JP2005058012A - 魚介類の養殖装置 - Google Patents

魚介類の養殖装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005058012A
JP2005058012A JP2003207414A JP2003207414A JP2005058012A JP 2005058012 A JP2005058012 A JP 2005058012A JP 2003207414 A JP2003207414 A JP 2003207414A JP 2003207414 A JP2003207414 A JP 2003207414A JP 2005058012 A JP2005058012 A JP 2005058012A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
aquaculture
tank
culture
pipe
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003207414A
Other languages
English (en)
Inventor
Shinya Nakamura
真也 中村
Keiichi Nakamura
佳市 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SHINEI SUISAN SETSUBI KK
Original Assignee
SHINEI SUISAN SETSUBI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SHINEI SUISAN SETSUBI KK filed Critical SHINEI SUISAN SETSUBI KK
Priority to JP2003207414A priority Critical patent/JP2005058012A/ja
Publication of JP2005058012A publication Critical patent/JP2005058012A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Farming Of Fish And Shellfish (AREA)

Abstract

【課題】養殖水の浄化と魚介類の残餌や排泄物等の回収が両立して高度に実現される新規な構造の魚介類の養殖装置を提供することにある。
【解決手段】養殖水槽60の下底14よりも所定高さ上方に多孔の中間底66を設けて二重底構造とし、該中間底66で砂等を支持せしめて濾過分解層74を形成することにより中間底66よりも上方に魚介類の養殖領域76が形成され得るようにする一方、中間底66と下底14の間の底内領域72に吐出管112を配設すると共に、吐出管112の底内領域72への開口部分114を下方に向けることにより、養殖水を吐出管112を通じて底内領域72で下底14に向けて吐出させて、養殖水を底内領域72から濾過分解層74を通じて養殖領域76に至る水流を生ぜしめるようにした。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、養殖に適した各種の魚介類を養殖する養殖装置に係り、特に、陸上に設置されて、養殖水を浄化せしめつつ、魚介類を好適に育成することが出来る新規な構造の魚介類の養殖装置に関するものである。
【0002】
【背景技術】
魚介類の養殖装置としては、養殖する魚介類の種類や大きさ等にもよるが、例えば、海や河川等の一部を網等で仕切って、かかる仕切内部で魚介類を育成する養殖装置が周知である。しかしながら、このような養殖装置においては、海や河川等の自然の一部を閉鎖して利用することから、生態系のバランスを崩すおそれ等があり、しかも、海や河川等の環境汚染を含む環境変化に応じて収穫量が変動され易いという問題があった。
【0003】
また、陸上に水槽を設けて該水槽で魚介類の養殖を行う陸上養殖設備も知られている。このような陸上養殖設備においては、一般に、水槽内の水が魚介類の糞尿や残餌、死骸等によって汚染されるために、汚染水を処理して水槽内の養殖水として再利用する循環構造が採用されている。かかる循環構造を備えた陸上養殖設備の一種として、例えば特許文献1には、好気性バクテリアを付着した砂が収容された浄化装置を水槽外部に設けると共に、曝気した汚染水を浄化装置に導き入れることにより、酸素供給によるバクテリアの活発化に伴うアンモニア等の汚染物質の分解作用によって汚染水を浄化させて、該水を水槽に戻すようにした養殖装置が開示されている。また、かかる養殖装置における水中の残餌や糞等は、水槽の底部に設けられた排出部を通じて、水槽と別途設けられたフィルタ部で回収されるようになっている。
【0004】
ところが、特許文献1に示される養殖装置においては、浄化装置やフィルタ部が水槽外部に設けられていることにより、設置スペースが全体的に大きくなり、設置場所が制限されるという問題や、浄化装置やフィルタ部等を水槽に接続する配管構造が複雑になるという問題等があった。また、水中に酸素を供給することによって溶存酸素濃度が大きくされるものの、その後、水中の酸素が好気性バクテリアによって多量に消費されることから、該水を水槽に戻す際に、水槽内における養殖魚の飼育に必要な溶存酸素濃度が十分に確保され難いという問題があった。
【0005】
そこで、このような問題に対処するために、例えば特許文献2〜3にも示されているように、通水性部材に生物分解を行う細菌を含む微生物が付着した珪砂等の砂層を載置、支持せしめてなる濾過層の複数を水槽の下底部よりも上方に離隔配置せしめた水槽が提案されている。また、特許文献2の水槽では、水槽の下底部と濾過層の対向面間に連通管を介して水槽の外部からエアを供給する給気管が接続されている一方、特許文献3の水槽では、水槽の下底部に濾過層の下方に微細気泡を噴出する所定長さのノズルが設置されている。このような構造とされた特許文献2〜3の水槽においては、濾過層に向けてエアが吐出されることによって、濾過層に含まれる微生物の活動が活発化されることに伴い水槽内の水に対する浄化作用が向上されると共に、水槽の底部から濾過層を通じて上方に向かって生ぜしめられる水流を利用して、濾過層等に堆積する魚介類の残餌や排泄物等のゴミが浮上されて取り除かれるようになっている。
【0006】
しかしながら、これら特許文献2,3に示される水槽においては、濾過層と水槽の下底部の対向面間に位置せしめられた連通管の開口部分から離れるに従って吐出されたエア量が減ることから、濾過層の全体に亘って有効な効果を得ることが難しく、微生物の活性化や濾過層に堆積するゴミ等の浮上除去に基づく浄化作用の向上が実現され難いという問題があった。しかも、エアが連通管の開口部付近の濾過層やノズルの上方開口部と対向位置せしめられる濾過層等に局所的に吐出せしめられることから、該濾過層を構成する通水性部材の下方にエア溜まりが発生する傾向にあり、エア溜まりが大きくなって破裂等すると、噴出状に珪砂等が巻き上げられて砂層の厚さが全体に亘って均一に保持され難くなるという問題があり、場合によっては砂層の一部に空洞が出来てしまうおそれさえあった。その結果、砂層の濾過機能が十分に発揮されずに、水浄化が充分に達成され難いという問題を内在していたのである。
【0007】
因みに、上述の如き問題に鑑み、例えば特許文献4にも示されているように、前述の如き砂層を敷設した上底部と砂層を敷設しない下底部を備えた二重底構造の水槽において、供給管を水槽の下底部に貫設して、酸素供給装置で溶存酸素濃度を高めた水を供給管を通じて下底部から上底部の砂層に供給することにより、砂層に付着せしめたバクテリアを活発化させるようにした養殖装置も考えられる。
【0008】
ところが、このような養殖装置においても、供給管の上方に向かう開口部の上方付近に位置せしめられた狭い領域だけに水が下方から集中的に供給されるに過ぎず、砂層の全体に亘って濾過機能が十分に発揮され難いという問題があった。しかも、上述の如く、砂層への水の供給が、供給管の開口部付近に集中してしまうこととなり、結局、砂層による浄化作用が充分に発揮され得なかったのである。
【0009】
【特許文献1】
国際公開第96/36219号パンフレット
【特許文献2】
実登第3019848号公報
【特許文献3】
特開平10−118676号公報
【特許文献4】
特開2002−360110号公報
【0010】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、養殖水が濾過分解層の略全体に亘って均一に透過されることにより、養殖水の浄化処理と濾過分解層を含む養殖領域における魚介類の残餌や排泄物等の水面近くへの浮上が併せて高度に実現され、以て、養殖水の優れた浄化処理能力に寄与し得る新規な構造の魚介類の養殖装置を提供することにある。
【0011】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0012】
(本発明の態様1)
本発明の態様1の特徴とするところは、養殖水が収容される、魚介類を養殖するための養殖水槽を備えた魚介類の養殖装置において、前記養殖水槽の下底よりも所定高さ上方に多孔の中間底を設けて二重底構造とし、該中間底で砂等を支持せしめて濾過分解層を形成することにより該中間底よりも上方に前記魚介類の養殖領域が形成され得るようにする一方、該中間底と該下底の間の底内領域に吐出管を配設すると共に、該吐出管の該底内領域への開口部分を下方に向けることにより、前記養殖水を該吐出管を通じて該底内領域で該下底に向けて吐出させて、該養殖水を該底内領域から前記濾過分解層を通じて前記養殖領域に至る水流を生ぜしめるようにした魚介類の養殖装置にある。
【0013】
このような本態様に従う構造とされた魚介類の養殖装置においては、吐出管の開口部分から吐出される養殖水が下底に向かって吐出されることにより、底内領域で広範囲に拡げられた後に、上方の中間底に形成された濾過分解層に導かれる。従って、養殖水の吐出圧が中間底に対して局所的に及ぼされることに基因して濾過分解層の砂等が噴出状に巻き上げられること等が回避されることとなり、濾過分解層が安定して保持されて機能せしめられる。それ故、吐出管から吐出された養殖水が濾過分解層に対して広範囲に亘って略均一に透過せしめられることとなり、養殖水の浄化処理能力も有利に発揮され得るのである。
【0014】
