JP2005080649A - ホタル等の周年飼育装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ホタルの全生活史を閉鎖空間の中で経過させるには、卵、幼虫、蛹、成虫の各成長段階でそれぞれが要求する異なった生活環境すべてを装置内に設定しなければならない。
【解決手段】 飼育装置内の水槽部1において幼虫を飼育し、水槽底部に敷かれた底砂7を浸透した飼育水を底面フィルター6を経て水中ポンプ8により上部水耕棚2に送り、棚からあふれた飼育水を背面板を伝って下部水耕棚3および水槽部に流下させる。水耕棚2、3には鉢植えあるいは直植えの水耕植物を置き、水質浄化領域及び成虫の休息場所として機能させる。水槽部1の内部に幼虫が上陸可能な壁面を持つ素材で作った上陸用容器18を置き、内部に土壌を充填して幼虫が上陸して蛹となる陸上部となし、上陸用容器の土壌面や水耕栽培用の鉢表面の礫に水苔を活着させ、成虫の産卵場所として機能せしめる。
【選択図】図2

Description

発明の詳細な説明
本発明は幼虫期を水中で生活する主にゲンジボタル、ヘイケボタル等の水棲昆虫の卵、幼虫、蛹、成虫を同一の装置内で飼育し、世代継承を可能とする飼育装置に関するものである。
ゲンジボタル及びヘイケボタルはともに淡水に棲息し、その間は淡水性の巻き貝等を捕食して脱皮を繰り返しながら成長し、ゲンジボタルでは7齢、ヘイケボタルでは5齢が最終齢となる。終齢に達した幼虫は陸に上がり水際の土中に土繭を作り前蛹を経て蛹に変態する。その後およそ50日を経過して蛹から羽化し成虫となる。成虫はおよそ7〜10日の期間、水辺の周辺を飛翔し、交尾を行い水辺の水苔等に産卵して一生を終える。
近年、小河川や圃場等の水辺環境の改修整備等により、ホタルの生息環境が失われつつある。本来の自然環境や生息生物の復元を目指して地域の有志や行政機関等によるホタルの人工増殖及び放流への取り組みもなされており、その目的に見合った提案がなされている。実公平7−l974号、特開平8−322428号、特開2000−157101号、特開2001−178306号等は容器内においてホタルの幼虫世代から成虫世代までの飼育を可能とすべく考案・発明されたものである。
実公平7−1974号は大型貯水容器の水面に小型容器を浮かせ、その内部に粘土による陸上部と幼虫の棲息する水室を設け、大型容器から水中ポンプにより飼育水と餌のカワニナを供給するものである。幼虫世代の生活空間である水中部と、幼虫が上陸して土繭を作る場である陸上部は提供されているものの、成虫の飛翔する空間と雌成虫が産卵する産卵床についての配慮がなく、装置内での世代交代がなされる可能性があるとは言い難い。また水中ポンプによる注水と同時に餌のカワニナを汲み上げる方法は、ポンプの回転ブレードにより小さなカワニナは損傷し、大きなカワニナはブレードそのものの回転を止める可能性を孕んでいるため、ポンプの故障もしくは循環水の不足による飼育水質の悪化が懸念される。
特開平8−322428号は実公平7−1974号と同様に河川水や湖沼水、水槽などの水面に浮力を備えた飼育装置を浮かせる方式で、装置下方部の前後及び側方に設けられた複数の通水孔によって飼育水の交換を可能としたものである。実公平7−1974号に不足していた産卵床が備わり、全ての条件が満たされているように見受けられるが、屋外における自然環境水面での付着藻類の増殖速度を考慮すると、1mmの目合いではごく短期間のうちに閉塞状態に至り、通水量の減少による水質悪化はまぬがれない。また1mm以上の目合いでは孵化直後のホタルの幼虫が容易に網目を通過するので、当該装置内で世代交代が完結するとは言い難い。
特開2000−157101号は陸上部分に炭素繊維のマットを用いたものである。炭素繊維の生物親和性を活用したことで、従来にない効率の良い飼育水の浄化が期待されるが、循環を司る水中ポンプに幼虫が吸い込まれる可能性を排除できない。
特開2001−178306号は特開2000−157101号の発明者が同発明をさらに洗練させたものである。水中ポンプによる循環をエアーリフトに替えることで、孵化直後の幼虫の水中ポンプへの吸い込みを防ぐ改良がなされている。当該発明においては炭素繊維を濾過素材として用いたことで、濾過機能が飛躍的に向上し、飼育水の交換が不要であるとしているが、水棲生物を飼育する飼育水についての認識が不足しているように思われる。
