JP2001191457A - 積層熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

積層熱可塑性樹脂フィルム

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JP2001191457A
JP2001191457A JP2000000774A JP2000000774A JP2001191457A JP 2001191457 A JP2001191457 A JP 2001191457A JP 2000000774 A JP2000000774 A JP 2000000774A JP 2000000774 A JP2000000774 A JP 2000000774A JP 2001191457 A JP2001191457 A JP 2001191457A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐ブロッキング性、巻き取り性、加工適性に
優れ、また金属蒸着薄膜型磁気記録媒体の支持体として
使用すると電磁変換特性に優れる、積層熱可塑性樹脂フ
ィルムを提供する。 【解決手段】 熱可塑性樹脂層Bの一方の面に熱可塑性
樹脂層Aが積層され、他方の面にバイイダー樹脂、不活
性粒子C、界面活性剤及びシロキサン共重合アクリル樹
脂からなる皮膜層Cが積層されてなるフィルムであっ
て、該熱可塑性樹脂層Aが、平均粒径100〜2,00
0nmの不活性粒子Aを0.001〜5重量% (層A
に対して)および炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボ
ン酸および多価アルコールからなる、部分ケン化してい
ても良い、エステルワックスを0.001〜10重量%
(層Aに対して)含有し、かつ上記層Aの、層Bと接
していない表面の水接触角が70〜90°であることを
特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は積層熱可塑性樹脂フ
ィルムに関し、さらに詳しくは耐ブロッキング性、巻き
取り性及び加工適性に優れ、また金属蒸着薄膜型磁気記
録媒体の支持体に使用すると電磁変換特性に優れる、積
層熱可塑性樹脂フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体の高密度化の進歩は
めざましく、例えば強磁性金属薄膜を、真空蒸着やスパ
ッタリングなどの物理沈着法またはメッキ法により、非
磁性支持体上に形成させた強磁性金属薄膜型磁気記録媒
体の開発実用化が進められている。例えば、Coの蒸着
テープ(特開昭54−147010号公報)、Co−C
r合金からなる垂直磁気記録媒体(特開昭52−134
706号公報)が知られている。
【0003】従来の塗布型磁気記録媒体(磁性粉末を有
機高分子バインダーに混入させて非磁性支持体上に塗布
してなる磁気記録媒体)は、記録密度が低く、記録波長
も長いために、磁性層の厚みが2μm程度以上と厚い。
これに対し、真空蒸着、スパッタリングまたはイオンプ
レーティングなどの薄膜形成手段によって形成される金
属薄膜は、厚みが0.2μm以下と非常に薄くなってい
る。
【0004】このため、上記の高密度磁気記録媒体にお
いては、非磁性支持体(ベースフィルム)の表面状態が
磁気記録層の表面性に大きな影響を及ぼす。すなわち、
非磁性支持体の表面状態が、そのまま磁気記録層表面の
凹凸として発現し、それが記録・再生信号の雑音の原因
となる。従って、非磁性支持体の表面はできるだけ平滑
であることが望ましい。
【0005】一方、非磁性支持体の製膜、加工工程での
搬送、傷つき、巻き取り、巻出しといったハンドリング
の観点からは、フィルム表面が平滑過ぎると、フィルム
の滑り性、例えばフィルム−フィルム相互の滑り性が悪
化し、製品歩留りの低下、ひいては製品の製造コストの
上昇をきたす。従って、製造コストという観点では、非
磁性支持体の表面はできるだけ粗いことが好ましい。
【0006】このように、非磁性支持体の表面は、電磁
変換特性という観点からは平滑であることが要求され、
ハンドリング性及び製造コストの観点からは粗いことが
要求される。
【0007】さらに、金属薄膜型磁気記録媒体の場合に
は、金属薄膜とベースフィルムとの密着性を良好にする
ため、金属薄膜成形前にイオンボンバード処理と呼ばれ
る、ベースフィルム表面をイオンにより活性化する処理
が施される。そして、金属薄膜成形時には、フィルム表
面に高温の熱がかかり、ベースフィルムが融解してしま
ったり、あるいは機械特性などの物性の低下を招かぬよ
うに、背面冷却を施している。背面冷却の方法として
は、ドラム状冷却体にベースフィルムを巻き付けて実施
する場合が多く、その際ドラム表面に金属薄膜が形成さ
れないように、ベースフィルム両端をマスキングしてい
る。
【0008】従って、金属薄膜の蒸着工程を通過したフ
ィルムロールの両端部には、上記イオンボンバード処理
によって表面が活性化され、かつ金属薄膜が形成されな
い部分が長手方向に連続的に存在することになる。この
部分は、ロール状に巻き上げられた状態では、反対面側
と高い圧力で接触することになり、ブロッキングを引き
起しやすい。
【0009】金属薄膜型磁気記録媒体を製造する際に
は、通常、金属薄膜を蒸着した後にバックコート層、お
よび必要に応じてトップコート層を設けるが、これらの
加工工程において蒸着フィルムロールに上記ブロッキン
グが発生していると、該ロールからフィルムを巻き出す
時フィルムの切断やしわが発生しやすくなり、収率が大
幅に低下してしまう、という問題が生じる。
【0010】上記のような問題を解決するために、例え
ば特開平9−207290号公報、特開平9−2260
63号公報には、樹脂層A、Bの2層からなり、A層表
面よりもB層表面の方が粗い積層フィルムが提案されて
いる。しかしながら、このような方法では、電磁変換特
性とハンドリング性及び巻き取り性とのバランスはある
程度取れるものの、まだ不充分であり、かつ上記ブロッ
キングの発生を抑制することができない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、この
ような従来技術の欠点を解消し、耐ブロッキング性、巻
き取り性及び加工適性に優れ、また金属蒸着薄膜型磁気
記録媒体の支持体に使用すると電磁変換特性に優れる、
積層熱可塑性樹脂フィルムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、本発明
によれば、熱可塑性樹脂層Bの一方の面に熱可塑性樹脂
層Aが積層され、他方の面にバインダー樹脂、不活性粒
子C、界面活性剤及びシロキサン共重合アクリル樹脂か
らなる皮膜層Cが塗設されてなる積層フィルムであっ
て、該熱可塑性樹脂層Aが平均粒径100〜2,000
nmの不活性粒子Aを0.001〜5重量%(層Aに対
して)、及び炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸
および多価アルコールからなる、部分ケン化していても
良い、エステルワックスを0.001〜10重量%(層
Aに対して)含有し、かつ該熱可塑性樹脂層Aの、熱可
塑性樹脂層Bと接していない表面の水接触角が70〜9
0°であることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィルム
によって達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明において、熱可塑性樹脂層
A、熱可塑性樹脂層Bを構成する熱可塑性樹脂A、Bと
しては、それぞれ、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系
樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカ
ーボネート系樹脂、ポリビニル系樹脂、ポリオレフィン
系樹脂などを例示することができる。これらのうち、ポ
リエステル系樹脂、特に芳香族ポリエステルが好まし
い。上記熱可塑性樹脂A、Bは異なる種類であっても良
いが、同種類の方が好ましい。
【0014】上記芳香族ポリエステルとしては、ポリエ
チレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、
ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シ
クロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート(ポリエチレン−2,6−ナ
