JP2005058013A - 魚介類の養殖装置 - Google Patents

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真也 中村
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佳市 中村
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Abstract

【課題】養殖水槽内の養殖水を該水槽外部に設けた前処理水槽を通じて循環させるに際して、養殖水が、所望の溶存酸素濃度に設定されると共に、前処理水槽から養殖水槽に安定して導き入れられることにより、魚介類の育成が好適に実現され得る新規な構造の魚介類の養殖装置を提供することにある。
【解決手段】前処理水槽62内に酸素を供給することで該前処理水槽62に導き入れられた養殖水に対して溶存酸素濃度を高める前処理を施すと共に、前処理水槽62と養殖水槽60の水位差を利用して、該前処理を施した養殖水を前処理水槽62から落水管94,110を通じて養殖水槽60に導き入れることにより、該養殖水槽60に収容された養殖水を前処理水槽62を通じて循環させるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、養殖水槽に収容される養殖水を循環させて再利用する魚介類の養殖装置に係り、特に、養殖水槽に対して酸素が有利に供給されることにより、魚介類を好適に育成することが出来る新規な構造の魚介類の養殖装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
従来から、陸上等に養殖水槽を設置して該水槽で魚介類を養殖するようにした養殖装置においては、例えば、大気やボンベ、ブロワ等の供給源に接続された供給管を水槽内に開口して、該供給源から供給管を通じて純粋な酸素ガス乃至はエアに含まれる酸素を水槽内の水に直接に吐出せしめることにより、水に酸素を溶解させることに伴い水の溶存酸素濃度を高めて、魚介類に酸素を供給するようにしている(例えば、特許文献1の図4〜6等参照。)。しかしながら、このような従来構造の養殖装置においては、供給管から水槽内に吐出される酸素の多数が気泡となって水面に浮上され易いことから、酸素が水槽の全体に亘って均一に供給され難いという問題があった。
【0003】
そこにおいて、上述の如き問題に鑑み、例えば特許文献1〜2には、ポンプ等を用いて水槽の水を循環させるに際して、水槽から取り出した水に酸素を溶解せしめて、該水を水槽に戻すことにより、養殖魚に酸素を供給するようにした酸素供給装置が提案されている。
【0004】
しかしながら、これら特許文献1〜2に示される酸素供給装置においては、水の循環に際して、単に水に酸素を溶解せしめるだけの構造とされていることから、水槽内の魚介類に対して必要な溶存酸素濃度を設定することが難しく、その結果、魚介類の育成が良好に実現され難いという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題に対処するために、例えば特許文献3には、水槽から処理タンクを独立して設けて、水槽内の水をポンプ等を用いて処理タンクに導き入れて、該処理タンク内で水に酸素を溶解させると共に、水槽の底部に配置した噴出管を流量調節弁を介して処理タンクに連結して、水槽内の溶存酸素濃度に応じて流量調節弁の開閉動作を制御しつつ、該タンク内で酸素を溶解した水を噴出管から水槽に吐出させることにより、水槽内の養殖魚に酸素を供給するようにした酸素供給装置が開示されている。
【0006】
ところが、特許文献3に係る酸素供給装置においては、水槽内の水の酸素溶解濃度に応じて流量調節弁の開閉動作が制御されることにより、構造が複雑になるという問題があった。しかも、かかる酸素溶解水が水槽底部に設置された噴出管を通じて水槽内に吐出されることにより、該水槽内の水の酸素溶解濃度に応じて噴出管からの酸素溶解水の吐出量が設定変更されることに基因して、噴出管付近の酸素溶解濃度が変動され易いことから、該噴出管付近に生息する養殖魚にストレスを与えるおそれがあった。
【0007】
因みに、上述の如き問題に鑑み、例えば特許文献4にも示されているように、処理タンク内で酸素溶解した水を水槽に戻す送水パイプを、処理タンクの底部から上方に向かって延びて大気中に開口する上昇管、該上昇管から水平方向へ分岐された水平管および該水平管の他端から下方へ延びて水槽内へ開口する降下管を含んで構成することにより、処理タンク内と水槽内の圧力差を利用して、処理タンク内の酸素溶解水が、上昇管内を上昇し、水平管と降下管を経て自重で水槽内に導かれるようにした酸素供給装置が考えられる。
【0008】
しかしながら、このような酸素供給装置にあっては、処理タンク内と水槽内の圧力差が水槽や処理タンクの設置場所や処理タンク内に供給する酸素圧力の設定変更等によって容易に変動されることから、結局、かかる圧力差を利用することに伴い酸素溶解水が水槽に安定して供給され難いという問題があったのである。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−154532号公報
【特許文献2】
特開2000−245295号公報
【特許文献3】
特開平5−228491号公報
【特許文献4】
特開平6−90639号公報
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、養殖水槽内の養殖水を該水槽外部に設けた前処理水槽を通じて循環させるに際して、養殖水が、所望の溶存酸素濃度に設定されると共に、前処理水槽から養殖水槽に安定して導き入れられることにより、魚介類の育成が好適に実現され得る新規な構造の魚介類の養殖装置を提供することにある。
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、(a)養殖水を収容せしめて魚介類を養殖する養殖水槽と、(b)該養殖水槽から独立して設けられた前処理水槽と、(c)該前処理水槽内に酸素を供給する酸素供給手段と、(d)前記養殖水槽の前記養殖水を前記前処理水槽に導いて、該前処理水槽の水位を該養殖水槽の水位よりも高くするポンプ手段と、(e)一方の開口部が該前処理水槽に開口すると共に、他方の開口部が前記養殖水槽に開口する落水管とを有し、前記前処理水槽内に酸素を供給することで該前処理水槽に導き入れられた前記養殖水に対して溶存酸素濃度を高める前処理を施すと共に、該前処理水槽と前記養殖水槽の水位差を利用して、該前処理を施した該養殖水を該前処理水槽から前記落水管を通じて該養殖水槽に導き入れることにより、該養殖水槽に収容された該養殖水を該前処理水槽を通じて循環させるようにした魚介類の養殖装置にある。
【0013】
このような本態様に従う構造とされた魚介類の養殖装置においては、養殖水槽から前処理水槽に導き入れられた養殖水が、前処理水槽で溶存酸素濃度を高めて前処理を施された後に、再び養殖水槽に戻される。従って、養殖水槽における魚介類の飼育等に要求される溶存酸素濃度に応じて、前処理水槽において養殖水の溶存酸素濃度が十分に調整された後に、該養殖水を養殖水槽に導き入れることが可能となる。
【0014】
そこにおいて、特に本態様では、前処理水槽の水位が養殖水槽の水位よりも高く設定されており、これら前処理水槽と養殖水槽の水位差を利用して、前処理を施した養殖水が落水管を通じて前処理水槽から養殖水槽に導かれることにより、養殖水が養殖水槽に対して簡単な構造をもって、且つ安定して流入される。蓋し、前処理水槽から養殖水槽に養殖水を導くに際して、前処理水槽と養殖水槽の水位差、換言すれば前処理水槽における養殖水の位置エネルギが養殖水槽における養殖水の位置エネルギよりも大きいことが利用されており、これら両槽における位置エネルギの差が、前処理水槽から養殖水槽に吐出される養殖水の圧力に関係するからである。即ち、前処理水槽と養殖水槽の水位差を適宜に設定することにより、前処理水槽から養殖水槽に導かれる養殖水の吐出圧が所望の値に設定されるのであり、養殖水の養殖水槽に対する流入が安定して実現され得る。
【0015】
それ故、本態様に係る魚介類の養殖装置においては、養殖水槽から前処理水槽に導き入れられた養殖水が、所望の溶存酸素濃度に設定されると共に、落水管を通じて養殖水槽に安定して導き入れられることにより、養殖水槽に対して酸素が均一に且つ効率的に供給されて、魚介類が良好に育成され得るのであり、これらの作用効果を簡単な構造をもって実現した点に、大きな特徴が存するのである。
【0016】
なお、養殖水槽の養殖水を前処理水槽に導き入れる手段としては、例えば各種のポンプ等が採用され得るが、好適には、養殖水槽の養殖水を前処理水槽に導いて、該前処理水槽の水位を養殖水槽の水位よりも高くするポンプ手段が利用される。また、前処理水槽において養殖水の溶存酸素濃度を高める前処理には、例えば、大気やボンベ、ブロワ等の供給源に接続された供給管を水槽内に開口して、該供給源から供給管を通じて純粋な酸素ガス乃至はエアに含まれる酸素を水槽内の水に直接に吐出せしめることにより、酸素を水に溶解させることに伴い水の溶存酸素濃度を高める公知の酸素供給装置や、或いは水に溶解して酸素を発生する公知の酸素発生剤等が適宜に採用される。また、養殖水槽や前処理水槽には、特に限定されるものでないが、例えば溶存酸素濃度検出器やpH測定器等が設けられることが望ましい。それによって、養殖水槽に導かれることにより希釈される溶存酸素濃度を含めて、養殖水槽に入れる養殖水の溶存酸素濃度が、前処理水槽で精密に設定される。
【0017】
また、本態様において採用される魚介類には、ヒラメ等を含む底着性魚やその他各種の魚を含む魚類の他に、車エビ等の甲殻類、牡蠣等の貝類など、特に養殖産業に適する各種の水中生物が好適に採用され得るものであり、海水魚介および淡水魚介の何れもが含まれる。また、本態様の養殖水には、養殖する魚介類の種類に応じて、海水や淡水、その他の各種養殖用水等が適宜に採用される。
【0018】
