JP2001191076A - 電解水の製造方法、洗浄水、及び洗浄方法 - Google Patents

電解水の製造方法、洗浄水、及び洗浄方法

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JP2001191076A
JP2001191076A JP2000003647A JP2000003647A JP2001191076A JP 2001191076 A JP2001191076 A JP 2001191076A JP 2000003647 A JP2000003647 A JP 2000003647A JP 2000003647 A JP2000003647 A JP 2000003647A JP 2001191076 A JP2001191076 A JP 2001191076A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Na+ 等を含むことが無い酸性の還元水を提
供することである。 【解決手段】 アノード電極を有するアノード室と、カ
ソード電極を有するカソード室と、前記アノード室とカ
ソード室との間に設けられた中間室と、前記アノード室
と中間室との間に設けられた隔膜と、前記カソード室と
中間室との間に設けられた隔膜とを備えた3室構造の電
解装置を用いることにより電解水を製造する方法であっ
て、前記アノード室に水を供給する工程と、前記カソー
ド室に水を供給する工程と、前記中間室に酸および水を
供給する工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、洗浄水に関する。
特に、例えばシリコンウェハ等の半導体基板、金属シリ
コン、ステンレス鋼、鉄鋼、耐熱鋼などの金属材料、ガ
ラス等の無機材料、プラスチック等の有機材料、その他
各種の材料の表面に付いた酸化物、活性酸素などの酸化
性物質、或いは水酸化物を効率的に除去できる洗浄水に
関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】食塩水を電気分解(電
解)すると、アノード極側(アノード室)では下記の反
応(1)が起こり、カソード極側(カソード室)では下
記の反応(2),(3),(4)が起こる。尚、この現
象は良く知られている。
【0003】 2Cl- −2e- →Cl2 (1) 2Na+ +2e- →2Na (2) 2Na+2H2 O→2Na+ +H2 +2OH- (3) 2H2 O+2e- →H2 +2OH- (4) 従って、カソード室では、アルカリ性で、かつ、還元性
の水溶液が得られる。しかし、このカソード室で得られ
る電解水(カソード電解水)には、Na+ が含まれる。
従って、Na+ を含むカソード電解水を洗浄水として用
いるのは適していない。なぜならば、洗浄物にNa+
付着する恐れがある。
【0004】これに対して、塩酸(HCl)水溶液を電
解すると、アノード室では上記の反応(1)が起こり、
カソード室では上記の反応(4)が起こる。
【0005】HCl濃度が高いと、カソード室で生成し
たOH- はHClにより中和される。従って、カソード
室における溶液は酸性である。
【0006】よって、アノード極とカソード極との間に
隔膜を設けた(アノード室とカソード室とが構成され
た)2室型電解槽を用いて塩酸水溶液を電解した場合、
カソード電解水は酸性で、かつ、還元性の水溶液であ
る。
【0007】このカソード電解水は、食塩水を電解して
得たカソード電解水が含むNa+ を含まない。従って、
このカソード電解水で洗浄した場合、Na+ が洗浄した
物に付着しない。この為、洗浄水として用いるのに好都
合である。
【0008】しかし、2室型電解槽を用いて塩酸水溶液
を電解して得たカソード電解水を洗浄水として用いる場
合、問題が無い訳では無い。例えば、次のような問題が
有る。 (A) 2室型電解槽におけるアノード極とカソード極
との間の距離(電極間距離)が大きい為、電解質(HC
l)濃度を高くする必要がある。この為、カソード電解
水中のHCl濃度が高くなる。よって、カソード電解水
を洗浄水として用いた後、これをそのまま外部に排出し
た場合に問題が起きる。すなわち、廃水中にHClが多
く含まれる為、排出に先立って中和処理が必要である。 (B) 2室型電解槽におけるアノード室では、酸化性
物質が生成している。そして、この酸化性物質の一部が
カソード室側に拡散して来ることも有る。この為、カソ
ード電解水の還元性が損なわれる恐れがある。
【0009】ところで、上記2室型電解槽とは異なる3
室型の電解槽が提案されている。
【0010】本願発明者も3室型電解槽を提案してい
る。
【0011】この3室型電解槽は、一般的に、図1に示
す構造を有する。
【0012】すなわち、3室型電解槽Aは、アノード室
1と、カソード室2と、アノード室1とカソード室2と
の間に設けられた中間室3とを有する。1aはアノード
室1への給水口、1bはアノード室1からの取水口、2
aはカソード室2への給水口、2bはカソード室2から
の取水口、3aは中間室3への給水口、3bは中間室3
からの取水口である。
【0013】アノード室1と中間室3との間には隔膜4
が設けられ、又、カソード室2と中間室3との間には隔
膜5が設けられている。
【0014】6は、アノード室1に設けられたアノード
電極である。尚、アノード電極6は、隔膜4に密着させ