フタレンジカルボキシレート)などを例示することがで
きる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレン−2,6−ナフタレートが特に好ましい。
【0015】これら芳香族ポリエステルは、ホモポリエ
ステルであっても、コポリエステルであっても良い。コ
ポリエステルの場合、例えばポリエチレンテレフタレー
トまたはポリエチレン−2,6−ナフタレートの共重合
成分としては、ジエチレングリコール、プロピレングリ
コール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレング
リコール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリ
コール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、p−キ
シリレングリコールなどの他のジオール成分、アジピン
酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル
酸(ただし、ポリエチレン−2,6−ナフタレートの場
合)、2,6−ナフタレンジカルボン酸(ただし、ポリ
エチレンテレフタレートの場合)、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸などの他のジカルボン酸成分、p−オキ
シエトキシ安息香酸などのオキシカルボン酸成分などを
例示することができる。これら共重合成分の量は、ポリ
マーを形成する全酸成分に対して、20モル%以下、さ
らには10モル%以下であることが好ましい。
【0016】さらにトリメリット酸、ピロメリット酸な
どの3官能以上の多官能化合物を共重合させることもで
きる。この場合、ポリマーが実質的に線状である量、例
えば2モル%以下で共重合させるのが良い。
【0017】ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン−2,6−ナフタレート以外の他のポリエステルの場
合の共重合成分についても、上記と同様に考えてよい。
【0018】上記熱可塑性樹脂A、Bはそれ自体公知で
あり、かつそれ自体公知の方法で製造することができ
る。
【0019】本発明における熱可塑性樹脂層Aは、平均
粒径100〜2,000nmの不活性粒子(以下、不活
性粒子Aという)を0.001〜5重量%(層Aに対し
て)含有する。
【0020】上記不活性粒子Aの好ましいものとして
は、例えば(1)耐熱性ポリマー粒子(例えば、架橋シ
リコーン樹脂、架橋ポリスチレン、架橋アクリル樹脂、
メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、芳香族ポリアミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、架橋ポリ
エステル樹脂などの一種からなる粒子)、そのほか
(2)金属酸化物(例えば、三二酸化アルミニウム、二
酸化チタン、二酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化亜
鉛、酸化ジルコニウムなど)、(3)金属の炭酸塩(例
えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなど)、
(4)金属の硫酸塩(例えば、硫酸カルシウム、硫酸バ
リウムなど)、(5)炭素(例えば、カーボンブラッ
ク、グラファイト、ダイアモンドなど)、および(6)
粘土鉱物(例えば、カオリン、クレー、ベントナイトな
ど)などのような無機化合物からなる微粒子が挙げられ
る。これらのうち、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋ポリ
スチレン樹脂粒子、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂粒
子、ポリアミドイミド樹脂粒子、その他三二酸化アルミ
ニウム(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、酸
化ジルコニウム、合成炭酸カルシウム、硫酸バリウム、
ダイアモンド、およびカオリンからなる微粒子が好まし
い。さらに好ましくは、架橋シリコーン樹脂粒子、架橋
ポリスチレン樹脂粒子、その他三二酸化アルミニウム
(アルミナ)、二酸化チタン、二酸化ケイ素、および炭
酸カルシウムからなる微粒子である。
【0021】上記不活性粒子Aの平均粒径(dA)は1
00〜2,000nm、好ましくは200〜1,500
nm、さらに好ましくは200〜1,000nm、特に
好ましくは200〜800nmである。また、不活性粒
子Aの含有量は、層Aに対して、0.001〜5重量
%、好ましくは0.01〜4重量%、さらに好ましくは
0.03〜3重量%、特に好ましくは0.05〜2.0
重量%である。不活性粒子Aの平均粒径が100nm未
満、または含有量が0.001重量%未満(層Aに対し
て)の場合、フィルムの巻き取り性、耐ブロッキング性
が不良となる。一方、不活性粒子Aの平均粒径が2,0
00nmを超えるか、または含有量が5重量% (層A
に対して)を超えると、反対面(層B表面)への突起の
形状転写や、層Bの下からの突起の突き上げによって層
B表面が粗くなってしまい、電磁変換特性を悪化させ
る。
【0022】上記不活性粒子Aは単独使用、または他の
微細粒子の1種以上と組み合せて使用してもよい。他の
微細粒子を併用する場合、該粒子は不活性粒子Aの平均
粒径dAよりも小さい平均粒径の粒子である。かかる微
細粒子、例えば第2の粒子、第3の粒子としては、例え
ば、コロイダルシリカ、α、γ、δ、θなどの結晶形態
を有するアルミナなどの微粒子を好ましく用いることが
できる。また、平均粒径dAを有する不活性粒子Aとし
て例示した粒子種のうち、平均粒径の小さい微細粒子
も、第2の粒子、第3の粒子として用いることができ
る。
【0023】上記微細粒子の平均粒径は5〜400n
m、さらには10〜300nm、特に30〜250nm
の範囲にあり、かつ平均粒径dAよりも50nm以上、
さらには100nm以上、特に150nm以上小さいこ
とが好ましい。この微細粒子の含有量は、層Aに対し
て、好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましく
は0.01〜0.7重量%、特に好ましくは0.05〜
0.5重量%である。
【0024】本発明における熱可塑性樹脂層Aは、炭素
数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価アルコ
ールからなる、部分ケン化していても良い、エステルワ
ックスを、層Aに対して、0.001〜10重量%含有
する。この「部分ケン化していても良い、エステルワッ
クス」とは、エステルワックス、部分ケン化エステルワ
ックスを包含する表現として用いられ、(部分ケン化)
エステルワックスということがある。
【0025】上記脂肪族モノカルボン酸の炭素数は8個
以上、好ましくは8〜34個である。炭素数が7個以下
であると、(部分ケン化)エステル化合物の耐熱性が不
充分であり、熱可塑性樹脂Aに分散含有させる際の加熱
条件で、該化合物の分解が容易に進むため不適切であ
る。
【0026】上記炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボ
ン酸としては、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデシル
酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタ
デシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン
酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ペヘン酸、リグノセリ
ン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ヘントリ
アコンタン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エルカ
酸、リノール酸およびこれらを含む酸混合物などを例示
できる。
【0027】上記(部分ケン化)エステルワックスのア
ルコール成分は、水酸基を2個以上有する多価アルコー
ルである。耐熱性の観点からは、水酸基を3個以上有す
る多価アルコールが好ましい。モノアルコールを用いた
のでは、(部分ケン化)エステル化合物の耐熱性が不足
し、本発明におけるワックスとしての使用に耐えない。
