JP2001181061A - 無機繊維質成形体、断熱材及びこれらの製造方法 - Google Patents

無機繊維質成形体、断熱材及びこれらの製造方法

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JP2001181061A JP36590899A JP36590899A JP2001181061A JP 2001181061 A JP2001181061 A JP 2001181061A JP 36590899 A JP36590899 A JP 36590899A JP 36590899 A JP36590899 A JP 36590899A JP 2001181061 A JP2001181061 A JP 2001181061A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発塵性が低く、全体として耐熱衝撃性に優
れ、酸化雰囲気、且つ、1200℃以下の高温下での長
期間に渡る使用でも断熱材自体の寸法変化が小さく、ク
ラックや剥離が生じ難い断熱材、断熱材の原料である無
機繊維質成形体及びこれらの製造方法を提供すること。 【解決手段】 本発明に係る断熱材は、少なくとも表面
の一部に無機繊維ガラスマトリクス層が形成された断熱
材であって、該無機繊維ガラスマトリクス層は無機繊維
が無機バインダにより相互に融着された3次元骨格構造
の無機繊維融着体と珪酸ガラスを主成分とするガラスマ
トリクスとからなり、且つ、前記無機繊維融着体が該ガ
ラスマトリクスに実質的に取り込まれ固定されているも
のである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、無機繊維質成形
体、断熱材及びこれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無機繊維及び無機バインダ等を焼成して
形成される無機繊維質断熱材は、キャスタブル耐火材料
に比較して軽量で扱い易く、且つ、断熱性に優れるた
め、各種工業炉等の耐熱性や断熱性が要求される用途に
用いられている。例えば、無機繊維質断熱材は極めて高
いクリーン度が要求される電子部品を熱処理するための
電気炉等に用いられている。
【0003】しかし、従来の無機繊維質断熱材は表面に
無機繊維等が露出しているため、使用の際に無機繊維等
が脱落して発塵する。また、電気炉等で急激な加熱や冷
却が行われると、無機繊維質断熱材の耐熱衝撃性が十分
でないため急激な膨張や収縮に耐えられずにクラックや
剥離が生じ易く、さらにクラック等により発塵すること
がある。また、無機繊維質断熱材は例えば1200℃程
度の高温で長期間に渡り使用すると、断熱材中の無機繊
維が加熱収縮することにより断熱材全体が収縮して寸法
変化を生じ、さらにクラックや剥離が生じたり発塵する
ことがある。
【0004】無機繊維質断熱材の発塵を抑制する発明と
しては、例えば、特開平1−219038号公報に、無
機質繊維材料等からなる多孔質焼結体の表面の少なくと
も一部に釉薬を塗布、熱処理してガラス質層を形成して
なるメタルグレーズ焼付用治具が開示されており、該治
具によれば熱スポーリング性等に優れ、発塵が抑制され
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、無機質
繊維材料の表面をガラス質層で被覆すると、複層構造と
なるために無機質繊維材料全体しての耐熱衝撃性が低く
なる。すなわち、短時間で急激に加熱や冷却を行うと、
ガラス質層と繊維質の基材との間の熱膨張係数の違いに
より、ガラス質層にクラックが発生したりガラス質層が
基材から剥離したりするという問題があった。また、該
断熱材の作製時においても、焼成の際のガラス質層の収
縮率が基材の収縮率よりも大きいため、応力の差により
ガラス質層にクラックや剥離が生じるという問題があっ
た。特に、工業炉用によく用いられている円筒形状の断
熱材では、発塵防止のためにガラス質層は内周面に被覆
されるが、ガラス質層の収縮による力が外周の基材から
剥離する方向に働くため、クラックや剥離が極めて生じ
易いという問題があった。
【0006】従って、本発明の目的は、発塵性が低く、
全体として耐熱衝撃性に優れ、酸化雰囲気、且つ、約1
200℃以下の高温下での長期間に渡る使用でも断熱材
自体の寸法変化が小さく、クラックや剥離が生じ難い断
熱材、断熱材の原料である無機繊維質成形体及びこれら
の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意検討を行った結果、少なくとも表面の一部
に、無機繊維等による3次元骨格構造の無機繊維融着体
と特定ガラスを主成分とするガラスマトリクスとからな
る層が形成され、且つ、前記無機繊維融着体が該ガラス
マトリクスに実質的に取り込まれ固定された断熱材であ
れば、無機繊維等がガラスマトリクスに実質的に固定さ
れ表面から脱落しないため発塵性が低く、断熱材の下地
と材質が類似するため全体としての耐熱衝撃性に優れ、
高温での長期間に渡る使用でも徐々に酸化して膨張する
ガラス成分が含まれ無機繊維の加熱収縮と相殺すること
により寸法変化が小さく、クラックや剥離が生じ難い断
熱材が得られることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。
【0008】すなわち、本発明は、少なくとも表面の一
部に無機繊維ガラス前駆体層が形成された無機繊維質成
形体であって、該無機繊維ガラス前駆体層は無機繊維が
凝集剤により相互に結合された3次元骨格構造の無機繊
維結着体と、酸化により珪酸ガラスを生成し膨張するガ
ラス前駆体と、無機バインダとからなり、且つ、該ガラ
ス前駆体及び該無機バインダが前記凝集剤により前記無
機繊維結着体に結合されていることを特徴とする無機繊
維質成形体を提供するものである。
【0009】また、本発明は、少なくとも表面の一部に
無機繊維ガラスマトリクス層が形成された断熱材であっ
て、該無機繊維ガラスマトリクス層は無機繊維が無機バ
インダにより相互に融着された3次元骨格構造の無機繊
維融着体と、珪酸ガラスを主成分とするガラスマトリク
スとからなり、且つ、前記無機繊維融着体が該ガラスマ
トリクスに実質的に取り込まれ固定されていることを特
徴とする断熱材を提供するものである。
【0010】また、本発明は、脱水成形する成形型が内
部に配置された成形槽内に、水以外の成分の合計量を1
00重量%として、無機繊維10〜40重量%、酸化に
より珪酸ガラスを生成し膨張するガラス前駆体50〜8
0重量%、無機バインダ1〜30重量%及び凝集剤0.
