JP2001174635A - 光配向膜の作製方法及びそれを用いて作製された液晶表示素子 - Google Patents

光配向膜の作製方法及びそれを用いて作製された液晶表示素子

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JP2001174635A
JP2001174635A JP35897099A JP35897099A JP2001174635A JP 2001174635 A JP2001174635 A JP 2001174635A JP 35897099 A JP35897099 A JP 35897099A JP 35897099 A JP35897099 A JP 35897099A JP 2001174635 A JP2001174635 A JP 2001174635A
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film
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Nobuo Kubo
伸夫 久保
Noriyasu Kuzuhara
憲康 葛原
Hironori Umeda
博紀 梅田
Sota Kawakami
壮太 川上
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均質な液晶配向性を示す配向膜を製造する方
法及びそれを用いて作製された液晶表示素子を提供す
る。 【解決手段】 基板上に塗布された、光配向性材料を含
有する光配向膜に直線偏光された紫外線を照射すること
により、偏光方向に対して液晶分子を配向させる能力を
付与される光配向膜の作製方法において、該基板が紫外
線吸収剤を有することを特徴とする光配向膜の作製方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光配向膜を作製す
る方法及びそれを用いて作製された液晶表示素子に関す
る。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、所定間隔を隔てた一対
の透明な基板間に液晶が封入されて構成されている。す
なわち、液晶分子は、屈折率の異方性を有しており、液
晶に印加された電圧の方向に沿うように整列される状態
と、電圧が印加されない状態との違いから、画素を形成
することができる。この基板には、液晶分子を配向させ
るために配向膜が形成されている。この配向膜には、ポ
リイミドに代表される高分子材料が用いられており、例
えば、この高分子材料を布等により摩擦し配向方向を付
与する(所謂ラビング)ことによって配向膜を形成する
液晶表示装置がある。
【0003】この液晶表示装置では、液晶分子は1対の
基板の各々の配向膜のラビング方向に配向される。通
常、Tモードの液晶セルは1対の基板の各々のラビング
方向に交叉するように対向されるので、液晶分子は一方
の基板から他方の基板へ向かうに従って螺旋状に位置す
る。
【0004】ところで、黒レベルと白レベルの中間調を
表示させたとき、液晶分子は、電場と配向膜からの力の
バランスによって基板に対して斜めに配向する。このた
め、見る角度によって見掛けの液晶分子の基板に対する
角度が異なり、明るさが異なって見える。また、カラー
表示の場合には異なった色として見える。
【0005】このため、最近の液晶表示装置では、広視
野角で高コントラストを得る等の視覚特性を改善するた
めに、1つの画素を複数に分割し、各分割された領域に
おいて電場による液晶の傾く面の方向を各々変化させる
マルチドメインと呼ばれる方法によって液晶表示装置を
形成することが提案されている。
【0006】この方法には、所定形状のマスクを移動さ
せながらラビングするマスクラビングによる方法(K.
Takatori et.al.,”A Comple
metary T LCD with Wide−Vi
ewig Agle Grayscale”,Japa
Display’92,pp591)、複数の配向膜
材料の塗布による方法(T.Kamada et.a
l.,”Wide Viewig Agle Full
−Color TFT LCDs”,JapaDisp
lay’92,pp886)、紫外線等の照射により配
向膜の特性を変化させる方法(特開平5−210099
号)等がある。マスクラビングによる方法と複数の配向
膜材料を塗布する方法は、工程及びプロセスが複雑であ
る。
【0007】また、これらの方法は、配向膜を形成した
ときの液晶の傾き角度(所謂プレティルト角)を変化さ
せ対称な2つのプレティルト角を形成するのみで、配向
方向が単一であるため、視野角の改善は、所定の方向に
限定される。
【0008】ラビング法以外の液晶配向制御方法として
は、SiO等の斜め蒸着膜を用いる斜方蒸着法(特開昭
56−66826号等)、フォトリソグラフィ等の方法
で配向膜表面にグレーティング状の凹凸を形成するフォ
トリソ法(特開昭60−60624号等)、基板上への
累積の際に引上げ方向に高分子鎖を配向させるLB膜法
(特開昭62−195622号等)、イオン等を斜め照
射するイオン照射法(特開平3−83017号等)、液
体を斜めから高速に噴射する高速液体ジェット法(特開
昭63−96631号)、氷片を斜めから噴射するアイ
スブラスチング法(特開昭63−96630号)、高分
子表面にエキシマレーザなどを照射して周期的な縞模様
を形成するエキシマレーザ法(特開平2−196219
号等)、熱可塑性材料状を電子線で走査して微細な凹凸
を形成する電子線走査法(特開平4−97130号
等)、塗布した配向膜溶液に遠心力を作用させ高分子鎖
を配向させる遠心法(特開昭63−213819号)、
すでに配向処理された基材を圧着することで配向能を転
写するスタンプ法(特開平6−43457号等)、Y.