【0028】水酸基を2個有する多価アルコールとして
は、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリ
メチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5
−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,
7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、
1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、
ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリ
エチレングリコールなどを好ましく例示できる。水酸基
を3個以上有する多価アルコールとしては、グリセリ
ン、エリスリット、トレイット、ペンタエリスリット、
アラビット、キシリット、タリット、ソルビット、マン
ニットなどを好ましく例示できる。
【0029】上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールから得られるエステルワックスとしては、多価ア
ルコールの水酸基の数にもよるが、モノエステル、ジエ
ステル、トリエステルなどが挙げられる。耐熱性の観点
から、モノエステルよりもジエステルが、ジエステルよ
りもトリエステルが好ましい。好ましいエステルワック
スとしては、具体的にはソルビタントリステアレート、
ペンタエリスリットトリペヘネート、グリセリントリパ
ルミテート、ポリオキシエチレンジステアレートなどが
挙げられる。
【0030】上記脂肪族モノカルボン酸および多価アル
コールからなる部分ケン化エステルワックスは、炭素数
が8個以上の高級脂肪酸を多価アルコールで部分エステ
ル化したのち、2価以上の金属水酸化物でケン化するこ
とにより得られる。具体例としては、モンタン酸ジオー
ルエステルを水酸化カルシウムでケン化した、ワックス
E、ワックスOP、ワックスO、ワックスOM、ワック
スFL(全て、ヘキスト(株)社製商品名)などが挙げ
られる。
【0031】上記(部分ケン化)エステルワックスは単
独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】本発明における熱可塑性樹脂層Aは、上記
(部分ケン化)エステルワックスを、層Aに対して、
0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量
%、さらに好ましくは0.05〜2重量%、特に好まし
くは0.1〜1重量%含有する。この含有量が0.00
1重量%未満であると、ブロッキング改良効果が得られ
ない。一方、10重量%を超えると、フィルム製造工程
で、ロール上に巻き上げたときに接する面とは反対面側
に、ブリードアウトによってワックス成分が多量に転写
され、そのため、例えば金属蒸着層とベースフィルムの
接着性を妨げるなどの弊害が生じる。
【0033】また、本発明における熱可塑性樹脂層A
の、層Bと接していない表面の水接触角は70〜90
°、好ましくは71〜89°、さらに好ましくは72〜
88°、特に好ましくは74〜86°である。この水接
触角が70°未満では、ブロッキング改良効果が得られ
ない。一方、90°を超えると、バックコート層を塗布
する工程で塗布斑などの問題が発生する。
【0034】上記熱可塑性樹脂層Aの外表面の中心線平
均粗さRaAは2〜20nm、さらに3〜15nm、特に
4〜10nmであることが好ましい。このRaAがこの範
囲内にあると、層A表面の滑り性及び耐削れ性に対する
効果が大きい。
【0035】本発明の積層フィルムは、フィルムの製造
時および加工時のハンドリング性向上と、さらに磁気記
録媒体としたときの諸特性向上を目的として、磁性層を
設ける側の面に熱可塑性樹脂層Bを設ける。
【0036】本発明における熱可塑性樹脂層Bは、実質
的に不活性粒子を含有しないものでもよく、また不活性
粒子Bを含有するものでもよい。
【0037】上記熱可塑性樹脂層Bが実質的に不活性粒
子を含有しない場合、磁気記録媒体としたときの電磁変
換特性に優れるので好ましい。
【0038】一方、走行耐久性向上の観点からは、上記
熱可塑性樹脂層Bに電磁変換特性に悪影響を与えない範
囲の不活性粒子を含有させるのが好ましい。具体的に
は、平均粒径が30〜200nmの不活性球状粒子B
を、層Bに対して、0.001〜0.2重量%含有させ
るのが好ましい。好ましい不活性粒子Bとしては、球状
シリカ粒子、球状架橋シリコーン樹脂粒子、球状架橋ポ
リエスチレン樹脂粒子を挙げることができる。不活性粒
子Bの平均粒径dBは30〜200nm、さらには40
〜150nm、特に50〜100nmであることが好ま
しい。この平均粒径dBが30nm未満であると、フィ
ルムの滑り性が不良となることがあり、一方200nm
を超えると、磁気記録媒体の電磁変換特性が不良となる
ことがあるため好ましくない。不活性粒子Bは1種また
は2種以上のものを混合して使用してもよい。
【0039】不活性粒子Bを熱可塑性樹脂層Bに配合す
る場合の含有量は、層Bに対して、0.001〜0.2
重量%、さらには0.01〜0.1重量%、特に0.0
2〜0.05量%であることが好ましい。この含有量が
0,001重量%未満であると、フィルムの滑り性が不
良となることがあり、一方0.2重量%を超えると、磁
気記録媒体の電磁変換特性が不良となることがあるた
め、好ましくない。
【0040】本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、熱
可塑性樹脂層Bの熱可塑性樹脂層Aと接していない表面
に、バインダー樹脂、不活性粒子C、界面活性剤及びシ
ロキサン共重合アクリル樹脂からなる皮膜層Cが塗設さ
れている必要がある。
【0041】本発明における皮膜層Cを構成するバイン
ダー樹脂としては、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、
エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロ
ース樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル―酢酸ビニル共
重合体等を例示することができる。これらのうち、熱可
塑性樹脂層B、特にポリエステル層Bに対する密着性、
突起保持性、易滑性などの点から、水溶性又は水分散性
の樹脂であり、かつアクリル樹脂、ポリエステル樹脂及
びアクリル―ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる
樹脂が好ましい。これら樹脂は単一重合体でも共重合体
でもよく、また混合物でも差支えない。バインダー樹脂
の含有量は、層Cに対して、20〜90重量%が好まし
い。
【0042】上記水溶性又は水分散性のアクリル樹脂
は、例えばアクリル酸エステル(アルコール残基として
は、メチル基、エチル基、n―プロピル基、イソプロピ
ル基、n―ブチル基、イソブチル基、t―ブチル基、2
―エチルヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基、
ベンジル基、フェニルエチル基等を例示できる);メタ
クリル酸エステル(アルコール残基は上記と同じ);2
―ヒドロキシエチルアクリレート、2―ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、2―ヒドロキシプロピルアクリレー
ト、2―ヒドロキシプロピルメタクリレート等の如きヒ
ドロキシ含有モノマー;アクリルアミド、メタクリルア
ミド、N―メチルメタクリルアミド、N―メチルアクリ
ルアミド、N―メチロールアクリルアミド、N―メチロ
ールメタクリルアミド、N,N―ジメチロールアクリル
アミド、N―メトキシメチルアクリルアミド、N―メト
キシメチルメタクリルアミド、N―フェニルアクリルア
ミド等の如きアミド基含有モノマー;N,N―ジエチル
アミノエチルアクリレート、N,N―ジエチルアミノエ
チルメタクリレート等の如きアミノ基含有モノマー;グ
リシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ア
リルグリシジルエーテル等の如きエポキシ基含有モノマ
ーなどの1種以上の単量体から、あるいはかかる単量体
と例えば、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸及び
これらの塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩、アンモ