て設けられている。
【0015】7は、カソード室2に設けられたカソード
電極である。尚、カソード電極7は、隔膜5に密着させ
て設けられている。
【0016】そして、特願平5−171589号では、
給水口1aからアノード室1に水を供給すると共に、給
水口2aからカソード室2に水を供給し、かつ、給水口
3aから中間室3に硝酸塩などの電解質を含む水を供給
し、電解する技術が提案されている。
【0017】しかし、硝酸ナトリウム等の硝酸塩を中間
室3に添加してカソード液を得る場合、ナトリウムイオ
ンがカソード室2に移行するので、カソード液が酸性に
ならず、アルカリ性になる。この為、酸性の還元水を得
ることが出来ない。
【0018】従って、本発明が解決しようとする課題
は、Na+ 等を含むことが無い酸性の還元水を提供する
ことである。
【課題を解決するための手段】ところで、本願発明者
は、図1に示した3室型電解槽を用いた場合、カソード
室2における電解質の濃度を0にしても電解が可能であ
ることに着目した。すなわち、カソード室2における電
解質濃度が0であれば、カソード電解水を洗浄水として
利用する場合、極めて好都合である。つまり、洗浄後の
廃液を排水するに際して、格別な処理をしなくても済
む。又、カソード電解水に金属イオンが含まれていない
と、洗浄によって洗浄物に金属が付着する恐れも無い。
【0019】又、アノード室1で生成した酸素、オゾ
ン、塩素ガス等の酸化性物質は、間に中間室3があるこ
とから、カソード室2内に移行し難い。このことは、カ
ソード電解水の還元性が損なわれ難いことを意味する。
【0020】従って、特願平5−171589号提案の
技術には、得られたカソード電解水に上記問題が存する
ものの、廃液を排水するに際して格別な処理をしなくて
も済むことから、図1に示した3室型電解槽を用いるこ
とにした。
【0021】ところで、特願平5−171589号提案
の技術では、硝酸塩(例えば、硝酸アンモニウム)等の
電解質を含む水溶液を供給している。
【0022】そして、上記で指摘した問題についての検
討が鋭意なされた結果、この問題は電解質に起因するこ
とが判明した。
【0023】そこで、更なる検討を進めて行った結果、
硝酸アンモニウム等の代わりに、塩酸、硫酸、硝酸など
の無機酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸など
の有機酸を用いることによって、前記の問題が解決でき
ることを見出すに至った。
【0024】このような知見に基づいて本願発明が達成
されたものである。
【0025】すなわち、前記の課題は、アノード電極を
有するアノード室と、カソード電極を有するカソード室
と、前記アノード室とカソード室との間に設けられた中
間室と、前記アノード室と中間室との間に設けられた隔
膜と、前記カソード室と中間室との間に設けられた隔膜
とを備えた3室構造の電解装置を用いることにより電解
水を製造する方法であって、前記アノード室に水を供給
する工程と、前記カソード室に水を供給する工程と、前
記中間室に酸および水を供給する工程とを有することを
特徴とする電解水の製造方法によって解決される。
【0026】本発明における酸とは、塩酸、硫酸、硝
酸、燐酸、フッ酸、臭化水素酸、フッ化燐酸、フッ化硼
酸、硼酸、ニトロ三酢酸などの無機酸が挙げられる。
又、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、シュウ
酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、蟻酸、酢酸などの有機酸
も挙げられる。
【0027】中でも、還元能力を有する酸、例えばアス
コルビン酸、グルコン酸、シュウ酸、蟻酸は好ましい。
【0028】すなわち、これらの酸は中間室に供給され
る。従って、中間室に供給された酸は、カソード室に移
行する可能性がある。ここで、酸化能力を有する酸(プ
ロトンを放出できる酸化剤)である場合、カソード室に
移行した酸(酸化剤)が、カソード室で得られたカソー
ド電解水の還元能力を低下させる恐れがある。よって、
中間室の酸がカソード室に移行した場合でも、カソード
電解水の還元能力を低下させる恐れが無い酸を用いるこ
とが好ましい。更には、アノード室で生成した酸化性物
質が拡散して来ても、中間室に存在する還元能力を有す
る酸(プロトンを放出できる還元剤)によって中和さ
れ、酸化性物質がカソード室に移行し難い。このような
観点から、アスコルビン酸やグルコン酸のような還元能
力を有する酸(プロトンを放出できる還元剤)は、更に
一層好ましい。
【0029】カソード電解水の還元能力は、カソード電
極の材質によっても左右される。すなわち、水素還元反
応の過電圧が高いと、より強い還元性物質が生成する。
このような観点から、上記3室構造の電解装置における
カソード電極として、カーボン製のものが好ましい。
【0030】又、前記の課題は、上記製造方法により得
たカソード電解水からなることを特徴とする洗浄水によ
って解決される。
【0031】又、上記製造方法により得たアノード電解
水からなることを特徴とする洗浄水によって解決され
る。
【0032】又、上記製造方法により得たカソード電解
水を用いて洗浄することを特徴とする洗浄方法によって
解決される。
【0033】又、上記製造方法により得たアノード電解
水を用いて洗浄することを特徴とする洗浄方法によって