Tokoらによるカイラル剤を添加することでツイスト
させるランダム配向法(J.Appl.Phys.A7
4(3)、p2071(1993))、M.Schad
tらによるポリケイ皮酸ビニルの2+2付加環化反応を
利用する光2量化法(Jp.J.Appl.Phy
s.、31 Part1、o.7、p2155(199
2))、長谷川らによるポリイミド膜を偏光紫外光で光
分解する光分解法(液晶討論会予稿集、p232(記事
番号2G604)(1994))などが提案されてい
る。
【0009】一方、ジアゾジアミン色素をポリイミド液
晶配向膜にドープしておきラビング法によって一定方向
に液晶を配向させたセルを作製し、これに偏光レーザ光
を照射することで配向膜表面の液晶の配向方向を照射し
た偏光の電場方向と垂直方向に変化させることができる
ことがW.M.Gibbosらによって報告されている
(ature、351、p49(1991))。また、
市村らによって、液晶表示素子基板の表面をフォトクロ
ミック分子で化学修飾すると、光照射のみによって液晶
分子の垂直配向・平行配向間をスイッチングできるこ
と、さらに、偏光照射によって平行配向の方向を変化さ
せることができることが報告されている(応用物理、6
2(10)、p998(1993)など)。
【0010】このように、光配向法はラビング法に代わ
り簡便な手法により液晶の配向が付与できる点で近年、
この技術を用いた開発が活発になってきた。このように
光配向膜は光に対して反応し、液晶の配向性やプレティ
ルト角を与えることから、光の照射には充分な注意が必
要である。特に偏光紫外線を光配向膜に照射する際、偏
光の消光比が変化すると液晶の配向も変化することがあ
る。消光比以外にも、照射時に目的とする偏光以外の光
が光配向膜に照射されると液晶の配向を乱すこともあ
る。
【0011】よって、上記のような問題点が改善され
た、液晶の配向の乱れのない光配向膜の作製方法が要望
されていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、基板
もしくは基板の下に紫外線吸収能を付与することによ
り、光配向時に液晶の配向性を乱す紫外線の乱反射を抑
制し、均質な液晶配向性を示す配向膜を製造する方法を
提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は下記
の項目1〜9によって達成された。
【0014】1.基板上に塗布された光配向膜を有し、
且つ、該光配向膜に直線偏光された紫外線を照射するこ
とにより、偏光方向に対して液晶分子を配向させる能力
を付与する光配向膜の作製方法において、該基板が紫外
線吸収剤を有することを特徴とする光配向膜の作製方
法。
【0015】2.基板がガラス基板であることを特徴と
する前記1に記載の光配向膜の作製方法。
【0016】3.基板が透明樹脂であることを特徴とす
る前記1に記載の光配向膜の作製方法。
【0017】4.透明樹脂がフィルム状であることを特
徴とする前記3に記載の光配向膜の作製方法。
【0018】5.基板が有機紫外線吸収剤を含有するこ
とを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の光配
向膜の作製方法。
【0019】6.透明樹脂がセルロースエステル誘導体
であることを特徴とする前記3または4に記載の光配向
膜の作製方法。
【0020】7.基板上に塗布された、液晶分子を含有
する光配向膜に直線偏光された紫外線を照射して偏光方
向に対して特定の方向に該液晶分子を配向させ、次い
で、該液晶分子を紫外線照射下、架橋反応させ、該液晶
分子の配向を固定化することを特徴とする前記1〜6の
いずれか1項に記載の光配向膜の作製方法。
【0021】8.光配向膜が光二量化反応性化合物を含
有することを特徴とする前記1〜7のいずれか1項に記
載の光配向膜の作製方法。
【0022】9.前記1〜8のいずれか1項に記載の作
製方法を用いて作製された光配向膜を用いることを特徴
とする液晶表示素子。
【0023】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
おいては、基板もしくは基板の下に紫外線吸収能を付与
することにより、光配向膜への光配向性付与時に紫外線
の乱反射を抑制することにより、光配向性の乱れをなく
し、均質な液晶配向性を示す光配向膜が提供できるよう
になった。
【0024】本発明の光配向膜の作製に用いられる光配
向性材料としては、一般に公知の光配向性材料を用いる
ことができる。例えば、光分解型、光二量化型、光異性
化型等が挙げられ、長谷川,液晶,Vol 3(1),
3−16(1999)の総説を参考にすることができ
る。本発明では特に偏光紫外線照射によって配向性が付
与される光二量化性配向性材料を用いた光二量化性の光
配向膜の作製に本発明に記載の目的が効果的に発現され
る。
【0025】上記記載の光二量化性配向膜としては、例
えば、特開平8−304828号、同7−138308
号、同6−095066号、同5−232473号、同
8−015681号、同9−222605号、同6−2
87453号、同6−289374号、特表平10−5
06420号、特開平10−324690号、同10−
310613号等に記載されている。
【0026】これらの手法では、光配向層に偏光紫外線
を照射することにより、液晶に配向性を付与することが
できる。光照射装置としての光源は超高圧水銀灯、キセ
ノン灯、蛍光灯、レーザなどを用いることができる。こ
れに偏光子を組み合わせて直線偏光を照射することがで
きる。照射装置としては、例えば、特開平10−906
84号に開示されている装置を用いることができる。
【0027】また、本発明に係る光配向膜は、光配向性
材料を含有する塗布液を用いて作製しても良く、また、
蒸着等の方法を用いて直接、基板や支持体などに光配向
膜を作製しても良い。
【0028】本発明に係る基板に紫外線吸収能を付与す
る技術としては、公知の技術を使用することができる。
このような技術としては、自動車やサングラス等で実施
されている手法やプラスチック材料への応用も実施され
ている。
【0029】本発明においては、紫外線の吸収能の高い
材料を用いればよく、紫外線の吸収能を付与する技術と
しては特に限定されない。例えば、紫外線吸収性ガラス
などに展開されている無機物のドープ、表面への蒸着も
しくは塗布する方法、プラスチック部材に無機物もしく
は有機物の中で紫外線の吸収能が高い材料を混合、複合
化、相溶する方法、表面に蒸着した被膜を作製する方
法、表面に塗布した塗膜を設置する方法などが挙げられ
る。
