JP2001178306A - 水陸性生物飼育槽 - Google Patents

水陸性生物飼育槽

Info

Publication number
JP2001178306A
JP2001178306A JP36870799A JP36870799A JP2001178306A JP 2001178306 A JP2001178306 A JP 2001178306A JP 36870799 A JP36870799 A JP 36870799A JP 36870799 A JP36870799 A JP 36870799A JP 2001178306 A JP2001178306 A JP 2001178306A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
tank
breeding
aquatic organism
area
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP36870799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4065638B2 (ja
Inventor
Takeshi Umetsu
剛 梅津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Individual
Original Assignee
Individual
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Individual filed Critical Individual
Priority to JP36870799A priority Critical patent/JP4065638B2/ja
Publication of JP2001178306A publication Critical patent/JP2001178306A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4065638B2 publication Critical patent/JP4065638B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)
  • Purification Treatments By Anaerobic Or Anaerobic And Aerobic Bacteria Or Animals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 コンパクト、簡易な構造で、実質的に水の交
換が不要で、水陸性生物の生態に即した環境を整え、そ
のライフサイクル完結できるようになし、かつ、手近で
自立的に生物を飼育、養殖、観察できる飼育槽を提供す
る。 【解決手段】 主として炭素繊維からなり、層をなす網
目状の嵩高ウェブを圧縮して形成した濾過ブロック(11)
により区画される少なくとも二つの水域(12、13)と、前
記濾過ブロック(11)上部の陸域(14、14a)と、を有し、
前記濾過ブロック(11)を挟む一の水域(12)から他の水域
(13)に水を還流して前記濾過ブロック(11)による浸透濾
過により水を浄化しつつ、水陸性生物を飼育する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍に代表される水
生昆虫を含む水陸性生物の飼育槽に係り、より詳しく
は、容器内に、水域とこれに接する陸域を設け、水域の
水循環を行いつつ、生物を飼育する水陸性生物飼育槽に
関する。
【0002】
【従来の技術】水陸性生物である蛍のライフサイクル
は、良く知られているように、夏に、湿潤環境である水
辺に産卵された卵から孵化した幼虫が水中に移動し、
秋、冬の間、水中のカワニナ(主として源氏蛍の場合)あ
るいはモノアラ貝(主として平家蛍の場合)等の貝を餌と
して脱皮を繰返し、春に、最終齢幼虫に至ると陸上に移
動して土中で土繭を作り(蛹化)、夏に、蛹から羽化して
成虫となり、交尾して産卵の後その一生を終え、1世代
のライフサイクルは完了する。
【0003】近時、水辺環境の悪化から蛍の成長に適し
た環境が失われており、特に都市近郊では殆ど蛍を見る
ことがなくなった。このような、状況に鑑み、蛍の人工