さらに、本態様において、落水管より吐出する養殖水は、単に養殖水槽と前処理水槽を循環させるだけでも良いが、望ましくは、養殖水槽と前処理水槽の間に濾過装置や殺菌装置等を設けて、濾過や殺菌処理等が施されつつ循環される。なお、殺菌装置や濾過装置、泡沫分離機、水温調節器、その他の各種装置を本態様の養殖装置に設けるか否かは、当業者が適宜に設定変更し得る事項の一つであり、何等限定されるものでない。また、落水管の形状や大きさ、数等は、何等限定されるものでなく、例えば養殖水槽や前処理水槽の形状や大きさ、要求される養殖水の吐出圧等に応じて適宜に設定変更される。
【0019】
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る魚介類の養殖装置にあって、前記落水管における前記一方の開口部が前記前処理水槽に所定高さで突出して上方に開口すると共に、前記他方の開口部が該一方の開口部よりも下方に位置して前記養殖水槽に開口する一方、前記落水管を高さ方向で着脱可能な継管構造として、該落水管の開口部の高さを変更設定できるようにしたことにある。
【0020】
このような本態様においては、落水管の上方開口部の高さ位置に前処理水槽の水位が設定されることとなり、水位を安定して高精度に調節することが出来る。更に、本態様では、開口部の高さ寸法の異なる落水管を多数用意して、要求される前処理水槽の水位に応じて適当な落水管が選択して取り付け,交換されることにより、養殖水の養殖水槽に対する吐出圧が容易に変更設定され、以て、吐出圧の調整の更なる簡便化が図られ得る。
【0021】
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る魚介類の養殖装置において、前記養殖水槽から排出された前記養殖水を濾過処理した後に前記前処理水槽に導き入れるようにしたことにある。
【0022】
このような本態様においては、養殖水の再利用性が向上され得る。なお、本態様における養殖水に濾過処理を施す手段としては、例えば貝殻や炭、珊瑚等の細片物に、必要に応じて、水中の有害な有機物を分解せしめる微生物を付着せしめた濾過材等を備えた濾過装置の他、公知の各種濾過装置等が適宜に採用され得る。
【0023】
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至3の何れかに係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽において、その下底よりも所定高さ上方に多孔の中間底を設けて二重底構造とし、該中間底で砂等を支持せしめて濾過分解層を形成することにより該中間底よりも上方に前記魚介類の養殖領域が形成され得るようにする一方、該中間底と該下底の間の底内領域に吐出管を配設して該底内領域に開口させ、前記落水管を通じて導かれた前記養殖水を該吐出管を通じて該底内領域に吐出させて、前記濾過分解層を通じて前記養殖領域に至る水流を生ぜしめるようにしたことにある。
【0024】
このような本態様においては、落水管を通じて吐出管の開口部分から吐出される養殖水が底内領域に拡げられた後に、上方の中間底に形成された濾過分解層に導かれる。従って、養殖水の吐出圧が中間底に対して局所的に及ぼされることに基因して濾過分解層の砂等が噴出状に巻き上げられること等が回避されることとなり、濾過分解層の形状や厚さ等が安定して保持される。それ故、落水管を通じて吐出管から吐出された養殖水が濾過分解層に対して略均一に透過せしめられて養殖領域に導かれることとなり、養殖水の浄化処理能力と養殖領域に対する酸素供給形態が両立して高度に達成され得る。
【0025】
また、本態様においては、養殖領域に在る魚介類の残餌や排泄物等が、中間底に形成された濾過分解層に堆積されたり、埋没されたりすること等もあるが、上述の如き底内領域から濾過分解層を通じて養殖領域に至る養殖水の水流を利用して、濾過分解層に堆積乃至は埋没される残餌や排泄物等と共に養殖水槽の水面に向かって高率的に浮上される。蓋し、底内領域の養殖水が、濾過分解層から養殖領域に対して略均一に吐出されるからである。それ故、養殖領域における残餌や排泄物等の残留に基因する水質悪化が有利に回避され得ると共に、魚介類の残餌や排泄物等の回収作業が容易に実現され得る。
【0026】
なお、本態様において、吐出管や吐出管の開口部分における形状や大きさ、数等は、何等限定されるものでなく、例えば養殖水槽の形状や大きさ、要求される浄化処理能力等に応じて適宜に設定変更される。
【0027】
また、本態様における濾過分解層としては、例えば、炭や貝殻類、珊瑚、ゼオライト、セラミック等の粉末状乃至は粒状物を単一乃至は複合したものが採用され、好適には、前述の粉末状乃至は粒状物に対して、デンプン分解細菌、セルロース分解細菌、タンパク分解細菌、尿素分解細菌、脱アミノ細菌(ペプトン→NH )、アンモニア酸化細菌(NH →NO )、亜硝酸酸化細菌(NO →NO )、硝酸還元細菌(NO →NO )、脱窒細菌(NO →N)等のバクテリアの一種類乃至は複数種類を付着せしめたもの等が採用される。以て、該バクテリアの生命活動に伴い養殖水中の汚染物質が分解されることとなり、養殖水の浄化作用が一層有利に発揮され得る。
【0028】
また、上述のように、バクテリアを含んで濾過分解層を構成するに際して、特に好気性バクテリアが採用される場合には、バクテリアに対する酸素の供給が必要となる。そこにおいて、本態様では、前処理水槽において予め溶存酸素濃度が高められた養殖水が、底内領域で拡げられた後に濾過分解層に導かれることにより、濾過分解層に略均一に透過されることから、濾過分解層におけるバクテリアの略全体に亘って酸素が良好に供給されることとなり、水浄化の更なる向上が図られ得る。
【0029】
(本発明の態様5)
本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の前記態様4に係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽の前記底内領域において、前記吐出管の開口部分を下方に向けることにより、前記養殖水を該吐出管を通じて該底内領域で該下底に向けて吐出させるようにしたことにある。
【0030】
このような本態様においては、吐出管の開口部分から吐出される養殖水が下底に向かって吐出されることにより、底内領域で広範囲に拡げられた後に、上方の中間底に形成された濾過分解層に導かれる。それ故、吐出管から吐出された養殖水が濾過分解層に対して広範囲に亘って略均一に透過せしめられることとなり、養殖水の浄化処理能力等がより有利に発揮され得るのである。それに加えて、本態様では、本発明の前記態様4に係る底内領域から濾過分解層を介して養殖領域に至る水流もより有効に生ぜしめられることとなり、養殖領域のゴミ回収作業が一層有利に実現され得る。
【0031】
なお、本態様では、養殖水と共にエア気泡を吐出させることも可能である。そこにおいて、本態様では、エアを養殖水と分離させて底内領域に吐出させる場合にあっても、吐出管の開口部分が下方に向けられていることにより、エアが底内領域で広範囲に広がることから、エアが中間底に対して局所的に及ぼされることに伴いエア溜まり等が中間底の下方に発生することが回避されて、該エア溜まりの破裂等に基因して濾過分解層の砂等が巻き上げられることが回避され得る。
【0032】
(本発明の態様6)
本発明の態様6の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至5の何れかに係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において、収容された前記養殖水の水面近くに開口してエアを略水平方向に吐出するエア吐出口を設ける一方、該養殖水槽において該エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部近くに排水口を設けて、該エア吐出口から吐出されるエアによって該養殖水の水面近くで該エア吐出口が設けられた周壁部から該排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が生ぜしめられるようにしたことにある。
【0033】
このような本態様においては、水面近くに浮上せしめられた残餌や排泄物等のゴミが、養殖水槽の水面近くでエア吐出口が設けられた周壁部から排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流に乗せて、かかる排水口が設けられた側の周壁部に集められることとなる。これにより、例えばゴミを当該周壁部から直接に掬い取ったり、或いは養殖水を排水口を通じて排出する際に、排水口から養殖水と共にゴミを排出せしめたりすることが可能となるのであり、ゴミの回収作業が一層容易に実現され得る。
【0034】
(本発明の態様7)
本発明の態様7の特徴とするところは、本発明の前記態様6に係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽において、前記エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部に沿った周縁領域にスロープ状の傾斜底を設けると共に、該傾斜底の形成領域を前記濾過分解層が形成された前記中間底から区画する仕切壁を設け、更に該傾斜底のスロープの下傾方向側端部近くに前記排水口を設けたことにある。
【0035】
このような本態様においては、養殖水を排水口を通じて排出する際に、本発明の前記態様6に係る水面近くで発生する水流に乗せて排水口が設けられた側の周壁部に集められた残餌や排泄物等のゴミが、養殖水における傾斜底の上傾方向側端部から下傾方向側端部に向かう水流に乗せて、傾斜底の下傾方向側端部付近に集約される。これにより、ゴミがより一層効率的に回収され得る。また、ゴミや排出口の大きさや傾斜底の勾配の程度によっては、養殖水と共にゴミを排出口から排出させることも可能であり、以て、ゴミ回収の更なる簡便化が図られ得る。なお、仕切壁の高さ等は、特に限定されるものでないが、濾過分解層の上面よりも高く、且つ養殖領域で魚介類を養殖する際の水面よりも低いことが望ましい。それによって、濾過分解層を構成する砂等が仕切壁で有利に支持されると共に、ゴミが水流に乗って傾斜底側へ送られる際に仕切壁につかえることが軽減される。
【0036】
(本発明の態様8)
