JP2001199985A - 高純度フェノチアジン化合物とその製造方法、およびその中間体の製造方法、並びにその中間体の原料の水和物と新規結晶 - Google Patents

高純度フェノチアジン化合物とその製造方法、およびその中間体の製造方法、並びにその中間体の原料の水和物と新規結晶

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JP2001199985A JP2000182097A JP2000182097A JP2001199985A JP 2001199985 A JP2001199985 A JP 2001199985A JP 2000182097 A JP2000182097 A JP 2000182097A JP 2000182097 A JP2000182097 A JP 2000182097A JP 2001199985 A JP2001199985 A JP 2001199985A
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茂弥 山▲崎▼
Hiroyuki Yumoto
裕之 湯本
Masami Iki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度の化合物[A]とのその製造方法、
3−キヌクリジノンから、化合物[II]および化合物[II
I]を経由して、工業的に安全に、安定した良い収率で、
効率よく、化合物[I]を製造する方法、並びに化合物
[III]の、水和物と新規結晶、を提供する。 【解決手段】 原料を特定の順序で添加して化合物[II]
を得、これを処理など全く行わず、直接フェノチアジン
のアルカリ金属塩と反応させて化合物[III]を得、次に
化合物[III]またはその水和物を、副生する酸性ガスの
除去や水の添加を行って、ハロゲン化剤と反応させて化
合物[I]を得る。化合物[III]の水和物は、化合物[III]
の湿晶の低温乾燥などによって、新規結晶は、化合物[I
II]を特定の溶媒から晶析させることによって得る。ま
た、グライム中、特定の塩基を用いることによって、化
合物[I]から高純度の化合物[A]を製造する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、抗ヒスタミン作用
などを有する医薬上有用なメキタジンの合成中間体であ
る、純度が85モル%以上の、式[A]
【0002】
【化12】
【0003】で表される(E)−10−(1−アザビシ
クロ[2.2.2]オクト−3−イリデンメチル)フェ
ノチアジン(以下、化合物[A]ともいう)、およびそ
の製造方法に関する。その他に、本発明は、上記化合物
[A]の中間体である、式[I]
【0004】
【化13】
【0005】(式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表
される化合物(以下、化合物[I]ともいう)の製造方
法、および化合物[I]の製造に使用する化合物[III]の水
和物と新規な結晶に関する。
【0006】
【従来の技術】下式
【0007】
【化14】
【0008】で表されるメキタジンは、抗ヒスタミン作
用、コリン作動抑制作用、抗アドレナリン作用、神経鎮
静作用、精神安定作用、鎮痙作用など様々な作用を有す
る医薬上有用な物質である。メキタジンの製造方法とし
ては、下記反応
【0009】
【化15】
【0010】(式中、R1およびR2は同一または異なっ
て、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ
基またはアルキルチオ基を示す)が挙げられ、還元剤ま
たは水素添加用触媒の存在下、10−(3−クロロ−1
−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルメチ
ル)フェノチアジン類を還元することによりメキタジン
類を得ることができる(日本特許第2835413
号)。
【0011】この方法は反応が高温で進行するため、ス
ケールアップすると熱分解や脱ハロゲン化水素を生じる
ことになる。これにより、メキタジン類の品質および収
率の低下、カラム精製や水素添加反応の必要性などが生
じるため、工業規模での使用には改良が必要である。ま
た、反応試薬としてホウ素化合物を使用した場合、生成
物とホウ素との付加体が副生するため、反応後の液に酢
酸などの酸を添加し、加熱処理を行う必要がある。
【0012】メキタジンのその他の製造方法としては、
下記一連の反応
【0013】
【化16】
【0014】(式中、R1およびR2は、前記と同義であ
る)が挙げられる(特開平5−140157号)。この
方法においては、まず不活性溶媒中、塩基としてアルカ
リ金属の水酸化物、水素化物またはアルコラートの存在
下、10−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの脱ハロ
ゲン化水素を行い、3種類の中間体を得、次にこれらを
分離することなく水素化することによりメキタジン類を
製造している。この方法においては、通常パラジウム炭
素などの高価な水素化触媒を中間体に対して同重量使用
して水素化を行っており、コストアップに繋がる。この
ため、コストを削減し、高純度、高収率で、メキタジン
を工業規模で製造する方法が望まれていた。
【0015】本発明者らは、コストを削減し、高純度の
メキタジンを高収率で製造する方法を研究した結果、特
開平5−140157号に記載のある上記3種類の中間
体(化合物[A’]、化合物[B’]、化合物
[C’])においてR1とR2とが共に水素原子である化
合物[順に化合物[A]、(Z)−10−(1−アザビ
シクロ[2.2.2]オクト−3−イリデンメチル)フ
ェノチアジン(以下、化合物[B]ともいう)、10−
(1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−2−エン−
3−イルメチル)フェノチアジン(以下、化合物[C]
ともいう)]のうち、化合物[B]は水素化を受け難い
こと、化合物[C]は3種類の中間体のうち最も水素化
を受けやすいが、選択的に得ることができる反応条件、
つまりアルコール溶媒中、10−(3−クロロ−1−ア
ザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フ
ェノチアジンとアルカリ金属アルコラートとを反応させ
る条件では、10−(3−アルコキシ−1−アザビシク
ロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フェノチア
ジンが副生するため、化合物[C]の純度および収率の
低下が起きることを見出した。また、化合物[A]は水
素化を受けやすく、メキタジンの合成中間体として最も
適していることを見出した。つまり、本発明者らは化合
物[A]を高純度で得ることが、メキタジンの製造に有
利であることを見出した。
【0016】また、化合物[I]は、化合物[A]の原料
として有用な化合物である。化合物[I]は、式[II]
【0017】
【化17】
【0018】で表される3−メチレンキヌクリジンオキ
シド(以下、化合物[II]ともいう)とフェノチアジンの
アルカリ金属塩との反応により得ることができることが
知られている(日本特許第2835413号)。原料と
して用いられる3−メチレンキヌクリジンオキシドは、
公知な合成法(米国特許第3,725,410号、米国
特許第3,792,053号、特開昭61−28049
7号、特開平2−62883号)により、ジムシルナト
リウムを経由して製造することができる。しかしなが
ら、このジムシルナトリウムは不安定であるため危険な
化合物である(安全工学Vol.23,No.5、26
9−274(1984))。
【0019】特開昭61−280497号においては、
3−メチレンキヌクリジンオキシドの製造規模を拡大す
る手段が、実施例1.(a)−(ii)に開示されてい
る。つまり、当該実施例においては、トルエン、3−キ
ヌクリジノン、トリメチルオキソスルホニウムヨージド
および水素化ナトリウムのパラフィン分散液を先に仕込
み、これにジメチルスルホキシドを滴下していく方法が
開示されている。この方法では、水素化ナトリウムおよ
びトリメチルオキソスルホニウムヨージドを先に仕込ん
でいるため、この中にジメチルスルホキシドを加える
と、ジメチルスルホキシドが水素化ナトリウムと反応し
てジムシルナトリウムを生成し、次にジムシルナトリウ
ムがトリメチルオキソスルホニウムヨージドと反応して
ジメチルオキソスルホニウムメチリドが生成し、これと
共にジメチルスルホキシドも生成する。
【0020】つまり、この方法においてはジメチルスル
ホキシドを1滴でも加えれば、ジメチルスルホキシドが
次々に生成し、先に仕込んである水素化ナトリウムと反
応するため、理論上、ジメチルスルホキシドを1滴加え
ることによって反応を完結させることができると予想さ
れる。安全工学(Vol.23、No.5、269−2
74(1984))において、ジムシルナトリウム溶液
は断熱条件下におかれれば、55℃で5時間程度経過す
ると暴走反応に移行するという性質を有する不安定な系
であることが記載されている。実際に、特開昭61−2
80497号に記載の方法を2000L規模の反応釜に
おいて追試した結果、反応が暴走して内容物が炭化し
た。即ち、この方法ではジムシルナトリウムをその生成
直後に反応させることができるが、その反面、ジメチル
