JP2001279234A - 蓄熱用マイクロカプセル組成物 - Google Patents

蓄熱用マイクロカプセル組成物

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JP2001279234A
JP2001279234A JP2000089141A JP2000089141A JP2001279234A JP 2001279234 A JP2001279234 A JP 2001279234A JP 2000089141 A JP2000089141 A JP 2000089141A JP 2000089141 A JP2000089141 A JP 2000089141A JP 2001279234 A JP2001279234 A JP 2001279234A
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microcapsule
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particle size
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Kenichi Matsumura
健一 松村
Noriki Fujii
紀希 藤井
Takahiro Omura
貴宏 大村
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 得られたスラリーの脱水、乾燥が容易であ
り、かつ蓄熱効率の高い蓄熱用マイクロカプセルのを提
供。 【解決手段】 相転移自在な化合物を主成分とする芯物
質の周囲に、ラジカル付加重合によって得られる熱可塑
性樹脂を主成分とするカプセル壁を1層以上(少なくと
も1層)形成してなる蓄熱用マイクロカプセルにおい
て、前記蓄熱用マイクロカプセル粒子が、平均粒子径が
0.1〜10μm未満の小粒子部分(イ)と平均粒子径
10〜1000μmの大粒子部分(ロ)とからなる二峰
性の粒子径分布を有することを特徴とする蓄熱用マイク
ロカプセル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、対象物を冷却又は
加温状態に保持するための蓄熱材に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、太陽光などの自然の熱エネルギー
を、住宅用の暖房に用いて省エネルギー化を図ることが
要望されている。その際必要となる熱貯蔵媒体、あるい
は熱搬送媒体として、水のような流体の顕熱を利用する
方法や、より高い熱効率を得る方法として、潜熱貯蔵材
をマイクロカプセル化して水中に懸濁させる方法が考え
られてきた。従来、この種の熱貯蔵システム、または、
熱搬送システムに用いられるマイクロカプセルとして
は、脂肪族炭化水素等の潜熱貯蔵材を主成分とする芯物
質の周囲に、メラミン樹脂膜から成るカプセル壁を備え
たものが知られていた(特開平5−163486号公
報)。上記蓄熱用マイクロカプセルに用いられるメラミ
ン樹脂は、メラミンとホルムアルデヒドの重縮合によっ
て得られる。この重合系では、メラミンの反応率を上げ
るために、重合の際メラミンの2倍以上のモル数のホル
ムアルデヒドが添加されるため、人体に有害なホルムア
ルデヒドが系中に残留する可能性がある。また、上記文
献の実施例に見られるように、メラミンモノマーを芯物
質に対して後添加する系では、メラミン樹脂がWAXの
カプセル壁とはならず、単独の粒子を形成する可能性が
ある。さらにメラミン樹脂を汎用的に用いるには高価で
あり、この様な蓄熱システムの導入をコスト的に難しく
している。
【0003】そこで本発明者は、鋭意研究した結果、ラ
ジカル付加重合法を用いた蓄熱マイクロカプセルの製造
方法を発明した。この方法は、相転移自在な化合物の潜
熱貯蔵材を主成分とする芯物質の周囲に、樹脂膜から成
るカプセル壁を形成させる際、未反応モノマーが残留し
ないラジカル付加重合法を用い、さらに高分子分散剤を
用いることで、平均粒子径を10μm以上の大きさに制
御できるため、乾燥工程が容易であり、加工しやすい安
価な蓄熱用マイクロカプセルを提供できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記蓄熱用マ
イクロカプセルは平均粒子径が10μm以上であるた
め、蓄熱効率が従来のものに比べて低下する課題が見い
だされた。本発明は、上記課題に鑑み、蓄熱用マイクロ
カプセルを製造する際、得られたスラリーの脱水、乾燥
