JP2001192236A - 光吸収パターン膜被覆物品の製造方法および光吸収パターン膜被覆物品 - Google Patents

光吸収パターン膜被覆物品の製造方法および光吸収パターン膜被覆物品

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JP2001192236A
JP2001192236A JP2000320332A JP2000320332A JP2001192236A JP 2001192236 A JP2001192236 A JP 2001192236A JP 2000320332 A JP2000320332 A JP 2000320332A JP 2000320332 A JP2000320332 A JP 2000320332A JP 2001192236 A JP2001192236 A JP 2001192236A
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titanium oxide
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Mitsuhiro Kawazu
光宏 河津
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Nippon Sheet Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 可視光反射率を低く保ちながら、種々の透過
光分光分布を有する光吸収膜被覆ガラス物品を提供す
る。 【解決手段】 酸化珪素原料、酸化チタン微粒子を含む
酸化チタン原料、および金微粒子原料を含有する光吸収
膜被覆液を基材表面に塗布し、フォトマスクを前記塗布
膜の上に配置して、前記塗布膜に紫外光を照射し、その
後に前記塗布膜を加熱する、前記フォトマスクのパター
ンに対応する透過光分光分布を有する光吸収パターン膜
被覆物品の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は膜被覆物品、特に自
動車などの車両用や建築物の窓材や鏡、光学ガラス製
品、セラミック製品、光学部品および雑貨などのガラス
等に適した光吸収膜被覆物品を製造する方法に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に金による微粒子分散ガラスを得る
方法として、金の無機塩をガラス表面に塗布した後に焼
成することにより、無機塩中の金がガラス基板内に浸透
し、ガラスをコロイド発色させるイオン交換法がある。
また珪素アルコキシドの溶液に金の塩を溶解させ、これ
を基材に塗布し熱処理することにより、金微粒子を含
み、金微粒子の表面プラズモンにより着色された珪素酸
化物の被膜を形成させる方法がある。
【0003】特に、金微粒子の、表面プラズモンにより
着色されたガラスは耐熱性、耐光性に優れており、以前
から着色ガラスやフィルターガラスとして利用されてき
た。一般に金微粒子の表面プラズモン吸収による発色は
金微粒子を取り囲む媒体の屈折率に依存することが知ら
れており、例えば金微粒子を含有する酸化珪素−酸化チ
タン系の膜において、酸化チタンがリッチで高い屈折率
を有する膜では青色に発色し、酸化珪素がリッチで低い
屈折率を有する膜では赤色に発色すること、およびこの
場合、珪素アルコキシド、酸化チタン原料および金塩を
含む液を塗布した後であって膜を焼成する前に、紫外線
を照射することにより発色のトーンが変わって、可視透
過光の主波長が変化することが知られている(例えば特
開平6−191896)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このように金微粒子を
ガラスに分散させたり、またはコーティングした膜に金
微粒子を分散させたガラスは装飾ガラスとして以前から
利用されてきている。ところが得られるガラスの色は金
微粒子を取り囲む媒体の屈折率や微粒子の大きさ、形で
きまるため通常単一色である。従って同一基板内に様々
な色調を得たい場合、フレキソコーティングやスクリー
ン印刷等によりそれぞれの色調を別々にコーティングす
る必要があった。それには膜同士の重なりを防ぐために
高精度なパターニング位置制御技術が必要となるばかり
でなく、それぞれの色調に対応する液組成を開発する必
要があり、コスト面からみても不利な点が多かった。
【0005】さらに金微粒子により得られる色調は媒体
の屈折率および焼成成膜前の紫外線照射の有無で変化し
ていくが、媒体の屈折率が高くなっていくと膜の反射率
も高くなっていく。ところが例えば自動車用ガラス板や
建築用等のガラス板は外観上、可視光反射率が低いこと
が要求される場合が多く、膜の屈折率を変えて、種々の
透過色調を実現しようとする場合、膜の可視光反射率の
高いことが欠点になる場合もある。
【0006】本発明者らはこのような問題点に着目し、
可視光反射率を低く保ちながら、一つの光吸収膜被覆物
品の中で、または個々のもしくは異なるロットの光吸収
膜被覆物品の間で、種々の透過色調、または種々の透過
光分光分布を有する光吸収膜被覆物品を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、酸化
珪素原料、酸化チタン微粒子を含む酸化チタン原料、お
よび金微粒子原料を含有する光吸収膜被覆液を基材表面
に塗布し、フォトマスクを前記塗布膜の上に配置して、
前記塗布膜に紫外光を照射し、その後に前記塗布膜を加
熱する、前記フォトマスクのパターンに対応する透過光
分光分布を有する光吸収パターン膜被覆物品の製造方法
である。
【0008】本発明における光吸収膜被覆液の組成の各
成分について以下に説明する。酸化珪素は膜中で金微粒
子を固定するマトリックス材として必要であり、さらに
膜の可視光反射率を抑える低屈折率材として重要な役割
を果たしている。酸化珪素の原料としては、加水分解、
縮合可能な珪素化合物が用いられる。光吸収膜被覆液の
固形分の中で酸化珪素原料の含有量が少なすぎると膜の
可視光反射率が高くなりすぎる。従って、光吸収膜被覆
液の金属酸化物および金属成分の合計量中の酸化珪素の
含有量はSiO2に換算して45〜93重量%であるこ
とが好ましく、より好ましくは55〜90重量%であ
る。
【0009】本発明で、膜を形成する酸化珪素の原料と
しては、ゾルゲル法により透明でより強い膜を形成で
き、安定性に優れるもの、すなわち加水分解・重縮合す
ることができる珪素化合物その他を用いることができ、