また、本態様においては、養殖領域に在る魚介類の残餌や排泄物等が、中間底に形成された濾過分解層に堆積されたり、埋没されたりすること等もあるが、上述の如き底内領域から濾過分解層を通じて養殖領域に至る養殖水の水流を利用して、濾過分解層に堆積乃至は埋没される残餌や排泄物等と共に養殖水槽の水面に向かって高率的に浮上せしめられることとなる。蓋し、底内領域の養殖水が、濾過分解層から養殖領域に対して広範囲に亘って略均一に吐出されるからである。それ故、養殖領域における残餌や排泄物等の残留に基因する水質悪化が有利に回避され得ると共に、魚介類の残餌や排泄物等の回収作業が容易に実現され得る。
【0015】
なお、本態様では、養殖水と共にエア気泡を吐出させることも可能である。そこにおいて、本態様では、エアを養殖水と分離させて底内領域に吐出させる場合にあっても、吐出管の開口部分が下方に向けられていることにより、エアが底内領域で広範囲に広がることから、エアが中間底に対して局所的に及ぼされることに伴いエア溜まり等が中間底の下方に発生することが回避されて、該エア溜まりの破裂等に基因して濾過分解層の砂等が巻き上げられる上述の如き不具合が回避され得る。
【0016】
また、本態様において採用される魚介類には、ヒラメ等を含む底着性魚やその他各種の魚を含む魚類の他に、車エビ等の甲殻類、牡蠣等の貝類など、特に養殖産業に適する各種の水中生物が好適に採用され得るものであり、海水魚介および淡水魚介の何れもが含まれる。また、本態様の養殖水には、養殖する魚介類の種類に応じて、海水や淡水、その他の各種養殖用水等が適宜に採用される。
【0017】
さらに、本態様において、吐出管より吐出する養殖水は、単に養殖水槽内で循環させても良いが、望ましくは、別途設けた濾過装置や殺菌装置等に導き入れて濾過や殺菌等された後に吐出される。なお、殺菌装置や濾過装置、泡沫分離機、水温調節器、その他の各種装置を本態様の養殖装置に設けるか否かは、当業者が適宜に設定変更し得る事項の一つであり、何等限定されるものでない。また、吐出する養殖水は、養殖水槽の水面よりも所定量だけ高い位置で開口して吐出管に接続する落水管を用いて、落水管における養殖水の位置エネルギを利用して吐出管から吐出されるようにしても良く、或いはポンプ等を用いて吐出管から強制的に吐出されるようにしても良い。また、吐出管や吐出管の開口部分における形状や大きさ、数等は、何等限定されるものでなく、例えば養殖水槽の形状や大きさ、要求される浄化処理能力等に応じて適宜に設定変更される。
【0018】
また、本態様における濾過分解層としては、例えば、炭や貝殻類、珊瑚、ゼオライト、セラミック等の粉末状乃至は粒状物を単一乃至は複合したものが採用され、好適には、前述の粉末状乃至は粒状物に対して、デンプン分解細菌、セルロース分解細菌、タンパク分解細菌、尿素分解細菌、脱アミノ細菌(ペプトン→NH )、アンモニア酸化細菌(NH →NO )、亜硝酸酸化細菌(NO →NO )、硝酸還元細菌(NO →NO )、脱窒細菌(NO →N)等のバクテリアの一種類乃至は複数種類を付着せしめたもの等が採用される。以て、バクテリアの繁殖作用に伴い養殖水中の汚染物質が分解されることとなり、養殖水の浄化作用が一層有利に発揮され得る。
【0019】
また、上述のように、バクテリアを含んで濾過分解層を構成するに際して、特に好気性バクテリアが採用される場合には、バクテリアに対する酸素の供給が必要となる。そこにおいて、本態様では、養殖水槽に曝気装置を設けて該曝気装置で濾過分解層を直接に曝気することにより、バクテリアを活発化せしめることも可能であるが、好適には、後述する本発明の態様2が採用される。これにより、溶存酸素濃度を調整した養殖水が濾過分解層に広範囲に亘って略均一に透過されることから、濾過分解層におけるバクテリアの全体に亘って酸素が良好に供給されることとなり、水浄化の更なる向上が図られ得る。
【0020】
(本発明の態様2)
本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る魚介類の養殖装置において、前記養殖水として、溶存酸素の濃度を予め調節したものを用い、該調節済の前記養殖水を前記吐出管を通じて前記養殖水槽に導き入れて、前記底内領域で該吐出管から前記下底に向けて吐出させるようにしたことにある。
【0021】
このような本態様においては、溶存酸素濃度を予め調節した調節済の養殖水が、吐出管から下底に向かって吐出されることにより、底内領域で広範囲に拡げられた後に濾過分解層を介して養殖領域に導かれる。それ故、酸素が養殖領域の全体に亘って効率的に供給されることとなり、優れた酸素供給形態が供され得る。また、本態様の如き溶存酸素濃度を予め調節した養殖水が採用されることにより、養殖水槽の底内領域から直接に曝気する場合に比して、エア気泡が中間底の下方に溜まって、その後、噴出状態で濾過分解層の砂等を巻き上げる等の不具合が発生するおそれが回避されることから、養殖水の浄化処理および養殖領域への酸素供給が何れも安定して実現され得る。
【0022】
(本発明の態様3)
本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において、収容された前記養殖水の水面近くに開口してエアを略水平方向に吐出するエア吐出口を設ける一方、該養殖水槽において該エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部近くに排水口を設けて、該エア吐出口から吐出されるエアによって該養殖水の水面近くで該エア吐出口が設けられた周壁部から該排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が生ぜしめられるようにしたことにある。
【0023】
このような本態様においては、水面近くに浮上せしめられた残餌や排泄物等のゴミが、養殖水槽の水面近くでエア吐出口が設けられた周壁部から排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流に乗せて、かかる排水口が設けられた側の周壁部に集められることとなる。これにより、例えばゴミを当該周壁部から直接に掬い取ったり、或いは養殖水を排水口を通じて排出する際に、排水口から養殖水と共にゴミを排出せしめたりすることが可能となるのであり、ゴミの回収作業が一層容易に実現され得る。なお、水流を効果的に生ぜしめるためには、例えば圧縮空気をノズル等から吐出させてリフトやエジェクタ的な作用を養殖水に積極的に及ぼすことが望ましく、また、エアの吐出と併せて養殖水を吐出させて、より積極的に水流を生ぜしめることも有効である。
【0024】
(本発明の態様4)
本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様3に係る魚介類の養殖装置にあって、前記養殖水槽において、前記エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部に沿った周縁領域にスロープ状の傾斜底を設けると共に、該傾斜底の形成領域を前記濾過分解層が形成された前記中間底から区画する仕切壁を設け、更に該傾斜底のスロープの下傾方向側端部近くに前記排水口を設けたことにある。
【0025】
このような本態様においては、養殖水を排水口を通じて排出する際に、本発明の前記態様3に係る水面近くで発生する水流に乗せて排水口が設けられた側の周壁部に集められた残餌や排泄物等のゴミが、養殖水における傾斜底の上傾方向側端部から下傾方向側端部に向かう水流に乗せて、傾斜底の下傾方向側端部付近に集約される。これにより、ゴミがより一層効率的に回収され得る。また、ゴミや排出口の大きさや傾斜底の勾配の程度によっては、養殖水と共にゴミを排出口から排出させることも可能であり、以て、ゴミ回収の更なる簡便化が図られ得る。なお、仕切壁の高さ等は、特に限定されるものでないが、濾過分解層の上面よりも高く、且つ養殖領域で魚介類を養殖する際の水面よりも低いことが望ましい。それによって、濾過分解層を構成する砂等が仕切壁で有利に支持されると共に、ゴミが水流に乗って傾斜底側へ送られる際に仕切壁につかえることが軽減される。
【0026】
【発明の実施形態】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、図1〜3には、本発明の一実施形態としての養殖装置10が示されている。この養殖装置10は、水槽本体12を含んで構成されており、例えば車エビやヒラメ、ウナギ、その他各種の養殖に適した魚介類を含む水中生物を養殖する機能を備えている。なお、以下の説明において、原則として、上下方向は、図1中の上下方向をいう。
【0028】
より詳細には、水槽本体12は、FRP(強化繊維プラスチック)等で形成されていると共に、底壁板14、一対の第一の側壁板16,16および一対の第二の側壁板18,18を含んで構成されている。底壁板14は、長手状の略矩形平板形状を呈している。また、底壁板14の長手方向両端部には、略矩形平板形状を有する第一の側壁板16が略鉛直方向(図1中、上下)に延びるように一体的に設けられていると共に、底壁板14の幅方向両端部には、長手状の略矩形平板形状を有する第二の側壁板18が略鉛直方向に延びるように一体的に設けられている。また、第一の側壁板16の幅方向両端部と第二の側壁板18の幅方向両端部は、それぞれ、隣り合う側壁板の幅方向端部と一体的に結合されていると共に、第一の側壁板16の上端部と第二の側壁板18の上端部は、略同じ高さに位置せしめられている。これにより、水槽本体12は、上方に開口する長手状の略矩形箱体形状を呈している。なお、本実施形態の水槽本体12においては、底壁板14や第一及び第二の側壁板16,18が一体形成されることにより構成されているが、底壁板14や第一及び第二の側壁板16,18が別体形成されてボルトや接着剤等で固着されることにより構成されても良い。また、底壁板14の下端部分には、底壁板14の幅方向に略一定の矩形断面で延びる脚材20が、長手方向に離隔して多数設けられている。本実施形態では、水槽本体12が、陸上の適宜の箇所に脚材20を介して設置されるようになっており、当該設置場所や養殖魚の大きさ、その他の各種条件乃至は状況に応じて、水槽本体12や脚材20における形状や大きさ等が適宜に設定変更される。また、水槽本体12は、FRP等の比較的に軽量な硬質材で形成されていると共に、必要に応じて分割構造とされることにより、製作場から設置現場まで搬送し、設置現場で組み立てることが出来るようになっている。
【0029】
また、水槽本体12の中央部分には、長手方向(図2中、左右)に離隔して一対の内側竪壁22,22が対向位置せしめられている。内側竪壁22は、略矩形平板形状を呈しており、下端部および幅方向両端部が水槽本体12の底壁板14および一対の第二の側壁板18,18に密着状に固着されることにより、水槽本体12に密接して固定されている。また、内側竪壁22の上端部付近には、開口窓24が設けられている。開口窓24には、必要に応じて金網等が張設されている。また、内側竪壁22の上端部は、水槽本体12の開口端部と略同一の高さに位置せしめられている。
