JP4065638B2 - 水陸性生物飼育槽 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蛍に代表される水生昆虫を含む水陸性生物の飼育槽に係り、より詳しくは、容器内に、水域とこれに接する陸域を設け、水域の水循環を行いつつ、生物を飼育する水陸性生物飼育槽に関する。
【0002】
【従来の技術】
水陸性生物である蛍のライフサイクルは、良く知られているように、夏に、湿潤環境である水辺に産卵された卵から孵化した幼虫が水中に移動し、秋、冬の間、水中のカワニナ(主として源氏蛍の場合)あるいはモノアラ貝(主として平家蛍の場合)等の貝を餌として脱皮を繰返し、春に、最終齢幼虫に至ると陸上に移動して土中で土繭を作り(蛹化)、夏に、蛹から羽化して成虫となり、交尾して産卵の後その一生を終え、1世代のライフサイクルは完了する。
【0003】
近時、水辺環境の悪化から蛍の成長に適した環境が失われており、特に都市近郊では殆ど蛍を見ることがなくなった。このような、状況に鑑み、蛍の人工養殖、放流も盛んに行われており、養殖に適した装置も各種提案されている。中でも、実公平7−1974号公報あるいは特開平8−322428号公報に記載されたものは、水環境(水域)とこれに接する土環境(陸域)を容器内に形成し、蛍の幼虫から成虫に至る生育環境を整え、これを養殖することを目的としている。
【0004】
ところで、実公平7−1974号公報に提案されているものは、貯水大容器中に、粘土層を傾斜状に形成し中央部に水室を設けた小形容器内で蛍を成虫に至るまで飼育し、貯水大容器から餌とともに水を補給し、小形容器中の水を循環させ、水質(溶存酸素量)を良好に維持するとともに蛍の幼虫の容器からの脱出を防止するものである。
【0005】
しかし、このものにあっては、水棲幼虫から蛹を経て羽化し成虫に至る環境は一応提供されているものの産卵、孵化および羽化の環境については必ずしも整備されているとは言いがたく、また、循環用の水は大容器から供給されるものの、通年長期の水循環においては水質の悪化は免れず、水の補給は必至であるうえ、自然環境に比し蛍にとって最適環境とは言いがたい。
【0006】
他方、特開平8−322428号公報に記載されたものは、容器内に、上陸棚と砂層を設け、容器底部には通水口を設けるとともに容器に浮きを付けてこれを水面上に浮かせて、水域の水循環を保証するもの、あるいは、水を外部から導入、供給するものである。
【0007】
しかし、このものにあっても、実公平7−1974号公報に提案されているものと同様、産卵、孵化および羽化の環境については整備されているとは言いがたく、また、循環用の水は環境水を用いるか水道水などの供給であり、水質の維持は環境水に依存しており、必ずしも、水質の維持等において十分とは言いがたい。
【0008】
このような課題を解決する養殖、飼育槽として、本発明者は、容器内に、水域とこれに接する陸域を設け、水域の水循環を行いつつ、水域内で蛍の幼虫および幼虫の餌となるカワニナ等の貝を生育せしめ、陸域で成虫へ羽化させる蛍の養殖装置の陸域内部に湿潤層を形成して水を浸透させ、水循環ポンプにより陸域を通して水を水域に循環させるとともに水の浄化手段を設けた飼育槽を提案している(特願平10-337630号)。
【0009】
この飼育槽は、実質的に水の交換が不要で、陸域中の観察も容易で水陸性生物である蛍の飼育、観察に優れたものであるが、土砂中に湿潤層を形成するので陸域の崩壊を招きやすく、湿潤層の目詰まりが起こり、また、装置が複雑になるという問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような問題点に鑑み、実質的に水の交換を必要とせず、水陸性生物の生態に即した環境を整え、生物がライフサイクルを完結できるようになし、かつ、人手を掛けることなく、手近で自立的に生物を飼育、養殖でき、生態観察に適するとともに装置がコンパクトで簡易な水陸性生物飼育槽を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このため、本発明は、主として炭素繊維からなり、層をなす網目状の嵩高ウェブを圧縮して形成した濾過ブロックにより区画される少なくとも二つの水域と、前記濾過ブロック上部の陸域と、を有し、前記濾過ブロックを挟む一の水域から二の水域に水を還流して前記濾過ブロックによる浸透濾過により水を浄化しつつ、水陸性生物を飼育することを特徴とする。これにより、水を常に循環濾過浄化し、水の交換が不要で、生態観察に適するとともに装置がコンパクトで簡易な水陸性生物飼育槽を提供することができる。
