JP3870538B2 - 着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法 - Google Patents

着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は着色膜形成用組成物、特に自動車などの車両用や建築物の窓および鏡等に使用される着色膜を形成する保存安定性に優れた組成物、および着色膜形成用組成物を使用して、着色膜被覆ガラス物品を製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
着色ガラスを得る方法として、銀の無機塩または銅の無機塩をガラス表面に塗布した後に焼成することにより、無機塩中の銀や銅の微粒子がガラス基板内に浸透し、ガラスをコロイド発色させるイオン交換法がある。また珪素アルコキシドの溶液に金、銀のような金属の塩を溶解させ、これを基材に塗布し熱処理することにより、金属微粒子を含む珪素酸化物の被膜を形成させる方法がある。
【0003】
特に、金や銀の微粒子の、表面プラズモンにより着色されたガラスは耐熱性、耐光性に優れており、以前から着色ガラスやフィルターガラスとして利用されてきた。近年よく用いられているのはゾルゲル法である。例えば、J.Sol-Gel.Sci.Techn.1,305-312(1994)には、塩化金酸とシランのアルコキシドを含む溶液をガラス基板上に塗布した後に熱処理することにより、マトリックスであるシリカの膜の中に金微粒子が分散された状態で形成され、着色膜被覆ガラス板が得られることが記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、ゾルゲル法において、金微粒子分散着色膜被覆ガラスを得る場合、これまで問題とされてきたのは、上記塗膜の熱処理過程において、金微粒子が成長するのとマトリックスの収縮過程が同時に起こるために、金微粒子が膜外にはじき出されやすくなることである。はじき出された金微粒子は、手で拭くと簡単に剥がれ落ちるので、塗布液中の塩化金酸が着色膜中の金微粒子として残存する割合が減少して着色効果が薄れることが問題であった。
【0005】
また実際の量産工程では、膜外へはじき出される微粒子の量が変動するために、着色ガラスの品質が変動する要因となり、歩留まり低下・コスト上昇につながるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記のような金微粒子の膜表面析出を防止して、ゾルゲル法による金微粒子分散ガラスを安定して製造するための着色膜形成用組成物、およびこれを使って着色膜被覆ガラス物品を製造する方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、少なくとも有機珪素化合物および塩化金酸を含有する着色膜形成用組成物において、示差熱分析における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ少なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする着色膜形成用組成物である。
【0008】
本発明において、少なくとも有機珪素化合物および塩化金酸を含有する着色膜形成用組成物に添加する、示差熱分析における最大発熱ピーク(いくつかの発熱ピークの中で最大のピークを示す温度)を170℃〜250℃に持つ化合物としては、有機化合物また無機化合物を使用することができ、有機化合物としては、好ましくは分子内にエーテル結合と炭素−炭素二重結合を有する有機物を用いることができる。
【0009】
この添加有機物としては、好ましくは分子内にエーテル結合を有するアクリレート、メタクリレート、ビニル化合物が挙げられるが、具体的にはエチレンオキシドユニットを6個分子内に有するトリメチロールプロパントリアクリレート(最大発熱ピーク温度=234℃)が好適な例として挙げられる。前記有機物の添加量は着色膜形成用組成物全量(コーティング液全量、溶媒を含む)に対して、0.5〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.7〜4質量%である。添加量をこれらの範囲内で変化させることにより、おそらく金微粒子の粒径または粒子形状が変化すると推定されるが、着色膜の透過色調を調整することができる。添加量が少なすぎると膜表面析出防止の効果は薄く、また添加量が多くなりすぎると、明るい発色が得られず膜が金属の金に近い色になってしまうとともに、ヘイズが大となり好ましくない。これは、金微粒子のサイズが大きくなりすぎたためと考えられる。
【0010】
また、示差熱分析における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ無機化合物としては、例えば硝酸セリウム(最大発熱ピーク温度=200℃)、塩化コバルト(最大発熱ピーク温度=234℃)、硝酸鉄(最大発熱ピーク温度=225℃)、および塩化鉄(最大発熱ピーク温度=249℃)を挙げることができる。前記無機化合物の添加量は、着色膜形成用組成物全固形分(着色膜形成用組成物が、乾燥、焼成され、固体膜になったときの全固形分)に対して、0.3〜20質量%が好ましい。より好ましくは0.5〜15質量%である。これら無機化合物は酸化物として着色膜の中に残存するので、その使用量が多いときには、酸化セリウムは紫外線を吸収し、酸化コバルト、酸化鉄は可視光を吸収して着色膜の色調を変化させる。
【0011】
前記組成物を基材表面に塗布した後に、熱処理過程において、有機珪素化合物が加水分解・重縮合してシリカマトリックスが形成されるとともに、塩化金酸が熱分解して金微粒子が形成されるが、最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ化合物を前記組成物に添加しておくことにより、金微粒子が、膜外にはじき出されて膜の表面に析出して着色に寄与しなくなるのを防ぎ、着色効果が増す。さらに、この化合物の添加量を調節することによって、微妙な色調を変えることができる。
【0012】
