JP2001193448A - 内燃機関の排気バルブ装置 - Google Patents

内燃機関の排気バルブ装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ねじりコイルばねの基端部の内周面が軸に当
たることがなく、排ガスが設定圧になった時、弁体を確
実に開かせることができる排気バルブ装置を提供する。 【解決手段】 バルブユニットA(排気バルブ装置)
は、バイパス通路5a(排気通路)に配された支持部材
10と、下軸部22(基部)が支持部材10に回転可能
に支持され、上軸部21(先部)がバイパス管5の外部
に突出された軸20と、下軸部22に設けられ、バイパ
ス通路5aを開閉する弁体30と、上軸部21に巻か
れ、弁体30を閉方向に付勢するねじりコイルばね40
とを備えている。支持部材10のねじりコイルばね40
を向く上面には、プレート15(板材)が設けられてい
る。このプレート15に、係止部15b,15cが形成
されている。係止部15c(第3係止部)は、係止部1
5b(第2係止部)からねじりコイルばね40の巻き方
向とは逆向きの周方向に約90度離れて配され、この係
止部15cに、ねじりコイルばね40の外周が突き当て
られている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、内燃機関の排気
バルブ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、内燃機関のマフラには、排気の
一部をマフラ本体から迂回させるバイパス管(排気管)
が設けられ、このバイパス管に、排気バルブ装置が設け
られている。この排気バルブ装置より上流側の排気圧
が、設定圧に達するまでは、バイパス管内のバイパス通
路(排気通路)が閉じられており、マフラ本体による排
気音の低減が十分に行われる。排気圧が設定圧以上にな
ると、バイパス通路が開き、排気抵抗の低減がなされ
る。
【0003】排気バルブ装置は、バイパス通路に配され
た支持部材を備え、この支持部材に、軸の基部が回転可
能に支持されている。この基部に、バイパス通路を開閉
する弁体が設けられている。軸の先部は、バイパス管を
貫通して、外部に突出されている。この軸の先部には、
ねじりコイルばねが巻かれている。ねじりコイルばねの
先端は、軸の先端に係止され、基端は、支持部材に係止
されている。このねじりコイルばねは、弁体がバイパス
通路を閉じる向きに、軸を回動付勢しており、この付勢
力によって上記設定圧が定められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来構造におい
ては、ねじりコイルばねに上記設定圧に対応するねじり
モーメントを与えることによって、その先端部と基端部
のコイル部分が移動し、これらコイル部分の内周が、そ
れぞれ軸の外周に当たることがある。この場合、先端部
のコイル部分は、軸が回転するとそれと一緒に回転する
ので、支障はないが、基端部のコイル部分は、回転しな
いので軸との間で摩擦抵抗を生じる。このため、排気圧
が設定圧に達しても弁体が開かないという問題があっ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、第1の発明は、(イ)排気管内の排気通路に配され
る支持部材と、(ロ)基部が上記支持部材に回転可能に
支持され、先部が上記排気管を貫通して外部に突出され
る軸と、(ハ)この軸の基部に設けられ、上記排気通路
を開閉する弁体と、(ニ)上記軸の先部に巻かれ、上記
弁体が上記排気通路を閉じる向きに上記軸を回動付勢す
るコイルばねと、(ホ)上記軸の先端に設けられ、上記
コイルばねの先端を係止する第1係止部と、(ヘ)上記
支持部材に設けられ、上記コイルばねの基端を係止する
第2係止部とを備えた内燃機関の排気バルブ装置におい
て、上記支持部材には、上記コイルばねの基端部の外周
に当たってこの基端部の移動を禁じる第3係止部が設け
られていることを特徴とする。
【0006】第2の発明は、第1の発明において、上記
第3係止部が、上記第2係止部から上記コイルばねの巻
き方向とは逆向きの周方向にほぼ90度離れていること
を特徴とする。
【0007】第3の発明は、第1または第2の発明にお
いて、上記支持部材の上記ねじりコイルばねを向く面に