ニウム塩等)等の如きスルホン酸基又はその塩を含有す
るモノマー;クロトン酸、イタコン酸、アクリル酸、マ
レイン酸、フマール酸及びそれらの塩(例えばナトリウ
ム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等の如きカルボ
キシル基又はその塩を含有するモノマー;無水マレイン
酸、無水イタコン酸等の無水物を含有するモノマー;そ
の他ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、ス
チレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテ
ル、ビニルトリスアルコキシシラン、アルキルマレイン
酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、ア
クリロニトリル、メタクリロニトリル、アルキルイタコ
ン酸モノエステル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、塩化
ビニル等の単量体の組合せからつくられたものである
が、アクリル酸誘導体、メタクリル酸誘導体の如き(メ
タ)アクリル単量体の成分が50モル%以上含まれてい
るものが好ましく、特にメタクリル酸メチルの成分を含
有しているものが好ましい。
【0043】上記水溶性又は水分散性のアクリル樹脂は
分子内の官能基で自己架橋することができるし、メラミ
ン樹脂やエポキシ化合物等の架橋剤を用いて架橋するこ
ともできる。
【0044】また、上記水溶性又は水分散性のポリエス
テル樹脂を構成する酸成分としては、例えばテレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4―シクロヘキサン
ジカルボン酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,
4′―ジフェニルジカルボン酸、アジピン酸、セバシン
酸、ドデカンジカルボン酸、コハク酸、5―ナトリウム
スルホイソフタル酸、2―カリウムスルホテレフタル
酸、トリメリット酸、トリメシン酸、無水トリメリット
酸、無水フタル酸、p―ヒドロキシ安息香酸、トリメリ
ット酸モノカリウム塩等の多価カルボン酸を例示するこ
とができる。
【0045】ヒドロキシ化合物成分としては、例えばエ
チレングリコール、プロピレングリコール、1,3―プ
ロパンジオール、1,4―ブタンジオール、1,6―ヘ
キサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4―シ
クロヘキサンジメタノール、p―キシリレングリコー
ル、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、ジエ
チレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチ
レンオキシドグリコール、ポリテトラメチレンオキシド
グリコール、ジメチロールプロピオン酸、グリセリン、
トリメチロールプロパン、ジメチロールエチルスルホン
酸ナトリウム、ジメチロールプロパン酸カリウム等の多
価ヒドロキシ化合物を例示することができる。
【0046】これらの化合物から常法によってポリエス
テル樹脂をつくることができる。水性塗料をつくる点か
らは、5―ナトリウムスルホイソフタル酸成分又はカル
ボン酸塩基を含有する水性ポリエステル樹脂を用いるの
が好ましい。かかるポリエステル樹脂は分子内に官能基
を有する自己架橋型とすることができるし、メラミン樹
脂、エポキシ樹脂のような硬化剤を用いて架橋すること
もできる。
【0047】本発明におけるアクリル―ポリエステル樹
脂は、アクリル変性ポリエステル樹脂とポリエステル変
性アクリル樹脂とを包含する意味で用いており、アクリ
ル樹脂成分とポリエステル樹脂成分とが互いに結合した
ものであって、例えばグラフトタイプ、ブロックタイプ
等を包含する。
【0048】上記水溶性又は水分散性のアクリル―ポリ
エステル樹脂は、例えばポリエステル樹脂の両端にラジ
カル開始剤を付加してアクリル単量体の重合を行わせた
り、ポリエステル樹脂の側鎖にラジカル開始剤を付加し
てアクリル単量体の重合を行わせたり、あるいはアクリ
ル樹脂の側鎖に水酸基を付け、末端にイソシアネート基
やカルボキシル基を有するポリエステルと反応させて櫛
形ポリマーとする等によって製造することができる。か
かるアクリル−ポリエステル樹脂を構成する成分として
は、上記アクリル樹脂を形成する単量体として、またポ
リエステル樹脂を構成する酸成分及びヒドロシキ化合物
成分として例示したものを例示することができる。
【0049】本発明における皮膜層Cに配合される不活
性粒子Cの材質としては、ポリスチレン、ポリスチレン
―ジビニルベンゼン、ポリメチルメタクリレート、メチ
ルメタクリレート共重合体、メチルメタクリレート共重
合架橋体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデ
ンフルオライド、ポリアクリロニトリル、ベンゾグアナ
ミン樹脂等の如き有機質、シリカ、アルミナ、二酸化チ
タン、カオリン、タルク、グラファイト、炭酸カルシウ
ム、長石、二硫化モリブデン、カーボンブラック、硫酸
バリウム等の如き無機質のいずれを用いてもよい。ま
た、内外部のそれぞれの性質が異なる物質で構成される
多層構造のコアシェル型粒子として用いてもよい。
【0050】上記不活性粒子Cの平均粒径は5〜100
nm、さらには10〜50nmであることが好ましい。
粒度分布は均一であるものが好ましい。この平均粒径が
5nm未満であると、滑り性、耐削れ性が悪化する。一
方、平均粒径が100nmを超えると、層Cからの、粒
子の脱落が発生し、耐削れ性が悪化する。また、磁気ヘ
ッドとのスペーシングが大きくなり、高密度の磁気記録
媒体として供することが困難となる。
【0051】上記不活性粒子Cの含有量は、層Cに対し
て、0.5〜30重量%、さらに0.8〜20重量%、
特に1.0〜10重量%であることが好ましい。この含
有量が0.5重量%未満では、磁気記録媒体としたとき
の走行耐久性が不足し、一方30重量%を超えると、電
磁変換特性に悪影響を及ぼす。
【0052】本発明における皮膜層Cは、シロキサン共
重合アクリル樹脂を含有していることを特徴とする。こ
のシロキサン共重合アクリル樹脂は、シロキサン成分と
アクリル樹脂成分とが互いに結合したものであって、例
えばグラフトタイプ、ブロックタイプ等を包含する共重
合体である。例えばアクリル樹脂の両端にラジカル開始
剤を付加してシロキサンの重合を行わせたり、シロキサ
ンの側鎖に水酸基を付け、末端にイソシアネート基やカ
ルボキシル基を有するアクリルと反応させて櫛形ポリマ
ーとする等によって製造することができる。
【0053】上記アクリル樹脂成分を構成する成分とし
ては、バインダー樹脂に用いるアクリル樹脂で例示した
ものを例示することができる。
【0054】上記シロキサン成分としては、鎖状成分と
して
【0055】
【化1】
【0056】ただし、R1はメチル基、フェニル基又は
水素であり、R2はメチル基、フェニル基、水素または
官能性基(例えば、エポキシ基、アミノ基、水酸基)で
あり、nは100〜7000の数である。を有するポリ
シロキサン化合物であり、末端にエポキシ基、アミノ
基、水酸基、その他の官能性末端基を有するものがあげ
られる。上記シロキサン成分は必ずしもホモポリマーで
ある必要はなく、コポリマーまたは数種のホモポリマー
の混合体であってもよい。
【0057】上記アクリル樹脂成分とシロキサン成分の
比率は、重量比で、98:2〜50:50、さらには9
5:5〜60:40であることが好ましい。
【0058】上記皮膜層C中のシロキサン共重合アクリ
ル樹脂の含有量は1〜30重量%、更には1〜20重量
%であることが好ましい。この含有量が1重量%未満で
あると、効果が不充分でブロッキングの発生及び帯電の
増加を引き起こし、一方30重量%を超えると、磁性層
の接着性を悪化させたり、ロール状に巻いたときに接触
面への転写が発生したり、フィルム走行時に接触ロール
の汚れを惹き起こす。
【0059】上記皮膜層Cを構成する界面活性剤につい
ては、特に限定はされないが、ノニオン型界面活性剤、
アニオン型界面活性剤、カチオン型界面活性剤などが例
示できる。これらの中ノニオン型界面活性剤が好まし
い。ノニオン型界面活性剤としては、エステル型、エー
テル型、アルキルフェノール型のものが挙げられ、さら
に具体的にはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ソルビタンステアレー
