JP2007298697A - 回折素子とその製造方法 - Google Patents

回折素子とその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2007298697A
JP2007298697A JP2006125952A JP2006125952A JP2007298697A JP 2007298697 A JP2007298697 A JP 2007298697A JP 2006125952 A JP2006125952 A JP 2006125952A JP 2006125952 A JP2006125952 A JP 2006125952A JP 2007298697 A JP2007298697 A JP 2007298697A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glass substrate
thin film
diffraction
manufacturing
voltage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Ceased
Application number
JP2006125952A
Other languages
English (en)
Inventor
Peter G Kazansky
ジー カザンスキー ピーター
Isabel C S Carvalho
シー エス カルヴァーリョ イザベル
Koichi Sakaguchi
坂口 浩一
Mitsuhiro Kawazu
河津 光宏
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
University of Southampton
Original Assignee
University of Southampton
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by University of Southampton filed Critical University of Southampton
Priority to JP2006125952A priority Critical patent/JP2007298697A/ja
Priority to GB0613961A priority patent/GB2437554B/en
Publication of JP2007298697A publication Critical patent/JP2007298697A/ja
Priority to GB0819468A priority patent/GB2451595B/en
Ceased legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/18Diffraction gratings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/18Diffraction gratings
    • G02B5/1847Manufacturing methods
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/18Diffraction gratings
    • G02B5/1866Transmission gratings characterised by their structure, e.g. step profile, contours of substrate or grooves, pitch variations, materials
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/12Heads, e.g. forming of the optical beam spot or modulation of the optical beam
    • G11B7/135Means for guiding the beam from the source to the record carrier or from the record carrier to the detector
    • G11B7/1353Diffractive elements, e.g. holograms or gratings
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/32Holograms used as optical elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B6/00Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings
    • G02B6/02Optical fibres with cladding with or without a coating
    • G02B6/02057Optical fibres with cladding with or without a coating comprising gratings
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • GPHYSICS
    • G11INFORMATION STORAGE
    • G11BINFORMATION STORAGE BASED ON RELATIVE MOVEMENT BETWEEN RECORD CARRIER AND TRANSDUCER
    • G11B7/00Recording or reproducing by optical means, e.g. recording using a thermal beam of optical radiation by modifying optical properties or the physical structure, reproducing using an optical beam at lower power by sensing optical properties; Record carriers therefor
    • G11B7/004Recording, reproducing or erasing methods; Read, write or erase circuits therefor
    • G11B7/0065Recording, reproducing or erasing by using optical interference patterns, e.g. holograms

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Glass Compositions (AREA)
  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)

Abstract

【課題】入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子であって、従来にない構成を有する回折素子とその製造方法とを提供する。
【解決手段】入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子であって、ガラス基板はAgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素(元素X)を含み、回折部が、以下の(a)および(b)に示す元素Xの分布により、ガラス基板の内部に形成されている素子とする。(a)回折部に、元素Xの濃度が相対的に高い領域Aと、当該濃度が相対的に低い領域Bとが形成されている。(b)領域Aは、ガラス基板における所定の方向へ伸びており、回折部における当該所定の方向とは垂直な断面を見たときに、領域Aの少なくとも一部が領域Bをマトリクスとして周期的に配列している。
【選択図】図4

