JP2001193797A - 金属ベルト及び金属ベルト用エレメント - Google Patents

金属ベルト及び金属ベルト用エレメント

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JP2001193797A JP2000009289A JP2000009289A JP2001193797A JP 2001193797 A JP2001193797 A JP 2001193797A JP 2000009289 A JP2000009289 A JP 2000009289A JP 2000009289 A JP2000009289 A JP 2000009289A JP 2001193797 A JP2001193797 A JP 2001193797A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長寿命化を達成でき、動力損失の少ない金属
ベルトを提供することにある。 【解決手段】 金属ベルト17は、無端状の金属製のバ
ンド18と、多数の金属製のエレメント19により構成
されている。エレメント19は板厚1.0mmの金属板
を打ち抜き加工したものであって、ボディ部21と、同
ボディ部21とピラー部22を介して一体成形されたヘ
ッド部23とにより構成されている。上側の凹凸部26
aはヘッド部23の上端からピラー部22中央にかけて
形成され、下側の凹凸部26bはボディ部21の下端か
ら形成されている。ボディ部21の下端には逃がし部2
7が形成されている。ボディ部21の両端部には薄肉部
21aが形成されている。そして、ボディ部21の板ば
ね作用により、エレメント19に作用する外力が緩衝さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無端帯状をなす
金属製のバンドの延長方向に多数のエレメントを積層配
置した金属ベルト及びそのエレメントに関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車の無段変速機等の動力伝
達用に使用される金属ベルトにおいては、無端帯状をな
す金属製のバンドに、金属板を成形してなる多数の平板
状をなすエレメントを、ベルトの延長方向へ相対滑り可
能に積層配置するようにして構成されている。エレメン
トの板厚については、従来から例えば1984年7月号
における「機械設計」(日刊工業新聞社刊)の「自動車
用無段変速機(CVT)の機構と特性」の論文中に「・
・・コマ(エレメント)に関するものでは、3mm程度
の厚さを持つ鋼板を精密プレスで打ち抜いて・・・」な
る記述がある。また、その他特許第2532253号の
特許公報中にはこのエレメントの厚みが2.2mmであ
る旨の記述がある。更に、近年ではエレメントを1.5
mm程度に設計するのが常識になっているが、いずれも
エレメント自体の剛性を向上させることを念頭に置くの
みであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、エレメント
が厚い場合には、プーリと接触する箇所において隣接す
るエレメント同士のヘッド部の間隔が開いてしまい、バ
ンドに過度の屈曲応力が加わることとなってしまう。そ
のためエレメントが厚いほど屈曲応力が大きくなってバ
ンドの寿命が短くなるという傾向があった。更に、屈曲
応力が大きくなることによって動力損失も大きくなると
いう課題が生じていた。この発明は、このような従来の
技術に存在する問題点に着目してなされたものである。
その目的とするところは、バンドに加わる屈曲応力が少
ないためバンドが長持ちし、動力損失の少ない金属ベル
トを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に記載の発明では、駆動プーリと被動プ
ーリとの間に掛装される無端帯状をなす金属製のバンド
の延長方向に多数のエレメントを積層配置した金属ベル
トにおいて、前記エレメントを板厚0.7〜1.1mm
の板材より構成したことをその要旨とする。請求項2に
記載の発明では、請求項1に記載の発明の構成に加え、