前記添加化合物が、なぜ金微粒子の膜表面析出を防止するかという理由は、次のように推定される。すなわち、前記化合物のTG−DTA特性曲線から判断して、添加化合物は170〜250℃の範囲内のある温度で最大発熱ピークを示し、かつその質量を急激に減少する。上記塗膜を熱処理する際、200℃近傍の温度では、シリカマトリックスの網目構造は膜の急激な収縮により小さくなってくる。そのとき網目構造の中にあって、成長過程の金微粒子は、網目の外へ押し出されようとする結果、膜外へ押し出されようとするが、このとき添加化合物が、膜の急激な収縮を押えて、金微粒子の成長領域を確保するために、金微粒子が膜外に押し出されるのが防止される。しかも、金微粒子が完全に成長した後には、マトリックスの収縮も進んでいるために、膜外に押し出されることはない。
【0013】
さらに、添加化合物の発熱により、金微粒子の成長および金微粒子の周囲のマトリックスの収縮が同時に行われ、短時間で金微粒子の成長および固定化が行われる。また添加剤の量の調節、すなわち金微粒子の成長する空間領域と発熱量を調節すれば、微妙な色調の制御が可能となってくる。
【0014】
もし、最大発熱ピークが170℃未満または250℃を超える化合物を添加した場合には、その発熱の温度が金微粒子の形成・析出温度と一致しないので、金微粒子が膜外へ押し出されるのを防止することができない。
【0015】
本発明における上記着色膜形成用組成物の各成分について、以下に説明する。有機珪素化合物は膜に酸化珪素成分を有せしめるものであり、酸化珪素は金の微粒子を固定し、金微粒子の発色を赤系にするために、低屈折率のマトリックス材として必要である。さらに、膜の可視光線反射率を低く抑えるためにも必要である。その含有量が低すぎると、反射率が高くなりすぎる。また多すぎても着色が薄くなり、着色ガラスとして商品性が下がる。したがって、着色膜形成用組成物全固形分に対する有機珪素化合物の含有量は、SiO2に換算して50〜94質量%であり、より好ましくは70〜92%である。
【0016】
本発明で、着色膜を形成する酸化珪素の原料である有機珪素化合物としては、ゾルゲル法により透明でより強い膜を形成でき、安定性に優れるもの、すなわち加水分解・重縮合することができる珪素化合物であるなら何でもよく、以下に具体的に述べる。
【0017】
酸化珪素の原料である有機珪素化合物としては、珪素のアルコキシドが好適で、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどのテトラアルコキシシランが挙げられる。またこれらの縮合体(n≧2、ただしnは縮合度を表す)、もしくは縮合体の混合物も好便に用いられる。例えば縮合体としては、ヘキサエトキシジシロキサン(n=2)、オクタエトキシトリシロキサン(n=3)、デカエトキシテトラシロキサン(n=4)、エトキシポリシロキサン(n≧5)などが使用できる。単量体(n=1)と縮合体(n≧2)の混合物からなる「エチルシリケート40」(商品名、コルコート社製)〔組成は、J.Cihlarの文献、Colloids and Surfaces A : Physicochem. Eng. Aspects 70 (1993年) 253頁から268頁 に記載されており、重量分率で単量体(n=1):12.8重量%、2量体(n=2):10.2重量%、3量体(n=3):12.0重量%、4量体(n=4):7.0重量%、多量体(n≧5):56.2重量%、エタノール:1.8重量%)である〕などが好適に使用できる。
【0018】
また上記化合物のアルコキシ基が、アルキル基その他の炭化水素基と置換されたアルキルトリアルコキシシランなども使用可能である。例えば、アルコキシ基がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルブチル基、オクチル基などの直鎖状、あるいは分岐状のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、γ−メタクリロキシプロピル基、γ−アクリロキシプロピル基などのようなアルケニル基、フェニル基、トルイル基、キシリル基などのアリール基、ベンジル、フェネチル基などのアラルキル基またはγ−メルカプトプロピル基、γ−クロロプロピル基、γ−アミノプロピル基などに置換されたものが例示できる。
【0019】
本発明における上記着色膜形成用組成物中の塩化金酸は、膜中に金微粒子を分散析出させるものであり、膜中の金微粒子は膜を明るい色に着色するのに必要であり、多すぎると膜の耐久性が低下するばかりか、製造上、膜をコーティングした後に金微粒子を形成させるために、微粒子形状が大きくなり望みの発色が得られない。したがって、着色膜形成用組成物全固形分に対する塩化金酸の含有量は、Auに換算して、5〜20質量%であり、好ましくは、7〜18質量%である。
【0020】
本発明の着色膜形成用組成物は、上記の、示差熱分析における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ化合物の他に、固形分で表して、上記のように有機珪素化合物をSiO2に換算して50〜94質量%、および塩化金酸をAu換算で5〜20質量%含有するが、必要に応じて他の成分、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機または無機のマンガン化合物、有機または無機のクロム化合物、有機または無機のニッケル化合物、有機または無機の銅化合物、有機または無機の亜鉛化合物、有機または無機のバナジウム化合物、有機または無機のインジウム化合物、有機または無機のビスマス化合物、有機または無機のアンチモン化合物、有機または無機のスズ化合物等の金属化合物を含有することができる。
【0021】
上記の化合物は、着色膜にそれぞれ酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜鉛、酸化バナジウム、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化アンチモン、酸化スズの各成分を有せしめるものであり、これらは、必要があれば色調調節のために含有させることができる。その量が多すぎると、膜の反射率が高くなりすぎる。
【0022】