Description

本発明は、入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子であって、当該ガラス基板に含まれる金属元素の分布により回折現象を発現する回折素子と、その製造方法に関する。
光の回折現象を発現する回折素子は、その光学的な機能を利用して、光ディスクのピックアップ装置、光分岐・合波装置、ホログラム装置などに幅広く使用されている。回折素子としては、従来、ガラス基板やプラスチック基板の表面に周期的な溝を形成したいわゆる回折格子が一般的であるが、回折格子以外にも、用途に応じた様々な回折素子が開発されている。
例えば、特開平11−64615号公報(特許文献1)には、ガラス基板と格子状の断面を有する複屈折膜とを組み合わせた偏光性回折素子が開示されており、当該回折素子では、偏光を利用することによる光利用率の向上が図られている。特許文献1の複屈折膜は高分子液晶からなり、フォトリソグラフィによるエッチング、あるいは、格子形状を有する金型によるプレスなどにより形成される。特許文献1のように、ガラス基板の表面に特定の光学的機能を有する有機膜を配置することで、様々な光学的特性を有する回折素子を形成できる。
特開平11−14811号公報(特許文献2)には、ガラスなどの基体の表面に、有機単分子膜(LB膜)からなる回折層を形成した回折素子が開示されている。特許文献2では、LB膜からなる回折層によりナノレベルの回折構造が実現でき、ナノスケールの分解能を有する光学式ニアフィールド顕微鏡や超高密度記録再生装置への応用が図れることが示されている。基体表面のLB膜は、LB膜の原料溶液中に基体を浸漬させることにより形成される。
特開2001−91717号公報(特許文献3)には、0.1〜10μmの微小な球を積層して作製した3次元周期構造体を回折部とする回折素子が開示されている。特許文献3の回折素子は10μm〜100μm角程度のサイズであり、当該回折部は、走査電子顕微鏡下でのマイクロマニュピレーションにより形成される。
特開平11−64615号公報 特開平11−14811号公報 特開2001−91717号公報
本発明は、これら従来の回折素子とは全く構成が異なる新規な回折素子と、その製造方法とを提供することを目的とする。
本発明の回折素子は、入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子であって、前記ガラス基板は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、前記回折部は、以下の(a)および(b)に示す、前記少なくとも1種の元素の分布により、前記ガラス基板の内部に形成されている。
(a)前記回折部に、前記少なくとも1種の元素の濃度が相対的に高い領域Aと、前記濃度が相対的に低い領域Bとが形成されている。
(b)前記領域Aは、前記ガラス基板における所定の方向へ伸びており、前記回折部における前記所定の方向とは垂直な断面を見たときに、前記領域Aの少なくとも一部が、前記領域Bをマトリクスとして周期的に配列している。
本発明の回折素子の製造方法(第1の製造方法)は、入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子の製造方法であって、ガラス基板と前記ガラス基板上に形成されたガラス薄膜とを備える積層体に、前記積層体を間に挟む陽極および陰極により電圧を印加して、前記ガラス基板の内部に前記回折部を形成する工程を含む。前記薄膜は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属相を有し、前記ガラス基板の導電率は、前記薄膜の導電率よりも大きい。前記工程において、前記薄膜を前記陽極側とし、前記薄膜と前記陽極との間に絶縁層を形成した状態で、前記積層体に前記電圧を印加し、前記電圧の印加により、前記少なくとも1種の元素を前記薄膜から前記ガラス基板へ移動させ、前記回折部として、前記少なくとも1種の元素の周期的な分布を前記ガラス基板の内部に形成する。
本発明の回折素子の製造方法(第2の製造方法)は、入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子の製造方法であって、ガラス基板と前記ガラス基板上に形成されたガラス薄膜とを備える積層体に、前記積層体を間に挟む陽極および陰極により電圧を印加して、前記ガラス基板の内部に前記回折部を形成する工程を含む。前記薄膜は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属相を有する。前記ガラス基板はアルカリ金属元素を含み、前記ガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率が前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高い。前記工程において、前記薄膜を前記陽極側とし、前記薄膜と前記陽極との間に絶縁層を形成した状態で、前記積層体に前記電圧を印加し、前記電圧の印加により、前記少なくとも1種の元素を前記薄膜から前記ガラス基板へ移動させ、前記回折部として、前記少なくとも1種の元素の周期的な分布を前記ガラス基板の内部に形成する。
本発明の回折素子は、ガラス基板の内部に回折部を有するという点で、基板の表面に回折部が形成された、回折格子を始めとする従来の回折素子とは構成が異なる。本発明の回折素子では、例えば、ガラス基板の表面に回折部が形成されている場合に、当該回折部を保護するために必要な保護層などを省略できる。
本発明の回折素子は、また、ガラスに含まれる金属元素の分布を回折部とする点で、基板表面の物理的な形状、あるいは、特定の光学的機能を有する有機膜などを回折部とする従来の回折素子とは構成が異なる。
本発明の回折素子の製造方法に示すように、本発明の回折素子は、ガラス基板と、上記少なくとも1種の元素を含む金属相を有するガラス薄膜との積層体に電圧を印加することにより形成できる。積層体への電圧の印加には、ポーリング工程など、従来のガラス物品の製造方法を応用できる。このため、本発明の回折素子では、特許文献1〜3に開示されている回折素子とは異なり、製造時における、回折部を形成するためのフォトリソグラフィーによる微細加工、金型によるプレス、溶液中への浸漬、あるいは、顕微鏡下のマニュピレーションなどの工程を省略でき、例えば、ガラス基板のサイズ(回折素子のサイズ)の自由度をより高くできるなどの効果を得ることができる。
図1、2に、本発明の回折素子の一例を示す。図1、2に示す回折素子1は、ガラス基板2とガラス基板2上に形成されたガラス薄膜3とを備える。ガラス基板2は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素(元素X)を含む。ガラス基板2の内部には、ガラス基板2へ入射した光(入射光)を回折する回折部4が形成されている。図2は、図1に示す回折素子1を薄膜3側から見た平面図である。
