JP2005284000A - 反射防止膜用組成物及び反射防止膜 - Google Patents

反射防止膜用組成物及び反射防止膜 Download PDF

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仁史 加藤
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Abstract

【課題】 塗膜の外観不良(干渉色ムラ)が抑制可能な反射防止膜用組成物及び反射防止膜を提供する。
【解決手段】 酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度が1以下の溶剤を含み、硬化後の屈折率が1.55以上である反射防止膜用組成物、及びこの組成物を硬化させた硬化物からなる高屈折率層を含む反射防止膜。
【選択図】 図1

Description

本発明は、反射防止膜用組成物及び反射防止膜に関する。
塗膜の溶剤選択において、蒸発速度の遅い溶剤(難揮発性溶剤)を組み合わせ、液体のレベリング性を利用することによって、外観が良好な塗膜を形成する方法は技術書にも載っており公知である。しかし、塗膜形成成分に対して多量の難揮発性溶剤を用いた場合、液面の波うち等による塗膜外観不良の発生や、乾燥工程の長期化や硬化不十分等を引き起こすため、必要量のみを使用するのが望ましい。
本発明は、塗膜の外観不良(干渉色ムラ)が抑制可能な反射防止膜用組成物及び反射防止膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため、鋭意検討を行なった結果、酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度が1以下の溶剤を用いることが有効であることを見出し、さらに、外観良好な塗膜作成に適した溶剤の含有量を、コート材の固形分に対して規定するという新しい概念を見出した。
本発明によれば、以下の反射防止膜用組成物等が提供される。
1.酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度が1以下の溶剤を含み、硬化後の屈折率が1.55以上である反射防止膜用組成物。
2.前記溶剤の沸点が110℃以上である1に記載の反射防止膜用組成物。
3.組成物中の固形分に対し、前記溶剤を1/3〜50倍含む1又は2に記載の反射防止膜用組成物。
4.放射線硬化性である1〜3のいずれかに記載の反射防止膜用組成物。
5.熱硬化性である1〜3のいずれかに記載の反射防止膜用組成物。
6.1〜5のいずれかに記載の反射防止膜用組成物を硬化させた硬化物からなる高屈折率層を含む反射防止膜。
本発明によれば、塗膜の外観不良(干渉色ムラ)が抑制可能な反射防止膜用組成物及び反射防止膜が提供できる。
本発明の反射防止膜用組成物は、酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度が1以下の溶剤(以下、「特定溶剤」という。)を含み、硬化後の屈折率が1.55以上である。
特定溶剤は、コート液塗布から乾燥工程への間に容易に揮発することがなく、膜中に乾燥工程まで残り、液体のレベリング性により塗布時の凹凸を解消し、干渉色ムラを抑制する。
相対蒸発速度は、下記式(1)に示すように、ASTM D3539−87記載の測定法により得られる、25℃、乾燥空気下における酢酸n−ブチルの蒸発時間と各有機溶剤の蒸発時間との比の値として定義される。
Figure 2005284000
尚、各有機溶剤の相対蒸発速度は、「Organic Solvents fourth edition」(JOHN WILEY & SONS発行)、「最新コーティング技術」(1983年(株)総合技術センター発行)17〜19ページ記載の表5等に記載されている。
特定溶剤は、上述の通り、塗布後、容易に揮発せず、かつ、乾燥、硬化工程において除去され得るものが好ましい。特定溶剤の、酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度は1以下、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.5〜0.1である。相対蒸発速度が1以下であれば、塗布直後より容易に揮発することがなく好ましい。
特定溶剤の沸点は、110℃以上であることが好ましく、110〜220℃の間であるとより好ましい。沸点が110℃〜220℃であれば、乾燥、硬化工程で除去し得る温度域であるため好ましい。
特定溶剤の組成物中の含有量は、組成物中の固形分に対し、好ましくは1/3〜50倍、より好ましくは1/3〜30倍、さらに好ましくは1/3〜15倍である。この範囲内であれば、優れた塗布性が発現できる。ここで、固形分とは、組成物全体のうち、溶剤以外の総量をいう。組成物中の固形分に対し、上記の量の特定溶剤を含むことにより、適度な液膜状態を塗布工程直後から保持することができる。また、塗布工程により発生される凹凸を液体のレベリング性により解消し、液膜の凹凸によって生じる硬化膜の膜厚差(5〜10nm)由来の干渉色ムラを抑制することができる。さらに、上記の量の特定溶剤を使用することにより、液面の波うちによる塗膜の概観不良を抑制することができる。
特定溶剤としては、アルコール類であれば、n−ブタノール、イソブタノール等の炭素数4以上の1級アルコール、4−メチル−2−ペンタノール等の炭素数6以上の2級アルコールが、ケトン類であれば、メチルアミルケトン(MAK)、エチルアミルケトン、シクロヘキサノン等の炭素数6以上の一価ケトンが、エステル類であれば、酢酸n−ブチル、酢酸アミル、乳酸エチル等が、グリコールエーテル類であれば、メチルセルソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等が、グリコールエーテルアセテート類であれば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等がそれぞれ挙げられる。これらのうち、好ましくはn−ブタノール(蒸発速度0.43)、メチルアミルケトン(同0.33)、シクロヘキサノン(同0.29)である。
これら以外にも、酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度及び沸点が上記範囲内の溶剤であれば使用可能である。また、2種以上の特定溶剤を併用することもできる。
本発明の組成物中には、特定溶剤に加えて、1種又は2種以上の特定溶剤以外の溶剤を併用することもできる。特定溶剤と併用する特定溶剤以外の溶剤としては、特に限定されないが、後述の成分(A)〜(F)の溶解性及び分散性に優れることや適度な液膜状態を形成させること等の理由から、t−ブタノール、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等が好ましい。特定溶剤と特定溶剤以外の溶剤の配合比は、特に限定されず、特定溶剤の添加量は、前述のように組成物中の固形分に対して決定することができる。
尚、本発明の組成物に、以下に述べる(B)及び(D)の金属酸化物粒子を添加する場合には、通常、その粒子の適当な有機溶剤の分散液として本願組成物に添加する。このような場合の粒子分散媒である有機溶剤についても、それが特定溶剤であれば、当然、本願組成物中に含まれる溶剤として、上記要件を満たす必要がある。
本発明の組成物は、放射線硬化又は熱硬化により硬化させることができるが、本発明の組成物は、硬化後の屈折率が1.55以上、好ましくは1.55〜2.2、より好ましくは1.6〜2.2である。1.55未満では、低屈折率層と組み合わせた場合に反射防止効果が著しく低下する場合があり、2.2を超えると使用可能な材料の種類が過度に制限される場合がある。
尚、屈折率は、後述する成分(B)及び(D)の金属酸化物粒子の種類及び硬化膜中の成分比率を適宜選択することによって調節可能である。
本発明の組成物を放射線硬化させるためには、上記特定溶剤以外に、下記成分(A)〜(C)を含む組成物が好適である。
(A)分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物
(B)分子中に重合性不飽和基とアルコキシシリル基とを有する有機ケイ素化合物と、ジルコニウム、チタニウム、アンチモン、亜鉛、スズ、インジウム、セリウム及びアルミニウムよりなる群から選ばれる金属を主成分とする金属の酸化物の粒子を反応させて得られる反応生成物
(C)放射線重合開始剤
(A)成分として用いられる分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物は、好ましくは分子内に3〜10個の(メタ)アクリロイル基を有する。かかる多官能性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリオキシエチル(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる他、これらの(メタ)アクリレート化合物のうち、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とジイソシアネートの反応物であってもよい。
分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物の市販品としては、例えば、カヤラッドDPHA、DPCA−20、DPCA−30、DPCA−60、DPCA−120、D−310、D−330、PET−30、GPO−303、TMPTA、THE−330、TPA−330(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−315、M−325(以上、東亞合成(株)製)等が挙げられる。
成分(A)である分子内に(メタ)アクリロイル基を少なくとも3つ含む多官能性(メタ)アクリル化合物の組成物中の固形分中に占める割合は、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは2〜40重量%、特に好ましくは5〜30重量%である。(メタ)アクリロイル基の数は、より好ましくは4〜10、さらに好ましくは4〜8である。
成分(B)として用いられる反応生成物は、分子中に重合性不飽和基とアルコキシシリル基とを有する有機ケイ素化合物とジルコニウム、チタニウム、アンチモン、亜鉛、スズ、インジウム、セリウム及びアルミニウムよりなる群から選ばれる金属を主成分とする金属の金属酸化物粒子とを反応させて得られる。
