JP2001193599A

JP2001193599A - 多気筒エンジン用燃料噴射装置における燃料分配装置

Info

Publication number: JP2001193599A
Application number: JP2000006264A
Authority: JP
Inventors: Takuya Ouchi; 琢也大内; Kazuhiko Sato; 和彦佐藤
Original assignee: Keihin Corp
Current assignee: Keihin Corp
Priority date: 2000-01-12
Filing date: 2000-01-12
Publication date: 2001-07-17

Abstract

(57)【要約】【課題】多気筒エンジン用燃料噴射装置における燃料
分配装置において，脈動ダンパの減衰効果を複数全部の
燃料噴射弁に略均等に行き渡らせて，各燃料噴射弁間の
燃料噴射特性のばらつきを少なくする。【解決手段】両端を閉塞した分配通路２を有する燃料
分配管１と，この燃料分配管１に取付けられて分配通路
２から燃料を分配される複数の燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ
と，分配通路２内の脈動を減衰する脈動ダンパＤと，燃
料供給源１７からの燃料を分配通路２に導入する燃料導
入管３とを備えたものにおいて，分配通路２の長手方向
中央部に脈動ダンパＤ及び燃料導入管３を配置すると共
に，この脈動ダンパＤの軸線Ｙに関して複数の燃料噴射
弁Ｖ１〜Ｖｎを対称的に配置した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は，多気筒エンジン用
燃料噴射装置における燃料分配装置に関し，特に，両端
を閉塞した分配通路を有する燃料分配管と，燃料供給源
からの燃料を分配通路に導入する燃料導入管と燃料分配
管に取付けられて分配通路から燃料を分配される複数の
燃料噴射弁と，燃料分配管に取付けられ，分配通路に発
生する脈動をダイヤフラムの振動により減衰するように
した脈動ダンパとを備えたものゝ改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】かゝる燃料分配装置は，例えば特開平５
−３２１７８３号公報に開示されているように既に知ら
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の燃料分配装
置では，燃料分配管の一端部に脈動ダンパを取付け，そ
の他端部に燃料導入管を接続している。こうしたもので
は，脈動ダンパの減衰効果が，脈動ダンパから分配通路
の全長という長い距離を隔てた燃料分配管の他端側には
及び難く，その結果，燃料分配管の一端側の燃料噴射弁
と他端側の燃料噴射弁とでは，減衰効果の大きな差によ
る燃料噴射特性のばらつきが生ずる。また燃料導入管も
脈動ダンパから最も離れているため，分配通路で発生し
た脈動が燃料供給側に伝達して，騒音を引き起し易いと
いう欠点もある。

【０００４】本発明は，かゝる事情に鑑みてなされたも
ので，脈動ダンパの減衰効果を複数全部の燃料噴射弁に
略均等に行き渡らせて，燃料噴射弁相互間の燃料噴射特
性のばらつきを少なくすることができる，多気筒エンジ
ン用燃料噴射装置における燃料分配装置を提供すること
を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に，本発明は，両端を閉塞した分配通路を有する燃料分
配管と，燃料供給源からの燃料を分配通路に導入する燃
料導入管と燃料分配管に取付けられて分配通路から燃料
を分配される複数の燃料噴射弁と，燃料分配管に取付け
られ，分配通路に発生する脈動をダイヤフラムの振動に
より減衰するようにした脈動ダンパとを備えた，多気筒
エンジン用燃料噴射装置における燃料分配装置におい
て，分配通路の長手方向略中央部に脈動ダンパ及び燃料
導入管を配置すると共に，この脈動ダンパの軸線に関し
て複数の燃料噴射弁を対称的に配置したことを第１の特
徴とする。

【０００６】この第１の特徴によれば，脈動ダンパの減
衰効果を分配通路の略中央部から両端部に行き渡らせる
こと，並びにその減衰効果を複数全部の燃料噴射弁に対
称的に与えることができ，これにより燃料噴射弁相互間
の燃料噴射特性のばらつきを少なくすることができる。
また燃料導入管は，脈動減衰効果の最も大きい脈動ダン
パの近傍に位置することになるので，分配通路から燃料
供給源への脈動の伝達をも防ぐことができる。

【０００７】また本発明は，第１の特徴に加えて，分配
通路を，脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴射弁の周
辺部での該分配通路の断面積よりも脈動ダンパとの間の
距離が長い燃料噴射弁の周辺部での該分配通路の断面積
の方が大となるように形成したことを第２の特徴とす
る。