が容易であり、かつ蓄熱効率の高い蓄熱用マイクロカプ
セル組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を達成すべく検討を重ねた結果、相転移自在な化合物
を主成分とする芯物質の周囲に、ラジカル付加重合によ
って得られる熱可塑性樹脂を主成分とするカプセル壁を
1層以上(少なくとも1層)形成して成る蓄熱用マイク
ロカプセルの粒子径分布を、平均粒子径が0.1〜10
μm未満の小粒子部分(イ)と平均粒子径が10〜10
00μmの大粒子部分(ロ)とからなる二峰性の粒子径
分布とすることにより、スラリーを容易に脱水、乾燥さ
せることができ、かつ最密充填されることで蓄熱効率の
高い蓄熱用マイクロカプセル組成物とすることができ
る。
【0006】本発明の蓄熱用マイクロカプセルに用いら
れる、芯物質の主成分を成す相転移自在な化合物は、相
転移に伴う潜熱を利用して熱を蓄える目的で用いられ
る。具体的には有機化合物、無機化合物があり特に限定
されないが、例えば、有機化合物としては脂肪族炭化水
素、芳香族炭化水素、脂肪酸、アルコール等が挙げられ
る。また、無機化合物としては、例えば、塩化カルシウ
ム6水和物(融点29℃)、炭酸ナトリウム10水和物
(同32℃)、硫酸ナトリウム10水和物(同32
℃)、リン酸水素ナトリウム12水和物(同36℃)、
硝酸亜鉛6水和物(同36℃)、硝酸ニッケル6水和
物、チオ硫酸ナトリウム5水和物等が挙げられる。
【0007】特に住宅用の保温材として使用する場合、
室温付近の0℃以上50℃未満の融点を持つ物質が好ま
しい。また、単独もしくは混合することによって、目的
に応じた融点を自由に設計できることから、脂肪族炭化
水素を使用することが好ましく、例えば、ペンタデカ
ン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナ
デカン、イコサン、ドコサン等が挙げられる。上記芯物
質には、蓄熱用マイクロカプセルの熱伝導性、比重を調
節する目的で、カーボン、金属粉、アルコール等が添加
されても良い。
【0008】本発明では、マイクロカプセルのカプセル
壁として、ラジカル付加重合機構によって合成可能な熱
可塑性樹脂を主成分に用いることが特徴である。特に、
上記熱可塑性樹脂として、ポリ(メタ)アクリレート、
またはポリスチレン誘導体、ポリ酢酸ビニル誘導体等の
ラジカル重合活性の高いモノマーを重合して得られる汎
用樹脂を用いることが好ましく、これらは単独あるいは
共重合体として使用される。
【0009】上記熱可塑性樹脂の重合に用いられる(メ
タ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されない
が、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブ
チル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレー
ト、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)ア
クリレート、イソノニル(メタ)アクリレート等のアル
キル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート等の極性基含有(メタ)アクリレート
が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせ
て用いることができる。
【0010】上記熱可塑性樹脂の重合に用いられるスチ
レン誘導体モノマーとしては、特に限定されないが、例
えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチ
レン、p−クロロスチレンが挙げられ、これらは単独ま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記
熱可塑性樹脂の重合に用いられるその他のモノマーとし
ては、特に限定されないが、例えば、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル等のビニルエステル、アクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル、アクリル
酸、メタクリル酸が挙げられ、これらは単独または2種
以上を組み合わせて用いることができる。
【0011】上記の熱可塑性樹脂には、カプセル壁の機
械的強度を改善する目的で、必要に応じて多官能性モノ
マーが添加されてもよい。上記多官能性モノマーは、特
に種類は限定されないが、例えば、ジ(メタ)アクリレ
ートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,
6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパンジ(メタ)アクリレート等が挙げら
れ、トリ(メタ)アクリレートとしては、トリメチロー
ルプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサ
イド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレ
ート、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート等
が挙げられる。また、その他の多官能性モノマーとして
は、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、
ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、ジ
アリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレ
ート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレ
ート等のジもしくはトリアリル化合物、ジビニルベンゼ
ン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられ、これ
らは単独または2種類以上を組み合わせて用いることが
できる。
【0012】上記カプセル壁は、上記熱可塑性樹脂が上
記芯物質の表面を三次元的に覆い、上記芯物質の流出を
防止する。上記カプセル壁は、目的に応じて単層であっ
ても二層以上の多層構造であっても構わない。二層以上
の場合、表面層ではない内側の熱可塑性樹脂層も表面層
と同様に、ラジカル付加重合機構によって合成可能な熱
可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ポリ(メ
タ)アクリレート、またはポリスチレン誘導体、ポリ酢
酸ビニル誘導体等のラジカル重合活性の高いモノマーを
重合して得られる汎用樹脂を用いることが好ましく、こ
れらは単独あるいは共重合体として使用される。
【0013】本発明の蓄熱用マイクロカプセル組成物
は、平均粒子径が0.1〜10μm未満の小粒子部分
(イ)と平均粒子径が10〜1000μmの大粒子部分
(ロ)とからなる二峰性の粒子径分布を有する。上記平
均粒子径が0.1〜10μm未満の蓄熱用マイクロカプ
セル(イ)は、相転移自在な化合物を主成分とする芯物
質とカプセル壁の形成に用いられるラジカル重合性モノ
マーの混合物を、水中に乳化懸濁し、油滴中のモノマー
をラジカル重合することによって得られる。特に芯材と
して疎水性の高い脂肪族炭化水素を用いると、ラジカル
重合性モノマーは油滴中で熱力学的に安定な水相界面付
近にポリマーを生成し、より強固なカプセル壁が得られ
る。また、上記懸濁重合法は分散剤及び重合開始剤を用
いる。
【0014】上記分散剤は、上記潜熱貯蔵材とモノマー
の混合乳化懸濁液の分散安定性を向上させ、重合を効率
的に行う目的で添加され、例えば、アニオン系界面活性
剤、ノニオン系界面活性剤、部分ケン化ポリ酢酸ビニ
ル、セルロース系分散剤、ゼラチン等が挙げられる。特
に望ましくはアニオン系界面活性剤であり、例えば、ア
ルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0015】上記重合開始剤としては、油溶性のフリー
ラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオ
キシジカーボネート、α‐クミルパーオキシネオデカノ
エート等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ系開始剤及びレドックス開始剤等が挙げられ
る。また、上記懸濁重合法では、必要に応じてpH調整
剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0016】上記懸濁重合法には、モノマー添加法の違
いから一括重合法、エマルジョン添加法の2つに大別さ
れ、特に限定されるものではない。一括重合法とは、例
えば、まず、相転移自在な有機化合物を主成分とする潜
熱貯蔵材、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を予め
混合しモノマー溶液を調製する。一方、ジャケット付重
