JP2001196203A - チップ型サーミスタ - Google Patents

チップ型サーミスタ

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JP2001196203A
JP2001196203A JP2000392357A JP2000392357A JP2001196203A JP 2001196203 A JP2001196203 A JP 2001196203A JP 2000392357 A JP2000392357 A JP 2000392357A JP 2000392357 A JP2000392357 A JP 2000392357A JP 2001196203 A JP2001196203 A JP 2001196203A
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glass
thermistor
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glass layer
chip
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JP2000392357A
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Hiroaki Nakajima
弘明 中島
Yoshihiko Ishikawa
良彦 石川
Hideto Kataoka
秀人 片岡
Masami Koshimura
正己 越村
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Mitsubishi Materials Corp
Original Assignee
Mitsubishi Materials Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 焼付け電極層形成時のガラス層や焼付け電極
層の保形性が良好でガラス層表面が平滑で見栄えが良
い。はんだ耐熱性及びはんだ付着性に優れ焼付け電極層
のめっき処理による抵抗値変化がなく高い信頼性と高い
抗折強度を得る。 【構成】 チップ型サーミスタ10はサーミスタ素体1
1と素体両端面を除く素体表面を被覆する絶縁性ガラス
層14と素体両端面を含む両端部に設けられた一対の端
子電極12を備える。電極12は素体両端部に形成され
た焼付け電極層16とこの電極層の表面に形成されため
っき層18,19を有する。ガラス層14の一部又は全
部が素体表面上に形成された結晶化ガラスの下ガラス層
14aと下ガラス層上に形成された密閉性を有する非晶
質ガラスの上ガラス層14bとにより構成される。結晶
化ガラスの前駆体ガラスのガラス転移点が400〜10
00℃の範囲にあって、その結晶化温度が前記ガラス転
移点より高い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、各種の電子機器の温度
補償用サーミスタや表面温度測定用センサに適するチッ
プ型サーミスタに関する。更に詳しくはプリント回路基
板等に表面実装されるチップ型サーミスタに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、この種のチップ型サーミスタは、
はんだ耐熱性を向上させるためにサーミスタ素体の両端
部に銀−パラジウムを主成分とする電極を焼付け、はん
だ付着性を高めるためにこの焼付け電極の表面にめっき
層を設けている。このめっき処理時に導電性のあるサー
ミスタ素体表面にめっきが付着して抵抗値が変化しない
ように、本出願人は焼付け電極層が接触する部分以外の
サーミスタ素体の表面を軟化点がこの電極層の焼付け温
度とほぼ等しいガラス層で被覆し、かつ焼付け電極層の
表面にめっき層を形成したチップ型サーミスタを特許出
願した(特開平3−250603)。また本出願人はガ
ラス層形成後の電極層焼付け時にガラス層が軟化しない
ように、ガラス層をガラスと、アルミナ、ジルコニア、
マグネシア等の無機結晶物とを含む無機複合材料で構成
したサーミスタを特許出願した(特開平3−25060
4)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平3−2