また有機または無機のホウ素化合物、有機または無機のリン化合物も少量含有することができる。したがって、着色膜形成用組成物全固形分に対する有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物、有機または無機のマンガン化合物、有機または無機のクロム化合物、有機または無機のニッケル化合物、有機または無機の銅化合物、有機または無機の亜鉛化合物、有機または無機のバナジウム化合物、有機または無機のインジウム化合物、有機または無機のビスマス化合物、有機または無機のアンチモン化合物、有機または無機のスズ化合物、有機または無機のホウ素化合物、および有機または無機のリン化合物等の金属化合物の含有量は、それぞれZrO2、Al23、TiO2 、MnO2、Cr23、NiO、CuO、ZnO、V25、In23、Bi23、Sb25、SnO2、B23、およびP25に換算して、それらの合計で、0〜10質量%が好ましく、より好ましくは0〜8質量%である。
【0023】
酸化ジルコニウムの原料である有機ジルコニウム化合物としては、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラn−プロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウムイソプロパノール錯体、テトライソブトキシジルコニウム、テトラn−ブトキシジルコニウム、テトラsec−ブトキシジルコニウム、テトラt−ブトキシジルコニウムなどが好便に使用できる。アルコキシ基が、ハロゲン基で置き換わったジルコニウムモノクロリドトリアルコキシド、ジルコニウムジクロリドジアルコキシドなどのジルコニウムハロゲン化物のアルコキシドなどを使用することもできる。また上記のジルコニウムアルコキシドをβ−ケトエステル化合物でキレート化したジルコニウムアルコキシドも好適に用いられる。キレート剤としては、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸プロピル、アセト酢酸ブチルのような、CH3COCH3COOR、(ここでRはCH3、C25、C37、またはC49)で表されるアセト酢酸エステルを列挙することができ、これらのなかでアセト酢酸アルキルエステル、特にアセト酢酸メチルおよびアセト酢酸エチルが、比較的安価で入手できるので、好適である。
【0024】
ジルコニウムアルコキシドのキレート化の程度は一部または全部でもよいが、モル比で(β−ケトエステル)/(ジルコニウムアルコキシド)=2の割合でキレート化させるのが、キレート化合物が安定であるので好ましい。β−ケトエステル化合物以外のキレート剤、例えばアセチルアセトンでキレート化したジルコニウムアルコキシドは、アルコール等の溶媒に不溶であるために沈殿してしまって塗布溶液を調整することができない。さらに上記のジルコニウムアルコキシドのアルコキシ基のうちの少なくとも一つが酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、アクリル酸、メタクリル酸、ステアリン酸などの有機酸類で置き換わったアルコキシジルコニウム有機酸塩類を用いることも可能である。
【0025】
酸化アルミニウムの原料である有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムアルコキシド、硝酸アルミニウムや塩化アルミニウム等の無機アルミニウム化合物や有機アルミニウム化合物等が好ましい。
【0026】
酸化チタンの原料である有機チタン化合物としては、チタンアルコキシド、チタンアセチルアセトネート、チタンカルボキシレートのようなチタンの有機化合物が好適に使用される。チタンアルコキシドとしては、一般にTi(OR)4(Rは炭素数4までのアルキル基)で表されるが、反応性から考えて、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシドが望ましい。
【0027】
また、チタンの場合にはアセチルアセトネートを用いた方が、その安定性から好ましいことも従来から知られている。この場合には一般式として、Ti(OR)mn(m+n=4,n≠0)で表されるが、Lがアセチルアセトンである。この場合には、チタンアルコキシドをアセチルアセトンによってアセチルアセトネート化しても構わないし、市販のチタンアセチルアセトネートを使用しても構わない。さらには、カルボン酸塩を使用することもできる。
【0028】
本発明の着色膜形成用組成物は、上記各原料をそれぞれ溶媒に溶解しておき、それらを所定の割合で混合することにより得られる。合計の溶媒の通常の使用量は、有機金属化合物と塩化金酸の合計量10質量部に対して、10〜100質量部である。本発明において珪素アルコキシドを用いる場合、その加水分解触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸などの無機酸類、酢酸、しゅう酸、蟻酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸類が用いられる。
【0029】
本発明で使用される溶媒は被膜形成方法に依存する。例えば、グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコート法の有機溶剤は蒸発速度の遅い溶媒が好適である。これは、蒸発速度が速い溶媒では、十分にレベリングが行われないうちに、溶媒が蒸発してしまうためである。溶媒の蒸発速度は、酢酸ブチルのそれを100とした相対蒸発速度指数で、一般的に評価されている。この値が40以下の溶媒は、きわめて遅い蒸発速度をつ溶媒として分類されており、このような溶媒が、グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコート法の有機溶媒として好ましい。
【0030】