回折部4は、以下の(a)および(b)に示す元素Xの分布により形成される(図3、4参照)。
(a)回折部4に、元素Xの濃度が相対的に高い領域A11と、元素Xの濃度が相対的に低い領域B12とが形成されている。
(b)領域A11は、ガラス基板2における所定の方向へ伸びている(図3)。回折部4における上記所定の方向とは垂直な断面を見たときに、領域A11は、領域B12をマトリクスとして周期的に配列している(図4)。
図3は、図2に示す回折素子1の断面A−Aを示す模式図であり、図4は、図3に示す回折部4における、領域A11が伸びる方向とは垂直な断面B−Bを示す模式図である。
回折素子1では、このような元素Xの分布により、光の回折現象を発現できる。
領域A11が伸びる所定の方向は、後述する本発明の製造方法において、ガラス基板と薄膜との積層体に電圧を印加する方向であるともいえ、例えば、ガラス基板2の厚さ方向であればよい。
領域A11の周期的な配列は図4に示す例に限定されないが、図4に示す領域A11の配列は、任意の1つの領域A11に対して6つの領域A11が等方的に周期Λで隣接している配列、即ち、"hexagonal"である。
領域A11は、少なくともその一部が、領域B12をマトリクスとして周期的に配列していればよく、例えば、回折現象が発現できる限り、回折部4における領域A11の配列が部分的に乱れていてもよい。
ある1つの領域A11と当該領域Aに隣り合う領域A11との間の周期Λは、回折部4の全体に渡ってほぼ一定であってもよいし、回折部4における上記1つの領域A11の位置に応じて変化していてもよい。回折部4の全体に渡って周期Λが一定である場合、例えば、単色の入射光を特定の角度に回折する回折素子とすることができる。回折部4における領域A11の位置に応じて周期Λが変化する場合、例えば、領域A11の位置に応じて、特定の波長の入射光を特定の角度に回折する回折素子とすることができる。
周期Λは、例えば、後述する本発明の製造方法におけるガラス基板と薄膜との積層体への電圧印加時に、薄膜と当該薄膜側に配置する陽極との間の絶縁層の厚さdを変化させることで制御できる。
周期Λは特に限定されないが、通常、100〜1000nm程度である。
回折素子1は、基本的に、周期Λの制御により、紫外〜可視光〜赤外の波長領域を含む様々な波長領域の光を回折できる。
領域B12は元素Xを実質的に含まなくてもよく、この場合、回折部4に、元素Xを含む領域A11と元素Xを実質的に含まない領域B12とが形成されている、ともいえる。
回折素子1では、その回折部4が、上述した元素Xの分布によりガラス基板2の内部に形成されているため、例えば、領域A11がガラス基板2の厚さ方向へ伸びている場合、図5に示すように、ガラス基板2の側面からの入射光51を回折できる。なお、図5に示す例では、ガラス基板2における側面からの入射光51を、当該側面とは異なる側面へ回折させて回折光52を出射できる。
元素XはAgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種である限り特に限定されず、例えば、Ag(銀)、Pd(パラジウム)、Pt(白金)およびAu(金)から選ばれる少なくとも1種であればよい。後述の実施例では、元素XがAuである場合に、領域A11が、図4に示すような"hexagonal"と考えられる配列を示したケースを一例として示す。なお、「貴」とは、元素が相対的にイオン化され難い特性を示し、例えば、当該元素の標準電極電位E0(25℃)を、その指標として用いることができる。E0(V)が大きいほど、イオン化されにくい、即ち、「貴」な元素であるといえ、電気化学会編、電気化学便覧第5版(丸善)p91−95によれば、上記各元素のE0は、Agが0.799V、Pdが0.915V、Ptが1.188V、Auが1.52Vである。
ガラス基板2の組成は特に限定されず、ガラス基板2がアルカリ金属元素を含んでいてもよい。この場合、本発明の製造方法による回折素子1の形成がより確実かつ容易となる。ガラス基板2が含むアルカリ金属元素としてはリチウム(Li)、ナトリウム(Na)およびカリウム(K)が代表的であり、例えば、ガラス基板2が、建築用および車両用などの用途に一般的に用いられるソーダライムガラスであってもよい。ソーダライムガラスは、少なくともNa2Oを成分として含む。
本発明の回折素子は、ガラス基板2上に形成された薄膜3を必ずしも備えていなくてもよい。ただし、本発明の製造方法により回折素子を形成した場合、意図的に薄膜を除去した場合を除き、ガラス基板2上に薄膜3が形成されている。
ガラス基板2上に薄膜3が形成されている場合、ガラス基板2の導電率が、薄膜3の導電率よりも大きくてもよい。本発明の製造方法により形成された回折素子は、ガラス基板2および薄膜3の導電率に関し、このような特徴を有する。
具体的には、例えば、ガラス基板2がアルカリ金属元素を含み、かつ、ガラス基板2におけるアルカリ金属元素の含有率が、薄膜3におけるアルカリ金属元素の含有率よりも大きくてもよい。このとき、薄膜3が、アルカリ金属元素を実質的に含まなくてもよい。
また例えば、ガラス基板2が鉄(Fe)、ビスマス(Bi)、バナジウム(V)、タングステン(W)およびモリブデン(Mo)から選ばれる少なくとも1種の元素(元素Z)を含み、かつ、ガラス基板2における元素Zの含有率が、薄膜3における元素Zの含有率よりも大きくてもよい。このとき、薄膜3が、元素Zを実質的に含まなくてもよい。
本発明の回折素子のサイズは特に限定されず、例えば、本発明の製造方法により形成する場合、数μm角から数メートル角まで、様々なサイズの回折素子とすることができる。
本発明の回折素子では、回折部4がガラス基板2の内部に形成されているため、ガラス基板2の表面に周期的な溝が形成されていなくてもよい。また、ガラス基板2の表面に、回折現象を発現する有機膜、LB膜などが形成されていなくてもよい。
本発明の回折素子は、例えば、以下に示す本発明の製造方法により形成できる。
本発明の製造方法によれば、ガラス基板と、当該ガラス基板上に形成された、元素Xを含む金属相を有するガラス薄膜とを備える積層体に電圧を印加することにより、ガラス基板の内部に回折現象を発現する回折部を形成できる。積層体への電圧の印加は、積層体を間に狭む陽極および陰極により行えばよく、薄膜を陽極側とし、薄膜と陽極との間に絶縁層を形成した状態で、積層体に電圧を印加すればよい。このような電圧の印加により、元素Xを薄膜からガラス基板へ移動させ、上記回折部として、元素Xの周期的な分布をガラス基板の内部に形成できる。
