JP2001181429A - 生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体及びその製造方法、並びに生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡成形品及びその製造方法 - Google Patents

生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体及びその製造方法、並びに生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡成形品及びその製造方法

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JP2001181429A
JP2001181429A JP36930999A JP36930999A JP2001181429A JP 2001181429 A JP2001181429 A JP 2001181429A JP 36930999 A JP36930999 A JP 36930999A JP 36930999 A JP36930999 A JP 36930999A JP 2001181429 A JP2001181429 A JP 2001181429A
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cellulose
acetate
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JP36930999A
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Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 製造するのに複雑な工程が必要でなく、しか
も生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセル
ロース・アセテート系樹脂発泡体及びその製造方法、さ
らに、このセルロース・アセテート系樹脂発泡体を用い
て得られた、生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性に
も優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡成形品及び
その製造方法を提供する。 【解決手段】 セルロース・アセテート系樹脂、該樹脂
の軟化点より低い温度の融点を有する生分解性可塑剤、
改質材としてのポリオレフィン系樹脂、及び発泡剤とし
ての水分を含有する発泡性樹脂組成物を押し出しすると
同時に水分の気化膨張力により発泡させることにより製
造してなる、生分解性発泡体及びその製造方法、さら
に、セルロース・アセテート系樹脂発泡体を所望の形状
に熱賦形、圧縮成形、真空成形、又は圧空成形してなる
ことを特徴とする、生分解性でかつ機械的特性や寸法安
定性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡成形
品及びその製造方法を提供した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、生分解性でかつ機
械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテート
系樹脂発泡体及びその製造方法、並びに生分解性でかつ
機械的特性や寸法安定性にも優れたセルロース・アセテ
ート系樹脂発泡成形品及びその製造方法に関し、さらに
詳しくは、主原料となるセルロース・アセテート系樹脂
に改質材としてのポリオレフィン系樹脂を添加した発泡
性樹脂組成物を水発泡させることにより製造してなる、
生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロ
ース・アセテート系樹脂発泡体及びその製造方法、並び
に生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性にも優れたセ
ルロース・アセテート系樹脂発泡成形品及びその製造方
法に関する。そして、本発明のセルロース・アセテート
系樹脂発泡体や発泡成形品は、従来のセルロース・アセ
テート系樹脂発泡体や発泡成形品に欠けていた生分解性
を維持しながらも機械的特性、熱賦形性、寸法安定性等
に優れるという特性のため、断熱材、緩衝材、食品包装
容器などの各種用途に好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、合成樹脂からなる発泡体は、多種
多様のものが製造され、食品包装容器、水質浄化材、断
熱材、緩衝体等の幅広い分野で活用されてきた。近年、
これら合成樹脂発泡体の需要は、年々増加する傾向にあ
り、このため廃棄される量も年々増加して、環境問題、
公害問題として、大きく社会的にクローズアップされて
きている。しかし、廃棄合成樹脂発泡体を再生利用する
には、社会的規模の様々な対応が求められ、一方、焼却
処分するには、有害ガスの発生防止、高熱発生による焼
却炉の劣化防止など、山積されている問題が多く、廃棄
処理が容易である発泡体の開発が強く望まれている。
【0003】このような要求に対して、これら合成樹脂
(例えばポリスチレン等)を生分解性樹脂で置換えた発
泡体が種々提案されている。例えば、特開平5−320
405号公報、特開平6−32928号公報などには、
セルロースアセテートなどのセルロースエステル誘導体
からなる発泡体が開示されている。この発泡体は、断熱
材、緩衝材、食品包装容器などとして利用されている。
また、生分解性樹脂としては、上記セルロースアセテー
トなどのセルロースエステル誘導体の他、例えば、アミ
ロースや木粉のエステル誘導体、セルロース−キトサン
混合体、ポリヒドロキシン酪酸およびその誘導体、プル
ラン、ポリエステル−ナイロン共重合体、デンプンとポ
リエチレンとのブレンド体など種々の生分解性樹脂が知
られており、これらを用いて発泡体を製造する試みも種
々なされている。しかし、これまでに得られたセルロー
スアセテートを始めとする生分解性樹脂からなる発泡体