合反応槽内にイオン交換水、分散剤を入れ、重合槽内部
を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて大気圧に圧力
を大気圧まで戻し、窒素雰囲気下において、上記モノマ
ー溶液を一括して重合槽内へ添加する。撹拌翼によっ
て、重合液を乳化懸濁した後、槽内をジャケットにより
所定の温度に昇温して重合を開始する方法である。ま
た、モノマー溶液は分散剤及び仕込水の一部と予め混合
乳化され、重合槽へ添加されても良い。
【0017】エマルジョン添加法とは、例えば、まず、
相転移自在な有機化合物を主成分とする潜熱貯蔵材、ラ
ジカル重合性モノマー、重合開始剤、分散剤、イオン交
換水を撹拌により充分乳化することにより予め乳化モノ
マー液を調製する。次いでジャケット付重合反応槽内に
イオン交換水を入れ、重合槽内部を減圧して酸素除去を
行った後、窒素にて大気圧に圧戻しを行って窒素雰囲気
下とし、槽内をジャケットにより所定の温度にした後、
上記乳化モノマー液を一括に添加、あるいは一定量ずつ
滴下することにより重合する方法である。
【0018】重合の結果得られるマイクロカプセルを含
むスラリーの樹脂固形分は、特に限定されるものではな
いが、生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10〜70
重量%が好ましい。上記マイクロカプセル(イ)を含む
スラリーの平均樹脂粒子径は、平均粒子径10〜100
0μmの蓄熱用マイクロカプセルを含むスラリーと混合
する際に、蓄熱効率を低下させず、又脱水、乾燥を容易
にするために、0.1〜10μm未満に限定される。
0.1μmよりも小さいとカプセルの強度を保つことが
できず、内包物が流出するおそれがあり、10μmを越
えると最密充填とすることが困難となり蓄熱効率が低下
する。上記マイクロカプセルを含むスラリーには、必要
に応じて、エチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、各種無機塩類等の凍結防止剤、防腐剤、増粘剤、顔
料、防腐剤、分散剤が添加されて使用しても良い。
【0019】上記平均粒子径10〜1000μmの蓄熱
用マイクロカプセル(ロ)は、相転移自在な化合物を主
成分とする芯物質とカプセル壁の形成に用いられるラジ
カル重合性モノマーの混合物を、水中に懸濁し、油滴中
のモノマーをラジカル重合することによって得られる。
特に芯材として疎水性の高い脂肪族炭化水素を用いる
と、ラジカル重合性モノマーは油滴中で熱力学的に安定
な水相界面付近にポリマーを生成し、より強固なカプセ
ル壁が得られる。また、上記懸濁重合法は高分子分散剤
及び重合開始剤を用いる。
【0020】上記高分子分散剤は、上記芯物質とモノマ
ーの混合懸濁液の分散安定性を向上させ、マイクロカプ
セルの粒子径を制御し、重合を効率的に行う目的で添加
される。上記高分子分散剤は、重合度が500〜400
0のものが好適に用いられ、この範囲であれば特に限定
されず、例えば、メチルセルロース、エチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセルロー
ス誘導体、けん化度60〜90mol%の部分けん化ポ
リ酢酸ビニル、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、デン
プン、無水マレイン酸ースチレン共重合体等が挙げられ
る。これらは、単独でも2種以上併用して用いてもよ
い。
【0021】上記重合開始剤としては、油溶性のフリー
ラジカルを発生する化合物、例えば、ベンゾイルパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジブチルパーオ
キシジカーボネート、αー クミルパーオキシネオデカノ
エート等の有機系過酸化物、アゾビスイソブチロニトリ
ル等のアゾ系開始剤及びレドックス開始剤等が挙げられ
る。また、上記懸濁重合法では、必要に応じてpH調整
剤、酸化防止剤等が添加されてもよい。
【0022】上記懸濁重合法には、一括重合法が好適に
用いられるが、特に限定されるものではない。一括重合
法とは、例えば、まず、相転移自在な化合物を主成分と
する芯物質、ラジカル重合性モノマー、重合開始剤を予
め混合しモノマー溶液を調製する。一方、ジャケット付
重合反応槽内にイオン交換水、高分子分散剤を入れ、重
合槽内部を減圧して酸素除去を行った後、窒素にて圧力
を大気圧にまで戻し、窒素雰囲気下において、上記モノ
マー溶液を一括して重合槽内へ添加する。撹拌翼によっ
て重合液を懸濁した後、槽内をジャケットにより所定の
