JP2001180212A - 車輪軸受装置 - Google Patents
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Abstract
確実に抑制でき、しかもABS用の回転速度検出手段を
備えつつも軽量・コンパクトな車輪軸受装置を提供す
る。 【解決手段】 内方部材20に設けられる複列の軌道面2
1、22のうち、インボード側の軌道面21をハブ輪30の外
周に嵌合した内輪40に形成する。ハブ輪30の外周に、ブ
レーキロータ70を取付けるための車輪取付けフランジ31
を設け、このフランジ31のブレーキロータ取付け面33の
面振れ幅を所定の規格値内に規制する。また、密封手段
13のスリンガに多磁極を有するエンコーダ81を取付け、
エンコーダ82の回転で生じた磁束変化をセンサ部82でセ
ンシングして内方部材20の回転数を検出する。
Description
車輪を車体に対して回転自在に支持する車輪軸受装置
(ハブベアリング)に関するもので、より詳しくはブレ
ーキロータの取付けを前提とした車輪軸受装置に関する
ものである。
ものと、非駆動輪用のものとがあり、それぞれの用途に
応じて種々の形式のものが提案されている。図9は駆動
輪用の車輪軸受装置の一例を示すもので、内周に複列の
軌道面1aを有する外方部材1と、そのそれぞれの軌道面
1aに対向する軌道面2a、2bを有する内方部材2と、外方
部材1と内方部材2との間に介在する複列の転動体5と
を主要構成要素とする。内方部材2は、ハブ輪3と、そ
の外周に圧入した内輪4とからなり、複列の軌道面2a、
2bのうちの一方2aが内輪4の外周に、他方2bがハブ輪3
の外周にそれぞれ形成されている。ハブ輪3には車輪取
付けフランジ3aが設けられ、この車輪取付けフランジ3a
に車輪ホイール固定用のハブボルト6を用いて図示しな
い車輪が取付けられる。車輪取付けフランジ3aと車輪と
の間にはブレーキロータ7が介在しており、このブレー
キロータ7はボルト7aを用いて車輪取付けフランジ3aに
取付けられる。
輪3が等速自在継手8の外側継手部材8aに結合される。
外側継手部材8aは、椀状のマウス部8a1と中実のステム
部8a2とからなり、ステム部8a2 にてハブ輪3とセレー
ション嵌合されている。ステム部8a2の軸端に形成した
ねじ部8a3にナット9を螺合させて締付けることによ
り、内輪4の端面が外側継手部材8aの肩部8a4端面に押
付けられ、ハブ輪3および内輪4が軸方向で位置決めさ
れると共に、転動体5に予圧が付与される。複列の転動
体5はそれぞれ接触角を有しており、前述の予圧によっ
て軸受剛性を高めると共に、モーメント荷重を受けられ
る構造になっている。
造工程においては、ブレーキロータ7を介して車輪を車
輪取付けフランジ3aに取付ける際に、ハブボルト6の締
付けによりブレーキロータ7の締結部分が変形する場合
がある。この変形は、ブレーキロータ7単体に存在する
加工精度・誤差と相俟って、組付け後のブレーキロータ
の制動面(ブレーキパッドと摺接する面)に面振れを生
じる要因となる。かかる面振れは、ブレーキング時の振
動(ブレーキジャダー)や、ブレーキロータの偏摩耗等
の発生原因となるので、その解消が要望されている。
組立工場において、車輪軸受メーカから納入された車輪
軸受装置の車輪取付けフランジ3aに、別部品として納入
されたブレーキロータ7を組付ける際に、車輪取付けフ
ランジ3aの面振れとブレーキロータ7の面振れとを位相
合わせする等の調整作業を行っているが、この方法は甚
だ面倒で作業性が悪い。
チロックブレーキシステム)を装備するものが多いが、
車輪周辺のコンパクト化、軽量化、さらには設計自由度
の向上等を図るため、ABS用の車輪回転速度検出手段
を車輪軸受装置と一体にしたいという要望が強い。
とする一方で、ブレーキング時の振動やブレーキの偏摩
耗を確実に抑制することのでき、しかもABS用の回転
速度検出手段を備えつつも軽量・コンパクトな車輪軸受
装置の提供を目的とする。
複列の軌道面を有する外方部材と、外方部材のそれぞれ
の軌道面に対向する軌道面を有する内方部材と、外方部
材と内方部材との間に介在する複列の転動体と、外方部
材の内周と内方部材の外周との間の環状空間を閉鎖する