は、用いた生分解性樹脂などの種類により多少の差はあ
るものの、生分解性の面では満足できる域に達していて
も、機械的特性、熱賦形性、寸法安定性等の他の特性面
では未だ充分とはいえないのが現状であった。一方、近
年、かかるセルロース・アセテート系樹脂発泡体の用途
開発が進むにつれて、従来はあまり重要視されなかっ
た、生分解性と、機械的特性、熱賦形性、寸法安定性等
の他の特性とを兼備したセルロース・アセテート系樹脂
発泡体に対する需要がたかまり、その結果、生分解性を
維持しながらも、成形品に賦形する際の型内成形が容易
であり、しかも寸法安定性や機械的特性が良好であるセ
ルロース・アセテート系樹脂発泡体の実用的な技術開発
が強く望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来のセルロース・アセテート系樹脂発泡体がもつ問題
点を解消し、主原料となるセルロース・アセテート系樹
脂に改質材としてのポリオレフィン系樹脂を添加した発
泡性樹脂組成物を水発泡させることにより得られた、製
造するのに複雑な工程が必要でなく、しかも生分解性で
かつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセ
テート系樹脂発泡体及びその製造方法、さらには、この
セルロース・アセテート系樹脂発泡体を用いて得られ
た、生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性にも優れた
セルロース・アセテート系樹脂発泡成形品及びその製造
方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題に
対し鋭意研究を重ねた結果、主原料となるセルロース・
アセテート系樹脂と、該樹脂の軟化点より低い温度の融
点を有する生分解性可塑剤と、発泡剤としての水分とを
含有する発泡性樹脂組成物に、改質材としてのポリオレ
フィン系樹脂をさらに添加することにより、該発泡性樹
脂組成物を押し出しすると同時に水分の気化膨張力によ
り発泡させることにより製造されたセルロース・アセテ
ート系樹脂発泡体が、驚くべきことに、生分解性を維持
しながらも、成形品に賦形する際の型内成形が容易であ
り、しかも寸法安定性や機械的特性が良好であることを
見出した。そして、本発明は、これらの知見に基づいて
完成するに至ったものである。
【0006】すなわち、本発明によれば、セルロース・
アセテート系樹脂、該樹脂の軟化点より低い温度の融点
を有する生分解性可塑剤、改質材としてのポリオレフィ
ン系樹脂、及び発泡剤としての水分を含有する発泡性樹
脂組成物を押し出しすると同時に水分の気化膨張力によ
り発泡させることにより製造してなる、生分解性でかつ
機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテー
ト系樹脂発泡体が提供される。
【0007】さらに、本発明によれば、発泡性樹脂組成
物は、セルロース・アセテート系樹脂(A)100重量
部、生分解性可塑剤(B)10〜30重量部、ポリオレ
フィン系樹脂(C)10〜100重量部、及び樹脂成分
(A+B+C)100重量部に対し水分(D)3〜10
0重量部を含有することを特徴とする上記のセルロース
・アセテート系樹脂発泡体、或いは、生分解性可塑剤
は、ポリアルキレングリコール、脂肪族ポリエステル及
びポリカプロラクトンから選ばれる少なくとも1種であ
ることを特徴とする上記のセルロース・アセテート系樹
脂発泡体、或いは、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチ
レン樹脂、ポリプロピレン樹脂及びエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特
徴とする上記のセルロース・アセテート系樹脂発泡体、
或いは、発泡性樹脂組成物は、さらに、生分解性調整剤
として、光触媒を含有することを特徴とする上記のセル
ロース・アセテート系樹脂発泡体、発泡性生樹脂組成物
は、さらに、生分解性調整剤として、セルロース・アセ
テート系樹脂(A)100重量部に対し光触媒(E)
0.1〜50重量部を含有することを特徴とする上記の
セルロース・アセテート系樹脂発泡体、或いは、発泡性
樹脂組成物は、さらに、発泡調整剤として、セルロース
・アセテート系樹脂(A)100重量部に対しタルク
(F)5〜50重量部を含有することを特徴とする上記
のセルロース・アセテート系樹脂発泡体が提供される。
【0008】さらにまた、本発明によれば、上記のセル
ロース・アセテート系樹脂発泡体を所望の形状に熱賦
形、圧縮成形、真空成形、又は圧空成形してなることを
特徴とする、生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性に
も優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡成形品が提
供される。
【0009】一方、また、本発明によれば、前方にTダ
イ又は押出しノズルを有する筒状容器内に、セルロース
・アセテート系樹脂、該樹脂の軟化点より低い温度の融
点を有する生分解性可塑剤、改質材としてのポリオレフ
ィン系樹脂、及び発泡剤としての水分を含有する発泡性
樹脂組成物を投入し、該発泡性樹脂組成物を前記Tダイ
又はノズルに押送する間は、昇温させて流動状の加熱加
圧状態とし、その後前記Tダイ又はノズルから押出発泡
することにより、セルロース・アセテート系樹脂発泡体
を製造することを特徴とする、上記のいずれかに記載の
セルロース・アセテート系樹脂発泡体の製造方法が提供
される。
【0010】さらに、本発明によれば、発泡性樹脂組成
物は、セルロース・アセテート系樹脂(A)100重量
部、生分解性可塑剤(B)10〜30重量部、ポリオレ
フィン系樹脂(C)10〜100重量部、及び樹脂成分
(A+B+C)100重量部に対し水分(D)3〜10
0重量部を含有することを特徴とする上記のセルロース
・アセテート系樹脂発泡体の製造方法、或いは、発泡性
樹脂組成物は、セルロース・アセテート系樹脂100重
量部に対し、さらに、生分解性調整剤として光触媒