スルホキシドを一旦添加すると、反応とともにジメチル
スルホキシドも生成するため、反応を停止させることが
困難であり、反応熱によってジムシルナトリウムが自己
発熱を起こして暴走し、爆発する恐れがある。反応の規
模を拡大するとその危険性がさらに増大する。
【0021】また、特開昭61−280497号の実施
例1(II)において、3−キヌクリジノンをジメチル
オキソスルホニウムメチリドと反応させた後、生成した
3−メチレンキヌクリジンオキシド反応液を水にチャー
ジしてクロロホルム抽出するという後処理を行なってい
るが、ロスが多く、また抽出後に濃縮操作を行なうこと
によってさらにロスが多くなる。当該文献に記載の方法
により単離した3−メチレンキヌクリジンオキシドと、
フェノチアジンのアルカリ金属塩との縮合を行なった結
果、式[III]
【0022】
【化18】
【0023】で表される、10−(3−ヒドロキシ−1
−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルメチ
ル)フェノチアジン(以下、化合物[III]ともいう)が
収率0〜50%でしか得られず、しかも安定した収率で
得ることができなかった。これは、3−メチレンキヌク
リジンオキシドの単離率が一定しておらず、さらにロス
が多いこと、また単離時に抽出溶媒として使用したクロ
ロホルムが残存し、これがアルカリ金属によりカルベン
となり、樹脂化することに起因すると考えられる。この
ため、安定に、収率良く、化合物[III]を得ることはこ
れまで困難であった。
【0024】日本特許第2835413号の実施例2に
おいては、モノクロロベンゼン中、化合物[III]をオキ
シ塩化リンと110〜120℃で13時間反応させるこ
とにより、化合物[I]を収率44%で得ている。しかし
ながら、この反応においては、反応温度が高いほど樹脂
化した成分が多く副生し、色相および収率の低下が生
じ、反応温度が低いほど色相および収率は改善される。
このため、収率を向上させるためには、1,2−ジクロ
ロエタン(bp83℃)やクロロホルム(bp61℃)
といった沸点の低い溶媒中で還流させる方法が考えられ
るが、人体および環境に対する配慮からこれらの溶媒の
使用は避けるべきである。
【0025】このため、3−キヌクリジノンから化合物
[II]および化合物[III]を経由して、工業的に安全に、
安定した良い収率で、効率よく、化合物[I]を製造する
方法の開発が望まれていた。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、高純度の化合物[A]を提供すること、および該化
合物の製造方法を提供することである。その他の目的
は、3−キヌクリジノンから、化合物[II]および化合物
[III]を経由して、工業的に安全に、安定した良い収率
で、効率よく、化合物[I]を製造する方法を提供するこ
とである。また、その他の目的は、化合物[III]の水和
物および新規な結晶を提供することである。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成するため鋭意研究を行った結果、以下のことを見
出し、本発明を完成するに至った。 アルカリ金属化合物、ジメチルスルホキシド、トリメ
チルオキソスルホニウムハライドおよび3−キヌクリジ
ノンもしくはその塩を特定の順序で添加することによ
り、3−キヌクリジノンから3−メチレンキヌクリジン
オキシドを工業的に安全に(反応規模を拡大しても安全
に)製造することができる。つまり、ジメチルスルホキ
シド、トリメチルオキソスルホニウムハライドおよび3
−キヌクリジノンもしくはその塩を先に仕込んだ後、こ
れにアルカリ金属化合物を添加することにより、ジムシ
ルナトリウムの生成を制御し、且つ生成したジムシルナ
トリウムがトリメチルオキソスルホニウムハライドと直
ちに反応して、ジメチルオキソスルホニウムメチリドを
生成し、3−メチレンキヌクリジンオキシドを製造する
ことができる。
【0028】この方法では、トリメチルオキソスルホニ
ウムハライドを先に反応系に仕込んでおくことにより、
危険性が指摘されている不安定なジムシルナトリウムを
生成直後に反応に使用することができ、さらにアルカリ
金属化合物を順次添加することにより、ジムシルナトリ
ウムの生成を制御することができるため、工業的に安全
に、3−メチレンキヌクリジンオキシドを製造すること
ができる。
【0029】上記の方法で製造された3−メチレン
キヌクリジンオキシドを、処理および単離を全く行うこ
となく、直接フェノチアジンのアルカリ金属塩と反応さ
せることにより、つまり3−メチレンキヌクリジンオキ
シドの生成から化合物[III]の生成までをワンポットで
行うことにより、化合物[III]を安定した良い収率で得
ることができる。
【0030】化合物[III]から化合物[I]を得る際、副
生する酸性ガスを除去することにより、反応が促進し、
反応温度をより低く、さらに反応時間をより短縮するこ
とができる。また、化合物[III]から化合物[I]を得る
際、更に水を加えることにより、反応を促進することが
できる。
【0031】これら〜により、3−キヌクリジノン
から、化合物[II]および化合物[III]を経由して、工業
的に安全に、安定した良い収率で、効率よく、化合物
[I]を製造することができる。
【0032】グライム中、水酸化カリウムおよびカリ
ウムアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも1
種の塩基の存在下、化合物[I]の脱ハロゲン化水素を行
うことにより、高純度の化合物[A]を製造でき、これ
により純度が85モル%以上である化合物[A]を提供
することができる。
【0033】即ち、本発明は、(1)下記工程を含む、
化合物[I]の製造方法: (a)ジメチルスルホキシド、3−キヌクリジノンもし
くはその塩、およびトリメチルオキソスルホニウムハラ
イドを含有する混合物に、アルカリ金属化合物を添加
し、化合物[II]を製造する第一工程、(b)該化合物[I
I]をフェノチアジンのアルカリ金属塩と反応させて、化
合物[III]を製造する第二工程、および(c)反応溶媒
中、化合物[III]またはその水和物をハロゲン化剤と反
応させて、化合物[I]を製造する第三工程。(2)第一
工程において、アルカリ金属化合物を順次添加する、上
記(1)の製造方法、(3)第一工程において、アルカ
リ金属化合物を、固体のまま分割添加するか、またはア
ルカリ金属化合物に不活性な溶媒の懸濁液として滴下す
る、上記(1)の製造方法、(4)第一工程において、
混合物が反応に不活性な溶媒を含有する、上記(1)の
製造方法、(5)第一工程において、アルカリ金属化合
物がアルカリ金属水素化物またはアルカリ金属アルコキ
シドである、上記(1)の製造方法、(6)第一工程に
おいて、アルカリ金属化合物が水素化ナトリウムであ
る、上記(1)の製造方法、(7)第一工程において、
トリメチルオキソスルホニウムハライドがトリメチルオ
キソスルホニウムヨージドである、上記(1)の製造方
法、(8)第二工程において、フェノチアジンのアルカ
リ金属塩がフェノチアジンのカリウム塩またはフェノチ
アジンのナトリウム塩である、上記(1)の製造方法、
(9)第一工程の終了後、処理および単離を全く行うこ
となく、直接第二工程を行う、上記(1)の製造方法、
(10)第三工程において、副生する酸性ガスを反応系
から除去する、上記(1)の製造方法、
【0034】(11)副生する酸性ガスを、反応系に不
活性ガスを導入することにより、または反応系を減圧下
に還流することにより、反応系から除去する、上記(1
0)の製造方法、(12)第三工程において、モノクロ
ロベンゼン中、反応系に窒素ガスを導入しながら、該化
合物[III]をオキシ塩化リンと反応させる、上記(1)
の製造方法、(13)第三工程において、さらに、反応
系に水を添加する、上記(1)の製造方法、(14)第
三工程において、ハロゲン化剤がオキシ塩化リンであ
り、かつ反応系に該オキシ塩化リンに対して0.1倍モ
ル〜1.25倍モルの量の水を添加する、上記(1)の
製造方法、(15)化合物[III]の水和物、(16)示
差走査熱量(以下、DSCともいう)曲線において、1
43〜145℃の間にピークを有する化合物[III]の結
晶、(17)化合物[III]またはその水和物をハロゲン
化剤および水と反応させることを特徴とする化合物[I]
の製造方法、(18)副生する酸性ガスを反応系から除
去する、上記(17)の製造方法、(19)化合物[II
I]またはその水和物をハロゲン化剤と反応させ、かつ副
生する酸性ガスを反応系から除去することを特徴とする
化合物[I]の製造方法、(20)副生する酸性ガスを、
反応系に不活性ガスを導入することにより、または反応
系を減圧下に還流することにより、反応系から除去す
る、上記(19)の製造方法、
【0035】(21)純度が85モル%以上である化合
物[A]、(22)グライム中、水酸化カリウムおよび
カリウムアルコキシドからなる群より選ばれる少なくと
も1種の塩基の存在下、化合物[I]の脱ハロゲン化水素
を行うことを特徴とする化合物[A]の製造方法、(2
3)塩基が水酸化カリウムまたはカリウムアルコキシド
である、上記(22)の製造方法、(24)カリウムア
ルコキシドがカリウムt−ブトキシドである、上記(2
2)の製造方法、および(25)化合物[I]が10−
(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト
−3−イルメチル)フェノチアジンである、上記(2
2)の製造方法に関する。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
以下、本発明を、化合物[II]の製造方法(第一工
程)、化合物[II]から化合物[III]を製造する方法
(第二工程)、化合物[III]から化合物[I]を製造する
方法(第三工程)、化合物[A]の製造方法、メキ
タジンの製造方法の順に詳細に説明する。
【0037】第一工程 第一工程は、ジメチルスルホキシド、3−キヌクリジノ
ンもしくはその塩、およびトリメチルオキソスルホニウ
ムハライドを含有する混合物に、アルカリ金属化合物を
添加し、化合物[II]を製造する工程である。本工程は、
アルカリ金属化合物の添加により反応を開始することが
でき、さらにトリメチルオキソスルホニウムハライドを
先に反応系に仕込んでいるので、アルカリ金属化合物の
添加によってジメチルスルホキシドから生成したジムシ
ルナトリウムを生成直後にトリメチルオキソスルホニウ
ムハライドと反応させることができる。また、本工程
は、さらに、アルカリ金属化合物の添加量や添加速度を
調整することにより反応の進行を制御することができる
ため、本工程を利用すれば、安全に化合物[II]を生成す
ることができる。このため、本発明においてはアルカリ
金属化合物は反応を開始するための鍵化合物であり、上
記「混合物」の中には含まれないことは必須である。
【0038】具体的には、例えば3−キヌクリジノンも
しくはその塩と反応溶媒との混合物に、ジメチルスルホ
キシドおよびトリメチルオキソスルホニウムハライドを
添加後、これにアルカリ金属化合物を加えることによ
り、化合物[II]を製造することができる。
【0039】第一工程において、アルカリ金属化合物
は、反応の安全性の観点から、好ましくは順次添加を行
い、より好ましくは固体のまま分割添加するか、または
アルカリ金属化合物に不活性な溶媒の懸濁液として滴下
する。ここでいう「順次添加」するとは、反応に必要な
量のアルカリ金属化合物を、反応速度が制御できる程度
の量ずつ、連続的または断続的に添加することを意味
し、その時のアルカリ金属化合物の形態(例えば、固
体、液体など)は特に限定されない。
【0040】「アルカリ金属化合物を固体のまま分割添
加する」とは、反応に使用するアルカリ金属化合物を、
反応速度が制御できる量に分割して添加することを意味
し、その分割の程度は反応規模により異なり、例えば、
反応規模が実験室レベル(500〜2000ml)の場
合、好ましくはアルカリ金属化合物を5〜20回、より
好ましくは10〜15回、反応規模が工業的レベル(2
000〜5000L)の場合、好ましくはアルカリ金属
化合物を10〜30回、より好ましくは15〜20回に
分けて、1〜12時間、より好ましくは2〜6時間にわ
たり添加する。
【0041】また、アルカリ金属化合物を「アルカリ金
属化合物に不活性な溶媒の懸濁液として滴下する」と
は、アルカリ金属化合物を該化合物に不活性な下記溶媒
の懸濁液とし、これを反応速度が制御できる速度で滴下
することを意味する。滴下時間は反応規模に依存し、例
えば反応規模が0.5L〜5000Lである場合におい
ては、好ましくは1〜12時間、より好ましくは2〜6
時間かけて滴下する。アルカリ金属化合物に不活性な溶
媒としては、アルカリ金属化合物が懸濁してスラリー状
で滴下することができるものであれば特に限定はされ
ず、流動パラフィン、ヘプタン、ヘキサン、ベンゼン、
トルエン、キシレンなどの炭化水素類が例示され、好ま
しくは流動パラフィンが挙げられる。該溶媒の使用量
は、アルカリ金属化合物が懸濁してスラリー状で滴下で
きる程度になる量であれば特に限定はなく、例えば、ア
ルカリ金属化合物1重量部に対して、好ましくは1〜5
重量部、より好ましくは2〜3重量部である。
【0042】第一工程で使用するトリメチルオキソスル
ホニウムハライドとしては、トリメチルオキソスルホニ
ウムヨージド、トリメチルオキソスルホニウムクロリド
またはトリメチルオキソスルホニウムブロミドが挙げら
れ、中でもトリメチルオキソスルホニウムヨージドが好
ましい。該トリメチルオキソスルホニウムハライドの使
用量は、3−キヌクリジノンもしくはその塩に対して、
1.0〜1.5倍モル量、好ましくは1.0〜1.3倍
モル量である。
【0043】第一工程で使用する3−キヌクリジノン
は、通常、塩の形態で市販されており、3−キヌクリジ
ノンの塩としては、無機酸塩(例えば、塩酸塩、臭化水
素酸塩、硫酸塩など)、有機酸塩(例えば、酢酸塩、メ
タンスルホン酸塩など)が挙げられる。3−キヌクリジ
ノンの塩の場合、反応前に一旦遊離化した後反応に使用
したり、反応に使用するアルカリ金属化合物を過剰に用
いることにより、そのまま塩の形態で反応に使用するこ
ともできる。
【0044】第一工程で使用するアルカリ金属化合物と
しては、好ましくはアルカリ金属水素化物(例えば、水
素化ナトリウム、水素化カリウムなど)、アルカリ金属
アルコキシド(例えば、tert−ブトキシカリウム、
tert−ブトキシナトリウム、ナトリウムメトキシ
ド、カリウムメトキシドなど)が挙げられ、より好まし
くは水素化ナトリウム、tert−ブトキシカリウムが
挙げられ、特に好ましくは水素化ナトリウムが挙げられ
る。水素化ナトリウムは、市販品(鉱油に分散させた状
態のもの)をそのまま用いてもよい。
【0045】3−キヌクリジノンの塩を反応前に一旦遊
離化した後で反応に使用する場合のアルカリ金属化合物
の使用量は、3−キヌクリジノンの塩に対して、1.0
〜1.5倍モル量が好ましく、反応率の観点からは1.
05〜1.3倍モル量がより好ましく、安全性の観点か
らは1.0〜1.05倍モル量がより好ましい。
【0046】3−キヌクリジノンの塩を反応前に遊離の
形態とすることなく、塩の形態のまま反応に使用する場
合、アルカリ金属化合物の使用量は、反応に必要な量に
3−キヌクリジノンの塩が遊離の形態になる量をさらに
加えた量であればよく、例えば、3−キヌクリジノンの
塩1モルに対して、好ましくは2.0〜3.0倍モル、
より好ましくは2.1〜2.6倍モルである。
【0047】第一工程においては、ジメチルスルホキシ
ドは、反応試薬としても、反応溶媒としても作用する。
ジメチルスルホキシドの反応試薬としての使用量は、3
−キヌクリジノンもしくはその塩に対して、0.1〜1
5倍モル、好ましくは3〜6倍モルである。
【0048】第一工程の反応溶媒としては、ジメチルス
ルホキシド単独か、またはジメチルスルホキシドと当該
反応に不活性な溶媒との混合溶媒が挙げられ、当該反応
に不活性な溶媒としては、例えば、トルエン、THF、
キシレン、ベンゼンなどが挙げられる。好ましい反応溶
媒としては、ジメチルスルホキシド単独、ジメチルスル
ホキシドとトルエンとの混合溶媒が挙げられる。反応溶
媒の使用量は、3−キヌクリジノンもしくはその塩1k
gに対して、0.5〜20L、好ましくは1.5〜15
Lである。
【0049】第一工程の反応が円滑に進行する温度およ
び条件は、以下の通りである。アルカリ金属化合物は、
0〜80℃、好ましくは10〜60℃で添加され、アル
カリ金属化合物の添加後、当該反応は、0〜80℃の範
囲、好ましくは10〜60℃の範囲で、1〜5時間、好
ましくは1〜2時間行われる。また、当該反応は、窒素
ガスなどの不活性ガスの存在下で行われることが好まし
い。
【0050】第二工程 第二工程は、化合物[II]を、フェノチアジンのアルカリ
金属塩と反応させて、化合物[III]を製造する工程であ
る。第二工程は、第一工程の終了後、反応液の処理およ
び化合物[II]の単離を全く行うことなく、直接行うこと
が好ましい。具体的に言えば、第一工程において、ジメ
チルスルホキシド、3−キヌクリジノンもしくはその
塩、およびトリメチルオキソスルホニウムハライドを含
有する混合物に、アルカリ金属化合物を添加した後、得
られた反応液に、直接、フェノチアジンのアルカリ金属
塩を添加したり、直接、第一工程で得られた反応液をフ
ェノチアジンのアルカリ金属塩に添加して反応させるの
が好ましい。これは、化合物[II]が不安定なためであ
り、即ち、第一工程からワンポットで反応を行なうこと
により、不安定な化合物[II]を直ちにフェノチアジンと
縮合させることができ、化合物[III]の収率が、向上
し、安定するためである。
【0051】第二工程のフェノチアジンのアルカリ金属
塩としては、好ましくはフェノチアジンのカリウム塩、
フェノチアジンのナトリウム塩が挙げられ、化合物[II]
に対して、1.0〜2.0倍モル、好ましくは1.1〜
1.3倍モル使用する。該フェノチアジンのアルカリ金
属塩は、溶媒との混合物として加えてもよい。
【0052】該溶媒としては、第二工程で不活性な溶媒
であればいずれでも良く、例えばトルエン、キシレン、
ヘキサン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、酢酸エチル、クロロベンゼン、ジクロ
ロベンゼン、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどやこ
れらの混合溶媒が挙げられ、化合物[II]との縮合に不活
性である点および後処理の点から、トルエンが好まし
い。該溶媒の使用量は、フェノチアジン1kgに対し
て、2〜15L、好ましくは3〜7Lである。
【0053】フェノチアジンのアルカリ金属塩は、上記