養殖、放流も盛んに行われており、養殖に適した装置も
各種提案されている。中でも、実公平7−1974号公
報あるいは特開平8−322428号公報に記載された
ものは、水環境(水域)とこれに接する土環境(陸域)を容
器内に形成し、蛍の幼虫から成虫に至る生育環境を整
え、これを養殖することを目的としている。
【0004】ところで、実公平7−1974号公報に提
案されているものは、貯水大容器中に、粘土層を傾斜状
に形成し中央部に水室を設けた小形容器内で蛍を成虫に
至るまで飼育し、貯水大容器から餌とともに水を補給
し、小形容器中の水を循環させ、水質(溶存酸素量)を良
好に維持するとともに蛍の幼虫の容器からの脱出を防止
するものである。
【0005】しかし、このものにあっては、水棲幼虫か
ら蛹を経て羽化し成虫に至る環境は一応提供されている
ものの産卵、孵化および羽化の環境については必ずしも
整備されているとは言いがたく、また、循環用の水は大
容器から供給されるものの、通年長期の水循環において
は水質の悪化は免れず、水の補給は必至であるうえ、自
然環境に比し蛍にとって最適環境とは言いがたい。
【0006】他方、特開平8−322428号公報に記
載されたものは、容器内に、上陸棚と砂層を設け、容器
底部には通水口を設けるとともに容器に浮きを付けてこ
れを水面上に浮かせて、水域の水循環を保証するもの、
あるいは、水を外部から導入、供給するものである。
【0007】しかし、このものにあっても、実公平7−
1974号公報に提案されているものと同様、産卵、孵
化および羽化の環境については整備されているとは言い
がたく、また、循環用の水は環境水を用いるか水道水な
どの供給であり、水質の維持は環境水に依存しており、
必ずしも、水質の維持等において十分とは言いがたい。
【0008】このような課題を解決する養殖、飼育槽と
して、本発明者は、容器内に、水域とこれに接する陸域
を設け、水域の水循環を行いつつ、水域内で蛍の幼虫お
よび幼虫の餌となるカワニナ等の貝を生育せしめ、陸域
で成虫へ羽化させる蛍の養殖装置の陸域内部に湿潤層を
形成して水を浸透させ、水循環ポンプにより陸域を通し
て水を水域に循環させるとともに水の浄化手段を設けた
飼育槽を提案している(特願平10-337630号)。
【0009】この飼育槽は、実質的に水の交換が不要
で、陸域中の観察も容易で水陸性生物である蛍の飼育、
観察に優れたものであるが、土砂中に湿潤層を形成する
ので陸域の崩壊を招きやすく、湿潤層の目詰まりが起こ
り、また、装置が複雑になるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑み、実質的に水の交換を必要とせず、水陸性
生物の生態に即した環境を整え、生物がライフサイクル
を完結できるようになし、かつ、人手を掛けることな
く、手近で自立的に生物を飼育、養殖でき、生態観察に
適するとともに装置がコンパクトで簡易な水陸性生物飼
育槽を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、本発明は、主
として炭素繊維からなり、層をなす網目状の嵩高ウェブ
を圧縮して形成した濾過ブロックにより区画される少な
くとも二つの水域と、前記濾過ブロック上部の陸域と、
を有し、前記濾過ブロックを挟む一の水域から二の水域
に水を還流して前記濾過ブロックによる浸透濾過により
水を浄化しつつ、水陸性生物を飼育することを特徴とす
る。これにより、水を常に循環濾過浄化し、水の交換が
不要で、生態観察に適するとともに装置がコンパクトで
簡易な水陸性生物飼育槽を提供することができる。
【0012】また、濾過ブロックが、所定の厚さの単位
嵩高ウェブを積層して圧縮し、槽壁の間に密着して挟持
させたものは市販の素材を使用でき一層簡易な装置とな
り、濾過ブロックの濾過断面形状を底部に向かって広が
る山型となしたものは水生昆虫などの飼育に適し、濾過
ブロック頂部に土盛りを設け陸域となしたものは、土環
境を実現でき、水域に曝気手段を設けたものは水の浄化
を強化でき、エアリフトポンプにより前記一の水域から
二の水域に水を還流するものは曝気と還流を同時に実施
できる。さらに、水域の水を脱窒装置に導き脱窒浄化を
施した後槽内に還流させるものは、一層長期にわたる良
好な水環境を保持できる。
【0013】水域と陸域を設けた飼育本槽と、飼育本槽
を被覆するように重ねた飛翔槽とからなり、飛翔槽に照
