JP2001192542A - 成形材料及び成形品 - Google Patents

成形材料及び成形品

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JP2001192542A
JP2001192542A JP2000326127A JP2000326127A JP2001192542A JP 2001192542 A JP2001192542 A JP 2001192542A JP 2000326127 A JP2000326127 A JP 2000326127A JP 2000326127 A JP2000326127 A JP 2000326127A JP 2001192542 A JP2001192542 A JP 2001192542A
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JP
Japan
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stearic acid
acid
stearate
viscosity
molding material
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Application number
JP2000326127A
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English (en)
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Takashi Yamamoto
隆史 山本
Mitsuzo Tanaka
詳三 田中
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汎用の低収縮化剤を使用することが可能であ
り、生産性を損なうことなく表面光沢に優れた成形品を
得ることのできる新規な成形材料を提供する。 【解決手段】 硬化性樹脂を含む成形材料に、ステアリ
ン酸塩及びステアリン酸を表面光沢向上用離型剤として
併用添加した成形材料である。上記ステアリン酸塩とし
ては、特にステアリン酸カルシウム及び/又はステアリ
ン酸の使用が推奨される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は表面光沢に優れた成
形品、及び該成形品を得るための成形材料に関するもの
である。詳細には本発明は、離型剤としてステアリン酸
塩及びステアリン酸を併用することにより表面光沢が高
められた成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、不飽和ポリエステル樹脂等の
硬化性樹脂を用いた成形材料として、SMC(シートモ
ールディングコンパウンド)やBMC(バルクモールデ
ィングコンパウンド)が知られている。このうち特にS
MCは強度があり、且つ表面が平滑で、光沢のある成形
品が得られる等の長所を有している。
【0003】一般にSMCやBMCを用いた成形品の表
面光沢は、低収縮化剤の添加によって向上すると考えら
れている。ところが不飽和ポリエステル樹脂等の硬化性
樹脂に低収縮化剤を多く使用すると、上記低収縮化剤が
成形品の表面にブリードし、逆に表面光沢が低下してし
まう。かかる不具合防止の対策としては、成形品の表面
にブリードを引起こさない低収縮化剤を使用したり、低
収縮化剤の添加量を減らすこと等が考えられるが、そう
すると低収縮化剤本来の作用が発揮され難くなり、所望
の収縮低減効果が得られず、成形欠陥が生じる等の新た
な弊害を招くことになる。
【0004】そこで、低収縮化剤本来の作用を有効に発
揮させつつ表面光沢を向上し、しかも成形性にも優れた
成形品を提供すべく、従来の低収縮化剤を改良した種々
の成形材料が提案されている。
【0005】例えば特開昭63−196650号公報に
は、低収縮化剤として、不飽和ポリエステル樹脂に対し
て相溶性・非相溶性の両方の性質を兼ね備えた熱可塑性
共重合体を用いた成形材料が開示されている。また、特
開昭50−67387号公報には、低収縮化剤として、
不飽和ポリエステル樹脂との相溶性に優れた官能基を末
端に導入した熱可塑性共重合体を用いた成形材料が開示
されている。更に特開昭62−64858号公報には、
低収縮化剤として、三次元化され、均一分散性の比較的
高い低架橋重合体を用いた成形材料が開示されている。
【0006】しかしながら、これらの成形材料は、汎用
されていない比較的特殊な低収縮化剤を使用し、成形材
料のコストが上昇すること;この様な低収縮化剤を用い
てもなお低収縮効果が低い等の問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に鑑
みてなされたものであり、その目的は、汎用の低収縮化
剤を使用しても生産性を損なうことなく表面光沢に優れ
た成形品を得ることのできる新規な成形材料及び離型剤
を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し得た本
発明の成形材料は、硬化性樹脂を含む成形材料に、ステ
アリン酸塩(単独で使用しても良いし、2種以上を併用
しても良い)及びステアリン酸を表面光沢向上用離型剤
として添加したものであるところに要旨を有するもので
ある。なかでも上記ステアリン酸塩がステアリン酸カル
シウム及び/又はステアリン酸亜鉛であるものは本発明
の好ましい態様である。
【0009】更に本発明では、上記成形材料を用いた表
面光沢に優れた成形品も範囲内に包含される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者らは、「成形品の表面光
沢を向上させるべく提案されている従来の成形品は、一
般に低収縮化剤の構造を改良したり、樹脂の種類を変え
たり、表面改質のフィラーを用いたりする等の改変がな
されているが、コストが上昇する等の不具合が生じる」
という実情に鑑み、発想を転換し、成形材料を構成する
成分のうち特に離型剤に着目し、離型剤の種類を調整す