溶媒中、フェノチアジンをアルカリ金属化合物(例え
ば、tert−ブトキシカリウム、水酸化カリウム、水
素化ナトリウム、ナトリウムアミド)と反応させること
により調製することができる。
【0054】第二工程における反応温度は、通常、室温
〜150℃の範囲であり、反応時間は30分〜20時間
である。第二工程における反応温度は、高い方が反応速
度も速くなり、反応時間が短縮されるため、90〜12
0℃で行なうのが好ましい。反応初期は発熱がみられる
ので、70〜120℃とするのがよい。
【0055】化合物[III]の単離、精製は、濃縮、抽
出、カラムクロマトグラフィー、再沈殿、再結晶などの
常法により行うことができる。
【0056】化合物[III]は、水和物の形態ではこれま
で得られていなかったが、本発明者らは、化合物[III]
の湿晶を低温で乾燥することにより、または無水物
になるまで高温で乾燥した後で湿度がある空気中に放置
することにより、化合物[III]の水和物が得られること
を見出した。
【0057】該における低温とは、20〜50℃、好
ましくは20〜40℃であり、該における高温とは、
80〜130℃、好ましくは90〜120℃であり、湿
度は特に限定はなく、好ましくは40〜100%、より
好ましくは60〜100%であり、放置時間は6〜72
時間、好ましくは12〜24時間である。水和物の形成
の確認は、得られた化合物が水和物の有する水分量に相
当する量の水分を有しているのを、例えば、カールフィ
ッシャー法により測定して確認後、DSC測定を行い、
図2に示すパターンと同様なパターンを有することを確
認することにより行う。
【0058】これまで、化合物[III]は、水に溶解後、
これにアルカリを添加することにより、晶析し、結晶と
して得られている。一方、本発明者らは、このようにし
て得られた結晶とは異なる新規な結晶を得た。当該新規
な結晶は、DSC曲線において、143〜145℃の間
にピークを有しており、本発明者らは、この新規な結晶
が、下記有機溶媒から晶析させることによって得られる
ことを見出した。
【0059】当該新規な結晶は、例えば、化合物[III]
を、該化合物[III]1kgに対して、2〜15L、好ま
しくは3〜6Lの量の下記有機溶媒中で結晶化させるこ
とにより得ることができる。この時の有機溶媒として
は、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、ジクロロ
メタン、クロロホルム、酢酸エチル、モノクロロベンゼ
ン;およびこれらと炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサ
ン、ヘプタンなど)との混合溶媒などが挙げられ、好ま
しくはトルエンとヘプタンとの混合溶媒、トルエン、モ
ノクロロベンゼンが挙げられる。
【0060】第三工程 第三工程は、反応溶媒中、化合物[III]をハロゲン化剤
と反応させて、化合物[I]を製造する工程である。ここ
で、式[I]のXにおけるハロゲン原子としては、フッ素
原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子が挙げら
れ、好ましくは塩素原子が挙げられる。
【0061】第三工程において、副生する酸性ガスを反
応系から除去することは、反応の促進、反応温度の低下
および反応時間の短縮を引き起こすため、収率および工
業的有利さの点から好ましい。また、この工程におい
て、さらに反応系に水を添加することも、反応を促進す
るため好ましい。化合物[III]とハロゲン化剤との反応
は、水の存在下、副生する酸性ガスを反応系から除去し
ながら行うのがより好ましい。
【0062】「副生する酸性ガスを反応系から除去す
る」方法としては、例えば、反応系に不活性ガスを導入
する方法、反応系を減圧下に還流する方法が挙げられ、
汎用的であるという点から、反応系に不活性ガスを導入
する方法が好ましい。
【0063】「反応系に不活性ガスを導入する方法」と
しては、例えば、不活性ガスを、反応系の気相部に流す
方法、反応液中にバブリングする方法が挙げられる。こ
こでいう不活性ガスとしては、例えば、窒素ガス、アル
ゴンガス、ヘリウムガスなどが挙げられ、好ましくは窒
素ガスである。不活性ガスは、反応系から酸性ガスが除
去されるような量を反応の間中導入すればよい。この方
法は、反応溶媒として沸点が比較的低い溶媒を使用して
いる時も利用でき、汎用的である。また、「反応系を減
圧下に還流する方法」とは、副生する酸性ガスを除去す
るように減圧しながら反応を行うことを意味する。
【0064】第三工程は、具体的には、反応溶媒中に化
合物[III]を添加後、これにハロゲン化剤を添加、好ま
しくは滴下することにより、化合物[I]を得ることがで
きる。水の添加は、化合物[III]の添加と同時に行えば
よく、化合物[III]は水和物の形態であってもよい。
【0065】第三工程におけるハロゲン化剤としては、
本発明の目的を達成し得るものであれば特に限定はな
く、例えば、オキシ塩化リン、塩化チオニル、五塩化リ
ン、三臭化リン、臭化チオニルなどが例示される。これ
らハロゲン化剤は、単独または併用して用いてもよく、
反応温度を低くすることができることから、好ましくは
オキシ塩化リンを用いる。ハロゲン化剤の使用量は、化
合物[III]に対して、通常、1〜10倍モル、好ましく
は1.5〜3.0倍モルである。使用量が1倍モル未満
である場合、反応速度が遅く、ハロゲン化が十分に行な
われず、10倍モルを越える場合、反応速度は速くなる
一方、後処理工程が複雑化し、また経済的問題が生じ
る。
【0066】第三工程における反応溶媒としては、第三
工程で不活性な溶媒であれば特に限定はなく、例えば第
二工程で使用する溶媒と同様なものが挙げられ、特にモ
ノクロロベンゼンが好ましい。ハロゲン化剤としてオキ
シ塩化リンを使用する場合、反応溶媒としては、好まし
くは、モノクロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、ク
ロロホルム、特に好ましくはモノクロロベンゼンを用い
る。該反応溶媒の使用量は、通常、使用した原料化合物
の全部および反応生成物である化合物[I]の全部を溶解
するに足る量である。
【0067】反応溶媒、ハロゲン化剤および不活性ガス
の好ましい組み合わせとしては、例えば、反応溶媒がモ
ノクロロベンゼンであり、ハロゲン化剤がオキシ塩化リ
ンであり、且つ反応系に導入する不活性ガスが窒素ガス
である組み合わせが挙げられる。
【0068】反応系に水を添加する場合の水の添加量
は、ハロゲン化剤の種類に依存し、例えば、ハロゲン化
剤としてオキシ塩化リンを使用する場合、オキシ塩化リ
ンに対して、0.1倍モル〜1.25倍モル、好ましく
は0.5倍モル〜1.0倍モルである。また、化合物[I
II]に対する水の添加量は、0.5倍モル〜3倍モルで
ある。化合物[III]を水和物の形態で使用する場合に
は、水和物に含まれる水の量も上記した水の添加量に含
める必要がある。
【0069】第三工程の反応温度は、通常、常圧で、室
温〜150℃、水の添加や副生する酸性ガスの反応系か
らの除去を行なう場合、通常、室温〜150℃、好まし
くは70℃〜100℃である。第三工程の反応時間は、
通常、8〜72時間、好ましくは12〜24時間であ
り、水の添加や副生する酸性ガスの反応系からの除去を
行なう場合、通常、6〜48時間、好ましくは10〜2
0時間である。
【0070】化合物[I]の単離は、常法で行なえばよ
く、例えば、反応液をアルカリ性水溶液で処理後、得ら
れた有機層を濃縮して、適当な溶媒から化合物[I]を晶
析させることによって行うことができる。化合物[I]の
精製は、再結晶などの常法により行うことができる。
【0071】化合物[A]の製造方法 本発明における「純度が85モル%以上である化合物
[A]」とは、物質中に含まれる該フェノチアジン誘導
体のモル%が85以上であることを意味し、「物質中」
とは該フェノチアジン誘導体を含む物質中を意味する。
該フェノチアジン誘導体以外に「物質中」に含まれる化
合物については、特に限定はされない。
【0072】本発明における化合物[A]の純度は、8
5モル%以上であり、好ましくは95モル%以上であ
る。以下に、純度が85モル%以上の化合物[A]を得
るための製造方法の一例について説明する。
【0073】特開平5−140157号において、化合
物[A]は、不活性溶媒中、塩基の存在下、原料として
10−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]
オクト−3−イルメチル)フェノチアジン(下式[I']の
化合物)を用いて、脱ハロゲン化水素を行うことによ
り、下記スキーム中の化合物[B]と化合物[C]と共
に得ることができることが開示されている。
【0074】
【化19】
【0075】本発明者らは、上記文献に記載の反応にお
いて、不活性溶媒としてグライム、塩基として、水酸化
カリウムおよびカリウムアルコキシドからなる群より選
ばれる少なくとも1種を使用することにより、化合物
[A]が高純度で得られることを見出した。つまり、グ
ライム中、水酸化カリウムおよびカリウムアルコキシド
からなる群より選ばれる少なくとも1種の塩基の存在
下、化合物[I]の脱ハロゲン化水素を行うことにより、
化合物[A]を高純度で得ることができる。
【0076】具体的には、例えば、グライム中に上記特
定の塩基を添加した懸濁液に、化合物[I]を添加し、所
定の温度、所定の時間、脱ハロゲン化水素を行うことに