50604号公報に開示したサーミスタでは、このガラ
ス層を形成するためのペースト中でガラス粉末と無機結
晶物粉末が均一に混合しにくいため、このペーストが印
刷性に劣り印刷後のサーミスタ素体の表面が平滑になら
ない不具合があった。また無機複合材料の焼成時に無機
結晶物が存在することにより無機複合材料中に気泡が残
存し易い。この残存した気泡は開気孔(open pore)に
なり易く、後工程のめっき処理時にめっき液が開気孔内
に浸入してサーミスタ素体をめっき液で浸食し、サーミ
スタの信頼性を低下させる欠点があった。更に電極層の
焼付け後にガラス層の表面が荒れ、サーミスタの外観を
損うとともに、高温多湿の環境下で使用すると開気孔の
程度により抵抗値が変化して、製品の信頼性を低下する
問題点があった。
【0004】本発明の目的は、焼付け電極層形成時のガ
ラス層や焼付け電極層の保形性が良好なチップ型サーミ
スタを提供することにある。本発明の別の目的は、ガラ
ス層の表面が平滑で見栄えの良いチップ型サーミスタを
提供することにある。本発明の別の目的は、はんだ耐熱
性及びはんだ付着性に優れ、焼付け電極層のめっき処理
に起因した抵抗値の変化がなく、しかも高温多湿等の環
境下でも抵抗値の変化がなく、信頼性の高いチップ型サ
ーミスタを提供することにある。本発明の更に別の目的
は、熱的ストレスに起因した引張応力に対する強度が高
いチップ型サーミスタを提供することにある。
【0005】
【問題点を解決するための手段】図1及び図2に示すよ
うに、本発明のチップ型サーミスタ10は、サーミスタ
素体11と、このサーミスタ素体11の両端面を除く素
体表面を被覆する絶縁性ガラス層14と、このサーミス
タ素体11の両端面を含む両端部に設けられた一対の端
子電極12,12とを備え、これらの端子電極12,1
2がサーミスタ素体11の両端部に形成された焼付け電
極層16とこの焼付け電極層16の表面に形成されたN
iめっき層18及びSn又はSn/Pbめっき層19を
それぞれ有するサーミスタの改良である。その特徴ある
構成は、ガラス層14の一部又は全部が素体表面上に形
成された結晶化ガラスからなる下ガラス層14aとこの
下ガラス層14aの上に形成された密閉性を有する非晶
質ガラスからなる上ガラス層14bとにより構成され、
この結晶化ガラスの前駆体ガラスのガラス転移点が40
0〜1000℃の範囲にあって、その結晶化温度が前記
ガラス転移点より高い温度であることにある。ここで、
「結晶化ガラスの前駆体ガラス」とは、結晶化ガラスを
結晶化するために熱処理する前のガラスをいう。
【0006】本発明のチップ型サーミスタは、図1及び
図2に示されるもの以外に、図4又は図5に示すように
サーミスタ素体11の両端面以外の素体表面にこれらの
端子電極12,12に電気的に接続する抵抗値調整用内
部電極21を有し、ガラス層14が内部電極21を含む
両端面以外の素体表面を被覆するように構成され、この
ガラス層14の一部又は全部が素体表面上に形成された
結晶化ガラスからなる下ガラス層14aとこの下ガラス
層14aの上に形成された密閉性を有する非晶質ガラス
からなる上ガラス層14bとにより構成されたチップ型
サーミスタ20を含む。
【0007】また本発明のチップ型サーミスタは、図7
又は図8に示すようにサーミスタ素体11の両端面以外
の素体表面にこれらの端子電極12,12に電気的に接
続しない抵抗値調整用内部電極22を有し、ガラス層1
4が内部電極22を含む両端面以外の素体表面を被覆す
るように構成され、このガラス層14の一部又は全部が
素体表面上に形成された結晶化ガラスからなる下ガラス
層14aとこの下ガラス層14aの上に形成された密閉
性を有する非晶質ガラスからなる上ガラス層14bとに
より構成されたチップ型サーミスタ30を含む。
【0008】また本発明のチップ型サーミスタは、図9
に示すようにサーミスタ素体11の素体内部に一対の端
子電極12,12に電気的に接続する抵抗値調整用内部
電極23を有し、ガラス層14が両端面以外の素体表面
を被覆するように構成され、このガラス層14の一部又
は全部が素体表面上に形成された結晶化ガラスからなる
下ガラス層14aとこの下ガラス層14aの上に形成さ
れた密閉性を有する非晶質ガラスからなる上ガラス層1
4bとにより構成されたチップ型サーミスタ40を含