成分(B)である反応生成物の組成物中の固形分中に占める割合は、好ましくは1〜95重量%、より好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは50〜95重量%である。反応は水の存在下で行われることが好ましい。
成分(B)として用いられる反応生成物は、有機ケイ素化合物と金属酸化物粒子とを少なくとも混合する操作を含む方法により製造される。金属酸化物粒子に固定された有機ケイ素化合物残渣の含有量は、好ましくは0.01重量%以上であり、より好ましくは0.1重量%以上、特に好ましくは1重量%以上である。金属酸化物粒子に固定された有機ケイ素化合物残渣の含有量が0.01重量%未満の場合、組成物中における金属酸化物粒子を含む反応生成物の分散性が十分でなく、得られる組成物の透明性、耐磨耗性が十分でない場合がある。
成分(B)製造時の原料組成物中における有機ケイ素化合物の割合は、好ましくは10重量%以上であり、特に好ましくは30重量%以上である。有機ケイ素化合物の割合が10重量%未満の場合、得られる組成物の成膜性が悪い場合がある。
また、成分(B)製造のための原料組成物中の金属酸化物粒子の割合は、好ましくは50重量%以下であり、特に好ましくは20重量%以下である。成分(B)製造のための原料組成物中の金属酸化物粒子の割合が50重量%を超える場合、得られる組成物の分散性、透明性、耐磨耗性が十分でない場合がある。
有機ケイ素化合物は、分子中に重合性不飽和基とアルコキシシリル基とを有する。重合性不飽和基としては、例えば、アクリル基、ビニル基及びスチリル基を好ましいものとして挙げることができる。また、アルコキシシリル基としては、水又は加水分解触媒の存在下に加水分解し得る基が好ましい。また、かかる有機ケイ素化合物は、分子中にエステル基、エーテル基、ウレタン基、スルフィド基及びチオウレタン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の結合基を含有することができる。かかる有機ケイ素化合物としては、好ましくは分子中に重合性不飽和基、ウレタン基及びアルコキシシリル基を構成成分として少なくともそれぞれ1個含有する。アルコキシシリル基は、加水分解及び縮合反応によって、金属酸化物粒子の表面に存在する吸着水と結合する成分であり、また、重合性不飽和基とは、活性ラジカル種により付加重合を経て分子間で化学架橋する成分である。また、ウレタン基は、これらアルコキシシリル基を有する分子片と重合性不飽和基を有する分子片とを直接又は他の分子片を介して結合する構成単位であると同時に分子間において水素結合による適度の凝集力を発生させ、本発明の組成物からの硬化物に優れた力学的強度、基材との密着性、耐熱性等の性能を付与せしめるものと考えられる。
好ましい有機ケイ素化合物としては、例えば、下記式(1)で示される化合物を挙げることができる
Figure 2005284000
一般式(1)中、Rは、水素原子又はC1からC8の1価の有機基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、オクチル基等である。Rは、水素原子又はC1からC3のアルキル基である。mは、1,2又は3であり、(RO) 3−mSiで示されるアルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリフェノキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基等を挙げることができ、好ましくは、トリメトキシシリル基及びトリエトキシシリル基である。
また、式中、−[(C=O)NH−R−NH(C=O)O−X−O]−として示される構造単位は、前記式(1)に示す構造において分子鎖を延長することを目的として導入される。Rは、C1からC3の2価の有機基である。Rは、2価の有機基であり、Rと同一でも異なっていてもよく、通常、分子量14〜1万、好ましくは、分子量78〜1000の2価の有機基の中から選ばれる。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基等の鎖状ポリアルキレン基;シクロヘキシレン基、ノルボルニレン基等の脂環式又は多環式の2価の有機基;ビニレン基、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ポリフェニレン基等の2価の芳香族基;及びこれらのアルキル基置換体、アリール基置換体を挙げることができる。さらに、これら2価の有機基は、炭素及び水素原子以外の元素を含む原子団を含んでいてもよい。式中、p、qは0又は1である。Xは2価の有機基であり、さらに詳しくは、イソシアネ−ト基と付加反応できる活性水素原子を分子内に2個以上有する化合物に由来する2価の有機基である。例えば、ポリアルキレングリコ−ル類、ポリアルキレンチオグリコ−ル類、ポリエステル類、ポリアミド類、ポリカーボネート類、ポリアルキレンジアミン類、ポリアルキレンジカルボン酸類、ポリアルキレンジオール類、ポリアルキレンジメルカプタン類から活性水素原子を2個除いた2価の有機基を例示することができる。また、Rは、(n+1)価の有機基である。かかる有機基は、好ましくは鎖状、分岐状又は環状の飽和炭化水素基、不飽和炭化水素基、脂環式基の中から選ばれる。前記式中Yは、活性ラジカル種の存在下、分子間架橋反応をする重合性不飽和基を分子中に有する1価の有機基を表す。例えば、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレエート基、アクリルアミド基等が挙げられる。これらの中でアクリロキシ基が好ましい。また、nは、好ましくは1〜20の正の整数であり、より好ましくは1〜10であり、さらに好ましくは3〜5である。
本発明で用いられる有機ケイ素化合物の製造は、例えば、(1)メルカプト基を有するアルコキシシラン、即ち、メルカプトアルコキシシラン、ポリイソシアネート化合物及びイソシアネート基と付加反応を起こし得る活性水素を有する活性水素基含有重合性不飽和化合物との付加反応により行うことができる。また、(2)分子中にアルコキシシリル基とイソシアネート基を有するイソシアネートと、活性水素含有重合性不飽和化合物との直接的反応により行うことができる。さらに、(3)分子中に重合性不飽和基とイソシアネート基を有する化合物と、メルカプトアルコキシシラン又はアミノシランとの付加反応により直接製造することもできる。
メルカプトアルコキシシランを原料とする製造方法としては、例えば、(a)法;まず、メルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物とを反応させることで分子中にアルコキシシリル基、−S(C=O)NH−結合基及びイソシアネ−ト基を含む中間体を製造し、次に、中間体中に残存するイソシアネートに対して活性水素含有重合性不飽和化合物を反応させて該不飽和化合物をウレタン基を介して結合させる方法。
(b)法;まず、ポリイソシアネート化合物と活性水素含有重合性不飽和化合物とを反応させることで分子中に重合性不飽和基、ウレタン基、及びイソシアネート基を含む中間体を形成し、これにメルカプトアルコキシシランを反応させて該メルカプトアルコキシシランを−S(C=O)NH−基を介して結合させる方法等を挙げることができる。前記(a)又は(b)法において、イソシアネートと付加反応を起こす活性水素を分子内に2個以上有する鎖状、環状又は分岐状の化合物をさらに用いることができる。この化合物は、ポリイソシアネート化合物と反応してウレタン結合を介して得られるアルコキシシラン化合物の鎖を延長する。
前記式(1)に示した化合物の製造において、イソシアネート基との反応により−S(C=O)NH−結合を形成することができるアルコキシシランの例としては、アルコキシシリル基とメルカプト基を分子中にそれぞれ1個以上有する化合物を挙げることができる。
例えば、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシラン、メルカプトプロピルメトキシジメチルシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリフェノキシシラン、メルカプトプロピルトリブトキシシラン等のメルカプトアルコキシシランを挙げることができる。好ましくは、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランである。市販されているメルカプトアルコキシシランとしては、例えば、東レ・ダウ・コーニングシリコーン(株)製SH6062を挙げることができる。これらメルカプトアルコキシシランは、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。その他のメルカプトアルコキシシランとしては、アミノ置換アルコキシシランとエポキシ基置換メルカプタンとの付加生成物、エポキシシランとα、ω−ジメルカプト化合物との付加生成物を挙げることができる。
有機ケイ素化合物を製造する際に用いられるポリイソシアネート化合物としては、鎖状飽和炭化水素、環状飽和炭化水素、芳香族炭化水素で構成されるポリイソシアネート化合物の中から選ぶことができる。これらは単独又は2種以上混合して用いることができる。1分子中のイソシアネート基の個数は、通常1〜30であり、好ましくは2〜10である。30を越えると生成物の粘度が高くなり作業性が低下する場合がある。
このようなポリイソシアネート化合物の例としては、例えば、3−トリメトキシシリルプロパンイソシアネート、3−トリエトキシシリルプロパンイソシアネート、3−メタクリロキシプロピルイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の鎖状炭化水素ポリイソシアネート化合物;イソフォロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネアート)、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の環状飽和炭化水素ポリイソシアネート化合物;2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ポリジフェニ−ルメタンのポリイソシアネート等の芳香族炭化水素ポリイソシアネート化合物を挙げることができる。