ることにより成形品の表面光沢を向上させることができ
ないか鋭意検討した。SMC、BMC等の成形材料で
は、離型剤として、一般にステアリン酸亜鉛が汎用され
ているが、ステアリン酸亜鉛を単独で添加しても、充分
満足のいく光沢作用は得られず、成形品に高付加価値の
ある高光沢を付与し得ていないのが現状である。そこで
更に検討を進めた結果、離型剤として、ステアリン酸塩
及びステアリン酸を併用すれば、従来汎用されている低
収縮化剤を使用しても、生産性を損なうことなく表面光
沢に優れた成形品が得られることを見出し、本発明を完
成した。
【0011】この様に本発明の技術的思想は、成形品の
表面光沢向上には、離型剤として、ステアリン酸塩及び
ステアリン酸を併用することが有効であることを明らか
にした点にある。即ち、本発明は、離型剤の種類を適切
に選択すれば、低収縮化剤を改変した技術において見ら
れた種々の弊害を生じることなく、表面光沢に優れた成
形品が得られることを見出した点に技術的意義を有する
ものであり、この様な離型剤と表面光沢との関係は従来
より知られておらず、本発明者らによって初めて見出さ
れた知見である。
【0012】以下、本発明の成形材料について詳述す
る。
【0013】前述した通り、本発明成形材料の最大の特
徴は、成形品の表面光沢向上を目的として、離型剤とし
てステアリン酸塩及びステアリン酸を併用したところに
ある。本発明に用いられる上記離型剤はいずれも、成形
材料に使用する離型剤として汎用されているものである
が、種々ある離型剤(例えばステアリン酸、ラウリル酸
等の脂肪酸、これらの金属塩等)のなかでも特に上記の
ステアリン酸塩及びステアリン酸を併用することによ
り、成形材料調製時に要求される特性を阻害すること無
しに、成形品の表面光沢が向上することが本発明者らの
検討により初めて明らかになった。
【0014】上記ステアリン酸塩としては、ステアリン
酸の金属塩であれば特に限定されず、例えばステアリン
酸のアルカリ金属塩(例えばステアリン酸リチウム、ス
テアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム等)、ス
テアリン酸のアルカリ土類金属塩(例えばステアリン酸
マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸
バリウム等)、ステアリン酸の遷移金属塩(例えばステ
アリン酸ジルコニウム等)等の他、ステアリン酸亜鉛、
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン
酸アルミニウム等が挙げられる。なかでもステアリン酸
カルシウム及びステアリン酸亜鉛の使用が好ましく、特
にステアリン酸カルシウムの使用が最も推奨される。
【0015】尚、これらのステアリン酸塩は単独で使用
しても良いし、2種以上を併用しても構わない。従っ
て、例えばステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛
を組合せて使用しても良い。
【0016】以下、本発明に用いられる代表的なステア
リン酸塩であるステアリン酸カルシウム、ステアリン酸
亜鉛と、ステアリン酸との併用効果について詳述する。
【0017】本発明は、表面光沢に優れた成形品を得る
ための新規な成形材料を提供するものであるが、ここ
で、当該成形材料に要求される特性として留意しなけれ
ばならないのは、光沢作用に優れることは勿論のこと、
成形材料調製時・成形時における要求特性を満足し、且
つ、得られた成形品の必要特性を満足しなければならな
いという点である。具体的には本発明の構成は、成形材
料としては、コンパウンドの増粘作用で成形材料が製造
される形態に適応させることが好ましい。とりわけSM
C、BMCに適応させることが推奨される。勿論、シー
ト状、バルク状という成形材料形態は特に限定されるも
のではない。
【0018】このうちSMC成形材料調製時における重
要な要因としては、 MgO添加前のコンパウンド粘度が、ガラスへの含浸
不良が起らないレベルで低く抑えられていること; 熟成工程を経たSMCが、成形時にフィルム剥離性、
SMCシートのチギレ等の不具合を起こさないレベルの
コンパウンド粘度に達していることが挙げられる。
【0019】また、成形時における重要な要因として
は、 コンパウンドの熱時の粘度低下が小さいことが挙げら
れる。これによって、成形圧力がかかり、成形外観が向
上するからである。
【0020】更に、得られた成形品の必要特性として、 耐水性に優れることが挙げられる。
【0021】従って、本発明の成形材料は、上記〜
のすべての特性を満足することが必要である。特に、本
発明の最大の目的である高光沢を得る為には、上記特性
のうちが極めて重要であり、の特性が得られない、
即ち、熱時の粘度低下は、光沢ダウンの主要因となるこ
とが明らかになった。
【0022】本発明者らが検討したところ、ステアリン
酸カルシウムは、上記のうち、、の要件は満足す
るがは満足しない;ステアリン酸亜鉛は、、、
の要件は満足するがは満足しない;ステアリン酸は、
、は満足するが、は満足しない、ということが
明らかになった。
【0023】この様に上記ステアリン酸塩とステアリン
酸は、夫々、長所、短所を備えているものの、両者を併
用することにより、上記短所が改善され、表面光沢に優
れた成形品が見事に得られることが分かった。ちなみに
光沢作用の向上という観点のみからすれば、の要件を
満足するステアリン酸カルシウム、ステアリン酸が優れ
ており、逆にの要件を満足しないステアリン酸亜鉛
は、光沢作用に劣ることになる。従って、本発明では、
ステアリン酸カルシウムとステアリン酸の併用系が最も
推奨され、これにより、各材料を単独で使用した場合に
おける不具合も改善され、光沢作用に極めて優れた成形
品が得られることになる、しかしながら、光沢作用に劣
るステアリン酸亜鉛であっても、ステアリン酸カルシウ
ムと併用、或いはステアリン酸と併用することにより、
ステアリン酸亜鉛単独の場合に比べ、光沢作用は著しく
上昇し、夫々、単独で使用した場合における短所も改善
されることが分かった。更に、ステアリン酸塩とステア