温度に昇温して重合を開始する方法である。また、モノ
マー溶液は高分子分散剤及び仕込水の一部と予め混合懸
濁され、重合槽へ添加されても良い。
【0023】重合の結果得られる蓄熱用マイクロカプセ
ルを含むスラリーの樹脂固形分は、特に限定されるもの
ではないが、生産性、重合反応の安定性を鑑みて、10
〜70重量%が好ましい。上記蓄熱用マイクロカプセル
を含むスラリーの平均樹脂粒子径は10〜1000μm
に限定される。平均樹脂粒子径が10μm 未満である
と、粒子が微細であり、乾燥工程が非常に困難となり、
1000μmを越えると、粒子の物理的強度が低下しカ
プセルが破損しやすくなるため上記範囲に限定される。
好ましくは、10〜600μmの範囲である。
【0024】本発明の蓄熱用マイクロカプセル粒子の総
重量に占める大粒子部分の比率は、蓄熱効率を低下させ
ず、脱水、乾燥を容易にするために15〜60重量%が
好ましい。大粒子部分の比率が15重量%未満、又は6
0重量%を越えると蓄熱効率が大きく低下する。また、
15重量%よりも小さいとさらに脱水、乾燥が困難とな
るため上記範囲に限定される。
【0025】
【実施例】以下本発明の実施例について説明するが、下
記の例に限定されるものではない。 表1に示した配合
組成に従い、下記の操作手順で蓄熱用マイクロカプセル
を調整した。 実施例1〜4 50℃にて融解させた所定量の脂肪族炭化水素、ラジカ
ル重合性モノマー、多官能性モノマー、開始剤を混合、
撹拌し、ついでイオン交換水(全使用量の60%)、分
散剤を添加、撹拌して乳化モノマー駅を調製した。一
方、重合器に所定量のイオン交換水を入れ、攪拌を開始
した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこなった
後、窒素により圧力を大気圧まで戻した後、窒素雰囲気
下で、上記乳化モノマー液を一括に添加した。重合槽を
80℃まで昇温し重合を開始した。30分で重合を終了
し、その後1時間の熟成期間を置いた後、重合槽を室温
まで冷却した。固形分濃度が約50重量%、平均粒子径
が約6μmのマイクロカプセル(イ)を含むスラリーを
得た。次に、50℃にて融解させた所定量の脂肪族炭化
水素、ラジカル重合性モノマー、多官能性モノマー、開
始剤を混合、撹拌し、ついでイオン交換水(全使用量の
60%)、部分けん化ポリ酢酸ビニル(PVA)の3重
量%水溶液、ヒドロキプロピルメチルセルロースの3重
量%水溶液を添加、撹拌して混合モノマー液を調製し
た。一方、重合器に残りのイオン交換水を入れ、攪拌を
開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸素をおこな
った後、窒素により圧力を大気圧まで戻し、窒素雰囲気
下で、上記混合モノマーを一括に添加した。重合槽を8
0℃まで昇温し重合を開始した。30分で重合を終了
し、その後1時間の熟成期間を置いた後、重合槽を室温
まで冷却した。固形分濃度約50重量%、平均粒径30
0μmの蓄熱用マイクロカプセルを含むスラリー(ロ)
を得た。上記で得られたスラリー(イ)と(ロ)を表1
の割合に従って混合して4種類の蓄熱用マイクロカプセ
ルのスラリーを得た。
【0026】比較例1 50℃にて融解させた所定量の脂肪族炭化水素、ラジカ
ル重合性モノマー、多官能性モノマー開始剤を混合、撹
拌し、ついでイオン交換水、分散剤を添加、撹拌して乳
化モノマー液を調製した。一方、重合器に所定量のイオ
ン交換水を入れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧して
容器内の脱酸素をおこなった後、窒素により圧力を大気
圧まで戻し、窒素雰囲気下で上記乳化モノマー液を一括
に添加した。重合槽を80℃まで昇温し重合を開始し
た。30分で重合を終了し、その後1時間の熟成期間を
置いた後、重合槽を室温まで冷却した。固形分濃度約5
0重量%、平均粒径約3μmのマイクロカプセルを含む
スラリーを得た。得られたスラリーを用いて実施例1と
同様にして各種特性評価を行い結果を表1に示した。表
1に示したように、比較例1の蓄熱用マイクロカプセル
は、蓄熱効率は、優れていたものの、脱水することが困
難であった。
【0027】比較例2 50℃にて融解させた所定量の脂肪族炭化水素、ラジカ
ル重合性モノマー、多官能性モノマー、開始剤を混合、
撹拌し、ついでイオン交換水、部分けん化ポリ酢酸ビニ
ルの3重量%水溶液、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ースの3重量%水溶液を添加、撹拌して混合モノマー液
を調製した。一方、重合器に所定量のイオン交換水を入
