JPH11216578A - ガラス基材のレーザ加工方法、この方法によって得られる回折格子及びマイクロレンズアレイ - Google Patents

ガラス基材のレーザ加工方法、この方法によって得られる回折格子及びマイクロレンズアレイ

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JPH11216578A
JPH11216578A JP8068440A JP6844096A JPH11216578A JP H11216578 A JPH11216578 A JP H11216578A JP 8068440 A JP8068440 A JP 8068440A JP 6844096 A JP6844096 A JP 6844096A JP H11216578 A JPH11216578 A JP H11216578A
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正 小山
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ光によって回折格子のような微細な凹
凸パターンをガラス基板に形成することができなかっ
た。 【解決手段】 フェイズマスクにレーザ光が入射する
と、+1次の回折光と−1次の回折光が出射し、これら
の回折光の干渉によりフェイズマスクの出射側の極近傍
に周期的な光の強度分布が得られる。そして、その周期
は、入射側のレーザ光が平行光ならば、フェイズマスク
の回折格子の周期に一致する。そして、この周期的な強
度分布が形成された領域に、ガラス基板をセットする
と、当該周期的な光強度に応じてガラスが蒸発或いはア
ブレーションし、光強度の周期と同一の周期をもつ回折
格子がガラス基板上に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス基材に対す
るレーザ加工方法及びこの加工方法によって得られる回
折格子及びマイクロレンズアレイに関する。
【0002】
【従来の技術】ガラスのうち特にSiO2を主成分とする
珪酸塩ガラスは、透明度が高く、高温下で簡単に成形
(変形)が可能なため、微細加工にて孔開けや凹凸を形
成することで、光通信等に用いる光学部品やディスプレ
イ用のガラス基板等として広く用いられている。
【0003】上記の珪酸塩ガラスに微細加工を施すに
は、従来にあっては、フッ酸等のエッチャントを用いた
ウェットエッチング(化学エッチング)、或いはリアク
ティブイオンエッチング等のドライエッチング(物理エ
ッチング)によるのが一般的である。
【0004】しかしながら、ウェットエッチングにあっ
ては、エッチャントの管理と処理の問題があり、ドライ
エッチングにあっては真空容器等の設備が必要になり装
置自体が大掛かりとなり、更に複雑なフォトリソグラフ
ィー技術によってパターンマスク等を形成しなければな
らず効率的でない。
【0005】一方、レーザ光は強力なエネルギーを有
し、照射された材料の表面温度を上げ、照射された部分
をアブレーション(爆蝕)或いは蒸発せしめて種々の加
工を施すことが従来から行われている。特にレーザ光は
極めて小さなスポットに絞ることができるので、微細加
工に適している。
【0006】そこで、特開昭54−28590号公報に
は、予め300〜700℃に加熱したガラス基板をテー
ブル上に固定し、このテーブルをX−Y方向に移動させ
つつレーザ光を照射することで、ガラス基板表面を加工
することが開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、ガラ
ス基板を固定したテーブルをX−Y方向に移動させるこ
とで、所望形状の凹凸をガラス基板に形成することがで
きるのであるが、凹凸形状が例えば回折格子のような微
細形状の場合、テーブルを移動させることで対処するこ
とはできない。
【0008】また、レーザ光にもCO2レーザ等の赤外
線レーザ、Nd:YAGレーザ、Nd:YAGレーザと波
長変換を組み合わせた近赤外領域から可視更には紫外領
域に亘るレーザ、或いはArF、KrF等のエキシマレー
ザ等の紫外線レーザ等の種々のレーザ光があり、長波長
のCO2ガスレーザを用いた場合には熱歪による割れが
激しく起こる。また、紫外線域のKrFエキシマレーザ
(波長248nm)を用いた場合でも照射痕周辺にはク
ラックが発生し、微細加工には適しない。そこで、ガラ
ス加工に用いるレーザ光としては波長193nmのAr