密封手段とを備え、外方部材及び内方部材のうち、回転
側の部材に車輪取付けフランジを設け、この車輪取付け
フランジの側面をブレーキロータ取付け面としたもので
ある。本発明は:密封手段は、上記回転側の部材に固定
されたスリンガを備え、上記スリンガに取付けられ、多
磁極を有するエンコーダと、エンコーダの回転で生じた
磁束変化をセンシングするセンサ部とを備え、センサ部
からの検出データに基づいて上記回転側の部材の回転数
を検出する回転速度検出手段を具備すると共に、ブレー
キロータ取付け面の面振れ幅を規格値内に規制した車輪
軸受装置を提供するものである。
れ幅を規格値内に規制することにより、この取付け面に
取付けられるブレーキロータの振れを所望の範囲内に抑
え、ブレーキロータ組付け後の面倒な振れ調整を不要と
することができる。また、回転速度検出手段を車輪軸受
装置に一体に組込んだ構造であるから、これらを個別に
配置する場合に比べ、車輪周辺のコンパクト化、軽量
化、さらには設計自由度の向上が図られる。
方部材および内方部材のうち、固定側の部材を基準に回
転駆動させた状態で最大振れ幅が50μm以下となるよ
う規制するのが望ましい。
に形成することができる。この場合、内方部材が回転側
の部材に、外方部材が固定側の部材となる。
孔を形成した場合、駆動軸を取付け孔に取付けることに
よって駆動車輪用の車輪軸受装置が構成される。駆動軸
としては、例えば等速自在継手を構成する外側継手部材
のステム部が挙げられる。
面のうちの少なくとも一方の軌道面を形成した第二内側
部材とで構成することができる。この場合、第一内側部
材と第二内側部材とを塑性変形で非分離に一体結合すれ
ば、従来必要であったナットを省略でき、部品点数の削
減による低コスト化、軽量化、アキシャル方向寸法の小
型化等が図られる。
側部材の外周に直接形成することができる。
材で構成することもできる。これにより、第二内側部材
と外側継手部材とを別体で構成する場合に比べ、アキシ
ャル寸法の小型化や、部品点数の削減による低コスト化
および軽量化を図ることができる。
一体に形成することもできる。この場合、外方部材が回
転側の部材となり、内方部材が固定側の部材となる。
成することができ、この場合、別部材に軌道面を形成す
る場合に比べて、アキシャル寸法の小型化や、部品点数
の削減による低コスト化および軽量化を図ることができ
る。
受装置にも適用することができる。すなわち、内周に複
列の軌道面を有する外方部材と、外方部材のそれぞれの
軌道面に対向する軌道面を有する内方部材と、外方部材
と内方部材との間に介在する複列の転動体と、外方部材
の内周と内方部材の外周との間の環状空間を閉鎖する密
封手段とを備え、外方部材及び内方部材のうち、回転側
の部材に車輪取付けフランジを設け、この車輪取付けフ
ランジの側面にブレーキロータを取付けた車輪軸受装置
において、密封手段は、上記回転側の部材に固定された
スリンガを備え、上記スリンガに取付けられ、多磁極を
有するエンコーダと、エンコーダの回転で生じた磁束変
化をセンシングするセンサ部とを備え、センサ部からの
検出データに基づいて上記回転側の部材の回転数を検出
する回転速度検出手段を具備すると共に、ブレーキロー
タの制動面の面振れ幅を規格値内に規制したものであ
る。
振れ幅は、外方部材及び内方部材のうち、固定側の部材
を基準に回転駆動させた状態で最大振れ幅が100μm
以下となるよう規制するのが望ましい。
図8に基づいて説明する。なお、以下の説明において
は、車両に組付けた状態で車両の外側寄りとなる側をア
ウトボード側といい、車両の中央寄りとなる側をインボ
ード側という。図2(B)、図3および図4を除く上記
各図においては、左側がアウトボード側となり、右側が
インボード側となる。
動輪用の軸受装置で、外方部材10と内方部材20との間に
複列の転動体50を組込んで回転側の内方部材20を回転自
在に支持する構造である。複列の転動体50は保持器60
(図6等参照)で円周方向等間隔に保持され、複列の外
側軌道面11と内側軌道面21、22との間に介在して各軌道
面上を転動する。ここでは転動体50としてボールを使用
する場合を例示してあるが、円すいころを使用すること
もできる。