以下に具体的に述べる。
【0010】酸化珪素の原料である有機珪素化合物とし
ては、珪素のアルコキシドが好適で、例えばテトラメト
キシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシ
シラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシ
シランが挙げられる。またこれらの縮合体(n≧2、た
だしnは縮合度を表す)、もしくは縮合体の混合物も好
便に用いられる。例えば縮合体としては、ヘキサエトキ
シジシロキサン(n=2)、オクタエトキシトリシロキ
サン(n=3)、デカエトキシテトラシロキサン(n=
4)、エトキシポリシロキサン(n≧5)などが使用で
きる。単量体(n=1)と縮合体(n≧2)の混合物か
らなる「エチルシリケート40」(商品名、コルコート
社製)〔組成は、J.Cihlarの文献、Colloids
and Surfaces A : Physicochem. Eng. Aspects 70 (1
993年) 253頁から268頁 に記載されており、重量分率で
単量体(n=1):12.8重量%、2量体(n=
2):10.2重量%、3量体(n=3):12.0重
量%、4量体(n=4):7.0重量%、多量体(n≧
5):56.2重量%、エタノール:1.8重量%)で
ある〕などが好適に使用できる。
【0011】また上記化合物のアルコキシル基の一部
が、アルキル基その他の炭化水素基と置換されたアルキ
ルトリアルコキシシランなども使用可能である。例え
ば、アルコキシ基がメチル基、エチル基、プロピル基、
ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基などの直鎖
状、あるいは分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、
シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、ア
リル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アクリロ
キシプロピル基などのようなアルケニル基、フェニル
基、トルイル基、キシリル基などのアリール基、ベンジ
ル、フェネチル基などのアラルキル基またはγ−メルカ
プトプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−アミノプ
ロピル基などに置換されたものが例示できる。珪素のア
ルコキシド以外にも酸化珪素微粒子、例えば日産化学工
業株式会社製シリカゾルである「スノーテックス−O
L」など、も使用することができる。
【0012】酸化チタンは、膜の屈折率を高めて、金微
粒子による発色(透過色調)を赤色系から青緑系にシフ
トさせる成分である。また酸化チタンは膜の耐水性を高
める成分である。さらに、酸化チタンは膜の屈折率上昇
に伴って膜被覆ガラス物品の可視光反射率を高める成分
でもある。
【0013】酸化チタン微粒子は、金微粒子を膜中に形
成させる場合、酸化チタン微粒子以外の酸化チタン原料
に比して、光吸収膜被覆液中に同量(TiO2換算)存
在した場合、膜の透過色調を赤色系から青緑系へシフト
する度合いが大きく、しかも膜被覆物品の可視光反射率
を高める度合いが小さい。従って酸化チタン微粒子以外
の酸化チタン原料に比して、TiO2に換算して、同量
またはそれよりも多量の酸化チタン微粒子を光吸収膜被
覆液中に存在させることにより、300〜1200nm
の光波長領域で吸収を有し、しかも低い可視光反射率を
有する金微粒子分散膜を得ることができる。さらに、光
吸収膜被覆液中に、酸化チタン微粒子を含有させること
により、光吸収膜被覆液の塗布後で焼成成膜前の紫外線
照射量の変化による透過色調の変化を非常に大きくする
ことができる。
【0014】光吸収膜被覆液の金属化合物合計重量中
(金属酸化物および金に換算した合計重量)の酸化チタ
ンの量が多すぎると膜の屈折率が高くなり反射率が高く
なりすぎる。従って酸化チタン原料の含有量はTiO2
に換算して3〜30重量%が好ましく、より好ましくは
5〜25重量%、さらに好ましくは10〜25重量%で
ある。前記酸化チタン原料(TiO2に換算)の1/2
以上すなわち50重量%以上、より好ましくは60重量
%以上、さらに好ましくは80重量%以上、最も好まし
くは100重量%として酸化チタン微粒子を用いる。前
記酸化チタン原料の50重量%未満として、チタンアル
コキシド、チタンアセチルアセトネート、チタンカルボ
キシレートのようなチタンの有機化合物を用いることが
できる。
【0015】前記酸化チタン原料としての酸化チタン微
粒子の粒径はあまり大きすぎると光の散乱により膜の透
明性が失われるので平均粒子径500nm以下で1nm
以上が好ましく、より好ましくは平均粒子径100nm
以下で2nm以上である。なお、酸化チタン微粒子では
ない酸化チタン原料(チタンの有機化合物)は膜の透過
色調を青緑系にシフトすることができるが、微粒子の形
の酸化チタンに比して、青緑系にシフトする度合いが小
さく、しかも膜被覆物品の可視光反射率を高める度合い
が大きいので、上述のチタンの有機化合物は、前記酸化
チタン原料として、上記のようにできるだけ少量の使用
にとどめることが好ましい。
【0016】本発明で使用する酸化チタン原料としての
酸化チタン微粒子は、例えば石原産業株式会社製光触媒
酸化チタン微粒子(商品名「STS−01」(粒径(X
線測定による粒径)7nm)、「STS−02」(粒径
(X線測定による粒径)7nm)、「CS−N」)、多
木化学株式会社製チタニアゾル「M−6」(結晶子サイ
ズ5nm)などの市販水分散ゾル、テイカ株式会社製光
触媒用酸化チタン(商品名「TKS201」(粒径6n
m)、「TKS202」(粒径6nm)、石原産業株式会社
製「ST−K01」,「ST−K03」のような、バイ
ンダーを含んだ市販水アルコール混合溶剤分散チタニア
ゾルなどが挙げられる。
【0017】金微粒子は膜に光吸収機能を持たせる材料
であり、その量が少なすぎると、十分な光吸収機能が得
られず、その量が多すぎると膜の耐久性が低下する。従
って、光吸収膜被覆液の固形分合計量(金属酸化物およ
び金(Au)に換算)中の金微粒子原料(金(Au)に
換算)の含有量は4〜30重量%が好ましく、6〜25
重量%がより好ましく、さらに好ましくは7〜22重量
%である。
【0018】金微粒子原料としては、塩化金酸、塩化金