(E)0.1〜50重量部、及び/又は発泡調整剤とし
てタルク(F)5〜50重量部を含有することを特徴と
する上記のセルロース・アセテート系樹脂発泡体の製造
方法が提供される。
【0011】さらにまた、本発明によれば、上記セルロ
ース・アセテート系樹脂発泡体は、ビーズ状又はペレッ
ト状に切断され後、所望の成形型に詰めて熱賦形される
ことを特徴とする、前記のセルロース・アセテート系樹
脂発泡成形品の製造方法、或いは上記セルロース・アセ
テート系樹脂発泡体は、シート状に押し出して、発泡、
成形させた後、所望の形状に圧縮成形、真空成形又は圧
空成形されることを特徴とする前記のセルロース・アセ
テート系樹脂発泡成形品の製造方法が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0013】1.セルロース・アセテート系樹脂(A) 本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体に用いら
れるセルロース・アセテート系樹脂(A)は、天然物に
近い化学構造を持つために環境中の微生物等によって分
解する性能、すなわち生分解性能を持っているものであ
り、セルロース・アセテートを主成分として含むもので
ある。副成分として、本発明の目的を損なわない範囲で
さらに配合してもよい他の生分解性樹脂は、特に限定さ
れるものではなく、一般に生分解性樹脂として用いられ
ているものならば何でも使用することができる。これら
に該当するものとしては、例えば、スターチ系生分解性
樹脂、セルロース系生分解性樹脂などが挙げられる。
【0014】セルロース・アセテート系樹脂中で主成分
として含まれるセルロース・アセテートは、通常、綿の
実から得られるリンター、又は木材パルプのセルロース
に酢酸を反応させることにより製造される。本発明のセ
ルロース・アセテート系樹脂発泡体に用いられるセルロ
ース・アセテートとしては、通常「酢酸セルロース」と
して市販されているグレードのものならば何でもよい
が、その中でも、セルロースの酢酸エステル化度が、セ
ルロースに結合している酢酸の重量割合で表される酢化
度でいって45%以上であるようなものがよく、特に酢
化度が47〜60%(セルロース1単位当たりの結合ア
セチル基の数は1.9〜2.8)のものが好ましい。酢
化度が45%未満の場合には、溶融温度が高くなりすぎ
るため、安定して発泡体に溶融成形することが困難とな
る。
【0015】セルロース・アセテートは、物性面では、
軟質又は中硬質のものがよく、表面硬度がロックウェル
硬さで、H=80〜100のもの、衝撃強度が20〜
30kg−cm/cmのものが好ましく用いられる。さ
らに、成形加工性の観点から、軟化して流動を始める軟
化点(流出温度)が150〜170℃のもの、ASTM
D 648に規定された荷重18.6kgf/cm
の条件での熱変形温度が、44〜55℃のものが好まし
く用いられる。一方、硬質のものでは、安定して発泡体
に溶融成形することが困難となる。
【0016】また、本発明のセルロース・アセテート系
樹脂発泡体に用いられるセルロース・アセテート系樹脂
には、単に酢酸基をもつアセテートの他に、プロピオン
酸或いは酪酸を混合使用したセルロース・アセトプロピ
オネートや、セルロース・アセトブチレートも含まれ、
溶融点、吸水率、溶剤に対する溶解性等の観点から酸の
混合比率を適宜選択して使用できる。
【0017】さらに、セルロース・アセテート系樹脂発
泡体は、セルロースアセテート自体より遊離する酢酸臭
を除去するために、食品包装容器、水質浄化材、断熱
材、緩衝体等の用途にあっては、通常、行う弱アルカリ
溶液処理等を施してもよく、また、育苗ポットや防草シ
ートなどに用いられる場合には、酢酸自身が抗菌性付与
のために役立つことから、酢酸臭を除去するための後処
理を行う必要がなく、発泡体中にセルロースアセテート
から遊離した酢酸が残存してもよい。
【0018】また、本発明のセルロース・アセテート系
樹脂発泡体に用いられるセルロース・アセテート系樹脂
は、生分解性能を持っている。しかし、自然界において
これを分解する微生物、すなわちバクテリアの存在密度
が低い場合もあり、この場合、生分解も比較的ゆっくり
行われる。ところが、素材を調整することにより、生分
解も含む分解速度を促進させることが可能である。例え
ば、生分解性樹脂中に、生分解性調整剤として、光触媒
(E)を含有させると、紫外線照射等を受ける自然環境
下では、生分解とは別に新たに光分解が起こり、この場
合には、生分解と光分解の両作用により分解速度が一層
促進されることになる。その光触媒としては、酸化チタ
ン類、酸化亜鉛、カドミウムサルファイトなどの公知の
光触媒を挙げることができ、中でも酸化チタン類が無害
であって、化学的に安定、かつ安価でもあり、好ましく
用いられる。酸化チタン類としては、例えば、石原産業
株式会社製の光触媒用酸化チタンSTシリーズ、及びS
TSシリーズのものを挙げることができる。
【0019】生分解性樹脂中への生分解性調整剤として
の光触媒の含有量は、必要に応じて、発泡体の光分解能
力を調節するために、適宜増減することができるが、通
常、生分解性樹脂、すなわちセルロース・アセテート系
樹脂(A)100重量部に対して、光触媒(E)0.1
〜50重量部であり、好ましくは0.5〜10重量部で
ある。光触媒の含有量が0.1重量部未満では、光分解
効果が小さすぎ、一方、50重量部を超えると、発泡性
や成形性に支障が生じる恐れがある。
【0020】2.生分解性可塑剤(B) 本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体におい
て、発泡体を円滑に得るために、必須成分として用いら
れる特定の生分解性可塑剤(B)成分は、前記セルロー
ス・アセテート系樹脂の軟化点より低い温度の融点を有
する生分解性可塑剤からなり、ポリアルキレングリコー
ル、多価アルコール及びポリカプロラクトンから選ばれ
る少なくとも1種である。
【0021】ポリアルキレングリコールとしては、エチ
レンオキサイド(オキシエチレン)、プロピレンオキサ
イド(オキシプロピレン)又は両者の混合物を原料とし
て開環重合して製造されるポリエチレングリコール、ポ