む。なお、図示しないが、この内部電極23が一対の端
子電極12,12に電気的に接続しないチップ型サーミ
スタも含む。
【0009】図1及び図2に示したチップ型サーミスタ
10は、次の方法により製造される。図3に示すよう
に、先ずサーミスタ素体用のセラミック焼結シート11
(同図(a))を用意する。この焼結シート11はM
n,Fe,Co,Ni,Cu,Al等の金属の酸化物粉
末を1種又は2種以上混合してこの混合物を仮焼し粉砕
し、有機結合材を加え混合して直方体に成形した後、焼
成してセラミック焼結ブロック(図示せず)を作製し、
続いてこのブロックをバンドソーを用いてウエハ状に切
断して作られる。なお、金属酸化物の混合物を仮焼し粉
砕した後、有機結合材と溶剤を加え混練してスラリーを
調製し、このスラリーをドクターブレード法等により成
膜乾燥してグリーンシートを成形し、これを焼成して焼
結シート11としてもよい。
【0010】この焼結シート11の両面にガラス層14
を形成する。先ず第1ガラスペーストを印刷して乾燥
し、次いで第2ガラスペーストを印刷して乾燥した後、
焼成することにより絶縁性の結晶化ガラスからなる下ガ
ラス層14aと、密閉性を有する絶縁性の非晶質ガラス
からなる上ガラス層14bとが形成される(同図
(b))。次いで両面がガラス層14で被覆された焼結
シート11をダイヤモンドブレード付き切断機のような
ダイシングソーを用いて短冊状に切断した後(同図
(c))、この短冊状サーミスタ素体13の両側の切断
面に前記と同じ第1及び第2ガラスペーストを順次印刷
して乾燥し、その後焼成して下ガラス層14aと上ガラ
ス層14bからなるガラス層14を形成する(同図
(d))。次に前記切断面と垂直な方向にこの短冊状サ
ーミスタ素体13を細かく切断してチップ15を作る
(同図(e))。このチップ15の切断面を包むように
チップの両端部に貴金属粉末と無機結合材を含む導電性
ペーストを塗布し、焼成して電極層を形成する。更にこ
の焼付け電極層を下地電極層としてこの表面にめっき層
を形成して焼付け電極層とめっき層からなる端子電極1
2を有するチップ型サーミスタ10を得る(同図
(f))。
【0011】図4に示したチップ型サーミスタ20は、
次の方法により製造される。図6に示すように、先ず前
記と同様にして作られたセラミック焼結シート11の両
面に貴金属粉末と無機結合材を含む導電性ペーストを帯
状に間隔をあけて印刷し乾燥して多数列の抵抗値調整用
内部電極21を形成する(同図(a))。次いでこのシ
ート11の両面にガラス層14を形成する。図3(b)
と同様にして下ガラス層14aと上ガラス層14bから
なるガラス層14が形成される(同図(b))。次に両
面がガラス層14で被覆された焼結シート11を電極2
1の列方向と直交する方向に短冊状に切断した後(同図
(c))、この短冊状サーミスタ素体13の両側の切断
面に前記と同じ第1及び第2ガラスペーストを順次印刷
して乾燥し、その後焼成して下ガラス層14aと上ガラ
ス層14bからなるガラス層14を形成する(同図
(d))。次に前記切断面と垂直な方向にかつ電極21
の幅方向の中心線にそってこの短冊状サーミスタ素体1
3を細かく切断してチップ15を作る(同図(e))。
このチップ15の切断面を包むようにチップの両端部に
導電性ペーストを塗布し、焼成して電極層を形成する。
更にこの焼付け電極層を下地電極層としてこの表面にめ
っき層を形成して焼付け電極層とめっき層からなる端子
電極12を有するチップ型サーミスタ20を得る(同図
(f))。
【0012】図5に示したチップ型サーミスタ20は、
図6(a)において抵抗値調整用内部電極21を上下両
面で1列ずつ交互に減らして形成する以外は、図6と同
様に製造される。図7又は図8に示したチップ型サーミ
スタ30は、図6(d)において短冊状サーミスタ素体
13の電極21と電極21の間をその切断面と垂直な方
向に切断してチップを作る以外は、図6と同様に形成さ
れる。図9に示したチップ型サーミスタ40は、次の方
法により製造される。先ずサーミスタ素体用のセラミッ
クグリーンシートを極く薄く成形し、このシート上面に
導電性ペーストを印刷し乾燥して内部電極23を形成し
た後、複数のグリーンシートを積み重ねてシート状の積
層体にし、この積層体を焼成して焼結シートを作る。以