ト、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等
が挙げられる。
【0060】これら界面活性剤の具体例としては、ポリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル系化合物とし
て、日本油脂株式会社製の商品名「ノニオンNS−23
0」、「同NS−240]、「同HS−220]、「同
HS−240」、三洋化成株式式会社製の商品名「ノニ
ポール200」、「ノニポール400」、「ノニポール
500」、「オクタポール4000」;ポリオキシエチ
レンアルキルエーテル系化合物として、日本油脂株式会
社製の商品名「ノニオンE−230」、「同K−22
0」、「同K−230」;高級脂肪酸のポリオキシエチ
レンアルキルエステル系化合物として、日本油脂株式会
社製の商品名「ノニオンS−15.4」、「同S−4
0]等を例示することができる。
【0061】界面活性剤の含有量は、皮膜層Cに対し
て、5〜40重量%、さらには5〜40重量%、特に1
0〜40重量%、就中12〜30重量%の範囲が好まし
い。
【0062】本発明において、皮膜層Cの表面粗さRaC
は0.1〜2nm、さらには0.5〜1.5nmである
ことが好ましい。この表面粗さRaCが2nmを超える場
合には、特に金属薄膜型磁気記録媒体としたときに電磁
変換特性が悪化する。一方、このRaCが0.1nm未満
の場合は、滑り性が極度に悪化して走行耐久性が不足し
たり、磁気ヘッドに貼り付いてテープ鳴きを生じたりし
て実用に供することが出来なくなり易い。
【0063】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
は、全厚みが通常2.5〜20μm、好ましくは3.0
〜10μm、さらに好ましくは4.0〜10μmであ
る。熱可塑性樹脂層Aの層厚みは、積層フィルムの全厚
みの1/2以下、さらには1/3以下、特に1/4以下
であることが好ましい。熱可塑性樹脂層Bの厚みは、積
層フィルムの全厚みの1/2以上、さらには2/3以
上、特に3/4以上であることが好ましい。さらに、皮
膜層Cの厚みは、通常1〜100nm、好ましくは2〜
5nm、さらに好ましくは3〜10nm、特に好ましく
は3〜8nmである。
【0064】本発明における積層熱可塑性樹脂フィルム
は、従来から知られている、または当業界に蓄積されて
いる方法に準じて製造することができる。そのうち、熱
可塑性樹脂層Aと熱可塑性樹脂層Bとの積層構造は、共
押し出し法により製造するのが好ましく、皮膜層Cは塗
布法により設けるのが好ましい。
【0065】例えば、積層二軸配向ポリエステルフィル
ムで説明すると、先ず、不活性粒子A及び(部分ケン
化)エステルワックスを均一分散、含有させた熱可塑性
樹脂Aと、必要に応じて不活性粒子Bを含有させた熱可
塑性樹脂Bとを、それぞれ高精度ろ過したのち、押し出
し口金内または口金以前(一般に、前者はマルチマニホ
ールド方式、後者はフィードブロック方式と呼ぶ)で溶
融状態にて積層複合し、上記好適な厚み比の積層構造と
なし、次いで口金より融点(Tm)〜(Tm+70)℃
の温度でフィルム状に共押出し、30〜90℃の冷却ロ
ールで急冷固化して未延伸積層フィルムを得る。その
後、該未延伸積層フィルムを常法に従い、一軸方向(縦
方向または横方向)に(Tg−10)〜(Tg+70)
℃の温度(ただし、Tg:ポリエステルのガラス転移温
度)で2.5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜
7.5倍の倍率で延伸し、次いで該延伸方向とは直角方
向(一段目延伸が縦方向の場合には、二段目延伸は横方
向となる)に(Tg)〜(Tg+70)℃の温度で2.
5〜8.0倍の倍率で、好ましくは3.0〜7.5倍の
倍率で延伸する。その際、必要に応じて、縦方向および
/または横方向に再度延伸してもよい。すなわち、2
段、3段、4段あるいは多段の延伸を行うとよい。面積
延伸倍率としては、通常9倍以上、好ましくは12〜3
5倍、さらに好ましくは15〜30倍である。
【0066】次いで、上記二軸延伸フィルムは、(Tg
+70)〜(Tm−10)℃の温度、例えば、ポリエチ
レンテレフタレートフィルムの場合、180〜250℃
で熱固定結晶化する。これによって、優れた寸法安定性
が付与される。また、熱固定時間は1〜60秒が好まし
い。
【0067】なお、積層熱可塑性樹脂フィルムの製造に
際し、熱可塑性樹脂A、Bに所望により上記不活性粒子
以外の添加剤、例えば安定剤、着色剤、溶融ポリマーの
固有抵抗調整剤などを添加含有させることができる。
【0068】本発明において、熱可塑性樹脂層Bへの皮
膜層Cの塗設は水性塗液を塗布する方法で行うのが好ま
しい。
【0069】塗布は最終延伸処理を施す以前の熱可塑性
樹脂層Bの表面に行い、塗布後にはフィルムを少なくと
も一軸方向に延伸するのが好ましい。この延伸の前ない
し途中で塗膜は乾燥される。その中で、塗布は未延伸積
層フィルムまたは縦(一軸)延伸積層フィルム、特に縦
(一軸)延伸積層フィルムに行うのが好ましい。塗布方
法としては特に限定されないが、例えばロールコート
法、ダイコート法などが好ましく挙げられる。
【0070】上記塗液、特に水性塗液の固形分濃度は
0.2〜8重量%、さらに0.3〜6重量%、特に0.
5〜4重量%であることが好ましい。そして、塗液(好
ましくは水性塗液)には、本発明の効果を妨げない範囲
で、他の成分、例えば安定剤、分散剤、紫外線吸収剤、
増粘剤などを添加することができる。
【0071】本発明において、磁気記録媒体としてのヘ
ッドタッチ、走行耐久性を始めとする各種性能を向上さ
せ、同時に薄膜化を達成するために、積層フィルムのヤ
ング率を縦方向および横方向でそれぞれ、4.4GPa
以上および5.9GPa以上、さらに4.7GPa 以
上および6.7GPa 以上、特に5.4GPa以上お
よび7.8GPa 以上、就中5.5GPa以上および
9.8Gpa以上とするのが好ましい。
【0072】また、熱可塑性樹脂層A、Bの結晶化度
は、熱可塑性樹脂がポリエチレンテレフタレートの場合
は30〜50%、ポリエチレン−2,6−ナフタレート
の場合は28〜38%であることが望ましい。いずれも
下限を下回ると、熱収縮率が大きくなるし、一方、上限
を上回るとフィルムの耐摩耗性が悪化し、ロールやガイ
ドピン表面と摺動した場合に白粉が生じやすくなる。
【0073】本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは磁気
記録媒体の支持体として好ましく使用される。この積層
熱可塑性樹脂フィルムを磁気記録媒体の支持体として使
用する場合の好ましい実施態様は、下記の通りである。
【0074】本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、皮
膜層Cの表面に、真空蒸着、スパッタリング、イオンプ
レーティングなどの方法により、鉄、コバルト、クロム
またはこれらを主成分とする合金もしくは酸化物よりな
る強磁性金属薄膜層を形成し、またその表面に、目的、
用途、必要に応じてダイアモンドライクカーボン(DL
C)などの保護層、含フッ素カルボン酸系潤滑層を順次
設け、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Aの磁性層と
は反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を設け
ることにより、特に短波長領域での出力、S/N、C/
Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エラー
レートの少ない高密度記録用蒸着型磁気記録媒体とする
ことができる。この蒸着型磁気記録媒体は、アナログ信
号記録用Hi8、ディジタル信号記録用ディジタルビデ
オカセットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DD
SIV用磁気テープ媒体として極めて有用である。
【0075】また、本発明の積層熱可塑性樹脂フィルム
は、皮膜層Cの表面に、鉄または鉄を主成分とする針状
微細磁性粉(メタル粉)をポリ塩化ビニル、塩化ビニル
・酢酸ビニル共重合体などのバインダーに均一に分散
し、磁性層厚みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μ
mとなるように塗布し、さらに必要により、熱可塑性樹
脂層Aの磁性層とは反対側の表面に、公知の方法でバッ
クコート層を設けることにより、特に短波長領域での出