本発明の態様8の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至7の何れかに係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において直接吐出口を設ける一方、該直接吐出口が開口せしめられた周壁部の外周面に覆設板を固設して、該直接吐出口を該周壁部の外方から覆蓋せしめると共に、該覆設板と該周壁部の間に流水通路を形成し、更に該流水通路を挟んで該覆設板における該直接吐出口と対向位置せしめられた部位から外れた位置に間接吐出口を設けて、前記前処理水槽から前記落水管に導き入れられた前記養殖水を、該前処理水槽と該養殖水槽の水位差を利用して該間接吐出口から該流水通路および該直接吐出口を通じて該養殖水槽に吐出させるようにしたことにある。
【0037】
このような本態様においては、養殖水が落水管から間接吐出口、流水通路および直接吐出口を介して養殖水槽に導き入れられることにより、養殖水の流れる方向や吐出圧等が適宜に調整されて、養殖水槽に対する養殖水の流入形態の更なる多様化が図られ得る。
【0038】
また、本態様では、特に限定されるものでないが、養殖領域の周壁部の内周面に開口する直接吐出口が、流水通路の延びる方向に沿って複数設けられることが望ましい。これにより、落水管から流水通路に導かれる養殖水が、複数の直接吐出口から養殖領域に吐出されることとなり、該養殖領域に対して効率的に吐出され得る。
【0039】
(本発明の態様9)
本発明の態様9の特徴とするところは、本発明の前記態様1乃至8の何れかに係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において、収容された前記養殖水の水面近くに開口して前記直接吐出口を設ける一方、前記流水通路にエア吐出手段を設けて、エアを前記養殖水と併せて該流水通路から該直接吐出口を通じて前記養殖領域に吐出させることによって、該養殖水の水面近くで該直接吐出口が設けられた側の周壁部から前記排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が生ぜしめられるようにしたことにある。
【0040】
このような本態様においては、養殖水が直接吐出口を通じてエアの吐出と併せて養殖領域に吐出されることにより、養殖水の水面近くで直接吐出口が設けられた側の周壁部から排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が積極的に生ぜしめられる。以て、水面近くを漂うゴミが排水口が設けられた周壁部付近に集められることとなり、ゴミの除去作業が一層有利に実現され得る。即ち、本態様では、直接吐出口が、単に養殖水を養殖領域に吐出せしめるだけでなく、本発明の前記態様6等に係るエア吐出口としても機能されることから、装置全体のコンパクト化や構造の簡便化が図られ得る。また、本態様では、流水通路内の養殖水の溶存酸素濃度をエア吐出手段によって高めることも可能である。
【0041】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0042】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての養殖装置10が示されている。この養殖装置10は、水槽本体12を含んで構成されており、例えば車エビやヒラメ、ウナギ、その他各種の養殖に適した魚介類を含む水中生物を養殖する機能を備えている。なお、以下の説明において、原則として、上下方向は、図1中の上下方向をいう。
【0043】
より詳細には、水槽本体12は、FRP(強化繊維プラスチック)等で形成されていると共に、底壁板14、一対の第一の側壁板16,16および一対の第二の側壁板18,18を含んで構成されている。底壁板14は、長手状の略矩形平板形状を呈している。また、底壁板14の長手方向両端部には、略矩形平板形状を有する第一の側壁板16が略鉛直方向(図1中、上下)に延びるように一体的に設けられていると共に、底壁板14の幅方向両端部には、長手状の略矩形平板形状を有する第二の側壁板18が略鉛直方向に延びるように一体的に設けられている。また、第一の側壁板16の幅方向両端部と第二の側壁板18の幅方向両端部は、それぞれ、隣り合う側壁板の幅方向端部と一体的に結合されていると共に、第一の側壁板16の上端部と第二の側壁板18の上端部は、略同じ高さに位置せしめられている。これにより、水槽本体12は、上方に開口する長手状の略矩形箱体形状を呈している。なお、本実施形態の水槽本体12においては、底壁板14や第一及び第二の側壁板16,18が一体形成されることにより構成されているが、底壁板14や第一及び第二の側壁板16,18が別体形成されてボルトや接着剤等で固着されることにより構成されても良い。また、底壁板14の下端部分には、底壁板14の幅方向に略一定の矩形断面で延びる脚材20が、長手方向に離隔して多数設けられている。本実施形態では、水槽本体12が、陸上の適宜の箇所に脚材20を介して設置されるようになっており、当該設置場所や養殖魚の大きさ、その他の各種条件乃至は状況に応じて、水槽本体12や脚材20における形状や大きさ等が適宜に設定変更される。また、水槽本体12は、FRP等の比較的に軽量な硬質材で形成されていると共に、必要に応じて分割構造とされることにより、製作場から設置現場まで搬送し、設置現場で組み立てることが出来るようになっている。
【0044】
また、水槽本体12の中央部分には、長手方向(図2中、左右)に離隔して一対の内側竪壁22,22が対向位置せしめられている。内側竪壁22は、略矩形平板形状を呈しており、下端部および幅方向両端部が水槽本体12の底壁板14および一対の第二の側壁板18,18に密着状に固着されることにより、水槽本体12に密接して固定されている。また、内側竪壁22の上端部付近には、開口窓24が設けられている。開口窓24には、必要に応じて金網等が張設されている。また、内側竪壁22の上端部は、水槽本体12の開口端部と略同一の高さに位置せしめられている。
【0045】
また、水槽本体12における長手方向の両端部付近には、それぞれ、外側竪壁26が設けられている。外側竪壁26は、略矩形平板形状を有しており、水槽本体12の長手方向両端部に位置する第一の側壁板16と長手方向で離隔して対向位置せしめられている。また、外側竪壁26は、その下端部および幅方向両端部が水槽本体12の底壁板14および一対の第二の側壁板18,18に密着状に固着されることにより、水槽本体12に密接して固定されている。また、外側竪壁26の上端部は、内側竪壁22と同様に、水槽本体12の開口端部と略同一の高さに位置せしめられている。
【0046】
さらに、第一の側壁板16と外側竪壁26の対向面間には、第一隔壁28、第二隔壁30および第三隔壁32が、第二の側壁板18等と平行に延びるようにして立設されている。これら第一乃至第三隔壁28,30,32は、略矩形平板形状を呈しており、底壁板14の幅方向(図2中、上下)に離隔して、それぞれ位置決め配置されていると共に、底壁板14や第一の側壁板16、外側竪壁26に密着状に固着されている。これにより、第一の側壁板16と外側竪壁26の対向面間には、4つの空間が独立して設けられている。
【0047】
而して、底壁板14、第一及び第二の側壁板16,18、外側竪壁26および第一隔壁28で区画された空間には、泡沫分離槽34が設けられている。泡沫分離槽34には、外部から上方開口部を通じて槽内部に開口する外部供給管路36が必要に応じて配設されていると共に、所定の高さ位置に図示しないバッグフィルタおよび回転羽根やジェットシャワ、エアやオゾン噴出器等の泡沫発生手段を備えた泡沫分離器38が配設されている。また、泡沫分離槽34には、後述する排水用管路40が導かれて、排水が注ぎ込まれるようになっている。更にまた、泡沫分離槽34には、後述するエア供給管路44が導かれて、排水中に開口するようになっている。このような泡沫分離槽34においては、排水用管路40を通じて排水が流入されると共に、必要に応じて、外部供給管路36から養殖水等が注ぎ込まれることにより、排水の水面が泡沫分離器38に接する位置に保持されるようになっている。そして、泡沫分離槽34内の排水にエア供給管路44を通じて曝気処理を施して水面に泡沫を生ぜしめると共に、必要に応じて、泡沫分離器38の泡沫発生手段によって水面に泡沫を発生することにより、水面を漂う排水中の汚染物質が泡沫に付着されて、該泡沫が泡沫分離器38のバッグフィルタに拾集されるようになっている。
【0048】
また、第一隔壁28を隔てて泡沫分離槽34の隣りに位置する、底壁板14、第一の側壁板16、外側竪壁26および第一及び第二隔壁28,30で区画された空間には、曝気槽42が設けられている。かかる曝気槽42には、排水が貯められるようになっていると共に、前述の泡沫分離槽34に導かれるエア供給管路44aと分岐して延びるエア供給管路44bが導かれて、排水中に開口するようになっている。これにより、曝気槽42内の排水が、エア供給管路44を通じて曝気されるようになっている。また、泡沫分離槽34と曝気槽42は、図4にも拡大して示されているように、第一隔壁28の下端部に貫設された連通口46を通じて相互に連通されている
【0049】
更にまた、第二隔壁30を隔てて曝気槽42の隣りに位置する、底壁板14、第一の側壁板16、外側竪壁26および第二及び第三隔壁30,32で区画された空間には、第一の濾過槽48が設けられていると共に、第三隔壁32を隔てて第一の濾過槽48の隣りに位置する、底壁板14、第一及び第二の側壁板16,18、外側竪壁26および第三隔壁32で区画された空間には、第二の濾過槽50が設けられている。これら第一及び第二の濾過槽48,50は、第三隔壁32の下端部に貫設された連通口52を通じて相互に連通されていると共に、濾過材54を備えている。濾過材54は、貝殻や活性炭、珊瑚等を用いて形成されており、透水性を有していると共に、第三隔壁32の連通口52を通じて両濾過層48,50の底壁板14に敷設されている。また、濾過材54には、好適には、排水中の汚染物質の分解機能を有する好気性細菌等のバクテリアを含む微生物が付着されている。
【0050】