酸ナトリウム等の金化合物を使用することができるが、
安定で可溶性である点で塩化金酸が最も好ましい。金コ
ロイドは、本発明においては光照射の有無による光透過
分光分布の変化(可視光領域では透過光色調の変化)が
小さいので、金微粒子原料として使用することは好まし
くない。
【0019】本発明における光吸収膜被覆液は、前記酸
化珪素原料、前記酸化チタン原料、および前記金微粒子
原料の他に、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化ア
ルミニウム、酸化鉄、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化
錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化バナジウ
ム、酸化クロム、酸化銅、酸化マンガン、酸化ニッケ
ル、酸化セリウム、酸化ホウ素、酸化タンタル、酸化タ
ングステン、および酸化イッテルビウム等からなる群よ
り選ばれる少なくとも1種の酸化物の原料を、それぞれ
Co34、ZrO2、Al23、Fe23、Bi23
ZnO、SnO2、In 23、Sb23、V25、Cr2
3、CuO、MnO、NiO、Ce23、B23、T
25、WO3、およびYb23に換算して、合計で1
5重量%以下、より好ましくは10重量%以下、含有し
てもよい。
【0020】本発明の膜被覆液は、上記各原料をそれぞ
れ溶媒に、溶解しておき、それらを所定の割合で混合す
ることにより得られる。溶液中の各原料合計(固形分)
の濃度は3〜20重量%であることが好ましい。本発明
において珪素アルコキシドを用いる場合、その加水分解
触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸類、酢
酸、しゅう酸、蟻酸、プロピオン酸、p−トルエンスル
ホン酸などの有機酸類が、好ましくは0.01〜15重
量%の濃度で用いられる。加水分解のための水は上記触
媒その他に含まれる量で十分であり、通常は、水を特別
に添加する必要はない。
【0021】本発明で使用される上記溶媒は被膜形成方
法に依存する。例えば、グラビアコート法、フレキソ印
刷法、ロールコート法の有機溶剤は蒸発速度の遅い溶媒
が好適である。これは、蒸発速度が速い溶媒では、十分
にレベリングが行われないうちに、溶媒が蒸発してしま
うためである。溶媒の蒸発速度は、酢酸ブチルのそれを
100とした相対蒸発速度指数で、一般的に評価されて
いる。この値が40以下の溶媒は、きわめて遅い蒸発速
度をもつ溶媒として分類されており、このような溶媒
が、グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコート
法の有機溶媒として好ましい。
【0022】上記溶媒としては、例えば、エチルセロソ
ルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート、ジエ
チレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、トリプロピレングリコー
ル、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルア
ルコール、などが挙げられる。グリコール系溶媒は塗膜
のレベリング剤としても作用する。
【0023】本発明に使用される膜形成用組成物(コー
ティング液)の溶媒は、このような溶媒を少なくとも1
種含むことが望ましいが、コーティング液の粘度、表面
張力などを調節するために、上記の溶媒を複数用いても
構わない。また蒸発速度が速くて100を越える相対蒸
発速度を有する溶媒、例えばメタノール(相対蒸発速度
610、以下同じ)、エタノール(340)、n−プロ
パノール(300)のような溶媒を、上記の40以下の
相対蒸発速度指数を有する溶媒に添加してもよい。
【0024】本発明の膜被覆液は、後述のコーティング
法により基材上に塗布され、その上にフォトマスクを配
置して、その後光照射処理が行なわれる。光照射のため
の紫外線光源としては、250〜400nmの波長の光
を発光し、被照射面での照射紫外線の強度が1mW/c
2以上になるような紫外線照射装置を用いることがで
きる。そして、前記塗布膜に前記光源からの光を1秒〜
数分間照射する。
【0025】次に、200〜700℃の温度で1〜20
0分間、加熱して、膜厚50から10000nmの光吸
収薄膜が形成される。フォトマスクの紫外線透過領域を
通過して紫外線が露光された膜部分(露光領域)および
フォトマスクの紫外線遮蔽領域により紫外線が露光され
なかった膜部分(非露光領域)の両方の領域は加熱され
るが、露光領域と非露光領域とは異なった光学特性を有
するようになる。
【0026】本発明の膜被覆液を塗布する基材として
は、ガラス、鏡、石英ガラス、半導体、セラミックス、
樹脂が好適に使用され、ガラス基材としては無着色で透
明なソーダライム珪酸塩ガラス組成のガラス基材のほか
に、グリーン色に着色されたガラスや、ブロンズ色に着
色されたガラスおよび紫外線吸収能をもったガラス板を
使用してもよい。紫外線吸収能を持ったガラス基材とし
ては、370nmの波長の紫外光の透過率(T370n
m)が0〜50%で、可視光線透過率が30〜95%、
太陽光線透過率が30〜85%であり、厚みが1.0m
m〜5.5mmの紫外線赤外線吸収ガラス板が好ましく
用いられる。このように紫外線吸収ガラス板に、本発明
の膜形成用組成物をコーティングすることにより、高い
紫外線吸収能をもった膜被覆ガラス基材が得られる。
【0027】本発明で使用するコーティング方法として
は、特に限定されるものではないが、例えばスピンコー
ト法、ディップコート法、スプレーコート法、印刷法等
が挙げられる。グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロ
ールコート法、スクリーン印刷法などの印刷法は、生産
性が高くコーティング液組成物の使用効率がよいので好
適である。
【0028】本発明における珪素化合物、酸化チタン原
料および金微粒子の原料の種類や混合割合は、溶剤およ
び酸化チタン原料と金微粒子原料と珪素化合物の混和性
や安定性、光学的には色、機械的には耐摩耗性、化学的
耐久性を考慮して決定するのが好ましい。
【0029】次に、フォトマスクを用いて光吸収パター
ン膜被覆物品を製造する場合について、以下に説明す
る。前記光吸収膜被覆液は基材表面に塗布した後に、フ
ォトマスクを前記塗布膜の上に配置して、前記塗布膜に