本発明の製造方法により、元素Xの周期的な分布をガラス基板の内部に形成できる理由は明確ではないが、以下に示す原理が考えられる。
本発明の製造方法では、第一に、元素Xを含む金属相を有する薄膜に印加電圧を集中させている。
第1の製造方法では、薄膜の導電率よりもガラス基板の導電率が大きい。
第2の製造方法では、ガラス基板がアルカリ金属元素を含み、かつ、ガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率が薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率よりも高い。ガラス中のアルカリ金属元素は、一般に、当該ガラスにおけるイオン伝導性を含む導電性を増大させる作用を有するため、上記ガラス基板と上記薄膜とでは、ガラス基板の導電率が薄膜の導電率に比べて大きくなる。
このように、導電率が互いに異なる層からなる積層体に電圧を印加すると、導電率が相対的に小さい層、即ち薄膜、に電圧をより集中でき、金属相を有する層である薄膜に誘起される電界の強度を増大できる。
第二に、本発明の製造方法では、薄膜を陽極側とし、薄膜と陽極との間に絶縁層を形成した状態で、積層体に電圧を印加している。
上述したように、積層体への電圧の印加に伴って強い電界が薄膜に誘起されると、薄膜中の金属相が負の電荷を帯びる。このとき、陽極全体が薄膜と接するなど、陽極と薄膜との間の電気的な接触が良好である場合には、金属相に含まれる金属元素がイオン化し、その後、負の電荷が陽極に逃げることで、当該元素の薄膜中への溶解が進行すると考えられる。
一方、本発明の製造方法では、薄膜と陽極との間に絶縁層が形成された状態で電圧が印加されるため、金属相が帯びた負の電荷が陽極に逃げることが困難となり、金属相への負の電荷の蓄積が進行する。このため、金属相に含まれる元素Xは、負の電荷を帯びたまま薄膜からガラス基板へ移動を始めるが、その際、負の電荷同士が反発するために、ガラス基板の内部において周期的な分布を示すようになると考えられる。なお、現在のところ、ガラス基板の内部における元素Xの状態、例えば、元素Xがイオンの状態であるかどうかなど、については明確ではない。
第1の製造方法では、互いに異なる導電率を発現する組成を有するガラス基板と薄膜とを積層した積層体とし、当該積層体に電圧を印加すればよい。
具体的には、例えば、アルカリ金属元素を含むガラス基板とし、かつ、ガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率を、薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高くすればよい。上述したように、ガラス中のアルカリ金属元素は、一般に、当該ガラスにおけるイオン伝導性を含む導電性を増大させる作用を有するため、ガラス基板の導電率を薄膜の導電率に比べて大きくできる。
また例えば、Fe、Bi、V、WおよびMoから選ばれる少なくとも1種の元素(元素Z)を含むガラス基板とし、かつ、ガラス基板における元素Zの含有率を、薄膜における元素Zの含有率より高くすればよい。元素Zは、当該ガラスにおける電子伝導性を含む導電性を増大させる作用を有するため、ガラス基板の導電率を薄膜の導電率に比べて大きくできる。
第1の製造方法では、ガラス基板および薄膜の組成は、ガラス基板の導電率が薄膜の導電率よりも大きい限り、上記例に限定されない。
第2の製造方法では、ガラス基板の組成は、ガラス基板がアルカリ金属元素を含み、その含有率が、薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率よりも高い限り特に限定されない。ガラス基板が含むアルカリ金属元素としてはLi、NaおよびKが代表的であり、例えば、ガラス基板がソーダライムガラスであればよい。
第2の製造方法では、薄膜の組成は、そのアルカリ金属元素の含有率がガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率よりも小さい限り特に限定されない。薄膜の導電率をできるだけ小さくし、薄膜に誘起される電界の強度をより増大させる観点からは、薄膜がアルカリ金属元素を実質的に含まないことが好ましく、これは、第1の製造方法においても同様である。
以下、第1および第2の製造方法に共通の事項について説明する。
本発明の製造方法によりガラス基板の内部に形成される元素Xの周期的な分布の具体的な形態は特に限定されず、例えば、上記(a)および(b)に示す分布であればよい。実施例に後述するが、金の微粒子を金属相として有する薄膜を用いた場合、ガラス基板における元素Xの周期的な分布が形成されている部分、即ち回折部、を、上述した領域Aの伸びる方向に垂直な断面で見たときに、当該領域Aが"hexagonal"に配列している分布を形成できる。
薄膜およびガラス基板の積層体に電圧を印加する方法は特に限定されず、例えば、ガラスのポーリング方法を応用すればよい。例えば、図6に示すように、金属相として金属微粒子14を含むガラス薄膜13とガラス基板20との積層体18を、直流電源などの電圧印加機構19に接続した陽極15および陰極16との間に配置し、電圧印加機構19により、陽極15および陰極16間に電圧を加えればよい。このとき、薄膜13と陽極15との間に絶縁層を形成した状態で電圧を加えることが必要である。
図6に示す例では、薄膜13と陽極15との間の空隙17が絶縁層となる。即ち、図6に示す例では、薄膜13が陽極15側となり、かつ、薄膜13と陽極15との間に空隙17が形成されるように陽極15および積層体18を配置して、積層体18に電圧を印加している。
図6に示すように、陽極15の一部が薄膜13と接していてもよい。ただし、両者が接している部分では、元素Xの周期的な配列が形成されないことがある。
薄膜13と陽極15との間に形成する絶縁層は図6に示す空隙17に限られず、例えば、絶縁性のスペーサーを薄膜13と陽極15との間に配置した状態で、積層体18に電圧を印加してもよい。絶縁層としてスペーサーを用いた場合、絶縁層の厚さdの調整がより容易となる。
空隙を絶縁層とする場合、図7に示すように、薄膜13と陽極15との間に支持体21を配置してもよい。このとき、支持体は絶縁性であっても導電性であってもよいが、導電性である場合、支持体が配置されている部分では元素Xの周期的な配列が形成されないことがある。
本発明の製造方法では、積層体18に電圧を印加する際における絶縁層の厚さdが、図4に示す領域A11の周期Λに影響を与えることがわかっており、通常、厚さdと周期Λとは反比例の関係にある。即ち、厚さdを大きくするに従って周期Λを小さくでき、厚さdを小さくするに従って周期Λを大きくできる。これは、厚さdが小さくなるに従い、金属相が帯びる負の電荷量が増大するため、元素X間の反発が大きくなるためと考えられる。