また、曝気槽42と第一の濾過槽48は、第二隔壁30の上端部付近に貫設された連通口56によって、相互に連通されている。これにより、排水用管路40から排出される排水が、泡沫分離槽34に流入されて、泡沫分離器38によって主に水面を浮遊する汚染物質等が除去されると共に、第一隔壁28の連通口46を通じて曝気槽42に導き入れられる。なお、本実施形態では、排水が泡沫分離槽34に流入されると共に、第一隔壁28の連通口46を通じて曝気槽42に導き入れられることにより、泡沫分離槽34における排水の水位が、水面が泡沫分離器38に接する高さに保持され難くなることもあり得るが、泡沫分離槽34に設けられた外部供給管路36を通じて養殖水等を流し込むことにより、排水の水位が目的とする位置に設定される。要するに、泡沫分離槽34における排水の水位は、排水等の流入量や第一隔壁28の連通口46の大きさ等によって容易に調整され得る。
【0051】
さらに、曝気槽42における泡沫分離槽34から流入された排水は、エア供給管路44により曝気処理されると共に、第二隔壁30の連通口56を通じてオーバーフロー乃至はエアリフト作用により第一の濾過槽48に導き入れられる。更にまた、第一の濾過槽48における排水は、濾過材54を介して濾過されると共に、第三隔壁32の連通口52を通じて第二の濾過槽50に導き入れられて、そこで更に濾過材54を透過して濾過されるようになっている。特に本実施形態では、曝気槽42における曝気処理に伴い溶存酸素濃度が高められた排水が、好気性バクテリアを付着した濾過材54を透過せしめられることにより、好気性バクテリアの活発化に伴う汚染物質の分解作用によって浄化されることとなる。
【0052】
また、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における一対の第二の側壁板18,18の対向面間には、仕切板58が配設されている。かかる仕切板58は、略矩形平板形状を有しており、その幅方向両端部が内側竪壁22と外側竪壁26に、下端部が底壁板14に、それぞれ密着状に固着されることにより、第二の側壁板18と平行に延びるようにして水槽本体12に固定されている。また、仕切板58は、第二の濾過槽50の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側に偏倚して位置決め配置されている。これにより、本実施形態では、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における一対の第二の側壁板18,18の対向面間が、仕切板58によって二分されている。以て、底壁板14や内外側竪壁22,26、第二の側壁板18、仕切板58で区画された空間において、仕切板58を挟んで、泡沫分離槽34の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、養殖水槽60が形成されていると共に、第二の濾過槽50の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、前処理水槽62が形成されている。なお、仕切板58の上端部は、水槽本体12の開口端部と略同じ高さに設定されている。
【0053】
そこにおいて、特に本実施形態の養殖装置10においては、水槽本体12に各一対の内側竪壁22、外側竪壁26、第一乃至第三隔壁28,30,32、仕切板58が設けられていることにより、泡沫分離槽34や曝気槽42、第一及び第二の濾過槽48,50、養殖水槽60、前処理水槽62が各一対ずつ設けられている。
【0054】
また、養殖水槽60には、仕切壁64が配設されている。かかる仕切壁64は、略長手状の矩形平板形状を呈しており、その下端部が底壁板14に固着されると共に、幅方向両端部が内側竪壁22と外側竪壁26に、それぞれ固着されることにより、仕切板58等と平行に延びるようにして養殖水槽60に固設されている。特に本実施形態では、図5〜6にも拡大して示されているように、仕切壁64が、養殖水槽60において仕切板58と対向位置せしめられる第二の側壁板18付近に設けられていると共に、仕切壁64の高さ寸法が、仕切板58や第二の側壁板18の高さ寸法、換言すれば養殖水槽60の深さ寸法の略1/2に設定されている。これにより、養殖水槽60の深さ方向(図5中、上下)中間部分より下方が、仕切壁64によって二分されている。
【0055】
また、養殖水槽60にあって、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における仕切板58と仕切壁64の対向面間には、水平方向(図5中、左右)に拡がるようにして中間底壁66が配設されている。中間底壁66は、略矩形平板形状を呈する簀の子68に金網70が全体に亘って載置された構造とされており、多孔質構造を有している。そして、中間底壁66は、内外側竪壁22,26の対向面間における仕切板58と仕切壁64の対向面間の深さ方向中間部分に位置せしめられると共に、該中間底壁66の幅方向両端部や長手方向両端部等が、仕切板58や仕切壁64、内外側竪壁22,26等に支持されることにより、養殖水槽60に収容配置されている。これにより、本実施形態では、中間底壁66が底壁板14よりも鉛直方向上方(図5中、上)に位置して底壁板14と対向位置せしめられており、以て、養殖水槽60が二重底構造とされていると共に、中間底壁66、底壁板14、内外側竪壁22,26、仕切板58および仕切壁64で区画された空間には、底内領域72が形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、養殖水槽60の下底が底壁板14を含んで構成されていると共に、養殖水槽60の中間底が中間底壁66を含んで構成されている。
【0056】
また、中間底壁66には、粉末状乃至は粒状のゼオライト(所謂、イズカライト)の多数が敷き詰められている。更に、ゼオライトには、デンプン分解細菌、セルロース分解細菌、タンパク分解細菌、尿素分解細菌、脱アミノ細菌(ペプトン→NH )、アンモニア酸化細菌(NH →NO )、亜硝酸酸化細菌(NO →NO )、硝酸還元細菌(NO →NO )、脱窒細菌(NO →N)等のバクテリアの一種類乃至は複数種類が付着されている。本実施形態では、これらのゼオライトとバクテリアを含んで濾過分解層74が構成されている。また、濾過分解層74は、中間底壁66の全体に亘って略一定の厚さ寸法をもって敷設されていると共に、その上端面が仕切壁64の上端部よりも僅かに下方に位置せしめられている。
【0057】
これにより、養殖水槽60における中間底壁66を挟んで底内領域72と反対側には、濾過分解層74を備えた魚介類の養殖領域76が形成されている。そこにおいて、本実施形態では、養殖する魚介類として、例えば車エビやヒラメ、蛤等の水中砂地生息生物が採用される場合に、かかる濾過分解層74を水中砂地生息生物の生息領域として利用することが可能である。
【0058】
また、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における仕切壁64と第二の側壁板18の対向面間には、傾斜部材78が設けられている。傾斜部材78は、長手状のブロック状を呈しており、幅方向両端部が仕切壁64と第二の側壁板18に、それぞれ当接されている一方、長手方向一方の端部が外側竪壁26に当接されていると共に、長手方向他方の端部が内側竪壁22と所定距離だけ離隔して対向位置せしめられた形態で、養殖水槽60に固定的に収容配置されている。また、傾斜部材78の高さ寸法が、外側竪壁26から内側竪壁22に向かって次第に小さくされている。これにより、傾斜部材78の上端面には、スロープ状の傾斜底としての傾斜面80が設けられている。
【0059】
さらに、傾斜部材78の下傾方向端部となる長手方向他方の端部と離隔して対向位置せしめられた内側竪壁22には、略円孔形状の排水口82が貫設されている。更にまた、この排水口82に対して排水管84が着脱可能に取り付けられている。排水管84は、二本のストレート管をエルボで着脱可能に接続せしめた屈曲管状を呈している。そして、排水管84の一方の開口部が、排水口に82に着脱可能に取り付けられていると共に、他方の開口部が傾斜部材78の下傾方向端部から鉛直方向上方に延びて、養殖水槽60の仕切壁64よりも高い位置で開口している。これにより、本実施形態では、養殖水槽60に養殖水が入れられると、養殖水の水位が排水管84の上方開口部の高さ位置に設定されると共に、排水管84を通じて内側竪壁22の排水口82から養殖水として利用済みの排水が排出されるようになっている。従って、養殖水が養殖水槽60に常時注ぎ込まれることにより、養殖水の水位が排水管84の上方開口部の高さ位置に保持されると共に、排水が排水口82から連続的に排出されることとなり、養殖領域76および底内領域72には、養殖水が充填されるようになっている。なお、養殖水は、養殖する魚介類の生息環境に応じて適宜に設定されるものであり、本実施形態では、例えば養殖する魚介類として車エビ等が採用されることにより、天然または人工海水とされている。
【0060】
また、養殖水槽60において、傾斜部材78に近設された第二の側壁板18と対向位置せしめられた仕切板58には、直接吐出口としての吐出窓86の複数(本実施形態では、各仕切板58に4つ)が貫設されている。これら吐出窓86は、仕切板58の幅方向(図3中、左右)に長手状に延びる長孔形状を呈しており、該幅方向に、それぞれ所定の離隔距離をもって位置決め配置されている。また、吐出窓86の養殖水槽60に対する開口位置が、養殖水槽60の水面近くに、より具体的には水面よりも僅かに下方に、且つ濾過分解層74の上端面よりも上方に設定されている。なお、吐出窓86には、金網等の網状部材が張設されている。
【0061】
さらに、このような養殖水槽60と仕切板58を隔てて隣接される前処理水槽62には、その壁部の一部を構成する外側竪壁26において、連通口88が貫設されている。換言すれば、連通口88は、第二の濾過槽50の壁部の一部を構成する外側竪壁26の上端部付近に貫設されている。これにより、上述の如く、泡沫分離槽34から曝気槽42、第一の濾過槽48および第二の濾過槽50を通じて浄化せしめられた水が、第二の濾過槽50における連通口88を通じてのオーバーフローにより前処理水槽62に注ぎ込まれるようになっている。
【0062】