【0012】
また、濾過ブロックが、所定の厚さの単位嵩高ウェブを積層して圧縮し、槽壁の間に密着して挟持させたものは市販の素材を使用でき一層簡易な装置となり、濾過ブロックの濾過断面形状を底部に向かって広がる山型となしたものは水生昆虫などの飼育に適し、濾過ブロック頂部に土盛りを設け陸域となしたものは、土環境を実現でき、水域に曝気手段を設けたものは水の浄化を強化でき、エアリフトポンプにより前記一の水域から二の水域に水を還流するものは曝気と還流を同時に実施できる。さらに、水域の水を脱窒装置に導き脱窒浄化を施した後槽内に還流させるものは、一層長期にわたる良好な水環境を保持できる。
【0013】
水域と陸域を設けた飼育本槽と、飼育本槽を被覆するように重ねた飛翔槽とからなり、飛翔槽に照明灯および開閉自在の管理用の窓を設けたものは、蛍などの水生昆虫の飼育、養殖および観察に適し、送風手段により空気を前記各槽内に供給するとともに、前記飼育本槽および/または飛翔槽に換気孔を設けたものは、いわば空域環境が良好であり、前面の観察面を透明材で構成し、奥面、上下面および左右側面を黒色材で構成したものは、飼育環境の制御と観察に適したものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、その好ましい実施形態を示す図面に基づいて、本発明を詳細に説明する。
図は、本発明を蛍の飼育槽に適用した一実施形態を示す模式図であり、図1は、その側面図、図2は飼育本槽部の平面図である。
【0015】
各図において、10は飼育本槽であり、上面が開いた直方体外形で、前面の観察面は透明板材、前面を除く他の面は黒色板材で構成され、槽内が図1のように前面から観察できるようになっている。11は、炭素繊維からなり、層をなす網目状の嵩高ウェブを幅方向に圧縮して形成した濾過ブロックであり、飼育本槽10の前後槽壁間に密着、挟持されるように装着され、その断面は底部に向かって広がる山型をなしている。12、13は、濾過ブロック11により区画される二つの水域で、それぞれの底面には砂層12a、13aが形成されている。14は濾過ブロック11の上部に形成される陸域であり、濾過ブロック11の上部(水に浸かっていない部分)と濾過ブロック11の頂部に形成した凹部11aの上に形成された土盛り14aからなる。
【0016】
15は、水域12の水中に設置され、陸域14を貫通して、水を水域13に還流させるエアリフトポンプである。16は、同じく水域12の水中に設置された曝気手段であるエアストーンである。
【0017】
20は飛翔槽であり、直方体外形の下部が開いた形状で、下の飼育本槽10に密着して被せられ、飼育本槽10と一体となって密閉空間、空域を形成するものである。飛翔槽20の上部には、照明灯である蛍光灯21が取付けられ、この蛍光灯21の電源はタイマーで制御され、照明サイクルがコントロールできるようになっている。22、23は、各水域12、13の上方に設けられた開閉自在の管理用窓で、餌、水の補給をここから行う。24は、飛翔槽20の屋根に取付けられた送風機であり、槽内に空気を供給する。飛翔槽20および/または飼育本槽10の壁面には、必要な換気孔(図示せず)が形成され、槽内の空気の循環、交換を行っている。
【0018】
30は、脱窒手段であり、活性汚泥を微粒子担体に担持させ、嫌気攪拌される活性汚泥槽31と、炭素繊維からなり、層をなす嵩高ウェブを圧縮して槽の側壁間に挟持するごとく密着して装着した濾過体32とからなる。
【0019】