を備え、外周に車体側の取付け部材、例えば懸架装置か
ら延びるナックルに取付けるための車体取付けフランジ
12を一体に備える。外方部材10の両端開口部に密封手段
13、14が装着されており、この密封手段13、14によって
外方部材10の内周と内方部材20の外周との間の環状空間
Sがその軸方向両側でシールされ、環状空間Sに充填し
たグリースの漏洩、ならびに環状空間Sへの外部からの
水や異物の侵入を防止するようになっている。
ンボード側をシールする密封手段13は、外方部材10に取
付けられるシールリング131 と、内方部材20に取付けら
れるスリンガ132 とを具備する。シールリング131 は、
外方部材10の端部内周に圧入される円筒部133 aを外周
部に備えた略円板状の芯金133 にゴム等の弾性体134を
固着し、その弾性体134 の内周部に二つのインナーリッ
プ134a、134bを設け、かつインボード側の側面にサイド
リップ134cを設けた構造である。一方、スリンガ132
は、内方部材20外周のランド部41に圧入される円筒部13
2aと、この円筒部132aの一端に設けられた半径方向に延
びる部分132b(円板部)とで構成される。円筒部132aの
外周面に上記インナーリップ134a、134bが弾性接触し、
円板部132bの内側面(アウトボード側の面)に上記サイ
ドリップ134cが弾性接触している。スリンガ132 のう
ち、円板部132bの外側面に後述する多磁極化されたエン
コーダ81が装着される。
ルする密封手段14については、その詳細構造の図示を省
略しているが、例えば図2(A)に示すシールリング13
1 と同様に3つのリップを有する弾性体シールを使用す
ることができる。この場合、シールリング131 の円筒部
133 aに相当する部分を外方部材10のアウトボード側の
端部内周に圧入し、二つのインナーリップ134a、134bに
相当する部分を後述するハブ輪30の外周に弾性接触さ
せ、かつサイドリップ134cに相当する部分を後述する車
輪取付けフランジ31の側面33’に弾性接触させる。
部材30とこれに嵌合した第二内側部材40とで構成され
る。本実施形態は、第一内側部材としてのハブ輪30の外
周に第二内側部材としてのリング状の内輪40を嵌合する
ことにより、内方部材20とした場合を例示している。ハ
ブ輪30のアウトボード側の外周には車輪を取付けるため
の車輪取付けフランジ31が一体に形成され、一方、イン
ボード側の外周には小径円筒部32があって、この小径円
筒部32に内輪40が圧入されている(図2(A)参照)。
内側軌道面21、22のうち、インボード側軌道面21は内輪
40の外周に形成され、アウトボード側軌道面22は、ハブ
輪30の外周に直接形成されている。本実施形態において
は、内輪40の外周に上記ランド部41が形成され、このラ
ンド部41にインボード側密封手段13のスリンガ132 の一
部(円筒部132a)が圧入されている。内方部材20の軸芯
部(本実施形態ではハブ輪30の軸芯部)には、図示しな
い駆動軸を取付けるための取付け孔23が貫通して形成さ
れ、取付け孔23のアウトボード側には、駆動軸とセレー
ション嵌合するためのセレーション部39が形成されてい
る。
側面33は、ブレーキロータ70を取付けるための取付け面
となる。ブレーキロータ70はボルト34によって車輪取付
けフランジ31の取付け面33に取付けられる。さらにハブ
ボルト35によって図示しない車輪が車輪取付けフランジ
31の取付け面33にブレーキロータ70を介して締付け固定
される。車輪取付けフランジ31の基端部付近からアウト
ボード側内側軌道面22に至る部分は、アウトボード側密
封手段14のシールリップが摺接するシール面36となる。
40から突出したハブ輪30の小径円筒部32の軸端を加締め
て外径側に塑性変形させることにより、非分離に一体化
される。この加締め部37により、内輪40がハブ輪30に対
して軸方向で位置決めされ、かつ転動体50に所定の予圧
が付与される。このように第一内側部材としてのハブ輪
30と第二内側部材としての内輪40との結合を塑性変形で
行うことにより、従来のナット9(図9参照)が不要と
なるので、軸受装置のアキシャル方向寸法の小型化、軽