紫外光をフォトマスクを介して所定時間照射する。フォ
トマスクの形状を正確に塗布膜面に紫外光を露光、転写
させるために、フォトマスクをできるだけ膜面に近接し
て配置することが好ましい。フォトマスクの場所的な紫
外線遮蔽率の差によって、塗布膜には、紫外光が多く露
光された領域と紫外光が少なく露光された領域(または
非露光領域)が形成される。紫外光が多く露光された領
域では、紫外光が少なく露光された領域に比して、塗布
膜中の金微粒子原料の内の大きい割合が光還元されて多
くの金微粒子が形成される。その後の加熱処理過程にお
いて、酸化珪素原料および酸化チタン原料が加水分解・
縮合または熱分解によって酸化珪素、酸化チタンが形成
されるとともに、少なく露光された領域(または非露光
領域)に光還元されずにそのまま存在していた金微粒子
原料が熱分解されることにより、多く露光された領域で
の光還元金微粒子とは形態の異なる金微粒子が形成され
る。その結果、塗布膜には、マスクのパターンに対応し
て、光還元金微粒子の量と熱分解金微粒子の量の割合が
分布するようになり、前記パターンに対応する透過光分
光分布(可視光領域では透過光色調分布)を有する光吸
収膜が得られる。光吸収膜の露光領域と非露光領域にお
いては露光領域のほうが非露光領域に比してより短波長
側にシフトして光吸収する傾向にある。
【0030】紫外光照射のときに使用するフォトマスク
は例えばフレキソ版を作製するときに使うフィルムやス
クリーンフィルム、石英ガラス製薄板のような透明板の
表面に描画したもの等を使用することができる。このフ
ォトマスクは紫外光を透過する領域と紫外光を遮蔽する
領域とからなり所定の文字、模様などを形成するパター
ンを有するもの、紫外光の透過率が、場所的に、連続的
にまたは不連続的に変化するようなパターンを有するも
の等が用いられる。フォトマスクに形成するパターンと
しては、光吸収膜に拡大鏡なしの肉眼で観察される光吸
収パターンを描くために適した、比較的に寸法の大きな
紫外光透過領域と紫外光遮蔽領域を設けた、いわゆる大
きなパターンでもよく、拡大鏡なしの肉眼ではパターン
そのものを観察しにくいが、種々の光吸収を得るのに適
した、寸法が微小な紫外光透過領域と紫外光遮蔽領域を
設けた、いわゆる小さなパターンでもよい。後者の例の
フォトマスクとして、紫外線に透明なフィルムの表面
に、印刷により、0.5〜100μmの直径(または最
小幅)を有する多数の紫外線遮蔽領域を分布形成させる
ことにより、または紫外線を遮蔽するフィルムの表面に
0.5〜100μmの直径(または最小幅)を有する多
数の紫外線透過孔を分布形成させることにより、フォト
マスクに微小な紫外線透過領域と微小な紫外線遮蔽領域
とからなるパターンを形成させたものを好適に用いるこ
とができる。これらのマスクを使用することにより、マ
スクのパターンに対応した0.5〜100μmの解像度
のパターンを有する光吸収膜も作製することができる。
【0031】前記膜被覆液の金化合物を含む組成におい
て、酸化チタン原料(TiO2換算)の含有量を同じに
保った場合に、チタンアルコキシドに代えて酸化チタン
微粒子を使用することによって、なぜ露光領域と非露光
領域の透過光分光分布(可視域では発色(透過光色
度))の差が大きくなるかという理由については次のよ
うに推察される。
【0032】まず、光吸収膜被覆液を塗布した後、紫外
光を照射しないで加熱処理した場合について説明する。
前記膜被覆液の金化合物を含む組成において、酸化チタ
ン原料(TiO2換算)の含有量を同じに保ち、チタン
アルコキシド(酸化チタン微粒子以外の酸化チタン原料
の代表)と酸化チタン微粒子の量を変化させた場合、得
られる光吸収膜の吸収スペクトルを観察すると、酸化チ
タン微粒子の含有量を増加していくに従って、長波長
(600〜700nm)の光吸収ピークが大きくなって
いき、また光吸収ピークの波長が530〜580nmか
ら長波長側(600〜700nm)に移動する。すなわ
ち光吸収膜の透過色調が赤から青、さらには緑色にシフ
トしていく。もし、光吸収膜被覆液中に微粒子の酸化チ
タンは存在せずにチタンアルコキシドのみが存在する場
合は、塗布膜が加熱されるときにチタンアルコキシドは
シリカと共同してマトリックスを形成し、従って酸化チ
タンは膜内部に均一に存在している。しかし光吸収膜被
覆液中に微粒子の酸化チタンが存在すると、その酸化チ
タン微粒子は、塗布膜が加熱処理される際に、金微粒子
との相互作用により、金微粒子の近くに偏在するように
なるかまたは金微粒子と結合して複合微粒子を形成する
かして、酸化チタンは膜内で不均一な分布を示すと考え
られる。
【0033】エネルギー分散型X線分光分析器(ED
X)を装着した透過型電子顕微鏡(TEM)で膜中の微
粒子を観察して、微粒子のEDXスペクトルを測定する
と、膜中に同量の酸化チタンが含有されていても、酸化
チタン微粒子を使用しない、赤色系の透過色調を示す膜
内の微粒子からは、金(Au)のみが検出される。それ
に対して、酸化チタン原料として酸化チタン微粒子を使
用して青色の透過色調を示す膜内の微粒子からは金(A
u)およびチタン(Ti)が検出されることから上記の
ように推定される。従って金微粒子は酸化チタンの濃度
の大きい媒体(これは膜の屈折率よりも高い値を示す)
で囲まれることになり、金微粒子の表面プラズモンによ
る光吸収は、あたかも金微粒子が実際の膜の屈折率より
も高い屈折率の膜の内部に分散しているかのような様相
を示し、光吸収ピークの長波長側への移動値が非常に大
きくなると考えられる。
【0034】以上は光吸収膜被覆液を塗布した後、光照
射しないで加熱処理した場合であるが、光吸収膜被覆液
を塗布した後、フォトマスクを配置して光照射し、その
後加熱処理する場合について説明する。塗布膜中の非露
光領域については上記と同じであるが、塗布膜中の露光
領域の金微粒子原料はその場で金微粒子に光還元される
ので、その後の加熱処理において、酸化チタン微粒子と
金微粒子との相互作用は生じない。従って光吸収膜中の
非露光領域と露光領域とでは透過光の色調に大きな差が
生じる。そしてフォトマスクとして、紫外光を透過する
領域と紫外光を遮蔽する領域とからなり所定の文字、模
様などを形成するパターンを有するもの、または紫外光
の透過率が、場所的に、連続的にまたは不連続的に変化
するようなパターンを形成させたものを用いることによ
り、光吸収膜には前記パターンに対応する連続状または
不連続状の透過光分光分布または透過光色調分布が形成
される。光吸収膜中の非露光領域の透過光の色調と露光