これらの中で好ましい例を挙げると、環状飽和炭化水素ポリイソシアネート化合物及び芳香族炭化水素ポリイソシアネート化合物であり、さらに好ましくは環状飽和炭化水素のポリイソシアネート化合物である。特に好ましい具体例としては、3−トリメトキシシリルプロパンイソシアネート、3−トリエトキシシリルプロパンイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、水添キシレンジイソシアネート、水添トルエンジイソシアネートである。また、市販されているポリイソシアネート化合物としては、日本ユニカー(株)製のA−1310、Y−5187、昭和電工(株)製のカレンズMOI、三井日曹ウレタン(株)製のTDI−80/20、TDI−100、MDI−CR100、MDI−CR300、MDI−PH、NDI及び日本ポリウレタン工業(株)製のコロネ−トT、ミリオネ−トMT、ミリオネ−トMR、HDI、武田薬品工業(株)製 タケネ−ト600を挙げることができる。
これらポリイソシアネート化合物の使用量は、前記(a)法に示す製造法においては、メルカプトアルコキシシランのメルカプト基1当量に対してのイソシアネート基当量が、好ましくは0.1〜100、より好ましくは0.5〜10、さらに好ましくは0.9〜1.2となる割合である。ポリイソシアネート化合物基当量が0.1当量未満の場合、未反応メルカプトシランが0.9当量以上存在することになり、塗膜の磨耗性が十分でない傾向がある。また、100当量を越えたポリイソシアネート化合物の使用は、未反応イソシアネート基が過剰に存在することになり、耐候性が低下する傾向がある。
一方、前記(b)法に示す製造法においては、活性水素含有重合性不飽和化合物中の活性水素1当量に対し、ポリイソシアネート化合物は、イソシアネート基当量として、好ましくは0.1〜100の範囲、より好ましくは0.5〜10の範囲、さらに好ましくは0.9〜1.2の範囲で添加される。
これら前記(a)又は(b)法いずれの方法においても、反応時間の短縮を目的として触媒を添加することができる。この触媒としては、塩基性触媒及び酸性触媒のいずれかが用いられる。塩基性触媒の例としては、ピリジン、ピロール、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジブチルアミン、アンモニア、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、メチルDABCO等のアミン類;トリブチルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類を挙げることができる。これらの中でピリジン、トリエチルアミン等の3級アミンが好ましい。また、酸性触媒としては、ナフテン酸銅、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリブトキシアルミニウム、トリチタニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラブトキシド等の金属アルコキシド類;3フッ化硼素ジエチルエーテラート、塩化アルミニウム等のルイス酸類;2−エチルヘキサン酸スズ、オクチルスズトリラウレート、ジブチルスズジラウレート、オクチルスズジアセテート等のスズ化合物が挙げられる。これら触媒の中で好ましいものは酸性触媒であり、特に好ましくはスズ化合物であり、さらに好ましくはオクチルスズトリラウレート、ジブチルスズジラウレート、オクチルスズジアセテート等である。これら触媒の添加量は、好ましくはポリイソシアネート化合物100重量部に対して0.01〜5重量部であり、より好ましくは0.1〜1重量部である。0.01重量部未満では、触媒添加による反応時間の短縮効果は僅かであり、一方、5重量部を越えると、生成物の保存安定性が低下する場合がある。
有機ケイ素化合物の製造において、前記ポリイソシアネート化合物と付加反応によりウレタン結合を介し結合できる活性水素含有重合性不飽和化合物の例としては、分子内にイソシアネート基との付加反応によりウレタン結合を形成できる活性水素原子を1個以上有し、かつ重合性不飽和基を1個以上含む化合物を挙げることができる。これらの化合物は、単独で又は2種以上の混合物として用いることができる。
そのような化合物としては、カルボン酸基含有重合性不飽和化合物、水酸基含有重合性不飽和化合物がある。例えば、カルボン酸基を含有する重合性不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ケイヒ酸、マレイン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロキシプロピルヘキサヒドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロキシエチルヘキサヒドロゲンフタレート等の不飽和脂肪族カルボン酸類;2−(メタ)アクリロキシプロピルフタレート、2−(メタ)アクリロキシプロピルエチルフタレート等の不飽和芳香族カルボン酸類;を挙げることができる。また、水酸基含有重合性不飽和化合物として、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリロイルフォスフェート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(ペンタメチレンオキシカルボキシレート)エトキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシアルファメチルスチレン、ヒドロキシエチルスチレン、ヒドロキシ末端ポリエチレングリコールスチリルエーテル、ヒドロキシ末端ポリプロピレングリコールスチリルエーテル、ヒドロキシ末端ポリテトラメチレングリコールスチリルエーテル、末端ヒドロキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、末端ヒドロキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、末端ヒドロキシポリテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有アクリレート類、水酸基含有メタクリレート類、水酸基含有スチレン類を挙げることができる。
これらの中で好ましいのは、不飽和脂肪族カルボン酸類、水酸基含有アクリレート化合物であり、さらに好ましくは、水酸基含有アクリレート化合物である。例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートを挙げることができる。
これら活性水素含有重合性不飽和化合物の使用量は、その活性水素の当量として、メルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物との付加反応により得られる中間体中の残存イソシアネート基1当量に対し、好ましくは、1当量以上である。1当量未満ではアルコキシシリル化合物中に活性イソシアネート基が残存するため、水分との反応による発泡、増粘、着色等の好ましくない性能が発現する場合がある。
有機ケイ素化合物の製造においては、塗膜の柔軟性や基材に対する密着性向上を目的として、アルコキシシリル基と重合性不飽和基との間にポリイソシアネート化合物との付加反応により2価の有機基を導入してもよい。そのような2価の有機基を与える化合物としては、イソシアネート基と付加反応を起こす活性水素を分子内に2個以上有する鎖状、環状、分岐状の有機化合物を利用できる。ここで活性水素を有する基の例としては、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、アミノ基、スルホン酸基、リン酸基、シラノール基等を挙げることができる。これらの有機化合物は、分子内に、活性水素を2個以上、好ましくは2個以上10個未満、さらに好ましくは2個有する。そのような活性水素を有する化合物の分子量は、好ましくは50〜10万であり、より好ましくは100〜5万、さらに好ましくは500〜1万である。そのような2価の有機化合物としては、例えば、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレンチオグリコール類、ポリエステルジオール類、ポリアミド類、ポリカーボネートジオール類、ポリアルキレンジアミン類、ポリアルキレンジカルボン酸類、ポリアルキレンジオール類、ポリアルキレンジメルカプタン類を挙げることができる。これらの中で、ポリアルキレングリコールが好ましい。市販されているポリアルキレングリコール類としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラエチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール及びこれらのポリアルキレングリコ−ルの2種以上の共重合体を挙げることができる。市販品としては、日本油脂(株)製のユニセーフDC1100、ユニセーフDC1800、ユニセーフDCB1100、ユニセーフDCB1800、保土谷化学工業(株)製のPPTG4000、PPTG2000、PPTG1000、PTG2000、PTG3000、PTG650、PTGL2000、PTGL1000、旭硝子(株)製のEXENOL1020、第一工業製薬(株)製のPBG3000、PBG2000、PBG1000、Z3001等が挙げられる。
上記の2価の有機基を構成成分として含む重合性不飽和基含有アルコキシシランを製造する場合を、ポリアルキレングリコールを例にして製造法(c)法及び(d)法として以下に示す。
製造法(c)法:末端に活性イソシアネート基を有するメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物との付加体に対し、ポリアルキレングリコールを加え、片末端ヒドロキシル基のアルコキシシランとした後、これに対し、別途合成した、末端に水酸基を有する重合性不飽和化合物とポリイソシアネ−ト化合物との付加体を反応させ、ウレタン結合で両者をつなぐ方法。
製造法(d)法:末端に活性イソシアネート基を有するメルカプトアルコキシシランとポリイソシアネート化合物との付加体に対し、別途合成した、末端に活性水酸基を有するポリアルキレングリコールポリイソシアネート化合物と水酸基含有重合性不飽和化合物との付加体を反応させ、ウレタン結合で両者をつなぐ方法を挙げることができる。
前記(c)法又は(d)法におけるウレタン結合の形成条件は、前記(a)又は(b)法と同様であり、結合に関与する、末端に活性イソシアネート基を有する化合物に対する末端に水酸基を有する化合物の当量比は、好ましくは1.0〜1.2の範囲である。1.0未満の場合は、未反応のイソシアネート基による着色、増粘が起こり易い傾向が見られる。