【0030】
また、水槽本体12における長手方向の両端部付近には、それぞれ、外側竪壁26が設けられている。外側竪壁26は、略矩形平板形状を有しており、水槽本体12の長手方向両端部に位置する第一の側壁板16と長手方向で離隔して対向位置せしめられている。また、外側竪壁26は、その下端部および幅方向両端部が水槽本体12の底壁板14および一対の第二の側壁板18,18に密着状に固着されることにより、水槽本体12に密接して固定されている。また、外側竪壁26の上端部は、内側竪壁22と同様に、水槽本体12の開口端部と略同一の高さに位置せしめられている。
【0031】
さらに、第一の側壁板16と外側竪壁26の対向面間には、第一隔壁28、第二隔壁30および第三隔壁32が、第二の側壁板18等と平行に延びるようにして立設されている。これら第一乃至第三隔壁28,30,32は、略矩形平板形状を呈しており、底壁板14の幅方向(図2中、上下)に離隔して、それぞれ位置決め配置されていると共に、底壁板14や第一の側壁板16、外側竪壁26に密着状に固着されている。これにより、第一の側壁板16と外側竪壁26の対向面間には、4つの空間が独立して設けられている。
【0032】
而して、底壁板14、第一及び第二の側壁板16,18、外側竪壁26および第一隔壁28で区画された空間には、泡沫分離槽34が設けられている。泡沫分離槽34には、外部から上方開口部を通じて槽内部に開口する外部供給管路36が必要に応じて配設されていると共に、所定の高さ位置に図示しないバッグフィルタおよび回転羽根やジェットシャワ、エアやオゾン噴出器等の泡沫発生手段を備えた泡沫分離器38が配設されている。また、泡沫分離槽34には、後述する排水用管路40が導かれて、排水が注ぎ込まれるようになっている。更にまた、泡沫分離槽34には、後述するエア供給管路44が導かれて、排水中に開口するようになっている。このような泡沫分離槽34においては、排水用管路40を通じて排水が流入されると共に、必要に応じて、外部供給管路36から養殖水等が注ぎ込まれることにより、排水の水面が泡沫分離器38に接する位置に保持されるようになっている。そして、泡沫分離槽34内の排水にエア供給管路44を通じて曝気処理を施して水面に泡沫を生ぜしめると共に、必要に応じて、泡沫分離器38の泡沫発生手段によって水面に泡沫を発生することにより、水面を漂う排水中の汚染物質が泡沫に付着されて、該泡沫が泡沫分離器38のバッグフィルタに拾集されるようになっている。
【0033】
また、第一隔壁28を隔てて泡沫分離槽34の隣りに位置する、底壁板14、第一の側壁板16、外側竪壁26および第一及び第二隔壁28,30で区画された空間には、曝気槽42が設けられている。かかる曝気槽42には、排水が貯められるようになっていると共に、前述の泡沫分離槽34に導かれるエア供給管路44aと分岐して延びるエア供給管路44bが導かれて、排水中に開口するようになっている。これにより、曝気槽42内の排水が、エア供給管路44を通じて曝気されるようになっている。また、泡沫分離槽34と曝気槽42は、図4にも拡大して示されているように、第一隔壁28の下端部に貫設された連通口46を通じて相互に連通されている
【0034】
更にまた、第二隔壁30を隔てて曝気槽42の隣りに位置する、底壁板14、第一の側壁板16、外側竪壁26および第二及び第三隔壁30,32で区画された空間には、第一の濾過槽48が設けられていると共に、第三隔壁32を隔てて第一の濾過槽48の隣りに位置する、底壁板14、第一及び第二の側壁板16,18、外側竪壁26および第三隔壁32で区画された空間には、第二の濾過槽50が設けられている。これら第一及び第二の濾過槽48,50は、第三隔壁32の下端部に貫設された連通口52を通じて相互に連通されていると共に、濾過材54を備えている。濾過材54は、貝殻や活性炭、珊瑚等を用いて形成されており、透水性を有していると共に、第三隔壁32の連通口52を通じて両濾過層48,50の底壁板14に敷設されている。また、濾過材54には、好適には、排水中の汚染物質の分解機能を有する好気性細菌等のバクテリアを含む微生物が付着されている。
【0035】
また、曝気槽42と第一の濾過槽48は、第二隔壁30の上端部付近に貫設された連通口56によって、相互に連通されている。これにより、排水用管路40から排出される排水が、泡沫分離槽34に流入されて、泡沫分離器38によって主に水面を浮遊する汚染物質等が除去されると共に、第一隔壁28の連通口46を通じて曝気槽42に導き入れられる。なお、本実施形態では、排水が泡沫分離槽34に流入されると共に、第一隔壁28の連通口46を通じて曝気槽42に導き入れられることにより、泡沫分離槽34における排水の水位が、水面が泡沫分離器38に接する高さに保持され難くなることもあり得るが、泡沫分離槽34に設けられた外部供給管路36を通じて養殖水等を流し込むことにより、排水の水位が目的とする位置に設定される。要するに、泡沫分離槽34における排水の水位は、排水等の流入量や第一隔壁28の連通口46の大きさ等によって容易に調整され得る。
【0036】
さらに、曝気槽42における泡沫分離槽34から流入された排水は、エア供給管路44により曝気処理されると共に、第二隔壁30の連通口56を通じてオーバーフロー乃至はエアリフト作用により第一の濾過槽48に導き入れられる。更にまた、第一の濾過槽48における排水は、濾過材54を介して濾過されると共に、第三隔壁32の連通口52を通じて第二の濾過槽50に導き入れられて、そこで更に濾過材54を透過して濾過されるようになっている。特に本実施形態では、曝気槽42における曝気処理に伴い溶存酸素濃度が高められた排水が、好気性バクテリアを付着した濾過材54を透過せしめられることにより、好気性バクテリアの活発化に伴う汚染物質の分解作用によって浄化されることとなる。
【0037】
また、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における一対の第二の側壁板18,18の対向面間には、仕切板58が配設されている。かかる仕切板58は、略矩形平板形状を有しており、その幅方向両端部が内側竪壁22と外側竪壁26に、下端部が底壁板14に、それぞれ密着状に固着されることにより、第二の側壁板18と平行に延びるようにして水槽本体12に固定されている。また、仕切板58は、第二の濾過槽50の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側に偏倚して位置決め配置されている。これにより、本実施形態では、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における一対の第二の側壁板18,18の対向面間が、仕切板58によって二分されている。以て、底壁板14や内外側竪壁22,26、第二の側壁板18、仕切板58で区画された空間において、仕切板58を挟んで、泡沫分離槽34の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、養殖水槽60が形成されていると共に、第二の濾過槽50の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、前処理水槽62が形成されている。なお、仕切板58の上端部は、水槽本体12の開口端部と略同じ高さに設定されている。
【0038】
そこにおいて、特に本実施形態の養殖装置10においては、水槽本体12に各一対の内側竪壁22、外側竪壁26、第一乃至第三隔壁28,30,32、仕切板58が設けられていることにより、泡沫分離槽34や曝気槽42、第一及び第二の濾過槽48,50、養殖水槽60、前処理水槽62が各一対ずつ設けられている。
【0039】
また、養殖水槽60には、仕切壁64が配設されている。かかる仕切壁64は、略長手状の矩形平板形状を呈しており、その下端部が底壁板14に固着されると共に、幅方向両端部が内側竪壁22と外側竪壁26に、それぞれ固着されることにより、仕切板58等と平行に延びるようにして養殖水槽60に固設されている。特に本実施形態では、図5〜6にも拡大して示されているように、仕切壁64が、養殖水槽60において仕切板58と対向位置せしめられる第二の側壁板18付近に設けられていると共に、仕切壁64の高さ寸法が、仕切板58や第二の側壁板18の高さ寸法、換言すれば養殖水槽60の深さ寸法の略1/2に設定されている。これにより、養殖水槽60の深さ方向(図5中、上下)中間部分より下方が、仕切壁64によって二分されている。
【0040】
また、養殖水槽60にあって、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における仕切板58と仕切壁64の対向面間には、水平方向(図5中、左右)に拡がるようにして中間底壁66が配設されている。中間底壁66は、略矩形平板形状を呈する簀の子68に金網70が全体に亘って載置された構造とされており、多孔質構造を有している。そして、中間底壁66は、内外側竪壁22,26の対向面間における仕切板58と仕切壁64の対向面間の深さ方向中間部分に位置せしめられると共に、該中間底壁66の幅方向両端部や長手方向両端部等が、仕切板58や仕切壁64、内外側竪壁22,26等に支持されることにより、養殖水槽60に収容配置されている。これにより、本実施形態では、中間底壁66が底壁板14よりも鉛直方向上方(図5中、上)に位置して底壁板14と対向位置せしめられており、以て、養殖水槽60が二重底構造とされていると共に、中間底壁66、底壁板14、内外側竪壁22,26、仕切板58および仕切壁64で区画された空間には、底内領域72が形成されている。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、養殖水槽60の下底が底壁板14を含んで構成されていると共に、養殖水槽60の中間底が中間底壁66を含んで構成されている。
【0041】
また、中間底壁66には、粉末状乃至は粒状のゼオライト(所謂、イズカライト)の多数が敷き詰められている。更に、ゼオライトには、デンプン分解細菌、セルロース分解細菌、タンパク分解細菌、尿素分解細菌、脱アミノ細菌(ペプトン→NH )、アンモニア酸化細菌(NH →NO )、亜硝酸酸化細菌(NO →NO )、硝酸還元細菌(NO →NO )、脱窒細菌(NO →N)等のバクテリアの一種類乃至は複数種類が付着されている。本実施形態では、これらのゼオライトとバクテリアを含んで濾過分解層74が構成されている。また、濾過分解層74は、中間底壁66の全体に亘って略一定の厚さ寸法をもって敷設されていると共に、その上端面が仕切壁64の上端部よりも僅かに下方に位置せしめられている。