例えば、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、セルソルブアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジアセトンアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、などが挙げられる。本発明に使用される着色膜形成用組成物(コーティング液)の溶媒は、このような溶媒を少なくとも種含むことが望ましいが、コーティング液の粘度、表面張力などを調節するために、上記の溶媒を複数用いても構わない。また蒸発速度が速くて100を越える相対蒸発速度を有する溶媒、例えばメタノール(610)、エタノール(340)、n−プロパノール(300)、のよな溶媒を、上記の40以下の相対蒸発速度指数を有する溶媒に添加してもよい。
【0031】
本発明の着色膜形成用組成物は、後述のコーティング法により基材上に塗布され、その後、酸化性雰囲気下で200〜300℃の温度で5〜200分間、加熱して金微粒子を析出させた後、500〜800℃の温度で10秒〜5分焼成することにより、厚みが200nm以下の薄膜が形成される。
【0032】
本発明の着色膜形成用組成物を塗布する基材としては、ガラス基材が好適に使用され、ガラス基材として透明なソーダライム珪酸塩ガラス組成のガラス板のに、グリーン色に着色されたガラスや、ブロンズ色に着色されたガラスおよび紫外線吸収能をったガラスを使用してもよい。本発明により得られる着色膜自体は、あまり大きい紫外線遮蔽性能を有しないので、ガラス基材として、370nmの波長の紫外光の透過率(T370nm)が10〜50%で、可視光線透過率が70〜90%、太陽光線透過率が40〜85%であり、厚みが1.5〜5.5mmの自動車用ガラス板が好ましく用いられる。このように紫外線吸収ガラス板に、本発明の着色膜形成用組成物をコーティングすることにより、高い紫外線吸収能をった着色ガラス板が得られる。
【0033】
本発明で使用するコーティング方法としては、特に限定されるものではないが、例えばスピンコート法、ディップコート法、スプレーコート法、印刷法等が挙げられる。グラビアコート法、フレキソ印刷法、ロールコート法、スクリーン印刷法などの印刷法は、生産性が高くコーティング液組成物の使用効率がいので好適である。
【0034】
上記金微粒子の着色の要因となる表面プラズモン吸収は、マトリックスの屈折率の値によって吸収域がシフトする。また最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ化合物添加剤の濃度を変えることによっても、吸収ピークを調節することも可能であり、それらにより透過色調を調節することができる。
【0035】
したがって、本発明の着色膜形成用組成物を、塗布・加熱して得られる着色ガラス物品、特に自動車窓、建築用窓等に用いられる着色膜被覆ガラス板は、Lab表色系で表してaが−4〜20、bが−15〜5の範囲の色度をつ透過色調を有することが好ましい。より好ましい透過光の色度はaが−2〜15、bが−12〜3の範囲である。またこの着色ガラス物品は、60〜90の透過光の明度(L)を有することが好ましい。
【0036】
本発明の着色膜形成用組成物を塗布・加熱して得られる着色膜の厚みは、あまり薄すぎると十分な着色が得られず、逆にあまり厚すぎると膜強度が低下したり、クラックが入ったりするので、30〜200nmが好ましく、より好ましくは40〜180nmである。さらに好ましくは50〜160nmである。また、着色膜の屈折率は1.40〜1.70の屈折率を有する。
【0037】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体的な実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明における光学評価において、発明の効果を明らかにするため、焼成後の膜表面を拭布で拭く前、および拭いた後に、それぞれ光学測定することにより金微粒子の表面析出状況を評価した。表中にあるΔYaは、膜表面を拭いた後(それにより表面に析出することがある金微粒子が除去される)の可視光線透過率の値(Ya)と、膜表面を拭く前の可視光線透過率の値(Y1)の差(Ya−Y1)の値を表しており、ΔYaが小さいほど、金微粒子の表面析出量が小さくて本発明の効果が大きいことを示している。
【0038】
[実施例1]
エチルシリケート(コルコート社製「エチルシリケート40」)50gに、0.1モル/L(0.1N)の塩酸6gとエチルセロソルブ44gを加え、室温で2時間拌した。この溶液を酸化珪素原液1とした。これはSiO2 固形分を20%含有している。
【0039】
塩化金酸4水和物を10質量%の濃度になるようにエチルセロソルブに溶かして塩化金酸原液とした。
【0040】
上記のように作製した酸化珪素原液1を2.5g取り、これにエチルセロソルブ5.9g、トリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物0.1gを加えた後、最後に塩化金酸原液を1.5g加えて混合撹拌し、コーティング液1を作製した。
【0041】
上記作製したコーティング液1を、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基板(非着色)上に回転数16.6回/秒(1000rpmで15秒間スピンコーティングを行った。風乾後250℃で2時間加熱処理し、金微粒子を析出させた。さらに720℃で105秒焼成を行い、着色膜被覆ガラス板を得た。
【0042】
着色膜被覆ガラス板について、着色膜の屈折率・膜厚、可視光線透過率(Ya)、膜表面を拭く前と拭いた後の可視光線透過率の差(ΔYa)、透過色調、透過色度(a,b)・明度(L)、ガラス面側から光を投射させたときの、可視光線反射率(「ガラス面反射率」)および反射色度・明度(「ガラス面反射色度・明度」)、ならびに、膜面側から光を投射させたときの、可視光線反射率(膜面反射率)および反射色度・明度(「膜面反射色度・明度」)の各特性を表1〜3に示す。
【0043】
なお、実施例2,3および実施例12、13(表7)でも同様に適用されるが、表1の「膜組成」の欄の「EO6」はトリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物を指し、その値(1.0質量%)はコーティング液全量(溶媒を含む)の質量に対する割合である。また焼成された膜中にはトリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物はもはや含まれていない。また表1中、屈折率は金微粒子を除く膜組成の値を示す(表4,7でも同じ)。
