JP2001185148A - 5v級リチウム二次電池用正極材およびその製造方法 - Google Patents

5v級リチウム二次電池用正極材およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた電位平坦性を有し、かつ、高電位部分
の充放電特性が優れるスピネル型複合酸化物正極材を提
供する。 【解決手段】 組成式:LiMn1.5Ni0.5Oまたは
組成式: LiMn1.0M (ただし、MはCr, Co, Fe)
1.0Oからなる5V級リチウム二次電池用マンガン
スピネル複合酸化物正極材であって、4.5V以上の高
電位容量が125mAh/g以上で、かつ、電位平坦性
が0.1V以下であるスピネル複合酸化物を提案する。
この複合酸化物は、Li、Mn、Niおよび遷移金属の硝酸塩
を用いる液相合成法によって製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二次電池用リチウム正
極材およびその製造方法に関し、特に、5V級の電位を
示し、放電容量の大きいスピネル型リチウムマンガン複
合酸化物からなる二次電池正極材およびその製造方法に
ついての提案である。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話の急速な普及と共に4V
級のリチウムイオン二次電池の生産量が急増している。
リチウムイオン二次電池は、4Vの起電力が発生し、ニ
ッケル水素電池等の二次電池に比べ、起電力が約3倍高
く、携帯電話等の軽量化に寄与するというのが急速普及
の主な理由である。リチウムイオン二次電池の正極材と
して、資源、安全性等に配慮したスピネル型リチウムマ
ンガン酸化物も開発されている。
【0003】最近、このリチウム二次電池の起電力をさ
らに高めるための研究が盛んになり、5V級の起電力を
有するリチウム二次電池用正極材が検討されている。こ
の二次電池は、スピネル型リチウムマンガン複合酸化物
にニッケルやクロム等の遷移金属元素を複合させたもの
であって、4.5V以上の起電力が得られることが知ら
れている。ところが、遷移金属元素を含む複合酸化物
は、たしかに4.5V以上もの起電力を発生させるもの
の、放電容量が能力の1/3程度しか発現しないという
問題点があった。
【0004】例えば、遷移金属を含むスピネル型リチウ
ムマンガン複合酸化物を正極活物質とするリチウムマン
ガン二次電池は、理論的には130mAh/g以上の放
電容量を示すはずである。しかしながら、現実にはその
1/3程度の放電容量しか得られていないのが実情であ
る。この理由は、おそらく、粉末焼結に起因する結晶欠
陥または異相の生成によるものではないかと推測され
る。
【0005】これに対し、従来、4.5V以上の起電力
を示すリチウム二次電池の正極活物質として、スピネル
型リチウムマンガン複合酸化物にクロムを必須添加成分
とし、さらにニッケルまたはコバルトを添加してなる高
容量スピネル型リチウムマンガン複合酸化物正極活物質
が提案されている (特開平11―73962号公報)。
この複合酸化物は、基本的に、LiMn1.6Ni0.4O
またはLiMn1.2Cr .8の組成を有し、ニッケルまた
はクロムを含有することで4.5V以上(5V級)の起
電力を有すると同時に、電位の低下が少ないことが特徴
である。しかし、放電容量を低下させないためには、そ
の組成をLiMn1.5Ni0.5OまたはLiMn1.0Cr
1.0Oとすることが必要であると考えられる。すな
わち、リチウム・マンガン・ニッケル複合酸化物であれ
ば、マンガンに対してニッケルを約0.5程度、リチウ
ムマンガンクロム複合酸化物であれば、マンガンに対し
てクロムを約1程度の割合で複合させた酸化物を製造す
ればよいことになる。しかし、従来の一般的な粉末混合
焼結法 (固相法) のような方法や、上記特開平11―7
3962号公報に開示のような方法では、単一相が得ら
れにくく、たとえ十分に反応を起こさせて単一相を得た