領域の透過光の色調との間の中間の透過光色調は、紫外
線の照射光量、照射時間などを調節することによっても
得られるが、以下に述べるように、CRTや液晶ディス
プレイにおけるドットマトリックスに類似の混合方式に
よって好適に得られる。フォトマスクとして微小な紫外
線透過領域と微小な紫外線遮蔽領域とが互いに隣接して
多数存在し、かつ連続しているパターンを形成させたも
のを用いた場合、光吸収膜上には、それぞれ上記微小紫
外線透過領域に対応する部分の光吸収(おそらく主とし
て光還元による金微粒子による)および、上記微小紫外
線遮蔽領域に対応する部分の光吸収(おそらく主として
熱還元および酸化チタン微粒子偏在による金微粒子によ
る)が生じる。そして各微小光吸収部分の個々は、その
面積が非常に小さいため、拡大鏡なしの肉眼では判別し
て見ることができないので、各光吸収部分の透過光を混
合した色調として肉眼で観察される。従ってフォトマス
クの紫外線透過領域と紫外線遮蔽領域の面積割合を変え
ることにより、得られる透過光色調を調節することがで
きる。このように、光吸収膜被覆液の酸化チタン原料
(TiO2に換算)中に酸化チタン微粒子を、好ましく
は少なくとも50重量%、存在させることによって、パ
ターンに対応する透過光分光分布または透過光色調分布
を有する光吸収パターン膜被覆物品が得られる。
【0035】もし、光吸収膜被覆液として、酸化チタン
微粒子を含まない酸化チタン原料を用い、フォトマスク
を配置して光照射し、その後加熱処理する場合でも、光
吸収膜の露光領域と非露光領域とで異なる透過光色調を
示すが、それはおそらく金微粒子が光還元によるか熱分
解によるかの差によるものであり、得られる透過光色調
の差は本発明に比して極めて小さい。
【0036】前記膜被覆液の金化合物を含む組成におい
て、酸化チタンの含有量を一定に保った場合、酸化チタ
ン原料としてチタンアルコキシドに代えて酸化チタン微
粒子を使用することによって、露光領域の透過光分光分
布と露光領域の透過光分光分布の差(可視光域では発色
の差)が大きくなる。この発色の差を透過光色度、すな
わち、Lab表色系で表して、露光領域の透過光色度
(a1、b1)と非露光領域の透過光色度(a2、b2)と
の差(ΔC)を、((a1−a22+(b1−b22
1/2で定義すれば、例えば、酸化チタン原料としてチタ
ンアルコキシドを用いて得られる、上記色度差(ΔC)
は2〜3程度であるが、酸化チタン原料として酸化チタ
ン微粒子を用いる本発明によれば10以上の色度差(Δ
C)が得られる。またこの露光領域と非露光領域の発色
の差を色相差(角度;度)で表すと、例えば、酸化チタ
ン原料としてチタンアルコキシドを用いて得られる、露
光領域と非露光領域の色相の差は8〜10度程度である
が、本発明によれば90度以上の色相差が得られる。
【0037】以上は、主として透過光色調分布を有する
光吸収パターン膜被覆物品を製造する場合について述べ
た。しかしこれに限らず、フォトマスクとして微小な紫
外線透過領域と微小な紫外線遮蔽領域とが均一に分布し
たものを用いて、基材ごとに、紫外線透過領域の総面積
と微小な紫外線遮蔽領域の総面積の比率が異なるフォト
マスクを適用することにより、同一の配合組成の光吸収
膜被覆液を用いて、異なる透過光色調を有する光吸収膜
被覆物品を製造することができる。
【0038】
【発明の実施の形態】次に、本発明を具体的な実施例に
よりさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0039】[フォトマスク1〜3の準備]120ポイ
ントの大きさの太字英字「A」を黒色に印刷した10×
10cmの紙を複写機によりオーバーヘッドプロジェク
ター用プラスチック透明シートに等倍率でコピーした。
このコピーした透明シート(厚み0.2mm)をフォト
マスク1として用いる。フォトマスク1の英字「A」の
字体の部分(大パターン)は紫外線遮断領域であり、そ
れ以外は紫外線透過領域である。
【0040】また上記フォトマスク1において、英字
「A」の左半分は上記と同様に紫外線を遮断領域とし、
英字「A」の右半分は、その字体全面にわたって、2
8.2μmの直径の円形の多数の紫外線遮蔽ドットをド
ットの中心点間の距離が50μmになるように碁盤目状
の正方形格子の各交点の位置に印刷したものをフォトマ
スク2とした。フォトマスク2の英字「A」の右半分の
字体部分はその約50%の面積部分が紫外線を遮蔽し、
残りの約50%の面積部分は紫外線を透過するようにな
っている。
【0041】また厚み0.5mmで10cm×10cm
の寸法の石英ガラス板を用いて、その表面は、1〜50
μmの一辺長さの正方形からなる多数の紫外線遮蔽ドッ
トをドットの中心点間の距離が50μmになるように碁
盤目状の正方形格子の各交点の位置に印刷する。前記石
英ガラス板の1端側ではドット辺長さは1μmであり、
この部分の紫外線透過面積率(紫外線透過面積/マスク
面積)は約100%であり、石英ガラス板の他端側では
正方形ドットの辺長さは50μmであり、この部分の紫
外線透過面積率は約0%であり、石英ガラス板の1端側
から他端側の方向に向かってドットの辺長さが1μmか
ら50μmへと徐々に大きくなるよう印刷されている
(小パターン)。従って紫外線透過面積率は石英ガラス
基板の1端側から他端側の方向に向かって100%から
0%まで徐々に変化させている。これをフォトマスク3
として用いる。
【0042】[コーティング原液の調合]酸化珪素原料
A:「エチルシリケート40」(コルコート社製)62.6
g、エチルセロソルブ55.04g、0.1mol/L(0.
1規定)の硝酸(HNO3)7.52gを取り2時間攪拌し
た後、メチルトリエトキシシラン14.64g、エチルセロ
ソルブ58.26g、0.1mol/Lの硝酸1.8gを加えさ
らに2時間攪拌し、酸化珪素原液Aを作製した。
【0043】酸化チタン原料Cの調整:チタンイソプロ
ポキシド1モルに対してアセチルアセトン2モルでキレ
ート化したものを酸化チタン原料Cとした。エチルセロ
ソルブで希釈してTiO2固形分で16.5重量%にし
た。
【0044】[実施例1、比較例1]上記酸化珪素原料
A、酸化チタン微粒子(TiO2微粒子、平均粒径7n
m、石原産業製光触媒酸化チタン微粒子「STS-01」)、
酸化チタン原料C、溶剤(エチルセロソルブ)、塩化金
酸(金微粒子原料)を表1に示す量を取って混合し、2
種のコーティング液を調製した。なお、表1中、「E
C」はエチルセロソルブを表している。
【0045】上記作製したコーティング液を、厚み3.