【０００８】この第２の特徴によれば，脈動ダンパから
遠い位置にあって脈動ダンパの減衰効果が比較的及び難
い燃料噴射弁においては，その周辺部の分配通路の断面
積を拡大させることにより，該燃料噴射弁近傍での脈動
を抑え，脈動ダンパに対する遠近による燃料噴射弁相互
間の燃料噴射特性のばらつきを，より少なくすることが
できる。

【０００９】さらに本発明は，第１の特徴に加えて，分
配通路に，脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴射弁
と，脈動ダンパとの間の距離が長い燃料噴射弁との間で
オリフィスを設けたことを第３の特徴とする。

【００１０】この第３の特徴によれば，脈動ダンパによ
る減衰効果とオリフィスによる減衰効果との相乗によ
り，各燃料噴射弁近傍での脈動を効果的に減衰すること
ができる。

【００１１】さらにまた本発明は，第２の特徴に加え
て，分配通路に，脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴
射弁と，脈動ダンパとの間の距離が長い燃料噴射弁との
間でオリフィスを設けたことを第４の特徴とする。

【００１２】この第４の特徴によれば，脈動ダンパによ
る減衰効果，オリフィスによる減衰効果，及び通路断面
積拡大による減衰効果の相乗により，各燃料噴射弁近傍
での脈動を一層効果的に減衰することができる。

【００１３】さらにまた本発明は，第１〜第４の特徴の
何れかに加えて，脈動ダンパのダンパハウジングを，ダ
イヤフラムを挟持するように互いに結合される第１ハウ
ジング半体及び第２ハウジング半体より構成し，その第
１ハウジング半体を燃料分配管と共に合成樹脂により一
体成形したことを第５の特徴とする。

【００１４】この第５の特徴によれば，ダンパハウジン
グの第１ハウジング半体と燃料分配管との合成樹脂によ
る一体成形により，部品点数の削減及び製造行程の簡素
化を果たし，コストの低減に寄与することができる。

【００１５】さらにまた本発明は，第１〜第４の特徴の
何れかに加えて，脈動ダンパを，燃料分配管の一側壁に
形成したダンパ取付け面に結合されるダンパハウジング
と，これらダンパ取付け面及びダンパハウジング間に挟
持されて分配通路に受圧面を臨ませるダイヤフラムと，
ダンパハウジング内に収容されてダイヤフラムを分配通
路側に付勢するダンパばねとで構成する一方，脈動ダン
パの軸線線上で分配通路に開口する燃料導入管を燃料分
配管の他側壁に設けたことを第６の特徴とする。

【００１６】この第６の特徴によれば，燃料分配管の側
壁がダンパハウジングのハウジング半体を兼ねることに
なり，その分，ダンパハウジングの構成を簡素化するこ
とができると共に，脈動ダンパの偏平化，延いては燃料
分配装置全体のコンパクト化を図ることができる。しか
もダイヤフラムの受圧面を分配通路に充分に近づけるこ
とが可能になり，ダイヤフラムの振動による脈動減衰効
果を分配通路に効果的に与えることができる。また脈動
ダンパ及び燃料導入管の同軸配置が可能となり，各燃料
噴射弁への燃料分配の均等化と，分配通路から燃料供給
源への脈動伝達の防止を，より効果的に行うことができ
る。

【００１７】さらにまた本発明は，第６の特徴に加え
て，ダンパばねの付勢力によるダイヤフラムの分配通路
側への移動限界を，分配通路に開口した燃料導入管の内
端により規制するようにしたことを第７の特徴とする。

【００１８】この第７の特徴によれば，燃料導入管が，
ダイヤフラムの分配通路側への移動限界を規定するスト
ッパ部材を兼ねることになり，ダンパばねによるダイヤ
フラムの過負荷を簡単な構造により防ぐことができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を，添付図面
に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。