また、前処理水槽62には、覆設板90が取り付けられている。かかる覆設板90は、仕切板58の幅方向に沿って略一定の屈曲乃至は湾曲状断面で延び、その幅方向両端部が内側竪壁22と外側竪壁26に、それぞれ固着されている。また、覆設板90の上端部が、仕切板58における複数の吐出窓86よりも上方の周壁部に固着されていると共に、覆設板90の下端部が、仕切板58から前処理水槽62の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側に向かって僅かに離隔位置せしめられた底壁板14の上端部に固着されている。これにより、本実施形態では、複数の吐出窓86が、覆設板90によって覆われて前処理水槽62と仕切られていると共に、覆設板90と仕切板58の間には、両板58,90の幅方向(図3中、左右)に沿って延びる流水通路92が形成されている。
【0063】
さらに、覆設板90の幅方向一方の端部付近における流水通路92を挟んで吐出窓86と対向位置せしめられた部位から外れた位置には、間接吐出口としての取付口93が貫設されている。更にまた、かかる取付口93には、落水管94が取り付けられている。落水管94は、前述の排水管84と略同様に、ストレートに延びる第一管体96と第二管体98をエルボ100で接続せしめた屈曲管構造を有している。また、落水管94は、第一管体96が覆設板90の取付口93に対して挿通固定されると共に、第一管体96の外方端部がエルボ100を介して第二管体98と着脱可能に接続されることにより、覆設板90に取り付けられている。また、かかる取り付け状態下にあって、落水管94における第二管体98は、前処理水槽62の開口部に向かってストレートに延びるようにして取り付けられており、該第二管体98の開口部が前処理水槽62の所定の高さ位置で開口している。これにより、本実施形態では、前処理水槽62に養殖水が入れられると、養殖水の水位が落水管94における第二管体98の上方開口部の高さ位置に設定されると共に、養殖水が、落水管98を通じて流水通路92に案内され、更に仕切板58に貫設された複数の吐出窓86を通じて養殖水槽60に流入されるようになっている。特に本実施形態においては、落水管94における第二管体98がエルボ100に対して着脱可能に取り付けられることにより、落水管94が高さ方向で着脱可能な継管構造とされている。これにより、本実施形態では、例えば、例示の如き第二管体98と高さ寸法の異なる別の第二管体を用意して、第二管体98に換えてエルボ100に取り付けることにより、落水管94の上方開口部の高さ寸法が変更設定されるようになっており、延いては前処理水槽62における養殖水の水位が変更設定されるようになっている。
【0064】
また、特に本実施形態では、流水通路92の底部の略全長に亘ってエアホース102が配設されている。かかるエアホース102には、流水通路92の上方(図5中、上)に向かって開口する多数の吐出孔104が設けられていると共に、後述する供給ブロワ106からエアが供給されるようになっている。従って、落水管94から流水通路92、吐出窓86を通じて養殖水槽60に養殖水を送る際に、エアホースの吐出孔104から多数のエアを吐出せしめることにより、吐出窓86から養殖水と共にエアが養殖水槽60に吐出される。それによって、かかるエアを利用した養殖水のリフト作用に伴い、養殖水槽60の水面近くに開口する吐出窓86が設けられた仕切板58から排水口82や傾斜部材78が設けられた側の第二の側壁板18に向かう水流が発生するようになっている。また、それに加えて、エア吐出による酸素供給に伴い流水通路92内の養殖水の溶存酸素濃度が高められる。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、養殖領域76の周壁部の内周面において、収容された養殖水の水面近くに開口してエアを略水平方向に吐出するエア吐出口が、直接吐出口としての吐出窓86を含んで構成されている。また、本実施形態では、エアホース102や供給ブロワ106を含んでエア吐出手段が構成されている。更に、本実施形態における落水管94の一方の開口部が、第二管体98の上方開口部とされて前処理水槽62に開口していると共に、該一方の開口部よりも下方に位置する他方の開口部が、取付口93に固定された第一管体96の開口部とされて流水通路92および吐出窓86を通じて養殖水槽60に開口している。
【0065】
さらに、前処理水槽62の下底部には、共通管路108が配置されている。この共通管路108は、前処理水槽62の長手方向(図2中、左右)に延び両端部が閉塞せしめられた中空管体構造とされている。また、共通管路108の長手方向一方の端部付近には、落水管路110が着脱可能に取り付けられている。落水管路110は、落水管94における第二管体98と平行に延びるようにして前処理水槽62の開口部に向かってストレートに延びる管体構造とされている。また、落水管路110の一方の開口部が、前処理水槽62の開口部に向かって上方に開口していると共に、他方の開口部が共通管路108に着脱可能に連結して連通状態とされている。また、本実施形態では、落水管路110の上方開口部が、落水管94における第二管体98の上方開口部と略同じ高さに位置せしめられている。
【0066】
また、共通管路108には、複数(本実施形態では、各共通管路108に4つ)の吐出管112が取り付けられている。これら吐出管112は、共通管路108の長手方向に所定の離隔距離をもって位置決め配置されていると共に、該長手方向に直交する方向にストレートに延びる管体構造とされている。また、吐出管112は、共通管路108を介して落水管路110と接続されている一方、共通管路108の接続端部と反対側の突出先端部が閉塞されている。更に、これらの吐出管112が、水槽本体12の幅方向(図6中、左右)に延び、覆設板90および仕切板58を貫通して、養殖水槽60の底内領域72に収容配置されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態の落水管は、前記落水管94を含む他に、落水管路110、共通管路108および吐出管112における共通管路108の接続端部から仕切板58を貫通する部分の管路を含んで構成されている。
【0067】
さらに、底内領域72に配置せしめられた吐出管112には、吐出管112の長手方向(図6中、左右)に所定の間隔をおいて複数(本実施形態では2つ)の開口部分114が貫設されている。そこにおいて、これらの開口部分114は、吐出管112の周壁部における鉛直下方となる略半周の領域に位置せしめられており、底壁板14に向かって下方に開口している。これにより、本実施形態では、前処理水槽62における落水管路110に導かれる養殖水が、共通管路108を介して各吐出管112に案内されると共に、各吐出管112に形成された開口部分114から底内領域72の底壁板14に向かって下方に吐出される。而して、養殖水が、底内領域72に広範囲に拡げられた後に、上昇せしめられて、中間底壁66から濾過分解層74を介して養殖領域76に至る水流が生ぜしめられるようになっている。このような吐出管112からの養殖水の吐出圧は、共通管路108に対して例示の落水管路110に代えて、該落水管路110の高さ寸法と異なる高さ寸法の落水管路を取り付けて、前処理水槽62における養殖水の水位、ひいては養殖水の位置エネルギを設定変更すること等により、容易に調節される。
【0068】
また、前処理水槽62には、図6にも二点鎖線で示されているように、酸素供給手段としての酸素供給装置111が取り付けられている。酸素供給装置111は、酸素ガスが充填されたボンベや、或いは圧縮空気を送るブロワ等からなる供給源113と該供給源113に流量調節弁(図示せず)等を介して接続された供給管路115を含んで構成されている。而して、酸素供給装置111は、供給管路115における供給源113の接続端部と反対側の端部が前処理水槽62内に開口することにより、前処理水槽62に設置されている。これにより、本実施形態では、酸素ガス乃至は酸素を含むエアが供給源113を通じて供給管路115の開口部から前処理水槽62の養殖水に吐出されることにより、前処理水槽における養殖水の溶存酸素濃度が予め高められる前処理が施されるようになっている。
【0069】
さらに、一対の第二の側壁板18,18の対向面間における一対の内側竪壁22,22の対向面間には、排水仕切板116が設けられている。排水仕切板116は、略矩形平板形状を呈しており、その幅方向両端部が両内側竪壁22,22に、下端部が底壁板14に、それぞれ密着状に固着されることにより、第二の側壁板18と平行に延びるようにして水槽本体12に固定されている。また、排水仕切板116は、水槽本体12における一対の仕切板58,58と略平面視一直線上に配置されており、それによって、前処理水槽62の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側に偏倚して位置決め配置されている。これにより、本実施形態では、一対の内側竪壁22,22の対向面間における一対の第二の側壁板18,18の対向面間が、排水仕切板116によって二分されている。以て、底壁板14や一対の内側竪壁22,22、第二の側壁板18、排水仕切板116で区画された空間において、排水仕切板116を挟んで、養殖水槽60の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、排水槽118が形成されていると共に、前処理水槽62の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、収容スペース120が形成されている。なお、排水仕切板116の上端部は、水槽本体12の開口端部と略同じ高さに設定されている。
【0070】
また、排水槽118は、長手方向で離隔して対向位置せしめられる一対の養殖水槽60,60の対向面間を利用して形成されており、各内側竪壁22に設けられた排水口82を通じて、各養殖水槽60と連通されている。また、排水槽118の底部(底壁板14)には、図7にも拡大して示されているように、排水パイプ122が取り付けられている。排水パイプ122の一方の開口部は、底壁板14を貫通して排水槽118に開口していると共に、他方の開口部は、水槽本体12の幅方向一方(図7中、左)に延び、開閉バルブ124を介して外部に開口している。これにより、各排水口82を通じて各養殖水槽60から排水槽118に排出される排水が、必要に応じて、開閉バルブ124を開くことにより、排水パイプ122を通じて外部に排出されるようになっている。
【0071】