1〜10重量%を含む第1スラリーを供給して吸引脱水
成形し、該第1スラリーが前記成形型に全て堆積する前
に、前記成形槽内に、水以外の成分の合計量を100重
量%として、無機繊維を含む無機材料20〜95重量
%、無機バインダ1〜30重量%及び凝集剤0.1〜1
0重量%を含む第2スラリーを徐々に添加して、該成形
槽内のスラリーの組成が前記第1スラリーから該第2ス
ラリーに漸次変化するようにして吸引脱水成形すること
を特徴とする無機繊維質成形体の製造方法を提供するも
のである。
【0011】また、本発明は、上記無機繊維質成形体を
酸化性雰囲気中で加熱することにより、該無機繊維質成
形体中に存在する前記ガラス前駆体の少なくとも一部を
珪酸ガラスを主成分とするガラスマトリクスに変性する
ことを特徴とする断熱材の製造方法を提供するものであ
る。
【0012】
【発明の実施の形態】初めに、本発明に係る無機繊維質
成形体及び断熱材の層の構造及び各層の組成について簡
単に説明する。本発明に係る無機繊維質成形体は少なく
とも表面の一部に無機繊維ガラス前駆体層が形成された
脱水成形等により得られる無機繊維質成形体であり、後
述する800〜1200℃程度の加熱処理が行われてい
ないものである。無機繊維質成形体の構造としては、無
機繊維ガラス前駆体層のみからなる単層構造のもの又は
無機繊維ガラス前駆体層に隣接して他の層が形成された
複層構造のものが挙げられる。該複層構造の無機繊維質
成形体としては、例えば、無機繊維ガラス前駆体層に隣
接してガラス前駆体遷移層が形成された無機繊維ガラス
前駆体層/ガラス前駆体遷移層の2層構造の無機繊維質
成形体、該2層構造の無機繊維質成形体のガラス前駆体
遷移層に隣接して無機材料結着層が形成された無機繊維
ガラス前駆体層/ガラス前駆体遷移層/無機材料結着層
の3層構造の無機繊維質成形体等が挙げられる。
【0013】無機繊維ガラス前駆体層は無機繊維結着体
とガラス前駆体とから構成される層であり、ガラス前駆
体遷移層は無機繊維結着体とガラス前駆体と無機材料結
着体とから構成され層中のガラス前駆体の濃度が場所に
より漸次変化する層であり、無機材料結着層は無機材料
結着体から構成される層である。無機繊維結着体は無機
繊維が凝集剤により相互に結合されたものであり、ガラ
ス前駆体は酸化により珪酸ガラスを生成し膨張するもの
であり、無機材料結着体は無機繊維を含む無機材料及び
無機バインダが凝集剤により相互に結合されたものであ
る。
【0014】本発明に係る断熱材は少なくとも表面の一
部に無機繊維ガラスマトリクス層が形成された断熱材で
あり、上記無機繊維質成形体に後述する800〜120
0℃程度の加熱処理を行ったものである。断熱材の構造
としては、無機繊維ガラスマトリクス層のみからなる単
層構造のもの又は無機繊維ガラスマトリクス層に隣接し
て他の層が形成された複層構造のものが挙げられる。該
複層構造の断熱材としては、例えば、無機繊維ガラスマ
トリクス層に隣接してガラスマトリクス遷移層が形成さ
れた無機繊維ガラスマトリクス層/ガラスマトリクス遷
移層の2層構造の断熱材、該2層構造の断熱材のガラス
マトリクス遷移層に隣接して無機材料融着層が形成され
た無機繊維ガラスマトリクス層/ガラスマトリクス遷移
層/無機材料融着層の3層構造の断熱材等が挙げられ
る。
【0015】無機繊維ガラスマトリクス層は無機繊維融
着体とガラスマトリクスとから構成される層であり、ガ
ラスマトリクス遷移層は無機繊維融着体とガラスマトリ
クスと無機材料融着体とから構成され層中のガラスマト
リクスの濃度が場所により漸次変化する層であり、無機
材料融着層は無機材料融着体から構成される層である。
無機繊維融着体は無機繊維が無機バインダにより相互に
融着されたものであり、ガラスマトリクスは珪酸ガラス
を主成分とするものであり、無機材料融着体は無機繊維
を含む無機材料が無機バインダにより相互に融着された
ものである。以下、本発明に係る無機繊維質形成体、断
熱材及びこれらの製造方法について詳細に説明する。
【0016】まず、本発明に係る無機繊維質成形体につ
いて説明する。無機繊維としては、例えば、アルミナ繊
維、シリカ繊維、アルミナシリカ繊維等が挙げられ、こ
のうち、アルミナ繊維及びアルミナシリカ繊維が耐熱性
に優れるため好ましい。アルミナシリカ繊維としては、
例えば、非晶質アルミナシリカ繊維、結晶性シリカアル
ミナ繊維等が挙げられる。非晶質アルミナシリカ繊維と
しては、例えば、アルミナ40〜60重量%及びシリカ
60〜40重量%からなるものが挙げられる。結晶性シ
リカアルミナ繊維としては、例えば、アルミナ70〜9
9重量%及びシリカ30〜1重量%からなるものが挙げ
られ、このような結晶性シリカアルミナ繊維としては例
えば、ムライト繊維が挙げられる。
【0017】無機繊維は、平均繊維長が10〜5000
μm 、平均繊維径が1〜10μm のものが用いられる。
無機繊維は上記のものを1種又は2種以上組み合わせて
用いることができる。無機繊維は無機繊維ガラス前駆体
層中、10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%
含まれる。無機繊維の配合量が10重量%未満である
と、無機繊維による補強効果が不十分で無機繊維質成形
体の強度が低くなるため好ましくない。また、40重量
%を越えると、ガラス前駆体を酸化して珪酸ガラス等を
主成分とするガラスマトリクスを生成する際に、無機繊
維がガラスマトリクスに実質的に取り込まれ固定され難
くなるため、発塵の抑制が十分でなくなるため好ましく
ない。
【0018】凝集剤は、無機繊維質成形体において無機
繊維が相互に結合して3次元骨格構造の無機繊維結着体
を形成できるものであり、加熱により無機繊維を融着す
る無機バインダとは異なるものである。凝集剤として
は、例えば、でんぷんやポリアクリルアミド等の有機バ