場合でも結晶欠陥のない複合酸化物を得ることは困難で
あった。いわゆる結晶性の低いものしか得られないため
に電位平坦性が悪く、かつサイクル特性の悪いものしか
得られなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、優れた電位平坦性を有し、かつ、高電位部分での放
電特性ならびにサイクル特性に優れた5V級スピネル型
リチウムマンガン複合酸化物を提供することにある。本
発明の第2の目的は、単一相で結晶欠陥のないLiMn
1.5Ni0.5O構造またはLiMn1.01.0O
(ただし、Mは3価のCr, CoまたはFeのいずれか一種以
上の元素) 構造を有する遷移金属を含むスピネル型複合
酸化物を、高い均一反応性を確保して製造する方法を提
案することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】発明者らは、上記目的を
達成するために鋭意研究した結果、従来技術が抱えてい
る問題点が、主として粉末混合焼結法 (固相法) によっ
て製造していることに由来するものであるという知見に
基づき、該複合酸化物を液相合成法(自己反応法)によ
って合成することに想到した。その結果として、下記要
旨構成にかかるスピネル型複合酸化物を開発することに
成功した。
【0008】即ち、本発明は、組成式がLiMn1.5Ni
0.5Oの単一相からなり、4.5V以上の高電位レ
ベルにおける、電位平坦性(電位幅/放電初期電位−放
電末期電位)が0.1V以下を示し、放電容量が少なく
とも125mAh/g以上の特性を有することを特徴と
する5V級リチウム二次電池用正極材である。
【0009】また、本発明は、組成式が LiMn1.0
( ただし、Mは3価のCr, CoまたはFeのいずれか一種以
上の元素)1.0Oの単一相からなり、4.5V以上の
高電位レベルにおいて、電位平坦性(電位幅/放電初期
電位−放電末期電位)が0.1V以下を示すと共に、放
電容量が少なくとも125mAh/g以上の特性を有す
ることを特徴とする5V級リチウム二次電池用正極材で
ある。
【0010】上記各正極材は、次のような製造方法の適
用によって製造することができる。即ち、第1の方法
は、Liの硝酸塩と、MnおよびNiの硝酸塩との混合水溶液
中に、金属イオンを含まない非イオン水溶性高分子をカ
チオン担持体として添加し、その後、前記混合水溶液の
水分を加熱除去することによって、電位容量が125m
Ah/g以上の, LiMn1.5Ni0.5Oスピネル型複
合酸化物を合成することを特徴とする5V級リチウム二
次電池用正極材の製造方法である。
【0011】第2の方法は、LiおよびMnの硝酸塩と、3
価のCr、CoおよびFeのいずれか一種以上の硝酸塩との混
合水溶液に、金属イオンを含まない非イオン水溶性高分
子をカチオン担持体として添加し、その後、前記混合水
溶液の水分を加熱除去することによって、電位容量が1
25mAh/g以上の、 LiMn1.0M( ただし、Mは
3価のCr, Co, Feのいずれか一種以上)1.0Oスピネ
ル型複合酸化物を合成することを特徴とする5V級リチ
ウム二次電池用正極材の製造方法である。
【0012】なお、上記製造方法においては、Li、Mnお
よびNiの硝酸塩混合水溶液に非イオン水溶性高分子をカ
チオン担持体として添加混合した後、水分を加熱除去し
て複合酸化物粉末を得た後、さらに400℃以上の高温
で再加熱処理することによって合成することが好まし
い。また、上記製造方法においては、LiおよびMnの硝酸
塩と3価のCr、Co、Feの一種以上の硝酸塩混合水溶液に
非イオン水溶性高分子をカチオン担持体として添加混合
した後、水分を加熱除去して複合酸化物粉末を得た後、
さらに400℃以上の高温で再加熱処理することによっ
て合成することが好ましい。
【0013】本発明において、上記の非イオン水溶性高
分子としては、ニトロ化しやすい有機物でOH基を有す
る高分子化合物を用いることが望ましい。そして、上記
混合水溶液は100〜200℃の温度にて加熱して水分