明灯および開閉自在の管理用の窓を設けたものは、蛍な
どの水生昆虫の飼育、養殖および観察に適し、送風手段
により空気を前記各槽内に供給するとともに、前記飼育
本槽および/または飛翔槽に換気孔を設けたものは、い
わば空域環境が良好であり、前面の観察面を透明材で構
成し、奥面、上下面および左右側面を黒色材で構成した
ものは、飼育環境の制御と観察に適したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、その好ましい実施形態を示
す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。図は、本
発明を蛍の飼育槽に適用した一実施形態を示す模式図で
あり、図1は、その側面図、図2は飼育本槽部の平面図
である。
【0015】各図において、10は飼育本槽であり、上面
が開いた直方体外形で、前面の観察面は透明板材、前面
を除く他の面は黒色板材で構成され、槽内が図1のよう
に前面から観察できるようになっている。11は、炭素繊
維からなり、層をなす網目状の嵩高ウェブを幅方向に圧
縮して形成した濾過ブロックであり、飼育本槽10の前後
槽壁間に密着、挟持されるように装着され、その断面は
底部に向かって広がる山型をなしている。12、13は、濾
過ブロック11により区画される二つの水域で、それぞれ
の底面には砂層12a、13aが形成されている。14は濾過ブ
ロック11の上部に形成される陸域であり、濾過ブロック
11の上部(水に浸かっていない部分)と濾過ブロック11の
頂部に形成した凹部11aの上に形成された土盛り14aから
なる。
【0016】15は、水域12の水中に設置され、陸域14を
貫通して、水を水域13に還流させるエアリフトポンプで
ある。16は、同じく水域12の水中に設置された曝気手段
であるエアストーンである。
【0017】20は飛翔槽であり、直方体外形の下部が開
いた形状で、下の飼育本槽10に密着して被せられ、飼育
本槽10と一体となって密閉空間、空域を形成するもので
ある。飛翔槽20の上部には、照明灯である蛍光灯21が取
付けられ、この蛍光灯21の電源はタイマーで制御され、
照明サイクルがコントロールできるようになっている。
22、23は、各水域12、13の上方に設けられた開閉自在の
管理用窓で、餌、水の補給をここから行う。24は、飛翔
槽20の屋根に取付けられた送風機であり、槽内に空気を
供給する。飛翔槽20および/または飼育本槽10の壁面に
は、必要な換気孔(図示せず)が形成され、槽内の空気の
循環、交換を行っている。
【0018】30は、脱窒手段であり、活性汚泥を微粒子
担体に担持させ、嫌気攪拌される活性汚泥槽31と、炭素
繊維からなり、層をなす嵩高ウェブを圧縮して槽の側壁
間に挟持するごとく密着して装着した濾過体32とからな
る。
【0019】33は、水域13に浸漬されたスポンジフィル
タ33aを介して水域13から水を脱窒槽30に導く水汲み上
げ用のポンプ、34は、活性汚泥槽31内に設けられた攪拌
装置であり、モータ34a、シャフト34b、シャフト34bの
先端部に取付けられたフィン34cおよびシャフト34bの先
端を回転自在に支える軸受34dからなる。35は、濾過体3
2で濾過された処理水の溢流管であり、36は、活性汚泥
槽31の仕切り板である。ポンプ33は、活性汚泥槽31の槽
壁と仕切り板36で区画される供給溜37に開口し、飼育本
槽10内の水を活性汚泥槽31に供給する。
【0020】次に、本発明に用いる、炭素繊維からな
り、層をなす嵩高ウェブからなる濾過ブロック11および
濾過体32、この両者は実質的に同じものであるが、につ
いて説明する。炭素繊維からなり層をなす嵩高ウェブと
しては、軽量防音断熱材として使用され、株式会社ドナ
ックの製造になる、ドナカーボ(登録商標)・ライトウ
ール(DLWという)が挙げられる。DLWは、汎用ピ
ッチ系の炭素繊維の捲縮性の短繊維からカード機を用い
て形成される綿状の原料ウェブ(綿状繊維シート)を多
数積層してなる網目状三次元構造体である(特開平7-33
1572号公報、特開平9-273059号公報あるいは特開平9-27
6087号公報参照)。
【0021】この、DLWは、炭素繊維の短繊維を適宜
の厚さ(1〜10mm程度)の綿状の原料ウェブに形成し、原
料ウェブの短繊維を網目状に接着しつつ、原料ウェブを
多数積層して所定の厚さ(15〜80mm)に成形した圧縮性、