【0030】例えば、紫外線吸収能の高い化合物を上記
部材の樹脂に混在、または塗布することができる。塗布
する場合は、基板と光配向層との間に紫外線吸収層を設
置することが、光の乱反射を抑制する観点で好ましい。
【0031】これらの紫外線吸収能を付与する技術とし
ては、特開平6−166538号、同8−133791
号、同11−11985号、同11−248932号、
同6−192598号等の技術を用いることができる。
【0032】本発明で用いられる紫外線吸収剤として
は、無機紫外線吸収剤または有機紫外線吸収剤が用いら
れるが、有機紫外線吸収剤が好ましく、中でも、好まし
く用いられるのは、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
やベンゾフェノン系紫外線吸収剤等であり、本発明に記
載の効果を奏するという観点から、不要な着色等がより
少ないベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が特に好まし
く用いられる。
【0033】本発明に用いられるベンゾトリアゾール系
紫外線吸収剤としては下記一般式〔1〕で示される化合
物が好ましく用いられる。
【0034】
【化1】
【0035】式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同じ
かまたは異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニ
トロ基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、
アリール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリー
ルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノま
たはジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6
員の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭
素環を形成してもよい。
【0036】一般式〔1〕のR1、R2、R3、R4及びR
5は同一または異なってもよく、水素原子、ハロゲン原
子(塩素、臭素、沃素、フッ素)、ニトロ基、ヒドロキ
シル基、アルキル基(例えば、メチル、エチル、n−プ
ロピル、iso−プロピル、アミノプロピル、n−ブチ
ル、sec−ブチル、tert−ブチル、クロロブチ
ル、n−アミル、iso−アミル、ヘキシル、オクチ
ル、ノニル、ステアリルアミドブチル、デシル、ドデシ
ル、ペンタデシル、ヘキサデシル、シクロヘキシル、ベ
ンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなど)、ア
ルケニル基(例えば、ビニル、アリル、メタアリル、ド
デセニル、トリデセニル、テトラデセニル、オクタデセ
ニルなど)、アリール基(例えばフェニル、4−メチル
フェニル、4−エトキシフェニル、2−ヘキソキシフェ
ニル、3−ヘキソキシフェニルなど)、アルコキシ基
(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキ
シ、クロロブトキシ、デコキシ、ジアミノフェノキシ、
エトキシ、ペンタデコキシ、オクタデコキシなど)、ア
シルオキシ基(例えば、カルボメトキシ、カルボブトキ
シ、カルボヘキソキシ、カルボペンタデコキシなど)、
アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、4−メチルフ
ェノキシ、2−プロピルフェノキシ、3−アミルフェノ
キシなど)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エ
チルチオ、t−ブチルチオ、t−オクチルチオ、ベンジ
ルチオなど)、アリールチオ基(例えば、フェニルチ
オ、メチルフェニルチオ、エチルフェニルチオ、メトキ
シフェニルチオ、エトキシフェニルチオ、ナフチルチオ
など)、モノまたはジアルキルアミノ基(例えば、N−
エチルアミノ、N−t−オクチルアミノ、N,N−ジエ
チルアミノ、N,N−ジ−t−ブチルアミノなど)、ア
シルアミノ基(例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルア
ミノ、メタンスルホニルアミノなど)、酸素または窒素
を含む5または6員の複素環基(例えば、ピペリジノ、
モルホリノ、ピロリジノ、ピペラジノなど)を示し、R
4とR5は閉環して炭素原子からなる5または6員環を形
成してもよい。
【0037】一般式〔1〕において、R1〜R5で示され
る置換基は、炭素数5〜36が好ましく、アルキル基は
炭素数1〜18であることが好ましい。
【0038】上記一般式で表される化合物例を以下に示
すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0039】(1−1)2−(2′−ヒドロキシ−5′
−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−2)2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−3)2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−ブチル
−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾ
ール (1−4)2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール (1−5)2−(2′−ヒドロキシ−5′−イソオクチ
ルフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−6)2−(2′−ヒドロキシ−5′−n−オクチ
ルフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−7)2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
t−アミルフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−8)2−(2′−ヒドロキシ−5′−ドデシルフ
ェニル)−ベンゾトリアゾール (1−9)2−(2′−ヒドロキシ−5′−ヘキサデシ
ルフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−10)2−(2′−ヒドロキシ−3′−t−アミ
ル−5′−ベンゾフェニル)−ベンゾトリアゾール (1−11)2−(2′−ヒドロキシ−3′−ドデシル
−5−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール なお、本発明においては上記の化合物を含めて本発明と
同一の出願人による特開昭60−128434号公報第
10頁〜第12頁に記載されている化合物例の(IV−
1)〜(IV−39)を用いることが出来る。
【0040】本発明に用いられる上記のベンゾトリアゾ
ール系化合物は、例えば特公昭44−29620号に記
載の方法、またはそれに準じた方法により容易に合成す
ることが出来る。また本発明で好ましく用いられる紫外
線吸収剤のひとつであるベンゾフェノン系紫外線吸収剤
としては下記一般式〔2〕で表される化合物が好ましく
用いられる。
【0041】
【化2】
【0042】式中、Yは水素原子、ハロゲン原子または
アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、及びフェニ
ル基を表し、これらのアルキル基、アルケニル基及びフ
ェニル基は置換基を有していてもよい。Aは水素原子、
アルキル基、アルケニル基、フェニル基、シクロアルキ
ル基、アルキルカルボニル基、アルキルスルホニル基ま
たは−CO(NH)n-1−D基を表し、Dはアルキル
基、アルケニル基または置換基を有していてもよいフェ
ニル基を表す。m及びは1または2を表す。
【0043】上記において、アルキル基としては例え
ば、炭素数24までの直鎖または分岐の脂肪族基を表
し、アルコキシ基としては例えば、炭素数18までのア
ルコキシ基で、アルケニル基としては例えば、炭素数1
6までのアルケニル基で例えばアリル基、2−ブテニル
基などを表す。又、アルキル基、アルケニル基、フェニ
ル基への置換分としてはハロゲン原子、例えば塩素原
子、臭素原子、フッ素原子など、ヒドロキシル基、フェ
ニル基、(このフェニル基にはアルキル基またはハロゲ
ン原子などを置換していてもよい)などが挙げられる。
【0044】以下に一般式〔2〕で表されるベンゾフェ
ノン系化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定
されない。
【0045】
【化3】
【0046】
【化4】
【0047】
【化5】
【0048】本発明に係る紫外線吸収剤の使用量は化合
物の種類、使用条件などにより一様ではないが、通常
は、基板または支持体等の1m2当り、0.2〜3gが
好ましく、特に0.5〜2gが特に好ましい。
【0049】添加方法としては、予め有機溶剤(例えば
メタノール、メチレンクロライドなど)に溶解したもの
を本発明に係る基板または支持体などを作製するドープ
組成中に添加してもよく、直接添加してもよい。
【0050】また本発明において好ましく用いられる紫
外線吸収剤であるベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等とともに、樹脂等の劣
化防止剤として用いられるエポキシ系化合物、弱有機
酸、飽和多価アルコール類や有機材料の酸化防止剤とし
て用いられるヒンダードフェノール系、チオエーテル
系、亜リン酸エステル系等の化合物を組み合わせて用い
てもよい。
【0051】本発明に係る透明樹脂フィルムとは、可視
域の透過率が80%以上の特性を有するものが好まし
く、具体的には、セルロースエステル、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポ
リスルフォンなどが挙げられる。中でも、光学特性の均
一性の観点から、セルロースエステルが好ましく、更に
好ましく用いられるのはセルローストリアセテートであ
る。
【0052】また、フィルムの強度の観点からは、特に
重合度250〜400のセルローストリアセテートであ
ることが好ましい。
【0053】フィルム中に紫外線吸収剤を含有させる場
合、該紫外線吸収剤は有機化合物であることがフィルム
を構成する樹脂との相溶性の観点から好ましい。
【0054】これらの技術としては、例えば特開平6−
118233号、同6−130226号、同6−148
430号、同6−220223号、同6−220224
号、同6−235819号、同7−11056号、同7
−90184号、同8−29619号、同8−2395
09号、同9−166711号等の技術を用いることが
できる。
【0055】また、紫外線を吸収させるために、染料や
顔料を用いてもよい。可視域に該染料、顔料が吸収をも
つ場合、基板に使用するのは、液晶の表示デバイスとし
ては好ましくはないが、光配向性を付与するとき、基板
の下に該染料、顔料を含む材料を設置することができ
る。
【0056】紫外領域の吸光能の付与は、光配向材料に
よって求められる波長が異なる。理想的には、紫外領域
全波長域の吸収能を付与することであるが、光配向材料
に配向を付与する際の光化学反応、および/または光分
解反応に対して感度の高い波長域をカバーすることが効
率的である。例えば、クマリン環を有する光二量化性配
向膜は280〜330nm光照射で反応するため、この
領域を効率よくカバーできる吸収能を付与して、その波
長域の吸光度を1以上、好ましくは2以上、より好まし
くは3以上付与することができる。
【0057】本発明に係る紫外線吸収能の付与とは、何
も加工していない部材にあえて、紫外線吸収性の化合物
を用いて吸収能を付与することをいい、もともと該部材
が保有する紫外線領域の固有の吸収は、紫外線吸収能の
付与とは区別してもよい。
【0058】本発明に用いられる光学異方体を得るに
は、配向膜上に液晶を含有させた状態で塗布すればよ
く、前記液晶化合物は公知のものを用いることができ
る。光学異方体とは、液晶化合物の配向によって光学的
な異方性が付与されるものであって、電圧を印加した液
晶表示素子、装置に適用することができる。
【0059】本発明に係る液晶化合物について説明す
る。液晶化合物が液晶性高分子である場合、その化合構
造としては主鎖型の液晶性高分子、例えばポリエステ
ル、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカー
ボネート、ポリエステルイミド等が挙げられる。又、側
鎖型の液晶性高分子、例えばポリアクリレート、ポリメ
タクリレート、ポリシロキサン、ポリマロネート等も例
示できる。以下、具体的に本発明に用いることのできる
液晶性高分子の構造を示すがこれらに限定されない。