力、S/N、C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロッ
プアウト、エラーレートの少ない高密度記録用メタル塗
布型磁気記録媒体とすることができる。また、必要に応
じて、皮膜層Cの表面に、上記メタル粉含有磁性層の下
地層として微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性
層を磁性層と同様の有機バインダー中に分散し、塗設す
ることもできる。このメタル塗布型磁気記録媒体は、ア
ナログ信号記録用8ミリビデオ、Hi8、βカムSP、
W−VHS、ディジタル信号記録用ディジタルビデオカ
セットレコーダー(DVC)、データ8ミリ、DDSI
V、ディジタルβカム、D2、D3、SXなど用磁気テ
ープ媒体として極めて有用である。
【0076】さらに、本発明の積層熱可塑性樹脂フィル
ムは、皮膜層Cの表面に、酸化鉄または酸化クロムなど
の針状微細磁性粉、またはバリウムフェライトなどの板
状微細磁性粉をポリ塩化ビニル、塩化ビニル・酢酸ビニ
ル共重合体などのバインダーに均一に分散し、磁性層厚
みが1μm以下、好ましくは0.1〜1μmとなるよう
に塗布し、さらに必要により、熱可塑性樹脂層Aの磁性
層とは反対側の表面に、公知の方法でバックコート層を
設けることにより、特に短波長領域での出力、S/N、
C/Nなどの電磁変換特性に優れ、ドロップアウト、エ
ラーレートの少ない高密度記録用酸化物塗布型磁気記録
媒体とすることができる。また、必要に応じて、皮膜層
Cの表面に、上記酸化物粉末含有磁性層の下地層として
微細な酸化チタン粒子などを含有する非磁性層を磁性層
と同様の有機バインダー中に分散し、塗設することもで
きる。この酸化物塗布型磁気記録媒体は、ディジタル信
号記録用データストリーマー用QICなどの高密度記録
用酸化物塗布型磁気記録媒体として有用である。
【0077】上記のW−VHSはアナログのHDTV信
号記録用VTRであり、またDVCはディジタルのHD
TV信号記録用として適用可能なものである。それゆ
え、本発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、これらHD
TV対応VTR用磁気記録媒体に極めて有用なベースフ
ィルムということができる。
【0078】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれら実施例により限定される
ものではない。なお、実施例および比較例における
「部」および「%」は、特に断らない限り重量部および
重量%である。また、本発明における物性値および特性
は、それぞれ下記の方法で測定し、かつ定義されるもの
である。
【0079】(1)固有粘度 オルソクロロフェノール溶媒中35℃で測定した値から
求めた。
【0080】(2)粒子の平均粒径(I)(平均粒径:
60nm以上) 株式会社島津製作所製「CP−50型セントリヒューグ
ル パーティクル サイズ アナライザー(Centr
ifugal Particle SizeAnaly
zer)」を用いて測定する。得られる遠心沈降曲線を
基に算出した各粒径の粒子とその存在量との積算曲線か
ら、50マスパーセントに相当する粒径「等価球直径」
を読み取り、この値を上記平均粒径(nm)とする
(「粒度測定技術」日刊工業新聞社発行、1975年、
頁242〜247)。
【0081】(3)粒子の平均粒径(II)(平均粒径:
60nm未満) 小突起を形成する平均粒径60nm未満の粒子は、光散
乱法を用いて測定する。すなわち、ニコンプインストゥ
ルメント株式会社(Nicomp Instrumen
ts Inc.)製の商品名「NICOMP MODE
L 270 SUBMICRON PARTICLE
SIZER」により求められる全粒子の50%の点にあ
る粒子の「等価球直径」をもって、平均粒径(nm)と
する。
【0082】(4)熱可塑性樹脂層A、Bの厚み、およ
びフィルム全体の厚み フィルム全体の厚みはマイクロメーターにてランダムに
10点測定し、その平均値を用いる。熱可塑性樹脂層
A、Bの層厚については、薄い熱可塑性樹脂層の層厚み
を下記に述べる方法にて測定し、厚い熱可塑性樹脂層の
層厚みは、全厚みより塗膜層および薄い熱可塑性樹脂層
の層厚を引き算して求める。すなわち、二次イオン質量
分析装置(SIMS)を用いて、被覆層を除いた表層か
ら深さ5,000nmの範囲のフィルム中の粒子の内最
も高濃度の粒子に起因する金属元素(M+ )と熱可塑性
樹脂(ポリエステル)の炭化水素(C+ )の濃度比(M
+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から深さ5,000n
mまで厚さ方向の分析を行った。表層では表面という界
面のために粒子濃度は低く、表面から遠ざかるにつれて
粒子濃度は高くなる。本発明の場合、粒子濃度は一旦安
定値1になったのち、上昇して安定値2になる場合と、
単調に減少する場合とがある。この分布曲線をもとに、
前者の場合は、(安定値1+安定値2)/2の粒子濃度
を与える深さをもって、また後者の場合は粒子濃度が安
定値1の1/2になる深さ(この深さは安定値1を与え
る深さよりも深い)をもって、薄い熱可塑性樹脂層の厚
み(μm)とする。
【0083】測定条件は、以下のとおりである。 (a)測定装置 二次イオン質量分析装置(SIMS);パーキン・エル
マー株式会社(PERKIN ELMER INC.)
製、「6300」 (b)測定条件 一次イオン種:O2+ 一次イオン加速電圧:12KV 一次イオン電流:200nA ラスター領域:400μm□ 分析領域:ゲート30% 測定真空度:6.0×10-9Torr E−GUNN:0.5KV−3.0A なお、表層から5,000nmの範囲に最も多く存在す
る粒子がシリコーン樹脂以外の有機高分子粒子の場合は
SIMSでは測定が難しいので、表面からエッチングし
ながらFT−IR(フーリエトランスフォーム赤外分光
法)、粒子によってはXPS(X線光電分光法)などで
上記同様の濃度分布曲線を測定し、層厚(μm)を求め
る。
【0084】(5)皮膜層Cの厚み フィルムの小片をエポキシ樹脂にて固定成形し、ミクロ
トームにて約600オングストロームの厚みの超薄切片
(フィルムの流れ方向に平行に切断する)を作成する。
この試料を透過型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製:
H−800型)にて観察し、塗膜層Cの境界面を探して
塗膜層の厚み(nm)を求める。
【0085】(6)接触角 協和科学(株)製、接触角測定装置を用いて測定する。
フィルムサンプルを温度25℃、湿度50%の環境下に
24時間以上置いたのち、フィルム上に蒸留水を5mg
滴下し、水平の方向から20秒後に写真を撮影する。フ
ィルムと水滴の接線が形成する角度を接触角(°)とす
る。
【0086】(7)フィルムの表面粗さ(中心線平均粗
さ:Ra) 中心線平均粗さ(Ra)はJIS−B601に準じて測
定する。本発明では(株)小坂研究所の触針式表面粗さ
計(SURFCORDER SE,30C)を用い、次の条件で測定し
て求める。 (a)触針先端半径:2μm (b)測定圧力 :30mg (c)カットオフ :0.08mm (d)測定長 :8.0mm (e)データのまとめ方:同一試料について6回繰返し
測定し、最も大きい値を1つ除き、残りの5つのデータ
を用いて平均値として中心線平均粗さ(Ra)を求め
る。
【0087】(8)ヤング率 東洋ボールドウィン株式会社製の引っ張り試験機、商品
名「テンシロン」を用いて、温度20℃、湿度50%に
調節された室内において、長さ300mm、幅12.7
mmの試料フィルムを10%/分のひずみ速度で引っ張
り、引っ張り応力−ひずみ曲線の初めの直線部分を用い
て下式(V)によって計算する。
【0088】
【数1】E=△σ/△ε ・・・(V) ここで、Eはヤング率(Gpa)、△σは直線上の2点
間の元の平均断面積による応力差、△εは同じ2点間の
ひずみ差である。
【0089】(9)ブロッキング剥離力 ロール状フィルムの長手方向に100mm、幅方向に2
00mmの長方形にサンプリングし、熱可塑性樹脂層A
(ベースフィルム)側に、室温20±2℃、湿度40±
5%の環境下で、コロナ処理を施す。上記コロナ処理
は、春日電気株式会社製、商品名「CG−102」型の
高周波電源を用いて、以下の条件にて処理する。 電流:4.5A 電極間距離:1.0mm 処理時間:1.2m/分の速度で、電極間を通過させて
処理。 フィルムの処理した面を、直ちにフィルムの熱可塑性樹
脂層Aと反対側の面と接触させ、10Mpaの圧力にて
温度60℃、湿度80%の環境下で17時間エイジング