【００２０】図１は本発明の第１実施例に係る燃料噴射
装置における燃料分配装置の要部縦断面図，図２は本発
明の第２実施例に係る燃料噴射装置における燃料分配装
置の要部縦断面図，図３は本発明の第３実施例に係る燃
料噴射装置における燃料分配装置の要部縦断面図，図４
は本発明の第４実施例に係る燃料噴射装置における燃料
分配装置の要部縦断面図，図５は本発明の第５実施例に
係る燃料噴射装置における燃料分配装置の要部縦断面
図，図６は本発明の第６実施例に係る燃料噴射装置にお
ける燃料分配装置の要部縦断面図，図７は従来装置（テ
スト１）と本発明装置（テスト２）の脈動減衰比較テス
トの結果を示す線図，図８は図７のテスト１における計
測点Ｆでの脈動計測例を示す線図である。

【００２１】先ず，図１に示す本発明の第１実施例の説
明より始める。

【００２２】図１において，両端を閉塞された分配通路
２を有する燃料分配管１は，合成樹脂製の管体１ａと，
この管体１ａの両端に嵌着される一対のキャップ１ｂ，
１ｂとで構成される。この燃料分配管１に，その長手方
向中央に軸線Ｙを配置するようにして脈動ダンパＤが取
付けられる。この脈動ダンパＤは，ダンパハウジング４
と，このダンパハウジング４内を分配通路２側の受圧室
５と，それと反対側のばね室６とに仕切るダイヤフラム
７と，ばね室６に収容されてダイヤフラム７を受圧室５
側に付勢するダンパばね８とから構成される。ばね室６
は大気と連通される。

【００２３】前記ダンパハウジング４は，合成樹脂製の
第１ハウジング半体４ａと鋼板製の第２ハウジング半体
４ｂとを相互に結合して，例えばかしめ結合して構成さ
れ，両ハウジング半体４ａ，４ｂ間にはダイヤフラム７
の外周縁部が挟持される。第１ハウジング半体４ａは燃
料分配管１と一体成形されるもので，その成形の際，第
１ハウジング半体４ａには，受圧室５に開口する燃料導
入管３が一体成形され，また燃料分配管１には，ダイヤ
フラム７の中心部に固設した当接部材９を受け止めてダ
ンパばね８の付勢力によるダイヤフラム７の受圧室５側
への移動限界を規制する筒状のストッパ１０が一体成形
される。このストッパ１０の中空部１０ａにより受圧室
５は分配通路２に連通される。

【００２４】尚，燃料導入管３は，これを金属製として
第１ハウジング半体４ａにモールド結合することもでき
る。

【００２５】燃料分配管１の他側壁には，複数本，図示
例では４本の燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎが脈動ダンパＤの軸
線Ｙに対する対称的配置をもって取付けられる。即ち，
前記軸線Ｙに対して対称的に配置される４個の取付けボ
ス１１，１１・・が燃料分配管１の他側壁に一体成形さ
れ，これら取付けボス１１，１１・・に燃料噴射弁Ｖ１
〜Ｖｎが装着される。

【００２６】前記燃料導入管３は，燃料タンク１２内の
貯留燃料中に設置される電動式の燃料ポンプ１３の吐出
部に燃料導管１４を介して接続される。この燃料導管１
４には，燃料ポンプ１３の吐出圧力を調整するレギュレ
ータ１５が接続され，このレギュレータ１５を通過した
余剰燃料は燃料タンク１２に戻されるようになってい
る。また燃料導管１４には，レギュレータ１５の接続点
より下流側に燃料を濾過する燃料フィルタ１６が介装さ
れる。以上において，燃料タンク１２，燃料ポンプ１３
及びレギュレータ１５は，燃料分配管１に所定圧力の燃
料を供給する燃料供給源１７を構成する。

【００２７】次に，この実施例の作用について説明す
る。

【００２８】エンジンの運転停止状態では，燃料ポンプ
１３の作動休止により燃料導管１４及び分配管１内は略
大気圧状態になっているので，ダイヤフラム７は，ダン
パばね８のセット荷重により，当接部材９をストッパ１
０に当接させる下降限界まで移動している。

【００２９】いま，エンジンを始動すると，燃料ポンプ
１３の作動により，その吐出燃料が燃料導管１４及び燃
料導入管３を通して脈動ダンパＤの受圧室５に導入され
る。その燃料の圧力，即ち燃料ポンプ１３の吐出圧によ
りダイヤフラム７がダンパばね８の付勢力に抗して押し
上げられると，受圧室５の燃料は，ストッパ１０の中空
部１０ａを介して分配通路２に供給され，該通路２を満
たすので，４個の燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎにその燃料を分
配することができる。