33は、水域13に浸漬されたスポンジフィルタ33aを介して水域13から水を脱窒槽30に導く水汲み上げ用のポンプ、34は、活性汚泥槽31内に設けられた攪拌装置であり、モータ34a、シャフト34b、シャフト34bの先端部に取付けられたフィン34cおよびシャフト34bの先端を回転自在に支える軸受34dからなる。35は、濾過体32で濾過された処理水の溢流管であり、36は、活性汚泥槽31の仕切り板である。ポンプ33は、活性汚泥槽31の槽壁と仕切り板36で区画される供給溜37に開口し、飼育本槽10内の水を活性汚泥槽31に供給する。
【0020】
次に、本発明に用いる、炭素繊維からなり、層をなす嵩高ウェブからなる濾過ブロック11および濾過体32、この両者は実質的に同じものであるが、について説明する。炭素繊維からなり層をなす嵩高ウェブとしては、軽量防音断熱材として使用され、株式会社ドナックの製造になる、ドナカーボ(登録商標)・ライトウール(DLWという)が挙げられる。DLWは、汎用ピッチ系の炭素繊維の捲縮性の短繊維からカード機を用いて形成される綿状の原料ウェブ(綿状繊維シート)を多数積層してなる網目状三次元構造体である(特開平7-331572号公報、特開平9-273059号公報あるいは特開平9-276087号公報参照)。
【0021】
この、DLWは、炭素繊維の短繊維を適宜の厚さ(1〜10mm程度)の綿状の原料ウェブに形成し、原料ウェブの短繊維を網目状に接着しつつ、原料ウェブを多数積層して所定の厚さ(15〜80mm)に成形した圧縮性、弾力性、通気性などを有する網目状三次元構造体であるから、原料ウェブにおいて各短繊維は面に平行に層をなすと共に、構造体においては、各原料ウェブが積層されて層を形成する。本発明では、このように嵩高で、ウェブ面に平行な層構造を有する構造体を、層をなす嵩高ウェブという。
【0022】
濾過ブロック11および濾過体32は、例えば、嵩密度10Kg/m3、厚さ50mmの前記DLW(DLW1050)を、予めオゾン水による親水化処理した後、図1に示す断面形状、すなわち、濾過ブロック11は、底部に向かって広がる山型に、また、濾過体32にあっては、直方形状の断面に切断して、これをウェブ面を平行にして所定枚数積重ね、圧縮して各側壁の間に装着する。図1の濾過ブロック11にあっては、断面が対称な台形状のものを突き合わせて山型となしている。また、上部の切込みは、土盛り14aを係止するための凹部11aを形成するためのものである。なお、濾過ブロック11、濾過体32の水濾過のためには、当初から親水性を有することが好ましく、親水性を持たない炭素繊維のウェブを用いる場合は親水化処理が望ましい。親水化処理は、オゾン水によるもののほか予め炭素繊維に親水化処理するなど任意の方法が採用できる。
【0023】
さて、嵩高ウェブは、圧縮弾性(特開平9-273059号公報にいう圧縮硬さLC)を有するので、濾過ブロック11あるいは濾過体32は、槽壁に密着するとともに圧縮されて相応の硬さ、機械的強度を発現して槽内にその形態を保持して固定される。また、嵩高ウェブが層をなしているので、図2に模式的に示したように、濾過ブロック11、濾過体32の流れの方向即ちウェブ面に平行に多数の層が形成される。当然のことながらこの層は目視できるものではなく、濾過ブロック11および濾過体32内に微細な層構造として内的に形成保持されるものである。
【0024】
次に、本飼育槽10における水の循環、浄化について述べる。最初に河川水あるいは水道水を、水域12、13を構成できる量を飼育槽10内に滞留させる。次いでエアリフトポンプ15により、水域12の水を水域13に還流する。この還流量は、水域13と水域12のヘッド差(静圧の差)である濾過圧に基づき濾過ブロック11により浸透濾過され、水域13から水域12に流入する水量に等しくする。
【0025】
水域の水は濾過ブロック11の物理濾過により汚濁物質が除去されるとともに生体親和性の優れた炭素繊維の濾過ブロック11のウェブ層内に保持される微生物により生物分解される。この生物分解を促進するために予め排水処理に用いられる活性汚泥を濾過ブロック11に浸透させておくこともできるが、長期にわたって循環すれば水域中の生物による排出物を分解する微生物相が生じ、これが濾過ブロック11内に捕捉されて微生物層を形成する。曝気手段であるエアストーン16による曝気により水域中の水は好気的微生物により生物分解(硝化)が促進され、濾過ブロック11内では通性嫌気的微生物による生物分解(脱窒)が進む。