させたのち、上記引っ張り試験機、商品名「テンシロ
ン」を用いて、幅100mm当たりの剥離力を求める。
【0090】(10)巻き取り性 スリット時の巻き取り条件を最適化したのち、幅600
mm×12,000mのサイズで、30ロールを速度1
00m/分でスリットし、スリット後のフィルム表面
に、ブツ状、突起やシワのないロールを良品として、以
下の基準にて巻き取り性を評価する。 ◎;良品ロールの本数28本以上 ○;良品ロールの本数25〜27本 ×;良品ロールの本数16〜24本 ××;良品ロールの本数15本以下
【0091】(11)バックコート塗布適性(加工適
性) 下記磁気テープの製造加工工程において、バックコート
塗布後の熱可塑性樹脂層Aの表面を目視観察し、以下の
基準にて評価する。 ○;バックコート層に、塗布斑、ハジキがない ×;バックコート層に、塗布斑か、ハジキが認められる
【0092】(12)磁気テープの製造および特性(電
磁変換特性)評価 積層熱可塑性樹脂フィルムの皮膜層Cの表面に、真空蒸
着法により、コバルト100%の強磁性薄膜を0.2μ
mの厚みになるように2層(各層厚約0.1μm)形成
する。形成した強磁性薄膜の表面にダイヤモンドライク
カーボン(DLC)膜、さらに含フッ素カルボン酸系潤
滑層を順次設け、さらに熱可塑性樹脂層Aの表面に、公
知の方法でバックコート層を設ける。その後、8mm幅
にスリットし、市販の8mmビデオカセットにローディ
ングする。次いで、下記の市販の機器を用いてテープの
特性(C/N)を測定する。 使用機器:8mmビデオテープレコーダー、ソニー株式
会社製、商品名「EDV−6000」 C/N測定:株式会社シバソク製、ノイズメーター 記録波長0.5μm(周波数約7.4MHz)の信号を
記録し、その再生信号の6.4MHzと7.4MHzの
値の比をそのテープのC/Nとし、市販8mmビデオ用
蒸着テープのC/Nを0dBとし、相対値で評価する。
【0093】(13)不活性粒子A、Bの調製 不活性粒子Aとして、下記のものを使用。 真球状シリカ;平均粒径600nm θ型アルミナ;平均粒径60nm シリコーン;平均粒径500nm 架橋ポリスチレン;平均粒径800nm 不活性粒子Bとして、下記のものを使用。 球状シリカ;平均粒径60nm
【0094】(14)(部分ケン化)エステルワックス
の調製 炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸および多価ア
ルコールからなる(部分ケン化)エステルワックスとし
て下記のものを使用。 (a−1):ソルビタントリステアレート(融点55
℃) (a−2):モンタン酸ジオールエステルを水酸化カル
シウムでケン化したもの、ヘキスト株式会社製、商品名
「ワックスE」、(融点86℃) (a−3):グリセリントリパルミタート
【0095】[実施例1]ジメチルテレフタレートとエ
チレングリコールとを、エステル交換触媒として酢酸マ
ンガン、重合触媒としてトリメリット酸チタン、安定剤
として亜リン酸を、さらに滑剤(不活性粒子B)として
平均粒径60nmの球状シリカを、樹脂中に0.03%
添加して、常法により重合し、固有粘度0.60の熱可
塑性樹脂層B用のポリエチレンテレフタレート(樹脂B
1)を得た。
【0096】さらに、上記と同様の方法で、滑剤(不活
性粒子A)として、平均粒径600nmの真球状シリカ
および平均粒径60nmのθ型アルミナを、樹脂中にそ
れぞれ0.12%および0.2%添加して、常法により
重合し、固有粘度0.60のポリエチレンテレフタレー
トを得た。
【0097】得られたポリエチレンテレフタレート9
9.7%に、ソルビタントリステアレート(a−1)の
粉末0.3%をまぶし、ベント付き二軸ルーダーにて練
り込み、固有粘度0.59の熱可塑性樹脂層A用のポリ
エチレンテレフタレート(樹脂A1)を得た。
【0098】得られた樹脂A1、樹脂B1を、それぞれ
170℃で3時間乾燥後、2台の押し出し機に供給し、
溶融温度280〜300℃にて溶融し、平均目開き11
μmの鋼線フィルターで高精度ろ過したのち、マルチマ
ニホールド型共押し出しダイを用いて、樹脂層Aの片面
に樹脂層Bを積層させ、急冷して厚さ89μmの積層未
延伸フィルムを得た。
【0099】得られた積層未延伸フィルムを予熱し、さ
らに低速・高速のロール間でフィルム温度100℃にて
3.3倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次
いで縦延伸フィルムの層B面側に下記に示す組成(固形
分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を皮膜層
Cとしてキスコート法により塗布した。
【0100】 バインダー樹脂:共重合ポリエステル(テレフタル酸/イソフタル酸/5−ナ トリウムスルホイソフタル酸//エチレングリコール/ビスフェノールAのプロ ピレンオキサイド2モル付加体=97/1/2//60/40) 65% 不活性粒子C:架橋アクリル樹脂粒子(平均粒径30nm) 6% 界面活性剤:日本油脂(株)製ノニオンNS−240 20% シロキサン共重合アクリル樹脂:信越化学工業(株)製X−22−8053 10% 層Cの厚み(乾燥後):5nm
【0101】続いて、ステンターに供給し、110℃に
て横方向に4.2倍に延伸した。得られた二軸延伸フィ
ルムを220℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み6.4
μm、ベース層(熱可塑性樹脂層A)厚み1.0μmの
積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。この積層二
軸配向フィルムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについて
は、2台の押し出し機の吐出量により調整した。この積
層フィルムのヤング率は縦方向4.9GPa 、横方向
6.9GPaであった。この積層二軸配向フィルムのそ
の他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸
着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0102】[実施例2]熱可塑性樹脂層Aに含有させ
る不活性粒子Aの種類、平均粒径及び添加量、かつ(部
分ケン化)エステルワックスの種類及び添加量を表1に
示すとおりに変更し、熱可塑性樹脂Bに粒子を含有させ
ない以外は、実施例1と同様にして積層二軸配向ポリエ
ステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向フィルム
の特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型
磁気テープの特性を表1に示す。
【0103】[実施例3]熱可塑性樹脂層Aに含有させ
る不活性粒子Aの種類、平均粒径及び添加量、かつ(部
分エステル化)エステルワックスの種類及び添加量を表
1に示すとおり変更する以外は、実施例1と同様にして
積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られた積
層二軸配向フィルムの特性、およびこのフィルムを用い
た強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0104】[実施例4]熱可塑性樹脂層Aに含有させ
る不活性粒子Aの種類、平均粒径及び添加量、かつ(部
分ケン化)エステルワックスの種類及び添加量を表1に
示すとおり変更し、ジメチルテレフタレートの代わりに
2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルを同モル量使
用した以外は、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂層
A、B用のポリエチレン−2,6−ナフタレート(PE
N)(樹脂A2、B2)を得た。
【0105】この樹脂A2、B2を、それぞれ170℃
で6時間乾燥後、実施例1と同様にして、各層厚みを調
整し、厚さ89μmの積層未延伸フィルムを得た。
【0106】得られた積層未延伸フィルムを予熱し、さ
らに低速・高速のロール間でフィルム温度135℃にて
3.6倍に延伸し、急冷して縦延伸フィルムを得た。次
いで縦延伸フィルムの層B面側に表1に示す組成(固形
分換算)の水性塗液(全固形分濃度1.0%)を皮膜層
Cとして実施例1と同様に塗布した。
【0107】続いて、ステンターに供給し、155℃に
て横方向に5.7倍に延伸した。得られた二軸延伸フィ
ルムを、200℃の熱風で4秒間熱固定し、全厚み4.