Fエキシマレーザの使用が最適となるが、このArFエ
キシマレーザを使用した場合には空気による吸収があ
り、長い光軸を持たせるためにはAr等の吸収のないガ
スと置換するか、真空にしなければならない。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明に係るガラス基材のレーザ加工方法は、ガラス基
材に対してレーザ光を照射し、レーザ光エネルギーをガ
ラス基材に吸収させ、このエネルギーによる溶融、蒸発
若しくはアブレーションによってガラスを除去するよう
にしたガラス基材のレーザ加工方法において、前記ガラ
ス基材表面に照射されるレーザ光の光強度を部分的に異
ならせ、光強度の強い部分のガラス除去量を多く、光強
度の弱い部分のガラス除去量を少なくしてガラス基材表
面に微細な凹凸を形成するようにした。
【0010】また、前記レーザ光として周期的若しくは
規則的な光強度分布を有するレーザ光を用いることで、
光結合器、偏光器、分波器、波長フィルタ、反射器或い
はモード変換器等に組み込まれる回折格子或いはマイク
ロレンズアレイを製造することができる。
【0011】周期的な光強度分布を有するレーザ光は、
フェイズマスク或いは2本のレーザ光を干渉せしめるこ
とによって得ることができ、ガラス基材表面に形成され
る周期的な凹凸の断面形状は、レーザ光のパルスエネル
ギーにて制御することができる。また、規則的な光強度
分布を有するレーザ光は、網目状マスク等を用いること
で得ることができる。
【0012】更に、従来であれば、ガラス加工に用いる
ことができるレーザ光は波長193nmのArFエキシ
マレーザに限定され、しかもAr等の吸収のないガスと
置換するか、真空にしなければならないので装置が大掛
りになってしまうが、ガラスにAg原子、Agコロイドま
たはAgイオンの形態で銀を導入することで、波長の長
いレーザ光を使用しても割れや欠けを生じることなく照
射痕も極めて平滑になることが実験の結果判明した。
【0013】ただし、従来の感光性ガラスや抗菌ガラス
のように均一な濃度で銀が含有されている場合には、レ
ーザ加工性の向上は見られず、加工が施される側の表面
における銀の濃度が最も高く、徐々に他の面側に向かっ
て銀の濃度が低下する濃度勾配となっていることが必要
である。
【0014】これは、以下の図1に示す機構によるもの
と考えられる。即ち、図1(a)に示すように、Agイ
オンの濃度が最も高い側の表面からレーザ光を照射す
る。すると、同図(b)に示すように、最もAgイオン
濃度が高いガラス基材表面のAgイオンが還元せしめら
れてコロイド(Agの超微粒子)となり、このコロイド
がレーザ光エネルギーを吸収し、同図(c)に示すよう
に、このエネルギーによる溶融、蒸発若しくはアブレー
ションを生じ、表層部のガラスが除去される。そして、
表層部のガラスが除去されるとその下層のガラスでも同
様の現象が順次起こり、最終的には同図(d)に示すよ
うに凹部若しくは貫通穴が形成される。このように、ガ
ラス基材の最表面から徐々にガラスが除去されてゆくの
で、割れや欠けが発生しにくい。これに対し、銀の濃度
が均一であったり、銀が含まれていないガラス基材にあ
っては、ガラス基材内部でアブレーション等が生じ、割
れや欠けが発生しやすい。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。 (実施例1)図2に示す装置を用いてイオン交換を行っ
た。加工用ガラス基材としては、SiO2を主成分とし、
これにAl23、B23、Na2O、F等を含む厚さ2m
mの珪酸塩ガラスとし、石英容器内に満たす溶融塩とし
ては硝酸銀と硝酸ナトリウムを50mol%−50mol%で混
合したものを用いた。
【0016】上記の加工用ガラス基材を溶融塩を満たし
た石英容器内に12分間浸漬した。尚、溶融塩の温度は
電気炉中で285℃に保ち、反応雰囲気は空気とした。
以上の処理により、ガラス基材表面のNaイオン(1価
の陽イオン)を溶出せしめ、溶融塩中のAgイオンをガ
ラス中に拡散せしめた。Agが拡散した層の厚さをX線
マイクロアナライザーで測定したところ約5μmであっ
た。
【0017】そして、図3に示す装置を用いて回折格子
を製造した。具体的には、上記のガラス基板のイオン交
換がなされた面に、スペーサを介して回折格子を形成し
たフェイズマスクを備えた基板を配置し、レーザ光を照
射した。フェイズマスクにレーザ光が入射すると、図4
(a)に示すように、主として+1次の回折光と−1次