また、排水仕切板116を挟んで排水槽118の反対側に位置する収容スペース120の開口部には、蓋部材126が配設されている。蓋部材126は、収容スペース120の開口部を略全体に亘って覆蓋しており、排水仕切板116の上端部や内側竪壁22の上端部等に対して丁番等を介して開閉可能に取り付けられている。
【0072】
さらに、収容スペース120には、排水用管路40が収容配置されている。排水用管路40は、排水仕切板116の下端部を貫通して排水槽118に接続されていると共に、収容スペース120に設置された循環ポンプ128および殺菌装置130を介して排水仕切板116の外側周壁部に沿って幅方向に延びている。循環ポンプ128は、排水槽118の排水を排水用管路40を通じて吸い上げて、殺菌装置130に導くようになっている。殺菌装置130は、排水に紫外線を照射して殺菌を行う紫外線照射部を備えている。
【0073】
更にまた、排水用管路40は、水槽本体12における各一対の内側竪壁22,22および外側竪壁26,26を貫通して仕切板58の外側周壁部に沿って水槽本体12の長手方向(図2中、左右)に延びていると共に、第二の濾過槽50内で屈曲されて第一乃至第三隔壁28,30,32を貫通して外側竪壁26の外側周壁部に沿って水槽本体12の幅方向に延びている。而して、収容スペース120から突出する排水用管路40の両端開口部が、水槽本体12の長手方向両端に位置する各泡沫分離槽34に開口している。これにより、排水槽118の排水が、排水用管路40を通じて循環ポンプ128の吸水作用に伴い殺菌装置130に導かれて殺菌処理された後に、仕切板58および外側竪壁26の外側周壁部に沿って延びる排水用管路40を通じて各泡沫分離槽34に流入されるようになっている。
【0074】
また、収容スペース120には、供給ブロワ106が設置されており、更に、この供給ブロワ106に対してエア供給管路44が接続されている。エア供給管路44は、供給ブロワ106から収容スペース120の上方に向かって延びていると共に、排水仕切板116の外側周壁部に支持されて、排水用管路40と平行に延びている。更にまた、エア供給管路44は、排水用管路40と並設されるようにして、水槽本体12における各一対の内側竪壁22,22および外側竪壁26,26を貫通して仕切板58の外側周壁部に沿って水槽本体12の長手方向(図2中、左右)に延びていると共に、第二の濾過槽50内で屈曲されて第二及び第三隔壁30,32を貫通して外側竪壁26の外側周壁部に沿って水槽本体12の幅方向に延びている。また、エア供給管路44は、第二及び第三隔壁30,32の対向面間において分岐されており、分岐された一方の管路44bが第二及び第三隔壁30,32の対向面間に位置せしめられていると共に、他方の管路44aが第一隔壁28を貫通している。而して、収容スペース120から突出するエア供給管路44の各開口部が、水槽本体12の長手方向両端に位置する各泡沫分離槽34および各曝気槽42の排水中に開口している。これにより、供給ブロワ106から送出されるエアが、エア供給管路44を通じて各泡沫分離槽34および各曝気槽42に供給されるようになっており、以て、泡沫分離槽34および曝気槽42内の排水に曝気処理が施されるようになっている。
【0075】
なお、エア供給管路44は、各前処理水槽62において分岐されており、分岐された一方の管路が上述の如き泡沫分離槽34および曝気槽42に導かれていると共に、他方の管路が覆設板90を貫通して流水通路92内の底部に配置されたエアホース102に接続されている。これにより、エアホース102にも、エア供給管路44を介して供給ブロワ106からエアが供給されるようになっている。
【0076】
更にまた、収容スペース120には、制御盤132が設置されている。制御盤132は、図示しないコントローラを備えている。かかるコントローラは、泡沫分離器38や循環ポンプ128、供給ブロワ106、殺菌装置130、酸素供給装置111、その他、酸素供給装置111や排水用管路40、エア供給管路44等に設けられた図示しない流量調節弁や水槽本体12に設けられた水加熱器等を駆動制御するようになっている。更に、制御盤132には、水槽本体12に設けられた図示しない養殖水のpH測定器や水温計、溶存酸素濃度検出器等から出力される電気信号を制御量に変換して、該制御量を目標値と比較し、目標とする制御量に訂正動作するように前述のコントローラを自動的に制御する制御装置が設けられている。これにより、本実施形態の養殖装置10においては、養殖水の水温や溶存酸素濃度等が自動的に設定、管理されるようになっている。
【0077】
このような構造とされた養殖装置10においては、養殖水槽60における排水管84の上方開口部よりも上方に位置する養殖水が、排水管84を通じて排水槽118に排出されると共に、循環ポンプ128により揚水されて、更に泡沫分離槽34に導かれると共に、第一及び第二の濾過槽48,50を通じて濾過処理された後に、前処理水槽62に導き入れられる。また、前処理水槽62に導かれた養殖水は、酸素供給装置111により前処理が施されることによって、その溶存酸素濃度が高められる。而して、前処理水槽62における落水管94および落水管路110の上方開口部よりも上方に位置する養殖水が、落水管94を通じて流水通路92に案内され複数の吐出窓86から養殖水槽60の養殖領域76に吐出されると共に、落水管路110を通じて共通管路108から複数の吐出管112に案内されて該吐出管112の開口部分114から底内領域72において下方に向けて吐出されることにより、養殖水槽60に導き入れられる。更にまた、養殖水槽60に導き入れられて、排水管84の上方開口部よりも上方に位置する養殖水は、排水管84を通じて排水槽118に排出せしめられ、泡沫分離槽34や第一及び第二の濾過槽48,50を介して前処理水槽62に至り、落水管94および落水管路110を通じて養殖水槽60に再び導き入れられる。即ち、本実施形態の養殖装置10に使用される養殖水は、循環して再利用されるようになっている。
【0078】
そこにおいて、特に本実施形態では、落水管94および落水管路110における上方開口部の高さ位置が、排水管84の上方開口部の高さ位置よりも高く設定されており、以て、前処理水槽62の水位が養殖水槽60の水位よりも高く設定されるようになっている。これにより、本実施形態に係る養殖装置10においては、前処理水槽62における落水管94および落水管路110の各開口部よりも上方に位置する養殖水が、前処理水槽62と養殖水槽60の水位差を利用して、落水管94および落水管路110を通じて養殖水槽60に導かれることとなる。また、本実施形態では、養殖水槽60から排出される養殖水を前処理水槽62における落水管94および落水管路110の上方開口部よりも上方に位置せしめる手段が循環ポンプ128によって実現されていることから、養殖水槽60の養殖水を前処理水槽62に導いて、該前処理水槽62の水位を養殖水槽60の水位よりも高くするポンプ手段が、循環ポンプ128を含んで構成されている。
【0079】
次に、上述の如き構造とされた養殖装置10における一使用形態である一具体例について詳述するが、本実施形態は、かかる具体例に限定されるものでない。
【0080】
先ず、一対の養殖水槽60,60における養殖領域76,76に、それぞれ、例えば稚エビや稚魚またはある程度成長した車エビやその他各種の海水魚等を含む魚介類の多数を入れると共に、養殖水槽60に天然海水または人工海水からなる養殖水を入れる。養殖水槽60に対する養殖水の流入は、養殖水槽60に直接に注ぎ込むか、或いは養殖水槽60に並設された前処理水槽62より行う。特に後者を採用する場合においては、前処理水槽62における落水管94および落水管路110の高さ寸法よりも高い位置まで養殖水を注ぎ入れると共に、酸素供給装置111を用いて、予め前処理水槽62における養殖水の溶存酸素濃度を高めておく。
【0081】
さらに、前処理水槽62と養殖水槽60の水位差、換言すれば前処理水槽62における養殖水の位置エネルギが養殖水槽60における養殖水の位置エネルギよりも大きいことを利用して、溶存酸素濃度が調節された調節済の養殖水を、落水管路110から共通管路108を介して複数の吐出管112に導いて該吐出管112の複数の開口部分114から吐出させる。これにより、調節済の養殖水を、養殖水槽60の底内領域72において下方に向かって吐出させて、底内領域72の底壁板14に当接する等して広範囲に拡げた後に、中間底壁66に向かって上昇させる。そして、養殖水を、中間底壁66に支持された濾過分解層74に透過させて、養殖領域76に導く。特に本実施形態では、溶存酸素濃度を調節した養殖水が好気性バクテリアを含んだ濾過分解層74を透過することにより、好気性バクテリアが酸素供給によって活発化せしめられて、養殖水中の汚染物質が良好に分解される。従って、濾過分解層74を含む養殖領域76には、浄化された養殖水が導かれる。
【0082】
また、上述の如く、前処理水槽62と養殖水槽60の水位差を利用して溶存酸素濃度を高めた養殖水を落水管路110から養殖水槽60の底内領域72に導き入れると共に、同水位差を利用して、養殖水を落水管94から流水通路92を通じて仕切板58に設けられた複数の吐出窓86から養殖水槽60の養殖領域76に導き入れる。また、これに際して、流水通路92の底部に配設されたエアホース102の吐出孔104からエアを吐出させることにより、流水通路92内の養殖水に酸素を供給して溶存酸素濃度を高める。
【0083】
そして、養殖水槽60に養殖水を注ぎ込むと、排水管84の上方開口部よりも上方に位置する養殖水は、排水管84を通じて排水槽118に排水として吐出する。これにより、養殖水槽60における養殖水の水位が、排水管118の上方開口部の高さ位置に設定される。
【0084】
さらに、排水槽118に吐出された排水は、排水用管路40を通じて殺菌装置130で殺菌処理を施した後に、泡沫分離槽34に導いてエア供給管路44による曝気乃至は泡沫発生処理や泡沫分離器38により排水中の所定の汚染物質を取り除くと共に、第一隔壁28の連通口46を通じて曝気槽42に導く。また、曝気槽42の排水をエア供給管路44により曝気処理することに伴い溶存酸素濃度を高めた後に、第二隔壁30の連通口56を通じてオーバーフローにより第一の濾過槽48に導く。更に、溶存酸素濃度を高めた排水を好気性バクテリアを付着した濾過材54に透過させることにより、バクテリアによる汚染物質の分解作用に伴い浄化すると共に、第三隔壁32形成された連通口52を通じて第二の濾過槽50に導く。そして、第二の濾過槽50において、排水を第一の濾過槽48と同様な濾過材54を用いて浄化する。これにより、排水が浄化されて養殖水として再利用可能になる。