前記エレメントは、前記プーリに形成された環状溝の内
側面と接触部を介して接触するボディ部と、そのボディ
部にピラー部を介して一体成形されたヘッド部とを備
え、同ピラー部の両側にはバンドを挿通するためのスリ
ットを設けたことを特徴とするものである。請求項3に
記載の発明では、請求項1または請求項2に記載の発明
の構成に加え、 ボディ部又はヘッド部の少なくとも一
方には前記エレメントの板厚方向に凹凸する凹凸部を設
けたことを特徴とするものである。請求項4に記載の発
明では、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の発明の
構成に加え、前記ボディ部の下方には逃がし部が形成さ
れ、同逃がし部におけるボディ部の上下幅が前記接触部
におけるボディ部の上下幅に対して幅狭とされているこ
とを特徴とするものである。請求項5に記載の発明で
は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明の構成におい
て、前記ボディ部における両端部には、この部分以外の
ボディ部より減厚された薄肉部が形成されていることを
特徴とするものである。請求項6に記載の発明では、請
求項3〜請求項5のいずれかに発明の構成に加えて、前
記凹凸部はエレメントの高さ方向に延びることを特徴と
するものである。
【0005】請求項7に記載の発明では、請求項1に記
載の発明の構成に加えて、前記エレメントは前記プーリ
に形成された環状溝の内側面に接触部を介して接触する
ボディ部と、同ボディ部の両側からそれぞれ立ち上がる
立設部と、同立設部の先端から内方に向かって延出形成
された折り曲げ部からなる対向配置された一対の鈎状部
とを備え、同ボディ部上面と両鈎状部とによって包囲さ
れたバンド挿入開口部を形成するとともに、同バンド挿
入開口部内にバンドと脱落防止体とを重合配置したこと
を特徴とするものである。請求項8に記載の発明では、
請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記一対の立設
部の折り曲げ部間の間隔は前記バンドの幅よりも幅狭で
はなく、前記脱落防止体は同折り曲げ部間の間隔よりも
幅広であることを特徴とするものである。請求項9に記
載の発明では、請求項7または請求項8の発明に加え
て、前記ボディ部にはエレメントの板厚方向に凹凸する
凹凸部を設けたことを特徴とするものである。請求項1
0に記載の発明では、請求項7〜請求項9のいずれかの
発明の構成に加えて、立設部及び折り曲げ部を含むボデ
ィ部の両端部には、この部分以外のボディ部より減厚さ
れた薄肉部が設けられていることを特徴とするものであ
る。請求項11に記載の発明では、請求項1〜10のい
ずれかに記載のエレメントを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、この発明を自動車の無段変
速機において具体化した実施の形態について、図面に基
づいて詳細に説明する。なお、本実施の形態において、
上下とは図2〜図5における上下方向をいい、左右とは
図2,図4における左右方向をいうものとする。また、
前後とは図2,図4の紙面からみて手前方向と奧方向と
をそれぞれいうものとする。
【0007】(実施の形態1)図1及び図2に示すよう
に、駆動軸11には駆動プーリ12が取り付けられ、そ
の外周には略V字状の環状溝13が形成されている。駆
動軸11と対応する被動軸14には被動プーリ15が取
り付けられ、その外周には略V字状の環状溝16が形成
されている。駆動プーリ12及び被動プーリ15の各環
状溝13,16間には無端状をなす金属ベルト17が掛
け渡され、駆動プーリ12の回転が金属ベルト17を介
して被動プーリ15に伝達される。図2及び図3
(a),(b)に示すように、この金属ベルト17は、
無端状の金属製のバンド18と、多数の金属製のエレメ
ント19により構成されている。エレメント19は板厚
1.0mmの金属板を打ち抜き加工したものであって、
ボディ部21と、同ボディ部21とピラー部22を介し
て一体成形されたヘッド部23とにより構成されてい