絶縁層の厚さdは、通常、数百nm〜数十μm程度とすればよい。
図6に示す例では、陽極15を薄膜13の表面に対して傾斜させて、積層体18に電圧を印加している。この場合、形成した回折部における周期Λが、回折部内の位置に応じて変化した回折素子を形成できる。
図8に示すように、陽極15と薄膜13の表面とを平行にして、積層体18に電圧を印加してもよい。この場合、形成した回折部の全体に渡って周期Λが一定の回折素子を形成できる。
積層体18に印加する電圧の大きさは、ガラスをポーリングする際に一般的に印加する電圧と同程度であればよい。
積層体18に電圧を印加する際には、陰極16が積層体18に接していることが好ましく、図6〜8に示すように、陰極16の全体が積層体18に接していることがより好ましい。
陽極15および陰極16の構成は、上述したように積層体18に電圧を印加できる限り特に限定されない。
積層体18に電圧を印加する際に積層体18を加熱してもよく、例えば、積層体18を、ガラスの熱ポーリングを実施する際の温度程度(通常、100〜400℃程度)に加熱してもよい。積層体18の加熱により、電圧の印加による回折部の形成をより促進できる。
元素Xの具体的な種類は、上述の通りであればよい。
薄膜13が有する金属相の具体的な形態は特に限定されず、例えば、金属微粒子であればよい。金属微粒子を有する薄膜13は、後述するゾルゲル法などにより形成できる。
金属相が金属微粒子である場合、その粒径は特に限定されないが、平均粒径にして、例えば、1nm〜30nm程度であればよい。
薄膜13における金属微粒子の含有率は、通常、1重量%〜30重量%程度であり、3重量%〜20重量%程度が好ましい。
薄膜13の厚さは、薄膜13に誘起される電界の強度をより増大させるために、ガラス基板20の厚さに比べて十分に小さいことが好ましく、例えば、10nm〜1μm程度であればよく、30nm〜500nm程度が好ましい。
薄膜13の厚さt1とガラス基板20の厚さt2との比t1/t2は、例えば、1×10-6〜1×10-2程度であればよく、5×10-6〜5×10-4程度が好ましい。
ガラス基板20上への薄膜13の形成方法は特に限定されないが、薄膜13が、ゾルゲル法により形成された膜であることが好ましい。
ゾルゲル法による薄膜の形成は、例えば、特開平10-316885号公報や特開平09-235141号公報に開示されている方法に従えばよく、一例として金の微粒子を含む薄膜は、ケイ素(Si)アルコキシドに代表される有機ケイ素化合物と、金の塩である塩化金酸とを含むコーティング溶液をガラス基板上に塗布した後に、全体を熱処理して形成できる。この場合、薄膜は、SiO2のマトリクスに金の微粒子が分散した構造を有する。
ゾルゲル法においてガラス基板上に塗布するコーティング溶液は、形成する薄膜におけるマトリクスの屈折率調整などを目的として、有機チタン(Ti)化合物、有機セリウム(Ce)化合物などの有機金属化合物を含んでいてもよく、これらの有機金属化合物は、熱処理により、TiO2あるいはCeO2などの無機酸化物として薄膜のマトリクス中にSiO2とともに含まれる。
ゾルゲル法では、上記コーティング溶液が硝酸銀などの銀の塩を含む場合、銀の微粒子が分散した薄膜を形成でき、同様に、上記コーティング溶液が塩化パラジウムなどのパラジウムの塩を含む場合にはパラジウムの微粒子が分散した薄膜を、上記コーティング溶液が塩化白金酸などの白金の塩を含む場合には白金の微粒子が分散した薄膜を、それぞれ形成できる。
上述したように、本発明の製造方法では、導電率が相対的に小さい薄膜に誘起される電界の強度を増大させている。このため、導電率が相対的に大きいガラス基板が、元素Xを含む金属相を実質的に有さなくてもよい。
ガラス基板の形状、サイズなどは特に限定されず、回折素子の用途に応じて任意に設定すればよい。
本発明の製造方法では、薄膜の誘電率がガラス基板の誘電率よりも小さいことが好ましく、この場合、薄膜に誘起される電界の強度をより増大できる。薄膜とガラス基板との間における誘電率の相対的な関係は、薄膜および/またはガラス基板の組成を制御することにより調整できる。
本発明の製造方法について、実施例を用いてより詳細に説明する。本発明は、以下に示す実施例に限定されない。
(実施例)
最初に、有機ケイ素化合物としてエチルシリケート(コルコート社製「エチルシリケート40」)50gに、加水分解触媒として0.1N塩酸6gと、溶媒としてエチルセロソルブ44gとを加え、室温で2時間攪拌して溶液Aを得た。溶液Aは、SiO2換算でSiを20重量%含有する。
溶液Aの形成とは別に、チタンイソプロポキシド1モルに、アセチルアセトン2モルを攪拌しながら滴下して溶液Bを得た。溶液Bは、TiO2換算でTiを16.5重量%含有する。
溶液A、Bの形成とは別に、硝酸セリウム6水和物を、CeO2換算で23.2重量%となるようにエチルセロソルブに加えて溶液Cを得た。
溶液A〜Cの形成とは別に、塩化金酸4水和物を10重量%の濃度となるようにエチルセロソルブに溶解させて溶液Dを得た。
次に、2.25gの溶液A、0.12gの溶液B、および、0.18gの溶液Cを混合して混合溶液とし、この混合溶液にエチルセロソルブ5.5gをさらに加えた後に、2gの溶液Dを加えて全体を十分に攪拌し、コーティング溶液を得た。
次に、上記のように形成したコーティング溶液を、ガラス基板として厚さ3.4mm、10cm角のソーダライムガラス上にスピンコートにより塗布した。コーティング溶液の塗布後、250℃で2時間熱処理し、さらに720℃で120秒焼成して、金のコロイド微粒子を含む薄膜が表面に配置されたガラス基板(サンプル1)を作製した。
薄膜の組成は、上記各溶液の混合比から、SiO275.7重量%、TiO23.3重量%、CeO25重量%、金のコロイド微粒子を16重量%(金の微粒子を含めて合計100重量%)であり、アルカリ金属元素を含まない。薄膜の厚さは130nmである。
本実施例では、その組成から判断して、上記ガラス基板の導電率は上記薄膜の導電率よりも大きくなる。
BS−SEM(BackScattered Scanning Electron Microscopy)により観察したサンプル1の断面(薄膜の表面に垂直な断面)を図9に示す。BS−SEMでは、サンプルの反射電子(backscattered electron)像が得られるため、原子量が大きい元素を画像として明るく表示できる。図9に示すように、サンプル1では、その薄膜中に、金のコロイド微粒子に対応すると考えられる無数の輝点が確認できた。BS−SEM像により求めた当該微粒子の平均粒径は、およそ15nmであった。