後、図6(b)〜(f)に示す方法と同様にしてチップ
型サーミスタ40を得る。
【0013】上述したガラス層14について詳しく説明
する。このガラス層はその一部又は全部が下ガラス層と
上ガラス層の二層からなる。下ガラス層はセラミック素
体上に形成された結晶化ガラスからなり、上ガラス層は
この下ガラス層上に形成された密閉性を有する非晶質ガ
ラスからなる。この下ガラス層は後述するガラスペース
トを印刷又は塗布し乾燥した後、焼成することにより5
〜20μm程度の厚さに形成される。下ガラス層が部分
的に結晶化ガラスである場合には、結晶化率は10%以
上であることが本発明の目的を達成するために必要であ
る。ここで、結晶化ガラスとは、均一な非晶質のガラス
をその軟化点付近で制御されたスケジュールに従って焼
成し、微細な結晶の集りに変える方法で作られたガラス
セラミックスである。結晶化ガラスにするためには、ガ
ラスペーストに含まれる非晶質のガラス粉末(原料ガラ
ス粉末)を結晶化可能となるように選択しかつ配合する
こと、及びそのガラスペーストに含まれるガラスが結晶
化するように乾燥したペーストを所定の温度条件で焼成
することが必要である。
【0014】ガラスペースト焼成後の下ガラス層の緻密
度合いが良好になるように、結晶化ガラスの前駆体ガラ
スはそのガラス転移点が400〜1000℃の範囲にあ
って、その結晶化温度がガラス転移点より高いことが必
要である。このガラス転移点の範囲は、電極層の焼成温
度を考慮して決められる。この電極層にAgを用いると
きにはその焼成温度は600〜850℃であり、その温
度よりガラス転移点が大幅に低い場合、例えば結晶化ガ
ラスの前駆体ガラスのガラス転移点が400℃未満の場
合には結晶化温度が600℃を下回ることがあり、電極
層焼成時に結晶化ガラスが変質するおそれがある。また
前駆体ガラスのガラス転移点が1000℃を越えるとき
には、結晶化温度が1000℃より高くなりサーミスタ
素体が変質するおそれがある。
【0015】これに対して上ガラス層はガラスペースト
に含まれる非晶質のガラス粉末(原料ガラス粉末)が下
ガラス層の上述した焼成条件では結晶化しないように選
択しかつ配合することが必要である。上ガラス層はこの
ような原料ガラス粉末を含むガラスペーストを印刷又は
塗布し乾燥した後、焼成することにより5〜20μm程
度の厚さに形成される。本発明の目的を達成するため
に、下ガラス層の結晶化率は10%以下であって下ガラ
ス層を密閉することが必要である。
【0016】下ガラス層の結晶化ガラスはその熱膨張係
数がサーミスタ素体の熱膨張係数の40%以上100%
以下であることが好ましく、特に50%以上90%以下
であることが好ましい。上記40〜100%のときに
は、チップ型サーミスタの抗折強度がガラス層を設けな
いものと比べて増加することは勿論、ガラス層が未結晶
化ガラスからなるものであってその熱膨張係数が上記範
囲にあるものと比べても増加する。特に50〜90%の
ときには、抗折強度がガラス層を設けないもの及びガラ
ス層が未結晶化ガラスからなるものと比較してそれぞれ
20〜70%増加する。これに対して40〜100%の
範囲外では、ガラス層を設けないもの及びガラス層が未
結晶化ガラスからなるものと比べて抗折強度が低下す
る。
【0017】抗折強度とは、間隔をあけて配置された2
つの台にチップ型サーミスタの両端を置き、チップ型サ
ーミスタの中央部に荷重を加えたときの破壊強度をい
う。これは、チップ型サーミスタをプリント回路基板に
表面実装したときの実装機等による応力(機械的ストレ
ス)、或いははんだ等による熱や実装後の熱サイクルに
よって生じる応力歪み(熱的ストレス)にどれだけ耐え
ることができるかの目安となる。
【0018】本発明のチップ型サーミスタの抗折強度が
増加するのは、サーミスタ素体表面のガラス層に圧縮応
力が残留するためと考えられる。即ち、ガラスの焼成時
に熱膨張していたサーミスタ素体とガラス層が冷える
と、熱膨張係数の大きなサーミスタ素体の方が縮み方が
大きく、ガラス層が圧縮された状態となる。この状態の
チップ型サーミスタに折曲げ力を加えると、折曲げの内
側には圧縮応力が生じ、外側には引張応力が生じる。サ
ーミスタ素体とガラス層は、ともに圧縮応力に強く引張
応力に弱い特徴がある。このため、予めガラス層により