板材が設けられ、この板材に、上記第2、第3係止部が
切り起こしによって形成されていることを特徴とする。
【0008】第4の発明は、第1〜第3の発明の何れか
において、上記軸の先端面に、雄ねじを有する凸部が設
けられており、この凸部には、上記第1係止部を有する
係止部材が回転不能に嵌め込まれ、この係止部材が上記
凸部にねじ込まれたナットで固定されていることを特徴
とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を、
図面を参照して説明する。図6は、内燃機関のマフラ
(消音器)を示したものである。マフラは、例えば円筒
形状ないし楕円筒形状をなすマフラ本体1と、このマフ
ラ本体1にそれぞれ挿し入れられたインレット管2およ
びアウトレット管3と、マフラ本体1の内部に設けられ
たインナー管4と、マフラ本体1の外側に設けられたバ
イパス管5(排気管)とを備えている。
【0010】マフラ本体1の内部は、2つの隔壁6A,
6Bによって3つの室1a,1b,1cに区画されてい
る。インレット管2の上流端(図において左端)は、エ
ンジン(図示せず)の排気側に接続され、下流端(右
端)は、マフラ本体1の室1cに開口している。インレ
ット管2の室1bに臨む部分には、多数の小孔2aが形
成されている。これによって、エンジンの排ガスが、イ
ンレット管2を介して室1b,1cに導入される。イン
ナー管4の一端は、室1aに開口し、他端は、室1cに
開口し、室1bに臨む中途部には、多数の小孔4aが形
成されている。これによって、室1b,1cの排ガス
が、インナー管4を介して室1aに送られる。アウトレ
ット管3の上流端(左端)は、室1aに開口し、下流端
(右端)は、マフラ本体1の外部に突出している。これ
によって、室1aの排ガスが、アウトレット管3を介し
て排出される。排ガスが上記の経路で流通されることに
よって、排気音の低減がなされる。なお、マフラ本体1
は、3つ以上の隔壁を有し、4つ以上の室を有するもの
でもよいことは勿論である。
【0011】図1および図6に示すように、バイパス管
5は、上流管部7と、この上流管部7に連なる下流管部
8とから構成されている。上流管部7は、室1cに開口
し、下流管部8は、室1aに開口し、これら管部7,8
によって室1cと室1aを連ねるバイパス通路5a(排
気通路)が形成されている。
【0012】下流管部8に、本発明の要旨に係るバルブ
ユニットA(排気バルブ装置)が設けられている。図2
に示すように、バルブユニットAは、支持部材10と、
この支持部材10に回転可能に支持された軸20と、こ
の軸20に設けられ、バイパス通路5aを開閉する弁体
30と、この弁体30を閉方向に付勢するねじりコイル
ばね40とを備えている。
【0013】支持部材10は、下流管部8の内部に配さ
れている。図5に示すように、支持部材10は、壁部1
1と、この壁部11の上下端部からそれぞれ水平に突出
された上板部12および下板部13を有している。壁部
11には、半円形状をなす凹部11aが形成されてい
る。図4に示すように、この凹部11aの内周縁に、短
管形状をなす弁受け14の外周が溶接されている。弁受
け14の一端部は、上流管部7に溶接され、他端部は、
テーパ状に拡径されて、椀形状をなす上記弁体30のた
めの弁座を提供している。
【0014】図2および図5に示すように、支持部材1
0の上下の板部12,13には、それぞれ軸孔12a,
13aが形成されている。上板部12の上面には、板金
加工されたプレート15(板材)が設けられている。プ
レート15には、上板部12の軸孔12aに連なる孔1
5aが形成されている。また、プレート15には、孔1
5aの近くに四角形状の係止部15b(第2係止部)が
切り起こしによって形成されている。
【0015】支持部材10の上板部12とプレート15
とは、ボルト16およびナット17によって、下流管部
8の内面に固定されている。図1および図2に示すよう
に、下流管部8には、係止部15bが臨む孔8aが形成
されている。この孔8aに、プレート15の孔15aと
支持部材10の軸孔12aが連なっている。これら互い
に連なる孔8a,15a,12aを、上記軸20が貫通
している。
【0016】軸20において、下流管部8の孔8aから
上の部分を上軸部21(先部)とし、孔8aより下の部