解決される。
【0034】又、上記製造方法により得たアノード電解
水を用いて洗浄する工程と、上記製造方法により得たカ
ソード電解水を用いて洗浄する工程とを有することを特
徴とする洗浄方法によって解決される。
【0035】本発明では、洗浄に用いるカソード電解水
は還元能力を持つ。かつ、カソード電解水は酸性であ
る。ここで、アルカリ性でなく、酸性のものとしたの
は、次の理由に基づく。
【0036】Fe34 を例として説明する。Fe3
4 の還元反応は下記の通りである。 Fe34 +8H+ +2e- →3Fe2++4H2 O この場合、Feの還元と共にOの行方を考慮しなければ
ならない。ここで、酸素イオンは水素イオンと結合して
2 Oが生成し、反応は完結する。従って、酸化物を還
元する場合、水素イオンの存在が必要である。このこと
は、洗浄水が酸性である方が好ましいことを示してい
る。
【0037】本発明はアノード電解水を用いて洗浄する
ことも提案した。特に、上記製造方法により得たアノー
ド電解水を用いて洗浄した後、上記製造方法により得た
カソード電解水を用いて洗浄することを提案している。
【0038】これは、次のような理由に基づく。
【0039】シリコンウェハの汚れには、酸化物だけで
なく、金属(例えば、銅)もある。このような金属や酸
化物が付いたシリコンウェハを清浄にしようとした場
合、先ず、酸化能力を持つアノード電解水で洗浄した
後、還元能力を持つカソード電解水で洗浄すれば、いず
れもが除去でき、金属や酸化物を効果的に除去できるよ
うになる。
【0040】尚、アノード電解水やカソード電解水で洗
浄する際、超音波を作用させると、洗浄効果は一層高ま
る。
【発明の実施の形態】本発明になる電解水の製造方法
は、アノード電極を有するアノード室と、カソード電極
(特に、カーボン製のカソード電極)を有するカソード
室と、前記アノード室とカソード室との間に設けられた
中間室と、前記アノード室と中間室との間に設けられた
隔膜と、前記カソード室と中間室との間に設けられた隔
膜とを備えた3室構造の電解装置を用いることにより電
解水を製造する方法であって、前記アノード室に水を供
給する工程と、前記カソード室に水を供給する工程と、
前記中間室に酸および水を供給する工程とを有する方法
である。ここで、酸とは、塩酸、硫酸、硝酸、燐酸、フ
ッ酸、臭化水素酸、フッ化燐酸、フッ化硼酸、硼酸、ニ
トロ三酢酸などの無機酸や、クエン酸、アスコルビン
酸、グルコン酸、シュウ酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、
蟻酸、酢酸などの有機酸が具体例として挙げられる。中
でも、還元能力を有する酸(例えば、アスコルビン酸、
グルコン酸、シュウ酸、蟻酸)は好ましい酸である。こ
こで、中間室における酸は、0.001〜10mol/
L、特に0.01〜5mol/L程度の濃度である。電
解電流は10〜500mA/cm2 、特に20〜200
mA/cm2 である。
【0041】本発明になる洗浄水は、上記製造方法によ
り得たカソード電解水からなる。又、上記製造方法によ
り得たアノード電解水からなる。
【0042】本発明になる洗浄方法は、上記製造方法に
より得たカソード電解水を用いて洗浄する方法である。
或いは、上記製造方法により得たアノード電解水を用い
て洗浄する方法である。又は、上記製造方法により得た
アノード電解水を用いて洗浄する工程と、上記製造方法
により得たカソード電解水を用いて洗浄する工程とを有
する。特に、上記製造方法により得た酸化能力を持つア
ノード電解水を用いて洗浄した後、上記製造方法により
得た還元能力を持つカソード電解水で洗浄する方法であ
る。以下、具体的な実施例を挙げて説明する。
【実施例1】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0043】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0044】電極6,7として、チタン表面に白金メッ
キしたものを用いた。電極面積は48cm2 である。
【0045】中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を充填
した。
【0046】給水口1aから0.5L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0047】給水口2aから0.5L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0048】給水口3aから中間室3には塩酸水溶液
(HClの濃度は5mol/L)を供給した。
【0049】電解電流は5Aである。
【0050】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約4、アノード電解水のpHは約2.3であっ
た。
【0051】又、カソード電解水の酸化還元電位(OR
P)は−420mVであり、アノード電解水のORPは
+1190mVであった。
【実施例2】実施例1において、0.01mol/Lの
塩酸水溶液を用いた以外は同様に行った。
【0052】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約5.0、アノード電解水のpHは約3.5であ
った。
【0053】又、カソード電解水のORPは−480m