【００３０】ところで，エンジンの運転中，４本の燃料
噴射弁Ｖ１〜Ｖｎがそれぞれ対応する気筒の吸気ポート
に向けて交互に燃料を間欠的に噴射することに伴ない分
配通路２内の圧力が脈動すると，その昇圧時にはダイヤ
フラム７がダンパばね８を圧縮しながら受圧室５の容積
を拡大するように移動して，その昇圧分を吸収し，減圧
時にはダイヤフラム７がダンパばね８の付勢力で受圧室
５側へ移動して，受圧室５の燃料を分配通路２に押し出
すことにより分配通路２の減圧を補う。このようなダイ
ヤフラム７の振動の繰返により分配通路２内の脈動は減
衰される。

【００３１】この場合，特に，分配通路２の長手方向中
央部に脈動ダンパＤが配置される共に，この脈動ダンパ
Ｄの軸線Ｙに対して４個の燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎが対称
的に配置されるので，脈動ダンパＤの減衰効果を分配通
路２の中央部から両端部に行き渡らせると共に，その減
衰効果を４本全部の燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎに対称的に与
えることができ，それにより各燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ間
での燃料噴射特性のばらつきを少なくすることができ
る。

【００３２】また燃料導入管３は，脈動減衰効果の最も
大きい脈動ダンパＤの受圧室５に開口するので，分配通
路２から燃料供給源１７への脈動の伝達を防ぐことがで
き，その脈動の伝達による騒音の発生を未然に防ぐこと
ができる。

【００３３】さらにダンパハウジング４の第１ハウジン
グ半体４ａは燃料分配管１と共に合成樹脂により一体成
形されるので，部品点数の削減，及び製造工程の簡素化
をもたらし，コスト低減に寄与することができる。

【００３４】図７は，脈動ダンパＤを燃料分配管１の一
端部に配置した従来装置（テスト１）と，脈動ダンパＤ
を長手方向中央部に配置した本発明装置（テスト２）と
の脈動減衰比較テスト結果を示す。各テストにおいて，
燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎは４個，燃料分配管１の長手方向
中央部に関して対称的に配置し，燃料分配管１の長手方
向中央部に関して対称的に設けた６箇所の計測点Ａ〜Ｆ
に圧力センサを取付け，４個の燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎを
同時に繰り返し開閉して，各計測点Ａ〜Ｆでの分配通路
２内の脈動の最大圧力振幅（図８参照）を測った。

【００３５】その結果，分配通路２内の脈動の最大圧力
振幅ΔＰは，脈動ダンパＤから離れるに従い増大するこ
とが判る。したがって，テスト１（従来装置）では，脈
動ダンパＤが燃料分配管１の一端部に設けられるため，
分配通路２内の脈動の最大圧力振幅ΔＰは，分配通路２
の一端部に最も近い計測点Ａで最小であり，他端部側の
計測点Ｆで最大となる。計測点Ａ〜Ｆでの各圧力振幅Δ
Ｐの平均値を点線Ｍ１で示す。

【００３６】それに対してテスト２（本発明装置）で
は，脈動ダンパＤが燃料分配管１の長手方向中央部に設
けられるため，分配通路２内の脈動の最大圧力振幅ΔＰ
は，分配通路２の中央部に最も近い計測点Ｃ，Ｄで最
小，分配通路２の左右両端部に向かって増大するも，分
配通路２の中央部から左右各端部までの距離は，分配通
路２の全長の略半分であるから，左右各端部に最も近い
計測点Ａ，Ｆの最大圧力振幅ΔＰは，テスト１の計測点
Ｆでの最大圧力振幅ΔＰより大幅に減少する。その結
果，テスト２での脈動の最大圧力振幅の平均値は，点線
Ｍ２で示すようにテスト１の平均値Ｍ１より遙かに小さ
い。このようなテストによっても，本発明装置が脈動ダ
ンパＤの脈動減衰効果を分配通路２の全域にわたり発揮
させ得ることを確認することができた。