分を下軸部22(基部)とする。この下軸部22の下端
部が、下板部13の軸孔13aに挿通されている。下軸
部22と軸孔12a,13aとの間には、軸20を回動
可能に支持する軸受23A,23Bがそれぞれ設けられ
ている。上側の軸受23Aは、プレート15の孔15a
周辺の下面に当たり、スラスト方向(軸20の軸線方
向)のガタが除かれている。図4に示すように、下軸部
22の中間部の外面は平坦になっており、そこに上記弁
体30が溶接されている。
【0017】図1および図2に示すように、下流管部8
の外部に突出された上軸部21の上端面には、外周に雄
ねじが形成された凸部24が設けられている。凸部24
の周方向の一箇所は、平坦になっている。この凸部24
に、係止金具25(係止部材)が設けられている。係止
金具25は、水平をなす平板部25aと、この平板部2
5aの外端から下に延びる係止部25b(第1係止部)
とを有している。平板部25aには、周方向の一箇所が
平坦になった円形状の孔25cが形成され、この孔25
cに凸部24が平坦な部分を一致させて挿通されてい
る。これによって、係止金具25は、凸部24ひいては
軸20に対して回転不能になっている。さらに、凸部2
4にはナット26がねじ込まれ、このナット26と上軸
部21の上端面との間に係止部材25が挟持、固定され
ている。
【0018】上軸部21に、上記ねじりコイルばね40
が巻かれている。ねじりコイルばね40の上下両端部に
は、その軸線と直交する水平方向にそれぞれ突出された
突端42,43が設けられている。このねじりコイルば
ね40にねじりモーメントが付与された状態で、上側の
突端42(先端)が係止金具25の係止部25bに係止
され、下側の突端43(基端)がプレート15の係止部
15bに係止されている。これによって、軸20が上か
ら見て反時計回り方向(弁体30の閉じ方向)に回動付
勢されている。
【0019】上記のねじりモーメントは、上流管部7ひ
いては室1c内の排ガスの設定圧に対応して定められて
いる。これによって、排ガスが設定圧より低い時(エン
ジンの低速回転時)は、弁体30が弁受け14に嵌め込
まれ、バイパス通路5aが閉じられている。この結果、
バイパス管5から排気音が発生することはなく、マフラ
全体の排気音を小さく維持できる。図4に示すように、
排ガスが設定圧以上になった時(エンジンの高速回転
時)は、弁体30がねじりコイルばね40の付勢に抗し
て回転し、バイパス通路5aが開くようになっている。
これによって、室1cの排ガスが、インナー管4だけで
なくバイパス通路5aを介しても室1aに送られ、排気
抵抗を低減することができる。
【0020】なお、ねじりコイルばね40、係止金具2
5、およびナット26は、カバー50で覆われ、保護さ
れている。このカバー50は、上記ボルト16およびナ
ット17によって、下流管部8の外面に着脱可能に固定
されている。
【0021】次に、本発明の特徴部について詳述する。
図5に示すように、プレート15には、孔15aの近く
に半円形状の係止部15c(第3係止部)が、係止部1
5bと同様に切り起こしによって形成されている。図1
および図2に示すように、この係止部15cも下流管部
8の孔8aに臨んでいる。係止部15cは、孔15aの
周方向に沿って、係止部15bからねじりコイルばね4
0の巻き方向(時計回り方向)とは逆方向(反時計回り
方向)に、ほぼ90度離れた位置に配されている。
【0022】上記のように構成されたバルブユニットA
の作用を説明する。図3において仮想線で示すように、
ねじりコイルばね40において突端43に連なる基端側
のコイル部分41は、上記ねじりモーメントの付与によ
って、突端43から時計回りに約90度離れた第1部位
P1が軸20に近づく一方、突端43から反時計回りに
約90度離れた第2部位P2が軸20から遠ざかるよう
に、移動しようとする。しかし、図3において実線で示
すように、第2部位P2の外周面が係止部15cに突き
当たり、遠ざかるのを阻止される。したがって、第1部
位P1も軸20に近づくのを阻止される。よって、第1
部位P1の内周面が軸20に当たって摩擦抵抗が生じる
ことはない。この結果、室1cの排気圧が上記設定圧に
達した時、弁体30を確実に開くことができ、ひいては
排気抵抗を確実に低減することができる。
【0023】本発明は、上記の実施形態に制約されるも