る。横長のボディ部21の両端には前記環状溝13,1
6の側壁に当接する接触部としての傾斜部24が形成さ
れている。傾斜部24は略V字状の各環状溝13,16
の傾斜した内側壁に沿うように斜状に形成されている。
さらに、エレメント19の外周面全体には、サンドブラ
ストあるいはショットピーニングにより図示しないサー
フェスプロファイリングが形成され、このサーフェスプ
ロファイリングに潤滑油が保持されるため、各エレメン
ト19間の摩擦抵抗が軽減される。
【0008】前記ピラー部22の両側であって、ボディ
部21とヘッド部23との間には一対のスリット25が
形成されている。前記両スリット25にはバンド18が
それらの長さ方向に相対滑り可能に積層して配置され
る。バンド18は、複数の金属薄板を板厚方向に積層重
合して構成され、図示しないがその両面またはいずれか
一方の面には、サンドブラストあるいはショットピーニ
ングによるサーフェスプロファイリングが形成され、こ
のサーフェスプロファイリングに潤滑油を保持して、バ
ンド18と各エレメント19との間の摩擦抵抗が軽減さ
れている。ボディ部21とヘッド部23とにはそれぞれ
エレメント19の打ち抜き時に同時にプレス加工される
凹凸部26a,26bが形成されている。凹凸部26
a,26bは上下方向に長く形成され前面側(図2にお
いて手前側)が凸状で、裏面側が凹状とされている。
【0009】ヘッド部23の上端からピラー部22中央
にかけて上側の凹凸部26aが形成されている。ボディ
部21の下端から仮想線としてのピッチ線P近傍にかけ
て下側の凹凸部26bが形成されている。隣接する各エ
レメント19の凹凸部26a,26bが互いに凹凸関係
によって嵌まり合うことでエレメント19が整列して連
結される。また、凹凸部26a,26bによって金属ベ
ルト17の周回時におけるエレメント19の左右方向の
相対移動が制限されることとなる。
【0010】ボディ部21の下端であって、左右二箇所
には大きく略台形状に切れ込んだ逃がし部27が、ボデ
ィ部21に巾狭の部分を形成させることにより設けられ
ている。また、ボディ部21の両端部には、この部分以
外のボディ部21より減厚された薄肉部21aが形成さ
れ、この薄肉部21aによりボディ部21に対して板ば
ね作用が付与されている。金属ベルト17が両プーリ1
2,15間を周回し、環状溝13,16の内側壁にエレ
メント19の傾斜部24が当接して擦り合う際に内側壁
面からの突き上げによってボディ部21には圧縮方向の
外力がかかることとなる。このとき、逃がし部27はボ
ディ部21に幅狭の部分を形成させているため、ボディ
部21を上下方向に撓ませる緩衝機能を有するものであ
る。同時に薄肉部21aも減厚されているため、その部
分の板ばね作用が向上され、ここでも有効な緩衝機能が
発揮される。しかも、凹凸部26a,26bは逃がし部
27による撓み方向と交差する方向の撓みを許容するた
め、これら逃がし部27、薄肉部21a及び凹凸部26
a,26bによる協働作用によって周回時にエレメント
19にかかる外力に基づく応力が軽減される。
【0011】ボディ部21において図2上で一点鎖線で
表されるピッチ線Pから下方の部分には研削加工によっ
て傾斜面29が設けられていて、ボディ部21はその下
方ほど薄肉とされている。このように傾斜面29が設け
られているのは次の理由による。すなわち、金属ベルト
17がちょうど前記プーリ12,15の環状溝13,1
6を周回する際には、各エレメント19のヘッド部23
側は互いに若干離間して放射状に拡開されることとな
る。つまり周回時においては隣接するエレメント19同
士は斜め状態となっている。従って、このテーパ状の傾
斜面29が形成されていることで、隣接するエレメント
19同士は傾斜面29で密着するため、円滑に周回を担
保させることができる。
【0012】このように構成することによって本実施の
形態1では次のような効果が奏される。 (1)エレメント19の板厚は上記実施の形態1では
1.0mmとされ、従来に比べ格段に薄くかつ軽量化さ
れている。従って、プーリ12,15の環状溝13,1
6を周回しているエレメント19において隣接するエレ