【００３７】次に，図２に示す本発明の第２実施例につ
いて説明する。

【００３８】この第２実施例では，分配通路２は，その
断面積が該通路２の中央部から左右の各端部に向かって
連続的に増加するように形成される。これにより脈動ダ
ンパＤとの間の距離が短い燃料噴射弁Ｖ２，Ｖ３の周辺
部での該分配通路２の断面積Ａ１よりも脈動ダンパＤと
の間の距離が長い燃料噴射弁Ｖ１，Ｖｎの周辺部での該
分配通路２の断面積Ａ２の方が大とされる。その他の構
成は，前実施例と同様であるので，図２中，前実施例と
の対応部分には同一の参照符号を付して，その説明を省
略する。

【００３９】この第２実施例によれば，脈動ダンパＤか
ら遠い位置にあって脈動ダンパＤの減衰効果が比較的及
び難い燃料噴射弁Ｖ１，Ｖｎにおいては，その周辺部の
分配通路２の断面積を拡大させることにより，該燃料噴
射弁Ｖ１〜Ｖｎ近傍での脈動の発生を抑え，脈動ダンパ
Ｄに対する遠近による各燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ間での燃
料噴射特性のばらつきを，より少なくすることができ
る。

【００４０】尚，この場合，分配通路２の断面積を，各
燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ間で段階的に変化させることもで
きる。

【００４１】次に，図３に示す本発明の第３実施例につ
いて説明する。

【００４２】この第３実施例では，分配通路２に，相隣
る燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ間でオリフィス２０が設けられ
る。こうして，少なくとも脈動ダンパＤとの間の距離が
短い燃料噴射弁Ｖ２，Ｖ３と，脈動ダンパＤとの間の距
離が長い燃料噴射弁Ｖ１，Ｖｎとの間でオリフィス２０
が設けられる。したがって，脈動ダンパＤに近い２個の
燃料噴射弁Ｖ２，Ｖ３間のオリフィス２０は省略するこ
ともできる。その他の構成は，前記第１実施例と同様で
あるので，図３中，第１実施例との対応部分には同一の
参照符号を付して，その説明を省略する。

【００４３】この第３実施例によれば，脈動ダンパＤに
よる減衰効果とオリフィス２０による減衰効果との相乗
により，各燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ近傍での分配通路２内
の脈動を効果的に減衰することができる。

【００４４】次に，図４に示す本発明の第４実施例につ
いて説明する。

【００４５】この第４実施例は，前記第２及び第３実施
例を組合わせたものである。即ち，分配通路２は，その
断面積が該通路２の中央部から左右の各端部に向かって
連続的に増加するように形成されると共に，分配通路２
に，相隣る燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎ間でオリフィス２０が
設けられる。その他の構成は，前記第１実施例と同様で
あるので，図４中，第１実施例との対応部分には同一の
参照符号を付して，その説明を省略する。

【００４６】この第４実施例によれば，脈動ダンパＤに
よる減衰効果，オリフィス２０による減衰効果，及び通
路断面積拡大による減衰効果の相乗により，各燃料噴射
弁Ｖ１〜Ｖｎ近傍での脈動を一層効果的に減衰すること
ができる。

【００４７】次に，図５に示す本発明の第５実施例につ
いて説明する。

【００４８】この第５実施例では，燃料分配管１の長手
方向中央部一側にダンパ取付け面１８が形成され，これ
に前記第１実施例での第２ハウジング半体４ｂに相当す
るダンパハウジング４がダイヤフラム７の外周部と共に
接合され，それらを固定するように燃料分配管１の一側
壁の一部がかしめられる。一方，燃料導入管３は，燃料
分配管１の，ダンパ取付け面１８と反対側の側壁に固定
されて，筒状のストッパ１０の中空部１０ａに開口し，
且つそれと同心状に配置される。その他の構成は図４の
第４実施例と同様であるので，図５中，第４実施例との
対応部分には，それと同一の参照符号を付して，その説
明を省略する。

【００４９】この第５実施例によれば，燃料分配管１の
一側壁がダンパハウジング４のハウジング半体を兼ねる
ことになり，その分，ダンパハウジング４の構成を簡素
化することができると共に，脈動ダンパＤの偏平化，延
いては燃料分配装置全体のコンパクト化を図ることがで
きる。しかもダイヤフラム７の受圧面を分配通路２に充
分に近づけることが可能になり，ダイヤフラム７の振動
による脈動減衰効果を分配通路２に効果的に与えること
ができる。また脈動ダンパＤ及び燃料導入管３の同軸配
置が可能となり，各燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎへの燃料分配
の均等化と，分配通路２から燃料供給源１７への脈動伝
達の防止を，より効果的に行うことができる。