の回折光が出射し、これらの回折光の干渉によりフェイ
ズマスクの出射側の極近傍に周期的な光の強度分布が得
られる。そして、その周期は、入射側のレーザ光が平行
光ならば、フェイズマスクの回折格子の周期に一致す
る。ここで、本実施例のフェイズマスクは回折格子周
期:1055nm、回折格子深さ:約250nm、サイ
ズ:10mm×5mm(QPS Technology Inc.製 Ca
nada)を使用したので、1055nm程度の周期の光強
度分布が形成される。
【0018】そして、この周期的な強度分布が形成され
た領域に、図4(b)に示すように、ガラス基板をセッ
トした。その結果、図4(c)に示すように、当該周期
的な光強度に応じてガラスが蒸発或いはアブレーション
し、光強度の周期と同一の周期をもつ回折格子がガラス
基板上に形成された。
【0019】尚、使用したレーザ光は、Nd:YAGレ
ーザの第3高調波である355nmの光とした。パルス
幅は約10nsec、繰り返し周波数は5Hzであっ
た。またレーザ光の1パルスあたりのエネルギーは、レ
ーザのQスイッチのタイミングを変えることで調整が可
能であり、本実施例で用いたレーザの場合、最大のパル
スエネルギーは約90mJであり、ビーム直径は約5m
mであった。また、レーザ光による蒸発或いはアブレー
ションは、一般に非線形であり、ある強度以上になった
とき、はじめて材料の蒸発が起きる。本実施例で使用し
たガラス基板の場合、355nmの波長だと、3〜4J
/cm2/pulse以上のエネルギー密度にならなければ、
アブレーションは起きない。上述のように本実施例で使
用したレーザのエネルギー密度は、約0.46J/cm
2であり、このままではガラスのアブレーションは起き
ないので、エネルギー密度を増大させるため、レーザ光
を焦点距離250nmのレンズで絞り込んでガラス基板
上でのビームサイズが約2mmになるようにした。
【0020】具体的な照射方法は、先ずレーザ光の強度
を下げてレーザ光が図3に示すようにフェイズマスクの
基板側からほぼ垂直に入射するように光軸の調整を行
い、その後、レーザ光源のQスイッチのタイミングを変
えて、レーザ光のエネルギーを徐々に増加させた。レー
ザ光の光エネルギーが約80mJ/pulseになった
ときガラスのアブレーションが確認されたので、その状
態のまま5パルスだけレーザ光を照射し、レーザ光の照
射を停止した。
【0021】上記によって形成された回折格子の形状を
図5及び図6に示す。ここで、図5(a)は回折格子の
平面を走査型電子顕微鏡で観察した写真(10,000倍)、
同図(b)は同写真に基づいて作成した図、図6(a)
は回折格子の断面を走査型電子顕微鏡で観察した写真
(10,000倍)、同図(b)は同写真に基づいて作成した
図であり、これらの図から明らかなように、回折格子の
周期は、使用したフェイズマスクの周期とほぼ一致して
おり、また回折格子の形状は光強度の周期構造の分布に
従い曲面となっており、更に回折格子表面も非常に平滑
であった。
【0022】尚、以上の測定は回折格子のほぼ中央で測
定したものであるが、レーザビームの周辺部ではビーム
中央部に比べて強度が低いので、中央部と異なる形状の
回折格子が形成される。即ち、レーザビームの照射領域
の中央部分(最も光強度が強い部分)では、光強度分布
の凹部でもアブレーションが起きるので、作製された回
折格子の凸部及び凹部は滑らかな曲面状になるのに対
し、レーザビームの照射領域の周辺部(光強度の低い部
分)では光強度分布の凸部のみでアブレーションが起き
る結果、台形状の断面構造となる。このとき、回折格子
の凸部上面はもともとガラス基板の表面であるので、そ
れほど滑らかにならない。
【0023】上記したように、レーザビームの中央部分
と周辺部分の光強度の違いによって形成される回折格子
の形状が変化することを確かめたが、本実施例ではレー
ザ光の強度自体を変えても同様に回折格子の断面構造が
変化することを確認した。このようにして回折格子を製
造すれば、特別な真空容器を必要とすることなく、非常
に簡便に、しかも安価にガラス上に回折格子を作製でき
る。
【0024】ところで、本実施例にあってはスペーサに
よってフェイズマスクとガラス基板との間隔が約50μ
mとなるようにしている。これは、ガラス基板表面から
の蒸発物がフェイズマスクに付着するのを極力防ぐため
であり、この間隔自体は任意である。例えば+1次光と
−1次光とが重なっている範囲内ならば、フェイズマス