【0042】
これにより、養殖水槽60における中間底壁66を挟んで底内領域72と反対側には、濾過分解層74を備えた魚介類の養殖領域76が形成されている。そこにおいて、本実施形態では、養殖する魚介類として、例えば車エビやヒラメ、蛤等の水中砂地生息生物が採用される場合に、かかる濾過分解層74を水中砂地生息生物の生息領域として利用することが可能である。
【0043】
また、内側竪壁22と外側竪壁26の対向面間における仕切壁64と第二の側壁板18の対向面間には、傾斜部材78が設けられている。傾斜部材78は、長手状のブロック状を呈しており、幅方向両端部が仕切壁64と第二の側壁板18に、それぞれ当接されている一方、長手方向一方の端部が外側竪壁26に当接されていると共に、長手方向他方の端部が内側竪壁22と所定距離だけ離隔して対向位置せしめられた形態で、養殖水槽60に固定的に収容配置されている。また、傾斜部材78の高さ寸法が、外側竪壁26から内側竪壁22に向かって次第に小さくされている。これにより、傾斜部材78の上端面には、スロープ状の傾斜底としての傾斜面80が設けられている。
【0044】
さらに、傾斜部材78の下傾方向端部となる長手方向他方の端部と離隔して対向位置せしめられた内側竪壁22には、略円孔形状の排水口82が貫設されている。更にまた、この排水口82に対して排水管84が着脱可能に取り付けられている。排水管84は、二本のストレート管をエルボで着脱可能に接続せしめた屈曲管状を呈している。そして、排水管84の一方の開口部が、排水口に82に着脱可能に取り付けられていると共に、他方の開口部が傾斜部材78の下傾方向端部から鉛直方向上方に延びて、養殖水槽60の仕切壁64よりも高い位置で開口している。これにより、本実施形態では、養殖水槽60に養殖水が入れられると、養殖水の水位が排水管84の上方開口部の高さ位置に設定されると共に、排水管84を通じて内側竪壁22の排水口82から養殖水として利用済みの排水が排出されるようになっている。従って、養殖水が養殖水槽60に常時注ぎ込まれることにより、養殖水の水位が排水管84の上方開口部の高さ位置に保持されると共に、排水が排水口82から連続的に排出されることとなり、養殖領域76および底内領域72には、養殖水が充填されるようになっている。なお、養殖水は、養殖する魚介類の生息環境に応じて適宜に設定されるものであり、本実施形態では、例えば養殖する魚介類として車エビ等が採用されることにより、天然または人工海水とされている。
【0045】
また、養殖水槽60において、傾斜部材78に近設された第二の側壁板18と対向位置せしめられた仕切板58には、複数(本実施形態では、各仕切板58に4つ)の吐出窓86が貫設されている。これら吐出窓86は、仕切板58の幅方向(図3中、左右)に長手状に延びる長孔形状を呈しており、該幅方向に、それぞれ所定の離隔距離をもって位置決め配置されている。また、吐出窓86の養殖水槽60に対する開口位置が、養殖水槽60の水面近くに、より具体的には水面よりも僅かに下方に、且つ濾過分解層74の上端面よりも上方に設定されている。なお、吐出窓86には、金網等の網状部材が張設されている。
【0046】
さらに、このような養殖水槽60と仕切板58を隔てて隣接される前処理水槽62には、その壁部の一部を構成する外側竪壁26において、連通口88が貫設されている。換言すれば、連通口88は、第二の濾過槽50の壁部の一部を構成する外側竪壁26の上端部付近に貫設されている。これにより、上述の如く、泡沫分離槽34から曝気槽42、第一の濾過槽48および第二の濾過槽50を通じて浄化せしめられた水が、第二の濾過槽50における連通口88を通じてのオーバーフローにより前処理水槽62に注ぎ込まれるようになっている。
【0047】
また、前処理水槽62には、覆設板90が取り付けられている。かかる覆設板90は、仕切板58の幅方向に沿って略一定の屈曲乃至は湾曲状断面で延び、その幅方向両端部が内側竪壁22と外側竪壁26に、それぞれ固着されている。また、覆設板90の上端部が、仕切板58における複数の吐出窓86よりも上方の周壁部に固着されていると共に、覆設板90の下端部が、仕切板58から前処理水槽62の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側に向かって僅かに離隔位置せしめられた底壁板14の上端部に固着されている。これにより、本実施形態では、複数の吐出窓86が、覆設板90によって覆われて前処理水槽62と仕切られていると共に、覆設板90と仕切板58の間には、両板58,90の幅方向(図3中、左右)に沿って延びる流水通路92が形成されている。
【0048】
さらに、覆設板90の幅方向一方の端部付近には、落水管94が貫設されている。落水管94は、前述の排水管84と略同様に、ストレートに延びる第一管体96と第二管体98をエルボ100で接続せしめた屈曲管構造を有している。また、落水管94は、第一管体96が覆設板90に対して貫通配置されると共に、第一管体96の外方端部がエルボ100を介して第二管体98と着脱可能に接続されることにより、覆設板90に取り付けられている。また、かかる取り付け状態下にあって、落水管94における第二管体98は、前処理水槽62の開口部に向かってストレートに延びるようにして取り付けられており、該第二管体98の開口部が前処理水槽62の所定の高さ位置で開口している。これにより、本実施形態では、前処理水槽62に養殖水が入れられると、養殖水の水位が落水管94における第二管体98の上方開口部の高さ位置に設定されると共に、養殖水が、落水管98を通じて流水通路92に案内され、更に仕切板58に貫設された複数の吐出窓86を通じて養殖水槽60に流入されるようになっている。
【0049】
また、特に本実施形態では、流水通路92の底部の略全長に亘ってエアホース102が配設されている。かかるエアホース102には、流水通路92の上方に向かって開口する多数の吐出孔104が設けられていると共に、後述する供給ブロワ106からエアが供給されるようになっている。従って、落水管94から流水通路92、吐出窓86を通じて養殖水槽60に養殖水を送る際に、エアホースの吐出孔104から多数のエアを吐出せしめることにより、吐出窓86から養殖水と共にエアが養殖水槽60に吐出される。それによって、かかるエアを利用した養殖水のリフト作用に伴い、養殖水槽60の水面近くに開口する吐出窓86が設けられた仕切板58から排水口82や傾斜部材78が設けられた側の第二の側壁板18に向かう水流が発生するようになっている。また、それに加えて、エア吐出による酸素供給に伴い流水通路92内の養殖水の溶存酸素濃度が高められる。なお、上述の説明からも明らかなように、本実施形態では、養殖領域76の周壁部の内周面において、収容された養殖水の水面近くに開口してエアを略水平方向に吐出するエア吐出口が、吐出窓86を含んで構成されている。
【0050】
さらに、前処理水槽62の下底部には、共通管路108が配置されている。この共通管路108は、前処理水槽62の長手方向(図2中、左右)に延び両端部が閉塞せしめられた中空管体構造とされている。また、共通管路108の長手方向一方の端部付近には、落水管路110が着脱可能に取り付けられている。落水管路110は、前処理水槽62の開口部に向かってストレートに延びる管体構造とされており、一方の開口部が共通管路108に接続されて連通状態とされていると共に、他方の開口部が前処理水槽62の開口部に向かって上方に開口している。また、落水管路110の上方開口部が、前記覆設板90に貫設された落水管94における第二管体98の上方開口部と略同じ高さに位置せしめられている。
【0051】
また、共通管路108には、複数(本実施形態では、各共通管路108に4つ)の吐出管112が取り付けられている。これら吐出管112は、共通管路108の長手方向に所定の離隔距離をもって位置決め配置されていると共に、該長手方向に直交する方向にストレートに延びる管体構造とされている。また、吐出管112は、共通管路108を介して落水管路110と接続されている一方、共通管路108の接続端部と反対側の突出先端部が閉塞されている。更に、これらの吐出管112が、水槽本体12の幅方向(図6中、左右)に延び、覆設板90および仕切板58を貫通して、養殖水槽60の底内領域72に収容配置されている。
【0052】
さらに、底内領域72に配置せしめられた吐出管112には、吐出管112の長手方向(図6中、左右)に所定の間隔をおいて複数(本実施形態では2つ)の開口部分114が貫設されている。そこにおいて、これらの開口部分114は、吐出管112の周壁部における鉛直下方となる略半周の領域に位置せしめられており、底壁板14に向かって下方に開口している。これにより、本実施形態では、前処理水槽62における落水管路110に導かれる養殖水が、共通管路108を介して各吐出管112に案内されると共に、各吐出管112に形成された開口部分114から底内領域72の底壁板14に向かって下方に吐出される。而して、養殖水が、底内領域72に広範囲に拡げられた後に、上昇せしめられて、中間底壁66から濾過分解層74を介して養殖領域76に至る水流が生ぜしめられるようになっている。このような吐出管112からの養殖水の吐出圧は、共通管路108に対して例示の落水管路110に代えて、該落水管路110の高さ寸法と異なる高さ寸法の落水管路を取り付けて、前処理水槽62における養殖水の水位、ひいては養殖水の位置エネルギを設定変更すること等により、容易に調節される。
【0053】
また、特に図面上に明示されていないが、前処理水槽62には、エアホース等を含む酸素供給装置が取り付けられていたり、或いは過酸化カルシウムや炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等を含む固形酸素発生剤が投入されたり等するようになっている。これにより、前処理水槽62の養殖水が、酸素供給装置によって酸素供給が施されたり、養殖水に固形酸素発生剤が溶解したりすること等によって、水中の溶存酸素濃度が予め調節されるようになっている。以て、溶存酸素濃度が調節済の養殖水が、前処理水槽62における落水管94、流水通路92を通じて複数の吐出窓86から養殖水槽60の養殖領域76に吐出されると共に、落水管路110、共通管路108、複数の吐出管112を通じて該吐出管112の開口部分114から底内領域72において下方に向けて吐出されるようになっている。
【0054】