また、アルコキシシラン化合物の製造において重合性不飽和基修飾アルコキシシランの加水分解物として、他の有機アルコキシシランとの共加水分解生成物を用いてもよい。例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン等のアルキルアルコキシシランの如き他の有機アルコキシシランとの共縮合物を用いてもよい。加水分解生成物を製造する場合、加水分解に用いる水の量は、全アルコキシ基に対して通常0.5〜1.5当量であり、溶剤の存在下又は非存在下で、0℃から成分の沸点以下の温度で5分から24時間加熱撹拌することで加水分解、縮重合物を得ることができる。その際、反応時間の短縮を目的に酸性触媒又は塩基触媒を併用することもできる。
成分(B)の製造に好適に用いられる金属酸化物粒子は、粉体状又は溶媒分散ゾルである。金属酸化物としては、例えば、アンチモンドープ酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ混合酸化物、酸化セリウム、酸化アルミニウム、チタニア及びジルコニアを挙げることができる。これらは1種以上で用いられる。さらには、(A)成分との相溶性、分散性や光開始剤、増感剤等の溶解性の観点から水ゾルよりもアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、セロソルブゾル等の極性溶媒のゾルを好適に用いることができる。特に好ましいゾルとしては、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化セリウム、ジルコニア、アンチモンドープ酸化スズのゾルを挙げることができる。
金属酸化物粒子の数平均粒子径(一次粒子径をいう。)は、好ましくは0.1μm以下である。この理由は、金属酸化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、組成物中において金属酸化物粒子を均一に分散させることが困難となり、また、金属酸化物粒子が沈降し易くなり、保存安定性に欠けるためである。さらには、金属酸化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、得られる反射防止膜の透明性が低下したり、濁度(Haze値)が上昇する場合があるためである。従って、金属酸化物粒子の数平均粒子径を0.001〜0.08μmとするのがより好ましく、0.01〜0.05μmとするのがさらに好ましい。
また、粒子の分散性を改良するための各種の界面活性剤やアミンを添加することも好ましい。さらには、2種以上の金属酸化物微粒子を一緒に使用することもできる。
尚、これらの金属酸化物微粒子二次粒径としては、0.05〜0.2μmとするのが、硬化膜の分散性、透明性、耐磨耗性の観点から好ましい。
金属酸化物粒子は、例えば、日産化学化学工業(株)アルミナゾル−100、−200、−520(アルミナの水分散品)、セルナックス(アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品)、シーアイ化成(株)ナノテック(アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛粉末及び溶媒分散品)、石原産業(株)チタニアゾル、SN−100D(アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾル)、SNS−10M(アンチモンドープ酸化スズのメチルエチルケトン分散ゾル)、三菱マテリアル(株)製ITO粉末、多木化学(株)ニードラール(酸化セリウム水分散液)等の市販品として入手できる。
金属酸化物粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは球状である。金属酸化物粒子の比表面積は、好ましくは10〜3000m/gであり、より好ましくは20〜1500m/gである。これら金属酸化物粒子の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水若しくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、上記の如く金属酸化物の溶媒分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の金属酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に透明性を追求する目的においては、金属酸化物の溶媒分散ゾルの利用が好ましい。金属酸化物の分散溶媒が有機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の溶剤又はこれらと相溶する有機溶剤若しくは水との混合物として用いてもよい。好ましい分散溶剤は、メタノ−ル、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、キシレン、トルエンである。
成分(B)に固定されたアルコキシシラン化合物の量は、通常、乾燥粉体を空気中で完全に燃焼させた場合の重量減少%の恒量値として、例えば、空気中で室温から通常800℃までの熱重量分析により求めることが出来る。
成分(B)の製造においてアルコキシシラン化合物の加水分解で消費される水の量は、1分子中のケイ素上のアルコキシ基の少なくとも1個が加水分解される量であればよい。好ましくは加水分解の際に添加、又は存在する水の量は、ケイ素上の全アルコキシ基のモル数に対し3分の1以上であり、さらに好ましくは全アルコキシ基のモル数の2分の1以上3倍未満である。完全に水分の存在しない条件下で前記式(1)に示すアルコキシシラン化合物と金属酸化物粒子とを混合して得られる生成物は、金属酸化物粒子表面にアルコキシシラン化合物が物理吸着した生成物であり、そのような成分から構成される組成物においては、本発明の組成物の一つの目的である耐磨耗性の発現の効果は低い。
成分(B)の製造においては、前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物を別途加水分解操作に付した後、これと粉体金属酸化物粒子又は金属酸化物粒子の溶媒分散ゾルを混合し、加熱、撹拌操作を行う方法;又は、前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の加水分解を金属酸化物粒子の存在下で行う方法;また、他の成分、例えば、多官能性不飽和有機化合物、単官能性不飽和有機化合物、光重合開始剤等の存在下、金属酸化物粒子の表面処理を行う方法等を選ぶことができる。前記式(1)で表されるアルコキシシラン化合物の加水分解を金属酸化物粒子の存在下で行う方法が好ましい。成分(B)を製造する際、その製造時の温度は、好ましくは20〜150℃であり、また処理時間は5分〜24時間の範囲である。
金属酸化物粒子は、通常の保管状態として粒子表面に吸着水として水分を含むことが知られている。従って、成分(B)の製造においては、アルコキシシラン化合物と金属酸化物粒子とを混合し、加熱、撹拌処理することにより原料中に含まれる水分を利用して製造することも可能である。
成分(B)の製造において、粉体状の金属酸化物粉体を用いる場合、アルコキシシラン化合物との反応を円滑に、かつ均一に行わせることを目的として、水と相溶する有機溶媒を添加してもよい。そのような有機溶媒の好ましい種類は、アルコール類、ケトン類、エーテル類、アミド類である。アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アミド類としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ガンマブチロラクトン等を挙げることができる。これらの溶剤の添加量は、反応を円滑、均一に行わせる目的に合う限り特に制限はない。
また、成分(B)の製造において、反応を促進するため、触媒として酸又は塩基を添加してもよい。酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;メタンスルフォン酸、トルエンスルフォン酸、フタル酸、マロン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸等の不飽和有機酸;及びテトラメチルアンモニウム塩酸塩、テトラブチルアンモニウム塩酸塩等のアンモニウム塩を挙げることができる。また、塩基としては、例えば、アンモニア水、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジブチルアミン、シクロヘキシルアミン等の1級、2級又は3級脂肪族アミン、ピリジン等の芳香族アミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の4級アンモニウムヒドロキシド類を挙げることができる。これらの中で好ましい例は、酸としては、有機酸、不飽和有機酸、塩基としては3級アミン又は4級アンモニウムヒドロキシドである。これらの酸又は塩基の添加量は、アルコキシシラン化合物100重量部に対して、好ましくは0.001〜1.0重量部、より好ましくは0.01〜0.1重量部である。
成分(C)として用いられる放射線重合開始剤としては、放射線照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればよく、必要に応じてさらに光増感剤を用いることもできる。このような放射線重合開始剤としては、放射線照射により分解してラジカルを発生して重合を開始せしめるものであればいずれでもよい。尚、本発明で「放射線」という語は、赤外線、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、電子線、α線、β線、γ線等をいう。
上記放射線重合開始剤の具体例としては、例えば、アセトフェノン、アセトフェノンベンジルケタール、アントラキノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン系化合物、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、キサントン、1,1−ジメトキシデオキシベンゾイン、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、チオキサントン系化合物、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン、トリフェニルアミン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、ビスアシルフォスフィンオキシド、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、フルオレノン、フルオレン、ベンズアルデヒド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、3−メチルアセトフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン(BTTB)等が挙げられる。