大きな圧縮応力を与えておくと、ガラス層を設けないも
の及びガラス層が未結晶化ガラスからなるものに比べ
て、折曲げ力を加えたときにその曲げの外側の引張応力
に対してクラックが生じにくくなる。上ガラス層の非晶
質ガラスの熱膨張係数も下ガラス層の結晶化ガラスと同
様に、サーミスタ素体の熱膨張係数の40%以上100
%以下であることが好ましく、特に50%以上90%以
下であることが好ましい。
【0019】
【作用】図2に示すように、サーミスタ素体11の両端
面を除く素体表面を下ガラス層14aと上ガラス層14
bからなる二層の絶縁性ガラス層14で被覆し、このサ
ーミスタ素体11の両端面を含む両端部に焼付け電極層
16を設けた後、めっき層18,19を設けることによ
りチップ型サーミスタ10が作られる。ガラス層14の
うち下ガラス層14aは結晶化ガラスであって、この結
晶化ガラスとなるガラスペーストは従来のように無機結
晶物を含まないため、印刷性が良好で、しかも下ガラス
層の形成時にガラス転移点を経て結晶化温度に達するた
め、焼成後のガラス自身の緻密度合いが良好である。
【0020】また、ガラス層14のうち上ガラス層14
bは非晶質ガラスであって下ガラス層14aを密閉する
ため、たとえ下ガラス層14aに微細な開気孔が存在し
ても、これらの開気孔は覆われ、ガラス層14の表面を
平滑にする。このためサーミスタ素体11は完全に被覆
され電極層16のみがめっき処理される。二層のガラス
層によりめっき処理時にサーミスタ素体11へのめっき
液の浸食及び素体11へのめっきの付着が防止され、サ
ーミスタの抵抗値が所期の値に対して変動しない。Ni
めっき層18によりはんだ耐熱性が向上し、サーミスタ
を基板にはんだ付けするときにはんだによる電極層16
の電極食われが防止する。またSn又はSn/Pbめっ
き層19により端子電極12のはんだ付着性が向上す
る。これらのめっき層18,19は貴金属の焼付け電極
層16の表面を被覆するため、貴金属のイオン移動が発
生しにくい。また、下ガラス層14aが結晶化ガラスで
あるため、電極層16の形成中にガラス自身の粘度低下
が少なく、サーミスタ素体のエッジ部のガラス層や、エ
ッジ部の焼付け電極層16が消失せず、電極層形成後の
ガラス層14に焼成治具等との融着跡又は接触跡が残ら
ない。
【0021】更に、結晶化ガラスの熱膨張係数をサーミ
スタ素体の熱膨張係数より適度に小さくすれば、作製さ
れたチップ型サーミスタのガラス層により大きな圧縮応
力が与えられ、ガラス層がないチップ型サーミスタ或い
は未結晶化ガラスのガラス層のみを有するチップ型サー
ミスタに比べて、折曲げ力を加えたときにその曲げの外
側の引張応力に対してクラックが生じにくくなる。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、ガ
ラス層のうち下ガラス層を結晶化ガラスにより構成する
ことにより、焼付け電極層形成時にガラス層が軟化して
変形したり焼成治具等に融着したりせず、また電極層が
ガラス層に溶け込まないため、ガラス層や焼付け電極層
の保形性が良好になる。また下ガラス層の上に非晶質ガ
ラスからなる上ガラス層を形成して結晶化ガラスの開気
孔を密閉することにより、ガラス層表面が平滑でサーミ
スタの見栄えが良くなる。また二重構造のガラス層によ
りサーミスタ素体が完全に保護されるので、第一に電極
層を形成した後、めっき処理するときにめっき液の浸食
によるサーミスタの抵抗値の変化を生じない。第二にサ
ーミスタ実装後の高温多湿等の環境下における抵抗値の
変化を生じない。これにより耐めっき液性及び耐候性の
ある信頼性の高いチップ型サーミスタが得られる。更に
熱膨張係数を適切に選択すれば、ガラス層が未結晶化ガ
ラスのチップ型サーミスタより抗折強度を増加させるこ
とができる。
【0023】
【実施例】次に本発明の具体的態様を示すために、本発
明を実施例を比較例とともに説明する。以下に述べる実
施例は本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】<実施例>次の方法により図1〜図3に示
すチップ型サーミスタを作製した。先ず市販の酸化マン
ガン、酸化コバルト及び酸化銅を出発原料とし、これら
の各金属元素が所定の原子比となるように上記金属酸化
物をそれぞれ秤量した。秤量物をボールミルで16時間