メント19同士のヘッド部23の間隔が大きく開いてし
まうことがなく、バンド18に過度の屈曲応力が加わる
ことがなくなる。そのためバンド18の寿命が従来に比
べ長くなるとともに、金属ベルト17に対して付与され
る無駄な応力を抑制できて、動力損失を少なくできる。 (2)エレメント19の板厚が厚い場合には、傾斜面2
9の傾斜を急角度にするために多量に研削する必要があ
る。しかし、本実施の形態1では、エレメント19の厚
さを1.0mmとしたため、傾斜面29を出するための
切削加工量がそれほど必要とならなくなり、エレメント
19の加工時間の短縮となる。 (3) エレメント19の両端部に薄肉部21aを設け
たため、ボディ部21の両端部が有効な板ばね機能を有
するように撓曲する。このため、エレメント19におけ
る緩衝機能を発揮して、無理のない効率的な動力伝達及
び長寿命化に寄与できる。
【0013】(実施の形態2)図4以降の図面に示す実
施の形態2の金属ベルト30においても実施の形態1と
同様に駆動プーリ12及び被動プーリ15の各環状溝1
3,16間に金属ベルト30が掛け渡され、駆動プーリ
12の回転が金属ベルト30を介して被動プーリ15に
伝達される。図4〜図6に示すように、金属ベルト30
は、無端状の金属製のバンド31と、多数の金属製のエ
レメント32と、脱落防止体33とにより構成されてい
る。
【0014】エレメント32は板厚1.0mmの金属板
を打ち抜き加工したものであって、ボディ部34と、同
ボディ部34と一体に形成された鈎状部35とより構成
されている。鈎状部35は横長のボディ部34の両端か
ら立ち上がる立設部37と、同立設部37から内方に向
かって延出形成された折り曲げ部38とから構成されて
いる。ボディ部34から立設部37にかけての両端には
前記環状溝13,16の内側壁に当接する接触部として
の傾斜部40が形成されている。傾斜部40は略V字状
に傾斜した前記内側壁に沿うように斜状に形成されてい
る。ボディ部34の上端は穏やかな曲率を持った円弧状
のバンド配置部41とされている。このような形状とし
たため、バンド配置部41に配置されたバンド31が左
右に蛇行するのを防止することができる。
【0015】ボディ部34上方には同ボディ部34のバ
ンド配置部41と鈎状部35によって包囲されたバンド
挿入開口部42が形成されている。図4に示すように、
バンド挿入開口部42内におけるボディ部34上端には
複数枚のバンド31が積層配置され、このバンド31の
上部に重合するように1枚の脱落防止体33が配置され
ている。図7、図8(a)及び(b)に示すように、脱
落防止体33はバンド31よりも若干幅広に構成された
無端帯状をなす金属製の薄板体である。脱落防止体33
には複数の長孔33aが透設され、同長孔33aに隣接
して小孔33bが透設されている。脱落防止体33がバ
ンド31に重合された状態において、同脱落防止体33
は折り曲げ部38の最下面位置より若干下方位置に配置
される。脱落防止体33の両面またはいずれか一方の面
には、サンドブラストあるいはショットピーニングによ
るサーフェスプロファイリングが形成され、このサーフ
ェスプロファイリングに潤滑油が保持されて、バンド3
1と各エレメント32との間の摩擦抵抗が軽減されてい
る。
【0016】図4に示すように、左右の折り曲げ部38
の先端(互いに向き合っている対向面)間の間隔dは、
本実施の形態ではバンド31よりごくわずかに広く形成
されている。左右の立設部37の間隔は脱落防止体33
の幅より若干広く形成され、前記間隔dは脱落防止体3
3の幅より若干狭く形成されている。ボディ部34の中
央にはそれぞれエレメント32の打ち抜き時に同時にプ
レス加工される円形をなす凹凸部45が形成されてい
る。凹凸部45は、前面(図4において手前側)凸状で
裏面側が凹状とされている。この凹凸部45は、前記実
施の形態1の凹凸部26a,26bとほぼ同様な機能を
有する。ボディ部34の下端の中央には、ボディ部34
を巾狭にすることにより、逃がし部46が形成されてい
る。
【0017】ボディ部34の両端部には、前記立設部3