4mmで10cm×10cmの寸法の無着色透明ガラス
基板(ソーダ石灰珪酸塩系フロートガラス、可視光線透
過率Ya 90.0%、太陽光線透過率Tg 81.7
%、紫外線透過率Tuv(ISO) 55.7%、可視光線
反射率 8.0%、Lab表色系で表した透過光の色度
・明度 a=−1.41、b=0.32、L=95.
1)上にグラビアコーティング装置で塗布した。風乾後
に、上記フォトマスク1を上記塗布面の上に約1mmの
間隔を隔てて配置し、このフォトマスク1を通して、U
SHIO−UV照射装置(紫外線中心波長365nm)
から紫外光を約30秒間光照射する。被照射面における
紫外線の強度は表2に示すように10mW/cm2であ
った。
【0046】照射した後、表2に示す350℃の温度で
10分間加熱処理し、実施例1では「A」の字の部分
(非露光領域)が青色に、「A」字以外の部分(露光領
域)がピンク色に、そして、比較例1では「A」の字の
部分(非露光領域)がピンク色に、「A」字以外の部分
(露光領域)が赤紫色に、それぞれ着色された金微粒子
分散シリカ−チタニア膜をもつ2枚の着色ガラス板を得
た。金微粒子分散膜の組成・屈折率・膜厚、着色膜付き
ガラス板の各領域の可視光線透過率(Ya)、太陽光線
透過率(Tg)、紫外線透過率(Tuv)、可視光線反
射率、色(透過光)等の特性を表3〜5に示す。なお、
膜厚は触針計を用いて測定した。また可視光線透過率、
太陽光線透過率および可視光線反射率はJIS R 31
06により、紫外線透過率はISO規格9050によ
り、透過色度および反射色度はJISZ 8729によ
りそれぞれ測定した。露光領域と非露光領域の透過光の
色度差(ΔC)および透過光の色相差は、露光領域の透
過色度(a1、b1)および非露光領域の透過色度(a2
b2)から、それぞれ((a1-a2)2+(b1-b2)2)1/2および|ta
n- 1(b1/a1)−tan-1(b2/a2)|の式により計算した。また
膜の屈折率は金または銀微粒子を含まないマトリックス
の値で酸化チタンの屈折率を2.2、酸化珪素の屈折率を
1.46として算出した。得られた着色膜は、実施例1およ
び比較例1ともに、耐水性、耐薬品性、耐摩耗性につい
て良好な結果を示した。
【0047】実施例1および比較例1を比較すると、実
施例1では露光領域と非露光領域との透過光の色度差
(ΔC)は13.1であって比較例1の値2.4よりも大
きく、実施例1では露光領域と非露光領域との透過光の
色相差は126度であって比較例1の値9度よりも大き
かった。また、ガラス面反射率(光吸収膜が被覆されて
いない表面側からの入射光に対する可視光反射率)およ
び膜面反射率(光吸収膜が被覆されている表面側からの
入射光に対する可視光反射率)の両方とも、実施例1は
比較例1よりも小さな値を示している。
【0048】実施例1についての露光領域と非露光領域
の透過光の分光分布を図1に示す。図1中、実線1は露
光領域の透過率を、点線2は非露光領域の透過率を示
す。また比較例1についての露光領域と非露光領域の透
過光の分光分布を図2に示す。図2中、実線3は露光領
域の透過率を、点線4は非露光領域の透過率を示す。
【0049】このように酸化チタンの原料としてアセチ
ルアセトンでキレート化した原料を使用した比較例1の
場合、酸化チタン微粒子を入れた実施例1の場合に比べ
て、着色膜の露光領域と非露光領域との透過光色調の差
が小さい。
【0050】なお、実施例1において用いたフォトマス
ク1の代わりに、フォトマスク2を用いて実施例1と同
様に、光吸収膜付きガラス板を製造した。このガラス板
の透過色は、「A」の字の左半分部分(非露光領域)が
青色に、「A」字以外の部分(露光領域)がピンク色で
あるのは実施例1と同じであったが、「A」の字の右半
分部分(半露光領域)は、青紫色に着色していた。この
「A」字右半分(半露光領域)を顕微鏡で観察すると、
フォトマスク2の直径28.2μmの紫外線遮蔽ドット
に対応する膜の直径約28μmの円形部分は青色に着色
され、そしてそのドットの周りの紫外線透過領域に対応
する膜部分はピンク色に着色した形状が観察された。そ
してこれらの青色の透過光と同量のピンク色の透過光が
混合して、肉眼では青紫色に見える。
【0051】[実施例2]9枚のフォトマスクを次のよ
うに準備した。9枚の紫外線遮蔽フィルム(10cm×
10cm)の各表面に、[紫外線透過孔総面積]/[フ
ォトマスク面積]が10%きざみで10〜90%になる
ように、6.3〜19μmの辺長さの正方形のいずれか
からなる多数の紫外線透過孔を孔中心点間の距離が20
μmになるように碁盤目状の正方形格子の各交点の位置
に開けられている。例えば[紫外線透過面積]/[フォ
トマスク面積]が10%のフォトマスクは、6.3μm
の辺長さの正方形の紫外線透過孔が上記格子の各交点の
位置に開けられている。
【0052】実施例1で用いたと同じ、コーティング
液、ガラス基板(11枚)、コーティング装置を用いて
塗布し、風乾後、9枚の試料に、実施例1と同じUV照
射装置で、9種の上記フィルターをそれぞれ膜面に近接
配置して、紫外光を約30秒間光照射する。なおガラス
基板1枚はマスク無しで照射し、他のガラス基板1枚は
照射を行わなかった。
【0053】紫外線照射後の各試料および照射なしの試
料を表2に示す650℃の温度で2分間加熱処理し、青
緑色〜赤紫色にそれぞれ着色された11枚の金微粒子分
散シリカ−チタニア膜をもつガラス基板を得た。金微粒
子分散膜の組成・屈折率・膜厚、光吸収膜付きガラス板
の可視光線透過率(Ya)、太陽光線透過率(Tg)、
紫外線透過率(Tuv)、可視光線反射率、色(透過
光)等の特性を実施例1と同様に測定し、その結果を表
3、ならびに表6および7の番号2-1〜2-11に示
す。なお、例えば「紫外線照射」の欄の番号2-2の値
「10%」は上記マスクの[紫外線透過孔総面積]/
[マスク面積]が10%であることを表している。照射
される膜面の面積に対して紫外線露光面積が増えるにし
たがって青緑色から赤紫色に徐々に色調が変化していく
のがわかる。このことは露光領域の面積を選択すること
によって透過色調が自由に制御できることを示してい
る。
【0054】また、紫外線透過面積率を0〜100%ま
で徐々に変化させたフォトマスク3を用いて、実施例2
と同様に光吸収膜付きガラス板を製造した。このガラス
板の透過色は、対応するフォトマスク3の前記他端側
(紫外線遮蔽面積100%)から一端側(ガラス板の一
端側、紫外線透過面積100%)に向かって、青緑〜青
色〜青紫〜紫〜赤紫〜ピンク色と徐々に変化するグラデ
ーションの透過色調分布が得られた。フォトマスク3の
前記他端側から一端側の方向に11の区画に区分しこの
各区画に対応する光吸収膜付きガラスの各領域の光学特