インダが挙げられる。凝集剤は、1種又は2種以上組み
合わせて用いることができる。
【0019】無機繊維結着体は、無機繊維が凝集剤によ
り相互に結合された3次元骨格構造の無機繊維構造体で
ある。ここでいう結合とは、凝集剤により行われ高温の
加熱処理を必要としない結合形態を意味し、無機繊維及
び無機バインダの組成や結晶状態は変化しないものをい
う。従って、後述するような高温での無機バインダによ
る無機繊維の融着とは結合形態が異なる。上記結合の接
着強度は、通常の断熱材としての使用において、上記3
次元骨格構造を維持するに十分な程度であればよい。
【0020】酸化により珪酸ガラスを生成し膨張するガ
ラス前駆体としては、酸化雰囲気中で加熱されたとき
に、単独で又は無機繊維もしくは無機バインダと共に反
応して、少なくとも徐々に珪酸ガラスを生成し膨張する
物質が用いられる。珪酸ガラスを生成するに必要な温度
は、500〜1600℃である。このようなガラス前駆
体としては、例えば、炭化珪素(SiC)、窒化珪素
(Si3 4 )又はこれらの混合物等が挙げられる。
【0021】ガラス前駆体が酸化により珪酸ガラスを生
成し膨張する例を以下に説明する。ガラス前駆体がSi
Cである場合は、以下のように反応する。
【0022】 SiC+2O2 →SiO2 +CO2 (1)
【0023】上記式(1)による反応では、SiCがS
iO2 に変化する際に体積が酸化膨張する。この体積の
膨張は理論的には108%であり、本発明でも略同様の
膨張率が生じていると考えられる。また、ガラス前駆体
がSi3 4 である場合は、以下のように反応する。
【0024】 Si3 4 +3O2 →3SiO2 +2N2 (2)
【0025】上記式(2)による反応では、Si3 4
がSiO2 に変化する際に酸化膨張する。こうしてガラ
ス前駆体がガラスマトリクス変性する際に酸化膨張が同
時に進行する。
【0026】ガラス前駆体は、無機繊維結着体による3
次元骨格構造中に分散し、且つ、凝集剤により無機繊維
結着体に結合される形態のものであればよい。このよう
な形態のものとしては、例えば、粒状又は短繊維状の粉
体が挙げられる。なお、粒状とは完全な球状の粒状物に
は限定されない。ガラス前駆体が粒状である場合、ガラ
ス前駆体の粒径は0.1〜50μm であることが好まし
い。また、ガラス前駆体が短繊維状である場合、平均繊
維径0.05〜3μm 、平均繊維長5〜500μm であ
ることが好ましい。ガラス前駆体は、上記組成及び形態
のもののうち1種又は2種以上組み合わせて用いること
ができる。
【0027】ガラス前駆体は、無機繊維ガラス前駆体層
中に50〜80重量%、好ましくは40〜70重量%含
まれ、且つ、無機繊維ガラス前駆体層中におけるガラス
前駆体と無機繊維結着体との重量比率は5:3〜16:
3、好ましくは4:3〜13:3である。ガラス前駆体
の配合量及び重量比率が上記範囲より少ないと、酸化雰
囲気、且つ、1200℃以下の高温下での使用の際に、
ガラス前駆体の酸化により生成し膨張する珪酸ガラスを
主成分とするガラスマトリクスの量が少なくなるため、
発塵性を低くできないと共に無機繊維の加熱収縮を十分
に抑制できず寸法安定性に劣り好ましくない。また、ガ
ラス前駆体の配合量及び重量比率が上記範囲より多い
と、形成されるガラスマトリクスの量が多くなるため、
無機繊維ガラス前駆体層が膨張しすぎて寸法安定性に劣
り、且つ、無機繊維による補強効果が十分でなく、さら
にガラス前駆体及びガラスマトリクスが共に熱伝導率が
高いため断熱材全体として断熱効果が低下し好ましくな
い。
【0028】無機バインダとしては、800〜1200
℃程度の加熱処理により無機繊維同士を融着可能なもの
が用いられ、例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル
等が挙げられる。無機バインダは無機繊維ガラス前駆体
層中においては凝集剤により無機繊維結着体等に結合さ
れている。無機バインダは、無機繊維ガラス前駆体層
中、1〜30重量%、好ましくは3〜15重量%含まれ
る。無機バインダが1重量%未満であるとバインダとし
ての効果が十分でなく、また、30重量%を越えるとバ
インダとしての効果がこれ以上向上せず不経済なため好
ましくない。
【0029】無機繊維ガラス前駆体層は、無機繊維質成
形体の少なくとも表面の一部に形成される層であって、
無機繊維が凝集剤により相互に結合された3次元骨格構
造の無機繊維結着体と酸化により珪酸ガラスを生成し膨
張するガラス前駆体と無機バインダとからなり、且つ、
ガラス前駆体及び無機バインダが凝集剤により無機繊維
結着体に結合され形成される。無機繊維ガラス前駆体層
の厚さとしては、用途により適宜選択すればよいが、断
熱材として用いられる場合には1mm以上、好ましくは5
mm以上である。該厚さが1mm未満であると、後に形成さ
れるガラスマトリクス層の機能が小さくなるため好まし
くない。また、無機繊維ガラス前駆体層中にシリカ粒子
やアルミナ粒子等の無機粒子を20重量%以下の割合で
含有させてもよい。これらの無機粒子を配合すること
で、ガラスマトリクスの膨張の影響を調整することがで
きる。
【0030】無機繊維ガラス前駆体層は、無機繊維質成
形体の表面層として形態を保持する程度の強度を有して
いればよく、例えば、無機繊維等の脱落が多少ある程度
の強度のものでもよい。無機繊維ガラス前駆体層は、酸
化雰囲気で加熱されると、徐々に、該層中の無機繊維が
加熱収縮する一方、ガラス前駆体が酸化されガラスマト
リクスを生成し膨張する。この現象は初期において急激
に進行するが、その後も長時間にわたり徐々に進行す
る。このため、無機繊維ガラス前駆体層は、無機繊維に
よる加熱収縮がガラスマトリクスの膨張で相殺され、長
時間の酸化性雰囲気中での加熱における寸法安定性が高