リプロピレングリコールなどであり、中でもポリエチレ
ングリコールは、生分解性等の点から、特に好ましく用
いられる。また、ポリオキシアルキレングリコールのモ
ノエーテル、ジエーテル、ジオールを用いてもよい。さ
らに、ポリオキシアルキレングリコールとしては、オキ
シエチレンとオキシプロピレンのブロック又はランダム
重合でもよく、生分解性等の点からオキシエチレンとオ
キシプロピレンの割合は、オキシエチレンの割合が50
重量%〜100重量%が好ましい。これらのポリアルキ
レングリコール又はポリオキシアルキレングリコールの
分子量は、特に限定する必要はないが、20000程度
以下、特に200〜2000が好ましい。
【0022】生分解性可塑剤として用いることができる
多価アルコールとしては、グリセリン、ソルビトール、
1,3ブタンジオール、ジグリセリン、ポリグリセリン
などを挙げることができ、生分解性を有する高沸点のも
のである。
【0023】さらに、生分解性可塑剤として用いること
ができるポリカプロラクトンとしては、次の一般式で表
される脂肪族ポリエステルが挙げられるが、この脂肪族
ポリエステルの市販品としては、例えば、日本ユニカー
株式会社販売の「トーン」(商品名)がある。
【0024】
【化1】
【0025】(式中、Rは、脂肪族部分を表し、nは正
の整数である。)
【0026】本発明において、生分解性可塑剤の一つと
して用いるポリカプロラクトンは、生分解性であるばか
りでなく、非水溶性であり、さらに、好都合なことに
は、加熱によりセルロース・アセテート系樹脂を可塑化
する働きがあるため、可塑剤として働き、通常セルロー
ス・アセテート系樹脂発泡体を製造する際に必要な可塑
剤を何ら添加しなくても、セルロース・アセテート系樹
脂発泡体が得られ、その上、水溶性可塑剤を用いていな
いため、水分との接触による可塑剤の溶出といった弊害
をも回避することができるという利点がある。
【0027】また、本発明に用いられる特定の生分解性
可塑剤は、上記のように、融点がセルロース・アセテー
ト系樹脂の軟化点以下であることが必要である。そのう
ち、好ましい融点は、100℃以下、特に好ましい融点
は、60℃近傍である。このような融点を有する生分解
性可塑剤を生分解性樹脂に添加すると、生分解性樹脂中
の水分の沸点が上昇するため、セルロース・アセテート
系樹脂発泡体は、緻密かつ均一となり、品質の均一で良
質なセルロース・アセテート系樹脂発泡体が簡単且つ容
易に得ることが可能となる。一方、融点がセルロース・
アセテート系樹脂の軟化点以上である可塑剤、例えば高
分子量のポリエチレングリコールやポリカプロラクトン
を用いると、生分解性であっても、可塑化する働きをし
ないため、良好なセルロース・アセテート系樹脂発泡体
が得られない。
【0028】本発明において、生分解性可塑剤(B)の
配合量は、セルロース・アセテート系樹脂(A)100
重量部に対して、20〜50重量部、好ましくは25〜
45重量部の範囲であることが重要である。配合量が2
0重量部未満であると、セルロース・アセテート系樹脂
を可塑化する働きが乏しく、満足する発泡体が得られな
い。一方、50重量部を超えると、その可塑化する効果
が過度となり、好ましくない。
【0029】3.改質材(C) 本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体において
は、セルロース・アセテート系樹脂自体が元来具備する
生分解性を維持しながらも、機械的特性、熱賦形性、寸
法安定性等の他の特性を賦与するために、改質材(C)
として機能するポリオレフィン系樹脂が発泡性樹脂組成
物中の必須成分として用いられる。本発明で用いる改質
材(C)としてのポリオレフィン系樹脂は、低密度ポリ
エチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDP
E)、線状低密度ポリエレン(LLPE)、低分子量ポ
リエチレン(LMWPE)及び高分子量ポリエチレン
(HMWPE)等のポリエチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、並びにポ
リプロピレン等であり、低密度ポリエチレンやポリプロ
ピレンが経済性の点から好ましく用いることができる。
ポリオレフィン系樹脂を添加することにより、本発明の
セルロース・アセテート系樹脂発泡体には、経済性に加
えて、例えば、曲げ強さや引張り強さを増すことがで
き、加工性と機能性を高めることができる。通常、安定
で化学的に飽和したポリオレフィン系樹脂を必要に応じ
て適量添加して、得られるセルロース・アセテート系樹
脂発泡体の各種用途や使用態様に適合させることができ
る。
【0030】さらに、生分解性について、詳述すると、
本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体におい
て、直接的生分解性成分は、前記したセルロース・アセ
テート系樹脂(A)と生分解性可塑剤(B)であるが、
該直接的生分解性成分(A+B)に、熱可塑性ポリマー
成分である改質材(C)成分を組合せて、はじめて実用
的なセルロース・アセテート系樹脂発泡体となるもので
ある。この実用的なセルロース・アセテート系樹脂発泡
体は、緩衝材や包装材としての使用に適し、その意図さ
れた目的や用途に使用されている間は、その発泡体とし
ての特性と構造的完全性を保持し、その目的を達成した
ときは、適当な環境下で分解作用により分解するもので
ある。
【0031】その生分解する作用機構は、明確になつて
いないが、本発明者は、次のように推察している。すな
わち、有用物体から無害な生成物への分解過程におい
て、直接的生分解性成分と熱可塑性ポリマー成分からな
るセルロース・アセテート系樹脂発泡体は、三つの分解
段階を経る。第1段階は、直接的生分解性成分の生物的
除去や分解により、セルロース・アセテート系樹脂発泡
体の重量減少を生じ、高多孔性物質を生成する過程であ
る。第2段階は、第1段階の高多孔性化により、熱可塑
性ポリマー成分の主鎖である長鎖炭素−炭素結合の露出
面積を増加させ、その炭素−炭素結合が酸化劣化して、
短鎖化する過程である。第3段階は、短鎖化した炭素−
