のような流体の顕熱を利用する
方法や、より高い熱効率を得る方法として、潜熱貯蔵材
をマイクロカプセル化して水中に懸濁させる方法が考え
られてきた。従来、この種の熱貯蔵システム、または、
熱搬送システムに用いられるマイクロカプセルとして
は、脂肪族炭化水素等の潜熱貯蔵材を主成分とする芯物
質の周囲に、メラミン樹脂膜からなるカプセル壁を備え
たものが知られていた(特開平5−163486号公
報)。上記蓄熱用マイクロカプセルに用いられるメラミ
ン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドの縮重合によっ
て得られ、この重合系では、メラミンの反応率を上げる
ために、重合の際メラミンの2倍以上のモル数のホルム
アルデヒドが添加されるため、人体に有害なホルムアル
デヒドが系中に残留する可能性がある。また、上記引用
例の実施例に見られるように、メラミンモノマーを芯物
質に対して後添加する系では、メラミン樹脂がワックス
のカプセル壁とはならず、メラミン樹脂単独の粒子を形
成する可能性がある。さらにメラミン樹脂を汎用的に用
いるには高価であり、この様な蓄熱システムの導入をコ
スト的に難しくしている。
【0003】また、上記蓄熱用マイクロカプセルは、上
記に示されるような流動性媒体中で使用されるか、特開
昭63−238188号公報に示されるように、潜熱蓄
熱材変態温度以上で微細粉末をまぶし、蓄熱材の凝集や
合着を防止してカバー内に封入して蓄熱マットとされる
か、あるいは特開平2−287096号公報に示される
ように、薄板状基材の表面に粘着剤を塗布し、ペレット
状潜熱蓄熱材を貼り付けた蓄熱シートに加工されたりし
て各種建材として利用されている。即ち、従来の技術で
は、上記蓄熱用マイクロカプセルを住宅の壁や床などに
用いる場合、予め何らかの形状に加工して成形体とした
後に施工しなければならず、例えば、中空状にしたパネ
ルにスラリー状のマイクロカプセルを充填したり、多孔
質の基材に含浸させたり、シート状の基材に貼り付けす
る必要があり、適用できる部材が限られていた。従っ
て、汎用モノマーを用いラジカル付加重合により得ら
れ、任意の場所に塗布することで造膜し蓄熱性能が発現
できる施工が容易で安価な蓄熱用マイクロカプセルが要
望されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前記
従来技術に鑑みてなされたものであり、相転移自在な化
合物の潜熱貯蔵材を主成分とする芯物質の周囲に、樹脂
膜から成るカプセル壁を形成させる際、未反応モノマー
が実質的に残留しない反応形態を用い、且つマイクロカ
プセルの最外層は粘着性をもった熱可塑性樹脂に覆われ
ているために施工が容易で、さらに従来品に比べて安価
な蓄熱用マイクロカプセルを提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題について検討を重ねた結果、潜熱貯蔵材を主成分とす
る芯物質の周囲に、樹脂膜から成るカプセル壁を少なく
とも1層以上形成させてマイクロカプセルを製造する
際、カプセル壁としてラジカル重合によって合成可能な
熱可塑性樹脂を主成分に用いることによって、効率よく
蓄熱用マイクロカプセルを製造することができた。又、
カプセル壁の少なくとも最外層(表面)が、単独重合体
のガラス転移温度が−140℃〜−20℃であるビニル
系モノマーを主成分とすることで、マイクロカプセルに
粘着性を付与することができ施工が容易となった。更
に、芯物質の主成分を、融点が0℃以上50℃未満の物
質とすることで、あるいは、脂肪族炭化水素とすること
により、生活温度で芯物質の相転移を起こすことがで
き、住宅用途でのマイクロカプセルの蓄熱作用をより効
果的にすることができた。
【0006】本発明のマイクロカプセルの芯物質の主成
分をなす相転移自在な化合物は、相転移に伴う潜熱を利
用して熱を蓄える目的で用いられる。具体的には有機化
合物、無機化合物があり特に限定されないが、例えば、
有機化合物としては脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、
脂肪酸、アルコール等が挙げられる。また、無機化合物
としては、例えば、塩化カルシウム6水和物(融点29
℃)、炭酸ナトリウム10水和物(同32℃)、硫酸ナ
トリウム10水和物(同32℃)、リン酸水素ナトリウ
ム12水和物(同36℃)、硝酸亜鉛6水和物(同36
℃)、硝酸ニッケル6水和物、チオ硫酸ナトリウム5水
和物等が挙げられる。特に住宅用の蓄熱材として使用す
る場合、室温付近の0℃以上50℃未満の融点を持つ物
質が好ましい。
【0007】また、上記相転移自在な化合物は、単独も
しくは混合することによって、目的に応じた融点を自由
に設計できることから、脂肪族炭化水素を使用すること
が好ましく、例えば、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘ
プタデカン、オクタデカン、ノナデカン、イコサン、ド
コサン等が挙げられる。上記有機化合物には、マイクロ
カプセルの熱伝導性、比重を調節する目的で、カーボ
ン、金属粉、アルコール等が添加されても良い。