リン酸を併用すれば、SMCのみならずBMCにおいて
も、単独使用における短所が改善され、表面光沢に優れ
た成形品が得られることが分かった。
【0024】この点について、更に詳述すると、ステア
リン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛を比較した場合、
ステアリン酸亜鉛を使用した材料では成形時に成形材料
中のコンパウンドの温度上昇に伴う粘度低下が大きく
(即ち、熱時粘度の低下が大きい)、充分に圧力がかか
りにくかった。これに対し、ステアリン酸カルシウムを
使用した材料は、成形時に成形材料中のコンパウンドの
温度上昇に伴う粘度低下が小さく、充分に圧力がかかる
為、成形品の表面光沢が向上すると考えられる。プレス
成形時にはプレス金型は非常に高温になるが、この温度
変化に対し、粘度変化の少ないコンパウンドを製造する
ことが推奨されるが、ステアリン酸カルシウムはこの要
求特性を満足するものである。このことは上記のステア
リン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウムについて、コン
パウンドの温度と粘度との関係を調べた図1を参照すれ
ば一層明瞭になる。
【0025】図1は、上記二種類の離型剤を用いて原料
を混練して得たコンパウンドを、40℃で熟成させた試
料について、温度を種々変化させて粘度を測定したとき
の結果をグラフ化したものである。換言すれば、図1
は、型内の成形温度をシミュレートさせたときのコンパ
ウンドの粘度変化を示すグラフである。尚、同図では、
各離型剤の粘度変化を比較し易い様、40℃での粘度を
合わせている。図1より、ステアリン酸亜鉛を添加した
コンパウンド(図中、◆)は温度が上昇するにつれ粘度
が著しく低下するのに対し、ステアリン酸カルシウムを
添加したコンパウンド(図中、■)は粘度低下が小さい
ことが分かる。
【0026】そして本発明者らの検討結果によれば、温
度上昇に伴う粘度低下が小さいステアリン酸カルシウム
を用いれば、粘度低下の大きいステアリン酸亜鉛を用い
た場合に比べ、成形品の光沢が格段に向上することが明
らかになった。ステアリン酸亜鉛単独を用いた場合は、
平面の光沢は概ね良好であるが、立面では成形圧が充分
にかからず光沢が低下する場合がある。これに対し、ス
テアリン酸亜鉛の代わりにステアリン酸カルシウムを用
いた場合は、上記作用により、平面のみならず立面の光
沢も優れた成形品が得られるのである。
【0027】この様に離型剤としてステアリン酸カルシ
ウムを用いれば、上記作用により成形品の表面光沢が向
上することが示唆されるが、一方、ステアリン酸カルシ
ウムは、MgO添加前のコンパウンド粘度(以下、コン
パウンドの初期粘度と呼ぶ)を経時により著しく上昇さ
せることが分かった。この様なコンパウンドの初期粘度
の上昇は、実機レベルの作業時間が確保し難く、作業性
等の点で問題があり、また、ガラス繊維への含浸不良を
招く等の弊害が生じ、好ましくない。
【0028】そこで、かかる不具合を回避すべく更に検
討を重ねた結果、離型剤としてステアリン酸カルシウム
を単独で用いるのではなく、ステアリン酸カルシウムに
ステアリン酸を併用させれば良いことが分かった。
【0029】ステアリン酸カルシウムにステアリン酸を
併用することにより、コンパウンドの初期粘度を上昇さ
せることなく(従って、ガラス繊維への含浸不良も招か
ず)、しかも成形時の材料の温度上昇に伴う粘度低下も
抑制される結果、表面光沢に優れた成形品を効率よく得
ることが可能になる。ステアリン酸はそれ自体、優れた
表面光沢作用を有するのみならず、ステアリン酸亜鉛が
抱える熱時粘度の低下、ステアリン酸カルシウムが抱え
るコンパウンドの初期粘度を上昇させる、といった不具
合もない。従って、ステアリン酸カルシウムとステアリ
ン酸を併用することにより、各材料が抱える夫々の欠点
を補いつつ、しかも成形品の光沢も益々高められるとい
う一石二鳥の効果が得られるのである。
【0030】更にその後の研究により、ステアリン酸亜
鉛とステアリン酸を併用した系においても、成形時の材
料の温度上昇に伴う粘度低下が小さく、且つ、表面光沢
に優れた成形品が得られることが明らかになった。前述
した通り、ステアリン酸亜鉛単独では、熱時粘度の低下
が大きいという欠点があり、表面光沢の向上を最大目的
とする本発明においては、好ましくない材料であるが、
ステアリン酸と併用することにより、当該欠点を克服す
ることができ、しかもステアリン酸亜鉛単独で用いた場
合に比べ、成形品の光沢も格段に向上することが分かっ
た。
【0031】更に、ステアリン酸を用いずに、ステアリ
ン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛を併用した系におい
ても所望の効果が得られることが分かった。熱時粘度の
低下が大きいというステアリン酸亜鉛の欠点は、ステア
リン酸カルシウムにはない。従って、ステアリン酸の代
わりにステアリン酸カルシウムを使用したとしても、ス
テアリン酸亜鉛とステアリン酸の併用系と同様の効果が
得られるのである。
【0032】図2は、ステアリン酸カルシウムとステア
リン酸;ステアリン酸亜鉛とステアリン酸;ステアリン
酸カルシウムとステアリン酸亜鉛を夫々併用して原料を
混練して得たコンパウンドを、40℃で熟成させた試料
について、温度を種々変化させて粘度を測定した結果
を、各材料を夫々単独で使用したときの結果と対比させ
たグラフである。即ち、上記図2は、前記図1に、ステ
アリン酸カルシウム/ステアリン酸亜鉛/ステアリン酸
を夫々二種類ずつ併用した場合の結果を加えたものであ
る。尚、同図では、各離型剤の粘度変化を比較し易い様
に、40℃での粘度を合わせている。
【0033】表1に、図2に使用したサンプルの製造条
件及び昇温時のコンパウンド粘度を示す。尚、ステアリ
ン酸を単独で使用した場合、熟成粘度が目標レベルの60
kPa・sまで上がらない為、熟成粘度の上昇を目指してMg
Oを多量に添加することも考えられるが、その場合は耐
水性が更に低下してしまうことを実験により確認してい
る。また、表1では、ステアリン酸単独使用における熱