【００５０】次に，図６に示す本発明の第６実施例につ
いて説明する。

【００５１】この第６実施例では，燃料分配管１の他側
壁に固着される燃料導入管３の内端がダイヤフラム７の
当接部材９を受け止め得るように配置され，その当接部
材９が燃料導入管３に当接することにより，ダイヤフラ
ム７の分配通路２側への移動限界が規定されるようにな
っている。また燃料導入管３の内端には，この燃料導入
管３内を分配通路２に常時連通する切欠き２１が設けら
れる。その他の構成は，図５の第５実施例と同様である
ので，図６中，第５実施例との対応部分には，それと同
一の参照符号を付して，その説明を省略する。

【００５２】この第６実施例によれば，燃料導入管３
が，ダイヤフラム７の分配通路２側への移動限界を規定
するストッパ部材を兼ねることになり，ダンパばね８に
よるダイヤフラム７の過負荷を簡単な構造により防ぐこ
とができる。また燃料導入管３の内端の切欠き２１によ
り，この燃料導入管３内は分配通路２と連通しているの
で，燃料導入管３の通路面積が小さくとも，エンジンの
始動時，燃料ポンプ１３が作動すれば，その吐出燃料は
上記切欠き２１を通して分配通路２に素早く供給され，
それらを満たすことができ，各燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎは
燃料を規定の時期に遅れなく噴射して，エンジンの始動
性を高めることができる。

【００５３】本発明は上記実施例に限定されるものでは
なく，その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可
能である。例えば，燃料噴射弁Ｖ１〜Ｖｎの使用本数は
４本に限らず，エンジンの気筒数や形式に応じて任意に
選定されるものであり，それが奇数本の場合には，その
うちの１本は脈動ダンパＤと同軸線Ｙ上に配置する。

【００５４】

【発明の効果】以上のように本発明の第１の特徴によれ
ば，両端を閉塞した分配通路を有する燃料分配管と，燃
料供給源からの燃料を分配通路に導入する燃料導入管と
燃料分配管に取付けられて分配通路から燃料を分配され
る複数の燃料噴射弁と，燃料分配管に取付けられ，分配
通路に発生する脈動をダイヤフラムの振動により減衰す
るようにした脈動ダンパとを備えた，多気筒エンジン用
燃料噴射装置における燃料分配装置において，分配通路
の長手方向略中央部に脈動ダンパ及び燃料導入管を配置
すると共に，この脈動ダンパの軸線に関して複数の燃料
噴射弁を対称的に配置したので，脈動ダンパの減衰効果
を分配通路の略中央部から両端部に行き渡らせること，
並びにその減衰効果を複数全部の燃料噴射弁に対称的に
与えることができ，これにより燃料噴射弁相互間の燃料
噴射特性のばらつきを少なくすることができる。また燃
料導入管は，脈動減衰効果の最も大きい脈動ダンパの近
傍に位置することになるので，分配通路から燃料供給源
への脈動の伝達をも防ぐことができる。

【００５５】また本発明の第２の特徴によれば，分配通
路を，脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴射弁の周辺
部での該分配通路の断面積よりも脈動ダンパとの間の距
離が長い燃料噴射弁の周辺部での該分配通路の断面積の
方が大となるように形成したので，脈動ダンパから遠い
位置にあって脈動ダンパの減衰効果が比較的及び難い燃
料噴射弁においては，その周辺部の分配通路の断面積を
拡大させることにより，該燃料噴射弁近傍での脈動を抑
え，脈動ダンパに対する遠近による燃料噴射弁相互間で
燃料噴射特性のばらつきを，より少なくすることができ
る。

【００５６】さらに本発明の第３の特徴によれば，分配
通路に，脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴射弁と，
脈動ダンパとの間の距離が長い燃料噴射弁との間でオリ
フィスを設けたので，脈動ダンパによる減衰効果とオリ
フィスによる減衰効果との相乗により，各燃料噴射弁近
傍での脈動を効果的に減衰することができる。

【００５７】さらにまた本発明の第４の特徴によれば，
分配通路に，脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴射弁
と，脈動ダンパとの間の距離が長い燃料噴射弁との間で
オリフィスを設けたので，脈動ダンパによる減衰効果，
オリフィスによる減衰効果，及び通路断面積拡大による
減衰効果の相乗により，各燃料噴射弁近傍での脈動を一
層効果的に減衰することができる。