クとガラス基板を密着させても回折格子は作製できる
し、フェイズマスクとガラス基板との間に150μm程
度の厚さの石英板を挟み密着させてレーザ照射を行った
場合も、本実施例と同様に回折格子が作製できた。フェ
イズマスクは繰り返し使用されるものであり、その汚れ
を防ぐことは重要であり、したがってスペーサを介在さ
せることは有効な手段である。
【0025】(実施例2)本実施例にあっては、前記実
施例のフェイズマスクを使用する代りに、2本のレーザ
光の干渉を利用して周期的な強度分布を形成した。即
ち、図7に示すように、レーザ光をビームスプリッタに
より2つに分け、ある角度を持たせて再び重ね合わせる
と、その重なり合った部分に周期的な光強度分布が形成
される。その周期はレーザ光を重ね合せる角度により決
まる。本実施例では、2本のレーザビームの入射角を約
20°になるような光学系を構成した。このときの光強
度分布の周期は約1020nmになる。そして、前記実
施例1で使用したものと同種のレーザ加工性のあるガラ
スを、その2本レーザビームが重なり合った部分に設置
し、レーザ光を照射した結果、アブレーションが起き
た。図中のレンズはガラス面上でのエネルギー密度を上
げるために使用したものであり、アブレーションが起き
たときのエネルギー密度は、前記実施例と同様な値にな
った。
【0026】作製した回折格子の周期を測定したとこ
ろ、予想された周期とほぼ一致した。断面形状を走査型
電子顕微鏡で測定したところ、(実施例1)と同様に、
曲面で表面の滑らかな回折格子が形成されていることが
確かめられた。
【0027】ここで、(実施例1)と(実施例2)で
は、周期的な強度分布を形成する手段が異なり、それぞ
れに長所と短所がある。即ち、フェイズマスクを利用し
た方法は、光学系の構成が簡単で周期の再現性もよいの
で、同一の周期の回折格子を生産する場合には有利であ
る。一方、周期の変更を頻繁に行う場合には2本のレー
ザ光の干渉を利用する方法が有利である。
【0028】(実施例3)図8に示すように、ガラス基
板上にメッシュパターンを持つ銅製のマスクを密着し、
レーザ光を焦点距離250mmのレンズで絞り込み、ガ
ラス基板上でのビームサイズが約2mmになるようにし
て照射を行った。使用したガラスは、前記実施例1で使
用したものと同種のレーザ加工性のあるガラスを使用
し、Agイオンのガラス内への導入条件は、溶融塩の温
度を300℃とした以外は実施例1と同様とし、使用す
るレーザ光はNd:YAGレーザの第2高調波である5
32nmの光とした。パルス幅は約10nsec、繰り
返し周波数は5Hzであった。またレーザ光の1パルス
あたりのエネルギーは、レーザのQスイッチのタイミン
グを変えることで調整が可能であり、本実施例で用いた
レーザの場合、最大のパルスエネルギーは約90mJで
あり、ビーム直径は約5mmであった。
【0029】上記のガラス基板にレーザ加工を行うに
は、先ずレーザ光の強度を下げてレーザ光が図8に示す
ようにマスクの基板側からほぼ垂直に入射するように光
軸の調整を行い、その後、レーザ光源のQスイッチのタ
イミングを変えて、レーザ光のエネルギーを徐々に増加
させた。レーザ光の光エネルギーが約4J/cm2/pu
lseになったときガラスのアブレーションが確認され
たので、その状態のまま5パルスだけレーザ光を照射
し、レーザ光の照射を停止した。
【0030】上記ガラス基板に形成された凹凸の形状を
図9に示す。ここで、図9(a)は加工後のガラス基板
の平面の写真、同図(b)は同写真に基づいて作成した
図であり、これらの図から明らかなように、ガラス基板
にはメッシュ間隔50μmのマスクパターンが忠実に転
写されていた。また、各凹部の周辺の割れは観察されな
かった。尚、1μm前後の間隔で回折光の干渉光のパタ
ーンも観察された。このことは1μm前後の微細なオー
ダーでの転写も可能であることを示している。また本実
施例では、532nmのレーザ光を用いたが、355n
mの光でも同様の結果が得られた。更に、マスクの材料
としては銅に限らず、アルミ、金等の熱伝導性に優れた
材料、タングステン、ステンレス、タンタル等の高融点
材料を使用することが可能である。
【0031】尚、上記の如きマスクパターンが転写され
たガラス基板は、例えば凹部に高屈折率樹脂を充填する
等の加工を施すことで、液晶ディスプレイ装置やプラズ
マディスプレイ装置等に組み込まれる平板型のマイクロ
レンズアレイ等として用いられる。
【0032】(実施例4)この実施例にあっては、図1