時コンパウンド粘度を測定していないが、ステアリン酸
亜鉛と併用すると、ステアリン酸亜鉛単独の場合に比
べ、熱時コンパウンド粘度の低下が抑えられることか
ら、ステアリン酸には、熱時コンパウンド粘度の低下を
抑える作用があることが分かる。
【0034】
【表1】
【0035】図2より、ステアリン酸カルシウムとステ
アリン酸を併用すると(図中、△)、ステアリン酸カル
シウムを単独で使用した場合(図中、■)と同様、温度
上昇による粘度低下が小さいことが分かる。また、ステ
アリン酸亜鉛を単独で使用した場合(図中、◆)、温度
上昇による粘度低下が大きいが、ステアリン酸亜鉛をス
テアリン酸と併用すると(図中、×)、粘度低下が抑え
られることが分かる。更に、ステアリン酸カルシウムと
ステアリン酸亜鉛を併用した場合(図中、*)において
も、ステアリン酸とステアリン酸亜鉛を併用した場合と
同様、粘度低下が抑えられることが分かった。
【0036】本発明に用いられる上記離型剤(ステアリ
ン酸塩及びステアリン酸)の合計添加量は、不飽和ポリ
エステル樹脂と低収縮化剤の合計を100質量部とした
とき、0.5〜10質量部に制御することが好ましい。
0.5質量部未満では離型効果が損なわれる。より好ま
しくは1質量部以上、更により好ましくは2質量部以上
である。但し、ステアリン酸塩の好ましい上限比率(後
記する)を超える為にステアリン酸塩とステアリン酸の
合計添加量が10重量部を超える場合には、各ステアリ
ン酸塩の抱える不具合(例えばステアリン酸カルシウム
ではコンパウンド初期粘度の上昇、ステアリン酸亜鉛で
は熱時の粘度低下等)が生じ、一方、ステアリン酸の好
ましい上限比率(後記する)を超える為にステアリン酸
塩とステアリン酸の合計添加量が10重量部を超える場
合には成形品の耐水性が低下する等の不具合が生じる。
より好ましくは8質量部以下、更により好ましくは7質
量部以下である。
【0037】このうちステアリン酸塩とステアリン酸の
質量比率は、好ましくは1:4〜4:1(より好ましく
は1:3〜3:1)の範囲に制御することが推奨され
る。ステアリン酸塩の比率が上記範囲を超えると、各ス
テアリン酸塩の抱える上記不具合が生じ、一方、ステア
リン酸の比率が上記範囲を超えると成形品の耐水性が低
下する等の不具合が生じる。
【0038】上記態様において、ステアリン酸塩は2種
以上併用しても良く、少なくともステアリン酸カルシウ
ムを含むことが好ましい。特にステアリン酸カルシウム
とステアリン酸亜鉛の組合せが好ましく、これらの質量
比率は、5:1〜1:5(より好ましくは4:1〜1:
4、更に好ましくは3:1〜1:3)の範囲に制御する
ことが推奨される。
【0039】更に本発明では、表面光沢向上用離型剤と
してステアリン酸を含まず、ステアリン酸塩のみを2種
以上併用した成形材料の態様も本発明の範囲内に包含さ
れる。なかでもステアリン酸カルシウムとステアリン酸
亜鉛の組合せが好ましく、これらの重量比率は、5:1
〜1:5(より好ましくは4:1〜1:4、更に好まし
くは3:1〜1:3)の範囲に制御することが推奨され
る。
【0040】本発明の最重要ポイントは上述した通りで
あるが、以下、本発明の成形材料を構成する他の成分に
ついて説明する。
【0041】本発明の成形材料は、上記離型剤の他、硬
化性樹脂を含有するものである。
【0042】上記硬化性樹脂としては、成形材料として
用いることができるものであれば特に限定されず、例え
ば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂(エポ
キシアクリレート樹脂等)、(メタ)アクリルシラップ
等のラジカル重合型樹脂が挙げられる。これらは単独で
用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、上記
不飽和ポリエステル樹脂はノルボルネン骨格を有してい
ても良い。
【0043】上記の例示した硬化性樹脂について詳述す
ると、まず、不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和ポリエ
ステルと、重合可能なエチレン結合を有する単量体とを
混合したものである。
【0044】ここで、上記不飽和ポリエステルは、多塩
基酸成分と、アルコール成分とを常法にて脱水縮合させ
て得られる重量平均分子量が数百〜数万程度の重合体を
いい、さらに、得られた重合体が、例えばジシクロペン
タジエンの様なジエン化合物や、末端官能性ブタジエン
−アクリロニトリル共重合体の様なゴム成分等で変性さ
れているものも含む。
【0045】上記多塩基酸としては、例えばマレイン
酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタ
コン酸、メサコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸
等の不飽和二塩基酸;フタル酸、無水フタル酸、テトラ
ヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸無水物、イソフ
タル酸、テレフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ヘッ
ト酸等の飽和二塩基酸;トリメリット酸、トリメリット
酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物等
の三官能以上の多塩基酸等が挙げられる。これらの多塩
基酸は単独で使用しても良いし、或いは二種以上を併用
しても構わない。
【0046】また、上記アルコール成分としては、例え
ばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチ
レングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、水
素化ビスフェノールAとビスフェノールAのエチレンオ
キサイド付加物、ビルフェノールAのプロピレンオキサ
イド付加物等のグリコール;グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリスリトール等の三官能以上のア