一般論として、生物を飼育している水中には生物の排泄物や餌の残渣から窒素分等が放出される。装置内に濾過機能を添えることができれば、窒素分は硝化細菌の働きによって最終的に硝酸塩となる。硝酸塩は安定物質であるため、好気的にはそれ以上の分解はできず、やがて飼育水に蓄積し、その量によっては飼育生物はもとより濾過細菌の生存をも脅かすことがある。硝酸塩を減少させる最も簡便な方法は、飼育水の一部を新鮮水に交換して、その濃度を下げることである。一方、嫌気エリアに棲息する通性嫌気性細菌の還元作用により硝酸塩を窒素ガスとして大気中に放散(脱窒)させることができれば、硝酸塩の濃度を下げることも可能である。いずれにせよ硝酸塩の減少のみを持って「水換え不要」とは言い難い。なぜなら飼育生物の代謝によって飼育水から消費され、減少する微量な必須成分もあり、水換えの持つ意味は「溜まったものを薄め」「不足するものを補う」ことにあるからである。
特開2000−157101号、特開2001−178306号では炭素繊維マットを濾過ブロックとして用い、陸上部の基盤としても活用している。炭素繊維が水中の浄化微生物の着床基盤として優れた素材であることに異論はないが、炭素繊維そのものが硝化や脱窒を行っているわけではなく、それらの主役はあくまでも炭素繊維に着床する微生物群であることを忘れてはならない。
硝化細菌は独立栄養による代謝機能を持っているので、炭素源は生物の呼気から放出される二酸化炭素(無機炭素)を、窒素分は生物の排泄物由来のアンモニアを無機構造のまま利用することができる。従って生物の飼育期間の経過とともに(炭素も窒素も供給され続けるため)必然的に増殖するものであるが、脱窒を司る通性嫌気性細菌は従属栄養によって生活する菌類であるため、飼育水のように比較的清浄な水中では彼らの食料となる炭素源(有機炭素)の不足により、脱窒に寄与するに足りる棲息量を維持することができない。従って、いかに優れた濾過素材である炭素繊維を用いたとしても、それだけで(水換え不要をうたえるほど脱窒された)良好な水質を維持することは不可能なのである。特開2001−178306号では脱窒装置を省くことも可能であるとしているが、脱窒装置の存在無しで、低レベルの硝酸塩濃度を実現することはあり得ない。
脱窒はその能力を持った細菌群が常時行っている作用ではなく、通常は好気環境で生活している従属栄養細菌群が、たまたま酸素の不足する環境におかれたときに生き残る術として行う非日常的な代謝の一つである。また全ての従属栄養細菌群がその能力を持っているわけではなく、限られた菌種のみに見られる特異な能力とも言える。さらには硝酸塩を窒素ガスにまで分解する異化還元を行う菌種もいれば、亜硝酸やアンモニアなどの毒性の高い窒素化合物に戻してしまう同化還元しかできない菌種もいる。つまり我々が期待する安全な脱窒が必ずしも実現する保証はどこにもなく、場合によっては飼育生物に重大な危機をもたらす結果になることもありうる。脱窒装置が安全な脱窒能力を獲得するには、異化還元の能力を持った菌種(同化還元を行う菌種に比べて環境適応能力が高い)が脱窒装置内で優占種として占拠するまでの時間と環境設定が必要であり、そのためには恒常的な有機炭素源の供給がなされなければならない。細菌群が利用可能な炭素源は分子構造の小さな水溶物として供給しなければならず、装置の外部、つまり飼育水全体にその濃度が及ぶことを防ぐ術はなく、炭素源を利用する他の病原菌等が急激に増殖する可能性も否定できない。炭素繊維が脱窒能を示しやすいのは汚水処理のような高濃度の炭素源の存在下の話であり、希薄な炭素源しか存在しない水棲生物の飼育水においては硝酸塩の蓄積量に匹敵する脱窒量を期待することには根本的に無理がある。特開2000−157101号、特開2001−178306号とも炭素源の人為的な供給については言及していないが、その条件が付与されなければ(窒素分の蓄積量の少ない)良質な飼育水を維持することはできない。