さらに、BTTBと色素増感剤、例えば、キサンテン、チオキサンテン、クマリン、ケトクマリン等との組み合わせ等も開始剤の具体例として挙げられる。
これらのうち、特にベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等が好ましい。
放射線重合開始剤の市販品としては、例えば、イルガキュア184、651、500、907、369、784、2959、ダロキュア1116、1173(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、ルシリンTPO(BASF社製)、ユベクリルP36(UCB社製)、エスカキュアKIP150、KIP100F(以上、ランベルティ社製)等を挙げることができる。
また、増感剤としては、例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、N−メチルジエタノールアミン、エタノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等がある。市販品としては、ユベクリルP102、103、104、105(以上、UCB社製)等が挙げられる。
成分(C)である前記放射線重合開始剤の組成物中の固形分中に占める割合は、好ましくは0.01〜10重量%、より好ましくは0.5〜7重量%、特に好ましくは1〜5重量%である。10重量%を超えると、組成物の保存安定性や硬化物の物性等に悪影響を及ぼすことがあり、0.01重量部未満では、硬化速度が低下することがある。
本発明において、特に、成分(A)〜(C)を含む組成物の場合は、上記成分(A)以外のビニル基又は(メタ)アクリロイル基を含有する重合性モノマーを使用することができ、これらは単官能性であっても多官能性であってもよい。
上記単官能性モノマーとしては、例えば、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、ビニルピリジン等のビニル基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロイルモルフォリン、7−アミノ−3,7−ジメチルオクチル(メタ)アクリレート、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、エチルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエン(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドテトラクロロフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−テトラブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−トリクロロフェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、2−トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタクロロフェニル(メタ)アクリレート、ペンタブロモフェニル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、メチルトリエチレンジグリコール(メタ)アクリレートを挙げることができる。
これらのうち、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルカルバゾール、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、特にN−ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドン及びアクリロイルモルフォリンが好ましく用いられる。この中でもさらに好ましくは、アクリロイルモルフォリンである。
これら単官能性モノマーの市販品としては、例えば、アロニックスM−111、M−113、M−117(以上、東亞合成(株)製)、カヤラッド
TC110S、R−629、R−644(以上、日本化薬(株)製)、ビスコート3700(大阪有機化学工業(株)製)などを使用することができる。
また、多官能性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、トリプロピレンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAの両末端(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAの両末端(メタ)アクリル酸エステル、エチレンオキシド付加テトラブロムビスフェノールAの両末端(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加テトラブロムビスフェノールAの両末端(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、テトラブロムビスフェノールAジグリシジルエーテルの両末端(メタ)アクリル酸付加物、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、リエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有モノマーを挙げることができる。
これらのうち、エチレンオキシド付加ビスフェノールAの両末端(メタ)アクリル酸エステル、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAの両末端(メタ)アクリル酸エステル、トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
多官能性モノマーの市販品としては、例えば、ユピマーUV、SA1002(以上、三菱化学(株)製)、ビスコート700(大阪有機化学工業(株)製)、カヤラッドR−604、(以上、日本化薬(株)製)、アロニックスM−210(東亞合成(株)製)等を使用することができる。
また、本発明の組成物を熱硬化させるためには、上記特定溶剤以外に、下記成分(D)〜(F)を含む組成物が好適である。
(D)金属酸化物粒子(ただし、成分(B)を除く)
(E)水酸基含有重合体
(F)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤
本発明に好適に用いられる成分(D)は、成分(B)以外の金属酸化物粒子である。成分(D)は、本発明の組成物を熱硬化させる場合に用いるため、金属酸化物粒子が、分子中に重合性不飽和基とアルコキシシリル基とを有する有機ケイ素化合物で処理されていない点で成分(B)と異なる。成分(D)の粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、アンチモンドープ酸化スズ、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化スズ、インジウムスズ混合酸化物、酸化セリウム、酸化アルミニウム、チタニア及びジルコニアを挙げることができる。これらは1種以上で用いられる。さらには、(A)成分との相溶性、分散性や光開始剤、増感剤等の溶解性の観点から水ゾルよりもアルコール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、セロソルブゾル等の極性溶媒のゾルを好適に用いることができる。特に好ましいゾルとしては、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化セリウム、ジルコニア、アンチモンドープ酸化スズのゾルを挙げることができる。
(D)金属酸化物粒子の数平均粒子径(一次粒子径をいう。)は、好ましくは0.1μm以下の値である。この理由は、金属酸化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、組成物中において金属酸化物粒子を均一に分散させることが困難となり、また、金属酸化物粒子が沈降し易くなり、保存安定性に欠けるためである。さらには、金属酸化物粒子の数平均粒子径が0.1μmを超えると、得られる反射防止膜の透明性が低下したり、濁度(Haze値)が上昇する場合があるためである。従って、金属酸化物粒子の数平均粒子径を0.001〜0.08μmとするのがより好ましく、0.01〜0.05μmとするのがさらに好ましい。また、粒子の分散性を改良するための各種の界面活性剤やアミンを添加することも好ましい。さらには、2種以上の金属酸化物微粒子を一緒に使用することもできる。
金属酸化物粒子は、例えば、日産化学化学工業(株)アルミナゾル−100、−200、−520(アルミナの水分散品)、セルナックス(アンチモン酸亜鉛粉末の水分散品)、シーアイ化成(株)ナノテック(アルミナ、酸化チタン、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛粉末及び溶媒分散品)、石原産業(株)チタニアゾル、SN−100D(アンチモンドープ酸化スズの水分散ゾル)、SNS−10M(アンチモンドープ酸化スズのメチルエチルケトン分散ゾル)、三菱マテリアル(株)製ITO粉末、多木化学(株)ニードラール(酸化セリウム水分散液)等の市販品として入手できる。
金属酸化物粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、又は不定形状であり、好ましくは球状である。
金属酸化物粒子の比表面積は、好ましくは10〜3000m/gであり、より好ましくは20〜1500m/gである。
これら金属酸化物粒子の使用形態は、乾燥状態の粉末、又は水若しくは有機溶剤で分散した状態で用いることができる。例えば、上記の如く金属酸化物の溶媒分散ゾルとして当業界に知られている微粒子状の金属酸化物粒子の分散液を直接用いることができる。特に透明性を追求する目的においては、金属酸化物の溶媒分散ゾルの利用が好ましい。
金属酸化物の分散溶媒が有機溶剤の場合、有機溶剤としてメタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド等の溶剤又はこれらと相溶する有機溶剤若しくは水との混合物として用いてもよい。好ましい分散溶剤は、メタノ−ル、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、キシレン、トルエンである。