くなると共に、膨張したガラスマトリクスにより無機繊
維が取り込まれるため発塵性がより低くなる。すなわ
ち、断熱材としての使用中においてもガラスマトリクス
の膨張による無機繊維の収縮の影響を相殺する作用が長
時間にわたり得られると共にガラスマトリクスの生成が
進行することで発塵性がより低くなる。また、寸法安定
性が高いため、クラックや剥離が発生し難い。
【0031】本発明に係る無機繊維質成形体は、少なく
とも表面の一部に無機繊維ガラス前駆体層が形成された
ものである。すなわち、無機繊維ガラス前駆体層は、無
機繊維質成形体の少なくとも表面全体又はその一部に形
成されていればよく、必要により無機繊維質成形体の内
部まで形成されていてもよい。無機繊維質成形体の形状
としては、特に限定されないが、例えば、円筒形状、板
状等が挙げられる。無機繊維質成形体は、空気中におい
て900℃で700時間加熱した前後の寸法変化率が−
1〜+1%、好ましくは略±0%である。
【0032】無機繊維質成形体は、このままで、又は必
要により後述の加熱処理を行ってガラス前駆体をガラス
マトリクスに変性させることにより、例えば、電子部品
製造用の電気炉等の断熱材として使用できる。なお、ガ
ラス前駆体は無機繊維や無機バインダ等よりも熱伝導率
が高いため、無機繊維ガラス前駆体層自体の断熱性能は
それほど高くないが、例えば、表面に形成した無機繊維
ガラス前駆体層とガラス前駆体を含まない通常の無機繊
維断熱材からなる層とを組み合わせて用いれば、断熱性
能が十分であると共に寸法変化が小さくクラックや剥離
が少ない断熱材が得られる。すなわち、少なくとも表面
の一部に無機繊維ガラス前駆体層が形成された断熱材
は、酸化雰囲気、且つ、1200℃以下の高温下で長期
間に渡り使用されても、無機繊維ガラス前駆体層の寸法
安定性が高いため、無機繊維ガラス前駆体層に隣接する
層との間の剥離やクラックが生じ難いと共に、使用する
につれてガラスマトリクスの生成がより進行するため発
塵がさらに少なくなる。また、断熱性能がそれほど要求
されない断熱材に使用する場合は、無機繊維ガラス前駆
体層のみで断熱材を構成してもよい。
【0033】断熱材の形状としては、例えば、円筒形
状、板状等が挙げられる。特に円筒形状であって内周面
に無機繊維ガラス前駆体層が形成されたものは、無機繊
維ガラス前駆体層の加熱収縮によるクラックや剥離が生
じ難くなるため好ましい。また、断熱材は、無機繊維ガ
ラス前駆体層に予め電気ヒータを埋設して形成したもの
でもよい。該断熱材は、電気ヒータに通電して無機繊維
ガラス前駆体層を酸化雰囲気中で加熱して無機繊維ガラ
ス前駆体層中のガラス前駆体をガラスマトリクスに変性
できると共に、このまま電気ヒータが埋設された断熱材
として使用することができる。また、断熱材はガスバー
ナーの火炎放射部等の高温暴露部材としても使用でき、
該部材は使用に伴って断熱材中のガラス前駆体が徐々に
ガラスマトリクスに変性されるため、割れやクラックが
なく、発塵が徐々に低くなる。
【0034】本発明に係る無機繊維質成形体は、無機繊
維ガラス前駆体層に隣接する層として、無機繊維を含む
無機材料及び無機バインダが凝集剤により相互に結合さ
れた3次元骨格構造の無機材料結着体とガラス前駆体と
からなり、且つ、層中のガラス前駆体の濃度が無機繊維
ガラス前駆体層との界面から離間するに従い漸次減少し
て略ゼロになるガラス前駆体遷移層が形成されていても
よい。ガラス前駆体遷移層は、通常、該層に隣接してさ
らに形成されるガラス前駆体を含まない無機材料結着層
と無機繊維ガラス前駆体層との間に位置する中間層であ
って緩衝層として形成され、無機繊維ガラス前駆体層と
ガラス前駆体遷移層との界面、及びガラス前駆体遷移層
と無機材料結着層との界面のそれぞれの界面において隣
接する層の組成や物性が略同一になるように形成され
る。
【0035】ガラス前駆体遷移層中におけるガラス前駆
体の濃度は、界面から離間するに従い漸次減少して最終
的に略ゼロになればよく、濃度の減少の態様としては線
型的又は非線型的のいずれの態様であってもよい。ガラ
ス前駆体遷移層の厚さとしては、用途により適宜選択す
ればよいが、断熱材として用いられる場合には1mm以
上、好ましくは5mm以上である。該厚さが1mm未満であ
ると、組成及び物性の連続性が十分でなく、緩衝層とし
て機能が十分に発現せず、無機繊維ガラス前駆体層や無
機材料結着層の剥離やクラックが生じるおそれがあるた
め好ましくない。ガラス前駆体遷移層が形成されると、
無機繊維ガラス前駆体層とその下地層であるガラス前駆
体遷移層との界面が組成及び物性の点で略同一であるた
め、これら2層間での剥離及び無機繊維ガラス前駆体層
のクラックがより生じ難くなり好ましい。
【0036】本発明に係る無機繊維質成形体は、ガラス
前駆体遷移層に隣接する層として、無機繊維を含む無機
材料及び無機バインダが凝集剤により相互に結合された
3次元骨格構造の無機材料結着体からなる無機材料結着
層が形成されていてもよい。ここで、無機繊維を含む無
機材料とは、少なくとも無機繊維を含み必要によりさら
に無機粒子等をも含む材料を意味する。無機粒子として
は、例えば、アルミナ粒子、シリカアルミナ粒子、シリ
カ粒子及びこれらの1種又は2種以上の混合物が挙げら
れる。無機粒子の粒子径としては、0.1〜50μm が
好ましい。
【0037】無機材料結着層において、無機粒子以外の
無機繊維、無機バインダ及び凝集剤は、無機繊維ガラス
前駆体層と同様のものを用いることができる。無機材料
結着層中における重量比率は、無機繊維を含む無機材料
が20〜95重量%、好ましくは30〜85重量%であ
り、このうち、無機繊維が20〜95重量%、好ましく
は30〜75重量%である。また、無機バインダが1〜
30重量%、好ましくは3〜15重量%、凝集剤が0.