【0085】
更にまた、第二の濾過槽50における浄化された養殖水を、外側竪壁26に設けられた連通口88を通じてオーバーフローにより前処理水槽62に導く。而して、前処理水槽62において、落水管94の上方開口部および落水管路110の上方開口部よりも上方に位置する養殖水を、落水管94および落水管路110を通じて養殖水槽60の養殖領域76および底内領域72に導くことにより、前述の態様が連続して行われる。
【0086】
また、養殖領域76において魚介類を養殖するに際して、養殖水中に浮遊したり、或いは濾過分解層74に堆積したり埋没したりする残餌や糞等のゴミの回収が必要となる。そこにおいて、本実施形態では、以下のようにしてゴミの回収が行われる。
【0087】
すなわち、吐出管112から吐出されて底内領域72から濾過分解層74を通じて養殖領域76に至る養殖水の水流を利用して、養殖領域76におけるゴミを水面近くに浮上させる。また、流水通路92から吐出窓86を介して養殖領域76に養殖水を入れる際に、流水通路92の底部に配設されたエアホース102の吐出孔104からエアを吐出させて、吐出窓86から養殖水と併せて養殖領域76に吐出させることにより、養殖領域76の水面近くにおいて吐出窓86が形成された仕切板58から傾斜面80が設けられた側の第二の側壁板18に向かう水流を発生させる。これにより、水面近くを浮遊するゴミを、仕切板58から第二の側壁板18に向かう水流に乗せて略傾斜面80上に集める。そして、かかる傾斜面80上に浮遊するゴミを、タモ等で掬ったり、或いは内側竪壁22に設けられた排水口82から排水管84を取り外すことによって養殖水を排水槽118に排出する際に傾斜面80の上傾方向側端部から下傾方向側端部に向かう水流に乗せて、排水口82から排水槽118に排出したりする。これにより、養殖領域76からゴミが除去される。
【0088】
また、本実施形態では、養殖水が排水管84を通じて循環されることによって、前述の底内領域72から養殖領域76に至る水流と水面近くで仕切板58から第二の側壁板18に向かう水流が常時発生していることから、ゴミが第二の側壁板18付近に常時集められている。但し、給餌の際には、上述の二つの水流によって餌が第二の側壁板18付近に集められて、養殖領域76の全体に亘って均一に給餌が行い難くなることを回避するために、エアホース102からのエア吐出を中止したり、落水管路110の上方開口部を覆蓋する等して上述の二つの水流を止めることが望ましい。
【0089】
上述の如き構造とされた養殖装置10においては、前処理を施して溶存酸素濃度を高めた養殖水が、前処理水槽62と養殖水槽60の水位差を利用することによって、落水管94を通じて養殖領域76に、落水管路110を通じて底内領域72に、それぞれ、安定して導かれる。それ故、養殖領域76における魚介類に対する好適な酸素供給形態と底内領域72から濾過分解層74を介して養殖領域76に至る養殖水の浄化処理能力が両立して高度に達成され得るのであり、以て、優れた養殖業が供され得るのである。
【0090】
また、本実施形態では、吐出管112の開口部分114から吐出される養殖水が底壁板14に向かって吐出されることにより、底内領域72で広範囲に拡げられた後に、濾過分解層74を透過して養殖領域76に導かれる。その結果、吐出管112から吐出された養殖水が濾過分解層74に対して広範囲に亘って略均一に透過せしめられることとなり、有利に浄化された養殖水が養殖領域76に導かれることから、コンパクトなサイズで魚介類の養殖がより良好に実現され得る。
【0091】
また、本実施形態では、養殖領域76における養殖水中に浮遊されたり、或いは濾過分解層74に堆積されたり、埋没されたりする魚介類の残餌やゴミ等が、底内領域72から濾過分解層74を通じて養殖領域76に至る養殖水の水流と水面近くにおいて仕切板58から第二の側壁板18に向かう養殖水の水流を利用して、一箇所に浮遊して集められることから、優れた除去作業が実現され得る。
【0092】
さらに、本実施形態では、二つの養殖水槽60,60が設けられていることにより、例えば、一方の養殖水槽60の養殖水を排出して魚介類を採取したり、養殖水槽60を清掃したりする際に、かかる養殖水を廃棄せずに他方の養殖水槽に一時貯留させておくことも可能であり、それによって、より効率的な養殖業が実現され得る。また、一方の養殖水槽60と他方の養殖水槽60において、異なる種類や大きさ等の魚介類を同時に養殖すること等も出来るという利点がある。
【0093】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0094】
例えば、前記実施形態では、前処理水槽における養殖水が、落水管路や落水管を通じて養殖水槽に導き入れられるようになっていたが、これら落水管路や落水管は何れか一方だけ設けられていても良い。また、落水管等に加えて、仕切板における覆設板や吐出窓等の設けられていない箇所に吐出口を設けて、前処理水槽において予め溶存酸素濃度を高めた養殖水が該吐出口から該養殖水槽に直接に吐出させるようにすることも可能である。
【0095】
また、前記実施形態では、落水管等が着脱可能な継管構造とされていることを利用して、例えば、落水管に取り付けられることにより上方開口部が前処理水槽の開口部よりも上方に位置せしめられる止水管を落水管に取り付けて、落水管から養殖水槽への養殖水の流入を防止すると共に、前処理水槽の養殖水の溶存酸素濃度を適宜に高めた後に、止水管を落水管から取り外して、落水管を通じて養殖水槽に養殖水を導き入れることも可能である。それによって、前処理水槽における養殖水の溶存酸素濃度を調整するようにしても良い。
【0096】
また、本実施形態では、例示の如き養殖装置に限定されるものでない。以下、図8〜10に前記実施形態と異なる態様の養殖装置について簡単に説明するが、前記実施形態と実質的に同一の部材および部位については、図中に前記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの説明を省略する。
【0097】
例えば、図8にも示されているように、同量の養殖水を入れた同一の水槽を一対用意し、一方の水槽を養殖水槽134として地面136に載置し、他方を前処理水槽138として地面に敷設した水位調節手段としての調節台140に載置することにより前処理水槽138の水位を養殖水槽134の水位よりも高くすると共に、一方の開口部を前処理水槽138の周壁部に、他方の開口部を養殖水槽134の周壁部に、それぞれ、開口する屈曲管状の落水管142を設けて、両槽134,138の水位差を利用して前処理水槽から養殖水槽に養殖水を導き入れるようにした養殖装置144が実現されることも可能である。
【0098】
また、例えば、図9にも示されているように、前述の養殖装置144と同様な養殖水槽134および前処理水槽138を用意して、それら両槽134,138を水平方向にストレートに延びる落水管146で相互に連通することにより、両槽134,138の水位差を利用して前処理水槽138から養殖水槽144に養殖水を導き入れるようにした養殖装置148が実現されても良い。
【0099】
また、例えば、図10にも示されているように、深さ寸法の異なる水槽を一対用意し、深さ寸法の大きな一方の水槽を前処理水槽150、深さ寸法の小さな他方の水槽を養殖水槽152として、両槽150,152とも略開口部付近に水位を設定して地面136に載置すると共に、前処理水槽150から養殖水槽152に向かって傾斜して延びる落水管154を用いて両槽150,152を連通することにより、両槽150,152の水位差を利用して前処理水槽150から養殖水槽152に養殖水を導き入れるようにした養殖装置156が実現されることも可能である。また、かかる養殖装置156にあっては、前処理水槽150の水位を養殖水槽の水位よりも高く保持するために、前記実施形態の循環ポンプ128に加えて、前処理水槽150に養殖水を補充するサブタンク158や前処理水槽150の養殖水を排出する前記実施形態の排水パイプ122等を必要に応じて設けても良い。
【0100】
また、前記実施形態に係る養殖装置においては、養殖水槽が二つ設けられていたが、一つにしたり、或いは二つ以上設けられることも勿論可能である。
【0101】
また、前記実施形態では、略同じ大きさの養殖水槽が一対設けられていたが、仕切板や竪壁等を増設したり、設置位置を変更したりすること等によって、大きさが互いに異なる一対の養殖水槽を設けることも可能である。
【0102】
また、前記実施形態では、排水パイプが排水槽にのみ取り付けられていたが、かかる排水パイプの設ける位置や数等は特定されるものでなく、例えば排水槽に取り付けられた排水パイプに加えて或いは代えて該排水パイプを養殖水槽等に取り付けることも可能である。また、前記実施形態の養殖装置にあって、排水パイプは必須のものでない。
【0103】
また、前記実施形態の養殖装置においては、FRP等で形成された水槽本体を含んで構成されていたが、これに限定されるものでなく、例えばコンクリート等で形成された水槽本体に仕切板や内外側竪壁、吐出管等を配設することによって構成することも可能である。
【0104】
また、前記実施形態における泡沫分離槽や第一及び第二の濾過槽等においては、例示の如き構造のものに限定されるものでなく、公知の各種の泡沫分離槽や濾過槽等を採用することが可能である。
【0105】
また、前記実施形態における殺菌装置や泡沫分離槽、第一及び第二の濾過槽等は、必ずしも設けられている必要はない。
【0106】
また、前記実施形態では、濾過分解層を含む養殖領域に嫌気性バクテリアを収容することも可能であり、それによって、水中における有害物質の脱窒作用等が発揮されるようにしても良い。
【0107】
また、本実施形態における底内領域や養殖領域、前処理水槽等において、例えば溶存酸素濃度を高めたり、水流を生ぜしめたりするために吐出されるエアとしては、大気を採用する他、酸素ガスやその他成分調整ガスを採用することも可能である。
【0108】