れ、攪拌を開始した。重合器内を減圧して容器内の脱酸
素を行った後、窒素により圧力を大気圧まで戻し、上記
乳化モノマー液を一括に添加した。重合槽を80℃まで
昇温し重合を開始した。30分で重合を終了し、その後
1時間の熟成期間を置いた後、重合槽を室温まで冷却し
た。固形分濃度約50重量%、平均粒径約300μmの
マイクロカプセルを含むスラリーを得た。得られたスラ
リーを用いて実施例1と同様にして各種特性評価を行
い、結果を表1に示した。表1に示したように、比較例
2の蓄熱用マイクロカプセルは、脱水性に優れていたも
のの、蓄熱効率が大きく低下していた。
【0028】〔評価〕評価項目及び評価方法を以下に示
す。 (平均粒子径)蓄熱用マイクロカプセルのスラリーを水
媒体中に分散させ、レーザー回折散乱式粒度分布測定装
置(LA910、堀場製作所製)を用いて測定した。得
られた値は、個数平均によって算定された値である。 (脱水性評価)上記蓄熱用マイクロカプセルのスラリー
を、シャープレススーパーデカンター(P−1000
型、巴工業社製)によって脱水処理を行い、脱水性の評
価を行った。 (蓄熱用マイクロカプセルの相転移温度及び融解熱)上
記蓄熱用マイクロカプセルのスラリー及び乾燥品の相転
移温度及び融解熱を、示差走査熱量計(セイコーインス
ツルメンツ社製、DSC6200)を用いて測定した。
測定温度範囲は5〜50℃、昇温速度は2℃/分とし、
吸熱量がピークを迎える温度を相転移温度とした。 (単位体積当たりの蓄熱量)乾燥した混合蓄熱用マイク
ロカプセル組成物をJIS K 6721に準じて、か
さ比重を測定し、その重量から単位体積当たりの蓄熱量
を評価した。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】以上のように本発明の蓄熱用マイクロカ
プセルは、樹脂粒子径分布がを二峰性であるので、脱水
性、乾燥性が優れており生産効率が優れているばかりで
なく、粒子が細密充填するので蓄熱効率にも優れてい
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G005 AA01 AB01 BA02 BB06 DC02X DC10Y DC29Y DC36Y DE08X DE10X EA10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 相転移自在な化合物を主成分とする芯物
    質の周囲に、ラジカル付加重合によって得られる熱可塑
    性樹脂を主成分とするカプセル壁を1層以上(少なくと
    も1層)形成してなる蓄熱用マイクロカプセルにおい
    て、前記蓄熱用マイクロカプセル粒子が、平均粒子径が
    0.1〜10μm未満の小粒子部分(イ)と平均粒子径
    10〜1000μmの大粒子部分(ロ)とからなる二峰
    性の粒子径分布を有することを特徴とする蓄熱用マイク
    ロカプセル組成物。
  2. 【請求項2】 前記蓄熱用マイクロカプセル粒子の総重
    量に占める大粒子部分(ロ)の比率が15〜60重量%
    であることを特徴とする請求項1記載の蓄熱用マイクロ
    カプセル組成物。
  3. 【請求項3】 前記カプセル壁に用いる熱可塑性樹脂と
    して、ポリ(メタ)アクリレート、又はポリスチレン誘
    導体、又はポリ酢酸ビニル誘導体の少なくとも一つを用
    いてなることを特徴とする請求項1及び2記載の蓄熱マ
    イクロカプセル。
  4. 【請求項4】 前記芯物質の融点が、0℃以上50℃未
    満である請求項1〜3記載の蓄熱用マイクロカプセル。
  5. 【請求項5】 前記芯物質が、脂肪族炭化水素である請
    求項1〜4記載の蓄熱用マイクロカプセル。
JP2000089141A 2000-03-28 2000-03-28 蓄熱用マイクロカプセル組成物 Pending JP2001279234A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007040793A (ja) * 2005-08-02 2007-02-15 Japan Synthetic Textile Inspection Inst Foundation 布状繊維材料の熱特性試験評価方法および試験装置
CN116814224A (zh) * 2023-06-29 2023-09-29 合肥芯能相变新材料科技有限公司 一种低过冷度相变微胶囊及其制备方法

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