Vであり、アノード電解水のORPは+1100mVで
あった。
【実施例3】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0054】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0055】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0056】中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を充填
した。
【0057】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0058】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0059】給水口3aから中間室3には硫酸水溶液
(H2 SO4 の濃度は1mol/L)を供給した。
【0060】電解電流は5Aである。
【0061】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約3.6、アノード電解水のpHは約2.8であ
った。
【0062】又、カソード電解水のORPは−405m
Vであり、アノード電解水のORPは+900mVであ
った。
【0063】又、カソード電解水に含まれる活性な還元
種を調べる為、カソード電解水をESRによって調べ
た。そのESRスペクトルを図2に示す。これより、水
素原子が生成していることが判る。
【実施例4】実施例3において、0.01mol/Lの
硫酸水溶液を用いた以外は同様に行った。
【0064】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約4.5、アノード電解水のpHは約3.9であ
った。
【0065】又、カソード電解水のORPは−450m
Vであり、アノード電解水のORPは+350mVであ
った。
【実施例5】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0066】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0067】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0068】中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を充填
した。
【0069】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0070】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0071】給水口3aから中間室3には硝酸水溶液
(HNO3 の濃度は5mol/L)を供給した。
【0072】電解電流は5Aである。
【0073】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約3.2、アノード電解水のpHは約2.5であ
った。
【0074】又、カソード電解水のORPは−250m
Vであり、アノード電解水のORPは+950mVであ
った。
【実施例6】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0075】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0076】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0077】又、中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を
充填した。
【0078】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0079】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0080】給水口3aから中間室3にはクエン酸水溶
液(クエン酸の濃度は1mol/L)を供給した。
【0081】電解電流は5Aである。
【0082】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約4.2、アノード電解水のpHは約3.5であ
った。
【0083】又、カソード電解水のORPは−460m
Vであり、アノード電解水のORPは+350mVであ
った。
【実施例7】実施例6において、0.01mol/Lの
クエン酸水溶液を用いた以外は同様に行った。
【0084】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約5.2、アノード電解水のpHは約4.1であ
った。
【0085】又、カソード電解水のORPは−520m
Vであり、アノード電解水のORPは+330mVであ
った。
【実施例8】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0086】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0087】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0088】又、中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を