を除去することが望ましく、さらに、複合酸化物粉末の
高温での加熱処理は、400℃以上、複合酸化物の分解
温度未満の温度範囲で行われることが望ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明にかかる二次電池正極材は
単一相で、結晶欠陥のないLiMn1.5Ni0. Oまた
は LiMn1.0M( ただし、Mは3価のCr, CoまたはFe
のいずれか一種以上の元素)1.0Oの組成式を有する
スピネル型複合酸化物を提供するところにあり、この種
のスピネル型複合酸化物は、5V級の電位を有し、とく
に4.5V以上の高電位での容量が125mAh/g以
上で、電位平坦性が0.1V以下と、極めて電位低下の
小さい複合酸化物である点に特徴がある。
【0015】本発明にかかるスピネル型複合酸化物にお
いて、組成をLiMn1.5Ni0.5O のものに限定した
理由は、5V級の電位を示し理論的に最大の容量を得る
ことができるからである。また、 LiMn1.0M (ただ
し、Mは3価のCr, CoまたはFeのいずれか一種以上の元
素)1.0Oに限定する理由もまた、上述したと同様の
理由に基づくものである。
【0016】そして、上記各組成式の酸化物は、いずれ
も結晶性の高い単一相にて構成されることが好ましい。
このような単一相で構成された複合酸化物は、放電容量
が高くかつ電位平坦性が優れているからである。
【0017】本発明にかかる上記スピネル型複合酸化物
において、上述した電位平坦性とは、[電位幅/初期放
電電位−放電末期電位]をいい、この数値が小さければ
小さいほどプラトー域での放電初期 (図4中の(a))と放
電末期 (図4中の(b))における電位の低下が小さいこと
になり、このような電位平坦性が小さい電池用正極材を
用いて電池を構成した場合には、充放電の繰り返しによ
る電圧低下が少なくなる。ここで、電位平坦性を0.1
V以下に限定した理由は、電池のエネルギー密度が高く
なり、かつ電圧変動の小さい電池が得られるからであ
る。
【0018】次に、本発明にかかるスピネル型複合酸化
物は、4.5V以上の電位を発現する高電位部分での放
電容量が125mAh/g以上を示すものでなければな
らない。この理由は、このような高放電容量をもつスピ
ネル型複合酸化物をリチウム二次電池用正極材とした場
合、リチウム・マンガン・ニッケル複合酸化物またはリ
チウム・マンガン・遷移金属複合酸化物正極材がもつ、
ほぼ最大限の能力(高容量、高電位)を発現できると共
に、高電位で、放電による電圧低下が小さいという作用
を発揮するのに効果的だからである。なお、かかるスピ
ネル型複合酸化物中のニッケルは、いずれも正確に0.
5である必要はなく、若干の組成幅があってもよいこと
はもちろんであり、遷移金属元素も同様である。また、
この複合酸化物は、5V級の正極材としてはもちろんの
こと、4V級のリチウム二次電池用正極材等に混合して
用いることができる。
【0019】このような、本発明のスピネル複合酸化物
は、先に本出願人が提案した (特願平11−27934
7号) 液相合成法(自己反応法)により作製することが
できる。この先行提案にかかる複合酸化物の製造方法の
特徴は、硝酸塩を形成可能なリチウム、マンガン、ニッ
ケルまたは遷移金属元素の硝酸塩の混合水溶液に、非イ
オン水溶性高分子をカチオン担持体として添加混合し、
その後、水分を比較的低い温度で加熱して除去すること
によって、自然に反応を起こさせて短時間に複合酸化物
を合成することにある。
【0020】かかる製造方法において、脱水のための加
熱温度は80℃以上とする。この理由は、温度が80℃
未満ではニトロ化合物の分解, 燃焼が起こらず、複合酸
化物を合成することができないからである。一方、上限
の温度は、水分が蒸発しかつニトロ化合物が分解する温
度であればよいので、使用する水溶性高分子に応じて、
250℃以下の範囲内とすることが望ましい。より好ま
しくは、100〜200℃の温度領域がよい。
【0021】上記温度領域で加熱することによって、混