【0044】
得られた着色膜は耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また表のΔYaは0.3と小さく、添加剤であるトリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止されていることがわかる。また、肉眼検査でも金微粒子の表面析出を検出できなかった。
【0045】
[実施例2]
実施例1のコーティング液1の作製での、エチルセロソルブの使用量を5.85gに、そしてトリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物の使用量を0.15gにそれぞれ変更して、コーティング液2を作製した以外は、実施例1と同様に行った。
【0046】
上記作製したコーティング液2を、厚み3.4mmで20cm×40cmの寸法の透明ガラス基板(非着色)上に回転数16.6回/秒(1000rpmで10秒間スピンコーティングを行った。風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させた。さらに720℃の電気炉で120秒保持した後に引き上げてプレス成形を行い、その直後に風冷強化して、着色膜をつ自動車用曲げ強化ガラス板を得た。曲げ形状も設計通りの形が得られ、透視歪みも観察されなかった。
【0047】
着色膜の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。得られた着色膜は耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。
【0048】
また表のΔYaは0.13と小さく、添加剤であるトリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止されていることがわかる。また、肉眼検査でも金微粒子の表面析出を検出できなかった。なお、本実施例は実施例1に比べて、透過色調は青色にシフトしているが、金微粒子の粒径あるいは粒子形状が、変化したためと考えられる。
【0049】
[実施例3]
実施例1のコーティング液1の作製での、トリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物を0.20g、エチルセロソルブを5.80gにしてコーティング液3を作製した以外は、実施例1と同様に行った。
【0050】
上記作製したコーティング液3を用いて、実施例1におけると同種の基板を用い、実施例1におけると同じ塗布条件、および加熱・焼成条件で処理して着色膜をつガラス板を得た。そして実施例1と同じ条件で測定した光学特性についてを測定しその結果を表1〜3に示す。
【0051】
得られた着色膜は耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また添加剤を加えることにより金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できなかった。なお、本実施例は実施例1に比べて、透過色調は青色にシフトしているが、金微粒子の粒径あるいは粒子形状が、変化したためと考えられる。
【0052】
[実施例4〜6]
<コーティング液4〜6の調製>
拌しているチタンイソプロポキシド1モルに、アセチルアセトン2モルを滴下ロートで滴下した。この溶液を酸化チタン原液とした。これはTiO2 固形分を16.5%含有している。
【0053】
酸化珪素原液1を1.99g、酸化チタン原液0.25g、および酸化セリウム原液0.26gを混合し、これにエチルセロソルブを5.50g加え最後に塩化金酸原液を2.0g加え、これらを混合撹拌しコーティング液4を作製した(実施例4)。
【0054】
硝酸セリウム6水和物がCeO2 固形分で23.2%になるようにエチルソロソルブを加え90℃に加熱撹拌することで、酸化セリウム原液を得た。
【0055】
酸化珪素原液1を2.15g、酸化チタン原液0.17g、および酸化セリウム原液0.18gを混合し、これにエチルセロソルブを5.50g加え最後に塩化金酸原液2.0gを加えて混合撹拌し、コーティング液5を作製した(実施例5)。
【0056】
酸化珪素原液1を2.25g、酸化チタン原液0.12g、および酸化セリウム原液0.13gを混合し、これにエチルセロソルブを5.50g加え最後に塩化金酸原液2.0gを加えて混合撹拌し、コーティング液6を作製した(実施例6)。
【0057】
上記作製したコーティング液4〜6のそれぞれを、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基板上に回転数16.6回/秒(1000rpmで15秒間、それぞれスピンコーティングを行った。そしてそれぞれについて、風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させ、さらに720℃で120秒焼成を行い、3種の着色膜被覆ガラス板を得た。コーティング液4,5,および6を用いて得られた着色膜被覆ガラス板をそれぞれ実施例4,5および6とする。各着色膜被覆ガラス板の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。
【0058】
得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また、いずれの実施例についても、添加剤である硝酸セリウムを加えることにより金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できなかった。なお、硝酸セリウムを添加することによりセリウムの酸化物が、CeO 2 に換算して、膜の中に、表1に示す量残っていることを示している。
【0059】
[実施例7]
塩化鉄6水和物100gを195.7gのエチルセロソルブに溶かしたものを10質量%酸化鉄原液とした。
【0060】
酸化珪素原液1を2.38g、および酸化鉄原液0.23gを混合し、これにエチルセロソルブ5.39g加え、最後に塩化金酸原液2.0gをり混合撹拌しコーティング液7を作製した。