より、化合物[A]を高収率、高純度で得ることができ
る。この場合、グライム中に上記特定の塩基を添加した
懸濁液は、化合物[I]を添加する前に加熱しておいても
よいが、液温は50℃以下にしておくことが収率の点か
ら好ましい。
【0077】化合物[A]の製造における反応溶媒であ
るグライムとしては、例えば、モノグライム、ジグライ
ム、トリグライム、テトラグライムなどが挙げられ、好
ましくはモノグライム、ジグライムであり、より好まし
くはジグライムである。該反応溶媒は、化合物[I]に対
して、1〜30倍重量部、好ましくは2〜20倍重量部
使用する。該反応溶媒は、反応を阻害しない量であれば
他の溶媒との混合溶媒であってもよい。他の溶媒として
は、例えば、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、o
−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼンなどが挙げ
られる。
【0078】化合物[A]の製造における特定の塩基と
は、水酸化カリウム、カリウムアルコキシドであり、当
該カリウムアルコキシドとしては、炭素数が1〜4個で
ある分岐鎖状または直鎖状のカリウムアルコキシドが挙
げられ、例えば、カリウムメトキシド、カリウムエトキ
シド、カリウムイソプロポキシド、カリウムt−ブトキ
シドなどが挙げられ、好ましくはカリウムt−ブトキシ
ドである。これらは、1種または2種以上を併用しても
よい。化合物[A]の製造における好ましい塩基として
は、水酸化カリウム、カリウムt−ブトキシドが挙げら
れる。当該塩基の使用量は、化合物[I]に対して、1〜
10倍モル、好ましくは1.1〜5倍モルである。
【0079】化合物[A]の製造は、通常、0〜150
℃で30分〜40時間、好ましくは20〜80℃で1〜
30時間行う。
【0080】化合物[A]の製造における反応の終了
は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い
て、化合物[I]の消失または減少を確認することにより
決定することができる。化合物[A]は、例えば、反応
終了後の反応液に水を適量加え、再結晶を行うことによ
り結晶として単離することができる。得られた結晶は、
取り出した後、乾燥させることなく、次の工程(水素化
反応によるメキタジンの合成)に使用することができ
る。
【0081】上記化合物[A]の製造方法により、化合
物[A]、化合物[B]および化合物[C]が得られる
が、このうち化合物[A]が主成分として生成する。こ
れは、反応終了後、単離操作前の反応液をHPLCで測
定することにより確認でき、溶媒を留去した残渣中、目
的物である化合物[A]が85モル%以上、好ましくは
95モル%以上含有されていることが確認できる。
【0082】得られた化合物[A]は、下記製造方法に
より、抗ヒスタミン作用、コリン作動抑制作用、抗アド
レナリン作用、神経鎮静作用、精神安定作用、鎮痙作用
など様々な作用を有する医薬上有用な化合物であるメキ
タジンに誘導することができる。
【0083】メキタジンの製造方法 メキタジンは、例えば、水素化還元に不活性な溶媒中、
水素化触媒の存在下、化合物[A]を水素ガスを用いて
還元することにより得ることができる(特開平5−14
0157号)。さらに、反応系に、化合物[A]に対し
て、1〜5倍モル量、好ましくは1.2〜3倍モル量の
プロトン酸(例えば、酢酸、プロピオン酸など)を添加
することが、反応速度をより早くすることができる点か
ら好ましい。当該反応に使用する水素ガスの量は、化合
物[A]に対して当モル量である。
【0084】水素化還元に不活性な溶媒としては、例え
ば、メタノール、エタノール、グライム類、水、トルエ
ンとメタノールとの混合溶媒などが挙げられ、好ましく
はメタノール、ジグライムが挙げられる。該溶媒は、化
合物[A]に対して、1〜30倍重量部、好ましくは2
〜20倍重量部使用する。
【0085】メキタジンの製造においては、さらに水素
化触媒を添加してもよく、水素化触媒としては、通常使
用されるものであれば特に限定はなく、例えば、白金
黒、コロイド白金、酸化白金、パラジウム炭素、パラジ
ウム/炭酸カルシウム、パラジウム/硫酸バリウム、ニ
ッケル、コバルト、鉄などのラネー触媒、ニッケル/ケ
イソウ土、亜クロム酸銅などが挙げられ、好ましくはパ
ラジウム炭素が挙げられる。水素化触媒の使用量はその
種類に依存し、例えばパラジウム炭素を使用する場合、
化合物[A]に対して、乾燥品換算で1〜100重量
%、好ましくは5〜15重量%であり、または金属換算
で0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜1.5重量
%である。
【0086】上記メキタジンの製造は、常圧、好ましく
は加圧下で行い、加圧とは通常2〜10kg/cm2
度の範囲内のことである。また、反応温度は0〜150
℃、好ましくは30〜60℃、反応時間は1〜24時
間、好ましくは6〜10時間である。
【0087】反応終了後、濾過、再結晶などの常法によ
り、メキタジンを単離することができる。高純度の化合
物[A]を出発原料として使用すれば、従来、原料に対
して同重量使用していた高価な水素化触媒の使用量を低
減することができ、更に高純度のメキタジンを高収率で
製造することができる。
【0088】
【実施例】本発明を以下の実施例および試験例によりさ
らに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定
されるものではない。 参考例13−キヌクリジノンの合成 水285mlに99%水酸化ナトリウム97.0g
(2.4モル)を溶解し、これに塩酸3−キヌクリジノ
ン193.9g(1.2モル)を添加し、トルエン60
0mlで抽出した。更に、得られた水層をトルエン30
0mlで再抽出して、得られたトルエン層を先のトルエ
ン層と合わせ、無水硫酸マグネシウムで脱水し、濃縮し
て3−キヌクリジノン150.2gを含むトルエン溶液
438.1g(収率:100%)を得た。
【0089】参考例2フェノチアジンカリウム塩の合成 トルエン280ml中に、フェノチアジン46.0g
(0.231モル)およびtert−ブトキシカリウム
25.9g(0.231モル)を加え、昇温し、1時間
還流させた。その後、トルエンを追加しつつ、塔温がト
ルエンの沸点になるまで、副生したtert−ブタノー
ルをトルエンと共沸留去し、フェノチアジンカリウム塩
のトルエンスラリー液を得た(収率:100%)。
【0090】参考例3フェノチアジンカリウム塩の合成 トルエン303ml中に、フェノチアジン67.8g
(0.33モル)および96%水酸化カリウム21.2
g(0.363モル)を加え、昇温し、2時間還流さ
せ、フェノチアジンカリウム塩のトルエンスラリー液を
得た(収率:100%)。
【0091】参考例4フェノチアジンナトリウム塩の合成 トルエン303ml中に、フェノチアジン49.8g
(0.25モル)および60%水素化ナトリウム9.6
g(0.24モル)を加え、さらにこれにDMFを少量
添加した後、昇温し、2時間還流させ、フェノチアジン
ナトリウム塩のトルエンスラリー液を得た(収率:10
0%)。
【0092】参考例5フェノチアジンカリウム塩の合成 トルエン905ml中に、フェノチアジン138.7g
(0.696モル)およびt−ブトキシカリウム78.
1g(0.696モル)を加え、昇温し、100〜10
6℃で1時間還流し、トルエンを追加しながら、塔温が
トルエンの沸点になるまで加熱させることによって、副
生したt−ブタノールをトルエンと共沸留去し、フェノ
チアジンカリウム塩のトルエンスラリー液を得た(収
率:100%)。
【0093】実施例110−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成
(化合物[II]を経由した化合物[III]の合成) トルエン51mlに3−キヌクリジノン23.2g
(0.185モル)を溶解し、トリメチルオキソスルホ
ニウムヨージド48.9g(0.222モル)およびジ
メチルスルホキシド154.7g(1.98モル)を加
えた。これに、25〜34℃で、60%水素化ナトリウ
ム8.16g(水素化ナトリウム含有モル:0.204
モル)を16.3mlの流動パラフィンに懸濁させた液
を1時間かけて滴下し、更に、滴下後の滴下ロートを流
動パラフィン4.1mlで洗い込んだ。この間、滴下し
た水素化ナトリウムに相当する量の水素の発生を認め
た。26〜30℃で1時間30分攪拌した後、反応の終
了をGC(ガスクロマトグラフィー)で確認し、3−メ
チレンキヌクリジンオキシドのジメチルスルホキシド−
トルエン混合溶液を得た。
【0094】次に、参考例2の通り調製したフェノチア
ジンカリウム塩のトルエンスラリー液をこれに加えて昇
温し、1時間還流(115〜120℃)させた。反応液
を約70℃に冷却した後、水230mlを加え、分液し
た。これに水230mlを更に加えて水洗し、分液し
た。得られたトルエン層から標題化合物を、水111m
lと酢酸12.2g(0.203モル)とで水層に抽出
し、この水層をトルエン46mlで洗浄した。別途、9
9%水酸化ナトリウム8.59g(0.213モル)を
水139mlに溶解した液を調製し、80〜90℃に昇
温した。これに得られた水層を同温で1時間30分かけ
て滴下した。30分熟成後、冷却して濾過し、水92.
5mlで洗浄し、乾燥して標題化合物47.1g(0.