1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
【0038】無機材料結着層の厚さとしては、用途によ
り適宜選択すればよいが、断熱材として用いられる場合
には一般的に厚いほど好ましく、通常10mm以上、好ま
しくは10〜100mm、さらに好ましくは30〜100
mmである。無機材料結着層が形成されると、熱伝導率が
比較的高いガラス前駆体を実質的に含まないため、断熱
性が高くなり好ましい。
【0039】次に無機繊維質成形体の製造方法について
説明する。本発明に係る無機繊維質成形体は、例えば、
脱水成形する成形型が内部に配置された成形槽内に、無
機繊維、ガラス前駆体、無機バインダ及び凝集剤を含む
第1スラリーを供給して吸引脱水成形し、第1スラリー
が成形型に全て堆積する前に、成形槽内に無機繊維を含
む無機材料、無機バインダ及び凝集剤を含む第2スラリ
ーを徐々に添加して、成形槽内のスラリーの組成が第1
スラリーから第2スラリーに漸次変化するようにして吸
引脱水成形して製造することができる。以下、図1〜図
3を参照して吸引脱水成形による具体的な製造方法につ
いて説明する。図1は無機繊維質成形体を製造する際に
用いられる吸引脱水成形装置の一例を示す模式図、図2
は吸引脱水成形でスラリーを脱水成形型上に堆積させる
様子を説明する模式図、図3は無機繊維質成形体の一例
を示す模式図である。図1〜図3中、10は成形型の一
部である網状部材、11は第1スラリーの堆積物、12
は第1及び第2スラリーの混合物の堆積物、13は第2
スラリーの堆積物、201は成形槽、202は成形槽
内、203は成形型、204は中空部、205は無機繊
維ガラス前駆体層、206はガラス前駆体遷移層、20
7は無機材料結着層、208は無機繊維質成形体、20
9は水排出部である。
【0040】まず、図1に示すような脱水成形する成形
型203が内部に配置された成形槽201を用意する。
成形型203のうち、成形槽内202に面した側の表面
は網状部材10等に形成し、吸引部209から吸引脱水
することにより、成形槽内202に供給されるスラリー
を堆積できるようにする。
【0041】次に、成形槽内202に第1スラリーを供
給し、吸引脱水する。第1スラリーの組成は、水以外の
成分の合計量を100重量%として、無機繊維が10〜
40重量%、好ましくは20〜30重量%、ガラス前駆
体が50〜80重量%、好ましくは60〜70重量%、
無機バインダが1〜30重量%、好ましくは3〜10重
量%、凝集剤が0.1〜10重量%、好ましくは1〜5
重量%である。第1スラリーには上記以外の添加剤等が
適宜配合されていてもよく、また、該スラリーの水分量
は適宜調整すればよい。なお、第1スラリーは、成形槽
内202で図示しない攪拌手段等により攪拌されること
が好ましい。図2の矢印X方向に吸引脱水され、第1ス
ラリーが成形型203の網状部材10上に堆積すると、
図2(A)に示すように第1スラリー堆積物11が形成
される。
【0042】次に、第1スラリーが成形型203に全て
堆積する前に、成形槽内202に無機繊維を含む無機材
料、無機バインダ及び凝集剤を含む第2スラリーを徐々
に添加して、成形槽内202のスラリーの組成が第1ス
ラリーから第2スラリーに漸次変化するようにして吸引
脱水成形する。第2スラリーの組成は、水以外の成分の
合計量を100重量%として、無機繊維を含む無機材料
が20〜95重量%、好ましくは30〜70重量%、無
機バインダが1〜30重量%、好ましくは3〜15重量
%及び凝集剤が0.1〜10重量%、好ましくは1〜5
重量%である。第2スラリーには上記以外の添加剤等が
適宜配合されていてもよく、また、該スラリーの水分量
は適宜調整すればよい。なお、第2スラリーは、第1ス
ラリーと同様に攪拌されることが好ましい。第2スラリ
ーの添加量、添加速度、添加するタイミング等は適宜行
えばよい。例えば、成形槽内202のスラリーの液面が
一定になるように第2スラリーを添加すると、ガラス前
駆体遷移層の組成変化が線型的になり、層間の熱膨張差
が緩和されるため好ましい。
【0043】本工程では、成形槽内202の第1スラリ
ーが成形型203に全て堆積する前の状態において図2
(B)に示すように第1スラリー堆積物11の上に第1
及び第2スラリーの混合物の堆積物12が形成される。
さらに、成形槽内202の第1スラリーが成形型203
に全て堆積した後においても継続して第2スラリーを添
加することにより、図2(C)に示すように第1及び第
2スラリーの混合物の堆積物12の上に第2スラリーの
堆積物13が形成される。吸引脱水成形が終了すると、
断面が第1スラリーの堆積物11/第1及び第2スラリ
ーの混合物の堆積物12/第2スラリーの堆積物13の
3層構造の成形体が得られる。この3層構造の成形体を
脱型し、乾燥すると、図3に示すような中空部204を
有する円筒形状で内周面側から順に無機繊維ガラス前駆
体層205/ガラス前駆体遷移層206/無機材料結着
層207の3層構造を有する無機繊維質成形体208が
得られる。乾燥条件としては、例えば、80〜200
℃、好ましくは100〜150℃で、5時間以上、好ま
しくは24〜48時間行えばよい。
【0044】なお、上記製造方法において、成形槽内2
02の第1スラリーと第2スラリーとの混合物のうち、
第1スラリー成分が実質的になくなった時点で脱水成形
を終了すれば、無機繊維ガラス前駆体層205/ガラス
前駆体遷移層206の2層構造を有する無機繊維質成形
体が得られる。また、上記製造方法において、第1スラ
リーが成形槽内202に完全になくなった後に第2スラ
リーやその他のガラス前駆体を含まない断熱材用のスラ
リーを添加すれば、無機繊維ガラス前駆体層205/ガ
ラス前駆体を含まない層の2層構造を有する無機繊維質
成形体が得られる。
【0045】次に本発明に係る断熱材について説明す
る。本発明に係る断熱材は、上記本発明に係る無機繊維
質成形体が酸化雰囲気下で加熱処理されて得られるもの
である。無機繊維及び無機バインダとしては、無機繊維
質成形体と同様のものが挙げられる。無機繊維融着体
は、無機繊維が無機バインダにより相互に融着された3
次元骨格構造の強固な無機繊維構造体である。なお、こ
こでいう融着とは、高温の加熱処理による無機バインダ
での強固な結合形態を意味し、無機繊維及び無機バイン