弾力性、通気性などを有する網目状三次元構造体である
から、原料ウェブにおいて各短繊維は面に平行に層をな
すと共に、構造体においては、各原料ウェブが積層され
て層を形成する。本発明では、このように嵩高で、ウェ
ブ面に平行な層構造を有する構造体を、層をなす嵩高ウ
ェブという。
【0022】濾過ブロック11および濾過体32は、例え
ば、嵩密度10Kg/m3、厚さ50mmの前記DLW(DLW1050)
を、予めオゾン水による親水化処理した後、図1に示す
断面形状、すなわち、濾過ブロック11は、底部に向かっ
て広がる山型に、また、濾過体32にあっては、直方形状
の断面に切断して、これをウェブ面を平行にして所定枚
数積重ね、圧縮して各側壁の間に装着する。図1の濾過
ブロック11にあっては、断面が対称な台形状のものを突
き合わせて山型となしている。また、上部の切込みは、
土盛り14aを係止するための凹部11aを形成するためのも
のである。なお、濾過ブロック11、濾過体32の水濾過の
ためには、当初から親水性を有することが好ましく、親
水性を持たない炭素繊維のウェブを用いる場合は親水化
処理が望ましい。親水化処理は、オゾン水によるものの
ほか予め炭素繊維に親水化処理するなど任意の方法が採
用できる。
【0023】さて、嵩高ウェブは、圧縮弾性(特開平9-
273059号公報にいう圧縮硬さLC)を有するので、濾過ブ
ロック11あるいは濾過体32は、槽壁に密着するとともに
圧縮されて相応の硬さ、機械的強度を発現して槽内にそ
の形態を保持して固定される。また、嵩高ウェブが層を
なしているので、図2に模式的に示したように、濾過ブ
ロック11、濾過体32の流れの方向即ちウェブ面に平行に
多数の層が形成される。当然のことながらこの層は目視
できるものではなく、濾過ブロック11および濾過体32内
に微細な層構造として内的に形成保持されるものであ
る。
【0024】次に、本飼育槽10における水の循環、浄化
について述べる。最初に河川水あるいは水道水を、水域
12、13を構成できる量を飼育槽10内に滞留させる。次い
でエアリフトポンプ15により、水域12の水を水域13に還
流する。この還流量は、水域13と水域12のヘッド差(静
圧の差)である濾過圧に基づき濾過ブロック11により浸
透濾過され、水域13から水域12に流入する水量に等しく
する。
【0025】水域の水は濾過ブロック11の物理濾過によ
り汚濁物質が除去されるとともに生体親和性の優れた炭
素繊維の濾過ブロック11のウェブ層内に保持される微生
物により生物分解される。この生物分解を促進するため
に予め排水処理に用いられる活性汚泥を濾過ブロック11
に浸透させておくこともできるが、長期にわたって循環
すれば水域中の生物による排出物を分解する微生物相が
生じ、これが濾過ブロック11内に捕捉されて微生物層を
形成する。曝気手段であるエアストーン16による曝気に
より水域中の水は好気的微生物により生物分解(硝化)が
促進され、濾過ブロック11内では通性嫌気的微生物によ
る生物分解(脱窒)が進む。
【0026】さらに、水域の水は、ポンプ33により、水
域13から脱窒装置30の供給溜37にポンプアップされ、活
性汚泥を微粒子担体に担持させ、嫌気攪拌される活性汚
泥槽31で嫌気分解されるので硝化された汚濁物質はここ
で十分に脱窒される。なお、ここに微粒子担体、例え
ば、破砕された極細の炭素繊維からなる担体に担持され
た活性汚泥を用いる所以は、活性汚泥が沈降して嫌気攪
拌が確実になること、活性汚泥の活性が高まり分解効率
が高いことにある。
【0027】生物由来の窒素成分が分解された水は、濾
過ブロック11と同じ炭素繊維からなり、層をなす嵩高ウ
ェブを圧縮して槽の側壁間に挟持するごとく密着して装
着した濾過体32で浸透濾過され、活性汚泥を完全に分離
した清澄な水となって溢流管35から水域13に戻される。
このようにして、水域の水は、水域12と水域13の間で循
環される間に炭素繊維の濾過ブロック11による物理濾過
および生物濾過を受けて浄化され、同時に曝気による好
気的分解(硝化)および濾過ブロック11内での嫌気的分解
(脱窒)で汚濁成分が除去される。さらに、本実施形態に
あっては、生体に毒性を及ぼす硝酸塩を十分除去するた
めに脱窒装置30により脱窒をいっそう強化している。
【0028】次に、このような飼育槽における蛍の生
育、継代養殖について述べる。
【0029】蛍を飼育する前には、上述の水処理すなわ