139モル、収率75.3%、融点:127〜130
℃)を得た。
【0095】実施例210−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成
(化合物[II]を経由した化合物[III]の合成) トルエン51mlに3−キヌクリジノン23.2g
(0.185モル)を溶解し、これにトリメチルオキソ
スルホニウムヨージド40.7g(0.185モル)お
よびジメチルスルホキシド154.7g(1.98モ
ル)を加えた。26〜35℃で、63%水素化ナトリウ
ム7.03g(水素化ナトリウム含有モル:0.185
モル)を14.1mlの流動パラフィンに懸濁させた液
を1時間30分かけて滴下した。滴下後の滴下ロートを
流動パラフィン3.5mlで更に洗い込んだ。この間、
滴下した水素化ナトリウムに相当する量の水素の発生を
認めた。26〜30℃で2時間攪拌した後、反応の終了
をGCで確認し、3−メチレンキヌクリジンオキシドの
ジメチルスルホキシド−トルエン混合溶液を得た。
【0096】次に、これに参考例2の通り調製したフェ
ノチアジンカリウム塩のトルエンスラリー液を加え、昇
温し、1時間還流(115〜120℃)させた。反応液
を約70℃に冷却後、水230mlを加え、分液した。
これに更に水230mlを加え、水洗して分液した。得
られたトルエン層から標題化合物を、水111mlと酢
酸12.2g(0.203モル)とで水層に抽出し、こ
の水層をトルエン46mlで洗浄した。別途、99%水
酸化ナトリウム8.59g(0.213モル)を水13
9mlに溶解した液を調製し、80〜90℃に昇温し
た。これに得られた水層を同温で1時間かけて滴下し
た。これを30分熟成後、冷却して濾過し、水92.5
mlで洗浄し、乾燥して標題化合物44.5g(0.1
31モル、収率71.0%、融点:127〜130℃)
を得た。
【0097】実施例310−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成
(化合物[II]を経由した化合物[III]の合成) トルエン51mlに3−キヌクリジノン23.2g
(0.185モル)を溶解し、トリメチルオキソスルホ
ニウムヨージド49.0g(0.222モル)およびジ
メチルスルホキシド155.2g(1.98モル)を加
えた。これに、24〜30℃で、60%水素化ナトリウ
ム8.25g(水素化ナトリウム含有モル:0.206
モル)を1時間40分かけて分割添加した。この間、添
加した水素化ナトリウムに相当する量の水素の発生を認
めた。27℃で2時間攪拌した後、反応の終了をGCで
確認し、3−メチレンキヌクリジンオキシドのジメチル
スルホキシド−トルエン混合溶液を得た。
【0098】次に参考例2の通り調製したフェノチアジ
ンカリウム塩のトルエンスラリー液を加え、昇温し1時
間還流(115〜120℃)させた。反応液を約65℃
に冷却した後、水233mlを加え、分液した。更に水
233mlを加え、水洗し分液した。得られたトルエン
層から標題化合物を、水111mlと酢酸12.3g
(0.204モル)とで水層に抽出し、その水層をトル
エン46mlで洗浄した。別途、99%水酸化ナトリウ
ム9.13g(0.226モル)を水139mlに溶解
した液を調製し、80〜90℃に昇温して、得られた水
層を同温で30分かけて滴下し、更に30分熟成後、冷
却して濾過し、水93mlで洗浄し、乾燥して標題化合
物44.1g(0.130モル、収率70.2%、融
点:127〜130℃)を得た。
【0099】実施例410−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成
(化合物[II]を経由した化合物[III]の合成) トルエン51mlに3−キヌクリジノン23.2g
(0.185モル)を溶解し、これにトリメチルオキソ
スルホニウムヨージド49.0g(0.222モル)お
よびジメチルスルホキシド155.2g(1.98モ
ル)を加えた。25〜30℃で16.3mlの流動パラ
フィンに63%水素化ナトリウム8.17g(水素化ナ
トリウム含有モル:0.215モル)を懸濁させた液を
14分かけて滴下し、更に流動パラフィン4.1mlで
洗い込んだ。この間、添加した水素化ナトリウムに相当
する量の水素の発生を認めた。25〜30℃で1時間攪
拌した後、反応の終了をGCで確認し、3−メチレンキ
ヌクリジンオキシドのジメチルスルホキシド−トルエン
混合溶液を得た。
【0100】次に参考例2の通り調製したフェノチアジ
ンカリウム塩のトルエンスラリー液の中にこの反応液を
加え、昇温し、1時間還流(115〜120℃)させ
た。反応液を約65℃に冷却後、さらに水233mlを
加え、分液した。これに水233mlを加え、水洗して
分液した。得られたトルエン層から標題化合物を水11
1mlと酢酸12.3g(0.204モル)で水層に抽
出し、水層をトルエン46mlで洗浄した。別途、99
%水酸化ナトリウム8.63g(0.213モル)を水
139mlに溶解した液を調製し、80〜90℃に昇温
した。得られた水層を同温で30分かけて滴下した。3
0分熟成後、冷却して濾過し、水93mlで洗浄し、乾
燥して標題化合物45.0g(0.133モル、収率7
1.5%、融点:127〜130℃)を得た。DSC測
定の結果は図5に示す。
【0101】実施例510−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成
(化合物[II]を経由した化合物[III]の合成) トルエン154mlに3−キヌクリジノン69.7g
(0.557モル)を溶解し、トリメチルオキソスルホ
ニウムヨージド135.0g(0.613モル)および
ジメチルスルホキシド466.0g(5.96モル)を
加え、窒素ガス雰囲気下、25〜30℃で43mlの流
動パラフィンに63%水素化ナトリウム21.4g(水
素化ナトリウム含有モル:0.56モル)を懸濁させた
液を6時間かけて滴下し、更に、滴下後の滴下ロートを
流動パラフィン43mlで洗い込んだ。この間、滴下し
た水素化ナトリウムに相当する量の水素の発生を認め
た。25〜30℃で1時間攪拌した後、反応の終了をG
Cで確認し、3−メチレンキヌクリジンオキシドのジメ
チルスルホキシド−トルエン混合溶液を得た。
【0102】次に、参考例1と同様にして調製したフェ
ノチアジンカリウム塩(0.696mol)のトルエン
スラリー液の中にこの反応液を加えて昇温し、1時間還
流(117〜120℃)させた。反応液を約65℃に冷
却した後、水698mlを加え、分液した。更に、これ
に水698mlを加えて水洗し、分液した。得られたト
ルエン層から標題化合物を、水501mlと酢酸40.
1g(0.668モル)とで水層に抽出し、この水層を
トルエン418mlで洗浄した。別途、99%水酸化ナ
トリウム28.1g(0.696モル)を水418ml
に溶解した液を調製し、80〜90℃に昇温した。これ
に得られた水層を同温で30分かけて滴下した。30分
熟成後、冷却して濾過し、水278mlで洗浄し、乾燥
して標題化合物132.0g(0.390モル、収率7
0.0%、融点:127〜130℃)を得た。
【0103】実施例610−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンモノ水和
物の合成 実施例4の方法によって得られた10−(3−ヒドロキ
シ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル
メチル)フェノチアジンの湿晶を、90℃で、12時間
乾燥させ、水分量が0.1%及びDSC測定の結果が図
5のパターンと同様であったことにより、該フェノチア
ジン化合物が無水物になったのを確認後、空気(湿度:
65%)中に22時間放置した。得られた水和物の水分
を、カールフィッシャー法により測定した結果、4.8
〜5.1重量%であった。また、水和物の赤外吸収スペ
クトル(KBr法)を測定した結果を図1に示し、DS
C測定の結果は図2に示す。 元素分析値:理論値C=67.38,H=6.79
(%)(=C202422 1) 分析値C=67.45,H=6.66(%)
【0104】実施例710−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの新規結
晶の合成 実施例4の方法によって得られた10−(3−ヒドロキ
シ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル
メチル)フェノチアジン10.0gを、トルエン40m
lで再結晶して標題化合物7.43gを得た。DSC測
定の結果は図3に示す。
【0105】実施例810−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの新規結
晶の合成 実施例4の方法によって得られた10−(3−ヒドロキ
シ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル
メチル)フェノチアジン10.0gを、トルエン40m
lとヘプタン10mlとの混合溶媒で再結晶して標題化
合物7.89gを得た。DSC測定の結果は図4に示
す。
【0106】実施例910−(3−ヒドロキシ−1−アザビシクロ[2.2.
2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの新規結
晶の合成 実施例4の方法によって得られた10−(3−ヒドロキ
シ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イル
メチル)フェノチアジン10.0gを、モノクロロベン
ゼン30mlで再結晶して標題化合物7.12gを得
た。DSC測定の結果は、実施例7と同様であった。
【0107】実施例1010−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]
オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成(化合
物[I]の合成) モノクロロベンゼン660mlに、10−(3−ヒドロ
キシ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イ
ルメチル)フェノチアジン66.0g(0.195モ
ル)および水5.27g(0.292モル)を加え、こ
れにオキシ塩化リン59.8g(0.390モル)を6
5〜83℃で滴下し、さらに、昇温して減圧下に70〜
90℃で8時間還流させ、反応の終了をHPLCで確認
した。別途、水165mlに99%水酸化ナトリウム4
7.3g(1.17モル)を溶解した液を調製し、これ
に15〜60℃で反応液を滴下、水解した。得られた有
機層は活性炭3.3gで処理後、濃縮してジグライム6
6mlから晶析させ、1〜5℃で1時間熟成後、濾過、
乾燥して標題化合物50.8g(0.142モル、収率
73.1%、融点:156〜160℃)を得た。
【0108】実施例1110−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]
オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成(化合
物[I]の合成) モノクロロベンゼン220mlに、10−(3−ヒドロ
キシ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イ
ルメチル)フェノチアジン33.9g(0.1モル)お
よび水2.70g(0.15モル)を加え、これにオキ
シ塩化リン30.7g(0.2モル)を65〜75℃で
滴下し、昇温して20〜25ml/minの窒素気流下
に、84〜85℃で18時間反応後、反応の終了をHP
LCで確認した。別途、水85mlに99%水酸化ナト
リウム24.2g(0.6モル)を溶解した液を調製
し、55〜60℃にて反応液を滴下、水解した。得られ
た有機層は活性炭1.7gで処理後、濃縮してジグライ
ム47mlから晶析させ、1〜5℃で1時間熟成後、濾
過、乾燥して標題化合物29.6g(0.083モル、
収率82.9%、融点:156〜160℃)を得た。
【0109】実施例1210−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]
オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成(化合
物[I]の合成) モノクロロベンゼン330mlに、10−(3−ヒドロ
キシ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イ
ルメチル)フェノチアジン63.4g(0.187モ
ル)および水7.039g(0.390モル)を加え。
これに、65〜75℃でオキシ塩化リン59.8g
(0.390モル)を滴下し、昇温して約160ml/
minの窒素ガスで反応マスをバブリングしながら77
℃で16時間反応させ、反応の終了をHPLCで確認し
た。別途、水165mlに99%水酸化ナトリウム4
7.3g(1.17モル)を溶解した液を調製し、約5
5℃にて反応液を滴下、水解した。得られた有機層は活
性炭3.3gで処理後、濃縮してモノクロロベンゼン6
8mlとジグライム66mlとの混合液から晶析させ、
約5℃で1時間熟成後、濾過、乾燥して表題化合物5
1.0g(0.143モル、収率76.3%、融点:1
56〜160℃)を得た。示差走査熱量測定(DSC) 上記実施例4、6〜8で得られた化合物[III]につい
て、アルミニウムセル中、窒素気流下(50ml/mi
n)、10℃/分で、室温から200℃まで昇温しなが
ら、示差走査熱量測定を行なった。各化合物に対して得
られた結果を、それぞれ図2〜5に示す。
【0110】実施例1310−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]
オクト−3−イルメチル)フェノチアジンの合成(化合
物[I]の合成) モノクロロベンゼン660mlに、10−(3−ヒドロ
キシ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イ
ルメチル)フェノチアジン132.0g(0.390モ
ル)および水10.5g(0.585モル)を加え、こ
れにオキシ塩化リン119.6g(0.780モル)を
65〜75℃で滴下し、さらに、昇温して約160ml
/minの窒素ガスで反応マスをバブリングしながら、
77℃で16時間反応させ、反応の終了をHPLCで確
認した。別途、水330mlに99%水酸化ナトリウム
94.5g(2.34モル)を溶解した液を調製し、こ
れに約55℃にて反応液を滴下、水解した。得られた有
機層は水330mlで洗浄後、活性炭6.6gで処理
後、濃縮してモノクロロベンゼン200mlとジグライ
ム132mlとの混合液から晶析させ、約5℃で1時間
熟成後、濾過、乾燥して標題化合物111.3g(0.