【0026】
さらに、水域の水は、ポンプ33により、水域13から脱窒装置30の供給溜37にポンプアップされ、活性汚泥を微粒子担体に担持させ、嫌気攪拌される活性汚泥槽31で嫌気分解されるので硝化された汚濁物質はここで十分に脱窒される。なお、ここに微粒子担体、例えば、破砕された極細の炭素繊維からなる担体に担持された活性汚泥を用いる所以は、活性汚泥が沈降して嫌気攪拌が確実になること、活性汚泥の活性が高まり分解効率が高いことにある。
【0027】
生物由来の窒素成分が分解された水は、濾過ブロック11と同じ炭素繊維からなり、層をなす嵩高ウェブを圧縮して槽の側壁間に挟持するごとく密着して装着した濾過体32で浸透濾過され、活性汚泥を完全に分離した清澄な水となって溢流管35から水域13に戻される。このようにして、水域の水は、水域12と水域13の間で循環される間に炭素繊維の濾過ブロック11による物理濾過および生物濾過を受けて浄化され、同時に曝気による好気的分解(硝化)および濾過ブロック11内での嫌気的分解(脱窒)で汚濁成分が除去される。さらに、本実施形態にあっては、生体に毒性を及ぼす硝酸塩を十分除去するために脱窒装置30により脱窒をいっそう強化している。
【0028】
次に、このような飼育槽における蛍の生育、継代養殖について述べる。
【0029】
蛍を飼育する前には、上述の水処理すなわち水循環を所定の時間行い(水道水を使用する場合は無害化のため水循環処理が不可欠)、水環境が調整された水域12、13に、蛍の幼虫とその餌となるモノアラ貝(主として平家蛍の場合)、あるいは、カワニナ(主として源氏蛍の場合)を生育せしめる。幼虫の餌となる貝は槽内水域で養殖もできるが、必要に応じて貝を補給することもできる。
【0030】
水域12あるいは13中の蛍の幼虫は、共存する貝を餌として、脱皮を繰返し、最終齢幼虫の段階で水域12あるいは13から陸域14の土盛り14a内に移動し、土繭を作り蛹となる。この場合、蛍は湿潤土壌環境を好むが、本発明の飼育槽にあっては、陸域14を、炭素繊維の層をなす網目状の嵩高ウェブを圧縮した濾過ブロック11の上部に形成しているので、水域の水が濾過ブロック11内に毛細管現象で十分浸透し、最適の湿潤環境を与えることができる。次に、羽化し成虫となった蛍は、飛翔槽20中で交尾し、雄は交尾の後、雌は産卵の後一生を終え、一世代の養殖が終了する。なお、蛍光灯21は、その照明時間を調節することにより、蛍の生育期間を調節するために用いる。
【0031】
蛍の産卵場所は、自然界では湿潤な水蘚の上といわれ、孵化した幼虫は孵化時に水中に落下するごとく移動する。本飼育槽では、産卵用の湿潤体として、水域12あるいは13に接する炭素繊維の濾過ブロック11の水辺の傾斜面を産卵場所として提供しており、実験で蛍はこの炭素繊維のウェブ上に産卵する。産卵された卵は濾過ブロック11の表面で孵化し、近くの水域に移動して2代目の幼虫として成長し始める。本飼育槽にあっては水環境が完全に保全されるので、自然環境と同様の食物連鎖が完結し、環境が良好に維持される。
【0032】
本発明の飼育槽は、以上のように非常にコンパクト、簡易な構造で、蛍のライフサイクルに亘る一連の生育環境すなわち、卵生孵化までの水辺湿潤環境、幼虫時の水中環境、成虫孵化に至る湿潤土壌環境を備え、実質的に水の交換が不要で、自立、連続的に、蛍の継代養殖を実施でき、また、観察も容易なものである。
【0033】
上述の実施形態においては、水陸性生物として蛍を取り上げ説明したが、本発明は蛍に適用されるのみでなく、良好な水環境と陸、空環境を必要とする他の比較的小型の水陸性生物の飼育槽あるいは観察槽にも適用できることは言うまでもない。
【0034】