0に示すように、銅製のマスクをガラス基板上に密着さ
せずに、レンズの光軸上に設置してレーザ光をガラス基
板に照射した。使用したガラス、Agイオンのガラス内
への導入条件及び使用レーザ光は、前記実施例3と同様
とした。
【0033】また図10において、レンズ(焦点距離10
0mm)のレンズによってマスクの実像が結像する位置に
ガラスをセットした。そして、実施例3と同様に、ガラ
スがアブレーションするエネルギー密度である約4J/
cm2/pulseになったときガラスのアブレーション
が確認されたので、その状態のまま10パルスだけレー
ザ光を照射し、レーザ光の照射を停止した。
【0034】上記ガラス基板に形成された凹凸の形状を
図11に示す。ここで、図11(a)は加工後のガラス
基板の平面の写真、同図(b)は同写真に基づいて作成
した図であり、これらの図から明らかなように、ガラス
基板には実施例3と同一のマスクを用いて、実施例3よ
りも縮小されたサイズでメッシュが転写されていた。こ
のように、レンズを用いることで、縮小転写及び拡大転
写が可能となる。
【0035】また、上記にあってはマスクを用いて平板
型のマイクロレンズアレイ用のガラス基板を製造する例
を示したが、3本或いはそれ以上のレーザ光を干渉させ
ることによって、図12の(a)及び(b)に示すよう
に、マイクロレンズアレイ用のガラス基板を製造するこ
とが可能である。
【0036】尚、実施例にあってはAl23−B23
Na2O−F系の珪酸塩ガラスにAgイオン交換処理を施
したものを示したが、他のガラスにAgイオン交換処理
を施したもの、或いはAgイオン交換処理を施さないも
のであっても、レーザ加工性を有するものであれば本発
明方法の実施対象として用いることができる。また、本
発明方法の実施対象となるガラス基材の形状としては板
状のものに限らず、円柱状等任意である。
【0037】
【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
レーザ光によってガラスを加工するにあたり、ガラス表
面に照射されるレーザ光の光強度を部分的に異ならせ、
光強度の強い部分のガラス除去量を多く、光強度の弱い
部分のガラス除去量を少なくしてガラス表面に微細な凹
凸を形成するようにしたので、従来に比べ極めて微細な
パターンを正確且つ短時間に形成することができる。
【0038】したがって、回折格子の製造或いは平板マ
イクロレンズアレイの基板の製造等に利用すれば、極め
て有効である。
【0039】特に、使用するガラスとして銀が原子、コ
ロイドまたはイオンの形態でガラス中に導入され、且つ
A銀の濃度が加工される表面において最も高濃度で、表
面から内部に行くにしたがって徐々に濃度が低下するよ
うにすれば、波長が比較的長いレーザ光を使用しても、
割れや欠けが生じることがない。そして、波長の長いレ
ーザ光を使用できれば、空気による吸収を考慮しなくて
よいので、装置自体が簡単になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は本発明に係るガラスのレーザ
加工方法の基本的概念を説明した図
【図2】イオン交換に用いる装置の模式図
【図3】本発明方法で回折格子を製造する装置の概略図
【図4】(a)はフェイズマスクの作用を説明した図、
(b)は同フェイズマスクを介してガラス基板にレーザ
光を照射している状態を示す図、(c)はレーザ加工さ
れたガラス基板を示す図
【図5】(a)は回折格子の平面を走査型電子顕微鏡で
観察した写真(10,000倍)、(b)は同写真に基づいて
作成した図
【図6】(a)は回折格子の断面を走査型電子顕微鏡で
観察した写真(10,000倍)、(b)は同写真に基づいて
作成した図
【図7】レーザ光に周期的な強度分布を形成する手段の
別実施例を示す図
【図8】ガラス基板上にレーザ加工にてメッシュパター
ンを形成する装置の概略図
【図9】(a)はレーザ加工後のガラス基板の平面を走
査型電子顕微鏡で観察した写真、(b)は同写真に基づ
いて作成した図
【図10】ガラス基板上にレーザ加工にてメッシュパタ
ーンを形成する装置の別実施例の概略図
【図11】(a)はレーザ加工後のガラス基板の平面を
走査型電子顕微鏡で観察した写真(10,000倍)、(b)
は同写真に基づいて作成した図
【図12】(a)はレーザ加工後のガラス基板の平面を
原子間力顕微鏡で観察した写真、(b)は同写真に基づ
いて作成した図