加えて、前記実施形態では、養殖水を再利用する循環型の養殖装置に本発明を適用した具体例を示したが、その他に、例えば、養殖水を海洋等に還元する貯水池等に本発明を適用することも可能である。
【0109】
【実施例】
次に、本発明に係る養殖装置をより具体的に明らかにするために、表1〜3等を参照しつつ、本養殖装置において養殖した魚介類の成長具合および養殖水の水質に関して測定した実験を実施例として説明する。
【0110】
先ず、前記実施形態と同様な構造とされた養殖装置10を準備した。また、養殖装置10における水槽本体12の長手寸法を略12mに設定すると共に、幅寸法を略1.5〜2mに設定し、更に深さ寸法を略1mに設定した。また、各養殖水槽60の容積を略7〜9mに設定した。更に、平成15年4月25日に養殖水槽60に養殖水としての市販の人工海水を注水すると共に循環させて、養殖魚を育成する環境を準備した。また、人工海水における底壁板14からの水位を略60〜80cmに設定した。
【0111】
また、平成15年4月29日に、一方の養殖水槽60に養殖魚Aを1200尾入れると共に、他方の養殖水槽60に養殖魚Aを1000尾入れた。なお、投入時における養殖魚Aの平均体長は、略4cmであると共に、平均体重が略1gであった。そして、1200尾入れた一方の養殖水槽60における養殖魚Aの成長を観察記録すると共に、1000尾入れた他方の養殖水槽60における養殖魚Aの成長を観察記録した。その結果を、それぞれ、実施例1および実施例2として表1〜2に示す。また、所定の大きさの水槽の底部に濾過分解層74を敷設した図示しない比較装置を用意し、平成15年5月24日に上述の養殖装置10における浄化処理された排水の一部を導き入れると共に養殖装置10により循環させて、養殖魚を育成する環境を整えた。更に、平成15年5月28日に養殖魚Aを330尾入れた。かかる比較装置を用いて本実施例と同様な実験を行った結果を比較例として表1〜2に併せ示す。
【0112】
【表1】
Figure 2005058013
【0113】
【表2】
Figure 2005058013
【0114】
表1〜2に示される結果からも、本実施例においては、比較例に比して養殖魚の死亡率が低いことが明らかであり、それによって、溶存酸素濃度を高めた養殖水が養殖水槽60に安定して導き入れられて、養殖魚に良好な育成環境が供され得ることが推考される。
【0115】
また、本実施例では、上述の実施例1または2における養殖水槽60の水質について所定の日に測定した。その結果を表3に示す。なお、本実施例では、前述したように、養殖水として市販の人工海水を用いているが、かかる海水は、所定の期間、他の養殖魚の飼育に用いていたことにより、NO−Nの濃度(mg/L)等が高くなっている。また、本実施例では、平成15年5月31日に実施例1の養殖水槽60に入れられた養殖魚Aの2尾を実施例2の養殖水槽60に移した。
【0116】
【表3】
Figure 2005058013
【0117】
表3に示される結果からも、NO−N,PO−P等の好気性バクテリアを構成する乃至は活発化させる物質の濃度が飼育日から経過するに従って高くなることが明らかであり、その結果、好気性バクテリアの活発化に伴い養殖水中の有害物質の一つであるNH−Nが有利に分解されて、その濃度が0mg/Lに維持されていることが認められる。蓋し、溶存酸素濃度を高めた養殖水が養殖水槽に安定して導き入れられて、安濾過分解層に付着されるバクテリアに対して酸素が均一に且つ良好に供給されるからである。
【0118】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように本発明に従う構造とされた魚介類の養殖装置においては、前処理水槽と養殖水槽の水位差を利用して養殖水を前処理水槽から養殖水槽に導き入れるという比較的に簡単な自然法則を利用することによって、前処理水槽で溶存酸素濃度が高められた養殖水が養殖水槽に安定して且つ効率的に導き入れられる。それ故、魚介類に対する酸素の供給が比較的に簡単な構造で有利に実現され、以て、養殖産業の更なる発展が図られ得るのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての養殖装置を養殖水を入れない状態でモデル的に示す一部切欠斜視説明図である。
【図2】図1における養殖装置に養殖水を入れた状態を示す平面説明図である。
【図3】図2におけるIII −III 断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面の拡大説明図である
【図5】図2におけるV−V断面の拡大説明図である
【図6】図2におけるVI−VI断面の拡大説明図である
【図7】図2におけるVII −VII 断面の拡大説明図である
【図8】図1に示された実施形態と異なる本発明の一具体例としての養殖装置を示す説明モデル図である。
【図9】図1に示された実施形態と異なる本発明の別の一具体例としての養殖装置を示す説明モデル図である。
【図10】図1に示された実施形態と異なる本発明の更に別の一具体例としての養殖装置を示す説明モデル図である。
【符号の説明】
10 養殖装置
60 養殖水槽
62 前処理水槽
86 吐出窓
90 覆設板
92 流水通路
93 取付口
94 落水管
102 エアホース
106 供給ブロワ
110 落水管路
111 酸素供給装置
128 循環ポンプ

Claims (9)

  1. 養殖水を収容せしめて魚介類を養殖する養殖水槽と、
    該養殖水槽から独立して設けられた前処理水槽と、
    該前処理水槽内に酸素を供給する酸素供給手段と、
    前記養殖水槽の前記養殖水を前記前処理水槽に導いて、該前処理水槽の水位を該養殖水槽の水位よりも高くするポンプ手段と、
    一方の開口部が該前処理水槽に開口すると共に、他方の開口部が前記養殖水槽に開口する落水管と
    を有し、前記前処理水槽内に酸素を供給することで該前処理水槽に導き入れられた前記養殖水に対して溶存酸素濃度を高める前処理を施すと共に、該前処理水槽と前記養殖水槽の水位差を利用して、該前処理を施した該養殖水を該前処理水槽から前記落水管を通じて該養殖水槽に導き入れることにより、該養殖水槽に収容された該養殖水を該前処理水槽を通じて循環させるようにしたことを特徴とする魚介類の養殖装置。
  2. 前記落水管における前記一方の開口部が前記前処理水槽に所定高さで突出して上方に開口すると共に、前記他方の開口部が該一方の開口部よりも下方に位置して前記養殖水槽に開口する一方、前記落水管を高さ方向で着脱可能な継管構造として、該落水管の開口部の高さを変更設定できるようにした請求項1に記載の魚介類の養殖装置。
  3. 前記養殖水槽から排出された前記養殖水を濾過処理した後に前記前処理水槽に導き入れるようにした請求項1又は2に記載の魚介類の養殖装置。
  4. 前記養殖水槽において、その下底よりも所定高さ上方に多孔の中間底を設けて二重底構造とし、該中間底で砂等を支持せしめて濾過分解層を形成することにより該中間底よりも上方に前記魚介類の養殖領域が形成され得るようにする一方、該中間底と該下底の間の底内領域に吐出管を配設して該底内領域に開口させ、前記落水管を通じて導かれた前記養殖水を該吐出管を通じて該底内領域に吐出させて、前記濾過分解層を通じて前記養殖領域に至る水流を生ぜしめるようにした請求項1乃至3の何れかに記載の魚介類の養殖装置。
  5. 前記養殖水槽の前記底内領域において、前記吐出管の開口部分を下方に向けることにより、前記養殖水を該吐出管を通じて該底内領域で該下底に向けて吐出させるようにした請求項4に記載の魚介類の養殖装置。
  6. 前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において、収容された前記養殖水の水面近くに開口してエアを略水平方向に吐出するエア吐出口を設ける一方、該養殖水槽において該エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部近くに排水口を設けて、該エア吐出口から吐出されるエアによって該養殖水の水面近くで該エア吐出口が設けられた周壁部から該排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が生ぜしめられるようにした請求項1乃至5の何れかに記載の魚介類の養殖装置。
  7. 前記養殖水槽において、前記エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部に沿った周縁領域にスロープ状の傾斜底を設けると共に、該傾斜底の形成領域を前記濾過分解層が形成された前記中間底から区画する仕切壁を設け、更に該傾斜底のスロープの下傾方向側端部近くに前記排水口を設けた請求項6に記載の魚介類の養殖装置。
  8. 前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において直接吐出口を設ける一方、該直接吐出口が開口せしめられた周壁部の外周面に覆設板を固設して、該直接吐出口を該周壁部の外方から覆蓋せしめると共に、該覆設板と該周壁部の間に流水通路を形成し、更に該流水通路を挟んで該覆設板における該直接吐出口と対向位置せしめられた部位から外れた位置に間接吐出口を設けて、前記前処理水槽から前記落水管に導き入れられた前記養殖水を、該前処理水槽と該養殖水槽の水位差を利用して該間接吐出口から該流水通路および該直接吐出口を通じて該養殖水槽に吐出させるようにした請求項1乃至7の何れかに記載の魚介類の養殖装置。
  9. 前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において、収容された前記養殖水の水面近くに開口して前記直接吐出口を設ける一方、前記流水通路にエア吐出手段を設けて、エアを前記養殖水と併せて該流水通路から該直接吐出口を通じて前記養殖領域に吐出させることによって、該養殖水の水面近くで該直接吐出口が設けられた側の周壁部から前記排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が生ぜしめられるようにした請求項1乃至8の何れかに記載の魚介類の養殖装置。
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