金属酸化物粒子の表面は、カップリング剤処理することが好ましい。このようにカップリング剤処理することにより、金属酸化物粒子の分散性を向上させ、高屈折率材料の保存安定性をより向上させることができる。ここで、カップリング剤処理において好ましいカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシチタン、γ−アミノプロピルトリエトキシアルミニウム等が挙げられる。
(D)金属酸化物粒子の、組成物中の固形分中に占める割合は、好ましくは1〜95重量%、より好ましくは30〜95重量%、特に好ましくは50〜95重量%である。
(E)水酸基含有重合体としては、分子内に水酸基を有する重合体であれば、好適に使用することができる。より具体的には、ポリビニルアセタール樹脂(ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂)、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリフェノール系樹脂、フェノキシ樹脂等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。ただし、これらの水酸基含有重合体のうち、基材に対する密着力や機械的特性に優れており、しかも、金属酸化物粒子の均一分散が比較的容易な点から、ポリビニルブチラール樹脂(変性ポリビニルブチラール樹脂を含む。)が最も好ましい。また、ポリビニルブチラール樹脂のうちでも、平均重合度が1000以下であり、一分子中のポリビニルアルコール単位が18重量%以上であり、かつ、ガラス転移点が70℃以上の物性を有するものがより好ましい。
(E)水酸基含有重合体の、組成物中の固形分中に占める割合は、1〜40重量%とするのが好ましい。この理由は、水酸基含有重合体の添加量が1重量%未満となると、得られる反射防止膜の基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、水酸基含有重合体の添加量が40重量%を超えると、相対的に金属酸化物粒子(D)量が減少し、硬化後における反射防止膜の屈折率の調整が困難となる場合があるためである。従って、組成物中の固形分中に占める割合を2〜30重量%とするのがより好ましく、4〜25重量%とするのがさらに好ましい。
(F)水酸基と反応し得る硬化剤としては、水酸基と反応し得る官能基を有するものであれば、好適に使用することができる。より具体的には、メラミン化合物、尿素化合物、グアナミン化合物、フェノール化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、多塩基酸等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。ただし、これらの硬化剤のうち、保存安定性に比較的優れている一方、比較的低温硬化が可能な点から、分子内にメチロール基及びアルコキシ化メチル基あるいはいずれか一方を2個以上有するメラミン化合物が最も好ましい。また、これらのメラミン化合物のうちでも、ヘキサメチルエーテル化メチロールメラミン化合物、ヘキサブチルエーテル化メチロールメラミン化合物、メチルブチル混合エーテル化メチロールメラミン化合物、メチルエーテル化メチロールメラミン化合物、ブチルエーテル化メチロールメラミン化合物等のメチル化メラミン化合物がより好ましい。
(F)水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤の、組成物中の固形分中に占める割合は、1〜40重量%とするのが好ましい。この理由は、硬化剤の添加量が1重量%未満となると、水酸基含有重合体の硬化が不充分となる場合があるためであり、一方、硬化剤の添加量が40重量%を超えると、高屈折率材料の保存安定性が低下する場合があるためである。従って、組成物中の固形分中に占める割合を5〜35重量%とするのがより好ましく、10〜30重量%とするのがさらに好ましい。
本発明において、特に、成分(D)〜(F)を含む組成物の場合は、組成物中に、(G)硬化触媒を添加することが好ましい。このような硬化触媒としては、水酸基含有重合体と硬化剤との間の反応を促進するものであれば、好適に使用することができる。より具体的には、脂肪族スルホン酸、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸塩、芳香族スルホン酸、芳香族スルホン酸塩、芳香族カルボン酸、芳香族カルボン酸塩、金属塩、リン酸エステル等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。ただし、これらの硬化触媒のうち、水酸基含有重合体に対するメチル化メラミン化合物等の硬化剤の硬化速度をより向上させることができる点から、芳香族スルホン酸が最も好ましい。
さらに、(G)硬化触媒の添加量については特に制限されるものではないが、組成物中の固形分中に占める割合は、0.1〜25重量%とするのが好ましい。この理由は、硬化剤の添加量が0.1重量%未満となると、硬化触媒の添加効果が発現しない場合があるためであり、一方、硬化触媒の添加量が25重量%を超えると、高屈折率材料の保存安定性が低下する場合があるためである。従って、組成物中の固形分中に占める割合を0.5〜15重量%とするのがより好ましく、1〜10重量%とするのがさらに好ましい。
本発明の組成物では、上記成分に加え、必要に応じて各種添加剤を添加することができる。これらの添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、シランカップリング剤、老化防止剤、熱重合禁止剤、着色剤、レベリング剤、界面活性剤、保存安定剤、可塑剤、滑剤、溶媒、無機系充填材、有機系充填材、フィラー、濡れ性改良剤、塗面改良剤等がある。
酸化防止剤の市販品としては、イルガノックス1010、1035、1076、1222(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等が挙げられ、紫外線吸収剤としては、チヌビンP、234、320、326、327、328、213、400(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、スミソーブ110、130、140、220、250、300、320、340、350、400(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられ、光安定剤の市販品としては、チヌビン292、144、622LD(以上、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、サノールLS−770、765、292、2626、1114、744(以上、三共化成工業(株)製)等が挙げられ、シランカップリング剤としては、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシプロピルトリメトキシシラン、市販品としては、SH6062、SZ6030(以上、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、KBE903、KBM803(以上、信越シリコーン(株)製)等が挙げられ、老化防止剤の市販品としては、アンティジェン W、S、P、3C、6C、RD−G、FR、AW(以上、住友化学工業(株)製)等が挙げられる。
また本発明の組成物には、その他の添加剤としてエポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、マレイン酸誘導体等の重合性化合物、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリウレタン、ポリブタジエン、クロロプレン、ポリエーテル、ポリエステル、ペンタジエン誘導体、スチレン/ブタジエン/スチレンブロック共重合体、スチレン/エチレン/ブテン/スチレンブロック共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、石油樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、フッ素系オリゴマー、シリコーン系オリゴマー、ポリスルフィド系オリゴマー等のポリマー又はオリゴマーも配合できる。
尚、本発明の組成物では、上記成分(A)〜(C)、成分(D)〜(F)の組み合わせに限らず、これらの成分を目的に応じて適宜組み合わせることが可能である。
次に、本発明の反射防止膜について説明する。
本発明の反射防止膜は、上述した組成物を硬化させた硬化物からなる高屈折率層を含む。
図1及び2に、かかる反射防止膜を示す。図1に示す反射防止膜10は、基材12の上に、高屈折率層14、低屈折率層16が積層されている。また、図2に示す反射防止膜20は、基材22の上に、ハードコート層24、高屈折率層26、低屈折率層28が積層されている。
反射防止膜10では、ハードコート層を設けておらず、高屈折率層14がハードコート層の機能を担保している。従って、反射防止膜10の構成がシンプルとなり、しかも反射防止膜10を精度よく形成することができる。
一方、反射防止膜20では、ハードコート層24を介在させることにより、高屈折率層20の基材22に対する密着力をより向上させることができる。また、ハードコート層24の機械的特性に起因して、反射防止膜20の耐久性をより向上させることができる。
高屈折率層は、本発明の組成物(高屈折率材料)を硬化させた硬化物から構成される。本発明の組成物の構成等については、上述の通りであるので説明は省略する。
低屈折率層を形成するための低屈折率材料は、好ましくは、水酸基を有する含フッ素共重合体100重量部、水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤1〜70重量部、硬化触媒0.1〜15重量部、有機溶媒500〜10000重量部、から構成されており、かつ、硬化後の屈折率を1.55未満の値としてある。
水酸基を有する含フッ素共重合体水酸基を有する含フッ素共重合体としては、分子内に水酸基を有する含フッ素共重合体であれば、好適に使用することができる。より具体的には、フッ素原子を含有する単量体(a成分)と、水酸基又はエポキシ基を含有する単量体(b成分)とを共重合して得ることができる。また、必要に応じて、a成分及びb成分以外のエチレン性不飽和単量体(c成分)を添加することが好ましい。