ダの少なくとも一部が溶融したり粘性流動して結合した
形態をいう。融着の際には、無機繊維又は無機バインダ
は組成や結晶状態が変化していてもよい。
【0046】珪酸ガラスを主成分とするガラスマトリク
スとしては、ガラス前駆体が酸化され膨張した珪酸ガラ
スを主成分として含んでいればよく、ガラスマトリクス
全体が珪酸ガラスのみで構成されていても、ガラスマト
リクスの一部が十分に酸化されずにガラス前駆体のまま
含まれていてもよい。ガラスマトリクスは、例えば、上
記式(1)や(2)に示すようにガラス前駆体が酸化に
より徐々に膨張することにより形成される。
【0047】無機繊維ガラスマトリクス層は、断熱材の
少なくとも表面の一部に形成される層であって、無機繊
維が無機バインダにより相互に融着された3次元骨格構
造の無機繊維融着体と珪酸ガラスを主成分とするガラス
マトリクスとからなり、且つ、前記無機繊維融着体が該
ガラスマトリクスに実質的に取り込まれ固定されて形成
される。無機繊維ガラスマトリクス層においては、無機
繊維質成形体の無機繊維ガラス前駆体層中のガラス前駆
体の全部又は大部分がガラス化して膨張すると共に膨張
した隣接するガラス同士の接点が結合する。このため、
無機繊維ガラス前駆体層中に存在した空隙は略消失して
珪酸ガラスを主成分とするマトリクス状態になってお
り、該ガラスマトリクスにより無機繊維融着体が取り込
まれ固定される。
【0048】本発明に係る断熱材は、少なくとも表面の
一部に無機繊維ガラスマトリクス層が形成されたもので
ある。すなわち、無機繊維ガラスマトリクス層は、断熱
材の少なくとも表面全体又はその一部に形成されていれ
ばよく、必要により断熱材の内部まで形成されていても
よい。断熱材の形状としては、特に限定されないが、例
えば、円筒形状、板状等が挙げられる。特に円筒形状で
あって内周面に無機繊維ガラスマトリクス層が形成され
たものは、無機繊維ガラスマトリクス層の加熱収縮によ
るクラックや剥離が生じ難くなるため好ましい。断熱材
は、空気中において900℃で700時間加熱した前後
の寸法変化率が0〜+1%、好ましくは略±0%であ
る。
【0049】断熱材は、このままで、又は必要により後
述の加熱処理を行って残存するガラス前駆体をガラスマ
トリクスに変性させることにより、例えば、電子部品製
造用の電気炉等の断熱材として使用できる。なお、ガラ
スマトリクスは無機繊維や無機バインダ等よりも熱伝導
率が高いため、無機繊維ガラスマトリクス層自体の断熱
性能はそれほど高くないが、例えば、表面に形成した無
機繊維ガラスマトリクス層とガラスマトリクスを含まな
い通常の無機繊維断熱材からなる層とを組み合わせて用
いれば、断熱性能が十分であると共に寸法変化が小さく
クラックや剥離が少ない断熱材が得られる。すなわち、
少なくとも表面の一部に無機繊維ガラスマトリクス層が
形成された断熱材は、ガラスマトリクスを主成分とする
ため発塵が少なく、また、ガラスマトリクスと共にガラ
ス前駆体が存在する場合は、酸化雰囲気、且つ、120
0℃以下の高温下で長期間に渡り使用されても、無機繊
維ガラスマトリクス層の寸法安定性が高いため、無機繊
維ガラスマトリクス層に隣接する層との間の剥離やクラ
ックが生じ難いと共に、発塵がほとんどない。また、断
熱性能がそれほど要求されない断熱材に使用する場合
は、無機繊維ガラスマトリクス層のみで断熱材を構成し
てもよい。該断熱材は高温下における寸法変化が極めて
小さい点で好ましい。
【0050】断熱材は、無機繊維ガラスマトリクス層に
予め電気ヒータを埋設して形成したものでもよい。該断
熱材は、電気ヒータに通電して無機繊維ガラスマトリク
ス層を酸化雰囲気中で加熱して無機繊維ガラスマトリク
ス層中に残存するガラス前駆体をガラスマトリクスに変
性できると共に、このまま電気ヒータが埋設された断熱
材として使用することができる。また、断熱材はガスバ
ーナーの火炎放射部等の高温暴露部材としても使用で
き、該部材は使用に伴って断熱材中の残存するガラス前
駆体が徐々にガラスマトリクスに変性されるため、割れ
やクラックがなく、発塵がほとんどなくなる。
【0051】本発明に係る断熱材は、無機繊維ガラスマ
トリクス層に隣接する層として、無機繊維を含む無機材
料が無機バインダにより相互に融着された3次元骨格構
造の無機材料融着体と前記ガラスマトリクスとからな
り、且つ、層中の該ガラスマトリクスの濃度が前記無機
繊維ガラスマトリクス層との界面から離間するに従って
漸次減少して略ゼロになるガラスマトリクス遷移層が形
成されていてもよい。ガラスマトリクス遷移層は、通
常、該層に隣接してさらに形成されるガラスマトリクス
を含まない無機材料融着層と無機繊維ガラスマトリクス
層との間に位置する中間層であって緩衝層として形成さ
れ、無機繊維ガラスマトリクス層とガラスマトリクス遷
移層との界面、及びガラスマトリクス遷移層と無機材料
融着層との界面のそれぞれの界面において隣接する層の
組成や物性が略同一になるように形成される。
【0052】ガラスマトリクス遷移層中におけるガラス
マトリクスの濃度は、界面から離間するに従い漸次減少
して最終的に略ゼロになればよく、濃度の減少の態様と
しては線型的又は非線型的のいずれの態様であってもよ
い。ガラスマトリクス遷移層の厚さとしては、上記無機
繊維質成形体におけるガラス前駆体遷移層と同様であ
る。ガラスマトリクス遷移層が形成されると、無機繊維
ガラスマトリクス層とその下地層であるガラスマトリク
ス遷移層との界面が組成及び物性の点で略同一であるた
め、これら2層間での剥離及び無機繊維ガラスマトリク
ス層のクラックがより生じ難くなり好ましい。
【0053】本発明に係る断熱材は、ガラスマトリクス
遷移層に隣接する層として、無機繊維を含む無機材料が
無機バインダにより相互に融着された3次元骨格構造の
無機材料融着体からなる無機材料融着層が形成されてい
てもよい。無機材料融着層において、無機繊維を含む無
機材料及び無機バインダとしては、上記無機繊維質成形
体における無機繊維結着層と同様のものが挙げられる。
なお、無機繊維としては、無機繊維ガラスマトリクス層
に含まれるもの以外のものも用いることができる。
【0054】無機材料融着層中における無機材料、無機
バインダ及び無機材料中の無機繊維の重量比率は、上記
無機繊維質成形体における無機繊維結着層の重量比率と