ち水循環を所定の時間行い(水道水を使用する場合は無
害化のため水循環処理が不可欠)、水環境が調整された
水域12、13に、蛍の幼虫とその餌となるモノアラ貝(主
として平家蛍の場合)、あるいは、カワニナ(主として源
氏蛍の場合)を生育せしめる。幼虫の餌となる貝は槽内
水域で養殖もできるが、必要に応じて貝を補給すること
もできる。
【0030】水域12あるいは13中の蛍の幼虫は、共存す
る貝を餌として、脱皮を繰返し、最終齢幼虫の段階で水
域12あるいは13から陸域14の土盛り14a内に移動し、土
繭を作り蛹となる。この場合、蛍は湿潤土壌環境を好む
が、本発明の飼育槽にあっては、陸域14を、炭素繊維の
層をなす網目状の嵩高ウェブを圧縮した濾過ブロック11
の上部に形成しているので、水域の水が濾過ブロック11
内に毛細管現象で十分浸透し、最適の湿潤環境を与える
ことができる。次に、羽化し成虫となった蛍は、飛翔槽
20中で交尾し、雄は交尾の後、雌は産卵の後一生を終
え、一世代の養殖が終了する。なお、蛍光灯21は、その
照明時間を調節することにより、蛍の生育期間を調節す
るために用いる。
【0031】蛍の産卵場所は、自然界では湿潤な水蘚の
上といわれ、孵化した幼虫は孵化時に水中に落下するご
とく移動する。本飼育槽では、産卵用の湿潤体として、
水域12あるいは13に接する炭素繊維の濾過ブロック11の
水辺の傾斜面を産卵場所として提供しており、実験で蛍
はこの炭素繊維のウェブ上に産卵する。産卵された卵は
濾過ブロック11の表面で孵化し、近くの水域に移動して
2代目の幼虫として成長し始める。本飼育槽にあっては
水環境が完全に保全されるので、自然環境と同様の食物
連鎖が完結し、環境が良好に維持される。
【0032】本発明の飼育槽は、以上のように非常にコ
ンパクト、簡易な構造で、蛍のライフサイクルに亘る一
連の生育環境すなわち、卵生孵化までの水辺湿潤環境、
幼虫時の水中環境、成虫孵化に至る湿潤土壌環境を備
え、実質的に水の交換が不要で、自立、連続的に、蛍の
継代養殖を実施でき、また、観察も容易なものである。
【0033】上述の実施形態においては、水陸性生物と
して蛍を取り上げ説明したが、本発明は蛍に適用される
のみでなく、良好な水環境と陸、空環境を必要とする他
の比較的小型の水陸性生物の飼育槽あるいは観察槽にも
適用できることは言うまでもない。
【0034】また、実施形態においては、一の濾過ブロ
ックで区画される二つの水域を有するものを説明した
が、例えば、間隔を置いた二つの濾過ブロックで区画さ
れる三つの水域を並置したものであってもよく、飼育生
物種、量により水域、陸域のレイアウトは変更できる。
この場合、水の還流は、水の流れから言って最後の水域
から最初の水域に向かって行ってもよく、各濾過ブロッ
クを挟む前後の水域間で還流してもよい。
【0035】さらに、飼育槽の構成について言えば、飼
育本槽と飛翔槽からなるものを説明した。水生昆虫な
ど、飛翔性の生物の飼育槽としては、このように分割し
た槽にすれば市販の容器、槽を利用でき簡易に製作でき
るが、飼育槽は分割的に構成することなく一体的にして
もよく、また、飛翔性の生物でない場合は飼育本槽の上
部を金網などで被覆した飼育槽でもよい。
【0036】脱窒装置についていえば、活性汚泥を微粒
子担体、特に破砕された極細の炭素繊維からなる担体に
担持させ、嫌気攪拌される活性汚泥槽31と、炭素繊維か
らなり、層をなす嵩高ウェブを圧縮して槽の側壁間に挟
持するごとく密着して装着した濾過体32とからなるもの
を示した。このものは、簡単な構造で高度に脱窒が可能
で、比較的小容量、低濃度の脱窒性能に優れているが脱
窒装置はこれに限らず、沈降性のよい活性汚泥であれば
濾過体32を省くこともでき、あるいは、嫌気攪拌活性汚
泥槽を省き、濾過体32内の浸潤活性汚泥による嫌気性分
解(脱窒)で処理することもでき、他の嫌気濾床方式など
任意の脱窒装置を使用できる。脱窒負荷が小さく、濾過
ブロック11による浄化処理で十分な場合は脱窒装置を省
くことも可能である。
【0037】水域の水循環についてもエアリフトポンプ
に限らず他のポンプを使用することができる。曝気手段
についてもエアストーンに限らず必要に応じて適宜の手
段を採用でき、場合によっては水の循環に伴う落下によ
る曝気で十分な場合もある。陸域の土盛りについて言え
ば、土盛りに植生を設けたほうがより自然環境に近くな
り好ましいが、乾燥陸域さえあればよいものの場合は土