【0061】
上記作製したコーティング液7を、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基板上に回転数16.6回/秒(1000rpmで15秒間スピンコーティングを行った。風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させた。さらに720℃で120秒焼成を行い、着色膜をつガラス板を得た。着色膜の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。
【0062】
得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また添加剤である塩化鉄6水和物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では識別できなかった。なお、実施例8,9についても同様であるが、塩化鉄を添加することにより鉄の酸化物が、Fe23に換算して、膜の中に、表1に示す量残っていることを示している。
【0063】
[実施例8]
酸化珪素原液1を2.43g、酸化鉄原液0.13gを混合し、エチルセロソルブ5.44g加え最後に塩化金酸原液2.0gをり混合撹拌しコーティング液8を作製した。
【0064】
上記作製したコーティング液8を用いて、実施例7におけると同種の基板を用い、実施例7におけると同じ塗布条件、および加熱・焼成条件で着色膜をつガラス板を得た。着色膜の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。
【0065】
得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また添加剤である塩化鉄6水和物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できなかった。
【0066】
[実施例9]
実施例8に使用したコーティング液8を、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸法のUVカットグリーンガラス基板(可視透過率Ya=73.1%、日射透過率Tg=48.9%、可視光反射率rg=6.6%、、透過色調;緑、Lab表色系の色度で表して、透過光色度a=−7.1、b=2.8、L=86、反射光色度a=−1.7、b=−0.1)上に、回転数16.6回/秒(1000rpmで10秒間スピンコーティングを行った。風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させた。さらに720℃で120秒焼成を行い、着色膜をつガラス板を得た。着色膜の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表1〜3に示す。
【0067】
得られた着色膜は、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また添加剤である塩化鉄6水和物を加えることにより、金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できなかった。
【0068】
【表1】
==================================
実 膜組成(質量%)
施 マトリックス 添加剤量 屈折率 膜厚
例 −−−−−−−− −−−−−−−−−−−−
No (硝酸セリウム) (塩化鉄)
SiO2 TiO2 Au CeO2 Fe2O3 EO6
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 87.5 0.0 12.5 −− −− 1.0% 1.46 125nm
2 87.5 0.0 12.5 −− −− 1.5% 1.46 125nm
3 87.5 0.0 12.5 −− −− 2.0% 1.46 127nm
4 67.0 6.85 16.0 10.2 −− −− 1.54 110nm
5 72.1 4.79 16.0 7.1 −− −− 1.51 105nm
6 75.7 3.35 16.0 5.0 −− −− 1.50 108nm
7 80.1 0.0 16.1 −− 3.9 −− 1.49 85nm
8 81.7 0.0 16.1 −− 2.2 −− 1.47 90nm
9 81.7 0.0 16.1 −− 2.2 −− 1.47 87nm
==================================
【0069】
【表2】
==================================
実施例 Ya ΔYa 透過色調 透過色度・明度 ガラス面反射率
番号 (%) (a/b/L) (%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 79.9 0.3 ワインレッド 6.4/-1.6/88.8 7.98
2 78.0 0.13 ピンク 7.4/-3.3/87.7 8.08
3 76.9 0.24 ピンク 6.3/-4.1/87.3 7.96
4 74.2 -0.02 ピンク 6.1/-4.6/85.8 10.44
5 77.4 0.03 ピンク 5.7/-3.9/87.6 9.39
6 76.7 0.06 ピンク 6.9/-4.7/87.1 9.23
7 74.1 0.3 ピンク 8.9/-4.3/85.4 8.8
8 74.0 0.3 ピンク 9.3/-4.0/85.2 8.6
9 64.3 0.2 中性灰色 0.1/ 0.5/80.2 6.7
==================================
【0070】
【表3】
===========================
ガラス面反射 膜面反射
実施例 色度・明度 膜面反射率 色度・明度
番号 (a/b/L) (%) (a/b/L)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 0.2/0.3/28.2 6.88 3.7/-0.7/25.8
2 -0.4/0.5/28.4 5.95 5.5/-2.6/23.9