a成分であるフッ素原子を含有する単量体としては、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、(フルオロアルキル)ビニルエーテル、(フルオロアルコキシアルキル)ビニルエーテル、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、パーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、フッ素含有(メタ)アクリル酸エステル等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。尚、水酸基を有する含フッ素共重合体におけるa成分の配合量は特に制限されるものではないが、例えば、10〜99モル%の範囲内の値であることが好ましく、より好ましくは、15〜97モル%の範囲内の値である。
また、b成分である水酸基又はエポキシ基を含有する単量体としては、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシエチルアリルエーテル、ヒドロキシブチルアリルエーテル、グリセロールモノアリルエーテル、アリルアルコール、ヒドロキシエチル(メタ)アクリル酸エステル等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。尚、水酸基を有する含フッ素共重合体におけるb成分の配合量は特に制限されるものではないが、例えば、1〜20モル%の範囲内の値であることが好ましく、より好ましくは、3〜15モル%の範囲内の値である。
次に、水酸基を有する含フッ素共重合体の重合度について説明する。かかる重合度は、低屈折率層の機械的強度や塗布性を考慮して定めることが好ましいが、例えば、固有粘度(N,N−ジメチルアセトアミド溶媒使用、測定温度25℃)を0.05〜2.0dl/gの範囲内の値とするのが好ましく、0.1〜1.5dl/gの範囲内の値とするのがより好ましい。このような範囲内の値とすることにより、低屈折率層において、優れた機械的強度や塗布性を得ることができる。尚、このような固有粘度にするための重合方法は特に制限されるものでなく、ラジカル重合開始剤を用いた溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等を採用することができる。
水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤としては、上記硬化剤と同様の硬化剤が使用可能である。例えば、分子内にメチロール基及びアルコキシ化メチル基あるいはいずれか一方を2個以上有するメラミン化合物を使用することが好ましい。また、低屈折率材料における硬化剤を、上記硬化剤と同種とすることが好ましい。即ち、高屈折率層と、低屈折率層とが、それぞれ同種の硬化剤により硬化してなるものであることが好ましい。このように構成すると、高屈折率層と、低屈折率層との相性がより良好となり、より優れた反射防止性や密着力を得ることができる。尚、同種の硬化剤として、上述したメラミン化合物が挙げられ、より具体的には、ヒドロキシルアルキル化アミノ基含有メラミン化合物やアルコキシアルキル化アミノ基含有メラミン化合物等が挙げられる。
硬化触媒及び有機溶媒の種類や添加量は、高屈折率材料における内容と同様である。従って、これらについての説明は省略する。
低屈折率層における屈折率の値(Na−D線の屈折率、測定温度25℃)は低い程、高屈折率層と組み合わせた場合に優れた反射防止効果が得られるものの、具体的に、1.55未満とするのが好ましい。この理由は、屈折率が1.55以上になると、高屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果が著しく低下する場合があるためである。従って、低屈折率層の屈折率を、より好ましくは1.3以上1.55未満とすることであり、1.3〜1.5とすることがさらに好ましい。尚、低屈折率層の屈折率が1.3未満となると、使用可能な材料の種類が過度に制限される場合がある。また、低屈折率層を複数設ける場合には、そのうちの少なくとも一層が上述した範囲内の屈折率の値を有していれば良く、従って、その他の低屈折率層は1.55以上の場合があっても良い。
また、低屈折率層を設ける場合、より優れた反射防止効果が得られることから、高屈折率層との間の屈折率差を0.05以上の値とするのが好ましい。この理由は、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差が0.05未満の値となると、これらの反射防止膜層での相乗効果が得られず、却って反射防止効果が低下する場合があるためである。従って、低屈折率層と、高屈折率層との間の屈折率差を0.1〜0.5の範囲内の値とするのがより好ましく、0.15〜0.5の範囲内の値とするのがさらに好ましい。
次に、高屈折率層及び低屈折率層の厚さについて説明する。まず、高屈折率層の厚さは特に制限されるものではないが、例えば、50〜30,000nmであることが好ましい。この理由は、高屈折率層の厚さが50nm未満となると、低屈折率層と組み合わせた場合に、反射防止効果や基材に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが30,000nmを超えると、光干渉が生じて逆に反射防止効果が低下する場合があるためである。従って、高屈折率層の厚さを50〜1,000nmとするのがより好ましく、60〜500nmとするのがさらに好ましい。また、より高い反射防止性を得るために、高屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜30,000nmとすれば良い。尚、高屈折率層と基材との間にハードコート層を設ける場合には、高屈折率層の厚さを50〜300nmとすることができる。
また、低屈折率層の厚さについても特に制限されるものではないが、例えば、50〜300nmであることが好ましい。この理由は、低屈折率層の厚さが50nm未満となると、下地としての高屈折率層に対する密着力が低下する場合があるためであり、一方、厚さが300nmを超えると、光干渉が生じて反射防止効果が低下する場合があるためである。従って、低屈折率層の厚さを50〜250nmとするのがより好ましく、60〜200nmとするのがさらに好ましい。尚、より高い反射防止性を得るために、低屈折率層を複数層設けて多層構造とする場合には、その合計した厚さを50〜300nmとすれば良い。
本発明の反射防止膜に用いるハードコート層は、例えば、SiO、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等の材料から構成するのが好ましい。また、その厚さについても特に制限されるものではないが、具体的に、1〜50μmとするのが好ましく、より好ましくは5〜10μmである。この理由は、ハードコート層の厚さが1μm未満となると、反射防止膜の基材に対する密着力を向上させることができない場合があり、一方、厚さが50μmを超えると、均一に形成するのが困難となる場合があるためである。
本発明の反射防止膜に用いる基材の種類は特に制限されるものではないが、例えば、ガラス、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、トリアセチルアセテート樹脂(TAC)等からなる基材を挙げることができる。これらの基材を含む反射防止膜とすることにより、カメラのレンズ部、テレビ(CRT)の画面表示部、あるいは液晶表示装置におけるカラーフィルター等の広範な反射防止膜の利用分野において、優れた反射防止効果を得ることができる。
高屈折率材料や低屈折率材料からそれぞれ高屈折率層や低屈折率層を形成する場合、基材(適用部材)に対してコーテイングすることが好ましい。このようなコーテイング方法としては、ディッピング法、スプレー法、バーコート法、ロールコート法、スピンコート法、カーテンコート法、グラビア印刷法、シルクスクリーン法、又はインクジェット法等の方法を用いることができる。
また、高屈折率材料や低屈折率材料を硬化する手段も特に制限されるものではないが、例えば、放射線を照射したり、加熱することが好ましい。放射線を照射する場合は、露光量を、0.1〜10J/cmとするのが好ましい。一方、加熱する場合は、30〜200℃で、1〜180分間加熱するのが好ましい。このように加熱することにより、基材や形成される反射防止膜を損傷することなく、より効率的に反射防止性に優れた反射防止膜を得ることができる。従って、50〜180℃で、2〜120分間加熱するのがより好ましく、80〜150℃で、5〜60分間加熱するのがより好ましい。尚、高屈折率材料や低屈折率材料の硬化程度は、硬化剤としてメラミン化合物を用いた場合、メラミン化合物におけるメチロール基あるいはアルコキシ化メチル基量を赤外分光分析したり、あるいは、ゲル化率をソックスレー抽出器を用いて測定することにより、定量的に確認することができる。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明の範囲はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
製造例1
[重合性不飽和基を含む有機化合物(AS)の製造]
攪拌機付きの容器内のメルカプトプロピルトリメトキシシラン7.8部と、ジブチルスズジラウレート0.2部とからなる溶液に対し、イソホロンジイソシアネート20.6部を、乾燥空気中、50℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、3時間の条件で、さらに攪拌した。
これにペンタエリスリトールトリアクリレート71.4部を、30℃、1時間の条件で滴下した後、60℃、3時間の条件で、さらに攪拌し、反応液とした。
この反応液中の生成物、即ち、重合性不飽和基を含む有機化合物(AS)における残存イソシアネート量をFT−IRで測定したところ、0.1重量%以下であり、各反応がほぼ定量的に行われたことを確認した。また、分子内に、チオウレタン結合、ウレタン結合、アルコキシシリル基、及びアクリロイル基(重合性不飽和基)とを含むことを確認した。
尚、上記反応の際、副産物としてイソホロンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの水酸基の反応物が生じた。この副産物は、製造例2のアンチモンドープ酸化スズ粒子と反応せず、そのまま液中に存在し、(A)成分の多官能性アクリレート化合物として機能する。
製造例2