合水溶液中の2種以上のカチオンは、水分の蒸発に伴
い、カチオン担持体に均一混合された状態で固定され
る。一方、硝酸イオンは、この加熱によってカチオン担
持体と反応してニトロ化合物を生成する。その結果、上
記加熱を続けると、上記ニトロ化合物が分解燃焼し、そ
の熱エネルギーによってカチオン同士が反応し、ニッケ
ルが容易に0.5またはそれ以上のリチウム・マンガン
・ニッケル複合酸化物またはマンガンと遷移金属(Cr、
Co、Feのいずれか一種以上)が1:1もしくはこの組成
に近似したリチウムマンガン遷移金属からなる複合酸化
物が合成されることになる。
【0022】このようにして得られた複合酸化物粉末
は、微細でかつ比表面積の大きな粉末である。しかしな
がら、合成直後の酸化物粉末は、不純物としてCおよび
Nを含んでおり、これらの不純物を除去することが望ま
しい場合がある。
【0023】そこで、このような不純物を除去したリチ
ウム・マンガン・ニッケル複合酸化物またはリチウム・
マンガン・遷移金属複合酸化物の単一相結晶(かつ格子
欠陥のない結晶)からなる複合酸化物を製造する方法と
して、本発明は、上述した複合酸化物の合成反応に加え
てさらに、合成した複合酸化物を再熱処理 (焼成) する
ことが好ましい。この再熱処理は、上述したように、4
00℃以上、複合酸化物の分解温度未満で行うことが望
ましい。このように、再熱処理の温度に制限を設けたの
は、比較的低い温度(100℃〜200℃)の加熱だけ
では、結晶配列にゆがみが残留する場合があるので、こ
のような結晶のゆがみや欠陥を規整して、ほぼ完全に結
晶化した複合化酸化物とする処理が必要だからである。
【0024】なお、上記製造方法において、硝酸塩を用
いる理由は、硝酸イオンは、カチオン担持体である非イ
オン性高分子と反応して、ニトロ化合物を生成するた
め、また、低温で分解するために他のアニオン(硫酸イ
オン、塩素イオン等)と比較して生成物残存した場合で
も除去が容易になるためである。また、本発明方法にお
いて、カチオン担持体を用いる理由は、カチオン担持体
を添加しないと、加熱による混合水溶液中の水分蒸発に
伴って、溶解度の差により各元素の硝酸塩が分離析出し
てしまうからである。
【0025】このカチオン担持体は、カチオンを担持,
固定する機能を有する物質であり、金属イオンを含まな
い非イオン水溶性高分子であればよい。例えば、小麦デ
ンプンなどのデンプン質、マンナン(こんにゃく等)、
アガー(寒天)などの海藻類、トロロアオイやアラビア
ゴムなどの植物粘質物、デキストランなどの微生物によ
る粘質物、にかわやゼラチンなどのタンパク質に代表さ
れる天然高分子、ビスコースやメチルセルロース(M
C)などのセルロース系、可溶性デンプンやジアルデヒ
ドデンプンなどのデンプン系に代表される半合成品、お
よびポリビニルアルコール(PVA)などに代表される
合成品がある。なかでも、ニトロ化しやすい有機物でOH
基を有する、例えば、PVAやMC、アガーなどから選
ばれる1種以上を用いることが好ましい。
【0026】なお、金属イオンを含まない非イオン水溶
性高分子を用いる理由は、カリウムやナトリウムなどの
金属イオンが残留すると、所望の複合酸化物の結晶構造
中に取り込まれるか、あるいは新たな化合物が生成して
しまうからである。
【0027】Liの硝酸塩としては、LiNOが用いら
れ、Mnの硝酸塩としては、Mn(NO)・6HO、Niの硝
酸塩としては2価のNi(NO)が用いられる。また、C
r、CoまたはFeの硝酸塩としては、3価のCr(NO)・6
HO、Co(NO)・6HO、Fe(NO)・6HOがそれぞ
れ用いられる。
【0028】本発明方法において、複合酸化物は、以下
のような反応過程を経て合成されるものと考えられる。 1 まず、リチウム、マンガンおよびニッケルまたはリ
チウム、マンガンおよび遷移金属元素の混合硝酸塩水溶
液中のカチオンが、加熱による水分の蒸発に伴い、徐々
にカチオン担持体に担持・固定され、反応し易い均一な
状態となる。 一方で、混合水溶液中の硝酸イオンは、カチオン担持