盛りは必ずしも必要がなく、濾過ブロックの頂部をその
まま陸域として利用すればよい。
【0038】透明観察面について付け加えれば、観察面
は必ずしも前面一面だけでなく、側面を使用してもよ
く、また、飼育生物によっては、観察面以外の面を黒色
材にする必要もない。また、夜の環境を再現するために
透明な観察面を被覆できるようにしておくことが望まし
い。照明制御により昼夜環境を制御することも好まし
い。
【0039】最後に、本発明の濾過ブロックおよび実施
形態の濾過体を構成する、層をなす嵩高ウェブについて
いえば、上記実施形態の説明においては、株式会社ドナ
ックのDLW(ドナカーボ(登録商標)・ライトウー
ル)を説明した。このものは前述の通り、汎用ピッチ系
炭素繊維の短繊維を綿状繊維シート(原料ウェブ)に形成
したものを多数積層して層をなす嵩高ウェブとしてお
り、また内部には三次元網目状構造を形成しているの
で、処理水の層面に沿う透過性が良く、また、浸潤した
活性汚泥の保持性能も優れ、濾過ブロックとしての形態
維持性も優れている。
【0040】特に、DLWのうち、嵩密度5〜15Kg/m
3、荷重100gf/cm2での圧縮硬さ0.7〜0.9の嵩高ウェブは
好適に用いられ、これを、層に直交する方向に1/2〜1/3
に圧縮すれば、直接槽体内に充填、固定することがで
き、装置構造も簡易になる。また、嵩高ウェブが、炭素
繊維の短繊維からなり、この短繊維が、捲縮性を有し、
径10〜20μ、長さ0.1〜10cmであるものについては濾過
ブロックとしての性能を良く発揮できる。なお、圧縮硬
さは、前記特開平9-273059号公報記載の定義による。
【0041】しかしながら、本発明の濾過ブロックに用
いる嵩高ウェブは、このDLWに限らない。例えば、D
LWにあっても、ウェブの網目状構造は必ずしも三次元
である必要はなく、ウェブ層に平行な面における二次元
網目構造でも良い、この場合、層面に直交する方向の圧
縮弾性は、強度の捲縮性を有する繊維を用いるか、ある
いは層間に嵩高性を与える中間層を形成するなど、他の
手段で嵩高性を与えられねばならない。
【0042】また、構成繊維はピッチ系の短繊維に限ら
ず、長繊維で構成されるウェブでも良く、適度の嵩高性
(圧縮性、弾性反発力、微細空隙構造など)を有し、層を
なす構造で、通水性、透過性を発現する層構造を有する
ものであれば良い。従って、カーディングにより製造さ
れるウェブの他、いわゆる、スパンボンド方式により多
数の長繊維をランダムに折りたたんで形成するウェブシ
ート、その他の方法で製造される嵩高ウェブであって
も、十分な嵩高性があり、層内に網目状の空隙を有し、
多層構造であれば、層をなす嵩高ウェブとして濾過ブロ
ックに採用できる。さらに、網目状の構造は必ずしも網
の目様に均斉なものである必要はなく、ランダムな目構
造で空隙が形成されるものであれば良い。なお、嵩高ウ
ェブを構成する繊維は炭素繊維100%が好適であるが、
嵩高ウェブの製造の必要性、物性、機械特性の必要から
混合される若干の他の素材の存在は許容できる。ただ
し、生体に有毒、有害な副材料は許容できない。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、主として炭素繊維から
なり、層をなす網目状の嵩高ウェブを圧縮して形成した
濾過ブロックにより区画される少なくとも二つの水域
と、前記濾過ブロック上部の陸域と、を有し、前記濾過
ブロックを挟む一の水域から二の水域に水を還流して前
記濾過ブロックによる浸透濾過により水を浄化しつつ、
水陸性生物を飼育するので、コンパクト、簡易な構造
で、長期にわたって水環境を良好に維持できるので水陸
性生物のライフサイクルに亘る一連の生育環境すなわ
ち、水中環境、水辺湿潤環境、陸域湿潤土壌環境および
陸空域を備え、実質的に水の交換をすることなく、自
立、連続的に生物の飼育、養殖あるいは観察を実施でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の模式化した側面図であ
る。
【図2】図1のものの飼育本槽部の平面図である。
【符号の説明】
10 飼育本槽(飼育槽) 11 濾過ブロック 12、13 水域 14 陸域 14a 土盛り 15 エアリフトポンプ 16 エアストーン 20 飛翔槽 (飼育槽) 21 蛍光灯(照明灯) 30 脱窒装置 31 嫌気攪拌活性汚泥槽 32 濾過体