炭素結合や低分子量断片が微生物により代謝分解する過
程である。したがって、本発明の発泡性樹脂組成物に
は、直接的生分解性成分(すなわち、A+B)と、限定
された有効期間を有する安定化成分(すなわち、熱可塑
性ポリマー成分C)とを含有することに特徴があり、さ
らに、第2段階の酸化劣化を促進する過酸化物を含有す
る成分、すなわちパーオキサイド価やアルデヒド価の高
い油脂やケトン類を、生分解調整剤として生分解するま
での期間に応じて適宜添加することが望ましい。また、
熱可塑性ポリマー成分、すなわちポリオレフィン系樹脂
を分解するため又は分解を促進するために、ポリオレフ
ィン系樹脂に、分解性付与添加剤として市販されている
光分解性付与添加剤及び生分解性付与添加剤を添加・含
有してもよい。光分解性付与添加剤としては、ジチオカ
ルバミン酸の鉄あるいは銅塩、ベンゾフェノン、ジルコ
ニウムのカルボン酸塩、ステアリン酸セリウム、酸化チ
タン、及びそれらの組合せなどが挙げられ、また、生分
解性付与添加剤としては、オカラ、木粉、麩(小麦の
皮)、米粉、澱粉、コーンスターチや、ノボン・ジャパ
ン社製の商品名「デグラノボン」等が挙げられる。
【0032】本発明において、改質材(C)成分である
ポリオレフィン系樹脂の配合量は、セルロース・アセテ
ート系樹脂(A)100重量部に対して、10〜100
重量部、好ましくは10〜50重量部の範囲であること
が重要である。配合量が10重量部未満であると、熱融
着性が十分でなく、得られた発泡体自体の引張り強度等
の機械的特性が向上せず、発泡体成形品として、満足す
る性能のものが得られない。一方、100重量部を超え
ると、機械的性能や経済性に優れるものの、得られた発
泡体全体の生分解性能に問題が生じてくる。特に、改質
材(C)成分であるポリオレフィン系樹脂が、好ましい
配合量である10〜50重量部の範囲にあると、得られ
た発泡体は、生分解性能と機械的特性が適度となり、そ
の結果、発泡成形品の使用期間中は分解せず、用済み後
は土壌中で分解消滅を可能となる生分解性であって、焼
却処理をしても有毒ガスや焼却炉劣化の問題がなく、寸
法安定性や機械的特性にも優れているものとなり得る。
【0033】4.発泡性樹脂組成物 本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体に用いら
れる発泡性樹脂組成物は、前記した如く、セルロース・
アセテート系樹脂(A)に、所定量の特定生分解性可塑
剤(B)と、改質材としてのポリオレフィン系樹脂
(C)と、発泡剤としての水分(D)とを配合すること
により調製される。発泡剤としての水分の配合割合は、
セルロース・アセテート系樹脂(A)と生分解性可塑剤
(B)及びポリオレフィン系樹脂(C)との樹脂成分
(A+B+C)100重量部に対して、3〜100重量
部、好ましくは5〜50重量部である。この発泡剤とし
ての水分の配合量も、生分解性可塑剤の配合量と同様
に、本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体を製
造する場合の重要なファクターである。得られた発泡体
が、例えばシート状とならずに異形バラ状などとなった
場合は、水分の配合量を増加させることにより、発泡を
最適にし、例えばシート状にすることができる。
【0034】本発明に用いられる発泡性樹脂組成物に
は、前述したように、生分解性可塑剤として、ポリアル
キレングリコール、多価アルコール及びポリカプロラク
トンから選ばれる少なくとも1種を配合するものである
が、さらに必要に応じて、本発明の目的を損なわない範
囲で、他の可塑剤を配合してもよい。可塑剤としては、
加熱により、生分解性樹脂を可塑化するものであれば、
特に限定されないが、例えば、生分解性樹脂がセルロー
ス・アセテート系樹脂の場合には、フタル酸メチル等の
フタル酸エステル、リン酸トリブチル等のリン酸エステ
ル、セバシン酸ジオクチルやアジピン酸ジオクチル等の
二塩基酸エステルなどが適宜選ばれる。しかし、この可
塑剤を添加する場合には、発泡体が例えば、シート状に
ならない恐れがあるので、特に注意が必要である。そう
した場合には、特定の生分解性可塑剤又は添加する可塑
剤を低粘度のものにするなどして、適宜、発泡体を例え
ば、シート状にすることができる。
【0035】さらに、上記発泡性樹脂組成物には、本発
明の目的を損なわない範囲で、他の添加剤等を配合して
もよく、例えば、熱安定剤、発泡調整剤、発泡助剤、増
量材、生分解調整剤や分解性付与添加剤等が挙げられ
る。中でも、タルク、酸化珪素、酸化チタン(光触媒用
のものより、粒径が大のもの)、酸化マグネシウム、酸
化アルミニウム、珪酸カルシウム等の無機系微粒子、セ
ルロース粉末、キチン、キトサン、木粉、ステアリン酸
金属塩等の有機系微粒子などの発泡調整剤、特にタルク
は、該生分解性樹脂組成物に、好適な発泡性を付与する
ことができるので、均一でかつ高度に発泡した発泡体が
容易に得られる。このような発泡調整剤は、それぞれ単
独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。さら
に発泡性を向上させたり、発泡体製造時に副生される酸
性物質を中和させると共にガスを発生させる目的で、例
えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナト
リウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等の無機微粒子
を併用してもよい。また、増量材として、オカラ、木
粉、麩(小麦の皮)、米粉、澱粉、コーンスターチ、ソ
フトフェライト、ハードフェライト、古紙等を添加する
こともできる。さらに、生分解調整剤や分解性付与添加
剤として、前記したように、油脂やケトン類(例えば、
芳香族ケトン系化合物)、ジチオカルバミン酸の鉄ある
いは銅塩、ベンゾフェノン、ジルコニウムのカルボン酸
塩、ステアリン酸セリウム、酸化チタン、オカラ、木
粉、麩(小麦の皮)、米粉、澱粉、コーンスターチ、ノ
ボン・ジャパン社製の商品名「デグラノボン」、及びそ
れらの組合せ等を添加することもできる。
【0036】本発明に用いられる発泡性樹脂組成物の好
ましい態様として、セルロース・アセテート系樹脂に、