7及び折り曲げ部38を含むように、この部分をボディ
部34の他の部分より減厚することにより薄肉部34a
が形成されている。隣接する各エレメント32の凹凸部
45は互いに凹凸関係によって嵌まり合い、エレメント
32が整列して連結される。また、凹凸部45によって
金属ベルト30の周回時におけるエレメント32の左右
方向の相対移動が制限されることとなる。金属ベルト1
7が両プーリ12,15間を周回し、環状溝13,16
の内側壁に傾斜部40が当接して擦り合う際に内側壁面
からの突き上げによってボディ部34には外力がかかる
こととなる。逃がし部46は、ボディ部34を撓ませる
緩衝機能を有するものである。また、ボディ部21に上
方から過大な加重がかかった場合にはバンド配置部41
はより穏やかな曲率となる方向に(つまり直線に近づく
方向に)撓んで応力を軽減することができる。しかも、
薄肉部34aも板ばね作用により、エレメント32の厚
さ方向における緩衝機能を有効に発揮する。このため、
これら逃がし部46、凹凸部45及びバンド配置部41
による協働作用によって周回時にエレメント32にかか
る外力に基づく応力が軽減される。ボディ部34におい
て、図4上で一点鎖線で表されるピッチ線Pから下方の
部分には研削加工によって傾斜面47が設けられてお
り、ボディ部34はその下方ほど薄肉とされている。こ
のように傾斜面47は前記実施の形態1と同様に、隣接
するエレメント32同士が傾斜面47で密着するのを抑
制するため、金属ベルト30を円滑に周回を担保させる
ことができる。
【0018】このような構成の金属ベルト30におい
て、エレメント32をバンド31及び脱落防止体33に
装着する手順について説明する。バンド31に対して下
方よりエレメント32をあてがい、そのバンド挿入開口
部42からバンド31を挿入させバンド配置部41上に
配置させる。一方、図7に示す脱落防止体33を幅広の
通常状態から、前記小孔33bに工具(図示しない)を
引掛けて、その工具により幅を狭めることによりバンド
31とほぼ同幅の部分を形成させる。すなわち、脱落防
止体33の一部を図8(a)及び(b)に示す幅狭の撓
曲状態とする。脱落防止体33は、その撓曲状態で左右
の折り曲げ部38の先端の間隔dよりやや幅狭となるた
め、その幅狭の位置において脱落防止体33をエレメン
ト32のバンド挿入開口部42内に導く。バンド31及
び脱落防止体33をバンド挿入開口部42内に導いたエ
レメント32を次々と脱落防止体33の幅広の方向へ順
送りしていき全部のエレメント32を通した後、工具を
はずす。すると脱落防止体33は自己の弾性力によって
図7の元の状態に復帰する。この復帰状態では前記間隔
dより幅広となるため、エレメント32がバンド31か
ら脱落することはない。
【0019】このように構成することによって本実施の
形態2では実施の形態1の(1)〜(3)と同様の効果
に加え、次のような独自の効果が奏される。 (1)バンド挿入開口部42がボディ部34の上面に大
きく開口されているため、バンド31及び脱落防止体3
3へのエレメント32の装着作業を極めて迅速かつ容易
に行い得る。 (2)傾斜部40はボディ部34のみならず鈎状部3
5、つまりバンド31よりも高い位置まで設けられてい
る。そして、エレメント32がプーリ12,15の環状
溝13,16内に突入する際にはピッチ線Pよりも外
方、つまり実施の形態2では鈎状部35とまず擦り合う
こととなる。このように、傾斜部40がピッチ線Pの外
側に設けられているため、エレメント32がプーリ1
2,15の周回地域に進入する際の衝撃を緩和すること
ができる。 (3)エレメント32には、バンド18の幅に対応した
バンド挿入開口部42が設けられるため、エレメント3
2の軽量化が実現でき、金属ベルト17全体が軽量にな
る(金属ベルト全体で20〜30%の軽量化が可能にな
った)。このため、金属ベルト17のイナーシャが小さ
くなり、加減速等にともなう応答性の向上が期待でき
る。 (4)エレメント32の脱落防止のために、1枚の脱落
防止体33が設けられているだけであるから、構成が複
雑になることがない。 (5) 脱落防止体33の撓曲変形を利用して、バンド