次に、図7に示すように、作製したサンプル1における薄膜の表面に金のワイヤー(直径25μm)からなる支持体を配置した後、ステンレスからなる陽極(9.1mm×6.9mm、厚さ1.3mm)を、薄膜の表面に対して傾斜させた状態で配置した。陽極を配置するとともに、ガラス基板の表面にステンレスからなる陰極(9.1mm×6.5mm、厚さ2.5mm)を圧着して、薄膜とガラス基板との積層体であるサンプル1を陽極と陰極との間に配置した。陽極および陰極は、サンプル1の表面に垂直な方向から見たときに、各々の電極の中心が一致するように配置した。
次に、陽極および陰極を電圧印加機構である高電圧直流電源に電気的に接続した後、サンプル1を280℃に設定した電気炉に収容して加熱し、サンプル1が十分に昇温した状態で炉内の温度を280℃に保持したまま電極間に最大1kVの電圧を印加した。電圧は、200Vずつ、5ステップで1kVまで上昇させ、各ステップにおいてそれぞれ10分間保持した。5番目のステップとして1kVの電圧を10分間印加した後、電圧の印加を止め、サンプル1を自然放冷により室温に戻した。その後、陽極および陰極をサンプル1から除去した。
上記電圧印加後のサンプル1に対して、その側面から白色光を入射したところ、図10に示すように、白色光を入射した側面(上面)とは異なる側面(図10における手前側の側面)から、赤から紫までに分光された回折光の出射が見られ、上記電圧の印加により、回折素子が形成されたことが確認できた。なお、図10における符号22は、支持体として配置した金のワイヤーの痕跡であり、当該痕跡の部分では回折光は見られなかった。
図11を用いて、図10に示す回折光の状態をより詳細に説明する。図11は、画像処理ソフトにより、図10に示す図に対してエッジの抽出を行った図であり、明るさがほぼ同等である部分に対してエッジが抽出されている。図11ではさらに、回折光が見られる領域を、確認できた色ごとに破線で示す。ただし、図10に示されている白色光の光源は省略する。図11に示すように、サンプル1の手前側の側面に、上面側、即ち、白色光が入射した側から順に、赤、橙、黄、緑、青、藍および紫の回折光が見られた。
また、上記電圧印加後のサンプル1に対して、その側面から波長500nmの単色光を入射したところ、入射光に対して約20°の方向へ単色の回折光が出射することが確認された。入射および出射の方向から、回折素子としての格子周期を算出したところ、およそ240nmであった。
得られた回折素子の断面(薄膜の表面に垂直な断面)のBS−SEM像を図12に示す。図12に示すように、ガラス基板の内部に、Auの濃度が相対的に高い領域A(図12における明るい部分)と、Auの濃度が相対的に低い領域B(図12における暗い部分)とが形成されており、当該領域Aがガラス基板の厚さ方向に伸びていることが確認できた。
図12に示す断面C−C(領域Aの伸びる方向に垂直な断面)のSEM(走査型電子顕微鏡)像を図13に示す。図13に示すように、領域Aが領域Bをマトリクスとして周期的に配列している様子が確認できた。当該SEM像から求めた領域Aの配列の周期はおよそ200nmであり、回折角から算出した上記格子周期とほぼ同等であった。回折角から求められる格子周期、BS−SEM像、SEM像、および、SEM像から求められる領域Aの配列の周期から判断して、領域Aの配列の状態は、上述した"hexagonal"であると判断できる。
(比較例1)
最初に、実施例と同様にして、金のコロイド微粒子を含む薄膜が表面に配置されたガラス基板(サンプル2)を作製した。
次に、作製したサンプル2における薄膜の表面に、実施例で用いた陽極を、薄膜との間に空隙が形成されないように圧着するとともに、サンプル2におけるガラス基板の表面に実施例で用いた陰極を圧着して、陽極および陰極によりサンプル2を狭持した。陽極および陰極は、サンプル2の表面に垂直な方向から見たときに、各々の電極の中心が一致するように圧着した。
次に、実施例と同様にしてサンプル2に電圧を印加した後、陽極および陰極をサンプル2から除去した。
上記電圧印加後のサンプル2に対して、複数の方向から白色光を入射したが、いずれの方向から入射した場合にも、回折光の出射は確認できなかった。
(比較例2)
比較例2では、金属相として金の微粒子が全体に分散したガラス基板に対して、実施例と同様に電圧の印加を行った。
最初に、シリカガラス(イタルクオーツ社製、タイプI、厚さ1mm)の表面に、スパッタリングにより金の薄膜(厚さ140nm)を形成した。次に、全体を850℃〜1200℃に昇温させ、金をシリカガラス中に拡散させて、金の微粒子が全体に分散したシリカガラス(サンプル3)を作製した。
次に、作製したサンプル3に対して、比較例1と同様に陽極および陰極を配置した。続いて、陽極および陰極を高電圧電源に電気的に接続した後、サンプル3を電気炉に収容して280℃に昇温し、280℃に保持したまま電極間に3.1kVの電圧を15分間印加した。その後、電圧の印加を止め、サンプル3を自然放冷により室温に戻し、陽極および陰極を除去した。
上記電圧印加後のサンプル3に対して、複数の方向から白色光を入射したが、いずれの方向から入射した場合にも、回折光の出射は確認できなかった。
本発明によれば、入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子であって、従来にない構成を有する回折素子とその製造方法とを提供できる。
本発明の回折素子は、その形状、サイズの自由度が高く、様々な用途に用いることができる。例えば、光ピックアップ装置、光結合・分岐装置、ホログラム素子などの電子デバイスから、車両用、建築用ガラスへのホログラムを利用した刻印まで、様々な応用が期待される。
本発明の回折素子の一例を模式的に示す斜視図である。 図1に示す回折素子を、当該素子の薄膜側から見た平面図である。 図2に示す回折素子の断面A−Aを模式的に示す断面図である。 図3に示す回折素子における断面B−Bを模式的に示す断面図である。 本発明の回折素子における回折の状態の一例を説明するための斜視図である。 本発明の回折素子の製造方法の一例を示す模式図である。 本発明の回折素子の製造方法の別の一例を示す模式図である。 本発明の回折素子の製造方法のまた別の一例を示す模式図である。 実施例において作製した、電圧印加前のサンプル1における薄膜の表面に垂直な断面を、BS−SEM像により示す図である。 実施例において作製した電圧印加後のサンプル1における回折光を示す図である。 図10に示す回折光をより詳細に説明するための図である。 実施例において作製した電圧印加後のサンプル1における薄膜の表面に垂直な断面を、BS−SEM像により示す図である。 図12に示すサンプル1の断面C−CをSEM像により示す図である。
符号の説明
1 回折素子
2 ガラス基板
3 薄膜
4 回折部
11 領域A
12 領域B
13 薄膜
14 金属微粒子
15 陽極
16 陰極
17 空隙
18 積層体
19 電圧印加機構
20 ガラス基板
21 支持体
51 入射光
52 回折光