ルコール;エチレンオキシド、プロピレンオキシド等の
エポキシド等が挙げられる。これらのアルコールは単独
で使用しても良いし、或いは二種以上を併用しても構わ
ない。
【0047】また、上記の重合可能なエチレン結合を有
する単量体は特に限定されないが、例えばメタクリル酸
メチル、酢酸ビニル、トリメチロールプロパントリメタ
クリレート、スチレン、ビニルトルエン、ジアリルフタ
レート等が挙げられる。これらの単量体は単独で使用し
ても良いし、或いは二種以上を併用しても構わない。上
記単量体のうち特にスチレンの使用が推奨される。ま
た、上記単量体の添加量は特に限定されず、不飽和ポリ
エステル100質量部に対し、20〜150質量部の範
囲で添加することが好ましい。
【0048】次に、上記硬化性樹脂として例示したビニ
ルエステル樹脂は、例えばエポキシ樹脂に、不飽和一塩
基酸を用いてラジカル重合性二重結合を導入することに
よって得ることもできる。上記エポキシ樹脂としては、
ビスフェノールエポキシ、クレゾールノボラックエポキ
シ等の公知のエポキシ樹脂が使用できる。また、上記不
飽和一塩基酸としては、例えばアクリル酸、メタクリル
酸、クロトン酸などが挙げられ、特に限定されない。
尚、ビニルエステルを成形材料として用いる場合には、
酸変性することが好ましい。
【0049】更に、上記硬化性樹脂として例示した(メ
タ)アクリルシラップは、アクリル系モノマーを用いた
重合体とアクリル系モノマーを含んでなるシラップであ
り、該アクリル系モノマーとしてアクリル酸やメタクリ
ル酸を用いることで酸基を導入することもできる。ま
た、上記(メタ)アクリルシラップは、ラジカル重合性
の二重結合を側鎖に有している(メタ)アクリル重合体
を含む架橋性(メタ)アクリルシラップであっても良
い。上記架橋性シラップは、例えば上記アクリル酸をモ
ノマー成分として重合してなるアクリル性重合体に、グ
リシジルメメタクリレート等で樹脂と反応させ、二重結
合を導入することができる。また、公知の他の二重結合
を導入する方法を使用することもできる。
【0050】以上が本発明に用いられる硬化性樹脂の具
体例であるが、これらの樹脂含有量は、本発明の成形材
料を100重量%とした場合、20重量%以上、95重
量%以下(より好ましくは80重量%以下、更により好
ましくは70重量%以下)に制御することが好ましい。
【0051】更に本発明では、上記離型剤及び硬化性樹
脂の他、低収縮化剤、硬化剤、充填剤、増粘剤、禁止
剤、着色剤、増粘調整剤等の各種配合剤を添加すること
もできる。上記配合剤の含有量は、上記硬化性樹脂の含
有量を基準にして、本発明の作用を損なわない範囲で、
好適な範囲に適宜設定することができる。
【0052】このうち本発明に用いられる低収縮化剤は
特に限定されず、例えばポリスチレン、ポリメタクリル
酸メチル、ポリエチレン、ポリプロピレン、飽和ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリウレタン、スチレン−ブタジ
エン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体
等の熱可塑性重合体や熱可塑性共重合体;三次元化され
た低架橋重合体等、通常汎用されるものを用いることが
できる。これらは単独で使用しても良いし、或いは2種
以上を併用しても構わない。
【0053】上記低収縮化剤の添加量(固形分)は、硬
化性樹脂として例えば不飽和ポリエステル樹脂100質
量部に対して1〜30質量部の範囲とすることが好まし
い。1質量部未満では所望の低収縮作用が得られないか
らである。より好ましくは3質量部以上である。但し、
30質量部を超えると、低収縮化剤が成形品表面にブリ
ードすることによる光沢低下や、型汚れ等の弊害があ
る。より好ましくは20質量部以下である。
【0054】また、本発明に用いられる硬化剤としては
特に限定されず、例えばt−ブチルパーオキシイソプロ
ピルカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイ
ド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオ
キシベンゾエート、パラクロロベンゾイルパーオキサイ
ド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ
−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ
ベンゾエート、t−アミルパーオキシベンゾエート、
1,1−ビス−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−ト
リメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス−t−ヘキシ
ルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサノ
ン等の有機過酸化物;アゾビスイソブチルニトリル等の
アゾ系化合物が挙げられる。これらは単独で使用しても
良いし、或いは2種以上を併用しても構わない。また、
硬化剤の添加量も特に限定されず、樹脂等の種類に応じ
て適宜適切な添加量を選択すれば良い。
【0055】また、本発明に用いられる充填剤としては
特に限定されず、例えば炭酸カルシウム、水酸化アルミ
ニウム、クレー、タルク、ガラス粉末、二酸化チタン、
シリカ等が挙げられる。これらは単独で使用しても良い
し、或いは2種以上を併用しても構わない。また、充填
剤の添加量は特に限定されず、成形材料の成形条件や成
形品の用途等に応じて適宜設定すれば良いが、概ね硬化
性樹脂である不飽和ポリエステル樹脂と低収縮化剤の合
計100質量部に対し、10〜300質量部の範囲に制
御することが好ましい。尚、充填剤の種類を適宜調整す
ることにより、成形品に透明感を付与することもでき
る。
【0056】また、本発明に用いられる増粘剤として
は、酸及び/又はアルコールと反応し得る成分であれば
特に限定されず、例えば多官能イソシアネート;酸化マ
グネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛等の多価金属酸
化物;水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等の多価
金属水酸化物等が挙げられる。好ましくは多価金属酸化
物、多価金属水酸化物であり、より好ましくはアルカリ
土類金属酸化物、アルカリ土類金属水酸化物であり、最
も好ましいのは酸化マグネシウム、水酸化マグネシウ
ム、水酸化カルシウムである。これらは単独で使用して
も良いし、或いは2種以上を併用しても構わない。尚、
増粘剤の添加量は特に限定されず、不飽和ポリエステル
樹脂の重量平均分子量や粘度等に応じて適宜設定すれば
良い。尚、本発明では、上記増粘剤を用いて化学的増粘
を付与する代わりに、常温で結晶性を有する重合体等を
用いて物理的増粘を付与しても良い。勿論、化学的増粘
と物理的増粘を併用しても良い。
【0057】また、本発明に用いられる増粘調整剤とし
ては、全炭素数8〜30のコハク酸置換体の使用が推奨
される。具体的には、オクチルコハク酸、オクテニルコ
ハク酸、ヘキシルコハク酸、ヘキセニルコハク酸、ノニ
ルコハク酸、ノネニルコハク酸、デシルコハク酸、デセ
ニルコハク酸、テトラデシルコハク酸、テトラデセニル
コハク酸、ペンタドデシルコハク酸、ペンタドデセニル
コハク酸、シクロドデシルコハク酸、シクロドデセニル
コハク酸、ヘキサデシルコハク酸、ヘキサデセニルコハ
ク酸、ヘプタデシルコハク酸、ヘプタデセニルコハク
酸、オクタデシルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、
エイコシルコハク酸、エイコセニルコハク酸、ジフェニ
ルブテニルコハク酸等が挙げられる。
【0058】その他、補強剤も添加することができる。
本発明に用いられる補強剤は特に限定されず、例えばガ
ラス繊維等が挙げられる。ガラス繊維を用いる場合に
は、成形材料の成形条件、成形品の用途等に応じて添加
量や、繊維長、繊維径、収束本数などを適宜調整すれば
良いが、例えば製造されたSMC材に対し、5〜50質
量%の範囲の含有量になる様に製造することが推奨され
る。また、BMC材としても上記補強剤は特に限定な
く、2〜50質量%の範囲の含有量になる様に製造する
ことが推奨される。
【0059】更に本発明では重合禁止剤を添加すること
もできる。本発明に用いられる重合禁止剤は特に限定さ
れず、例えば1,4−ベンゾキノン(p−キノン)、ヒ
ドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルカテ
コール等が挙げられる。これらは単独で使用しても良い
し、二種以上を併用しても構わない。また、重合禁止剤
の添加量も特に限定されず、成形サイクルによって適宜
調整すれば良い。
【0060】また、本発明では着色剤を添加しても良
い。本発明に用いられる着色剤は特に限定されず、硬化
性樹脂に使用されている種々の着色剤を用いることがで
きる。また、着色剤の添加量は特に限定されず、成形品
の用途等に応じて適宜調整すれば良い。
【0061】本発明の成形材料は特にSMCやBMCに
好適に用いることができる。
【0062】このうちSMCの成形材料を製造するに
は、まず、補強剤以外の上記原料(硬化性樹脂として例
えば不飽和ポリエステル樹脂を使用し、離型剤、低収縮
化剤、硬化剤、充填剤、増粘剤、禁止剤、着色剤、増粘
調整剤等)を混合した後、SMC含浸機を使って補強剤
に含浸させる方法が推奨される。一方、BMCの成形材
料の場合は、補強剤を含め前述の原料を全て添加し、ニ
ーダーで混練する方法が推奨される。勿論、これらの方
法は代表的な製造方法を例示したに過ぎず、これらの方
法に限定する趣旨では決してない。
【0063】上記成形材料を用いて得られる成形品は、
耐水性、耐熱性に優れることは勿論のこと、成形性も良
好で、しかも表面光沢に優れているので非常に有用であ
る。
【0064】以下、実施例に基づいてこの発明を詳細に
述べる。ただし、下記実施例はこの発明を制限するもの
ではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施
することは全てこの発明の技術範囲に包含される。
【0065】
【実施例】以下の実施例及び比較例において、「部」と
は「質量部」を、「%」とは「質量%」を夫々意味す
る。
【0066】下記実施例1〜5及び比較例1〜4は、SM
C成形材料を製造し、該材料をプレス成形して得た成形
品の外観を評価したものである。
【0067】実施例1 [樹脂の調製]温度計、窒素ガス導入管、及び撹拌機を
備えた四ツ口フラスコに、酸成分としてα,β−不飽和
二塩基酸である無水マレイン酸1962g、及びアルコ
ール成分として多価アルコールであるプロピレングリコ
ール837.1g及びネオペンチルグリコール1042
gを仕込んだ後、フラスコ内を窒素ガス置換した。次
に、フラスコ内の混合物を撹拌しながら反応温度が21
5℃で、脱水縮合反応を所定時間行うことにより、酸価
が25mgKOH/gの不飽和ポリエステルを得た。
【0068】次に、上記不飽和ポリエステルに、エチレ
ン性単量体としてスチレンを所定量加え、重合禁止剤と
してヒドロキノンを100ppmとなる様に添加し、均
一に混合した。その結果、固形分(不飽和ポリエステ
ル)が60%、スチレンが40%の不飽和ポリエステル
樹脂(R−1)を得た。
【0069】[SMC化]この様にして得られた不飽和
ポリエステル樹脂(R−1)85.0部に、硬化剤とし
てt−ブチルパーオキシベンゾエート1.0部、増粘調
整剤としてペンタドデセニルコハク酸3.0部、低収縮
化剤としてポリスチレン溶液[ポリスチレン(重量平均
分子量20万)を30%、スチレンを70%の割合で含
む混合液]15.0部及びポリエチレン粉末(住友精化
株式会社製フローセンUF−1.5)5.5部、重合禁
止剤として1,4−ベンゾキノン0.05部、並びに離
型剤としてステアリン酸(日本油脂株式会社製ステアリ
ン酸さくら)2.2部及びステアリン酸カルシウム(旭
電化工業株式会社製エフコ・ケムCA−ST微粉)2.