さらに、一対の第二の側壁板18,18の対向面間における一対の内側竪壁22,22の対向面間には、排水仕切板116が設けられている。排水仕切板116は、略矩形平板形状を呈しており、その幅方向両端部が両内側竪壁22,22に、下端部が底壁板14に、それぞれ密着状に固着されることにより、第二の側壁板18と平行に延びるようにして水槽本体12に固定されている。また、排水仕切板116は、水槽本体12における一対の仕切板58,58と略平面視一直線上に配置されており、それによって、前処理水槽62の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側に偏倚して位置決め配置されている。これにより、本実施形態では、一対の内側竪壁22,22の対向面間における一対の第二の側壁板18,18の対向面間が、排水仕切板116によって二分されている。以て、底壁板14や一対の内側竪壁22,22、第二の側壁板18、排水仕切板116で区画された空間において、排水仕切板116を挟んで、養殖水槽60の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、排水槽118が形成されていると共に、前処理水槽62の壁部の一部を構成する第二の側壁板18側には、収容スペース120が形成されている。なお、排水仕切板116の上端部は、水槽本体12の開口端部と略同じ高さに設定されている。
【0055】
また、排水槽118は、長手方向で離隔して対向位置せしめられる一対の養殖水槽60,60の対向面間を利用して形成されており、各内側竪壁22に設けられた排水口82を通じて、各養殖水槽60と連通されている。また、排水槽118の底部(底壁板14)には、図7にも拡大して示されているように、排水パイプ122が取り付けられている。排水パイプ122の一方の開口部は、底壁板14を貫通して排水槽118に開口していると共に、他方の開口部は、水槽本体12の幅方向一方(図7中、左)に延び、開閉バルブ124を介して外部に開口している。これにより、各排水口82を通じて各養殖水槽60から排水槽118に排出される排水が、必要に応じて、開閉バルブ124を開くことにより、排水パイプ122を通じて外部に排出されるようになっている。
【0056】
また、排水仕切板116を挟んで排水槽118の反対側に位置する収容スペース120の開口部には、蓋部材126が配設されている。蓋部材126は、収容スペース120の開口部を略全体に亘って覆蓋しており、排水仕切板116の上端部や内側竪壁22の上端部等に対して丁番等を介して開閉可能に取り付けられている。
【0057】
さらに、収容スペース120には、排水用管路40が収容配置されている。排水用管路40は、排水仕切板116の下端部を貫通して排水槽118に接続されていると共に、収容スペース120に設置された循環ポンプ128および殺菌装置130を介して排水仕切板116の外側周壁部に沿って幅方向に延びている。循環ポンプ128は、排水槽118の排水を排水用管路40を通じて吸い上げて、殺菌装置130に導くようになっている。殺菌装置130は、排水に紫外線を照射して殺菌を行う紫外線照射部を備えている。
【0058】
更にまた、排水用管路40は、水槽本体12における各一対の内側竪壁22,22および外側竪壁26,26を貫通して仕切板58の外側周壁部に沿って水槽本体12の長手方向(図2中、左右)に延びていると共に、第二の濾過槽50内で屈曲されて第一乃至第三隔壁28,30,32を貫通して外側竪壁26の外側周壁部に沿って水槽本体12の幅方向に延びている。而して、収容スペース120から突出する排水用管路40の両端開口部が、水槽本体12の長手方向両端に位置する各泡沫分離槽34に開口している。これにより、排水槽118の排水が、排水用管路40を通じて循環ポンプ128の吸水作用に伴い殺菌装置130に導かれて殺菌処理された後に、仕切板58および外側竪壁26の外側周壁部に沿って延びる排水用管路40を通じて各泡沫分離槽34に流入されるようになっている。
【0059】
また、収容スペース120には、供給ブロワ106が設置されており、更に、この供給ブロワ106に対してエア供給管路44が接続されている。エア供給管路44は、供給ブロワ106から収容スペース120の上方に向かって延びていると共に、排水仕切板116の外側周壁部に支持されて、排水用管路40と平行に延びている。更にまた、エア供給管路44は、排水用管路40と並設されるようにして、水槽本体12における各一対の内側竪壁22,22および外側竪壁26,26を貫通して仕切板58の外側周壁部に沿って水槽本体12の長手方向(図2中、左右)に延びていると共に、第二の濾過槽50内で屈曲されて第二及び第三隔壁30,32を貫通して外側竪壁26の外側周壁部に沿って水槽本体12の幅方向に延びている。また、エア供給管路44は、第二及び第三隔壁30,32の対向面間において分岐されており、分岐された一方の管路44bが第二及び第三隔壁30,32の対向面間に位置せしめられていると共に、他方の管路44aが第一隔壁28を貫通している。而して、収容スペース120から突出するエア供給管路44の各開口部が、水槽本体12の長手方向両端に位置する各泡沫分離槽34および各曝気槽42の排水中に開口している。これにより、供給ブロワ106から送出されるエアが、エア供給管路44を通じて各泡沫分離槽34および各曝気槽42に供給されるようになっており、以て、泡沫分離槽34および曝気槽42内の排水に曝気処理が施されるようになっている。
【0060】
なお、エア供給管路44は、各前処理水槽62において分岐されており、分岐された一方の管路が上述の如き泡沫分離槽34および曝気槽42に導かれていると共に、他方の管路が覆設板90を貫通して流水通路92内の底部に配置されたエアホース102に接続されている。これにより、エアホース102にも、エア供給管路44を介して供給ブロワ106からエアが供給されるようになっている。
【0061】
更にまた、収容スペース120には、制御盤132が設置されている。制御盤132は、泡沫分離器38や循環ポンプ128、供給ブロワ106、殺菌装置130、その他、排水用管路40やエア供給管路44等に設けられた図示しない流量調節弁や水槽本体12に設けられた水加熱器や酸素供給装置等を駆動制御するコントローラを備えている。更に、制御盤132には、水槽本体12に設けられた図示しない養殖水のpH測定器や水温計、溶存酸素濃度検出器等から出力される電気信号を制御量に変換して、該制御量を目標値と比較し、目標とする制御量に訂正動作するように前述のコントローラを自動的に制御する制御装置が設けられている。これにより、本実施形態の養殖装置10においては、養殖水の水温や溶存酸素濃度等が自動的に設定、管理されるようになっている。
【0062】
次に、上述の如き構造とされた養殖装置10における一使用形態である一具体例について説明するが、本実施形態は、かかる具体例に限定されるものでない。
【0063】
先ず、一対の養殖水槽60,60における養殖領域76,76に、それぞれ、例えば稚エビや稚魚またはある程度成長した車エビやその他各種の海水魚等を含む魚介類の多数を入れると共に、養殖水槽60に天然海水または人工海水からなる養殖水を入れる。養殖水槽60に対する養殖水の流入は、養殖水槽60に直接に注ぎ込むか、或いは養殖水槽60に並設された前処理水槽62より行う。特に後者を採用する場合においては、前処理水槽62における落水管94および落水管路110の高さ寸法よりも高い位置まで養殖水を注ぎ入れると共に、該養殖水に図示しない酸素供給装置を用いて酸素を供給すること等により、予め養殖水の溶存酸素濃度を調節しておく。
【0064】
さらに、前処理水槽62における養殖水の位置エネルギを利用して、溶存酸素濃度が調節された調節済の養殖水を、落水管路110から共通管路108を介して複数の吐出管112に導いて該吐出管112の複数の開口部分114から吐出させる。これにより、調節済の養殖水を、養殖水槽60の底内領域72において下方に向かって吐出させて、底内領域72の底壁板14に当接する等して広範囲に拡げた後に、中間底壁66に向かって上昇させる。そして、養殖水を、中間底壁66に支持された濾過分解層74に透過させて、養殖領域76に導く。特に本実施形態では、溶存酸素濃度を調節した養殖水が好気性バクテリアを含んだ濾過分解層74を透過することにより、好気性バクテリアが酸素供給によって活発化せしめられて、養殖水中の汚染物質が良好に分解される。従って、濾過分解層74を含む養殖領域76には、浄化された養殖水が導かれる。なお、本実施形態では、養殖水の溶存酸素濃度が、好気性バクテリアによる酸素供給によって低下せしめられた後に養殖領域76における魚介類に必要な酸素量が供給されるように設定されている。
【0065】
また、上述の如く、前処理水槽62における養殖水の位置エネルギを利用して調節済の養殖水を落水管路110から養殖水槽60の底内領域72に導き入れると共に、同エネルギを利用して調節済の養殖水を落水管94から流水通路92を通じて仕切板58に設けられた複数の吐出窓86から養殖水槽60の養殖領域76に導き入れる。また、これに際して、流水通路92の底部に配設されたエアホース102の吐出孔104からエアを吐出させることにより、流水通路92内の養殖水に酸素を供給して溶存酸素濃度を高める。
【0066】
そして、養殖水槽60に養殖水を注ぎ込むと、排水管84の上方開口部よりも上方に位置する養殖水は、排水管84を通じて排水槽118に排水として吐出する。これにより、養殖水槽60における養殖水の水位が、排水管118の上方開口部の高さ位置に設定される。
【0067】
さらに、排水槽118に吐出された排水は、排水用管路40を通じて殺菌装置130で殺菌処理を施した後に、泡沫分離槽34に導いてエア供給管路44による曝気乃至は泡沫発生処理や泡沫分離器38により排水中の所定の汚染物質を取り除くと共に、第一隔壁28の連通口46を通じて曝気槽42に導く。また、曝気槽42の排水をエア供給管路44で曝気処理を施すことに伴い溶存酸素濃度を高めた後に、第二隔壁30の連通口56を通じてオーバーフローにより第一の濾過槽48に導く。更に、溶存酸素濃度を高めた排水を好気性バクテリアを付着した濾過材54に透過させることにより、バクテリアによる汚染物質の分解作用に伴い浄化すると共に、第三隔壁32形成された連通口52を通じて第二の濾過槽50に導く。そして、第二の濾過槽50において、排水を第一の濾過槽48と同様な濾過材54を用いて浄化する。これにより、排水が浄化されて養殖水として再利用可能になる。
【0068】
更にまた、第二の濾過槽50における浄化された養殖水を、外側竪壁26に設けられた連通口88を通じてオーバーフローにより前処理水槽62に導く。而して、前処理水槽62において、落水管94の上方開口部および落水管路110の上方開口部よりも上方に位置する養殖水を落水管94および落水管路110を通じて養殖水槽60の養殖領域76および底内領域72に導くことにより、前述の態様が連続して行われる。即ち、本実施形態の養殖装置10においては、養殖水が循環して再利用されるようになっている。