【0060】液晶化合物の塗布の方法としては、バルク
または有機溶媒に液晶化合物を溶解した溶液を、カーテ
ンコーティング、押し出しコーティング、ロールコーテ
ィング、ディップコーティング、スピンコーティング、
印刷コーティング、スプレーコーティング及びスライド
コーティングなどで実施することができるがこれらに限
定されない。中でも、溶液を塗布した場合には、塗布
後、溶媒を除去し、膜厚が均一な液晶層を得ることがで
きる。
【0061】液晶層は、熱および/または光エネルギー
の作用等に基づく化学反応によって、液晶の配向を固定
化することができる。特にモノメリックな液晶化合物は
一般に粘度が低く、熱的な外因によって液晶の配向が変
化しやすいため、光重合性開始剤を用いて、エチレン性
不飽和結合基含有液晶化合物を光ラジカル反応等で硬化
反応を実施して固定化することもできる。
【0062】本発明において、配向を固定化する際に光
重合開始剤を使用する場合には、ラジカルの発生のため
に、以下に述べる光源を用いることができる。例えば、
高圧水銀ランプやメタルハライドランプなどの近紫外線
を強く吸収できるものが好ましく、360m〜450m
の光に対するモル吸光係数の最大値が100以上、更に
は500以上のものが好ましい。光重合用の光線として
は、電子線、紫外線、可視光線、赤外線(熱線)を必要
に応じて用いることができるが、一般的には、紫外線が
好ましい。紫外線の光源としては、低圧水銀ランプ(殺
菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高
圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドラン
プ)及びショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ラン
プ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)を挙げるこ
とができる。
【0063】一方、ラジカル重合開始剤を用いる場合、
例えばアゾビス化合物、パーオキサイド、ハイドロパー
オキサイド、レドックス触媒など、例えば過硫酸カリウ
ム、過硫酸アンモニウム、tert−ブチルパーオクト
エート、ベンゾイルパーオキサイド、イソプロピルパー
カーボネート、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサ
イド、メチルエチルケトンパーオキサイド、クメンハイ
ドロパーキサイド、ジクミルパーオキサイド、アゾビス
イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−アミジ
ノプロパン)ハイドロクロライド或いはベンゾフェノン
類、アセトフェノン類、ベンゾイン類、チオキサントン
類等を挙げることができる。これらの詳細については
「紫外線硬化システム」総合技術センター、63頁〜1
47頁、1989年等に記載されている。
【0064】また、エポキシ基を有する化合物の重合に
は、紫外線活性化カチオン触媒として、アリルジアゾニ
ウム塩(ヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオ
ロボラート)、ジアリルヨードニウム塩、第15族アリ
ロニウム塩(PF6、AsF6、SbF6のようなアニオ
ンを有するアリルスルホニウム塩)が一般的に用いられ
る。
【0065】これらの反応を利用して、液晶化合物に官
能基を導入したものを単量体の液晶化合物を選択する際
に重要な因子である。
【0066】一方、液晶性化合物が高分子液晶である場
合、上記化学反応による硬化反応を実施して液晶の配向
を固定しなくてもよい。これは、本発明の液晶表示素子
の使用上問題のない温度範囲、例えば90℃以上に高分
子液晶化合物が液晶転移温度を示す場合、配向膜上に高
分子液晶を塗布して設置した後、液晶転移温度範囲内に
加熱し配向させた後、室温放冷することによって液晶の
配向が維持される。
【0067】また、支持体が高分子液晶の配向を実施す
る温度で変形してしまう場合も想定できる。そのような
場合は、耐熱性フィルムに上述の配向処理を行った後に
本発明に用いられる透明支持体に液晶層を接着層を介し
て転写してもよい。
【0068】本発明の液晶表示素子の液晶層の上には、
配向性の保持や偏光板を作製する際の傷などの光学的変
質をさけるために保護層を設けてもよい。保護層の材料
としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル酸/メ
タクリル酸共重合体、スチレン/無水マレイミド共重合
体、ポリビニルアルコール、ポリ(−メチロールアクリ
ルアミド)、スチレン/ビニルトルエン共重合体、ニト
ロセルロース、ポリ塩化ビニル、塩素化ポリオレフィ
ン、ポリエステル、ポリイミド、酢酸ビニル/塩化ビニ
ル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、及びポリカーボネート等のポリ
マー及びこれらの誘導体を挙げる事ができる。これらの
材料を上記塗布方法より、溶液を調製して塗布、乾燥に
よって設置することができる。
【0069】液晶性化合物がディスコチック構造単位を
有する化合物で場合、例えば、特許公報第258739
8号、同第2640083号、同第2641086号、
同第2692033号、同第2692035号、同第2
767382号、同第2747789号、同第2866
372号記載の構造の化合物を用いることができる。
【0070】液晶性化合物が高分子液晶である場合、例
えば、特許公報第2592694号、同第268703
5号、同第2711585号、同第2660601号、
特開平10−186356号、同10−206637
号、同10−333134号記載の構造の化合物を用い
ることができる。
【0071】液晶性化合物がディスコチック液晶および
高分子液晶以外の液晶性化合物としては、一般に棒状液
晶が挙げられ、不飽和エチレン性基を有する液晶化合物
が配向の固定化の観点から好ましく、例えば特開平9−
281480号、同9−281481号記載の構造の化
合物を用いることができる。
【0072】本発明に係るセルロースエステルフィルム
の製造方法について説明する。本発明に係るセルロース
エステルフィルムの製造は、セルロースエステルを溶剤
に溶解させたドープ液と、紫外線吸収化合物と少量のセ
ルロースエステルとを溶解させた溶液とがインラインで
添加、混合、撹拌され、ついで混合液が塗布、製膜され
ることが好ましい。
【0073】前記セルロースエステルを溶剤に溶解させ