性は実施例2についての表6〜7の番号2-1〜2-11
に示す値と一致した。なお、例えば「紫外線照射」の欄
の番号2-2の値「10%」は上記フォトマスク3の紫
外線透過面積率10%に対応する膜部分を表している。
この方法を使えば自動車用シェードバンドや透過色調が
徐々に変化していくグラデーションを有するガラス板な
どが作製できる。
【0055】[実施例3]上記酸化珪素原料A、酸化チ
タン微粒子(TiO2微粒子、平均粒径7nm、石原産
業製光触媒酸化チタン微粒子「STS-01」)、酸化チタン
原料C、溶剤(エチルセロソルブ)、塩化金酸(金微粒
子原料)を表1に示す量使用して、コーティング液を調
製する他は、実施例1と同様にして、塗布、フォトマス
ク配置、紫外光照射、加熱処理を行った。金微粒子分散
膜の組成・屈折率・膜厚、着色膜付きガラス板の各領域
の可視光線透過率(Ya)、太陽光線透過率(Tg)、
紫外線透過率(Tuv)、可視光線反射率、色(透過
光)等の特性を表3〜5に示す。
【0056】
【表1】 ────────────────────────────────── 酸化珪素 酸化チタン 酸化チタン 塩化金酸 EC 番号 原液A(g) 微粒子(g) 原料C(g) (g) (g) ────────────────────────────────── 実施例1 26.3 2.66 0 1.6 19.4 比較例1 26.3 0 5.34 1.6 17.3 実施例3 26.3 2.13 1.96 1.6 18.0 ──────────────────────────────────
【0057】
【表2】 ────────────────────────── 番号 UV照射処理条件(365nm) 熱処理温度 ────────────────────────── 実施例1 10mW/cm2 350℃ 比較例1 10mW/cm2 350℃ 実施例2 10mW/cm2 650℃ 実施例3 10mW/cm2 350℃ ──────────────────────────
【0058】
【表3】 ───────────────────────────────── 実施例 膜組成(酸化物換算重量%) 膜厚 番号 SiO2 TiO2 Au 屈折率 (nm) ───────────────────────────────── 実施例1 71.8 14.4 13.8 1.56 150 比較例1 71.7 14.5 13.8 1.56 140 実施例2 71.8 14.4 13.8 1.56 140 実施例3 71.8 14.4 13.8 1.56 144 ─────────────────────────────────
【0059】
【表4】 ─────────────────────────────────── 番号 Ya Tg Tuv 透過 透過色度明度 露光領域と非露光領域 領域 (%) (%) (%) 色調 (a/b/L) 透過色度差 透過色相差 ─────────────────────────────────── 実施例1 露光領域 72.2 71.6 45.7 赤紫 6.9/-2.8/84.4 −− −− 非露光領域 70.0 71.4 43.8 青 -6.2/-3.9/84.9 13.1 126度 比較例1 露光領域 68.9 72.8 44.2 ヒ゜ンク 6.5/-3.2/81.5 −− −− 非露光領域 71.8 73.3 42.8 赤 4.8/-1.5/84.3 2.4 9度 実施例3 露光領域 62.8 70.3 39.4 ヒ゜ンク 7.1/-6.7/78.9 −− −− 非露光領域 61.6 70.1 40.4 青 -2.2/-8.1/79.4 9.5 118度 ────────────────────────────────────
【0060】
【表5】 ─────────────────────────────────── 番号 ガラス面 ガラス面 膜面 膜面 吸収ピーク 反射率 反射色度 反射率 反射色度 波長 領域 (%) (a/b) (%) (a/b) (nm) ─────────────────────────────────── 実施例1 露光領域 5.1 2.2/-1.6 8.4 -2.0/-1.6 540 非露光領域 5.4 0.8/0.8 6.4 2.1/0.9 680 比較例1 露光領域 7.9 3.0/1.0 8.8 3.1/1.3 550 非露光領域 8.3 4.0/3.1 9.3 7.3/3.7 530 実施例3 露光領域 6.2 3.6/-2.1 7.2 4.6/-1.7 550 非露光領域 6.5 1.9/-1.2 6.3 2.7/-4.1 600 ───────────────────────────────────
【0061】
【表6】 ───────────────────────────────── 番 紫外線 Ya Tg Tuv 透過色調 透過色度明度 号 照射 (%) (%) (%) (a/b/L) ───────────────────────────────── 実施例2 2-1 0% 71.5 71.4 43.8 青緑 -5.2/-4.3/83.1 2-2 10% 72.3 71.5 45.6 青緑 -4.4/-3.3/82.6 2-3 20% 72.0 71.3 44.6 青緑 -3.7/-3.6/81.9 2-4 30% 72.2 71.1 45.7 青緑 -2.5/-3.7/82.4 2-5 40% 71.2 71.2 45.3 青 -1.3/-4.0/80.9 2-6 50% 71.3 72.1 44.7 青 0.1/-4.2/81.6 2-7 60% 70.5 71.8 45.3 青紫 1.8/-4.4/82.8 2-8 70% 70.4 72.1 44.2 紫 2.8/-4.9/83.1 2-9 80% 70.0 71.6 43.9 赤紫 4.3/-5.0/84.4 2-10 90% 70.4 71.9 43.8 ピンク 5.9/-4.8/84.5 2-11 100% 72.2 71.6 45.7 ピンク 6.9/-2.8/84.4 ─────────────────────────────────
【0062】