充填した。
【0089】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0090】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0091】給水口3aから中間室3にはアスコルビン
酸水溶液(アスコルビン酸の濃度は1mol/L)を供
給した。
【0092】電解電流は5Aである。
【0093】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約3.5、アノード電解水のpHは約2.8であ
った。
【0094】又、カソード電解水のORPは−410m
Vであり、アノード電解水のORPは+320mVであ
った。
【実施例9】実施例8において、0.01mol/Lの
アスコルビン酸水溶液を用いた以外は同様に行った。
【0095】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約4.8、アノード電解水のpHは約3.7であ
った。
【0096】又、カソード電解水のORPは−450m
Vであり、アノード電解水のORPは+260mVであ
った。
【実施例10】図1に示した3室構造の電解装置を用い
て電解を行った。
【0097】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0098】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0099】又、中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を
充填した。
【0100】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0101】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0102】給水口3aから中間室3にはグルコン酸水
溶液(グルコン酸の濃度は2mol/L)を供給した。
【0103】電解電流は5Aである。
【0104】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約4.0、アノード電解水のpHは約3.6であ
った。
【0105】又、カソード電解水のORPは−440m
Vであり、アノード電解水のORPは+310mVであ
った。
【実施例11】実施例10において、0.01mol/
Lのグルコン酸水溶液を用いた以外は同様に行った。
【0106】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約5.2、アノード電解水のpHは約4.6であ
った。
【0107】又、カソード電解水のORPは−540m
Vであり、アノード電解水のORPは+200mVであ
った。
【比較例1】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0108】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0109】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0110】中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を充填
した。
【0111】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0112】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0113】給水口3aから中間室3には硝酸アンモニ
ウム水溶液を供給した。
【0114】電解電流は5Aである。
【0115】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約10.8、アノード電解水のpHは約3.2で
あった。
【0116】又、カソード電解水のORPは−780m
Vであり、アノード電解水のORPは+850mVであ
った。
【比較例2】図1に示した3室構造の電解装置を用いて
電解を行った。
【0117】隔膜4,5として、フッ素系の陽イオン交
換膜(デュポン社製のナフィオン117)を用いた。
【0118】電極6,7はカーボン製の電極である。電
極面積は48cm2 である。
【0119】中間室3に粒状の陽イオン交換樹脂を充填
した。
【0120】給水口1aから0.3L/minの割合で
純水をアノード室1に供給した。
【0121】給水口2aから0.3L/minの割合で
純水をカソード室2に供給した。
【0122】給水口3aから中間室3には食塩水溶液を
供給した。
【0123】電解電流は5Aである。
【0124】このようにして得られたカソード電解水の
pHは約12、アノード電解水のpHは約2.8であっ
た。
【0125】又、カソード電解水のORPは−920m
Vであり、アノード電解水のORPは+1150mVで
あった。
【比較例3】2室型の電解装置を用いて塩酸水溶液を電
解した。
【0126】得られたカソード電解水のpHは約4.