【００５８】さらにまた本発明の第５の特徴によれば，
脈動ダンパのダンパハウジングを，ダイヤフラムを挟持
するように互いに結合される第１ハウジング半体及び第
２ハウジング半体より構成し，その第１ハウジング半体
を燃料分配管と共に合成樹脂により一体成形したので，
ダンパハウジングの第１ハウジング半体と燃料分配管と
の合成樹脂による一体成形により，部品点数の削減及び
製造行程の簡素化を果たし，コストの低減に寄与するこ
とができる。

【００５９】さらにまた本発明の第６の特徴によれば，
脈動ダンパを，燃料分配管の一側壁に形成したダンパ取
付け面に結合されるダンパハウジングと，これらダンパ
取付け面及びダンパハウジング間に挟持されて分配通路
に受圧面を臨ませるダイヤフラムと，ダンパハウジング
内に収容されてダイヤフラムを分配通路側に付勢するダ
ンパばねとで構成する一方，ダイヤフラムの中心線上で
分配通路に開口する燃料導入管を燃料分配管の他側壁に
設けたので，燃料分配管の側壁がダンパハウジングのハ
ウジング半体を兼ねることになり，その分，ダンパハウ
ジングの構成を簡素化することができると共に，脈動ダ
ンパの偏平化，延いては燃料分配装置全体のコンパクト
化を図ることができる。しかもダイヤフラムの受圧面を
分配通路に充分に近づけることが可能になり，ダイヤフ
ラムの振動による脈動減衰効果を分配通路に効果的に与
えることができる。また脈動ダンパ及び燃料導入管の同
軸配置が可能となり，各燃料噴射弁への燃料分配の均等
化と，分配通路から燃料供給源への脈動伝達の防止を，
より効果的に行うことができる。

【００６０】さらにまた本発明の第７の特徴によれば，
ダンパばねの付勢力によるダイヤフラムの分配通路側へ
の移動限界を，分配通路に開口した燃料導入管の内端に
より規制するので，燃料導入管が，ダイヤフラムの分配
通路側への移動限界を規定するストッパ部材を兼ねるこ
とになり，ダンパばねによるダイヤフラムの過負荷を簡
単な構造により防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に係る燃料噴射装置におけ
る燃料分配装置の要部縦断面図。

【図２】本発明の第２実施例に係る燃料噴射装置におけ
る燃料分配装置の要部縦断面図。

【図３】本発明の第３実施例に係る燃料噴射装置におけ
る燃料分配装置の要部縦断面図。

【図４】本発明の第４実施例に係る燃料噴射装置におけ
る燃料分配装置の要部縦断面図。

【図５】本発明の第５実施例に係る燃料噴射装置におけ
る燃料分配装置の要部縦断面図。

【図６】本発明の第５実施例に係る燃料噴射装置におけ
る燃料分配装置の要部縦断面図

【図７】従来装置（テスト１）と本発明装置（テスト
２）の脈動減衰比較テストの結果を示す線図。

【図８】図７のテスト１における計測点Ｆでの脈動計測
例を示す線図。

【符号の説明】

Ａ１・・・・脈動ダンパとの間の距離が短い燃料噴射弁
の周辺部での分配通路断面積Ａ２・・・・脈動ダンパとの間の距離が長い燃料噴射弁
の周辺部での分配通路断面積Ｄ・・・・・脈動ダンパＶ１〜Ｖ２・・・燃料噴射弁Ｙ・・・・・脈動ダンパの軸線１・・・・・燃料分配管２・・・・・分配通路３・・・・・燃料導入管４・・・・・ダンパハウジング４ａ・・・・第１ハウジング半体４ｂ・・・・第２ハウジング半体７・・・・・ダイヤフラム８・・・・・ダンパばね１７・・・・燃料供給源１８・・・・ダンパ取付け面２０・・・・オリフィス２１・・・・切欠き

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続きＦターム(参考） 3G066 AA01 AB02 AD10 BA00 BA12 BA22 BA61 BA65 CB01 CB05 CB11 CB12 CB13T CB18 CC01 CD01 CD17 CE34 DB01