【0008】本発明では、マイクロカプセルのカプセル
壁の少なくとも最外層(表面)が、単独重合体のガラス
転移温度が−140℃〜−20℃であるビニル系モノマ
ーを主成分とする熱可塑性樹脂であることが特徴であ
る。上記最外層の熱可塑性樹脂の主成分である、ビニル
系モノマーの単独重合体のガラス転移温度が−20℃を
越えると、マイクロカプセルに充分な粘着性を付与する
ことができず、−140℃未満であると、工業的に一般
に使用されるポリマーとして適当でなくなり上記範囲に
限定される。
【0009】上記単独重合体のガラス転移温度が−14
0℃〜−20℃であるビニル系モノマーとしては、特に
限定されず、例えば、エチルアクリレート(単独重合体
のガラス転移温度=−24℃、以下かっこ内に温度のみ
を示す)、n−プロピルアクリレート(−37℃)、n
−ブチルアクリレート(−54℃)、イソブチルアクリ
レート(−24℃)、secーブチルアクリレート(−
21℃)、n−ヘキシルアクリレート(−57℃)、2
−エチルヘキシルアクリレート(−85℃)、n−オク
チルメタクリレート(−25℃)、イソオクチルアクリ
レート(−45℃)、n−ノニルメタクリレート(−3
5℃)、n−デシルメタクリレート(−45℃)等のア
ルキル(メタ)アクリレート類、炭素数4〜6個の炭素
原子からなる共役ジエンモノマー類、ビニルメチルエー
テル(−31℃)、ビニルエチルエーテル(−33
℃)、ビニルプロピルエーテル(−49℃)等のビニル
エーテル類等が挙げられる。上記ビニルモノマーの内、
ガラス転移温度の調整、粘着性、経済性等からアルキル
(メタ)アクリレートが好適に用いられる。これらは単
独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】上記最外層(表面)の熱可塑性樹脂には、
上記ビニル系モノマーの他に上記ビニル系モノマーと共
重合可能な他のモノマーが使用できる。上記ビニル系モ
ノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、特に限定
されず、例えば、(メタ)アクリレート、スチレン誘導
体、酢酸ビニル誘導体等のラジカル重合活性の高い汎用
モノマーを用いることが好ましく、これらは単独で用い
られても良く、あるいは2種以上が併用して用いられて
も良い。さらに、カプセル壁の機械的強度を改善する目
的で、多官能性モノマー等と共重合してもよい。
【0011】上記(メタ)アクリレートモノマーとして
は、特に限定されないが、例えば、メチルアクリレー
ト、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n
−プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレー
ト、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリ
レート、イソブチルメタクリレート、sec−ブチルメ
タクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメ
タクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、シクロヘ
キシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等
のアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等の極性基含有(メタ)アク
リレートが挙げられ、これらは単独または2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0012】上記(メタ)アクリレート以外の他のモノ
マーとしては、特に限定されないが、例えば、スチレ
ン、α- メチルスチレン、p- メチルスチレン、p−ク
ロロスチレン等のスチレン誘導体モノマー、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、ア
クリル酸、メタクリル酸が挙げられ、これらは単独また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】上記多官能性モノマーとしては、特に限定
されないが、例えば、エチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等
のジ(メタ)アクリレート類、トリメチロールプロパン
トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ト
リメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペン
タエリストールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メ
タ)アクリレート類が挙げられる。また、その他の多官
能性モノマーとしては、ペンタエリストールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレ
ート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、ト
リアリルイソシアヌレート等のジもしくはトリアリル化
合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合
物等が挙げられ、これらは単独または2種類以上を組み
合わせて用いることができる。
【0014】上記ガラス転移温度が−140℃〜−20
℃のビニル系モノマーの割合は、粘着性の発現のし易さ
から、上記最外層の熱可塑性樹脂中の51〜100重量
%がましく、より好ましくは60〜100重量%であ
る。
【0015】上記カプセル壁は、上記熱可塑性樹脂が上
記芯物質の表面を三次元的に覆い、上記芯物質の流出を
防止する。上記カプセル壁は、目的に応じて単層であっ
ても二層以上の多層構造であっても構わない。二層以上
の場合、表面ではない内側の熱可塑性樹脂層は、ラジカ
ル重合によって合成可能な熱可塑性樹脂であれば特に限
定されず、例えば、ポリ(メタ)アクリレート、または
ポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体等のラジカ
ル重合活性の高いモノマーから合成される汎用樹脂を用
いることが好ましく、これらは単独あるいは共重合体と
して使用される。
【0016】上記内側の熱可塑性樹脂層の重合に用いら
れる(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定
されないが、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エ
チル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレ
ート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)ア
クリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘ
キシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等
のアルキル(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエ
チル(メタ)アクリレート等の極性基含有(メタ)アク
リレート類が挙げられ、これらは単独または2種以上を
組み合わせて用いることができる。
【0017】上記内側の熱可塑性樹脂層の重合に用いら
れる(メタ)アクリレート以外の他のモノマーとして
は、特に限定されないが、例えば、スチレン、α- メチ
ルスチレン、p- メチルスチレン、p−クロロスチレン
等のスチレン誘導体モノマー、酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等のビニルエステル、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリル等の不飽和ニトリル、アクリル酸、メタ
クリル酸が挙げられ、これらは単独または2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0018】上記内側の熱可塑性樹脂には、カプセル壁
の機械的強度を改善する目的で、必要に応じて多官能性
モノマーが添加されてもよい。上記多官能性モノマー
は、特に種類は限定されないが、例えば、エチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メ
タ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、トリ
メチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレ
ンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリ
レート等のトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。ま
た、その他の多官能性モノマーとしては、ペンタエリス
トールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスト
ールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレー
ト、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリル
サクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジもし
くはトリアリル化合物、ジビニルベンゼン、ブタジエン
等のジビニル化合物等が挙げられ、これらは単独または
2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】本発明のマイクロカプセルは、相転移自在
な有機化合物を主成分とする潜熱貯蔵材とカプセル壁の
形成に用いられるラジカル重合性モノマーの混合物を、
水中に乳化懸濁し、油滴中のモノマーをラジカル重合す
ることによって得られる。特に芯材として疎水性の高い