31にエレメント32を支持するため、組付けがきわめ
て容易である。 (6) 脱落防止体33にそれを撓曲変形させるための
長孔33a及び小孔33bが形成されているため、金属
ベルト全体の軽量化に寄与できる。
【0020】なお、前記実施形態を次のように変更して
構成することもできる。 ・上記実施の形態1,2でのエレメント19,32の板
厚は1.0mmであった。エレメントは剛性を保持する
ため0.7mm以上は必要であり、実用上最も好ましい
のは0.7〜1.1mmの範囲である。上記実施の形態
では例として自動車用の金属ベルトを示したが、自動車
以外の車両や無段変速の必要な機械であれば、この発明
の応用は自在である。 ・凹凸部26a,26b,45の形状は隣接するエレメ
ント19同士が脱落することなく連結されて、金属ベル
ト17としての機能を維持できれば、その形状や大きさ
を問うものでない。 ・エレメント19の形状を種々変更すること。例えば、
軽量化を促進するため、ボディ部34に貫通孔を形成し
てもよい。 ・脱落防止体33は、その軽量化のために透設された長
孔33a等が、実施の形態2の形状に限定されるもので
はなく、単純な四角形状、菱形等、各種の形状を採用し
てもよい。 ・前記実施の形態1では、上下二箇所に凹凸部26a,
26bがあったが、上下いずれか一方でもよい。 ・ 薄肉部を設けた効果をさらに発揮させるために、例
えば実施の形態2において、薄肉部34aのボディ部3
4中央側端部にボディ部34の幅方向(上下方向)に延
びる凹部を形成して、その凹部の形成によりその部分を
さらに薄肉にしてもよい。なお、この凹部はボディ部3
4の巾方向に直線状に、かつ同幅で延びるものが好まし
い。
【0021】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されてい
るため、次のような効果を奏する。請求項1及び2に記
載の発明では、エレメントの板厚は0.7mm〜1.1
mmとされ、従来に比べ格段に薄くかつ軽量化されてい
る。従って、プーリの環状溝を周回しているエレメント
において隣接するエレメント同士の間隔が大きく開いて
しまうことがなく、バンドに過度の屈曲応力が加わるこ
とがなくなる。そのためバンドの寿命が従来に比べ長く
なるとともに、動力伝達における動力損失を少なくでき
る。請求項3に記載の発明では、凹凸部によってエレメ
ントが確実に整列して連結されて、プーリの周回時にお
いてエレメントの左右方向の相対移動が制限され、動力
伝達における騒音、振動を抑制できる。請求項4に記載
の発明では、エレメントの逃がし部によりエレメントに
緩衝機能を持たせるものであるため、周回時にエレメン
トにかかる外力に基づく応力が軽減される。請求項5及
び10に記載の発明では、ボディ部の両端部に設けた薄
肉部の作用により、エレメントの板ばね作用に基づき、
外力に対して緩衝作用を有効に発揮させることができ
る。従って、金属ベルトの長寿命化と、良好な伝達効率
を確保できる。請求項6に記載の発明では、高さ方向に
延びる凹凸部によってエレメントの撓みを許容できるた
め、周回時にエレメントにかかる外力に基づく応力が軽
減される。
【0022】請求項7に記載の発明では、エレメントの
両側に立設部を有しているため、丈夫であり、エレメン
トは破損しにくくなる。また、開放部を設けたことによ
り、バンドや脱落防止体の装着作業が簡単になるととも
に、開放部が形成されていることによって、エレメント
の軽量化に寄与することとなる。請求項8に記載の発明
では、エレメントにはバンド挿通開口部が設けられ、そ
の出入り口である折り曲げ部間の間隔は少なくともバン
ドの幅よりも狭くはないため、エレメントが素早くバン
ドに取り付けられ、更に一旦バンド挿通開口部内に脱落
防止体を装着した後は、脱落防止体は出入り口である折
り曲げ部間の間隔より広いためエレメントが脱落するこ
とはない。請求項9に記載の発明では、凹凸部により、
隣接するエレメント同士が確実に嵌合され、エレメント
相互を適切に連結して、動力伝達を少ないロスで、振動
や騒音を抑制しながら好適に行うことができる。請求項
11に記載の発明では、上述した各種の効果を有する金