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】両端を閉塞した分配通路（２）を有する
燃料分配管（１）と，燃料供給源（１７）からの燃料を
分配通路（２）に導入する燃料導入管（３）と燃料分配
管（１）に取付けられて分配通路（２）から燃料を分配
される複数の燃料噴射弁（Ｖ１〜Ｖｎ）と，燃料分配管
（１）に取付けられ，分配通路（２）に発生する脈動を
ダイヤフラム（７）の振動により減衰するようにした脈
動ダンパ（Ｄ）とを備えた，多気筒エンジン用燃料噴射
装置における燃料分配装置において，分配通路（２）の
長手方向略中央部に脈動ダンパ（Ｄ）及び燃料導入管
（３）を配置すると共に，この脈動ダンパ（Ｄ）の軸線
（Ｙ）に関して複数の燃料噴射弁（Ｖ１〜Ｖｎ）を対称
的に配置したことを特徴とする，多気筒エンジン用燃料
噴射装置における燃料分配装置。
【請求項２】請求項１記載の多気筒エンジン用燃料噴
射装置における燃料分配装置において，分配通路（２）
を，脈動ダンパ（Ｄ）との間の距離が短い燃料噴射弁
（Ｖ２，Ｖ３）の周辺部での該分配通路（２）の断面積
（Ａ１）よりも脈動ダンパ（Ｄ）との間の距離が長い燃
料噴射弁（Ｖ１，Ｖｎ）の周辺部での該分配通路（２）
の断面積（Ａ２）の方が大となるように形成したことを
特徴とする，多気筒エンジン用燃料噴射装置における燃
料分配装置。
【請求項３】請求項１記載の多気筒エンジン用燃料噴
射装置における燃料分配装置において，分配通路（２）
に，脈動ダンパ（Ｄ）との間の距離が短い燃料噴射弁
（Ｖ２，Ｖ３）と，脈動ダンパ（Ｄ）との間の距離が長
い燃料噴射弁（Ｖ１，Ｖｎ）との間でオリフィス（２
０）を設けたことを特徴とする，多気筒エンジン用燃料
噴射装置における燃料分配装置。
【請求項４】請求項２記載の多気筒エンジン用燃料噴
射装置における燃料分配装置において，分配通路（２）
に，脈動ダンパ（Ｄ）との間の距離が短い燃料噴射弁
（Ｖ１〜Ｖｎ）と，脈動ダンパ（Ｄ）との間の距離が長
い燃料噴射弁（Ｖ１〜Ｖｎ）との間でオリフィス（２
０）を設けたことを特徴とする，多気筒エンジン用燃料
噴射装置における燃料分配装置。
【請求項５】請求項１〜４記載の多気筒エンジン用燃
料噴射装置における燃料分配装置において，脈動ダンパ
（Ｄ）のダンパハウジング（４）を，ダイヤフラム
（７）を挟持するように互いに結合される第１ハウジン
グ半体（４ａ）及び第２ハウジング半体（４ｂ）より構
成し，その第１ハウジング半体（４ａ）を燃料分配管
（１）と共に合成樹脂により一体成形したことを特徴と
する，多気筒エンジン用燃料噴射装置における燃料分配
装置。
【請求項６】請求項１〜４の何れかに記載の多気筒エ
ンジン用燃料噴射装置における燃料分配装置において，
脈動ダンパ（Ｄ）を，燃料分配管（１）の一側壁に形成
したダンパ取付け面（１８）に結合されるダンパハウジ
ング（４）と，これらダンパ取付け面（１８）及びダン
パハウジング（４）間に挟持されて分配通路（２）に受
圧面を臨ませるダイヤフラム（７）と，ダンパハウジン
グ（４）内に収容されてダイヤフラム（７）を分配通路
（２）側に付勢するダンパばね（８）とで構成する一
方，脈動ダンパ（Ｄ）の軸線（Ｙ）上で分配通路（２）
に開口する燃料導入管（３）を燃料分配管（１）の他側
壁に設けたことを特徴とする，多気筒エンジン用燃料噴
射装置における燃料分配装置。
【請求項７】請求項６記載の多気筒エンジン用燃料噴
射装置における燃料分配装置において，ダンパばね
（８）の付勢力によるダイヤフラム（７）の分配通路
（２）側への移動限界を，分配通路（２）に開口した燃
料導入管（３）の内端により規制するようにしたことを
特徴とする，多気筒エンジン用燃料噴射装置における燃
料分配装置。