特定の生分解性可塑剤と、改質材としてのポリオレフィ
ン系樹脂、発泡調整剤としてのタルク、及び発泡剤とし
ての水分からなる生分解性樹脂組成物が挙げられ、ま
た、この生分解性樹脂組成物には、上記した増量材を添
加してもよい。この発泡調整剤としてタルク(F)の発
泡性樹脂組成物に対する配合量は、セルロース・アセテ
ート系樹脂(A)100重量部に対して、5〜50重量
部、好ましくは10〜30重量部の範囲である。配合量
が5重量部未満であると、タルクを配合した効果が現れ
ず、不均一で粗い発泡体が形成されやすく、一方50重
量部を超えると、タルクの2次凝集が起こりやすくなる
ため、やはり不均一で粗い発泡体が形成されやすくな
る。
【0037】5.セルロース・アセテート系樹脂発泡体
及びその製造方法 本発明のセルロース・アセテート系樹脂発泡体は、前記
の発泡性樹脂組成物を、Tダイ又はノズルから押し出し
すると同時に水分の気化膨張力により発泡させることに
より製造される。そのため、本発明のセルロース・アセ
テート系樹脂発泡体は、生分解性樹脂としてセルロース
・アセテートを主成分として含むものにより構成したこ
とを特徴とするものであるが、さらに次の特徴を有して
いる。 水によって発泡させている。 素材の主成分が生分解性であるため、汎用プラスチッ
ク発泡体に比べて様々な廃棄処理に対処できる。尚、改
質材(C)成分として、汎用プラスチックのポリオレフ
ィン系樹脂を含有しているが、前記したように、生分解
性特性は、損なわれない。 改質材(C)成分として、汎用プラスチックのポリオ
レフィン系樹脂を含有しているため、汎用プラスチック
発泡体と同等の特性を有している。 生分解性樹脂がセルロース・アセテートを主成分とし
ているために、抗菌性に優れている。 スターチ系の生分解性樹脂発泡体などに比べて雰囲気
湿度によって衝撃性能が変動しなくて、強度的に優れて
いる。
【0038】上記のセルロース・アセテート系樹脂発泡
体は、前述の如く、発泡性樹脂組成物を押し出しすると
同時に水分の気化膨張力により発泡させることにより製
造されるが、さらに、この製法を詳記すると、以下のよ
うになる。セルロース・アセテート系樹脂、特定の生分
解性可塑剤、ポリオレフィン系樹脂(改質材)、発泡調
整剤(タルクなど)及び水分(発泡剤)を含有する発泡
性樹脂組成物は、所定の割合で調製された後、前方にT
ダイ又は押出ノズルを有する筒状容器内(例えば、混練
押出機)に投入される。筒状容器内に水分を投入する方
法としては、発泡用の生分解性樹脂組成物に予め所定量
の水分を含有させるようにしてもよいし、或いは生分解
性樹脂や特定の生分解性可塑剤の生分解性樹脂配合物と
共に水そのものをホッパ内に直接添加してもよく、生分
解性樹脂配合物と水分とが一緒に供給されさえすればよ
い。また、その投入割合は、前記したように、樹脂成分
(A+B+C)100重量部に対して、水分(D)が3
〜100重量部、好ましくは5〜50重量部であること
が望ましい。
【0039】次いで、この生分解性樹脂組成物は、前記
Tダイ又はノズルに押送するまでの間に、120〜25
0℃、好ましくは180〜220℃の温度で加熱溶融混
練され、その結果、流動状の加熱加圧状態とされた後、
リップ幅又は細孔口径が例えば0.5〜5mmのTダイ
又はノズルから押し出される。溶融混練時間は、単位時
間当たりの吐出量、溶融混練温度などにより異なってく
るので一概に決定することはできないが、該混合物が均
一に溶融混練されるに十分な時間であればよい。また、
吐出部のTダイ又は押出ノズルの温度は、前記溶融混練
温度と同じでもよいが、吐出できる範囲内で該温度より
も低温にしてもよい。ここで、溶融混練に使用される押
出機は、高温高圧下となって水分がセルロースアセテー
ト中に無理やり溶解されるようになっている限り、どの
ようなタイプの押出機でもよいが、通常は1軸又は2軸
のスクリュータイプの押出機が用いられる。その後、T
ダイ又はノズルから吐出された溶融生分解性樹脂組成物
は、その温度及び水分量によって発泡開始位置が異なっ
てくるが、通常はダイ部又はノズル部より約0.1mm
離れた位置から発泡が開始され、発泡を終えた後、押出
し口の形状に合った、形態の発泡体が、二次成形の工程
がなくても得ることができる。Tダイ又はノズルの押出
し口の形状は、丸、三角、四角、矩形、星形、中空等い
ずれであってもよく、また、細孔や異形のものにするこ
ともでき、発泡体の用途や目的に応じて適宜選択すれば
よいが、通常、四角又は丸である。
【0040】6.生分解性樹脂発泡成形品及びその製造
方法 本発明により得られたセルロース・アセテート系樹脂発
泡体は、前記したように、Tダイ(又は押出ノズル)の
形状により種々の形態を有するが、その押出された原材
を所定の寸法に切断してそのまま使用する場合や、板状
発泡体を所望の形状に真空成形などにより成形する場合
を除き、通常は、セルロース・アセテート系樹脂発泡体
を、発泡体の大きさが短軸方向の切断面積を円に換算し
たときの直径が3〜20mm、好ましくは5〜10mm
の範囲にあるところのビーズ状又はペレット状に切断し
た後、熱賦形等により各種用途に応じた形態に二次成形
し、生分解性樹脂発泡成形品として利用される。発泡体
の二次成形方法は、従来から公知の熱賦形方法が好適で
ある。この熱賦形方法としては、通常、プラスチック分
野でシート材料などを成形する手段として常用されてい
る圧縮成形(プレス成形)、真空成形、圧空成形や、熱
プレスによる方法、加熱バス中で加熱する方法、熱風乾
燥処理機により熱風を吹き付ける方法、水蒸気又は加熱
水蒸気を型内に導入する方法などがあり、これらから適
宜選択することができる。
【0041】発泡体を型内に充填して熱賦形する際の温
度は、適宜選ばれるが、あまりに低温すぎると、発泡体
間の接着不良が発生しやすく、逆にあまりに高温すぎる
と、低融点の生分解性樹脂の熱劣化、着色、発泡体の収
縮などが生じやすいため、通常は80〜200℃の範囲
であることが望ましい。さらに、熱賦形させる際に、バ
インダーを発泡体に付着せしめて発泡体間の接着強度を
増すことも、必要に応じて用いられる。その際、バイン
ダーは、生分解性であり非水溶性であることが、本発明
の目的からして望ましい。