312モル、収率80.0%、融点:156〜160
℃)を得た。
【0111】実施例14(E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(化合物
[A])の合成 ジグライム117g中にカリウムt−ブトキシド(1
1.78g,0.105モル、出発原料に対して1.5
当量)を加えた懸濁液に、10−(3−クロロ−1−ア
ザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フ
ェノチアジン(25.00g,0.070モル)を添加
して、室温で1時間15分攪拌した。その後、攪拌しな
がら2時間かけて液温を70〜80℃に昇温し、昇温後
2時間経過した後、反応の終了をHPLCで確認した。
この時のHPLCデータは、化合物[A]:化合物
[B]:化合物[C]=95.3:4.2:0.2(モ
ル%)であった。次に、水125mlを反応液に加え、
内容物が溶解するまで昇温した後、0〜5℃に冷却し、
析出した結晶を濾過、洗浄し、減圧下に乾燥して、標題
化合物(20.44g,収率91.1%)を得た。融
点:165〜169℃
【0112】1H−NMR(CDCl3)δ:7.05−
6.99(4H,m),6.88−6.80(4H,
m),6.08(1H,s),3.73(2H,s),
2.98−2.86(5H,m),1.62−1.48
(4H,m)
【0113】実施例15(E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(化合物
[A])の合成 ジグライム70g中に96%水酸化カリウム(20.4
6g,0.350モル、出発原料に対して5当量)を加
えた懸濁液を一旦100℃まで加熱した後に室温まで冷
却し、10−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.
2.2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジン(2
5.00g,0.070モル)を添加した。その後、攪
拌しながら液温を段階的に昇温して、最終的に70〜8
0℃とし、昇温後6時間(添加後24時間)経過した
後、反応の終了をHPLCで確認した。この時のHPL
Cデータは、化合物[A]:化合物[B]:化合物
[C]=94.2:5.1:0.3(モル%)であっ
た。次に、水75mlを反応液に加え、内容物が溶解す
るまで昇温した後、0〜5℃に冷却し、析出した結晶を
濾過、洗浄し、減圧下に乾燥して、標題化合物(19.
07g,収率85.0%)を得た。得られた化合物の融
点および1H−NMRは、実施例14と同様であった。
【0114】実施例16(E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(化合物
[A])の合成 モノグライム87g中にカリウムt−ブトキシド(4.
71g,0.042モル、出発原料に対して3当量)を
加えた懸濁液に、10−(3−クロロ−1−アザビシク
ロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フェノチア
ジン(5.00g,0.014モル)を添加した。その
まま室温で攪拌を続け、反応開始6時間経過した後に反
応の終了をHPLCで確認した。この時のHPLCデー
タは、化合物[A]:化合物[B]:化合物[C]=9
2.2:5.8:1.3(モル%)であった。次に、水
100mlを反応液に加え、内容物が溶解するまで昇温
した後、0〜5℃に冷却し、析出した結晶を濾過、洗浄
し、減圧下に乾燥して、標題化合物(3.92g,収率
86.8%)を得た。得られた化合物の融点および1
−NMRは、実施例14と同様であった。
【0115】実施例17(E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(化合物
[A])の合成 ジグライム668ml中にカリウムt−ブトキシド(8
7.5g、0.78モル)を加えた懸濁液に、10−
(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.2.2]オクト
−3−イルメチル)フェノチアジン(222.6g,
0.624モル)を添加して、70〜80℃に昇温し、
2時間後、反応の終了をHPLCで確認した。この時の
HPLCデータは、化合物[A]:化合物[B]:化合
物[C]=97.1:1.9:0.1(モル%)であっ
た。次に、水668mlを反応液に加え、内容物が溶解
するまで昇温した後、0〜5℃に冷却し、析出した結晶
を濾過、洗浄し、減圧下に乾燥して、標題化合物(18
3.9g,収率92.0%)を得た。得られた化合物の
融点および1H−NMRは、実施例14と同様であっ
た。
【0116】比較例1(E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(化合物
[A])の合成 ジグライム70.3g中に90%ナトリウムエトキシド
(15.88g,0.210モル、出発原料に対して3
当量)を加えた懸濁液に、10−(3−クロロ−1−ア
ザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フ
ェノチアジン(25.00g,0.070モル)を添加
した。室温にて1時間45分攪拌後、ジグライム70.
3gを加え、さらに攪拌しながら液温を70〜80℃ま
で昇温し、反応を開始して27時間経過した後に反応の
終了をHPLCで確認した。この時のHPLCデータ
は、化合物[A]:化合物[B]:化合物[C]=7
9.1:11.6:7.9(モル%)であった。次に、
水40mlを反応液に加え、内容物が溶解するまで昇温
した後、室温まで冷却し、析出した結晶を濾過、洗浄
し、減圧下に乾燥して、標題化合物(10.44g,収
率46.3%)を得た。得られた化合物の融点および1
H−NMRは、実施例14と同様であった。
【0117】実施例18メキタジンの合成 (E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(10.00
g,0.0312モル)、酢酸(2.25g,0.03
74モル)および10%パラジウム炭素(2.00g,
50%含水)をメタノール158gに加え、水素加圧下
(3〜5kg/cm2,水素ガス量:原料に対して当モ
ル量)、45〜50℃で8時間攪拌を行った。得られた
反応液をHPLCで測定した結果、原料は検出されず、
高純度のメキタジンが定量的に得られていた。
【0118】1H−NMR(CDCl3)δ:7.19−
7.15(4H,m),6.95−6.89(4H,
m),3.89−3.85(2H,m),3.08−
3.02(1H,dd,J=13.6,10.0H
z),2.81−2.73(4H,m),2.48−
2.43(1H,dd,J=13.6,2.4Hz),
2.24(1H,m),1.88−1.86(1H,
m),1.60−1.55(2H,m),1.41−
1.36(2H,m)
【0119】実施例19メキタジンの合成 (E)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(183.9
g,0.574モル)、酢酸(68.9g,1.15モ
ル)および10%パラジウム炭素(37.0g,50%
含水)をメタノール1290mlに加え、水素加圧下
(3〜5kg/cm2,水素ガス量:原料に対して当モ
ル量)、45〜50℃で8時間攪拌を行った。得られた
反応液をHPLCで測定した結果、原料は検出されず、
高純度のメキタジンが定量的に得られていた。得られた
化合物の1H−NMRは、実施例18と同様であった。
【0120】比較例2(Z)−10−(1−アザビシクロ[2.2.2]オク
ト−3−イリデンメチル)フェノチアジン(化合物
[B])の合成 トルエン260g中、10−(3−クロロ−1−アザビ
シクロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フェノ
チアジン(30.0g,0.084モル)およびカリウ
ムt−ブトキシド(18.9g,0.168モル)を加
え、加熱還流下8時間反応させた。次に、水100ml
を反応液に加え、無機物を水層に除去した。分液後、有
機層を水100mlで更に水洗し、活性炭10.0gと
アルミナ10.0gで処理した後、溶媒を留去した。濃
縮残渣にメタノール95gを加え、溶解した後、0〜5
℃に冷却し、析出した結晶を濾過、洗浄し、減圧下に乾
燥して標題化合物(11.9g,収率44.0%)を得
た。 融点:149〜153℃
【0121】1H−NMR(CDCl3)δ:7.08−
7.04(4H,m),6.90−6.86(4H,
m),6.20(1H,s),3.37(2H,s),
2.95−2.69(5H,m),1.85−1.72
(4H,m)
【0122】比較例3メキタジンの合成 比較例2で得られた(Z)−10−(1−アザビシクロ
[2.2.2]オクト−3−イリデンメチル)フェノチ
アジン(10.00g,0.0312モル)、酢酸
(2.25g,0.0374モル)および10%パラジ
ウム炭素(2.00g,50%含水)をメタノール15
8gに加え、実施例18と同様に水素加圧下(3〜5k
g/cm2,水素ガス量:原料に対して当モル量)、4
5〜50℃で8時間攪拌を行った。得られた反応液をH
PLCで測定した結果、メキタジン:化合物2b(原
料)=51:49(モル%)であった。実施例14で得
られた化合物および比較例2で得られた化合物に対し
て、X線結晶回折を行い、常法によりその分子構造を決
定した。得られた分子構造をそれぞれ図1および図2に
示す。X線結晶回折の測定条件および得られた測定デー
タを以下に示す。
【0123】測定条件 測定装置:Rigaku AFC7R 線源:CuKα線(λ=1.54178Å) 温度:23.0℃ 実施例14で得られた化合物の測定データ 格子定数:a=7.4085(9)Å, b=10.3915(7)Å, c=21.7777(6)Å, β=98.789(6)゜, V=1656.9(2)Å3, 空間群:P21/c(#14), Z値:4, R因子:0.043