ホタルの成虫は夜間の一定の時間帯に盛んに飛翔し、互いに異性を求めて発光するが、それ以外の時間帯、特に日中は葉の裏などにとまり、活動をほとんど停止する。従来の提案のように装置内に植物を導入しない方式では、成虫が装置の一隅の隙間に群れ集まるような状況が多々見受けられるが、そのような状況は自然界では起こりえず、ホタルには大きなストレスとなっていることが想像される。成虫となったホタルは一切の摂餌をせず、草木の葉に宿る露のみを摂取しながら7〜10日間の寿命を終えるが、従来の提案では露の代わりに何を飲んでいるのかも気になるところである。露は大気中の水分が結露した、いわば蒸留水のように純粋なものであるが、成虫の飮料水への配慮のない装置においては、不純物を含んだ飼育水を飲まざるをえず、成虫の寿命に対する負の影響がないとは言えない。
発明が解決しようする課題
ホタルの全ての生活史を閉鎖空間の中で再現し、世代を継承させるには、
1)幼虫が9ヶ月近く生活する水中の安定した環境の保全
2)上陸に際して幼虫が登れる壁面の付加
3)幼虫が蛹になるために潜り込む陸上部分の造成
4)成虫の飛翔空間の確保
5)成虫が日中休息する基盤となり、かつ成虫の唯一の摂取物である露を宿す植裁の付 加
6)産卵場所となる水苔の栽培もしくはその代用物の付加
などが必須となる。これらの条件の成立には相応の広い空間が求められ、施設としての大規模なものならともかく、従来の小規模な装置内では制約が多く、実現が難しかった。
課題を解決するための手段
本発明では水耕栽培で生育する小さな鉢植えの植物(ハイドロカルチャー)を飼育装置の空間内に配置し、水槽部の循環水を装置背面の内側に沿って流下させて植物の根元を通過させることによって、飼育水に蓄積する幼虫世代の排泄物由来の肥料成分(窒素化合物やオルトリン酸)を植物の根から吸収させて浄化し、飼育水の清浄度を維持すると同時に、成虫のホタルの休息場所、露の供給基盤、産卵場所として水耕植物及びその周辺環境を活用する。また上陸用容器を水槽部に配置し、終齢幼虫の上陸のための壁面と蛹化に必要な陸上部となしたことにより、卵、幼虫、蛹、成虫の各成長段階で異なる生息環境に対する要求を全て満たすものとした。すなわち人工飼育下のホタルが求める環境条件を質・量ともに周年充足させることを可能とした。
以下本発明の実施形態を示す図面に基づいて詳細に説明する。「図1」は本発明装置の平面図、「図2」は正面図、「図3」は側面図である。装置の下方部分は周囲4面をアクリル樹脂板もしくは板ガラスで囲った水槽部1とし、一定の水位まで飼育水を入れ、ホタルの幼虫を飼育するエリアとする。装置の上方部分は前面を開放し、背面と両側面によって構成される空間の中に複数段の取り外し可能な箱状の水耕棚(上段水耕棚2、下段水耕棚3)を設け、好みの水耕植物4を配置し、飼育水を循環通過させることで水耕栽培を可能とし、植物の代謝による飼育水の浄化と、ホタルの成虫の飛翔空間に求められる自然界における植物の役割を装置内に再現する。
「図4」は底面フィルターと水中ポンプ収納ボックスの連結部を示す「図1」A−Bの断面拡大図である。孵化直後のホタルの幼虫は全長3mm、体を丸めると2mm以下の微細な大きさであるため、飼育水中に水中ポンプを設置する従来の方式では幼虫がポンプに吸い込まれ、回転ブレードによって殺傷されてしまう。そのような飼育生物の侵入を防ぐため、水中部分に周囲と隔絶された水中ポンプ収納ボックス5を設け、水槽底部の底面フィルター6と連結し、幼虫が通過することのできない底砂7を浸透した飼育水のみを超小型水中ポンプ8によって汲み上げる方式とした。水中ポンプは駆動部8aとフィルター部8bとからなり、分割することにより双方の清掃及び交換が可能である。底面フィルター6と水中ポンプ収納ボックス5は、メンテナンスの容易さを考慮してそれぞれ別個の構造とした。水中ポンプ収納ボックス5の下辺は4面とも幅広のU字型に切り落とし、底面フィルター6内部に浸透した飼育水が流れ込む吸水口9とした。水中ポンプ収納ボックス5内の超小型水中ポンプ8は飼育水を吸い上げ、ポンプ吐出口10にはめ込まれたエルボ11aを介して揚水パイプ12を経て装置最上段にある上段水耕棚2に飼育水を送り出す。水中ポンプ収納ボックス5とエルボ11aの接合部にはゴムパッキン13をはめ、僅かな隙間から孵化直後の幼虫がボックス内に吸い込まれるのを防ぐ構造とした。