【0042】本発明により得られた生分解性樹脂発泡成
形品は、前述したように、種々の特徴・利点を有してい
る。すなわち、発泡成形品の使用期間中は分解せず、用
済み後は土壌中で分解消滅を可能となる生分解性であっ
て、焼却処理をしても有毒ガスや焼却炉劣化の問題がな
く、寸法安定性や機械的特性にも優れている。したがっ
て、その特徴を生かした各種用途に用いることができ、
用途としては、特に限定されないが、具体的用途として
は、例えば、食品包装容器、水質浄化材、断熱材、緩衝
材等を例示することができる。
【0043】
【実施例】以下に、本発明について実施例及び比較例を
挙げてさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの実
施例に特に限定されるものではない。
【0044】実施例1〜3[セルロース・アセテート系
樹脂発泡体の製造と評価] 実施例1は、生分解性樹脂として、軟質の帝人株式会社
製セルロース・ジアセテート(表面硬度(H):8
5、衝撃強度:25kgf・cm/cm、流出温度:
155℃、熱変形温度:48℃、酢化度:57%)(基
準:100重量部)と、生分解性可塑剤として、日本ユ
ニカー株式会社販売のポリカプロラクトン(商品名:T
ONEポリマー P−767、融点:60℃、密度:
1.145g/cm 、分子量:4万)(40重量
部)とを用い、改質材として、ポリプロピレン樹脂(3
0重量部)、発泡調整剤として、タルク(14重量部)
を添加して、生分解性樹脂配合物とし、これに、発泡剤
として、水分(31重量部)を添加して、混練押出機の
ホッパーに供給し、180℃の温度で加熱溶融混練した
後、ダイ幅500mm、リップ幅0.5mmを有するT
ダイ部から押し出して、生分解性樹脂の発泡体を得た。
組成を表1に示す。実施例2は、生分解性可塑剤とし
て、ポリカプロラクトンの替わりに、分子量1000の
ポリエチレングリコール(40重量部)を用いた以外
は、実施例1と同様の方法で、生分解性樹脂の発泡体を
得た。組成を表1に示す。実施例3は、生分解性可塑剤
として、ポリカプロラクトンの替わりに、分子量100
0のポリエチレングリコール(40重量部)を用い、ま
た、改質材として、ポリプロピレン樹脂を増量(80重
量部)し、更に、光触媒として、粉末状酸化チタン光触
媒A(石原テクノ株式会社製のST−01;X線粒径=
7nm)を1.0重量部を用い、また、発泡剤として、
水分(40重量部)を増量した以外は、実施例1と同様
の方法で、生分解性樹脂の発泡体を得た。組成を表1に
示す。
【0045】
【表1】
【0046】比較例1、2 比較例1は、改質材として、ポリプロピレン樹脂を用い
ない以外は、実施例1と同様に行い、生分解性発泡体を
得た。比較例2は、改質材として、ポリプロピレン樹脂
を増量(150重量部)し、また、発泡剤として、水分
(50重量部)を増量した以外は、実施例2と同様に行
い、発泡体を得た。組成を表1に示す。
【0047】次に、これらの得られた5種類の発泡体を
熱風乾燥処理機により熱風を吹き付ける方法により熱賦
形させ、評価試験に供することができる大きさの発泡成
形品を得た。得られた成形品について、以下の評価試験
を実施した。結果を表1に示す。
【0048】生分解性:発泡成形品を土壌面に一定時間
放置し、その分解状況を重量変化率(%)の測定及び目
視評価した。 ◎生分解性合格(優れる) ○合格(普通) ×不合格
(劣る)曲げ強度等 :JIS K7221(硬質発泡プラスチッ
クの曲げ試験方法)に準拠し、寸法、有効長:200m
m、幅:50mm、高さ:40mmの試験片について、
曲げ強度や引張り強度等を測定し、相互に比較評価し
た。押出発泡性 :押し出し、発泡、成形する際の、作業性や
条件設定の難易度、仕上げ外観、発泡度合い等に支障、
不利があるかを評価し総合判断する。
【0049】これらの評価結果から、実施例1〜3は、
比較例1、2に対し、発泡体の機械的特性又は生分解性
に優れることが判明した。特に、比較例1は、改質材と
して、ポリプロピレン樹脂を含有しない組成物である
が、機械的特性に問題があり、また、比較例2は、改質
材として、ポリプロピレン樹脂を増量(150重量部)
した組成物であるが、生分解性評価に問題があることが
判明した。特に、実施例3は、ポリプロピレン樹脂を増
量(80重量部)した組成物であるが、光触媒の効果も
あり、発泡体の機械的特性と生分解性ともに優れる。し
たがって、生分解性樹脂組成物に、改質材として、ポリ
オレフィン系樹脂、例えばポリプロピレン樹脂を特定量
含有することにより、生分解性と機械的特性を両立でき
ることが判明した。
【0050】
【発明の効果】本発明のセルロース・アセテート系樹脂
発泡体は、セルロース・アセテート系樹脂に、該樹脂の
軟化点より低い融点を有する特定の生分解性可塑剤と、
改質材としてのポリオレフィン系樹脂を各特定量配合し
てなる生分解性樹脂配合物を原料とし、かつ発泡剤とし
て水分を用いる特殊な発泡体製法を適用したことによ
り、容易に得られる。このセルロース・アセテート系樹
脂発泡体を用いた発泡成形品は、発泡成形品の使用期間
中は分解せず、生分解性を有するため、用済み後に於い
て焼却の必要性がなく、土壌中で容易に分解消滅する。
そのため、焼却による有害物質の放出、焼却炉の損傷等
から解放され自然汚染の恐れがない。しかも、従来のセ
ルロース・アセテート系樹脂発泡体に比較して、寸法安
定性や機械的特性及び熱賦形性に優れたセルロース・ア
セテート系樹脂発泡体が得られる。したがって、本発明
のセルロース・アセテート系樹脂発泡体は、その特徴を
生かし、食品包装容器、水質浄化材、断熱材、緩衝材等