【表7】 ───────────────────────────────── 実施 紫外線 ガラス面 ガラス面 膜面 膜面 吸収ピーク 例番 照射 反射率 反射色度 反射率 反射色度 波長 号 (%) (a/b) (%) (a/b) (nm) ───────────────────────────────── 実施例2 2-1 0% 5.4 0.8/0.8 6.4 2.1/0.9 610 2-2 10% 5.5 0.9/1.3 7.5 1.5/0.8 550、610 2-3 20% 5.3 1.0/1.5 7.6 2.1/1.1 550、610 2-4 30% 5.6 1.2/0.7 8.1 1.8/1.1 550、610 2-5 40% 5.8 1.6/-0.6 7.8 1.1/0.6 550、610 2-6 50% 5.9 1.7/-1.3 7.5 -1.8/-0.9 550、610 2-7 60% 6.1 1.6/-0.9 7.8 -2.1/-0.9 550、610 2-8 70% 5.5 1.8/-1.2 8.1 -1.8/-1.1 550、610 2-9 80% 5.4 1.9/-1.5 7.6 -2.1/-2.1 550、610 2-10 90% 5.6 1.8/-1.3 8.2 -1.5/-1.8 550、610 2-11 100% 5.1 2.2/-1.6 8.4 -2.0/-1.6 550 ─────────────────────────────────
【0063】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、金微粒子
を含有するシリカ系光吸収膜被覆ガラス物品を製造する
方法において、露光領域と未露光領域の光学特性が異な
り、また光照射のパターンをグラデーションにすれば透
過色調または透過光分光分布が徐々に変化した光吸収パ
ターン膜被覆物品を製造することができる。また、光吸
収膜被覆液の組成を変化させることなく一定の組成の光
吸収膜被覆液を用いて、紫外線透過面積率の異なるフォ
トマスクを使用するだけで、それぞれ異なる透過色調ま
たは透過光分光分布を有する複数の光吸収膜被覆物品を
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の光吸収膜付きガラス板の
露光領域および非露光領域の透過光分光分布を示すグラ
フ。
【図2】 本発明の比較例1の光吸収膜付きガラス板の
露光領域および非露光領域の透過光分光分布を示すグラ
フ。
【符号の説明】
1 実施例についての露光領域の透過率 2 実施例についての非露光領域の透過率 3 比較例についての露光領域の透過率 4 比較例についての非露光領域の透過率

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化珪素原料、酸化チタン微粒子を含む
    酸化チタン原料、および金微粒子原料を含有する光吸収
    膜被覆液を基材表面に塗布し、フォトマスクを前記塗布
    膜の上に配置して、前記塗布膜に紫外光を照射し、その
    後に前記塗布膜を加熱する、前記フォトマスクのパター
    ンに対応する透過光分光分布を有する光吸収パターン膜
    被覆物品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記光吸収膜被覆液は、固形成分の重量
    %で表して、 前記酸化珪素原料(SiO2に換算) 45〜93
    %、 前記酸化チタン原料(TiO2に換算) 3〜30%、 ただし酸化チタン原料(TiO2に換算)の少なくとも
    50重量%が酸化チタン微粒子である、および 前記金微粒子原料(Auに換算) 4〜30% を主成分として含有する請求項1記載の光吸収パターン
    膜被覆物品の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記光吸収膜被覆液は、前記酸化珪素原
    料、前記酸化チタン原料、および前記金微粒子原料の他
    に、酸化コバルト、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウ
    ム、酸化鉄、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化錫、酸化イ
    ンジウム、酸化アンチモン、酸化バナジウム、酸化クロ
    ム、酸化銅、酸化マンガン、酸化ニッケル、酸化セリウ
    ム、酸化ホウ素、酸化タンタル、酸化タングステンおよ
    び酸化イッテルビウムからなる群より選ばれる少なくと
    も1種の酸化物の原料を、それぞれCo34、Zr
    2、Al23、Fe23、Bi23、ZnO、Sn
    2、In23、Sb23、V25、Cr23、Cu
    O、MnO、NiO、Ce23、B 23、Ta25、W
    3におよびYb23に換算して、合計で15重量%以
    下含有する請求項2記載の光吸収パターン膜被覆物品の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記フォトマスクは微小な紫外線透過領
    域と微小な紫外線遮蔽領域とからなるパターンを有する
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の光吸収パターン膜
    被覆物品の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記酸化チタン微粒子は100nm以下
    の平均粒子径を有する請求項1〜4のいずれか1項に記
    載の光吸収パターン膜被覆物品の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記基材はガラス、セラミックス、また
    は樹脂からなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の光
    吸収パターン膜被覆物品の製造方法。
  7. 【請求項7】 金微粒子を含有する酸化珪素−酸化チタ
    ン系の光吸収膜を被覆してなる光吸収膜被覆物品におい
    て、前記光吸収膜は、少なくとも、主として紫外線によ
    り還元された金微粒子を含有しピンク色系の透過色調を
    有する微小な第一光吸収領域と、主として熱で還元され
    た金微粒子を含有し青色系の透過色調を有する微小な第
    二光吸収領域とを、隣接して多数有していることを特徴
    とする光吸収パターン膜被覆物品。
JP2000320332A 1999-10-25 2000-10-20 光吸収パターン膜被覆物品の製造方法および光吸収パターン膜被覆物品 Pending JP2001192236A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005284000A (ja) * 2004-03-30 2005-10-13 Jsr Corp 反射防止膜用組成物及び反射防止膜
JP2008215651A (ja) * 2007-02-28 2008-09-18 Narumi China Corp 調理器用ガラストッププレート

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