同様にすればよい。無機材料融着層の厚さとしては、用
途により適宜選択すればよいが、上記無機繊維質成形体
における無機材料結着体と同様の厚さであればよい。無
機材料融着層が形成されると、熱伝導率が比較的高いガ
ラスマトリクスを実質的に含まないため、断熱性が高く
なり好ましい。
【0055】次に断熱材の製造方法について説明する。
本発明に係る断熱材は、上記無機繊維質成形体を酸化性
雰囲気中で加熱することにより、無機繊維質成形体中に
存在するガラス前駆体の少なくとも一部を珪酸ガラスを
主成分とするガラスマトリクスに変性して得られる。酸
化性雰囲気としては、空気雰囲気、酸素雰囲気等が挙げ
られる。加熱条件としては、無機繊維ガラスマトリクス
層中のガラスマトリクスとガラス前駆体との存在比率が
所望の値になるように適宜行えばよいが、例えば、50
0〜1600℃、好ましくは800〜1200℃で、1
時間以上、好ましくは3〜48時間行えばよい。
【0056】
【実施例】次に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0057】実施例1 図1に示すような内部に円筒形状の脱水成形型203が
配置された成形槽201の成形槽内202に、平均繊維
径3μm 、平均繊維長70μm のアルミナ繊維25重量
部、平均粒子径5μm の炭化珪素粒子70重量部、平均
粒子径10〜20nmのコロイダルシリカ5重量部及びで
んぷん(凝集剤)5重量部に、水4000重量部からな
る第1スラリーを供給し、スラリーの液面が変化しない
ように水を補給しながら吸引脱水成形し、脱水成形型2
03上に図2(A)に示すような厚さ10mmの第1スラ
リー堆積物11を形成した。次に、スラリーの液面が変
化しないようにして成形槽内202に、平均繊維径3μ
m 、平均繊維長70μm のアルミナ繊維90重量部、平
均粒子径10〜20nmのコロイダルシリカ10重量部、
でんぷん(凝集剤)5重量部及び水4000重量部から
なる第2スラリーを供給し、吸引脱水成形して、脱水成
形型203の第1スラリー堆積物11上に図2(B)に
示すような厚さ10mmの第1及び第2スラリーの混合物
の堆積物12を形成した。次に、成形槽内202に第1
スラリーの成分が実質的に存在しなくなった時点から、
引き続き成形槽内202に第2スラリーを供給すると共
に吸引脱水成形して、脱水成形型203の第1及び第2
スラリーの混合物の堆積物12上に図2(C)に示すよ
うな厚さ50mmの第2スラリーの堆積物13を形成し
た。脱水成形終了後、第1スラリーの堆積物11/第1
及び第2スラリーの混合物の堆積物12/第2スラリー
の堆積物13の断面が3層構造の成形体を脱水成形型2
03から脱型し、105℃で24時間乾燥して、図3に
示すような内径200mmの中空部204を有する高さ3
50mmの円筒形状で内周面側から順に厚さ10mmの無機
繊維ガラス前駆体層205/厚さ10mmのガラス前駆体
遷移層206/厚さ50mmの無機材料結着層207の3
層構造を有する無機繊維質成形体208を得た。無機繊
維質成形体208を中空部204側が1300℃になる
ように加熱して24時間保持し、中空部204の方から
順に無機繊維ガラスマトリクス層/ガラスマトリクス遷
移層/無機材料融着層の3層構造を有する断熱材を得
た。得られた断熱材の内周面は、ガラスマトリクス状で
あり、発塵は観察されなかった。得られた断熱材を空気
中において900℃で700時間加熱したところ、加熱
前後の寸法変化率は1%以下であり、剥離やクラックは
生じなかった。さらに、20分で900℃まで急速に加
熱した後、900℃/20分で急冷する熱衝撃試験を5
0サイクル行ったが、断熱材に剥離やクラックは生じな
かった。
【0058】実施例2 第1スラリーのみを用いて吸引脱水成形した以外は、実
施例1と同様にして内径200mmの中空部204を有す
る高さ350mmの円筒形状で厚さ40mmの無機繊維ガラ
ス前駆体層205の1層構造の断熱材を得た。得られた
断熱材は全体がガラスマトリクス状であり、全面のいず
れからも発塵は観られなかった。得られた断熱材を空気
中において900℃で700時間加熱したところ、加熱
前後の寸法変化率は1%以下であり、剥離やクラックは
生じなかった。さらに、20分で900℃まで急速に加
熱した後、900℃/20分で急冷する熱衝撃試験を5
0サイクル行ったが、断熱材に剥離やクラックは生じな
かった。
【0059】実施例3 脱水成形型として平板状のものを用いた以外は実施例1
と同様にして、吸引脱水成形、脱型、乾燥し、200mm
×300mmの平板矩形状で、厚さ10mmの無機繊維ガラ
ス前駆体層205/厚さ10mmのガラス前駆体遷移層2
06/厚さ50mmの無機材料結着層207の3層構造を
有する無機繊維質成形体を得た。無機繊維質成形体の無
機繊維ガラス前駆体層205からは、若干の発塵が観察
された。得られた無機繊維質成形体をこのまま断熱材と
して使用し、空気中において無機繊維ガラス前駆体層側
を900℃で700時間加熱したところ、加熱後は無機
繊維ガラス前駆体層が無機繊維ガラスマトリクス層、無
機材料結着層が無機材料融着層にそれぞれ変性してい
た。また、加熱前後の寸法変化率は1%以下であり、剥
離やクラックは生じなかった。さらに、20分で900
℃まで急速に加熱した後、900℃/20分で急冷する
熱衝撃試験を50サイクル行ったが、断熱材に剥離やク
ラックは生じなかった。
【0060】
【発明の効果】本発明に係る無機繊維質成形体によれ
ば、酸化雰囲気、且つ、1200℃以下の高温下で長期
間に渡り使用されても、ガラスマトリクスの生成に起因
して無機繊維ガラス前駆体層の寸法安定性が高く、無機
繊維ガラス前駆体層に隣接する層との間の剥離やクラッ
クが生じ難いと共に、使用するにつれて発塵が徐々に少
なくなる。従って、該無機繊維質成形体をこのまま断熱
材として使用することができる。また、本発明に係る断
熱材によれば、酸化雰囲気、且つ、1200℃以下の高
温下で長期間に渡り使用されてもガラスマトリクスの生
成に起因して寸法安定性が高く、隣接する層との間の剥
離やクラックが生じ難いと共に、発塵がほとんどない。
【図面の簡単な説明】
【図1】無機繊維質成形体を製造する際に用いられる吸
引脱水成形装置の一例を示す模式図である。