の各種分野に使用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 23/00 C08L 23/00 // B29K 1:00 B29K 1:00 Fターム(参考) 4F074 AA02 AA17 AA22 AA24 AA68 AA76 AC17 AC29 AD04 AG02 AG20 BA34 CA22 DA24 DA32 DA33 DA34 4F207 AA01 AA03 AA04 AA10 AA11 AB02 AB07 AC01 AE10 AG20 KA01 KA11 KF04 KL84 KW41 KW45 4J002 AB011 AB021 BB033 BB063 BB083 BB123 CF192 CH022 DE027 DE108 DE138 DG028 DJ048 EC046 EC056 FD022 FD026 FD208 FD327 (54)【発明の名称】 生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体及びその 製造方法、並びに生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性にも優れたセルロース・アセテート系 樹脂発泡成形品及びその製造方法

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース・アセテート系樹脂、該樹脂
    の軟化点より低い温度の融点を有する生分解性可塑剤、
    改質材としてのポリオレフィン系樹脂、及び発泡剤とし
    ての水分を含有する発泡性樹脂組成物を押し出しすると
    同時に水分の気化膨張力により発泡させることにより製
    造してなる、生分解性でかつ機械的特性や熱賦形性にも
    優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡体。
  2. 【請求項2】 発泡性樹脂組成物は、セルロース・アセ
    テート系樹脂(A)100重量部、生分解性可塑剤
    (B)10〜30重量部、ポリオレフィン系樹脂(C)
    10〜100重量部、及び樹脂成分(A+B+C)10
    0重量部に対し水分(D)3〜100重量部を含有する
    ことを特徴とする、請求項1記載のセルロース・アセテ
    ート系樹脂発泡体。
  3. 【請求項3】 生分解性可塑剤は、ポリアルキレングリ
    コール、多価アルコール及びポリカプロラクトンから選
    ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項
    1乃至2のいずれかに記載のセルロース・アセテート系
    樹脂発泡体。
  4. 【請求項4】 ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン
    樹脂、ポリプロピレン樹脂及びエチレン−酢酸ビニル共
    重合体から選ばれる少なくとも1種であることを特徴と
    する、請求項1乃至3のいずれかに記載のセルロース・
    アセテート系樹脂発泡体。
  5. 【請求項5】 発泡性樹脂組成物は、さらに、生分解性
    調整剤として、光触媒を含有することを特徴とする、請
    求項1記載のセルロース・アセテート系樹脂発泡体。
  6. 【請求項6】 発泡性樹脂組成物は、さらに、生分解性
    調整剤として、セルロース・アセテート系樹脂(A)1
    00重量部に対し光触媒(E)0.1〜50重量部を含
    有することを特徴とする、請求項2記載のセルロース・
    アセテート系樹脂発泡体。
  7. 【請求項7】 発泡性樹脂組成物は、さらに、発泡調整
    剤として、セルロース・アセテート系樹脂(A)100
    重量部に対しタルク(F)5〜50重量部を含有するこ
    とを特徴とする、請求項2又は請求項6記載のセルロー
    ス・アセテート系樹脂発泡体。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかに記載のセル
    ロース・アセテート系樹脂発泡体を所望の形状に熱賦
    形、圧縮成形、真空成形、又は圧空成形してなることを
    特徴とする、生分解性でかつ機械的特性や寸法安定性に
    も優れたセルロース・アセテート系樹脂発泡成形品。
  9. 【請求項9】 前方にTダイ又は押出ノズルを有する筒
    状容器内に、セルロース・アセテート系樹脂、該樹脂の
    軟化点より低い温度の融点を有する生分解性可塑剤、改
    質材としてのポリオレフィン系樹脂、及び発泡剤として
    の水分を含有する発泡性樹脂組成物を投入し、該発泡性
    樹脂組成物を前記Tダイ又はノズルに押送する間は、昇
    温させて流動状の加熱加圧状態とし、その後前記Tダイ
    又はノズルから押出発泡することにより、セルロース・
    アセテート系樹脂発泡体を製造することことを特徴とす
    る、請求項1乃至7のいずれかに記載のセルロース・ア
    セテート系樹脂発泡体の製造方法。
  10. 【請求項10】 発泡性樹脂組成物は、セルロース・ア
    セテート系樹脂(A)100重量部、生分解性可塑剤
    (B)10〜30重量部、ポリオレフィン系樹脂(C)
    10〜100重量部、及び樹脂成分(A+B+C)10
    0重量部に対し水分(D)3〜100重量部を含有する
    ことを特徴とする、請求項9記載のセルロース・アセテ
    ート系樹脂発泡体の製造方法。
  11. 【請求項11】 発泡性樹脂組成物は、セルロース・ア
    セテート系樹脂(A)100重量部に対し、さらに、生
    分解性調整剤として光触媒(E)0.1〜50重量部、
    及び/又は発泡調整剤としてタルク(F)5〜50重量
    部を含有することを特徴とする、請求項10記載のセル
    ロース・アセテート系樹脂発泡体の製造方法。
  12. 【請求項12】 セルロース・アセテート系樹脂発泡体
    は、ビーズ状又はペレット状に切断され後、所望の成形
    型に詰めて熱賦形されることを特徴とする、請求項9記
    載のセルロース・アセテート系樹脂発泡成形品の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 セルロース・アセテート系樹脂発泡体
    は、シート状に押し出して、発泡、成形させた後、所望
    の形状に圧縮成形、真空成形又は圧空成形されることを
    特徴とする、請求項9記載のセルロース・アセテート系
    樹脂発泡成形品の製造方法。
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