8、アノード電解水のpHは約2.1であった。
【0127】又、カソード電解水のORPは−425m
Vであり、アノード電解水のORPは+1190mVで
あった。
【特性】上記各例で得たカソード電解水を用いて活性酸
素の除去を行った。
【0128】活性酸素(・OHラディカル)は、ヒポキ
サンチン−キサンチンオキシダーゼ系で生成されたもの
である。
【0129】水溶液中の活性酸素濃度は、ラディカルス
カベンジャーであるDMPO(5,5−dimethy
l−1−pyrroline−5−oxide)を添加
した後、ESRで調べたものである。
【0130】カソード電解水を添加する前の水溶液の活
性酸素濃度は450ppbであり、カソード電解水を添
加した後の水溶液の活性酸素濃度は表−1に示す通りで
あった。
【0131】 この表−1から、本発明のカソード電解水は、活性酸素
の除去効果が高い(還元能力が高い)ことが判る。又、
上記各例で得たカソード電解水の還元能力を調べた。す
なわち、カソード電解水に0.0001mol/LのF
e(NO33 水溶液を添加した後、K3〔Fe(C
N)6 〕水溶液を添加し、第一鉄イオンの濃度を調べた
ので、その結果を表−2に示す。
【0132】 表−2 第一鉄イオンの濃度(ppm) 実施例1 1.E−06 実施例2 1.E−06 実施例3 5.E−05 実施例4 2.E−05 実施例6 4.E−05 実施例7 2.E−05 実施例8 8.E−05 実施例9 4.E−05 実施例10 6.E−05 実施例11 3.E−05 比較例1 0.E+00 比較例2 0.E+00 比較例3 0.E+00 これによれば、本発明のカソード電解水は、還元能力が
高いことが判る。中でも、中間室に還元能力を有する有
機酸を供給して電解したカソード電解水は、還元能力が
高い。次に、SUS304材を1000℃で10分間焼
成し、表面に酸化皮膜を形成した。そして、上記各例で
得たカソード電解水で酸化皮膜を10分間かけて洗浄
し、酸化皮膜の除去具合を調べた。その結果を表−3に
示す。
【0133】 表−3 酸化皮膜の除去具合(mg/cm2 ) 実施例1 0.001 実施例3 0.01 実施例6 0.02 実施例7 0.001 実施例8 0.2 実施例9 0.01 実施例10 0.14 実施例11 0.008 比較例1 0 比較例2 0 比較例3 0 これによれば、本発明のカソード電解水は、酸化皮膜の
除去能力が高いことが判る。中でも、中間室に還元能力
を有する有機酸を供給して電解したカソード電解水は、
酸化皮膜の除去能力が高い。次に、シリコンウェハに対
する洗浄能力を調べた。
【0134】シリコンウェハは、表面に1000・厚の
酸化皮膜が形成されたものである。そして、この酸化皮
膜が形成されたシリコンウェハを鉄の水溶液(濃度は5
0ppm)中に10分間浸漬し、鉄を付着させた。
【0135】そして、先ず、超純水に上記シリコンウェ
ハを浸漬し、超音波洗浄により10分間洗浄した。この
後、上記各例で得たアノード電解水に上記シリコンウェ
ハを浸漬し、超音波洗浄により10分間洗浄した。次い
で、上記各例で得たカソード電解水に上記シリコンウェ
ハを浸漬し、超音波洗浄により10分間洗浄した。
【0136】各洗浄後における鉄の付着量を調べたの
で、その結果を表−4に示す。
【0137】 表−4(Feイオンの除去率〔1010atom〕) 超純水洗浄後 アノード電解水洗浄後 カソード電解水洗浄後 実施例1 120 50 7 実施例2 120 86 60 実施例3 120 48 8 実施例4 120 85 60 実施例5 120 46 20 実施例6 120 43 5以下 実施例7 120 86 15 実施例8 120 44 5以下 実施例9 120 75 13 実施例10 120 82 5以下 実施例11 120 86 14 比較例1 120 85 80 比較例2 120 90 84 比較例3 120 92 65 又、500ppmのCu+ が溶解した水溶液中に酸化皮
膜が形成されたシリコンウェハを浸漬し、Cu+ を付着
させた。
【0138】この後、先ず、超純水に上記シリコンウェ
ハを浸漬し、超音波洗浄により10分間洗浄した。この
後、上記各例で得たアノード電解水に上記シリコンウェ
ハを浸漬し、超音波洗浄により10分間洗浄した。次い
で、上記各例で得たカソード電解水に上記シリコンウェ
ハを浸漬し、超音波洗浄により10分間洗浄した。
【0139】各洗浄後における銅の付着量を調べたの