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主として炭素繊維からなり、層をなす網目
    状の嵩高ウェブを圧縮して形成した濾過ブロックにより
    区画される少なくとも二つの水域と、前記濾過ブロック
    上部の陸域と、を有し、前記濾過ブロックを挟む一の水
    域から他の水域に水を還流して前記濾過ブロックによる
    浸透濾過により水を浄化しつつ、水陸性生物を飼育する
    ことを特徴とする水陸性生物飼育槽。
  2. 【請求項2】前記濾過ブロックが、所定の厚さの単位嵩
    高ウェブを積層して圧縮し、槽壁の間に密着して挟持さ
    せたものである請求項1に記載の水陸性生物飼育槽。
  3. 【請求項3】前記濾過ブロックの濾過断面形状を底部に
    向かって広がる山型となした請求項1または2に記載の
    水陸性生物飼育槽。
  4. 【請求項4】前記濾過ブロック頂部に土盛りを設け陸域
    となした請求項1、2または3に記載の水陸性生物飼育
    槽。
  5. 【請求項5】前記水域に曝気手段を設けた請求項1、
    2、3または4に記載の水陸性生物飼育槽。
  6. 【請求項6】エアリフトポンプにより前記一の水域から
    二の水域に水を還流する請求項1、2、3、4または5
    に記載の水陸性生物飼育槽。
  7. 【請求項7】前記水域の水を脱窒装置に導き、脱窒浄化
    を施した後槽内に還流させる請求項1、2、3、4、5
    または6に記載の水陸性生物飼育槽。
  8. 【請求項8】前記水域と前記陸域を設けた飼育本槽と、
    該飼育本槽を被覆するように重ねた飛翔槽とからなり、
    該飛翔槽に照明灯および開閉自在の管理用の窓を設けた
    請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の水陸性
    生物飼育槽。
  9. 【請求項9】送風手段により空気を槽内に供給するとと
    もに、前記飼育本槽および/または飛翔槽に換気孔を設
    けた請求項8に記載の水陸性生物飼育槽。
  10. 【請求項10】前面の観察面を透明材で構成し、奥面、上
    下面および左右側面を黒色材で構成した請求項1、2、
    3、4、5、6、7、8または9に記載の水陸性生物飼
    育槽。
JP36870799A 1999-12-27 1999-12-27 水陸性生物飼育槽 Expired - Lifetime JP4065638B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36870799A JP4065638B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 水陸性生物飼育槽