2部を加えた後、10分間撹拌混練してから、充填剤と
して炭酸カルシウム(白石工業株式会社製ホワイトンP
−30)150.0部を添加し、更に20分間混練する
ことによりコンパウンド組成物1を得た。即ち、上記コ
ンパウンド組成物1とは、着色剤及び増粘剤を添加する
前の組成物を意味する。尚、上記組成物のコンパウン
ド化は25℃、65℃RHの条件にて行った。
【0070】混練終了後、40℃雰囲気下で該コンパウ
ンド組成物1を3時間放置した。ここで、放置時間を3
時間に設定したのは、実生産では原料投入から生産終了
までの時間は通常4時間要することを考慮し、実生産レ
ベルに合わせたものである。
【0071】放置後、40℃におけるコンパウンド組成
物1の粘度を測定した(BROOK FIELD社製B型回転粘度計
(ローターNo.4,6rpm)。
【0072】次に、コンパウンド組成物1に着色剤(東
洋インキ製造株式会社製トナーTR−9082M)1
0.0部、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学工
業株式会社製キョーワマグ♯20)1.0部を加えた
後、2分間混練し、コンパウンド組成物2を得た。
【0073】得られたコンパウンド組成物2を粘度測定
用サンプルとして、140ccのマヨネーズ瓶に採取
し、残りをSMCの製造に用いた。
【0074】SMCの製造には、メッシュベルト方式の
SMC製造機を用い、フィルム供給装置から搬送される
ポリエチレンフィルム上に、コンパウンド組成物2を均
一な厚さに塗布し、その上にガラス繊維ロービングを切
断して落下させ、更にその上からコンパウンド組成物2
が塗布された別のポリエチレンフィルムを重ね合わせ、
押圧してガラス繊維へコンパウンド組成物2を含浸さ
せ、単位重量4kg/m 2、ガラス含有率25%のSM
C(製造されたSMC材に対し、ガラス繊維を25%含
有)を得た。
【0075】この様にして得られたSMCシートとコン
パウンド組成物2のサンプルを、40℃雰囲気下で静置
した後、40℃におけるコンパウンド組成物2の粘度が
70kPa・sとなったところでSMCを室温に取り出
し、成形に用いた、尚、コンパウンド組成物2の粘度測
定には、BROOK FIELD社製デジタルB型粘度計MODEL D
V−IIを用いた。測定条件はFスピンドル、0.5rp
mで行った。
【0076】[成形]この様にして得られたSMCを以
下に示す成形条件で加熱圧縮成形した。即ち、幅390
mm×奥行280mm×深さ80mm、抜き勾配3度、
厚さ4mmの大きさの箱型の金型を用い、上型(意匠面
側−凹型)の温度を145℃、下型(裏面側−凸型)の
温度を135℃に加熱した。次に、上記下型に、チャー
ジ寸法250mm(幅)×200mm(奥行)、チャー
ジ量1400gのSMCを載置し、30秒かけて型を締
め切り、圧力5.0MPaで6分、加熱圧縮成形するこ
とにより箱型成形品を得た。
【0077】[外観評価]この様にして得られた箱型長
辺の側面部における表面光沢を、表面光沢計[日本電色
工業株式会社製「GLOSSメーター」、SZΣ90システ
ム、デジタル変角光沢計VG−ID]を用いて評価し
た。
【0078】表2に、本実施例の製造条件及び得られた
結果を示す。
【0079】
【表2】
【0080】実施例2 実施例1において、ステアリン酸カルシウムの添加量を
3.3部、ステアリン酸の添加量を1.1部に変更した
こと以外は実施例1と同様にして成形品を製造し、外観
を評価した。
【0081】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0082】実施例3 実施例1において、ステアリン酸カルシウムの代わりに
ステアリン酸亜鉛を2.2部添加したこと以外は実施例
1と同様にして成形品を製造し、外観を評価した。
【0083】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0084】実施例4 実施例1において、ステアリン酸亜鉛の添加量を3.3
部、ステアリン酸の添加量を1.1部に変更したこと以
外は実施例1と同様にして成形品を製造し、外観を評価
した。
【0085】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0086】実施例5 実施例1において、ステアリン酸の代わりにステアリン
酸亜鉛を2.2部添加したこと以外は実施例1と同様に
して成形品を製造し、外観を評価した。
【0087】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0088】比較例1 実施例1において、ステアリン酸を全く添加せずにステ
アリン酸カルシウムの添加量を4.4部に変更したこと
以外は実施例1と同様にして成形品を製造し、外観を評
価した。
【0089】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0090】比較例2 実施例1において、ステアリン酸を全く添加せずにステ
アリン酸カルシウムの添加量を4.4部に変更すると共
に、混練終了後の放置時間を0.5時間に短縮してコン
パウンド組成物1の粘度を測定したこと以外は実施例1
と同様にして成形品を製造し、外観を評価した。混練終
了後の放置時間を0.5時間に短縮したのは、比較例1
でコンパウンドの増粘が起こり、含浸が困難になったこ
とを考慮したものである。
【0091】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0092】比較例3 実施例1において、ステアリン酸カルシウム及びステア
リン酸の代わりにステアリン酸亜鉛(旭電化工業株式会
社製エフコ・ケムZNS−P)を4.4部添加したこと
以外は実施例1と同様にして成形品を製造し、外観を評
価した。
【0093】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0094】比較例4 実施例1において、ステアリン酸カルシウム及びステア
リン酸の代わりにステアリン酸を4.4部添加したこと
以外は実施例1と同様にして成形品を製造し、外観を評
価した。
【0095】上記の製造条件及び得られた結果を表2に
併記する。
【0096】表2の結果より、本発明の要件を満足する
実施例1〜5の成形品はいずれも、表面光沢に極めて優
れていた。
【0097】これに対し、ステアリン酸カルシウムのみ
を含有する比較例1の成形品は、コンパウンドの急激な
粘度上昇により、ガラスへの含浸性が充分得られず、ま
た、表面光沢にも劣るものであった。尚、ステアリン酸
カルシウムのみを使用した場合であっても、比較例2の
如くコンパウンド放置時間を3時間から0.5時間に短
縮し、実用粘度に抑えた場合には良好な表面光沢は得ら
れるものの、時間的事情等を考慮すれば、かかる態様を