【0069】
また、養殖領域76において魚介類を養殖するに際して、養殖水中に浮遊したり、或いは濾過分解層74に堆積したり埋没したりする残餌や糞等のゴミの回収が必要となる。そこにおいて、本実施形態では、以下のようにしてゴミの回収が行われる。
【0070】
すなわち、吐出管112から吐出されて底内領域72から濾過分解層74を通じて養殖領域76に至る養殖水の水流を利用して、養殖領域76におけるゴミを水面近くに浮上させる。また、流水通路92から吐出窓86を介して養殖領域76に養殖水を入れる際に、流水通路92の底部に配設されたエアホース102の吐出孔104からエアを吐出させて、吐出窓86から養殖水と併せて養殖領域76に吐出させることにより、養殖領域76の水面近くにおいて吐出窓86が形成された仕切板58から傾斜面80が設けられた側の第二の側壁板18に向かう水流を発生させる。これにより、水面近くを浮遊するゴミを、仕切板58から第二の側壁板18に向かう水流に乗せて略傾斜面80上に集める。そして、かかる傾斜面80上に浮遊するゴミを、タモ等で掬ったり、或いは内側竪壁22に設けられた排水口82から排水管84を取り外すことによって養殖水を排水槽118に排出する際に傾斜面80の上傾方向側端部から下傾方向側端部に向かう水流に乗せて、排水口82から排水槽118に排出したりする。これにより、養殖領域76からゴミが除去される。
【0071】
また、本実施形態では、養殖水が排水管84を通じて循環されることによって、前述の底内領域72から養殖領域76に至る水流と水面近くで仕切板58から第二の側壁板18に向かう水流が常時発生していることから、ゴミが第二の側壁板18付近に常時集められている。但し、給餌の際には、上述の二つの水流によって餌が第二の側壁板18付近に集められて、養殖領域76の全体に亘って均一に給餌が行い難くなることを回避するために、エアホース102からのエア吐出を中止したり、落水管路110の上方開口部を覆蓋する等して上述の二つの水流を止めることが望ましい。
【0072】
上述の如き構造とされた養殖装置10においては、吐出管112の開口部分114から吐出される養殖水が底壁板14に向かって吐出されることにより、底内領域72で広範囲に拡げられた後に、濾過分解層74を透過して養殖領域76に導かれる。その結果、吐出管112から吐出された養殖水が濾過分解層74に対して広範囲に亘って略均一に透過せしめられることとなり、有利に浄化された養殖水が養殖領域76に導かれることから、コンパクトなサイズで魚介類の養殖が良好に実現され得る。
【0073】
また、本実施形態では、養殖領域76における養殖水中に浮遊されたり、或いは濾過分解層74に堆積されたり、埋没されたりする魚介類の残餌やゴミ等が、底内領域72から濾過分解層74を通じて養殖領域76に至る養殖水の水流と水面近くにおいて仕切板58から第二の側壁板18に向かう養殖水の水流を利用して、一箇所に浮遊して集められることから、優れた除去作業が実現され得る。
【0074】
さらに、本実施形態では、二つの養殖水槽60,60が設けられていることにより、例えば、一方の養殖水槽60の養殖水を排出して魚介類を採取したり、養殖水槽60を清掃したりする際に、かかる養殖水を廃棄せずに他方の養殖水槽に一時貯留させておくことも可能であり、それによって、より効率的な養殖業が実現され得る。また、一方の養殖水槽60と他方の養殖水槽60において、異なる種類や大きさ等の魚介類を同時に養殖すること等も出来るという利点がある。
【0075】
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【0076】
例えば、前記実施形態に係る養殖装置においては、養殖水槽が二つ設けられていたが、一つにしたり、或いは二つ以上設けられることも勿論可能である。
【0077】
また、前記実施形態では、略同じ大きさの養殖水槽が一対設けられていたが、仕切板や竪壁等を増設したり、設置位置を変更したりすること等によって、大きさが互いに異なる一対の養殖水槽を設けることも可能である。
【0078】
また、前記実施形態では、排水パイプが排水槽にのみ取り付けられていたが、かかる排水パイプの設ける位置や数等は特定されるものでなく、例えば排水槽に取り付けられた排水パイプに加えて或いは代えて該排水パイプを養殖水槽等に取り付けることも可能である。また、前記実施形態の養殖装置にあって、排水パイプは必須のものでない。
【0079】
また、前記実施形態の養殖装置においては、FRP等で形成された水槽本体を含んで構成されていたが、これに限定されるものでなく、例えばコンクリート等で形成された水槽本体に仕切板や内外側竪壁、吐出管等を配設することによって構成することも可能である。
【0080】
また、前記実施形態における泡沫分離槽や第一及び第二の濾過槽等においては、例示の如き構造のものに限定されるものでなく、公知の各種の泡沫分離槽や濾過槽等を採用することが可能である。
【0081】
また、前記実施形態における殺菌装置や泡沫分離槽、第一及び第二の濾過槽等は、必ずしも設けられている必要はない。
【0082】
また、前記実施形態では、濾過分解層を含む養殖領域に嫌気性バクテリアを収容することも可能であり、それによって、水中における有害物質の脱窒作用等が発揮されるようにしても良い。
【0083】
また、本実施形態における底内領域や養殖領域、前処理水槽等において、例えば溶存酸素濃度を高めたり、水流を生ぜしめたりするために吐出されるエアとしては、大気を採用する他、酸素ガスやその他成分調整ガスを採用することも可能である。
【0084】
加えて、前記実施形態では、養殖水を再利用する循環型の養殖装置に本発明を適用した具体例を示したが、その他に、例えば、養殖水を海洋等に還元する貯水池等に本発明を適用することも可能である。また、陸上に固定的に設置される水槽の他、例えば船やトラック等に設置されるイケス等にも、本発明は適用可能であり、そのような態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【0085】
【実施例】
次に、本発明に係る養殖装置をより具体的に明らかにするために、表1〜3等を参照しつつ、本養殖装置において養殖した魚介類の成長具合および養殖水の水質に関して測定した実験を実施例として説明する。
【0086】
先ず、前記実施形態と同様な構造とされた養殖装置10を準備した。また、養殖装置10における水槽本体12の長手寸法を略12mに設定すると共に、幅寸法を略1.5〜2mに設定し、更に深さ寸法を略1mに設定した。また、各養殖水槽60の容積を略7〜9mに設定した。更に、平成15年4月25日に養殖水槽60に養殖水としての市販の人工海水を注水すると共に循環させて、養殖魚を育成する環境を準備した。また、人工海水における底壁板14からの水位を略60〜80cmに設定した。
【0087】
また、平成15年4月29日に、一方の養殖水槽60に養殖魚Aを1200尾入れると共に、他方の養殖水槽60に養殖魚Aを1000尾入れた。なお、投入時における養殖魚Aの平均体長は、略4cmであると共に、平均体重が略1gであった。そして、1200尾入れた一方の養殖水槽60における養殖魚Aの成長を観察記録すると共に、1000尾入れた他方の養殖水槽60における養殖魚Aの成長を観察記録した。その結果を、それぞれ、実施例1および実施例2として表1〜2に示す。また、所定の大きさの水槽の底部に濾過分解層74を敷設した図示しない比較装置を用意し、平成15年5月24日に上述の養殖装置10における浄化処理された排水の一部を導き入れると共に養殖装置10により循環させて、養殖魚を育成する環境を整えた。更に、平成15年5月28日に養殖魚Aを330尾入れた。かかる比較装置を用いて本実施例と同様な実験を行った結果を比較例として表1〜2に併せ示す。
【0088】
【表1】
Figure 2005058012
【0089】
【表2】
Figure 2005058012
【0090】
表1〜2に示される結果からも、本実施例においては、比較例に比して養殖魚の死亡率が低いことが明らかであり、それによって、養殖水が有利に浄化されて、養殖魚に良好な育成環境が供され得ることが推考される。
【0091】
また、本実施例では、上述の実施例1または2における養殖水槽60の水質について所定の日に測定した。その結果を表3に示す。なお、本実施例では、前述したように、養殖水として市販の人工海水を用いているが、かかる海水は、所定の期間、他の養殖魚の飼育に用いていたことにより、NO−Nの濃度(mg/L)等が高くなっている。また、本実施例では、平成15年5月31日に実施例1の養殖水槽60に入れられた養殖魚Aの2尾を実施例2の養殖水槽60に移した。
【0092】
【表3】
Figure 2005058012
【0093】
表3に示される結果からも、NO−N,PO−P等の好気性バクテリアを構成する乃至は活発化させる物質の濃度が飼育日から経過するに従って高くなることが明らかであり、その結果、好気性バクテリアの活発化に伴い養殖水中の有害物質の一つであるNH−Nが有利に分解されて、その濃度が0mg/Lに維持されていることが認められる。蓋し、濾過分解層に付着されるバクテリアに対して酸素が均一に且つ良好に供給されるからである。
【0094】
【発明の効果】
上述の説明から明らかなように本発明に従う構造とされた魚介類の養殖装置においては、吐出管の開口部分から吐出される養殖水が下底に向かって吐出されることにより、底内領域で広範囲に拡げられた後に、濾過分解層に対して下面の広範囲に亘って略均一に供給されて該濾過分解層を透過せしめられることとなる。それ故、濾過分解層の充分に広い領域での微生物の作用に基づいて養殖水が有利に浄化され得ると共に、濾過分解層の充分に広い範囲を透過して養殖領域で上方に向かう水流が生ぜしめられて魚介類の残餌やゴミ等が水面近くに有利に浮上され得て良好な除去作業が実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての養殖装置を養殖水を入れない状態でモデル的に示す一部切欠斜視説明図である。
【図2】図1における養殖装置に養殖水を入れた状態を示す平面説明図である。
【図3】図2におけるIII −III 断面図である。
【図4】図2におけるIV−IV断面の拡大説明図である
【図5】図2におけるV−V断面の拡大説明図である
【図6】図2におけるVI−VI断面の拡大説明図である
【図7】図2におけるVII −VII 断面の拡大説明図である
【符号の説明】
10 養殖装置
14 底壁板
60 養殖水槽
66 中間底壁
72 底内領域
74 濾過分解層
76 養殖領域
112 吐出管
114 開口部分