で、その結果を表−5に示す。
【0140】 表−5(Cuイオンの除去率〔1010atom〕) 超純水洗浄後 アノード電解水洗浄後 カソード電解水洗浄後 実施例1 15 1以下 1以下 実施例2 15 10 6 実施例3 15 1以下 1以下 実施例4 15 8 5 実施例5 15 8 7 実施例6 15 4 1以下 実施例7 15 5 2 実施例8 15 4 1以下 実施例9 15 5 2 実施例10 15 6 1 実施例11 15 7 3 比較例1 15 12 10 比較例2 15 13 11 比較例3 15 15 14 これによれば、本発明になるアノード電解水で洗浄した
後、アノード電解水で洗浄することにより、表面が綺麗
になることが判る。
【効果】本発明の電解水を用いて洗浄した場合、綺麗に
洗浄できる。特に、電解水は金属イオンを含まないか
ら、洗浄物に余計な金属が付着する心配が無い。又、電
解水は塩酸などの酸を含まないから、洗浄後の廃液処理
が容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】3室型電解槽の概略図
【図2】ESRスペクトル
【符号の説明】
1 アノード室 2 カソード室 3 中間室 4,5 隔膜 6 アノード電極 7 カソード電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3B201 AA02 AA03 AA46 AB01 BB01 BB83 BB92 4D061 DA02 DB07 EA02 EB01 EB13 EB17 EB19 EB29 EB30 EB37 EB39 ED12 GA02 GA12 GA22 GA23 GA30 GC12 4K021 AB25 BA02 BA04 BA05 BA19 BC01 DB06 DB31 DB53 DC15 4K053 PA02 PA03 QA04 RA07 RA15 RA16 RA17 RA18 RA19 RA45 YA11 YA13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アノード電極を有するアノード室と、カ
    ソード電極を有するカソード室と、前記アノード室とカ
    ソード室との間に設けられた中間室と、前記アノード室
    と中間室との間に設けられた隔膜と、前記カソード室と
    中間室との間に設けられた隔膜とを備えた3室構造の電
    解装置を用いることにより電解水を製造する方法であっ
    て、 前記アノード室に水を供給する工程と、 前記カソード室に水を供給する工程と、 前記中間室に酸および水を供給する工程とを有すること
    を特徴とする電解水の製造方法。
  2. 【請求項2】 酸が無機酸であることを特徴とする請求
    項1の電解水の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸が有機酸であることを特徴とする請求
    項1の電解水の製造方法。
  4. 【請求項4】 酸が還元能力を有する有機酸であること
    を特徴とする請求項1の電解水の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜請求項4いずれかの電解水の
    製造方法により得たカソード電解水からなることを特徴
    とする洗浄水。
  6. 【請求項6】 請求項1〜請求項4いずれかの電解水の
    製造方法により得たアノード電解水からなることを特徴
    とする洗浄水。
  7. 【請求項7】 請求項1〜請求項4いずれかの電解水の
    製造方法により得たカソード電解水を用いて洗浄するこ
    とを特徴とする洗浄方法。
  8. 【請求項8】 請求項1〜請求項4いずれかの電解水の
    製造方法により得たアノード電解水を用いて洗浄するこ
    とを特徴とする洗浄方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜請求項4いずれかの電解水の
    製造方法により得たアノード電解水を用いて洗浄する工
    程と、 請求項1〜請求項4いずれかの電解水の製造方法により
    得たカソード電解水を用いて洗浄する工程とを有するこ
    とを特徴とする洗浄方法。
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