量化、部品点数の削減(ナットが不要)による軽量化、
低コスト化が達成される。さらには、後述するようにブ
レーキロータ70の面振れ抑制効果をも得ることができ
る。
ハッチングを省略し、代わりに焼入れ硬化層を散点模様
で表わしてある。ハブ輪30は、炭素含有量が0.45〜
1.10重量%、好ましくは0.45〜0.75重量%
の炭素鋼等を使用して鍛造加工により成形され、そのう
ちの車輪取付けフランジ31の基端部付近から始まって、
シール面36、アウトボード側の内側軌道面22、内輪40と
の突合せ面である肩面38、内輪40との嵌合部(小径円筒
部32)である外周面にかけての領域には、焼入れ処理に
よりHv510〜900程度の硬化層(散点模様で示
す。図5、図6、および図8についても同じ)が形成さ
れる。
けフランジ31の基端部分は、車輪を固定した車輪取付け
フランジ31から受けるモーメント荷重に拘らず、基端部
分の変形やフランジ31の面振れを防止するために硬化さ
せる。シール面36は、上記基端部と重複する部分もある
が、アウトボード側密封手段14のシールリップが摺接す
る部分であるため、摩擦抵抗を少なくするとともに所期
のシール効果を発揮させ、かつ、耐摩耗性を付与するた
めに硬化させる。アウトボード側の内側軌道面22は、転
動体50と接触することにより大きな面圧が発生するた
め、転がり疲れ寿命を確保するために硬化させる。肩面
38は内輪40との突合せ面であり、しかも、内側軌道面2
1、22間の距離を左右する部分であることから、寸法精
度の維持、フレッティング摩耗の防止のために硬化させ
る。小径円筒部32は、内輪40との間の圧入締め代に耐え
られるよう、さらには、耐クリープ性、耐フレッティン
グ性を付与するために硬化させる。焼入れ硬化層深さ
は、アウトボード側の内側軌道面22において最深部で
0.7〜4mm程度とし、その他の部分、例えばシール
面36においてこれよりも浅く、最深部で0.3〜3mm
程度とする。特に図示していないが内輪40は、軸受鋼等
の高炭素鋼を素材としており、芯部まで焼入れ硬化され
ている。内輪40を芯部まで焼入れ硬化させることによ
り、軌道面21に転がり疲れ寿命を確保することができる
と共に、小径円筒部32の軸端の加締め加工により、内輪
40に大きな荷重が加わった場合でも内輪40の変形を防止
し、所定の予圧を確保することができる。
37は、加締めを可能ならしめる程度の延性が必要とされ
るため、焼入れ処理を施さない未焼入れ部分として残し
てある。具体的には硬度をHv200〜300の範囲と
することにより、加締め加工が可能な延性を保持させる
ことができる。
れ、レーザ焼入れ等の周知の技術から選択することがで
きるが、上述のような焼入れパターンで熱処理を施す場
合には高周波焼入れが適している。表面硬化処理として
の高周波熱処理は、誘導加熱の特色を有効に生かして硬
化層を自由に選定し、耐摩耗性を与えたり疲労強度を改
善することができる。誘導加熱は、電磁誘導現象を利用
して金属内で電気エネルギを直接熱エネルギに変えて発
熱させる方法で、これを利用した高周波熱処理には多く
の特徴がある。特に局部加熱ができ、硬化層深さの選定
が自由であり、また、硬化層以外には著しい熱影響を与
えないよう制御できるので、母材の性能を保持でき、従
って、上記加締め部37のように母材中に部分的な未焼入
れ部分を残す際には有利な点が多い。
BS用に車輪の回転数を検出するもので、図2(A)に
示すように、インボード側密封手段13のうち、スリンガ
132の円板部132b外側面に取付けられたエンコーダ81
と、このエンコーダ81に面して外方部材10に固定された
センサ部82とで構成される。
に、例えばNSの磁極を円周方向に交互に多極着磁させ
たリング状の弾性磁性体で構成される。この弾性磁性体
は、ゴムやゴム質の合成樹脂(例えばポリアミド、ポリ
オレフィン、エチレン系重合体等)と磁性粉末(例えば
バリウムフェライト、希土類磁性粉末等)とを均一に混
練して得られる複合磁性材料を、ゴムの場合は架橋させ
た上で、リング状に成形し、次いでこれを多極着磁ヨー
ク等の一般的着磁手段で着磁することにより形成され
る。このようにして得られた弾性磁性体は、加硫、ある
いは接着等の手段でスリンガ132 の円板部132b外側面に