3 -0.5/0.5/28.2 5.49 4.9/-4.2/23.2
4 3.6/1.5/30.7 10.4 2.5/ 3.4/31.8
5 3.1/1.2/29.4 9.39 2.6/ 2.6/30.1
6 3.7/1.6/28.6 9.23 2.3/ 3.3/29.8
7 1.5/1.5/29.3 7.9 4.7/ 1.8/27.3
8 1.7/1.3/29.0 7.8 4.4/ 1.5/27.3
9 -0.8/1.0/26.0 6.2 1.9/ 1.7/24.6
===========================
【0071】
[比較例1]
実施例1で使用した酸化珪素原液1を2.5g取り、これにエチルセロソルブ5.5gを加えた後、最後に塩化金酸原液を2g加えて混合撹拌し、コーティング液9を作製した。後は実施例1と同様にコーティング、乾燥および焼成を行い着色膜被覆ガラス板を得た。着色膜被覆ガラス板の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表4〜6に示す。なお表4で、屈折率は金微粒子を除く膜組成の値を示す。
【0072】
得られた着色膜は本実施例の添加剤等を加えた系に比較して、△Yaは1.41と大きく、金微粒子の表面析出が明らかに多くなり、肉眼で観察しても金微粒子が膜表面に浮いているのが識別できた。
【0073】
[比較例2]
比較例1において溶媒としてエチルセロソルブのかわりに1−エトキシ−2−プロパノールを用いた以外は同様に行った。得られた着色膜は、本実施例の添加剤等を加えた系に比較して、金微粒子の表面析出が明らかに多くなり、肉眼で観察しても金微粒子が膜表面に浮いているのが識別できた。
【0074】
[比較例3]
比較例1において溶媒としてエチルセルソロブのかわりに酢酸メチルセロソルブを用いた以外は同様に行った。得られた着色膜は、本実施例の添加剤等を加えた系に比較して、金微粒子の表面析出が明らかに多くなり、肉眼で観察しても金微粒子が膜表面に浮いているのが識別できた。
【0075】
【表4】
===========================
比較例 膜組成(質量%)
番号 SiO2 Au 屈折率 膜厚
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 84 16 1.46 115nm
2 84 16 1.46 130nm
3 84 16 1.46 120nm
===========================
【0076】
【表5】
=================================
比較例 Ya ΔYa 透過色調 透過色度・明度 ガラス面反射率
番号 (%) (a/b/L) (%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 76.2 1.41 ピンク 8.2/-2.5/86.5 7.3
2 75.2 0.93 ピンク 8.9/-2.3/85.9 7.5
3 77.7 1.13 ピンク 7.0/-1.9/87.5 7.8
=================================
【0077】
【表6】
============================
ガラス面反射 膜面反射
比較例 色度・明度 膜面反射率 色度・明度
番号 (a/b/L) (%) (a/b/L)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
1 1.2/0.9/26.9 6.8 2.7/0.1/26.8
2 1.5/1.2/27.3 6.9 2.5/0.5/25.9
3 1.0/1.3/28.5 7.2 2.2/0.8/26.5
============================
【0078】
[実施例10〜11]
<コーティング液10,11の調製>
塩化コバルト6水和物10gを40gのエチルセロソルブに溶かしたものを酸化コバルト原液とした。エチルシリケート25gに、1モル/L(1N)の塩酸4.5g、エチルセロソルブ20.5gを加え、室温で2時間撹拌した。さらにこの溶液にメチルトリエトキシシラン5.85g、エチルセロソルブ5.14g、0.1モル/L(0.1N)の塩酸0.70g加えて2時間撹拌した。この溶液を酸化珪素原液2とした。これはSiO2 固形分を19.4%含有している。
【0079】
上記のように作製した酸化珪素原液2を15.8g取り、これに酸化コバルト原液3.5g、エチルセロソルブ12.1g加えた後、最後に塩化金酸原液10g加えて混合撹拌し、コーティング液10(実施例10)を作製した。
【0080】
上記酸化珪素原液2を15.5g取り、これに酸化コバルト原液3.0g、エチルセロソルブ11.5g加えた後、最後に塩化金酸原液10g加えて混合撹拌し、コーティング液11(実施例11)を作製した。
【0081】
<塗布、加熱、測定>
上記作製したコーティング液10および11を、厚み3.4mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基板上にグラビアコーティング装置を用いてそれぞれコーティングを行った。風乾後250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させた。さらに720℃で130秒焼成を行い、着色膜をつガラス板を得た。コーティング液10および11を用いて得られた着色膜被覆ガラス板を、それぞれ実施例10および11とする。着色膜被覆ガラス板の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表7〜9に示す。
【0082】
得られた着色膜は、実施例10および11ともに、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。また添加剤である塩化コバルト6水和物を加えることにより金微粒子の表面析出は防止され、肉眼検査等では金微粒子の表面析出を検出できなかった。さらに塩化コバルト6水和物を加えることで、色調に青みを加えることができた。なお、塩化コバルトを添加することによりコバルトの酸化物が、CoOに換算して、膜の中に、表7に示す量残っていることを示している。
【0083】
[実施例12〜13]