実生産レベルに適用することは困難である。更に比較例
3は、離型剤としてステアリン酸亜鉛を使用した従来例
であるが、成形品の表面光沢に劣っていた。また、ステ
アリン酸のみを含有する比較例4の成形品は、表面光沢
に優れるものの、熟成粘度が上がらず、SMCのシート剥
離性の点で問題があり、また、成形品の耐水性が低下す
ることが分かった。
【0098】尚、実施例1〜5の不飽和ポリエステル樹
脂を、ノルボルネン骨格を有する不飽和ポリエステル樹
脂に代え、同様にして成形材料を調製して成形を行い、
成形品の外観を評価したところ、実施例1〜5と同様、
成形材料調製時に何ら問題なく、表面光沢に優れた成形
品が得られたことを確認している。
【0099】尚、上記のノルボルネン骨格を有する不飽
和ポリエステル樹脂は以下の様にして製造した。無水マ
レイン酸196部、ジシクロペンタジエン(純度95
%)278部、及び水36部を4つ口フラスコに仕込
み、窒素気流下130℃で3時間かけて付加反応を行
い、ジシクロペンタジエンのマレイン酸付加物を得た。
次に、無水マレイン酸196部及びプロピレングリコー
ル251部を加えて混合し、常法通り、窒素気流中20
0℃で12時間かけて脱水縮合反応を行い、酸価20で
あり、ジシクロペンテニル基含有率が31%であるジシ
クロペンテニル基含有不飽和ポリエステルを得た。この
ジシクロペンテニル基含有不飽和ポリエステルを、ハイ
ドロキノン0.22部をスチレンモノマー590部に溶
解させてなる溶液に、80℃で溶解させ、粘度が25℃
で4.5cm2/sのジシクロペンテニル基含有不飽和
ポリエステル樹脂を得た。
【0100】下記実施例6及び比較例5は、BMC成形材
料を製造し、外観を評価したものである。
【0101】実施例6 [樹脂の調製]実施例1と同様にして不飽和ポリエステ
ル樹脂(R-1)を得た。
【0102】[BMC化]BMCの製造には、5Lの双腕型ニ
ーダーを用いた。まず、ビーカーに上記不飽和ポリエス
テル樹脂(R-1)85.0部、硬化剤としてt−ブチル
パーオキシベンゾエート1.0部、増粘調整剤としてペ
ンタドデセニルコハク酸3.0部、低収縮化剤としてポ
リスチレン溶液[ポリスチレン(重量平均分子量20
万)を30%、スチレンを70%の割合で含む混合液]
15.0部、重合禁止剤として1,4−ベンゾキノン
0.05部、着色剤(東洋インキ製造株式会社製トナー
TR−9082M)10.0部を加えた後、15分間撹
拌混練し、プレ混合物1を得た。次いで、5Lニーダー
に充填材として炭酸カルシウム(白石工業株式会社製ホ
ワイトンP−30)300.0部、低収縮化剤としてポ
リエチレン粉末(住友精化株式会社製フローセンUF−
1.5)5.5部、離型剤としてステアリン酸(日本油
脂株式会社製ステアリン酸さくら)2.2部、及びステ
アリン酸カルシウム(旭電化工業株式会社製エフコ・ケ
ムCA−ST微粉)2.2部、並びに増粘剤として酸化
マグネシウム(協和化学工業株式会社製キョーワマグ#
20)0.6部を投入し、10分間撹拌した後、プレ混
合物1を投入し、15分間混練した。
【0103】次に、繊維強化材として6mmのガラス繊
維75.0部を加え、3分間混練した後、含浸不良が無
いことを確認した後、取り出し、ポリエチレンフィルム
に包んだ後、ナイロンフィルムで密封し、40℃雰囲気
下で1日、熟成増粘させ、合計3kgのBMCを得た。
【0104】[成形]この様にして得られたBMCを1
500gに切り取り、チャージしたこと以外は実施例1
と同じ成形条件で加熱圧縮成形した。
【0105】[外観評価]実施例1と同様にして外観を
評価した。
【0106】表3に、本実施例の製造条件及び得られた
結果を示す。
【0107】
【表3】
【0108】比較例5 実施例6において、ステアリン酸を全く添加せずにステ
アリン酸カルシウムの添加量を4.4部に変更したこと
以外は実施例6と同様にして成形品を製造し、外観を評
価した。
【0109】上記の製造条件及び得られた結果を表3に
併記する。
【0110】表3の結果より、ステアリン酸カルシウム
とステアリン酸を併用してなる実施例6の成形品は、表
面光沢に極めて優れていた。
【0111】これに対し、ステアリン酸カルシウムのみ
を含有する比較例5は、混練中に増粘し、ガラスへの含
浸性が充分得られず、表面光沢に劣るものであった。ま
た、含浸を良くしようとして混練時間を延長するとガラ
スが折れ、強度低下等の不具合が見られた。
【0112】
【発明の効果】本発明の成形材料は、ステアリン酸塩と
ステアリン酸を併用しているので、各材料を単独で使用
したときに抱える不具合もなく、表面光沢に優れた成形
品が得られるというメリットがある。特に、本発明に用
いられる代表的なステアリン酸塩であるステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸亜鉛と、ステアリン酸とを夫々
併用した場合には、本発明の作用が顕著に発揮され、な
かでもステアリン酸カルシウムとステアリン酸を併用し
た場合には、最も顕著な作用が得られることが分かっ
た。更に本発明の成形材料は、SMC、BMCの双方に
適用することができる点でも極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸カルシウム
について、型内の成形温度をシミュレートさせたときの
粘度変化を示すグラフ。
【図2】ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸カルシウムとステアリン酸の併用、ステア
リン酸亜鉛とステアリン酸の併用、ステアリン酸カルシ
ウムとステアリン酸亜鉛の併用について、型内の成形温
度をシミュレートさせたときの粘度変化を示すグラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63/10 C08L 63/10 Fターム(参考) 4F071 AA33 AA42 AA49 AC09 AE11 BB03 BC07 4J002 BG031 CD201 CF221 EF057 EG036 EG047 FD010 FD150 FD166 FD167 FD330

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化性樹脂を含む成形材料に、ステアリ
    ン酸塩及びステアリン酸を表面光沢向上用離型剤として
    添加したことを特徴とする成形材料。
  2. 【請求項2】 前記ステアリン酸塩は、ステアリン酸カ
    ルシウム及び/又はステアリン酸亜鉛である請求項1に
    記載の成形材料。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載の成形材料を用
    いた表面光沢に優れた成形品。
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