固着される。ゴムとして、NBR(ニトリル系)、アク
リルゴム系エラストマー、フッ素ゴム系エラストマー、
シリコーン系エラストマー等を使用することができ、こ
れらのうちで特に耐熱性の高いエラストマー(アクリル
ゴム系、フッ素ゴム系、シリコーン系)を使用すれば、
ブレーキの作動に伴う発熱の影響を最小限に抑えること
ができる。
方向で対向配置され、図2(A)に示すように外周に設
けられた取付け部82aを外方部材10の端面にねじ83等で
締付けることによって外方部材10に固定される。センサ
部82としては、例えば、ホール素子、磁気抵抗素子な
ど、磁束の流れ方向に応じて出力を変化させる磁気検出
素子と、この磁気検出素子の出力波形を整形する波形整
形回路を組み込んだICとにより構成されるアクティブ
型のセンサを使用することができる。このセンサ部82
は、エンコーダ81の回転による磁束の変化をセンシング
し、その検出信号に基づいて内方部材20の回転速度を検
出し、車輪の回転数情報としてABSの制御装置に伝送
する。なお、センサ部82は、外方部材10だけでなく、他
の固定側の部材、例えばナックル等の車体側の取付け部
材に取付けることもできる。
周方向に多磁極を有するものとしているのでその薄肉化
が可能である。従って、これを密封手段13のスリンガ13
2 に取付けることにより、薄型コンパクトで軽量の検出
手段80を構成することができ、車輪周辺のコンパクト
化、軽量化、さらには設計自由度の向上を図ることがで
きる。
面33の面振れ幅が規格値内に規制される。規格値は、固
定側の部材(本実施形態では外方部材10)を基準として
回転駆動させた際のブレーキロータ取付け面33の最大振
れ幅で規定され、その値は50μm以下、望ましくは3
0μm以下とする。これにより、面倒な面振れ調整を不
要にでき、ブレーキング時の振動やブレーキの偏摩耗を
抑制することが可能となる。
れ幅の測定方法を例示しており、外方部材10を測定台90
に固定し、この固定された外方部材10を基準に内方部材
20を一回転させ、その際のブレーキロータ取付け面33の
振れ幅をダイヤルゲージ等の測定器91で測定するもので
ある。ブレーキロータ取付け面33の面振れは、車輪取付
けフランジ31の外径側ほど大きいので、面振れ幅の管理
を厳しく行えるように、測定器91の当接位置は、ハブボ
ルト35の圧入用ボルト孔31aの外接円と、車輪取付けフ
ランジ31の外周との中間位置としている。
形させて内輪40と非分離に一体化した場合、ナット9
(図9参照)を省略できるので、ナットを使用すること
により生じる誤差(例えばハブ輪30と接触するナット端
面の誤差、あるいはねじ部の誤差等)分だけアキシャル
方向の累積精度を改善することができる。これより軸受
装置のアキシャル振れが抑制され、ブレーキロータ70の
面振れ低減が可能となる。
が考えられる。
られていたが、これを二回切削とし、当該取付け面33
を、表面粗さRa(中心線平均粗さ:JISB060
1)3μm以下に仕上げることとする。この二次切削
は、一次切削済みのハブ輪30に上記焼入れ等の熱処理を
施した上で行う。なお、車輪取付けフランジ31の反対側
の側面33’については、一回切削でRa=3〜6μm程
度に仕上げる。
面33に切削等の仕上げ加工を行う。この仕上げ加工によ
り、組立誤差(ミスアライメント)に起因するブレーキ
ロータ取付け面33の面振れを抑制することができる。
付け後に、ブレーキロータ70の両側面、特に図示しない
ブレーキパッドと摺接する制動面71、73に切削等の仕上
げ加工を施すことにより、取付け誤差によるブレーキロ
ータ70の制動面71、73の面振れを解消することもでき
る。
フランジ31での焼入れ硬化処理は上記のように基端部に
止め、ハブボルト35のボルト孔31a周辺は未焼入れ部分
(生の部分)として残すこととする。ボルト孔31a周辺
にも焼入れ硬化層を形成した場合、ハブボルト35の圧入
によって車輪取付けフランジ31に歪みが加わり、この歪
みによってブレーキロータ取付け面33が変形する懸念が
あるが、ボルト孔31a周辺を未焼入れ部分とすれば、こ
の部分に、ボルト圧入に伴う歪みを吸収できる程度の延
性が確保されるため、ブレーキロータ取付け面33の変形