脂肪族炭化水素を用いると、ラジカル重合性モノマーは
油滴中で熱力学的に安定な水相界面付近にポリマーを生
成し、より強固なカプセル壁が得られる。また、上記懸
濁重合法は分散剤及び重合開始剤を用いる。
【0020】上記分散剤は、上記潜熱貯蔵材とモノマー
の混合乳化懸濁液の分散安定性を向上させ、重合を効率
的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性
剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特
に望ましくはアニオン系界面活性剤であり、例えば、ア
ルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、油溶性のフリーラジカルを発
生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ラ
ウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオキシジカーボ
ネート、α−クミルパーオキシネオデカノエート等の有
機系過酸化物、ゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開
始剤及びレドックス開始剤等が挙げられる。また、上記
懸濁重合法では、必要に応じてpH調整剤、酸化防止剤
等が添加されてもよい。
【0021】上記懸濁重合法には、モノマー添加法の違
いから一括重合法、エマルジョン添加法の2つに大別さ
れ、特に限定されるものではない。一括重合法とは、例
えば、まず、相転移自在な有機化合物を主成分とする潜
熱貯蔵材、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を予め
混合しモノマー溶液を調製する。一方、ジャケット付重
合反応槽内にイオン交換水、分散剤を入れ、重合槽部を
減圧して酸素除去を行った後、窒素にて圧力を大気圧ま
で戻して窒素雰囲気下とし、上記モノマー溶液を一括し
て重合槽内へ添加する。撹拌翼によって、重合液を乳化
懸濁した後、槽内をジャケットにより所定の温度に昇温
して重合を開始する方法である。また、モノマー溶液は
分散剤及び仕込水の一部と予め混合乳化され、重合槽へ
添加されても良い。
【0022】エマルジョン添加法とは、例えば、まず、
相転移自在な有機化合物を主成分とする潜熱貯蔵材、ラ
ジカル重合性モノマー、重合開始剤、分散剤、イオン交
換水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノ
マー液を調製する。次いでジャケット付重合反応槽内に
イオン交換水を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を
行った後、窒素にて圧力を大気圧まで戻して窒素雰囲気
下とし、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、
上記乳化モノマー液を一括に添加、あるいは一定量ずつ
滴下することにより重合する方法である。
【0023】重合の結果得られるマイクロカプセルを含
むスラリーの樹脂固形分は、特に限定されるものではな
いが、生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10〜70
重量%が好ましい。上記スラリー中のマイクロカプセル
の平均粒子径は特に限定されないが、スラリーとして用
いる場合は、大きくなるとマイクロカプセルと水の分離
が起こりやすくなり、小さすぎるとカプセル壁の強度が
落ちるため、0.01〜10μmが適当である。上記マ
イクロカプセルを含むスラリーには、必要に応じて、エ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、各種無機
塩類等の凍結防止剤、防腐剤、増粘剤、顔料、防腐剤、
分散剤が添加されて使用しても良い。
【0024】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明するが、
下記の例に限定されるものではない。表1に示した配合
組成に基づいて、下記の操作手順で蓄熱用マイクロカプ
セルを得た。 実施例1〜4 50℃にて融解させた所定量の脂肪族炭化水素、カプセ
ル形成用モノマー、開始剤を混合、撹拌し、ついでイオ
ン交換水(全使用量の60%)、分散剤を添加、撹拌し
て乳化モノマー液を調製した。一方、重合器に残りのイ
オン交換水を入れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧し
て容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大
気圧まで戻して、内部を窒素雰囲気とした後、上記乳化
モノマー液を一括に添加した。重合槽を80℃まで昇温
し重合を開始した。30分で重合を終了し、その後1時
間の熟成期間を置いた後、重合槽を室温まで冷却した。
固形分濃度約50重量%、平均粒子径約3μmのマイク
ロカプセルを含むスラリーを得た。
【0025】実施例5〜8 (内層用乳化モノマー液の調整)表1に示された重合組