【図2】吸引脱水成形でスラリーを脱水成形型上に堆積
させる様子を説明する模式図である。
【図3】無機繊維質成形体の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
10 網状部材 11 第1スラリーの堆積物 12 第1及び第2スラリーの混合物の堆積
物 13 第2スラリーの堆積物 201 成形槽 202 成形槽内 203 成形型 204 中空部 205 無機繊維ガラス前駆体層 206 ガラス前駆体遷移層 207 無機材料結着層 208 無機繊維質成形体 209 水排出部

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面の一部に無機繊維ガラス
    前駆体層が形成された無機繊維質成形体であって、該無
    機繊維ガラス前駆体層は無機繊維が凝集剤により相互に
    結合された3次元骨格構造の無機繊維結着体と酸化によ
    り珪酸ガラスを生成し膨張するガラス前駆体と無機バイ
    ンダとからなり、且つ、該ガラス前駆体及び該無機バイ
    ンダが前記凝集剤により前記無機繊維結着体に結合され
    ていることを特徴とする無機繊維質成形体。
  2. 【請求項2】 前記無機繊維ガラス前駆体層に隣接して
    ガラス前駆体遷移層が形成された無機繊維質成形体であ
    って、該ガラス前駆体遷移層は無機繊維を含む無機材料
    及び無機バインダが凝集剤により相互に結合された3次
    元骨格構造の無機材料結着体と前記ガラス前駆体とから
    なり、且つ、層中の該ガラス前駆体の濃度が前記無機繊
    維ガラス前駆体層との界面から離間するに従い漸次減少
    していることを特徴とする請求項1記載の無機繊維質成
    形体。
  3. 【請求項3】 前記ガラス前駆体遷移層に隣接して、前
    記無機材料結着体からなる無機材料結着層が形成される
    ことを特徴とする請求項2記載の無機繊維質成形体。
  4. 【請求項4】 前記ガラス前駆体が、炭化珪素、窒化珪
    素又はこれらの混合物であることを特徴とする請求項1
    〜3のいずれか1項記載の無機繊維質成形体。
  5. 【請求項5】 前記無機繊維ガラス前駆体層は、前記ガ
    ラス前駆体を50〜80重量%含み、且つ、該ガラス前
    駆体と前記無機繊維結着体とを重量比率5:3〜16:
    3の割合で含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれ
    か1項記載の無機繊維質成形体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項記載の無機
    繊維質成形体よりなることを特徴とする断熱材。
  7. 【請求項7】 円筒形状であって、前記無機繊維ガラス
    前駆体層が円筒の少なくとも内周面に形成されることを
    特徴とする請求項6記載の断熱材。
  8. 【請求項8】 少なくとも表面の一部に無機繊維ガラス
    マトリクス層が形成された断熱材であって、該無機繊維
    ガラスマトリクス層は無機繊維が無機バインダにより相
    互に融着された3次元骨格構造の無機繊維融着体と珪酸
    ガラスを主成分とするガラスマトリクスとからなり、且
    つ、前記無機繊維融着体が該ガラスマトリクスに実質的
    に取り込まれ固定されていることを特徴とする断熱材。
  9. 【請求項9】 前記無機繊維ガラスマトリクス層に隣接
    してガラスマトリクス遷移層が形成された断熱材であっ
    て、該ガラスマトリクス遷移層は無機繊維を含む無機材
    料が無機バインダにより相互に融着された3次元骨格構
    造の無機材料融着体と前記ガラスマトリクスとからな
    り、且つ、層中の該ガラスマトリクスの濃度が前記無機
    繊維ガラスマトリクス層との界面から離間するに従って
    漸次減少していることを特徴とする請求項8記載の断熱
    材。
  10. 【請求項10】 前記ガラスマトリクス遷移層に隣接し
    て、前記無機材料融着体からなる無機材料融着層が形成
    されることを特徴とする請求項9記載の断熱材。
  11. 【請求項11】 前記無機繊維ガラスマトリクス層は、
    前記ガラスマトリクスを50〜80重量%含み、且つ、
    該ガラスマトリクスと前記無機繊維融着体とを重量比率
    5:3〜16:3の割合で含むことを特徴とする請求項
    8〜10のいずれか1項記載の断熱材。
  12. 【請求項12】 円筒形状であって、前記無機繊維ガラ
    スマトリクス層が円筒の少なくとも内周面に形成される
    ことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項記載の
    断熱材。
  13. 【請求項13】 脱水成形する成形型が内部に配置され
    た成形槽内に、水以外の成分の合計量を100重量%と
    して、無機繊維10〜40重量%、酸化により珪酸ガラ
    スを生成し膨張するガラス前駆体50〜80重量%、無
    機バインダ1〜30重量%及び凝集剤0.1〜10重量
    %を含む第1スラリーを供給して吸引脱水成形し、該第
    1スラリーが前記成形型に全て堆積する前に、前記成形
    槽内に、水以外の成分の合計量を100重量%として、
    無機繊維を含む無機材料20〜95重量%、無機バイン
    ダ1〜30重量%及び凝集剤0.1〜10重量%を含む
    第2スラリーを徐々に添加して、該成形槽内のスラリー
    の組成が前記第1スラリーから該第2スラリーに漸次変
    化するようにして吸引脱水成形することを特徴とする無
    機繊維質成形体の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項1〜5のいずれか1項記載の無
    機繊維質成形体を酸化性雰囲気中で加熱することによ
    り、該無機繊維質成形体中に存在する前記ガラス前駆体
    の少なくとも一部を珪酸ガラスを主成分とするガラスマ
    トリクスに変性することを特徴とする断熱材の製造方
    法。
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