【0124】比較例2で得られた化合物の測定データ 格子定数:a=9.083(1)Å, b=15.853(1)Å, c=11.975(2)Å, β=103.280(10)゜, V=1678.3(3)Å3, 空間群:P21/n(#14), Z値:4, R因子:0.051
【0125】実施例14〜17と比較例1とを比較する
ことにより、本発明の反応条件で脱ハロゲン化水素を行
うことにより、化合物[A]が高純度、高収率で得られ
ることがわかる。また、実施例18と比較例3とを比較
することにより、化合物[B]は化合物[A]よりも水
素化が進行し難く、さらに水素化を行うためには水素化
触媒を追加する必要がある。
【0126】
【発明の効果】本発明の方法により、第一工程におい
て、反応速度を制御でき、また不安定なジムシルナトリ
ウムを生成直後に反応に付すことができるため、3−メ
チレンキヌクリジンオキシド(化合物[II])を工業的に
安全に得ることができる。また、第一工程の終了後、反
応液の処理および化合物[II]の単離を全く行うことな
く、直接、第二工程を行うことにより、化合物[II]を単
離することによる収率の低下や、第一工程における単離
工程で使用した試薬による第二工程への影響などをなく
すことができ、高収率で、安定して化合物[III]を得る
ことができる。さらに、第三工程において、副生する酸
性ガスの除去や水の添加を行うことにより、化合物[I]
を効率よく得ることができる。つまり、本発明により、
メキタジンの中間体として有用な化合物[I]を、工業的
に安全に、効率のよく得ることができる。
【0127】また、本発明の方法により、純度が85モ
ル%以上である(E)−10−(1−アザビシクロ
[2.2.2]オクト−3−イリデンメチル)フェノチ
アジン(化合物[A])を提供することができるため、
これを原料として使用することにより、抗ヒスタミン作
用、コリン作動抑制作用、抗アドレナリン作用、神経鎮
静作用、精神安定作用、鎮痙作用など様々な作用を有す
る医薬上有用なメキタジンを、高純度、高収率で経済的
に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例6で得られた化合物の赤外吸収
スペクトルを示す図である。
【図2】図2は、実施例6で得られた化合物のDSC曲
線を示す図である。
【図3】図3は、実施例7で得られた化合物のDSC曲
線を示す図である。
【図4】図4は、実施例8で得られた化合物のDSC曲
線を示す図である。
【図5】図5は、実施例4で得られた化合物のDSC曲
線を示す図である。
【図6】図6は、X線結晶回折により決定した実施例1
4で得られた化合物の構造を示す。
【図7】図7は、X線結晶回折により決定した比較例2
で得られた化合物の構造を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊木 正己 大阪市西淀川区歌島3丁目1番21号 住化 ファインケム株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4C064 AA07 CC01 DD05 EE02 EE05 FF01 GG17 HH04 HH05 4H039 CA63 CF30

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記工程を含む、式[I] 【化1】 (式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表される10−
    (3−ハロゲノ−1−アザビシクロ[2.2.2]オク
    ト−3−イルメチル)フェノチアジンの製造方法: (a)ジメチルスルホキシド、3−キヌクリジノンもし
    くはその塩、およびトリメチルオキソスルホニウムハラ
    イドを含有する混合物に、アルカリ金属化合物を添加
    し、式[II] 【化2】 で表される3−メチレンキヌクリジンオキシドを製造す
    る第一工程、(b)該3−メチレンキヌクリジンオキシ
    ドを、フェノチアジンのアルカリ金属塩と反応させて、
    式[III] 【化3】 で表されるヒドロキシ体を製造する第二工程、および
    (c)反応溶媒中、該ヒドロキシ体またはその水和物を
    ハロゲン化剤と反応させて、式[I]のフェノチアジン化
    合物を製造する第三工程。
  2. 【請求項2】 第一工程において、アルカリ金属化合物
    を順次添加する、請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 第一工程において、アルカリ金属化合物
    を、固体のまま分割添加するか、またはアルカリ金属化
    合物に不活性な溶媒の懸濁液として滴下する、請求項1
    記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 第一工程において、混合物が反応に不活
    性な溶媒を含有する、請求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 第一工程において、アルカリ金属化合物
    がアルカリ金属水素化物またはアルカリ金属アルコキシ
    ドである、請求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 第一工程において、アルカリ金属化合物
    が水素化ナトリウムである、請求項1記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 第一工程において、トリメチルオキソス
    ルホニウムハライドがトリメチルオキソスルホニウムヨ
    ージドである、請求項1記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 第二工程において、フェノチアジンのア
    ルカリ金属塩がフェノチアジンのカリウム塩またはフェ
    ノチアジンのナトリウム塩である、請求項1記載の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 第一工程の終了後、処理および単離を全
    く行うことなく、直接第二工程を行う、請求項1記載の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 第三工程において、副生する酸性ガス
    を反応系から除去する、請求項1記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 副生する酸性ガスを、反応系に不活性
    ガスを導入することにより、または反応系を減圧下に還
    流することにより、反応系から除去する、請求項10記
    載の製造方法。
  12. 【請求項12】 第三工程において、モノクロロベンゼ
    ン中、反応系に窒素ガスを導入しながら、該ヒドロキシ
    体をオキシ塩化リンと反応させる、請求項1記載の製造
    方法。
  13. 【請求項13】 第三工程において、さらに、反応系に
    水を添加する、請求項1記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 第三工程において、ハロゲン化剤がオ
    キシ塩化リンであり、かつ反応系に該オキシ塩化リンに
    対して0.1倍モル〜1.25倍モルの量の水を添加す
    る、請求項1記載の製造方法。
  15. 【請求項15】 式[III] 【化4】 で表されるヒドロキシ体の水和物。
  16. 【請求項16】 示差走査熱量曲線において、143〜
    145℃の間にピークを有する、式[III] 【化5】 で表されるヒドロキシ体の結晶。
  17. 【請求項17】 式[III] 【化6】 で表されるヒドロキシ体またはその水和物を、ハロゲン
    化剤および水と反応させることを特徴とする、式[I] 【化7】 (式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表されるフェノ
    チアジン化合物の製造方法。
  18. 【請求項18】 副生する酸性ガスを反応系から除去す
    る、請求項17記載のフェノチアジン化合物の製造方
    法。
  19. 【請求項19】 式[III] 【化8】 で表されるヒドロキシ体またはその水和物をハロゲン化
    剤と反応させ、かつ副生する酸性ガスを反応系から除去
    することを特徴とする、式[I] 【化9】 (式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表されるフェノ
    チアジン化合物の製造方法。
  20. 【請求項20】 副生する酸性ガスを、反応系に不活性
    ガスを導入することにより、または反応系を減圧下に還
    流することにより、反応系から除去する、請求項19記
    載の製造方法。
  21. 【請求項21】 純度が85モル%以上である、式
    [A] 【化10】 で表される、(E)−10−(1−アザビシクロ[2.
    2.2]オクト−3−イリデンメチル)フェノチアジ
    ン。
  22. 【請求項22】 グライム中、水酸化カリウムおよびカ
    リウムアルコキシドからなる群より選ばれる少なくとも
    1種の塩基の存在下、式[I] 【化11】 (式中、Xは、ハロゲン原子を示す)で表される、10
    −(3−ハロゲノ−1−アザビシクロ[2.2.2]オ
    クト−3−イルメチル)フェノチアジンの脱ハロゲン化
    水素を行うことを特徴とする、(E)−10−(1−ア
    ザビシクロ[2.2.2]オクト−3−イリデンメチ
    ル)フェノチアジンの製造方法。
  23. 【請求項23】 塩基が水酸化カリウムまたはカリウム
    アルコキシドである、請求項22記載の製造方法。
  24. 【請求項24】 カリウムアルコキシドがカリウムt−
    ブトキシドである、請求項22記載の製造方法。
  25. 【請求項25】 10−(3−ハロゲノ−1−アザビシ
    クロ[2.2.2]オクト−3−イルメチル)フェノチ
    アジンが10−(3−クロロ−1−アザビシクロ[2.
    2.2]オクト−3−イルメチル)フェノチアジンであ
    る、請求項22記載の製造方法。
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