成に基づき、まず、50℃にて融解させた所定量の脂肪
族炭化水素、カプセル形成用モノマー、開始剤を混合、
攪拌し、ついでイオン交換水(全使用量の60%)、分
散剤を添加、攪拌して内層用乳化モノマー液を調製し
た。 (マイクロカプセルの調整)重合器に残りのイオン交換
水を入れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内
の脱酸素を行った後、窒素により圧力を大気圧まで戻し
て、内部を窒素雰囲気とした後、上記内層用乳化モノマ
ー液を一括に添加した。重合槽を80℃まで昇温し重合
を開始した。30分で重合を終了した後、外層カプセル
形成用モノマー(表1に組成を示す)の滴下を開始し
た。外層カプセル形成用モノマーの滴下を1時間で終了
し、1時間の熟成期間を置いた後、重合槽を室温まで冷
却した。そして、固形分濃度50重量%、平均粒子径5
μmのマイクロカプセルを含むスラリーを得た。
【0026】比較例1 所定量のメラミン粉末に40重量%ホルムアルデヒド水
溶液を加え、pHを8に調製した。ついで約70℃に昇
温した後、1時間熟成してメラミン樹脂のプレポリマー
水溶液を得た。pHを4に調製したスチレン−無水マレ
イン酸共重合体のナトリウム塩(以下PSMNaとす
る)4重量%水溶液に、40℃にて融解させた脂肪族炭
化水素を撹拌させながら添加し、乳化懸濁液を得た。こ
の乳化液に上記メラミン樹脂のプレポリマー水溶液を一
括に添加し、重合槽を70℃まで昇温して重合を開始し
た。2時間で重合を終了し、その後1時間の熟成期間を
置いた後、重合槽を室温まで冷却した。固形分濃度約5
0重量%、平均粒径約3μmのマイクロカプセルを含む
スラリーを得た。
【0027】〔評価〕上記で得られたスラリーについ
て、下記の評価を行った。結果を表1に示す。 (造膜性)上記スラリーをロールコーターにより乾燥塗
工量が6g/m2となるように塗工、乾燥し、造膜性を
評価した。 ○印:造膜可能、 ×印:造膜不可能 (蓄熱用スラリーの相転移温度及び融解熱)示差走査熱
量計(DSC6200、セイコーインスツルメンツ社
製)を用いて、測定温度範囲は5〜50℃、昇温速度は
2℃/分で、相転移温度及び融解熱を測定した。尚、吸
熱量がピークを示す温度を相転移温度とした。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】以上のように本発明の蓄熱用マイクロカ
プセルは、常温付近で粘着性を有しているため、乾燥後
容易に造膜することができる。上記特性を生かして、マ
イクロカプセルのスラリーを、蓄熱性が必要な場所に使
用されている、もしくは使用予定の一般部材に、直接現
場であるいは予め工場などで塗布することで、従来の一
般部材を蓄熱機能を有した部材に容易に変えることがで
きる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G005 AA01 AB12 BA02 BB06 BB13 DB01X DC02X DC03Y DC10Y DC29Y DE08X EA10 4J011 PA23 PB40 PC02 4J100 AB02Q AB03Q AB04Q AB08Q AB16Q AE02P AE03P AE04P AG02Q AG04Q AG69Q AJ02Q AL03P AL03Q AL04P AL04Q AL08Q AL09Q AL62Q AL63Q AL66Q AL67Q AL92Q AM02Q AQ21Q AS01P AS02Q BA02Q BA03Q BA08Q BC04Q CA04 DA25 EA12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相転移自在な化合物を主成分とする芯物
    質の周囲に、ラジカル付加重合によって得られる熱可塑
    性樹脂を主成分とするカプセル壁を少なくとも1層以上
    形成してなる蓄熱用マイクロカプセルであって、カプセ
    ル壁の少なくとも最外層(表面)が、単独重合体のガラ
    ス転移温度が−140℃〜−20℃であるビニル系モノ
    マーを主成分とする熱可塑性樹脂であることを特徴とす
    る蓄熱用マイクロカプセル。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂が、単独重合体のガラス転
    移温度が−140℃〜−20℃であるアルキル(メタ)
    アクリレートモノマーを主成分とするアクリル系共重合
    体であることを特徴とする請求項1記載の蓄熱用マイク
    ロカプセル。
  3. 【請求項3】 芯物質の融点が、0℃以上50℃未満で
    あることを特徴とする請求項1又は2記載の蓄熱用マイ
    クロカプセル。
  4. 【請求項4】 芯物質が、脂肪族炭化水素であることを
    特徴とする請求項1〜3いずれかに記載の蓄熱用マイク
    ロカプセル。
JP2000010540A 2000-01-19 2000-01-19 蓄熱用マイクロカプセル Pending JP2001200246A (ja)

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