また、実施形態においては、一の濾過ブロックで区画される二つの水域を有するものを説明したが、例えば、間隔を置いた二つの濾過ブロックで区画される三つの水域を並置したものであってもよく、飼育生物種、量により水域、陸域のレイアウトは変更できる。この場合、水の還流は、水の流れから言って最後の水域から最初の水域に向かって行ってもよく、各濾過ブロックを挟む前後の水域間で還流してもよい。
【0035】
さらに、飼育槽の構成について言えば、飼育本槽と飛翔槽からなるものを説明した。水生昆虫など、飛翔性の生物の飼育槽としては、このように分割した槽にすれば市販の容器、槽を利用でき簡易に製作できるが、飼育槽は分割的に構成することなく一体的にしてもよく、また、飛翔性の生物でない場合は飼育本槽の上部を金網などで被覆した飼育槽でもよい。
【0036】
脱窒装置についていえば、活性汚泥を微粒子担体、特に破砕された極細の炭素繊維からなる担体に担持させ、嫌気攪拌される活性汚泥槽31と、炭素繊維からなり、層をなす嵩高ウェブを圧縮して槽の側壁間に挟持するごとく密着して装着した濾過体32とからなるものを示した。このものは、簡単な構造で高度に脱窒が可能で、比較的小容量、低濃度の脱窒性能に優れているが脱窒装置はこれに限らず、沈降性のよい活性汚泥であれば濾過体32を省くこともでき、あるいは、嫌気攪拌活性汚泥槽を省き、濾過体32内の浸潤活性汚泥による嫌気性分解(脱窒)で処理することもでき、他の嫌気濾床方式など任意の脱窒装置を使用できる。脱窒負荷が小さく、濾過ブロック11による浄化処理で十分な場合は脱窒装置を省くことも可能である。
【0037】
水域の水循環についてもエアリフトポンプに限らず他のポンプを使用することができる。曝気手段についてもエアストーンに限らず必要に応じて適宜の手段を採用でき、場合によっては水の循環に伴う落下による曝気で十分な場合もある。陸域の土盛りについて言えば、土盛りに植生を設けたほうがより自然環境に近くなり好ましいが、乾燥陸域さえあればよいものの場合は土盛りは必ずしも必要がなく、濾過ブロックの頂部をそのまま陸域として利用すればよい。
【0038】
透明観察面について付け加えれば、観察面は必ずしも前面一面だけでなく、側面を使用してもよく、また、飼育生物によっては、観察面以外の面を黒色材にする必要もない。また、夜の環境を再現するために透明な観察面を被覆できるようにしておくことが望ましい。照明制御により昼夜環境を制御することも好ましい。
【0039】
最後に、本発明の濾過ブロックおよび実施形態の濾過体を構成する、層をなす嵩高ウェブについていえば、上記実施形態の説明においては、株式会社ドナックのDLW(ドナカーボ(登録商標)・ライトウール)を説明した。このものは前述の通り、汎用ピッチ系炭素繊維の短繊維を綿状繊維シート(原料ウェブ)に形成したものを多数積層して層をなす嵩高ウェブとしており、また内部には三次元網目状構造を形成しているので、処理水の層面に沿う透過性が良く、また、浸潤した活性汚泥の保持性能も優れ、濾過ブロックとしての形態維持性も優れている。
【0040】
特に、DLWのうち、嵩密度5〜15Kg/m3、荷重100gf/cm2での圧縮硬さ0.7〜0.9の嵩高ウェブは好適に用いられ、これを、層に直交する方向に1/2〜1/3に圧縮すれば、直接槽体内に充填、固定することができ、装置構造も簡易になる。また、嵩高ウェブが、炭素繊維の短繊維からなり、この短繊維が、捲縮性を有し、径10〜20μ、長さ0.1〜10cmであるものについては濾過ブロックとしての性能を良く発揮できる。なお、圧縮硬さは、前記特開平9-273059号公報記載の定義による。
【0041】
しかしながら、本発明の濾過ブロックに用いる嵩高ウェブは、このDLWに限らない。例えば、DLWにあっても、ウェブの網目状構造は必ずしも三次元である必要はなく、ウェブ層に平行な面における二次元網目構造でも良い、この場合、層面に直交する方向の圧縮弾性は、強度の捲縮性を有する繊維を用いるか、あるいは層間に嵩高性を与える中間層を形成するなど、他の手段で嵩高性を与えられねばならない。
【0042】