4μm、ベース層(熱可塑性樹脂層A)厚み0.6μm
の積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。この積層
二軸配向フィルムの熱可塑性樹脂層A、Bの厚みについ
ては、2台の押し出し機の吐出量により調整した。この
フィルムのヤング率は縦方向5.4GPa 、横方向1
0.3GPaであった。この積層フィルムのその他の特
性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気
テープの特性を表1に示す。
【0108】[実施例5]熱可塑性樹脂Bに粒子を含有
させない以外は実施例4と同様にして積層二軸配向ポリ
エステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向フィル
ムの特性、およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着
型磁気テープの特性を表1に示す。
【0109】[比較例1]熱可塑性樹脂層Aに(部分ケ
ン化)エステルワックスを含有させず、かつ皮膜層Cを
設けない以外は、実施例1と同様にして積層二軸配向ポ
リエステルフィルムを得た。得られた積層二軸配向フィ
ルムは、ブロッキング剥離力を測定する際に、フィルム
が密着しており、むりやり剥がそうとすると破れてしま
った。その他の特性、およびこのフィルムを用いた強磁
性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0110】[比較例2]ソルビタントリステアレート
(a−1)の添加量を12%にした以外は、実施例1と
同様にして積層二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られた積層二軸配向フィルムは、磁気テープの製造工
程においてバックコートに塗布する際、ハジキが発生し
てしまい、通常の塗布ができなかった。その他の特性、
およびこのフィルムを用いた強磁性薄膜蒸着型磁気テー
プの特性を表1に示す。
【0111】[比較例3]熱可塑性樹脂層Aに不活性粒
子を含有させず、かつ皮膜層Cを設けない以外は、実施
例4と同様にして積層二軸配向ポリエステルフィルムを
得た。得られた積層二軸配向フィルムは、ブロッキング
剥離力を測定する際に、フィルムが密着しており、測定
不能であった。その他の特性、およびこのフィルムを用
いた強磁性薄膜蒸着型磁気テープの特性を表1に示す。
【0112】
【表1】
【0113】表1から明らかなように、本発明による積
層二軸配向ポリエステルフィルムは、片面が非常に平坦
で、優れた電磁変換特性を示すとともに、巻き取り性が
極めて良好であり、かつ耐ブロッキング性が良好であ
る。一方、本発明の要件を満たさないものは、これらの
特性を同時に満足できない。
【0114】
【発明の効果】本発明によれば、耐ブロッキング性、巻
き取り性、加工適性に優れ、また金属蒸着薄膜型磁気記
録媒体の支持体とて用いると電磁変換特性に優れる、積
層熱可塑性樹脂フィルムを提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH02B AK01A AK01B AK01C AK25C AK41C AK42A AK42B AK52C AL01C AS00C BA03 BA10B BA10C BA15 BA16 CA18C DE01B DE01C DE04A EH46C EJ38 GB41 JB05C JB09C JB16A JB16B JK14B JK14C JL00 JL01 YY00A YY00B YY00C 5D006 CB01 CB05 CB06 CB07 CB08

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂層Bの一方の面に熱可塑性
    樹脂層Aが積層され、他方の面にバインダー樹脂、不活
    性粒子C、界面活性剤及びシロキサン共重合アクリル樹
    脂からなる皮膜層Cが塗設されてなる積層フィルムであ
    って、該熱可塑性樹脂層Aが平均粒径100〜2,00
    0nmの不活性粒子Aを0.001〜5重量%(層Aに
    対して)及び炭素数が8個以上の脂肪族モノカルボン酸
    および多価アルコールからなる、部分ケン化していても
    良い、エステルワックスを0.001〜10重量%(層
    Aに対して)含有し、かつ該熱可塑性樹脂層Aの、熱可
    塑性樹脂層Bと接していない表面の水接触角が70〜9
    0°であることを特徴とする積層熱可塑性樹脂フィル
    ム。
  2. 【請求項2】 皮膜層Cを構成する成分のバインダー樹
    脂が水溶性又は水分散性の樹脂であり、かつアクリル樹
    脂、ポリエステル樹脂及びアクリル−ポリエステル樹脂
    からなる群より選ばれる少なくとも一種である請求項1
    に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 皮膜層Cを構成する成分の不活性粒子C
    の平均粒径が5〜100nmであり、該粒子Cの含有量
    が0.5〜30重量%(層Cに対して)である請求項1
    または2に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 皮膜層Cを構成する成分のシロキサン共
    重合アクリル樹脂の含有量が1〜30重量%(層Cに対
    して)である請求項1、2または3に記載の積層熱可塑
    性樹脂フィルム。
  5. 【請求項5】 皮膜層Cの外表面の中心線平均粗さRaC
    が0.1〜2nmである請求項1〜4のいずれか1項に
    記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  6. 【請求項6】 熱可塑性樹脂層Aの外表面の中心線平均
    粗さRaAが2〜20nmである請求項1に記載の積層熱
    可塑性樹脂フィルム。
  7. 【請求項7】 熱可塑性樹脂層Bが実質的に不活性粒子
    を含有しない請求項1に記載の積層熱可塑性樹脂フィル
    ム。
  8. 【請求項8】 熱可塑性樹脂層Bが平均粒径30〜20
    0nmの不活性球状粒子Bを0.001〜0.2重量%
    (層Bに対して)含有する請求項1に記載の積層熱可塑
    性樹脂フィルム。
  9. 【請求項9】 層A、層Bを構成する熱可塑性樹脂がそ
    れぞれポリエチレンテレフタレートである請求項1、
    6、7または8に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
  10. 【請求項10】 層A、層Bを構成する熱可塑性樹脂が
    それぞれポリエチレン−2,6−ナフタレートである請
    求項1、6、7または8に記載の積層熱可塑性樹脂フィ
    ルム。
  11. 【請求項11】 積層熱可塑性樹脂フィルムが磁気記録
    媒体の支持体として使用される請求項1〜10のいずれ
    か1項に記載の積層熱可塑性樹脂フィルム。
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