Claims (24)

  1. 入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子であって、
    前記ガラス基板は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    前記回折部は、以下の(a)および(b)に示す、前記少なくとも1種の元素の分布により、前記ガラス基板の内部に形成されている回折素子。
    (a)前記回折部に、前記少なくとも1種の元素の濃度が相対的に高い領域Aと、前記濃度が相対的に低い領域Bとが形成されている。
    (b)前記領域Aは、前記ガラス基板における所定の方向へ伸びており、
    前記回折部における前記所定の方向とは垂直な断面を見たときに、前記領域Aの少なくとも一部が、前記領域Bをマトリクスとして周期的に配列している。
  2. 前記領域Aは、前記ガラス基板の厚さ方向へ伸びている請求項1に記載の回折素子。
  3. 前記少なくとも1種の元素が、Ag、Pd、PtおよびAuから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の回折素子。
  4. 前記少なくとも1種の元素が、Auである請求項1に記載の回折素子。
  5. 前記ガラス基板がアルカリ金属元素を含む請求項1に記載の回折素子。
  6. 前記ガラス基板上に形成されたガラス薄膜をさらに備える請求項1に記載の回折素子。
  7. 前記ガラス基板の導電率が、前記薄膜の導電率よりも大きい請求項6に記載の回折素子。
  8. 前記ガラス基板がアルカリ金属元素を含み、
    前記ガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率が、前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率よりも大きい請求項6に記載の回折素子。
  9. 前記ガラス基板の側面からの入射光を回折する請求項1に記載の回折素子。
  10. 前記ガラス基板の表面に、周期的な溝が形成されていない請求項1に記載の回折素子。
  11. 入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子の製造方法であって、
    ガラス基板と前記ガラス基板上に形成されたガラス薄膜とを備える積層体に、前記積層体を間に挟む陽極および陰極により電圧を印加して、前記ガラス基板の内部に前記回折部を形成する工程を含み、
    前記薄膜は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属相を有し、
    前記ガラス基板の導電率は、前記薄膜の導電率よりも大きく、
    前記工程において、
    前記薄膜を前記陽極側とし、前記薄膜と前記陽極との間に絶縁層を形成した状態で、前記積層体に前記電圧を印加し、
    前記電圧の印加により、前記少なくとも1種の元素を前記薄膜から前記ガラス基板へ移動させ、前記回折部として、前記少なくとも1種の元素の周期的な分布を前記ガラス基板の内部に形成する、回折素子の製造方法。
  12. 前記ガラス基板がアルカリ金属元素を含み、
    前記ガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率が、前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率よりも高い、請求項11に記載の回折素子の製造方法。
  13. 入射光を回折する回折部が形成されたガラス基板を備える回折素子の製造方法であって、
    ガラス基板と前記ガラス基板上に形成されたガラス薄膜とを備える積層体に、前記積層体を間に狭む陽極および陰極により電圧を印加して、前記ガラス基板の内部に前記回折部を形成する工程を含み、
    前記薄膜は、AgおよびAgよりも貴な金属から選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属相を有し、
    前記ガラス基板がアルカリ金属元素を含み、前記ガラス基板におけるアルカリ金属元素の含有率が前記薄膜におけるアルカリ金属元素の含有率より高く
    前記工程において、
    前記薄膜を前記陽極側とし、前記薄膜と前記陽極との間に絶縁層を形成した状態で、前記積層体に前記電圧を印加し、
    前記電圧の印加により、前記少なくとも1種の元素を前記薄膜から前記ガラス基板へ移動させ、前記回折部として、前記少なくとも1種の元素の周期的な分布を前記ガラス基板の内部に形成する、回折素子の製造方法。
  14. 前記分布が、以下の(a)および(b)である請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
    (a)前記回折部に、前記少なくとも1種の元素の濃度が相対的に高い領域Aと、前記濃度が相対的に低い領域Bとが形成されている。
    (b)前記領域Aは、前記基板における所定の方向へ伸びており、
    前記回折部における前記所定の方向とは垂直な断面を見たときに、前記領域Aの少なくとも一部が、前記領域Bをマトリクスとして周期的に配列している。
  15. 前記絶縁層が空隙であり、
    前記工程において、
    前記薄膜が前記陽極側となり、前記薄膜と前記陽極との間に空隙が形成されるように前記陽極および前記積層体を配置して、前記積層体に前記電圧を印加する、請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  16. 前記工程において、
    前記陽極を前記薄膜の表面に対して傾斜させて、前記積層体に前記電圧を印加する、請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  17. 前記工程において、
    前記陽極と前記薄膜の表面とを平行にして、前記積層体に前記電圧を印加する請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  18. 前記金属相が、金属微粒子である請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  19. 前記少なくとも1種の元素が、Ag、Pd、PtおよびAuから選ばれる少なくとも1種である請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  20. 前記少なくとも1種の元素が、Auである請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  21. 前記薄膜が、Auの微粒子を含む請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  22. 前記積層体を加熱した状態で、前記積層体に前記電圧を印加する、請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  23. 前記薄膜がアルカリ金属元素を実質的に含まない請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
  24. 前記薄膜が、ゾルゲル法により形成された請求項11または13に記載の回折素子の製造方法。
JP2006125952A 2006-04-28 2006-04-28 回折素子とその製造方法 Ceased JP2007298697A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006125952A JP2007298697A (ja) 2006-04-28 2006-04-28 回折素子とその製造方法
GB0613961A GB2437554B (en) 2006-04-28 2006-07-13 Diffraction element and method of manufacturing the same
GB0819468A GB2451595B (en) 2006-04-28 2008-10-23 Diffraction element and method of manufacturing the same