上部水耕棚2の上部吐出部14には必要に応じてエルボ11bを介してシャワーパイプ15の接続が可能である。シャワーパイプ15は循環水の撹拌及び消音と吐出水量を制御させるために用いるが、幼虫の成長段階や植物の繁茂状況等により、適宜着脱が可能な構造とした。
上段水耕棚2と下段水耕棚3上に鉢植えの水耕植物4を配置することで、飼育水中の肥料となる飼育生物の代謝生産物を吸収させ、飼育水の浄化に寄与させる。また下段水耕棚3に置かれた水耕植物は、その葉に成虫がとまって休息する基盤となり、葉に結露する露は成虫の摂取する唯一の飲料となる。水耕棚には鉢植えの水耕植物4を並べる方法もあれば、棚の中に水耕栽培用の小粒の礫を敷き詰め、植物を直接根付かせてしまう方法も可能である。飼育水中の溶存酸素量の増加は飼育生物はもとより、水質浄化機能を担う好気性の硝化細菌や水耕植物にとっても活性を高める重要な要因となる。本装置ではポンプアップによるシャワーリング、さらに装置の背面板16を伝わり落ちる際の撹拌効果や、空気との接触面積の増加により、止水状態に比べて飛躍的に酸素の溶解が促される。根が吸収可能な溶存酸素量が増加することにより植物の代謝は高められ、肥料成分を吸収する活性も向上し、水質浄化力を高める相乗効果が得られる。
「図5」は水耕棚からの飼育水の流下状況を示す「図2」上C−Dの断面拡大図である。上下の水耕棚2,3はともに背面板16に接する部分の壁面の高さが前面部よりも低く作られているので、棚内に飼育水が溜まると必然的に背面側からあふれ落ち、接する背面板16の壁面を伝って下方に流れ落ちる。下段の水耕棚3では上方から伝わり落ちる飼育水を受け止めながら、自らの棚内部に溜まった飼育水を下方にあふれさせる事態が同一の縁辺で起きることになるが、縁辺の延長線上のいずれかにおいて、双方もしくはどちらかの事態が起きることになり、結果として下段水耕棚3の前面部より飼育水があふれることはない。飼育水が背面板16を伝わり落ちることは、空気との接触面積を広げて酸素の溶解を促すと同時に飼育水の落下音を極限まで抑える静穏効果をもたらす。
装置の上部前面に設けられた取り外し可能な蓋17は、羽化した成虫を装置の外部に逃がさないためのみでなく、装置内の湿度を保ち植物の葉に結露をもたらすことで、成虫に唯一の飲料である露を提供する。また冬期においては保温効果により、小さな温室としても機能する。装置の水中部に小型の電熱ヒーターを組み込み、水温を夏期のレベル(24〜25℃)に維持すれば、幼虫の成長は著しく早まり、世代交代を最短4ヶ月に短縮することも可能となる。
「図6」は上陸用容器となる植木鉢「図2」E−Fの断面拡大図である。素焼きの植木鉢、もしくは筒状または箱状の形状で外周を不織布等で包んだ容器(以下上陸用容器18と呼称する)の内部下方には発泡ガラス等の粒状多孔質材19、上方には土壌20を詰め上陸場所とする。上陸用容器18は飼育水に下方部分を漬け込み、毛細管現象により土壌内部を湿潤な状態に維持する。終齢に至った幼虫は水槽内壁を登ろうとするが、平滑なアクリルやガラス面に比べて微細な凹凸により足掛かりの良い上陸用容器18の外壁面を結果的に選択することになる。上陸用容器18を漬け込む水位を適切に管理すれば、内部の土壌中の湿度は蛹化に最適な状態を維持でき、外壁面を登り切った幼虫は土壌中に潜って土繭を作る。土繭の中の蛹は約50日前後で成虫に変態し羽化する。
上陸用容器18内の土壌上または水耕棚に配置された水耕用植木鉢の充填素材表面に水苔21を載せておけば、湿潤環境に適合して水苔21自体が活着成長することになる。装置内で交尾を終えたメスの成虫は産卵場所として水苔21の表面に卵を産み付ける。一般にホタルの人工産卵は湿らせたガーゼやスポンジ等を産卵床に用いることもあり、成虫が飛翔する空間内に水苔21に準じた湿潤な産卵基盤が存在すれば、特に選り好みはしない。外周に不織布を巻いた上陸用容器を用いれば、毛細管現象により湿潤状態となっている不織布表面に産卵する場合もある。産卵後約1ヶ月で卵は孵化するが、上陸用容器18の外周に産み付けられたものは孵化幼虫がそのまま水面に落下する。他の場所に産み付けられたものは自力で這いながら水辺に到達し、やがて水中生活に移行する。
発明の効果