Claims (4)

  1. 養殖水が収容される、魚介類を養殖するための養殖水槽を備えた魚介類の養殖装置において、
    前記養殖水槽の下底よりも所定高さ上方に多孔の中間底を設けて二重底構造とし、該中間底で砂等を支持せしめて濾過分解層を形成することにより該中間底よりも上方に前記魚介類の養殖領域が形成され得るようにする一方、該中間底と該下底の間の底内領域に吐出管を配設すると共に、該吐出管の該底内領域への開口部分を下方に向けることにより、前記養殖水を該吐出管を通じて該底内領域で該下底に向けて吐出させて、該養殖水を該底内領域から前記濾過分解層を通じて前記養殖領域に至る水流を生ぜしめるようにしたことを特徴とする魚介類の養殖装置。
  2. 前記養殖水として、溶存酸素の濃度を予め調節したものを用い、該調節済の養殖水を前記吐出管を通じて前記養殖水槽に導き入れて、前記底内領域で該吐出管から前記下底に向けて吐出させるようにした請求項1に記載の魚介類の養殖装置。
  3. 前記養殖水槽における前記養殖領域の周壁部の内周面において、収容された前記養殖水の水面近くに開口してエアを略水平方向に吐出するエア吐出口を設ける一方、該養殖水槽において該エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部近くに排水口を設けて、該エア吐出口から吐出されるエアによって該養殖水の水面近くで該エア吐出口が設けられた周壁部から該排水口が設けられた側の周壁部に向かう水流が生ぜしめられるようにした請求項1又は2に記載の魚介類の養殖装置。
  4. 前記養殖水槽において、前記エア吐出口に対して対向位置する対辺側の周壁部に沿った周縁領域にスロープ状の傾斜底を設けると共に、該傾斜底の形成領域を前記濾過分解層が形成された前記中間底から区画する仕切壁を設け、更に該傾斜底のスロープの下傾方向側端部近くに前記排水口を設けた請求項3に記載の魚介類の養殖装置。
JP2003207414A 2003-08-12 2003-08-12 魚介類の養殖装置 Pending JP2005058012A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003207414A JP2005058012A (ja) 2003-08-12 2003-08-12 魚介類の養殖装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003207414A JP2005058012A (ja) 2003-08-12 2003-08-12 魚介類の養殖装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005058012A true JP2005058012A (ja) 2005-03-10