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス基材に対してレーザ光を照射し、
    レーザ光エネルギーをガラス基材に吸収させ、このエネ
    ルギーによる溶融、蒸発若しくはアブレーションによっ
    てガラスを除去するようにしたガラス基材のレーザ加工
    方法において、前記ガラス基材表面に照射されるレーザ
    光の光強度を部分的に異ならせ、光強度の強い部分のガ
    ラス除去量を多く、光強度の弱い部分のガラス除去量を
    少なくしてガラス基材表面に微細な凹凸を形成するよう
    にしたことを特徴とするガラス基材のレーザ加工方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のガラス基材のレーザ加
    工方法において、前記レーザ光は周期的な光強度分布を
    有するレーザ光としたことを特徴とするガラス基材のレ
    ーザ加工方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のレーザ加工方法におい
    て、周期的な光強度分布を有するレーザ光は、フェイズ
    マスクによって得ることを特徴とするレーザ加工方法。
  4. 【請求項4】 請求項2に記載のガラス基材のレーザ加
    工方法において、前記周期的な光強度分布を有するレー
    ザ光は、2本のレーザ光を干渉せしめることによって得
    ることを特徴とするガラス基材のレーザ加工方法。
  5. 【請求項5】 請求項2または請求項3に記載のガラス
    基材のレーザ加工方法において、前記ガラス基材表面に
    形成される周期的な凹凸の断面形状を、レーザ光のパル
    スエネルギーにて制御することを特徴とするガラス基材
    のレーザ加工方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5に記載のガラス基
    材のレーザ加工方法において、レーザ加工されるガラス
    基材には、表面から所定の深さまで或いは全体に亘って
    Ag原子、AgコロイドまたはAgイオンの形態で銀が含
    有され、この銀の濃度は加工が施される側の表面におけ
    る濃度が最も高く、徐々に他の面側に向かって濃度が低
    下するように濃度勾配が形成されていることを特徴とす
    るガラス基材のレーザ加工方法。
  7. 【請求項7】 光結合器、偏光器、分波器、波長フィル
    タ、反射器或いはモード変換器等に組み込まれる回折格
    子において、この回折格子は板状をなすガラス基材の一
    面側に周期的な光強度分布を有するレーザ光の照射によ
    って形成された周期的な凹凸が設けられていることを特
    徴とするレーザ加工方法によって得られる回折格子。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の回折格子において、こ
    の回析格子を構成する板状をなすガラス基材は表面から
    所定の深さまで或いは全体に亘ってAg原子、Agコロイ
    ドまたはAgイオンの形態で銀が含有され、この銀の濃
    度は回析格子が形成される側の表面における濃度が最も
    高く、徐々に他の面側に向かって濃度が低下するように
    濃度勾配が形成されていることを特徴とする回折格子。
  9. 【請求項9】 液晶表示素子等に組み込まれる平板型の
    マイクロレンズアレイにおいて、この平板型マイクロレ
    ンズアレイは板状をなすガラス基材の一面側に規則的な
    光強度分布を有するレーザ光の照射によって形成された
    規則的な凹部が設けられていることを特徴とするレーザ
    加工方法によって得られるマイクロレンズアレイ。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載のマイクロレンズアレ
    イにおいて、このマイクロレンズアレイを構成する板状
    をなすガラス基材は表面から所定の深さまで或いは全体
    に亘ってAg原子、AgコロイドまたはAgイオンの形態
    で銀が含有され、この銀の濃度は回析格子が形成される
    側の表面における濃度が最も高く、徐々に他の面側に向
    かって濃度が低下するように濃度勾配が形成されている
    ことを特徴とするマイクロレンズアレイ。
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