が防止され、ブレーキロータ70の面振れが防止される。
aにボルト圧入による余肉の盛上りを吸収できる程度の
面取り加工を施すことにより、ブレーキロータ70の取付
け精度を確保することができる。
ルト35の外周にセレーション部35aを設け、このセレー
ション部35aをボルト孔31aに圧入し、セレーション歯
先でボルト孔31a内周面に塑性流動を生じさせてボルト
抜け力とボルトスリップトルクを確保しているが、この
塑性流動によってブレーキロータ取付け面33が変形し、
面振れ幅の悪化につながる場合があった。これに対し、
図4に示すように、ハブボルト35外周をセレーションを
省略した円筒面とすれば(ボルト孔は従来と同様の円筒
面である)、ハブボルト35の圧入時にもボルト孔31aの
内周での塑性流動が生じず、ブレーキロータ取付け面33
の変形を防止できる。この場合、スリップトルクは、ボ
ルト頭部35bを、フランジ31に設けた被係合部31bとボ
ルト頭部35bの円周方向で係合させることによって確保
される。なお、ボルト頭部35bと被係合部31bとの間の
ガタ詰めのため、被係合部31bを加締め等でボルト側に
塑性変形させるのが望ましい。ボルト頭部35b、および
被係合部31bの形状は、図示例のものに限定されず、そ
の他にも例えば双方を六角形としたり楕円形とすること
も考えられる。
ブ輪30との一体結合を、軸受隙間が負となり、かつ軸受
の予圧量が981〜9810N(100〜1000kg
f)となるように行う。これにより内輪40とハブ輪30の
結合力が高まるので、自動車が旋回する際のモーメント
荷重などにより、軸力と反対方向の荷重が発生しても両
者の結合部にガタを生じることはなく、結果としてブレ
ーキロータ70の面振れを抑制することができる。予圧量
が981N(100kgf)より小さいと軸受剛性を高
めることが困難となり、軸受隙間がブレーキロータ70の
面振れとなって影響する。逆に、予圧量が9810N
(1000kgf)より大きいと、軸受剛性を高めるこ
とができるが、それだけ軸受の負荷が増大するため、軸
受寿命の低下を招く。
制動面71、73や車輪取付けフランジ31への取付け面72を
切削等で高精度に仕上げ、面振れの軽減に努めておくの
が望ましい。
必要は必ずしもなく、使用条件、用途等に応じて何れか
一つを選択し、あるいはこれらを適宜組合わせて採用す
ることができる。
いて説明する。なお、以下の説明においては、図1と共
通の部材、あるいは対応する部材には同じ参照番号を付
して重複説明を省略する。
動輪用の軸受装置を示すものである。図5においては、
図1と同様に中心線より上半分は断面を表わすハッチン
グを省略して焼入れ硬化層を散点模様で表わしている。
つの内輪40a、40bを嵌合したもので、インボード側の
内側軌道面21およびアウトボード側の内側軌道面22の双
方が内輪40a、40bの外周に設けられる点で図1と異な
る。この場合、ハブ輪30およびアウトボード側の内輪40
bが上記第一内側部材に相当し、インボード側の内輪40
aが上記第二内側部材に相当する。ハブ輪30には車輪取
付けフランジ31が形成され、このブレーキロータ取付け
面33にブレーキロータ70がボルト34を介して取付けられ
る。これ以外の材料、焼入れ方法等は図1と同様であ
る。
動車輪用の軸受装置で、特に等速自在継手と一体にユニ
ット化したものである。図6の中心線より下半分は断面
を表わすハッチングを省略し、代わりに焼入れ硬化層を
散点模様で表わしている。
と、内側継手部材120 と、外側継手部材110 と内側継手
部材120 との間に組込まれたトルク伝達ボール130 と、
トルク伝達ボール130 を保持する保持器140 とからな
る。外側継手部材110 はマウス部111 とステム部112 と
からなり、駆動軸としてのステム部112 がハブ輪30の取
付け孔23内周にセレーション39等を介して嵌合される。
この外側継手部材110 は、ステム部112 の軸端を塑性変
形(加締め)させることでハブ輪30と非分離に一体化さ
れる。マウス部111 の側端部から半径方向に立ち上がっ
た肩面113 がハブ輪30の端面との突合せ面となる。アウ
トボード側の内側軌道面22は図1と同様にハブ輪30の外