たドープ液とは、セルロースエステルが溶剤(溶媒)に
溶解している状態であり、前記ドープ液には可塑剤など
の添加剤を加えても良く、もちろん、必要に応じてその
他の添加剤を加えることもできる。ドープ液中のセルロ
ースエステルの濃度としては、10〜30質量%が好ま
しく、更に好ましくは18〜20質量%である。
【0074】前記溶媒は、単独でも併用でも良いが、良
溶媒と貧溶媒を混合して用いることが生産性効率の点で
好ましく、更に好ましくは良溶媒と貧溶媒の混合比率が
良溶媒が70〜95質量%であり、貧溶剤が30〜5質
量%である。
【0075】上記、良溶媒、貧溶媒とは、使用するセル
ロースエステルを単独で溶解するものを良溶媒、単独で
膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶媒と定義してい
る。そのため、セルロースエステルの結合酢酸量によっ
ては、良溶媒、貧溶媒が変わり、例えばアセトンを溶媒
として用いる場合にはセルロースエステルの結合酢酸量
55%では良溶媒になり、結合酢酸量60%では貧溶媒
となってしまう。
【0076】上記良溶媒としては、メチレンクロライド
等の有機ハロゲン化物やジオキソラン類が挙げられる。
また、貧溶媒としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、−ブタノール、シクロヘキサンなどが好ましく用い
られる。
【0077】上記記載のドープ液を調製するときの、セ
ルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を
用いることができるが、好ましい方法としては、セルロ
ースエステルを貧溶媒と混合し、湿潤あるいは膨潤さ
せ、更に良溶媒と混合する方法が好ましく用いられる。
このとき、加圧下で、溶媒の常圧での沸点以上でかつ溶
媒が沸騰しない範囲の温度で加熱し、攪拌しながら溶解
する方法が、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発
生を防止するため、より好ましい。
【0078】前記セルロースエステルを溶剤に溶解させ
たドープ液と、本発明に係る紫外線吸収化合物とを少量
のセルロースエステルとを溶解させた溶液をインライン
添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサ
(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内
混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサなど
が好ましく用いられる。インラインミキサを用いる場合
は、高圧下で濃縮溶解することが好ましく、加圧容器の
種類は特に問うところではなく、所定の圧力に耐えるこ
とができ、加圧下で加熱、攪拌ができればよい。加圧容
器はその他圧力計、温度計などの計器類を適宜配設す
る。
【0079】加圧は窒素ガスなどの不活性気体を圧入す
る方法や、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇によって行っ
ても良い。加熱は外部から行うことが好ましく、例えば
ジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好
ましい。
【0080】溶媒を添加しての加熱温度は、使用溶媒の
沸点以上で、且つ該溶媒が沸騰しない範囲の温度が好ま
しく、例えば60℃以上、70〜110℃の範囲に設定
するのが好適である。又、圧力は設定温度で、溶媒が沸
騰しないように調製される。
【0081】溶解後は冷却しながら容器から取り出す
か、または容器からポンプなどで抜き出して熱交換機な
どで冷却し、これを製膜に供することが好ましい。この
ときの冷却温度は常温まで冷却しても良いが、沸点より
5〜10℃低い温度まで冷却し、その温度のままキャス
ティングを行う方がドープ液の粘度を低減できるためよ
り好ましい。
【0082】前記セルロースエステルを溶剤に溶解させ
たドープ液と、紫外線吸収化合物と少量のセルロースエ
ステルが溶解している溶液がインラインで添加、混合さ
れ、ついで、支持体上に流延(キャスト工程)し、加熱
して溶媒の一部を除去(支持体上の乾燥工程)した後、
支持体から剥離し、剥離したフィルムを乾燥(フィルム
乾燥工程)し、セルロースエステルフィルムが得られ
る。
【0083】キャスト工程における支持体は、ベルト
状、もしくはドラム状のステンレス鏡面仕上げした支持
体が好ましく用いられる。キャスト工程の支持体の温度
は一般的な温度範囲0℃〜溶媒の沸点未満の温度で流延
することができ、0〜30℃の支持体上に流延するほう
がドープをゲル化させ、剥離限界時間を上げられるため
好ましく、5〜15℃の支持体上に流延することが更に
好ましい。ここで、剥離限界時間とは、透明で平面製の
良好なフィルムを連続的に得られる流延速度の限界にお
いて、流延されたドープ液が支持体上にある時間を言
う。剥離限界時間は短い方が生産性に優れ好ましい。
【0084】また、剥離する際の支持体の温度は10〜
40℃、更には、15〜30℃にすることでフィルムと
支持体の密着力を低減でき好ましい。
【0085】製造時のセルロースエステルフィルムが良
好な平面性を示すためには、支持体から剥離する際の残
留溶媒量は、10〜80%が好ましく、より好ましくは
20〜40%または60〜80%であり、特に好ましく
は20〜30%である。
【0086】上記残留溶媒量は下記式で定義される。 残留溶媒量(%)=((加熱処理前質量−加熱処理後質
量)/(加熱処理後質量)×100 尚、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、フィルム
を115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
【0087】支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力
は、通常197.3〜246.7N/mで剥離が行われ
るが、セルロースエステル単位質量当たりの紫外線吸収
化合物の含有量が多く、且つ従来よりも薄膜化される場
合は剥離の際にしわが入りやすいため、剥離できる最低
張力〜167.7N/mで剥離することが好ましく、更
に好ましくは剥離できる最低張力〜138.1N/mで
剥離することである。
【0088】また、セルロースエステルフィルムの乾燥
工程においては、支持体より剥離したフィルムを更に乾
燥し、残留溶媒量を3質量%以下にすることが好まし
く、更に好ましくは0.5質量%以下である。