属ベルト用エレメントを提供できる。以上、説明した本
発明の金属ベルトの総合的な効果は、軽量であることに
加えて、バンドの寿命を延命させ、しかもエレメントに
作用する幅方向及び上下方向の応力に対して、変形によ
って加圧応力を分散できるので、動力伝達におけるCV
T全体の出力を20〜30パーセント削減することがで
きた。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施の形態1の金属ベルトを示す側面図。
【図2】 実施の形態1の金属ベルトを示す一部断面
図。
【図3】 実施の形態1の金属ベルトのエレメントの側
面図。
【図4】 実施の形態2の金属ベルトを示す一部断面
図。
【図5】 実施の形態2の金属ベルトのエレメントの側
面図。
【図6】 実施の形態2の金属ベルトのエレメントの平
面図。
【図7】 実施の形態2の金属ベルトの脱落防止体の平
面図。
【図8】 実施の形態2の組み付け状態を示す図であっ
て、(a)は断面図(b)は平面図。
【符号の説明】
12,15…プーリ、17,30…金属ベルト、18,
31…バンド、19,32…エレメント、21,34…
ボディ部、21a,34a…薄肉部、24,40…接触
部としての傾斜部、26a,26b,45…凹凸部、3
3…脱落防止体、35…鈎状部、38…折り曲げ部、4
2…バンド挿入開口部。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成13年1月23日(2001.1.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正内容】
【0016】図4に示すように、左右の折り曲げ部38
の先端(互いに向き合っている対向面)間の間隔dは、
本実施の形態ではバンド31よりごくわずかに広く形成
されている。左右の立設部37の間隔は脱落防止体33
の幅より若干広く形成され、前記間隔dは脱落防止体3
3の幅より若干狭く形成されている。ボディ部34の中
央にはそれぞれエレメント32の打ち抜き時に同時にプ
レス加工される円形をなす凹凸部45が形成されてい
る。凹凸部45は、前面(図4において手前側)凸状で
裏面側が凹状とされている。この凹凸部45は、前記実
施の形態1の凹凸部26a,26bとほぼ同様な機能を
有する。ボディ部34の下端の中央には、逃がし部46
が形成されている。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】ボディ部34の両端部には、前記立設部3
7及び折り曲げ部38を含むように、この部分をボディ
部34の他の部分より減厚することにより薄肉部34a
が形成されている。隣接する各エレメント32の凹凸部
45は互いに凹凸関係によって嵌まり合い、エレメント
32が整列して連結される。また、凹凸部45によって
金属ベルト30の周回時におけるエレメント32の左右
方向の相対移動が制限されることとなる。金属ベルト1
7が両プーリ12,15間を周回し、環状溝13,16
の内側壁に傾斜部40が当接して擦り合う際に内側壁面
からの突き上げによってボディ部34には外力がかかる
こととなる。逃がし部46は、ボディ部34を撓ませる
緩衝機能を有するものである。また、ボディ部21に上
方から過大な加重がかかった場合にはバンド配置部41
はより穏やかな曲率となる方向に(つまり直線に近づく
方向に)撓んで応力を軽減することができる。しかも、
薄肉部34aも板ばね作用により、エレメント32の厚
さ方向における緩衝機能を有効に発揮する。このため、
これら逃がし部46、薄肉部34a及びバンド配置部4
1による協働作用によって周回時にエレメント32にか
かる外力に基づく応力が軽減される。ボディ部34にお
いて、図4上で一点鎖線で表されるピッチ線Pから下方
の部分には研削加工によって傾斜面47が設けられてお
り、ボディ部34はその下方ほど薄肉とされている。こ
のように傾斜面47は前記実施の形態1と同様に、隣接
するエレメント32同士が傾斜面47で密着するため、
金属ベルト30を円滑に周回を担保させることができ