周に直接形成され、一方、インボード側の内側軌道面21
は外側継手部材110 の外周に直接形成されている。な
お、この実施形態においては、ハブ輪30が上記第一内側
部材に相当し、外側継手部材110 が上記第二内側部材に
相当する。
は、炭素含有量が0.45〜1.10重量%、好ましく
は0.45〜0.75重量%の炭素鋼とし、少なくとも
加締め部37となる端部の硬度をHv200〜300とす
る。これにより、インボード側の内側軌道面21やマウス
部111 のトラック溝150 部分に要求される硬度(Hv5
10〜900)を確保し、しかも、かしめ作業を十分に
行えるようになる。外側継手部材110 の外周面には焼入
れ硬化層が形成される。マウス部111 については、トル
ク伝達ボール130 が転動する部分であるトラック溝150
は、耐寿命性を付与するため硬化させてある。シール面
36はアウトボード側密封手段14のシールリップが摺動す
る部分であるため、摩擦抵抗を少なくするとともに所期
のシール効果を発揮させ、かつ、耐摩耗性を付与するた
めに硬化させる。アウトボード側の内側軌道面22は、転
動体50が転動する軌道であるため、転動体50から受ける
ラジアル荷重、スラスト荷重に耐える寿命を保持させる
ために硬化させる。肩面113はハブ輪30との突合せ面で
あり、しかも、内側軌道面21、22間の距離を左右する部
分であることから、寸法精度の維持、フレッティング摩
耗の防止のために硬化させる。ステム部112 の外周面の
うち、はめあい部114 およびセレーション部39は、耐ク
リープ性、耐フレッティング性などを付与するために硬
化させる。一方、加締め部37となるステム部112 の軸端
は、加締めを行なう部分であるため延性が必要であり、
従って焼入れ処理を施さず未焼入れ部分として残してあ
る。焼入れ方法については、図1と同様である。
が等速自在継手100 の外型継手部材110 と外方部材10と
の間の空間に収容されるので、よりコンパクト化するこ
とができる。
外方部材10を回転させて用いる従動輪用の車輪軸受装置
である。外方部材10の外周面に車輪取付けフランジ31が
形成され、このフランジ31に、ボルト34を用いてブレー
キロータ70が、ハブボルト35を用いて図示しない車輪が
それぞれ固定される。内方部材20は、それぞれの外周に
内側軌道面21、22を有する二つの内輪40a、40bで構成
されており、両内輪40a、40bは車体側に固定された図
示しない軸部材の外周に突合せ状態で圧入される。この
実施形態においては、二つの内輪40a、40bうちの何れ
か一方(図示例ではアウトボード側の内輪40b)が上記
第一内側部材に相当し、他方が上記第二内側部材に相当
する。インボード側密封手段13は、図2(A)と同様に
シールリング131 およびスリンガ132 を具備している
が、シールリング131 が固定側となる内輪40aに、スリ
ンガ132 が回転側となる外方部材10の内周にそれぞれ固
定される点で図2とは異なる(図7ではシールリング13
1 およびスリンガ132 の図示を省略している)。スリン
ガ132 の円板部132b外側面に上記エンコーダ81を装着
し、このエンコーダ81と対向させて図示しない固定側の
部材にセンサ部82を装着することにより、上記と同様の
機能を有する回転速度検出手段80が構成される。その他
の材料、焼入れ方法等は図1に示す実施形態と同様であ
る。
ブレーキロータ70を取付けた車輪軸受装置を示すもので
ある。この場合、ブレーキロータ70の制動面71、73の面
振れ幅が規格値内に規制される。規格値は、固定側の部
材(本実施形態では外方部材10)を基準として回転駆動
させた際のブレーキロータ70の制動面71、73(詳しくは
その外周縁部)の最大振れ幅で規定され、その値は10
0μm以下、望ましくは60μm以下とする。上記第一
〜第四の実施形態で説明したようにブレーキロータ取付
け面33の面振れ幅を規格値に規制し、さらに制動面71、
73の面振れ幅を上記規格値に規制すれば、より効果的で
ある。
示す車輪軸受装置を駆動輪用として説明したが、これら
は従動輪用として使用することもできる。
キロータ取付け面の面振れ幅を規格値内に規制したの