本発明は装置内の水槽部分において幼虫期を水中で成長するホタル等の水棲昆虫類を飼育し、蛹化のための陸上部分とそこに至る壁面、成虫の飛翔空間と休息場所及び産卵基盤を同一の装置内に設けることで、世代の継承を可能ならしめる周年飼育装置である。水槽部分の水位を一定に保ち、ホタル等の水棲昆虫の餌となる餌料生物を同時に飼育すれば、それらを捕食したホタル等の幼虫は摂餌量に見合った成長を示し、やがて装置内で蛹を経て成虫となる。幼虫の成長段階が進むと摂餌量の増加によりしばしば飼育水質の悪化をきたすことがあるが、飼育水の循環系に水耕栽培による植裁を配置することで、飼育水中に蓄積する硝酸塩やオルトリン酸を肥料成分として吸収せしめ、水質浄化の役割を担わせると同時に、成虫飛翔時には日中の休息場所として機能させ、ホタルの成虫の唯一の摂取物である露の供給基盤とする。装置内には卵、幼虫、蛹、成虫の全ての成長段階が生育可能な空間と素材を包含しているので、装置内において世代の継承が可能となる。また装置の外周はホタルの飼育に関しては必ずしも透明でなくても良いが、ここでは全てアクリルまたはガラスの透明板により構成したので観察も容易であり、教育現場でも利用できる。ホタルのライフサイクルの中で、クライマックスとも言える成虫の飛翔期間は極めて短く、それ以前の幼虫、蛹の期間の長さを補う意味で、水耕植物を添えたことによる装置の装飾性の高さも無視できない。住宅事情等の理由で室内において植物を鑑賞する人々が増え、ハイドロカルチャーと呼ばれる水耕栽培による観葉植物が支持を得ているようであるが、本装置はそのような小規模の植裁を配置する植物棚としても十分な美観と機能を持っており、単なる水生生物の飼育装置の域を超えた多機能なインテリアとしても活用できるものである。
飼育装置の平面図である。 飼育装置の正面図である。 飼育装置の側面図である。 底面フィルターと水中ポンプ収納ボックスの連結部を示す「図1」A−Bの断面拡大図である。 水耕棚からの飼育水の流下状況を示す「図2」上C−Dの断面拡大図である。 上陸用容器となる植木鉢「図2」E−Fの断面拡大図である。 飼育装置の稼働時の状況を示す参考写真である。
符号の説明
1 水槽部
2 上段水耕棚
3 下段水耕棚
4 水耕植物
5 水中ポンプ収納ボックス
6 底面フィルター
7 底砂(濾材)
8 水中ポンプ
8a 水中ポンプの駆動部
8b 水中ポンプのフィルター部
9 吸水口(水中ポンプ収納ボックスの四方の下辺に切り抜いた開口部)
10 ポンプ部吐出口
11a エルボ
11b エルボ
12 揚水パイプ
13 ゴムパッキン
14 上部吐出部
15 シャワーパイプ(着脱可能)
16 背面板
17 蓋
18 上陸用容器(上陸が容易なように素焼きの植木鉢、もしくは不織布等で外面を包んだ筒状または箱状の容器)
19 発泡ガラス等の粒状多孔質材
20 土壌
21 水苔
22 電源コード引き出し窓(防水キャップ付き)
23 棚受け

Claims (3)

  1. 揚水ポンプ等によって生物濾過機能を具備せしめた循環(閉鎖)式飼育水槽において、ホタルの幼虫を飼育し、さらに蛹、成虫の各成長段階や繁殖に必須な産卵場所等の安定した環境を付加し、それらの環境を継続的に維持し、同装置内において世代の継承が単数回は勿論、複数回の長期にわたっても維持できることを特長としたホタルの周年飼育装置。
  2. 「請求項1」において、飼育水槽の背面及び左右の側面を高くし、前面は幼虫飼育水槽部を除き、自由に取り外しが可能な蓋で構成し、装置の背面内側に数段の棚を設けて、その棚において適当な陸生植物を当該飼育水を循環させることによって水耕栽培し、水槽底面等における生物濾過以外においても水質浄化機能を持たせ、陸生植物の葉部は成虫の棲息場として提供させる機能を持たせることを特長としたホタル等の周年飼育装置。
  3. 「請求項1、2」において、ホタルに限らず、魚類を含む水生生物、ホタルと同様に幼虫期のみが水棲の生物等々を対象として、陸生植物のみならずマングローブを形成する植物を含む水生植物等を付加して水質の浄化機能を持たせる等を特長とした水棲生物の飼育装置。
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