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006125952A JP2007298697A (ja) 2006-04-28 2006-04-28 回折素子とその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007298697A true JP2007298697A (ja) 2007-11-15

Family

ID=36955616

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006125952A Ceased JP2007298697A (ja) 2006-04-28 2006-04-28 回折素子とその製造方法

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP2007298697A (ja)
GB (1) GB2437554B (ja)

Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62133403A (ja) * 1985-12-05 1987-06-16 Mitsubishi Electric Corp ホログラムレンズ
JPS62133402A (ja) * 1985-12-05 1987-06-16 Mitsubishi Electric Corp ホログラムレンズの製造方法
JPH0886927A (ja) * 1994-09-14 1996-04-02 Nippon Sheet Glass Co Ltd 光導波路デバイス
JPH09235141A (ja) * 1995-12-26 1997-09-09 Nippon Sheet Glass Co Ltd 紫外線吸収着色膜被覆ガラス物品
JPH10316885A (ja) * 1997-03-14 1998-12-02 Nippon Sheet Glass Co Ltd 着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法
JPH11216579A (ja) * 1996-03-25 1999-08-10 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス基材のレーザ加工方法
JPH11216580A (ja) * 1996-07-05 1999-08-10 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス基材のレーザ加工方法
JPH11216578A (ja) * 1996-03-25 1999-08-10 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス基材のレーザ加工方法、この方法によって得られる回折格子及びマイクロレンズアレイ
JP2000321660A (ja) * 1999-05-07 2000-11-24 Victor Co Of Japan Ltd 投射型カラー表示装置
WO2001031401A1 (en) * 1999-10-26 2001-05-03 Mcgill University Self-processing of diffractive optical components in hybrid sol-gel glasses
JP2001133649A (ja) * 1999-11-05 2001-05-18 Fdk Corp 光導波路グレーティングの製造方法
JP2001302260A (ja) * 2000-04-25 2001-10-31 Canon Inc 光学素子の成形方法
JP2005309441A (ja) * 2004-04-23 2005-11-04 Schott Ag マスターを作製する方法、マスター、光学素子を作製する方法及び光学素子

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6220058B1 (en) * 1996-03-25 2001-04-24 Nippon Sheet Glass Co., Ltd Method of changing the surface of a glass substrate containing silver, by using a laser beam

Patent Citations (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62133403A (ja) * 1985-12-05 1987-06-16 Mitsubishi Electric Corp ホログラムレンズ
JPS62133402A (ja) * 1985-12-05 1987-06-16 Mitsubishi Electric Corp ホログラムレンズの製造方法
JPH0886927A (ja) * 1994-09-14 1996-04-02 Nippon Sheet Glass Co Ltd 光導波路デバイス
JPH09235141A (ja) * 1995-12-26 1997-09-09 Nippon Sheet Glass Co Ltd 紫外線吸収着色膜被覆ガラス物品
JPH11216578A (ja) * 1996-03-25 1999-08-10 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス基材のレーザ加工方法、この方法によって得られる回折格子及びマイクロレンズアレイ
JPH11216579A (ja) * 1996-03-25 1999-08-10 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス基材のレーザ加工方法
JPH11216580A (ja) * 1996-07-05 1999-08-10 Nippon Sheet Glass Co Ltd ガラス基材のレーザ加工方法
JPH10316885A (ja) * 1997-03-14 1998-12-02 Nippon Sheet Glass Co Ltd 着色膜形成用組成物および着色膜被覆ガラス物品の製造方法
JP2000321660A (ja) * 1999-05-07 2000-11-24 Victor Co Of Japan Ltd 投射型カラー表示装置
WO2001031401A1 (en) * 1999-10-26 2001-05-03 Mcgill University Self-processing of diffractive optical components in hybrid sol-gel glasses
JP2001133649A (ja) * 1999-11-05 2001-05-18 Fdk Corp 光導波路グレーティングの製造方法
JP2001302260A (ja) * 2000-04-25 2001-10-31 Canon Inc 光学素子の成形方法
JP2005309441A (ja) * 2004-04-23 2005-11-04 Schott Ag マスターを作製する方法、マスター、光学素子を作製する方法及び光学素子

Also Published As

Publication number Publication date
GB2437554B (en) 2009-04-15
GB2437554A (en) 2007-10-31
GB0613961D0 (en) 2006-08-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Wu et al. TiO2 metasurfaces: From visible planar photonics to photochemistry
Shu et al. Dynamic plasmonic color generation based on phase transition of vanadium dioxide
Liu et al. Ultrathin W18O49 nanowire assemblies for electrochromic devices
Chen et al. Dynamic color displays using stepwise cavity resonators
Proust et al. All-dielectric colored metasurfaces with silicon Mie resonators
Mattox et al. Influence of shape on the surface plasmon resonance of tungsten bronze nanocrystals
Murali et al. Synthesis and characterization of indium oxide nanoparticles
CN101023498B (zh) 导电性粒子、可见光透过型粒子分散导电体及其制造方法、透明导电薄膜及其制造方法、使用它的透明导电物品、红外线屏蔽物品
Som et al. Nano silver: antimony glass hybrid nanocomposites and their enhanced fluorescence application
WO2006025470A1 (ja) 導電性粒子、可視光透過型粒子分散導電体およびその製造方法、透明導電薄膜およびその製造方法、これを用いた透明導電物品、赤外線遮蔽物品
Hu et al. Graphene metapixels for dynamically switchable structural color
Singh et al. Bismuth oxide and bismuth oxide doped glasses for optical and photonic applications
JP2006349965A (ja) 多色表示用光学組成物及びその製造方法、並びに、光学素子及びその表示方法
Bhupathi et al. Femtosecond laser-induced vanadium oxide metamaterial nanostructures and the study of optical response by experiments and numerical simulations
Pal et al. A New Approach for the Synthesis of Au− Ag Alloy Nanoparticle Incorporated SiO2 Films
Singh et al. Single-step synthesis and surface plasmons of bismuth-coated spherical to hexagonal silver nanoparticles in dichroic Ag: bismuth glass nanocomposites
JP6866104B2 (ja) 導電体およびその製造方法、ならびにこれを含む素子
Huang et al. Surfactant-and HF-free cation exchange synthesis of highly-efficient nanoscale K2SiF6: Mn4+ and potential usage for high-resolution micro-LED display
Inwati et al. In situ growth of low-dimensional silver nanoclusters with their tunable plasmonic and thermodynamic behavior
Ke et al. Manipulating atomic defects in plasmonic vanadium dioxide for superior solar and thermal management
Martino et al. Controlling nanowire growth by light
Zhang et al. Reversible electrical switching of nanostructural color pixels
Lin et al. Electrically switchable and flexible color displays based on all-dielectric nanogratings
Fang et al. In situ dynamic study of color-changing in liquid colloidal crystals for electrophoretic displays
Cheng et al. Infrared Gasochromic Devices Based on Metal Thin Films

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081107

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20101027

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20101228

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120207

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20120425

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20120501

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120531

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121225

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20130123

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20130213

A045 Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment]

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045

Effective date: 20130423