【0089】セルロースエステルフィルムの残留溶媒量
は以下の方法によって測定することができる。
【0090】《残留溶媒量の測定方法》フィルム面積と
して46.3cm2を切り出し、これを5mm程度に細
かく刻み専用バイアル瓶に収納し、セプタムとアルミキ
ャップで密閉した後、ヒューレット・パッカード社製ヘ
ッドスペースサンプラーHP7694型にセットする。
【0091】ヘッドスペースサンプラーと接続したガス
クロマトグラフィー(GC)は検出器として水素炎イオ
ン化検出器(FID)を装着したヒューレット・パッカ
ード社製5971型を使用する。測定条件は以下の通り
である。
【0092】 ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分 GC導入温度150℃ カラム:J&W社製 DB−624 昇音:45℃、3分保持→100℃(8℃/分) 上記の測定条件を用いてガスクロマトグラムを得る。測
定対象溶媒はMEK、メタノールとし、左記溶媒の各々
ブタノールにて希釈された一定量をバイアル瓶に収納し
た後、上記と同様に測定して得られたクロマトグラムの
ピーク面積を用いて作製した検量線を使用してフィルム
中の残留溶媒量を得る。
【0093】フィルム乾燥工程では、一般にロール懸垂
方式か、ピンテンター方式でフィルムを搬送しながら乾
燥する方式を採用することが多いが、液晶表示部材用と
しては、ピンテンター方式で幅を保持しながら乾燥させ
ることが、寸法安定性を向上させるために好ましい。特
に、支持体より剥離した直後の残留溶媒量の多いところ
で幅保持を行うことが、寸法安定性向上効果をより発揮
するために特に好ましい。
【0094】フィルムを乾燥させる手段には特に制限な
く、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波な
どで行うことができる。簡便さの点で熱風で行うことが
好ましい。乾燥温度は40〜150℃の範囲で3〜5段
階の温度に分けて、徐々に高くしていくことが好まし
く、80〜140℃の範囲で行うことが寸法安定性を良
くするために、より好ましい。
【0095】セルロースエステルフィルムの膜厚は、偏
光板用保護フィルムとしての強度、、偏光板の寸法安定
性や湿熱下における保存性の観点で20〜120μmで
あることが好ましく、より好ましくは25〜100μ
m、特に好ましくは30〜85μmである。本発明に係
るセルロースエステルフィルムには、可塑剤を含有する
ことが好ましい。用いることのできる可塑剤としては特
に限定はないが、リン酸エステル系ではトリフェニルホ
スフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフ
ェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェー
ト、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチル
ホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エ
ステル系ではジエチルフタレート、ジメトキシエチルフ
タレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタ
レート等、グリコール酸エステル系では、トリアセチ
ン、トリブチリン、ブチルフタリルブチルグリコレー
ト、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリ
ルエチルグリコレート等を単独あるいは併用して用いる
ことができる。
【0096】リン酸エステル系の可塑剤の使用比率は、
セルロースエステルフィルムの加水分解を引き起こしに
くく、耐久性に優れるため、全可塑剤量の50質量%以
下が好ましく、30質量%以下が更に好ましく、特には
リン酸エステル系可塑剤を用いずフタル酸エステル系や
グリコール酸エステル系の可塑剤のみを使用することが
好ましい。
【0097】上記可塑剤の使用量は、フィルムの性能、
加工性の点ではセルロースエステルに対して1〜15質
量%が好ましく、寸法安定性の点で液晶表示部材用とし
ては1〜10質量%が更に好ましく、特に好ましくは3
〜7質量%である。
【0098】本発明に係るセルロースエステルフィルム
には、必要に応じてマット剤を加えても良く、例えば酸
化ケイ素等の微粒子を加えることができる。該微粒子
は、有機物によって表面処理されていることがフィルム
のヘイズを低下できるため好ましい。
【0099】表面処理に用いられる有機物としてはハロ
シラン類、アルコキシシラン類、シラザン、シロキサン
等が挙げられる。前記微粒子は、マット効果、フィルム
の透明性などの点から一次粒子の平均粒径が5〜50m
が好ましく、更には7〜14mであることが好ましい。
【0100】
【実施例】以下に実施例を用いて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されない。
【0101】 実施例1 《ドープ液の調製》 トリアセチルセルロース 100質量部 エチルフタリルエチルグリコレート 5質量部 メチレンクロライド 475質量部 エタノール 50質量部 以上を密閉容器に投入し、加熱し、撹拌しながら完全に
溶解し、濾過してドープ液を調製した。
【0102】 《紫外線吸収化合物含有溶液の調製》 紫外線吸収剤(1−12) 1.1質量部 トリアセチルセルロース 4質量部 メチレンクロライド 100質量部 上記のドープ液とは別途の密閉容器に投入、加熱し、撹
拌しながら完全に溶解し、濾過し、紫外線吸収化合物含
有溶液を調製した。
【0103】《支持体1の作製》上記記載のドープ液
に、ドープ液中のトリアセチルセルロースに対して、紫
外線吸収剤(1−12)の含有量が5質量部になるよう
に上記紫外線吸収化合物含有溶液を加えてインラインミ
キサで十分に混合した。次いで、ベルト流延装置を用
い、ドープ液と紫外線吸収化合物含有溶液を温度33
℃、1500mm幅でステンレスバンド支持体上に均一
に流延した。ステンレスバンド支持体上で流延したトリ
アセチルセルロースフィルム中の残留溶媒量が25%に
なるまで溶媒を蒸発させた後、剥離張力127.5N/
mでステンレスバンド支持体上から剥離した。剥離した
セルローストリアセテート1300mmにスリットし、
その後乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥
を終了させ、1100mm幅にスリットして、膜厚80
μmのトリアセチルセルロースフィルムからなる支持体