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP36870799A JP4065638B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 水陸性生物飼育槽

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001178306A true JP2001178306A (ja) 2001-07-03
JP4065638B2 JP4065638B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=18492533

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP36870799A Expired - Lifetime JP4065638B2 (ja) 1999-12-27 1999-12-27 水陸性生物飼育槽

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4065638B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015019623A (ja) * 2013-07-19 2015-02-02 ジェックス株式会社 水槽
CN107372262A (zh) * 2017-09-13 2017-11-24 何亮 生态型自动清污式养殖网箱
JP2017209054A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 東武レジャー企画株式会社 ホタル飼育用装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015019623A (ja) * 2013-07-19 2015-02-02 ジェックス株式会社 水槽
JP2017209054A (ja) * 2016-05-25 2017-11-30 東武レジャー企画株式会社 ホタル飼育用装置
CN107372262A (zh) * 2017-09-13 2017-11-24 何亮 生态型自动清污式养殖网箱

Also Published As

Publication number Publication date
JP4065638B2 (ja) 2008-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4086161A (en) Ecological system and method
CN1105809C (zh) 用于水体生物养护的人造结构物
EP2324702B1 (en) Floating treatment streambed
CN101336621A (zh) 自动化循环水维生与养殖系统
US3835813A (en) Filtration and circulation system and apparatus therefore
EP0942645A1 (en) Method of raising fish by use of algal turf
US3929101A (en) Filtration and circulation system and apparatus therefore
US6387265B1 (en) Method and system for managing water system habitat environment
JP2015089348A (ja) アワビの養殖方法とその養殖システム
JP2000157101A (ja) 蛍の養殖装置
JP2001178306A (ja) 水陸性生物飼育槽
JP3902476B2 (ja) ホタルの累代飼育システム及び方法
CN217677008U (zh) 一种原位修复水生态系统的生物孵化净水平台
US3943659A (en) Filtration and circulation system and apparatus therefore
JP2005080649A (ja) ホタル等の周年飼育装置
US6171686B1 (en) Synthetic aquatic structure
DE69832959T2 (de) Kunststoffaquariumaufbau, überwachungsverfahren für eine wässrige umgebung, und aquarium
JP5410631B1 (ja) 水棲生物飼育システム、水棲生物飼育システムの立ち上げ方法及び水棲生物飼育ユニット
CN113349120A (zh) 一种循环水生态集约化养殖对虾的方法及其养殖系统
WO2014192330A1 (ja) 水の浄化システム、水の浄化方法、水の浄化システムの立ち上げ方法および水の浄化ユニット
KR101822738B1 (ko) 이종생물 사육을 통한 바이오플락 슬러지 조절 양식장치 및 방법
JP3610463B2 (ja) 水質浄化装置
KR200447660Y1 (ko) 무 환수 수족관
JP2005058013A (ja) 魚介類の養殖装置
JPH08126A (ja) 池等の藻類処理装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061120

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071207

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071218

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080107

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4065638

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110111

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120111

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130111

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130111

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140111

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term