ガラス基材として、厚み2.1mmで10cm×10cmの寸法の透明ガラス基板を準備する。
<コーティング液12,13の調製>
実施例1で使用したコーティング液1をコーティング液12とする(実施例12)。実施例10で調製した酸化珪素原液2を2.58g取り、これにジアセトンアルコール、トリメチロールプロパンアクリレートエチレンオキサイド6付加物0.1gを加えた後、最後に塩化金酸原液を1.5g加えて混合撹拌し、コーティング液13を作製した(実施例13)。
【0084】
<塗布、加熱、加工、測定>
上記作製したコーティング液12および13を、上記透明ガラス基板上に25回/秒(1500rpmで15秒間、それぞれ別にスピンコーティングを行った。風乾後、250℃で2時間熱処理し、金微粒子を析出させた。さらにこれらを加熱炉の中に入れて2時間で610℃まで昇温してそのまま10分間保持した後、自然冷却して着色膜を持つガラス板2種を得た。
【0085】
この着色膜ガラス板と上記透明ガラス板とを着色膜が内側になるようにその間に厚み0.8mmのポリビニルブチラール中間膜を挟んでオートクレーブ中で250℃で15分間加熱加圧して、着色膜を中間に有する合わせガラス板2種を得た。コーティング液12および13を用いて得られた着色膜被覆合わせガラス板をそれぞれ実施例12および13とする。着色膜被覆合わせガラス板の可視光線透過率、可視光線反射率、透過色調等の特性を表7〜9に示す。
【0086】
得られた着色膜は、実施例12,13とも、耐薬品性、耐摩耗性について良好な結果を示した。なお表8,9中の「ガラス面」の反射率、反射色度の欄には、合わせガラスの両表面のうち着色膜付きのガラス板のガラス外面側から光を入射させたときに全面から反射する光についての測定値を表しており、「膜面」の反射率、反射色度の欄には合わせガラス板の他の表面、すなわち着色膜なしのガラス板の外面側から光を入射させたときに全面から反射する光についての測定値を表している。
【0087】
【表7】
=================================
実施例 膜組成(質量%)
番号 マトリックス 添加剤量 屈折率 膜厚
−−−−−−− −−−−−−
(塩化コバルト)
SiO2 Au CoO EO6 (nm)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10 83.6 12.9 3.5 − 1.48 120
11 81.9 12.9 5.1 − 1.49 120
12 87.5 12.5 − 0.1% 1.46 100
13 87.5 12.5 − 0.1% 1.46 110
=================================
【0088】
【表8】
=================================
実施例 Ya ΔYa 透過色調 透過色度・明度 ガラス面反射率
番号 (%) (a/b/L) (%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10 68.4 0.1 赤紫 7.6/-7.6/82.4 8.7
11 67.0 0.05 赤紫 8.2/-8.4/81.5 9.0
12 76.9 0.01 ワインレッド 4.5/-1.5/87.9 7.8
13 74.2 -0.03 ワインレッド 3.8/-0.8/88.5 7.5
=================================
【0089】
【表9】
===========================
ガラス面反射 膜面反射
実施例 色度・明度 膜面反射率 色度・明度
番号 (a/b/L) (%) (a/b/L)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
10 3.5/1.3/26.2 8.6 3.7/1.4/25.8
11 4.1/1.3/25.4 7.6 7.5/1.0/23.9
12 0.8/0.6/28.2 7.9 0.9/0.3/28.2
13 0.7/0.5/30.7 7.5 1.2/0.5/31.8
===========================
【0090】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、170℃から250℃の間に最大発熱ピークを有する、有機または無機添加剤を着色膜形成用組成物に微量加えることによって、金微粒子の生成を制御でき、金微粒子が膜表面に析出してくるのを防止できる。さらに添加量を調節することにより、微妙な色調調節も可能となった。

Claims (7)

  1. 少なくとも有機珪素化合物および塩化金酸を含有する着色膜形成用組成物において、示差熱分析における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ少なくとも1種の化合物を添加することを特徴とする着色膜形成用組成物。
  2. 前記添加化合物は、分子内にエーテル結合と炭素−炭素二重結合を有する有機化合物である請求項1記載の着色膜形成用組成物。
  3. 前記添加化合物が、着色膜形成用組成物全量に対して0.5〜5質量%含有される請求項2記載の着色膜形成用組成物。
  4. 前記添加化合物は、分子内に6個のエチレンオキシドユニットを有するトリメチロールプロパントリアクリレートである請求項2または3記載の着色膜形成用組成物。
  5. 前記添加化合物は、硝酸セリウム、塩化コバルト、硝酸鉄および塩化鉄からなる群より選ばれた少なくとも1種の無機化合物である請求項1記載の着色膜形成用組成物。
  6. 前記添加化合物が、着色膜形成用組成物の全固形分に対して0.3〜20質量%含有される請求項5記載の着色膜形成用組成物。
  7. 少なくとも有機珪素化合物および塩化金酸を含有する着色膜形成用組成物をガラス基材に塗布し、加熱および焼成する着色膜被覆ガラス物品の製造方法において、示差熱分析における最大発熱ピークを170℃〜250℃に持つ少なくとも1種の化合物を前記着色膜形成用組成物に添加しておくことを特徴とする着色膜被覆ガラス物品の製造方法。
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