体と加熱により反応してニトロ化合物を生成する。 そして、上記のカチオンを担持したニトロ化合物は、
さらなる加熱により熱分解, 燃焼して発熱する。この時
の熱エネルギーによって、カチオンどうしが反応して、
スピネル型複合酸化物、またはスピネル型複合酸化物の
前駆体となる。
【0029】
【実施例】( 実施例1)この実施例による複合酸化物
は、5V級のリチウム電池の正極材料として利用される
LiMn1.5Ni0.5Oである。この酸化物の調整は、
まず、LiNO:0.1モルとNi(NO)・6HO:0.05モル
とMn(NO)・6HO:0.15モルを純水10mlに溶解し、
混合水溶液とした。この混合水溶液にカチオン担持体と
してPVAの20%溶液を33g添加し、その後、150
℃の乾燥器に移し、2時間加熱乾燥したところ、黒色粉
末が得られた。この粉末をX線回折による同定を行った
ところ、LiMn 1.5Ni0.5O単一相であることが確
認できた。さらに、上記加熱乾燥後に、温度700 ℃で5
時間の焼成を行い、その焼成粉末をX線回折によって同
定した結果、さらに結晶性の高いLiMn1.5Ni0.5O
が得られたことを確認した(図1参照)。
【0030】(比較例1)比較のために、従来の粉末焼結
法(固相法)によって実施例1と同一目標組成になるよ
うにLiCO粉末:0.05モル, 粒径2mmと、MnO
末:0.15モル, 粒径20μmと、NiO粉末:0.05モル, 粒
径2μmの混合粉末を攪拌器で1時間攪拌混合し、その
後、焼成炉で、750 ℃で10時間焼成してリチウム・マン
ガン・ニッケル複合酸化物を得た。得られた粉末をX線
回折によって同定したところ、リチウム・マンガン・ニ
ッケルのスピネル構造ではあったが、目標としたLiMn
1.5Ni0.5Oの単一相が得られておらず、組成が
異相としてNiOが存在する結晶性の低いスピネル型複合
酸化物であったことがわかった。
【0031】(実施例2)実施例1で得られた黒色粉末
と比較例1で得られた粉末とを正極材とする二次電池を
作製した。この二次電池は、実施例1と比較例1の正極
材を正極として、金属リチウムを負極としてポリエチレ
ン製のセパレータを介して対向させ、三極式のガラスセ
ルに装入し、エチレンカーボネートとジメチルカーボネ
ートの非水電解液を注入して2つのリチウムマンガンニ
ッケル二次電池をそれぞれ作製したものである。作製し
た電池の評価を行うために、容量維持率試験及び充放電
サイクル試験を行った。本発明のスピネル型複合酸化物
(実施例1)を正極とした二次電池の試験結果を図3、
4に、比較例の複合酸化物(比較例1)の結果を図5、
6に示す。図3から、本発明の放電容量は、初期充放電
容量が130mAh/gであるのに対し、図5の初期充
放電容量は85mAh/g程度であり、スピネル単一相
の欠陥、結晶欠陥の存在が放電容量に影響を与えている
ことがわかる。また、図4から本発明のスピネル複合酸
化物を用いた二次電池は、125mAh/g以上の放電
容量が4.5Vを示し、かつ、[電位/初期放電電位
(a) と末期放電電位(b) の差]すなわち電位の平坦性が
0.1V以下であり、充分な電池実用性を示したのに対
し、図6では、4.3V以上の高電位部分での充放電容
量が50mAh/gと低く、電位平坦性も0.3Vと大
きいことが確認された。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にかかるス
ピネル型リチウムマンガン複合酸化物は、単一相で結晶
欠陥のない複合酸化物であり、二次電池用正極材とし
て、放電容量が高く、かつ、電位平坦性とサイクル特性
とに優れ、しかも高電位領域での繰り返し充放電による
電圧低下が少なく、高容量を維持できるという効果を有
する。また、本発明によれば、結晶欠陥の少ない、単一
相のスピネル型複合酸化物を簡便に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によって得られた乾燥粉末のX
線回折図である。