1を作製した。
【0104】《支持体2の作製》紫外線吸収剤(1−1
2)を全く使用しない以外は、支持体1の作製と同様に
して、支持体2を作製した。
【0105】上記で得られた、各々の支持体上に光配向
性材料として2質量%のPA−1のMEK(メチルエチ
ルケトン)溶液をスピンコートして乾燥した。支持体1
及び2上のPA−1からなる光配向膜層の乾燥膜厚は5
0nmであった。
【0106】《基板1の作製》2質量%PA−1のメチ
ルエチルケトン溶液を調製し、ガラス基板にスピンコー
トしたのち、常温で真空乾燥した。PA−1の乾燥膜厚
は50mであった。
【0107】《基板2の作製》基板1の作製時に用いた
のと同様のガラス基板に5質量%の紫外線吸収剤(1−
12)を含有するクロロホルム溶液を用いてスピンコー
トして乾燥した。乾燥膜厚は1.8μmであった。その
上に基板1と同様にPA−1を塗布して真空乾燥した。
PA−1の乾燥膜厚は50mであった。
【0108】上記で得られた基板1、2及び支持体1、
2の各々に対して、高圧水銀灯でポラロイド社製紫外線
用偏光フィルム(HNP’B)を用いて、該ガラス基板
の法線より45°の角度で表1に示す光量で直線偏光さ
れた紫外線(280−330m)を照射した。直線偏光
された紫外線照射のエネルギー量として、100mJ/
2と500mJ/m2の2通りを選択した。また、直線
偏光された紫外線照射時、紫外線の乱反射の影響を増幅
する目的で、光配向膜層が設けられた各支持体及び各基
板の各々裏側に鏡を設けた状態で照射した。
【0109】次いで、各々の光配向膜上に、液晶化合物
としてLC−1を1.6g、フェノキシジエチレングリ
コールアクリレート(M101;東亜合成(株)製)
0.4g、及び光重合開始剤(イルガキュア−907;
チバ・ガイギー社製)0.01gを、3.65gのメチ
ルエチルケトンに溶解して得られた塗布液を、スピンコ
ートして乾燥した。これらを120℃の恒温層中で3分
間加熱し、液晶化合物LC−1を配向させた。次に高圧
水銀灯を用いて窒素雰囲気下、下記に記載のような光照
射条件下(120℃の温度条件下)にて紫外線(365
m)を照射し、架橋反応により配向を固定化し、次い
で、室温まで放冷し、液晶表示素子試料1〜4を各々作
製した。
【0110】
【化6】
【0111】
【化7】
【0112】上記で得られた液晶表示素子試料1〜4の
各々を偏光板を直交ニコルの状態に調整し、その間に下
記の各試料を設置した。各試料の光学異方性を目視およ
び100倍の光学顕微鏡で観察した。評価ランクは下記
の4段階で評価した。
【0113】《評価ランク》 ◎:良好な光学異方性を有し、モノドメインであった ○:良好な光学異方性を示すが、若干配向が乱れた部分
が微少に存在した △:光学異方性が若干認められるがムラが多い ×:光学異方性は若干もしくはまったく認められない 得られた結果を下記に示す。
【0114】 液晶表示素子 直線偏光照射時の紫外線のエネルギー 100mJ/m2 500mJ/m2 試料1(基板1使用) △ × 比較 試料2(基板2使用) ◎ ◎ 本発明 試料3(支持体1使用) ◎ ◎ 本発明 試料4(支持体2使用) △ × 比較 上記の評価結果より、比較の試料に比べて、本発明の製
造方法を用いて得られた光配向膜を使用した本発明の液
晶表示素子試料は、比較の試料に比べて、均一な配向性
をしめしていることが明かである。また、500mJ/
2と直線偏光照射のエネルギーが多い場合でも、紫外
線の乱反射が効果的に抑制されるので、本発明の液晶表
示素子試料2、3の各々の光配向膜の光配向性が極めて
均一であり、且つ、その結果として、本発明の液晶表示
素子2、3が良好な光学異方性を示すことがわかる。
【0115】
【発明の効果】本発明により、均質な液晶配向性を示す
配向膜の製造方法及びそれを用いて作製された良好な光
学異方性を示す液晶表示素子を提供することが出来た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川上 壮太 東京都日野市さくら町1番地コニカ株式会 社内 Fターム(参考) 2H042 AA04 AA15 AA26 2H049 BA02 BA26 BB13 BB49 BC05 BC09 BC22 2H090 HB13Y JB02 JB03 JD03 MB14

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に塗布された光配向膜を有し、且
    つ、該光配向膜に直線偏光された紫外線を照射すること
    により、偏光方向に対して液晶分子を配向させる能力を
    付与する光配向膜の作製方法において、該基板が紫外線
    吸収剤を有することを特徴とする光配向膜の作製方法。
  2. 【請求項2】 基板がガラス基板であることを特徴とす
    る請求項1に記載の光配向膜の作製方法。
  3. 【請求項3】 基板が透明樹脂であることを特徴とする
    請求項1に記載の光配向膜の作製方法。
  4. 【請求項4】 透明樹脂がフィルム状であることを特徴
    とする請求項3に記載の光配向膜の作製方法。
  5. 【請求項5】 基板が有機紫外線吸収剤を含有すること
    を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光配
    向膜の作製方法。
  6. 【請求項6】 透明樹脂がセルロースエステル誘導体で
    あることを特徴とする請求項3または4に記載の光配向
    膜の作製方法。
  7. 【請求項7】 基板上に塗布された、液晶分子を含有す
    る光配向膜に直線偏光された紫外線を照射して偏光方向
    に対して特定の方向に該液晶分子を配向させ、次いで、
    該液晶分子を紫外線照射下、架橋反応させ、該液晶分子
    の配向を固定化することを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1項に記載の光配向膜の作製方法。
  8. 【請求項8】 光配向膜が光二量化反応性化合物を含有
    することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記
    載の光配向膜の作製方法。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のいずれか1項に記載の作
    製方法を用いて作製された光配向膜を用いることを特徴
    とする液晶表示素子。
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