Family

ID=34363898

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003207414A Pending JP2005058012A (ja) 2003-08-12 2003-08-12 魚介類の養殖装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005058012A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109937952A (zh) * 2019-04-17 2019-06-28 山西农业大学 一种立体循环综合种养装置及其安装方法
CN114190307A (zh) * 2021-11-25 2022-03-18 中国水产科学研究院黄海水产研究所 半滑舌鳎循环水养殖肠炎防治方法
CN114375893A (zh) * 2022-01-21 2022-04-22 福建省水产研究所(福建水产病害防治中心) 一种日本对虾陶粒滤床养殖系统
CN115486407A (zh) * 2022-08-18 2022-12-20 中国海洋大学 一种牡蛎和对虾的混养水质监测取样装置
CN116114650A (zh) * 2023-03-15 2023-05-16 中国水产科学研究院东海水产研究所 一种实现养殖大黄鱼残饵与粪便分离的溢流箱

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109937952A (zh) * 2019-04-17 2019-06-28 山西农业大学 一种立体循环综合种养装置及其安装方法
CN114190307A (zh) * 2021-11-25 2022-03-18 中国水产科学研究院黄海水产研究所 半滑舌鳎循环水养殖肠炎防治方法
CN114190307B (zh) * 2021-11-25 2023-02-07 中国水产科学研究院黄海水产研究所 半滑舌鳎循环水养殖肠炎防治方法
CN114375893A (zh) * 2022-01-21 2022-04-22 福建省水产研究所(福建水产病害防治中心) 一种日本对虾陶粒滤床养殖系统
CN114375893B (zh) * 2022-01-21 2024-03-01 福建省水产研究所(福建水产病害防治中心) 一种日本对虾陶粒滤床养殖系统
CN115486407A (zh) * 2022-08-18 2022-12-20 中国海洋大学 一种牡蛎和对虾的混养水质监测取样装置
CN115486407B (zh) * 2022-08-18 2023-08-01 中国海洋大学 一种牡蛎和对虾的混养水质监测取样装置
CN116114650A (zh) * 2023-03-15 2023-05-16 中国水产科学研究院东海水产研究所 一种实现养殖大黄鱼残饵与粪便分离的溢流箱

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101679047B1 (ko) 조류 제거용 수상콤바인 장치
KR101295313B1 (ko) 생태복원을 위한 수생식물을 이용한 수질정화장치
KR20140036153A (ko) 쌍각류 등의 저서 생물의 다단식 양식 장치 및 양식 방법 및 이것을 사용한 바이오 필터
JPS588812B2 (ja) 魚類飼育水槽用水の浄化方法
KR101934267B1 (ko) 바이오플락시스템 유기고형물 제거장치
JP5954629B2 (ja) 二枚貝類の養殖兼富栄養化水域の水質及び底質浄化システム
WO2006029481A2 (en) Modular aquaculture system
JP2009060830A (ja) 循環式水槽およびこれを用いた魚介類の飼育方法
JPH09206788A (ja) 水質浄化方法とこれに用いる水質浄化装置
JP2003023914A (ja) 水産物の養殖装置
JP2005058012A (ja) 魚介類の養殖装置
KR101501348B1 (ko) 갯지렁이 양식 장치
JP3191503U (ja) 曝気装置
JP2005058013A (ja) 魚介類の養殖装置
JP2016208890A (ja) アワビの養殖方法とそのシステム
KR102131792B1 (ko) 해수조용 정수 시스템
JP6480071B1 (ja) 養殖装置
JP6217925B2 (ja) 飼育水槽用水浄化装置
JP2015061513A (ja) アワビ類の完全閉鎖循環式陸上養殖システム及びそれを用いたアワビ類の陸上養殖方法
CN210120854U (zh) 双鱼塘循环水生态养殖系统
JP3427091B2 (ja) 魚用水浄化装置
JP2005131455A (ja) 中空の浄化媒体および浄化装置
JP4586147B2 (ja) 浄水処理装置
JP2000126789A (ja) 湖沼、河川等の水質浄化機構。
JPH11197681A (ja) 濾過装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060424

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070727

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070802

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20071001

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081021

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090304