で、ブレーキング時の振動(ブレーキジャダー)や、ブ
レーキロータの偏摩耗等の発生を確実に回避することが
できる。また、ブレーキロータを組付ける時、またはそ
の後に面倒なブレーキロータの振れ調整を行う必要がな
い。さらに、車輪の回転速度検出手段を車輪軸受装置に
一体に組込んでいるので、車輪周辺のコンパクト化、軽
量化、さらには設計自由度の向上等を図ることができ
る。
場合、ブレーキロータの制動面の面振れ幅を規格値内に
規制することによっても同様の効果が得られる。
縦断面図である。
拡大した断面図、(B)図はこれに用いるエンコーダの
斜視図である。
断面図である。
ボルトの斜視図、(B)図はボルト頭部側から見た正面
図である
縦断面図である。
縦断面図である。
縦断面図である。
置の縦断面図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 内周に複列の軌道面を有する外方部材
と、外方部材のそれぞれの軌道面に対向する軌道面を有
する内方部材と、外方部材と内方部材との間に介在する
複列の転動体と、外方部材の内周と内方部材の外周との
間の環状空間を閉鎖する密封手段とを備え、外方部材及
び内方部材のうち、回転側の部材に車輪取付けフランジ
を設け、この車輪取付けフランジの側面をブレーキロー
タ取付け面とした車輪軸受装置において、 密封手段は、上記回転側の部材に固定されたスリンガを
備え、上記スリンガに取付けられ、多磁極を有するエン
コーダと、エンコーダの回転で生じた磁束変化をセンシ
ングするセンサ部とを備え、センサ部からの検出データ
に基づいて上記回転側の部材の回転数を検出する回転速
度検出手段を具備すると共に、ブレーキロータ取付け面
の面振れ幅を規格値内に規制したことを特徴とする車輪
軸受装置。 - 【請求項2】 上記ブレーキロータ取付け面の面振れ幅
を、外方部材および内方部材のうち、固定側の部材を基
準に回転駆動させた状態で最大振れ幅が50μm以下と
なるよう規制した請求項1記載の車輪軸受装置。 - 【請求項3】 車輪取付けフランジを、内方部材に一体
形成した請求項1または2記載の車輪軸受装置。 - 【請求項4】 上記内方部材に、駆動軸を取付けるため
の取付け孔を設けた請求項1〜3何れか記載の車輪軸受
装置。 - 【請求項5】 内方部材を、第一内側部材と、複列の軌
道面のうちの少なくとも一方の軌道面を形成した第二内
側部材とで構成した請求項1〜4何れか記載の車輪軸受
装置。 - 【請求項6】 上記内方部材の他方の軌道面を、第一内
側部材の外周に直接形成した請求項5記載の車輪軸受装
置。 - 【請求項7】 第二内側部材が等速自在継手の外側継手
部材である請求項5または6記載の車輪軸受装置。 - 【請求項8】 上記外方部材に、車輪取付けフランジを
一体に形成した請求項1または2記載の車輪軸受装置。 - 【請求項9】 上記外方部材の内周に、軌道面を直接形
成した請求項1〜8何れか記載の車輪軸受装置。 - 【請求項10】 内周に複列の軌道面を有する外方部材
と、外方部材のそれぞれの軌道面に対向する軌道面を有
する内方部材と、外方部材と内方部材との間に介在する
複列の転動体と、外方部材の内周と内方部材の外周との
間の環状空間を閉鎖する密封手段とを備え、外方部材及
び内方部材のうち、回転側の部材に車輪取付けフランジ
を設け、この車輪取付けフランジの側面にブレーキロー
タを取付けた車輪軸受装置において、 密封手段は、上記回転側の部材に固定されたスリンガを
備え、上記スリンガに取付けられ、多磁極を有するエン
コーダと、エンコーダの回転で生じた磁束変化をセンシ
ングするセンサ部とを備え、センサ部からの検出データ
に基づいて上記回転側の部材の回転数を検出する回転速
度検出手段を具備すると共に、ブレーキロータの制動面
の面振れ幅を規格値内に規制したことを特徴とするブレ
ーキロータ付き車輪軸受装置。 - 【請求項11】 上記ブレーキロータの制動面の面振れ
幅を、外方部材及び内方部材のうち、固定側の部材を基
準に回転駆動させた状態で最大振れ幅が100μm以下
となるよう規制した請求項10記載のブレーキロータ付き
車輪軸受装置。
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