均一に混合した後に脱水乾燥した。次いでこの混合物を
900℃で2時間仮焼し、この仮焼物を再びボールミル
で粉砕して脱水乾燥した。粉砕物に対してポリビニルブ
チラールを6重量%、エタノールを30重量%、ブタノ
ールを30重量%それぞれ加え、混合スラリーを作製し
た。このスラリーを用いてドクタブレード法により厚さ
0.80mmのグリーンシートを作製し、このシートを
たて70mm、よこ70mmの大きさに打抜いた。次に
このシートを1200℃で4時間焼成し、たて50m
m、横50mm、厚さ0.65mmの焼結シート11を
得た(図3(a))。
【0025】ガラス転移点が約650℃で結晶化温度が
約750℃であるSiO2,MgO,ZnO及びBaO
を主成分とする原料ガラス粉末を含む第1ガラスペース
トを調製した。このペースト中でガラス成分は均一に混
じり合った。次いで780℃では結晶化しないSi
2,PbO及びK2Oを主成分とする原料ガラス粉末を
含む第2ガラスペーストを調製した。第1ガラスペース
トを焼結シート11の両面に印刷し乾燥した後、乾燥し
た第1ガラスペーストの上に第2ガラスペーストを印刷
し乾燥した。
【0026】第2ガラスペーストが乾燥した焼結シート
11を室温から約30℃/分の速度で780℃まで昇温
し、そこで約10分間保持し、約30℃/分の速度で室
温まで降温して、厚さ約20μmのガラス層14をシー
ト表面に形成した(図3(b))。このガラス層14は
第1ガラスペーストから形成された結晶化ガラスからな
る下ガラス層14aと、第2ガラスペーストから形成さ
れた非晶質ガラスからなる上ガラス層14bにより構成
される。
【0027】次に、これを厚さ0.10mmのダイヤモ
ンドブレードを用いて、幅1.20mmの短冊状に切断
し(図3(c))、この短冊状体13の両側の切断面に
前記と同様の方法で第1及び第2ガラスペーストを印刷
焼成して同じ構成のガラス層14を形成し、短冊状体の
4面をガラス層14で被覆した(図3(d))。続いて
前記切断により得られた切断面と垂直な方向に短冊状体
13を長さ1.90mmのチップ状に細かく切断した
(図3(e))。この切断面及びその周囲のガラス層1
4にAgペーストを塗布した。このチップ15を室温か
ら約30℃/分の速度で780℃まで昇温し、そこで約
10分間保持し、約30℃/分の速度で室温まで降温し
て焼付け電極層を形成した。この焼成により4面のガラ
ス層14のうち下ガラス層14aは結晶化率約60%の
結晶化ガラスとなり、上ガラス層14bは非晶質ガラス
であった。得られたチップ15の寸法は長さ約2.0m
m、幅約1.25mm、厚さ約0.75mmであった。
【0028】最後にこのチップ15に電解めっき法によ
りめっき処理を施し、焼付け電極層の表面に厚さ2〜3
μmのNiめっき層と厚さ4〜5μmのSnめっき層と
を積層し、二重構造の電極表面層を形成した。これによ
り電極層とめっき層からなる端子電極12が両端部に形
成されたチップ型サーミスタ10を得た(図3
(f))。
【0029】<比較例1>第1ガラスペーストを780
℃では結晶化しないSiO2,PbO及びNa2Oを主成
分とする原料ガラス粉末を含むように調製した以外は、
上記実施例と同一の条件で図3(f)に示す製造方法に
準じてチップ型サーミスタを得た。このサーミスタのガ
ラス層はサーミスタ素体表面上に形成された非晶質ガラ
スからなる下ガラス層とこの下ガラス層の上に形成され
たやはり非晶質ガラスからなる上ガラス層とにより構成
されていた。
【0030】実施例及び比較例で得られたチップ型サー
ミスタの信頼性を調べるため、サーミスタを125℃の
高温雰囲気に1000時間放置する高温放置試験及び8
5℃で相対湿度85%の高温多湿雰囲気に1000時間
放置する高温多湿試験を行った。各試験とも試料数20
個で行い、次式(1)よりサーミスタの抵抗値の変化率
を求めた。その結果を表1に示す。 抵抗値変化率 =(R2−R1)/R1 ……(1) ただし、R1は試験前の抵抗値、R2は試験後の抵抗値で
ある。
【0031】
【表1】
【0032】表1より明らかなように、結晶化ガラスの
下ガラス層と非晶質ガラスの上ガラス層を有する実施例
のサーミスタは2つの試験とも抵抗値変化率は1未満の
低い値であったのに対して、比較例のサーミスタは2つ
の試験とも約4の高い値であった。これにより実施例の