[アクリル変性アンチモンドープ酸化スズ粒子分散液((B)成分)の調製]
SNS−10M(石原テクノ(株)製、アンチモンドープ酸化スズ メチルエチルケトン分散液、固形分濃度30wt%)95重量部、製造例1で製造した重合性不飽和基を含む有機化合物(AS)4.26重量部、p−メトキシフェノール0.01重量部、イオン交換水0.056重量部の混合液を、60℃、4時間攪拌後、オルト蟻酸メチル0.68重量部を添加し、さらに1時間同一温度で加熱攪拌することでアクリル変性アンチモンドープ酸化スズ粒子分散液を得た。このアクリル変性アンチモンドープ酸化スズ粒子分散液をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して固形分含量を求めたところ、32.6重量%であった。
実施例1
[液状樹脂組成物1の調製]
製造例2で調製した(B)アクリル変性アンチモンドープ酸化スズ粒子のメチルエチルケトン分散液(固形分濃度 32.6%)を296重量部、(C)光開始剤としてイルガキュア907(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株))2.89重量部、紫外線吸収剤としてPUVA−30M(大塚化学(株))0.6重量部、溶剤としてメチルイソブチルケトン1194重量部、メチルエチルケトン472.47重量部、n−ブタノール34重量部を混合し、液状樹脂組成物1を得た。この液状樹脂組成物1の固形分含量は、5.0重量%であった。
尚、表1において、上記アクリル変性アンチモンドープ酸化スズ粒子(分散媒を除いた乾燥重量)、イルガキュア907及びPUVA−30Mの合計重量部を、固形分1という。
実施例2
[液状樹脂組成物2の調製]
実施例1のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン1152重量部、メチルエチルケトン448.47重量部、n−ブタノール100重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物2を得た。この液状樹脂組成物2の固形分含量は、5.0重量%であった。
実施例3
[液状樹脂組成物3の調製]
実施例1のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン896重量部、メチルエチルケトン304.47重量部、n−ブタノール500重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物3を得た。この液状樹脂組成物3の固形分含量は、5.0重量%であった。
実施例4
[液状樹脂組成物4の調製]
実施例1のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン200重量部、メチルエチルケトン0.47重量部、n−ブタノール1500重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物4を得た。この液状樹脂組成物4の固形分含量は、5.0重量%であった。
実施例5
[液状樹脂組成物5の調製]
実施例1のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン1194重量部、メチルエチルケトン472.47重量部、メチルアミルケトン34重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物5を得た。この液状樹脂組成物5の固形分含量は、5.0重量%であった。
実施例6
[液状樹脂組成物6の調製]
実施例1のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン896重量部、メチルエチルケトン304.47重量部、メチルアミルケトン500重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物7を得た。この液状樹脂組成物6の固形分含量は、5.0重量%であった。
実施例7
[液状樹脂組成物7の調製]
(D)SNS−10M(石原テクノ(株)製、アンチモンドープ酸化スズ メチルエチルケトン分散液、固形分濃度30wt%)279.13部、(E)デンカブチラール#2000−L(電気化学工業(株)製、ポリビニルアルコール樹脂、平均重合度約300、一分子中のポリビニルアルコール単位21重量%以上、ガラス転移点71℃)6.98部、(F)サイメル303(三井サイテック(株)製、メチル化メチロールメラミン化合物)8.5部、(G)硬化触媒としてキャタリスト4050(三井サイテック(株)製、芳香族スルホン酸化合物、固形分濃度32%イソプロパノール溶液)3.89部、紫外線吸収剤としてPUVA−30M(大塚化学(株))0.78重量部、溶剤としてメチルイソブチルケトン1022.8重量部、t−ブタノール668.8重量部、n−ブタノール34重量部を混合し、液状樹脂組成物7を得た。この液状樹脂組成物7の固形分含量は、5.0重量%であった。
尚、表1において、アンチモンドープ酸化スズ(分散媒を除いた乾燥重量)、デンカブチラール#2000−L、サイメル303、キャタリスト4050(固形分)及びPUVA−30Mの合計重量部を、固形分2という。
実施例8
[液状樹脂組成物8の調製]
実施例7のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン722.8重量部、t−ブタノール481.2重量部、メチルアミルケトン500重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物8を得た。この液状樹脂組成物8の固形分含量は、5.0重量%であった。
比較例1
[液状樹脂組成物9の調製]
実施例1のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン1216重量部、メチルエチルケトン484.47重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物9を得た。この液状樹脂組成物9の固形分含量は、5.0重量%であった。
比較例2
[液状樹脂組成物10の調製]
実施例7のうち、溶剤をメチルイソブチルケトン1022.8重量部、t−ブタノール681.8重量部に変えて混合し、液状樹脂組成物10を得た。この液状樹脂組成物10の固形分含量は、5.0重量%であった。
各実施例の構成と評価結果を、表1に示す。表1において、アクリル変性アンチモンドープ酸化スズ粒子及びアンチモンドープ酸化スズ粒子の分散媒であるメチルエチルケトンの重量は、液状樹脂組成物中に含まれるメチルエチルケトンの総量に含めて記載されている。
評価方法
[固形分含量]
各実施例・比較例の液状樹脂組成物をアルミ皿に2g秤量後、175℃のホットプレート上で1時間乾燥、秤量して、加熱乾燥後の重量と加熱前の重量の比率から、固形分含量(重量%)を求めた。
[塗膜作成]
下記の方法で、図3に示すような積層体30を製造した。
トリアセチルセルロースフィルム(基材、富士写真フィルム(株)製)32の上面に、ハードコート剤として「デソライトZ7528」(JSR(株)製)を塗工し、オーブン中、80℃、2分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、大気中、高圧水銀ランプを用いて、0.9J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚3μmのハードコート層34を形成した。
ハードコート層34を設けたトリアセチルセルロースフィルム表面に、実施例及び比較例で調製した各液状樹脂組成物(組成物7,8,10を除く)を、ワイヤーバーコータ(ワイヤーバー#6)を用いて塗工し、オーブン中、80℃、1分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、大気中、高圧水銀ランプを用いて、0.9J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚が0.1μmの高屈折率層(硬化膜層)36を形成した。
トリアセチルセルロースフィルム(基材、富士写真フィルム(株)製)32の上面に、ハードコート剤として「デソライトZ7528」(JSR(株)製)を塗工し、オーブン中、80℃、2分間の条件で乾燥し、塗膜を形成した。次いで、大気中、高圧水銀ランプを用いて、0.9J/cmの光照射条件で塗膜を紫外線硬化させ、膜厚3μmのハードコート層34を形成した。
ハードコート層34を設けたトリアセチルセルロースフィルム表面に、実施例及び比較例で調製した液状樹脂組成物7,8,10を、ワイヤーバーコータ(ワイヤーバー#3)を用いて塗工し、オーブン中、120℃、10分間の条件で加熱、硬化させ、膜厚が0.1μmの高屈折率層(硬化膜層)36を形成した。
[塗膜外観観察]
硬化後の塗膜外観を目視で観察、以下の基準で評価した。結果を表1に示す。
○:塗膜の色目が均一
×:塗膜の内、色目が異なる部分が存在する
[屈折率]
硬化後の塗膜を反射分光膜厚計により測定、波形を解析し屈折率を算出した。結果を表1に示す。
Figure 2005284000
本発明の組成物の硬化物は、各種ディスプレイ用反射防止膜として有用である。
本発明の一実施形態による反射防止膜の断面図である。 本発明の一実施形態による反射防止膜の断面図である。 実施例及び比較例の組成物の塗膜を評価するための積層体の断面図である。
符号の説明
10,20 反射防止膜
12,22 基材
14,26 高屈折率層
16,28 低屈折率層
24 ハードコート層
30 積層体

Claims (6)

  1. 酢酸n−ブチルを基準とした相対蒸発速度が1以下の溶剤を含み、硬化後の屈折率が1.55以上である反射防止膜用組成物。
  2. 前記溶剤の沸点が110℃以上である請求項1に記載の反射防止膜用組成物。
  3. 組成物中の固形分に対し、前記溶剤を1/3〜50倍含む請求項1又は2に記載の反射防止膜用組成物。
  4. 放射線硬化性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止膜用組成物。
  5. 熱硬化性である請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止膜用組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止膜用組成物を硬化させた硬化物からなる高屈折率層を含む反射防止膜。
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