【図2】同じく比較例によって得られた粉末のX線回折
図である。
【図3】本発明の二次電池試験の充放電容量の結果を示
す図である。
【図4】本発明の二次電池試験の電位と充放電容量の結
果を示す図である。
【図5】比較例の二次電池試験の充放電容量の結果を示
す図である。
【図6】比較例の二次電池試験の電位と充放電結果を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋場 裕樹 茨城県つくば市東光台5丁目9番6号 日 本重化学工業株式会社筑波研究所内 (72)発明者 高橋 恒 茨城県つくば市東光台5丁目9番6号 日 本重化学工業株式会社筑波研究所内 Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AB05 AC06 AD03 AD06 AE07 AE08 5H029 AJ02 AJ03 AJ05 AK03 AL12 AM03 AM05 AM07 CJ02 CJ08 CJ12 HJ02 HJ18 HJ19 5H050 AA02 AA07 AA08 BA16 BA17 CA09 CB12 DA02 DA09 EA23 GA02 GA10 GA12 HA02 HA18 HA19

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式がLiMn1.5Ni0.5Oからな
    り、4.5V以上の高電位レベルにおける電位平坦性
    (電位幅/放電初期電位−放電末期電位)が0.1V以
    下を示すと共に、放電容量が少なくとも125mAh/
    g以上の特性を有することを特徴とする5V級リチウム
    二次電池用正極材。
  2. 【請求項2】 組成式が LiMn1.0M (ただし、Mは
    3価のCr, CoまたはFeのいずれか一種以上の元素)
    1.0Oの単一相からなり、4.5V以上の高電位レ
    ベルにおける電位平坦性(電位幅/放電初期電位−放電
    末期電位)が0.1V以下を示すと共に、放電容量が少
    なくとも125mAh/g以上の特性を有することを特
    徴とする5V級リチウム二次電池用正極材。
  3. 【請求項3】 Liの硝酸塩と、MnおよびNiの硝酸塩と混
    合水溶液中に、金属イオンを含まない非イオン水溶性高
    分子をカチオン担持体として添加し、その後、前記混合
    水溶液の水分を加熱除去することによって、電位容量が
    125mAh/g以上の、LiMn1.5Ni0.5Oスピ
    ネル型複合酸化物を合成することを特徴とする5V級リ
    チウム二次電池用正極材の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法において、水分を
    加熱除去して得た複合酸化物粉末を、さらに高温度で加
    熱処理することを特徴とする5V級リチウム二次電池用
    正極材の製造方法。
  5. 【請求項5】 LiおよびMnの硝酸塩と、3価のCr、Coお
    よびFeのいずれか一種以上の硝酸塩とを水に溶解し、次
    いで、得られた混合水溶液に、金属イオンを含まない非
    イオン水溶性高分子をカチオン担持体として添加し、そ
    の後、前記混合水溶液の水分を加熱除去することによっ
    て、電位容量が125mAh/g以上の, LiMn1.0
    M (ただし、Mは3価のCr, CoまたはFeのいずれか一種
    以上の元素)1.0O複合酸化物を合成することを特徴
    とする5V級リチウム二次電池用正極材の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載の方法において、水分を
    加熱除去して得た複合酸化物粉末を、さらに高温度で加
    熱処理することを特徴とする5V級リチウム二次電池用
    正極材の製造方法。
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