サーミスタが耐候性に優れ、信頼性が高いことが判っ
た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のチップ型サーミスタの外観斜視図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のチップ型サーミスタの製造工程を説明す
る図。
【図4】本発明の抵抗値調整用内部電極を設けたチップ
型サーミスタの断面図。
【図5】本発明の抵抗値調整用内部電極を設けた別のチ
ップ型サーミスタの断面図。
【図6】図4のチップ型サーミスタの製造工程を説明す
る図。
【図7】本発明の抵抗値調整用内部電極を設けた別のチ
ップ型サーミスタの断面図。
【図8】本発明の抵抗値調整用内部電極を設けた別のチ
ップ型サーミスタの断面図。
【図9】本発明の内部電極を設けた別のチップ型サーミ
スタの断面図。
【符号の説明】
10,20,30,40 チップ型サーミスタ 11 サーミスタ素体 12 端子電極 14 ガラス層 14a 下ガラス層 14b 上ガラス層 16 焼付け電極層 18 Niめっき層 19 Sn又はSn/Pbめっき層 21,22,23 抵抗値調整用内部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 秀人 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三 菱マテリアル株式会社セラミックス研究所 内 (72)発明者 越村 正己 埼玉県秩父郡横瀬町大字横瀬2270番地 三 菱マテリアル株式会社セラミックス研究所 内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 サーミスタ素体(11)と、前記サーミスタ
    素体(11)の両端面を除く素体表面を被覆する絶縁性ガラ
    ス層(14)と、前記サーミスタ素体(11)の両端面を含む両
    端部に設けられた一対の端子電極(12,12)とを備え、前
    記一対の端子電極(12,12)が前記サーミスタ素体(11)の
    両端部に形成された焼付け電極層(16)と前記焼付け電極
    層(16)の表面に形成されためっき層(18,19)をそれぞれ
    有するチップ型サーミスタ(10)において、 前記ガラス層(14)の一部又は全部が前記素体表面上に形
    成された結晶化ガラスからなる下ガラス層(14a)と前記
    下ガラス層(14a)の上に形成された密閉性を有する非晶
    質ガラスからなる上ガラス層(14b)とにより構成され、
    前記結晶化ガラスの前駆体ガラスのガラス転移点が40
    0〜1000℃の範囲にあって、その結晶化温度が前記
    ガラス転移点より高い温度であることを特徴とするチッ
    プ型サーミスタ。
  2. 【請求項2】 結晶化ガラスはその熱膨張係数がサーミ
    スタ素体(11)の熱膨張係数の40%以上100%以下で
    ある請求項1記載のチップ型サーミスタ。
  3. 【請求項3】 サーミスタ素体(11)は両端面以外の素体
    表面に前記端子電極に電気的に接続し又は接続しない抵
    抗値調整用内部電極(21,22)を有し、 ガラス層(14)が前記内部電極(21,22)を含む両端面以外
    の素体表面を被覆するように構成された請求項1記載の
    チップ型サーミスタ。
  4. 【請求項4】 サーミスタ素体(11)は素体内部に一対の
    端子電極(12,12)に電気的に接続し又は接続しない抵抗
    値調整用内部電極(23)を有する請求項1記載のチップ型
    サーミスタ。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100771501B1 (ko) 2006-04-07 2007-10-30 주식회사 쎄라텍 적층형 칩 타입 전자 부품의 표면 코팅용 조성물, 이를이용한 적층형 칩 타입 전자 부품 및 그 제조방법
CN102034580A (zh) * 2010-11-02 2011-04-27 肇庆爱晟电子科技有限公司 表面贴装高精度大功率ntc热敏电阻及其制作方法

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