のでなく、種々の形態を採用することができる。例え
ば、第3係止部15cは、第2係止部15bから反時計
回りに(ねじりコイルばねの巻き方向とは逆向きに)1
80度より小さい角度離れた位置に配すればよい。
【0024】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明では、
コイルばねの基端部の内周面が軸に当たるのを防止する
ことができ、軸との間で摩擦抵抗が生じるのを防止する
ことができる。この結果、弁体より上流の排気圧が設定
圧に達した時、弁体を確実に開くことができ、ひいては
排気抵抗を確実に低減することができる。第2の発明で
は、コイルばねの基端部の内周面が軸に当たるのを確実
に防止することができる。第3の発明では、第2、第3
係止部の形成を容易に行うことができる。第4の発明で
は、係止部材、ひいてはコイルばねを軸から容易に外す
ことができ、例えば交換等のメンテナンスを容易に行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るバルブユニットを搭載
したバイパス管の平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿うバイパス管の断面図であ
る。
【図3】図2のIII−III線に沿う上記バルブユニットの
断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿う上記バルブユニットの断
面図である。
【図5】上記バルブユニットの支持部材とプレートの斜
視図である。
【図6】上記バイパス管を有するマフラの概略構成を示
す断面図である。
【符号の説明】
A バルブユニット(排気バルブ装置) 5 バイパス管(排気管) 5a バイパス通路(排気通路) 10 支持部材 15 プレート(板材) 15b 係止部(第2係止部) 15c 係止部(第3係止部) 20 軸 21 上軸部(先部) 22 下軸部(基部) 24 凸部 25 係止金具(係止部材) 25b 係止部(第1係止部) 26 ナット 30 弁体 40 ねじりコイルばね 41 基端側のコイル部分(基端部) 42 先端 43 基端

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(イ)排気管内の排気通路に配される支持
    部材と、(ロ)基部が上記支持部材に回転可能に支持さ
    れ、先部が上記排気管を貫通して外部に突出される軸
    と、(ハ)この軸の基部に設けられ、上記排気通路を開
    閉する弁体と、(ニ)上記軸の先部に巻かれ、上記弁体
    が上記排気通路を閉じる向きに上記軸を回動付勢するコ
    イルばねと、(ホ)上記軸の先端に設けられ、上記コイ
    ルばねの先端を係止する第1係止部と、(ヘ)上記支持
    部材に設けられ、上記コイルばねの基端を係止する第2
    係止部と、を備えた内燃機関の排気バルブ装置におい
    て、上記支持部材には、上記コイルばねの基端部の外周
    に当たってこの基端部の移動を禁じる第3係止部が設け
    られていることを特徴とする内燃機関の排気バルブ装
    置。
  2. 【請求項2】 上記第3係止部が、上記第2係止部から
    上記コイルばねの巻き方向とは逆向きの周方向にほぼ9
    0度離れていることを特徴とする請求項1に記載の内燃
    機関の排気バルブ装置。
  3. 【請求項3】 上記支持部材の上記ねじりコイルばねを
    向く面に板材が設けられ、この板材に、上記第2、第3
    係止部が切り起こしによって形成されていることを特徴
    とする請求項1または2に記載の内燃機関の排気バルブ
    装置。
  4. 【請求項4】 上記軸の先端面に、雄ねじを有する凸部
    が設けられており、この凸部には、上記第1係止部を有
    する係止部材が回転不能に嵌め込まれ、この係止部材が
    上記凸部にねじ込まれたナットで固定されていることを
    特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の内燃機関の排
    気バルブ装置。
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