また、構成繊維はピッチ系の短繊維に限らず、長繊維で構成されるウェブでも良く、適度の嵩高性(圧縮性、弾性反発力、微細空隙構造など)を有し、層をなす構造で、通水性、透過性を発現する層構造を有するものであれば良い。従って、カーディングにより製造されるウェブの他、いわゆる、スパンボンド方式により多数の長繊維をランダムに折りたたんで形成するウェブシート、その他の方法で製造される嵩高ウェブであっても、十分な嵩高性があり、層内に網目状の空隙を有し、多層構造であれば、層をなす嵩高ウェブとして濾過ブロックに採用できる。さらに、網目状の構造は必ずしも網の目様に均斉なものである必要はなく、ランダムな目構造で空隙が形成されるものであれば良い。なお、嵩高ウェブを構成する繊維は炭素繊維100%が好適であるが、嵩高ウェブの製造の必要性、物性、機械特性の必要から混合される若干の他の素材の存在は許容できる。ただし、生体に有毒、有害な副材料は許容できない。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、主として炭素繊維からなり、層をなす網目状の嵩高ウェブを圧縮して形成した濾過ブロックにより区画される少なくとも二つの水域と、前記濾過ブロック上部の陸域と、を有し、前記濾過ブロックを挟む一の水域から二の水域に水を還流して前記濾過ブロックによる浸透濾過により水を浄化しつつ、水陸性生物を飼育するので、コンパクト、簡易な構造で、長期にわたって水環境を良好に維持できるので水陸性生物のライフサイクルに亘る一連の生育環境すなわち、水中環境、水辺湿潤環境、陸域湿潤土壌環境および陸空域を備え、実質的に水の交換をすることなく、自立、連続的に生物の飼育、養殖あるいは観察を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の模式化した側面図である。
【図2】図1のものの飼育本槽部の平面図である。
【符号の説明】
10 飼育本槽(飼育槽)
11 濾過ブロック
12、13 水域
14 陸域
14a 土盛り
15 エアリフトポンプ
16 エアストーン
20 飛翔槽 (飼育槽)
21 蛍光灯(照明灯)
30 脱窒装置
31 嫌気攪拌活性汚泥槽
32 濾過体

Claims (10)

  1. 主として炭素繊維からなり、層をなす網目状の嵩高ウェブを圧縮して形成した濾過ブロックにより区画される少なくとも二つの水域と、前記濾過ブロック上部の陸域と、を有し、前記濾過ブロックを挟む一の水域から他の水域に水を還流して前記濾過ブロックによる浸透濾過により水を浄化しつつ、水陸性生物を飼育することを特徴とする水陸性生物飼育槽。
  2. 前記濾過ブロックが、所定の厚さの単位嵩高ウェブを積層して圧縮し、槽壁の間に密着して挟持させたものである請求項1に記載の水陸性生物飼育槽。
  3. 前記濾過ブロックの濾過断面形状を底部に向かって広がる山型となした請求項1または2に記載の水陸性生物飼育槽。
  4. 前記濾過ブロック頂部に土盛りを設け陸域となした請求項1、2または3に記載の水陸性生物飼育槽。
  5. 前記水域に曝気手段を設けた請求項1、2、3または4に記載の水陸性生物飼育槽。
  6. エアリフトポンプにより前記一の水域から二の水域に水を還流する請求項1、2、3、4または5に記載の水陸性生物飼育槽。
  7. 前記水域の水を脱窒装置に導き、脱窒浄化を施した後槽内に還流させる請求項1、2、3、4、5または6に記載の水陸性生物飼育槽。
  8. 前記水域と前記陸域を設けた飼育本槽と、該飼育本槽を被覆するように重ねた飛翔槽とからなり、該飛翔槽に照明灯および開閉自在の管理用の窓を設けた請求項1、2、3、4、5、6または7に記載の水陸性生物飼育槽。
  9. 送風手段により空気を槽内に供給するとともに、前記飼育本槽および/または飛翔槽に換気孔を設けた請求項8に記載の水陸性生物飼育槽。
  10. 前面の観察面を透明材で構成し、奥面、上下面および左右側面を黒色材で構成した請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9に記載の水陸性生物飼育槽。
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