る。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動プーリと被動プーリとの間に掛装さ
    れる無端帯状をなす金属製のバンドの延長方向に多数の
    エレメントを積層配置した金属ベルトにおいて、 前記エレメントは、板厚0.7〜1.1mmの板材より
    構成されていることを特徴とする金属ベルト。
  2. 【請求項2】 前記エレメントは、前記プーリに形成さ
    れた環状溝の内側面と接触部を介して接触するボディ部
    と、そのボディ部にピラー部を介して一体成形されたヘ
    ッド部とを備え、同ピラー部の両側にはバンドを挿通す
    るためのスリットを設けたことを特徴とする請求項1に
    記載の金属ベルト。
  3. 【請求項3】 ボディ部又はヘッド部の少なくとも一方
    には前記エレメントの板厚方向に凹凸する凹凸部を設け
    たことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金
    属ベルト。
  4. 【請求項4】 前記ボディ部の下方には逃がし部が形成
    され、同逃がし部におけるボディ部の上下幅が前記接触
    部におけるボディ部の上下幅に対して幅狭とされている
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載
    の金属ベルト。
  5. 【請求項5】 前記ボディ部における両端部には、この
    部分以外のボディ部より減厚された薄肉部が形成されて
    いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の
    金属ベルト。
  6. 【請求項6】 前記凹凸部はエレメントの高さ方向に延
    びることを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに
    記載の金属ベルト。
  7. 【請求項7】 前記エレメントは前記プーリに形成され
    た環状溝の内側面に接触部を介して接触するボディ部
    と、同ボディ部の両側からそれぞれ立ち上がる立設部
    と、同立設部の先端から内方に向かって延出形成された
    折り曲げ部からなる対向配置された一対の鈎状部とを備
    え、同ボディ部上面と両鈎状部とによって包囲されたバ
    ンド挿入開口部を形成するとともに、同バンド挿入開口
    部内にバンドと脱落防止体とを重合配置したことを特徴
    とする請求項1に記載の金属ベルト。
  8. 【請求項8】 前記一対の折り曲げ部間の間隔は前記バ
    ンドの幅よりも幅狭ではなく、前記脱落防止体は同折り
    曲げ部間の間隔よりも幅広であることを特徴とする請求
    項7に記載の金属ベルト。
  9. 【請求項9】 前記ボディ部にはエレメントの板厚方向
    に凹凸する凹凸部を設けたことを特徴とする請求項7ま
    たは請求項8に記載の金属ベルト。
  10. 【請求項10】 立設部及び折り曲げ部を含むボディ部
    の両端部には、この部分以外のボディ部より減厚された
    薄肉部が設けられていることを特徴とする請求項7〜請
    求項9のいずれかに記載の金属ベルト。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれかに記載のエ
    レメント。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009197972A (ja) * 2008-02-25 2009-09-03 Toyota Motor Corp 伝動ベルトおよび伝動ベルトの組み付け方法
JP2010265960A (ja) * 2009-05-13 2010-11-25 Toyota Motor Corp 伝動ベルト
JP2010266048A (ja) * 2009-05-18 2010-11-25 Toyota Motor Corp 伝動ベルト

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