JP2001169790A - さつまいも由来の新規ぺルオキシダーゼ遺伝子及びそのプロモーター - Google Patents
さつまいも由来の新規ぺルオキシダーゼ遺伝子及びそのプロモーターInfo
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Abstract
トレス条件下で強く発現が誘発されるさつまいもぺルオ
キシダーゼ(POD)をコードする新規な遺伝子及びそ
のプロモーターを提供する。 【解決手段】 さつまいも(Ipomoea batatas )植物体
由来の培養細胞から環境ストレス条件で強く発現が誘発
されるさつまいもぺルオキシダーゼをコードするDNA
及びそのプロモーターを提供する。 【効果】 ぺルオキシダーゼ遺伝子のプロモーターの全
体又はその一部は、細胞、植物体、微生物及びバクテリ
アなどの形質転換体の開発に利用され、環境ストレスに
対して耐性を有する耐性生物体開発と有用成分を大量に
生産することができる形質転換生物体の開発に利用でき
る。
Description
及びぺルオキシダーゼ遺伝子に関する。
虫、ビールスなどの生物学的ストレスだけでなく、地球
環境悪化によって起こる各種の環境ストレスを受ける。
これらのストレスにより、生命の維持に必要な必修要素
であるが、反応性の高い酸素は、深刻な生理的障害など
を誘発するスーパーオキシドアニオンラジカル
(02 -)、過酸化水素(H2 O2 )、ヒドロキシラジカ
ルなどの活性酸素種(ROS)に変わる。従って、生体
内では、このような活性酸素を除去するシステムとし
て、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD:EC1.
15.11)、ぺルオキシダーゼ(以下「POD」とす
る)、カタラーゼ(CAT)などの高分子抗酸化酵素及
びビタミンC、ビタミンE、グルタチオンなどの抗酸化
物などが多く存在する。
で、過酸化水素を還元する酵素として植物細胞に広く分
布するものとして知られている。ぺルオキシダーゼは酵
素反応に敏感なために各種臨床試験用試薬として用いら
れるなど、商業的に重要な酵素としてだけでなく、植物
体が各種の外部からのストレスに対応する場合の大切な
役割を果たすので、高い関心がもたれている。一般に植
物培養細胞は高い酸化的ストレス下で培養されるので、
ペルオキシダーゼ活性が極めて高い。そのなかでも、さ
つまいも培養細胞はいままで報告されたどの植物体の培
養細胞よりもぺルオキシダーゼを大量に生産することが
報告されている。(Phytochemistry, 39, 981-984(199
5) )
煙草、菠薐草、稲など約20種の植物に由来する一部の
植物のぺルオキシダーゼ同位酵素をコードする遺伝子が
知られていた。さつまいものぺルオキシダーゼ遺伝子に
ついては、本発明者によってはじめて分離され、報告さ
れた。さつまいも培養細胞から分離された酸性ぺルオキ
シダーゼswpal及び中性ぺルオキシダーゼswpn
l遺伝子はさつまいもの培養細胞と植物体の幹で特異的
に発現し、ゲノム内に複数で存在する特徴があり、この
全体または一部を細胞植物体に形質転換させることによ
って、ぺルオキシダーゼを安定的に大量生産することが
できることを報告した。(Mol Gen Genet, 225, 382-39
1(1997) )
オキシダーゼ遺伝子swpa2(GeneBank Accession
No. AF109124 )及びswpa3 cDNA(GeneBan
k Accession No. AF109123 )を分離し、その塩基配列
を明らかにした。これらの塩基配列によると、swpa
2は71個のシグナルペプチドを含み、そしてswpa
3は、66個のシグナルペプチドを含み、swpa2及
びswpa3は各々358個及び349個のアミノ酸を
コードする1246bp及び1310bpの大きさの塩
基配列をもつ。swpa2及びswpa3によって発現
される成熟蛋白質の等電点は各々4.1及び4.3であ
り、このことは上記の遺伝子の全てが酸性ぺルオキシダ
ーゼをコードすることを示す。この3’−末端非飜訳領
域には、典型的なポリアデニル化シグナルのAAUAA
A及びポリ(A)テールが存在し、特に、swpa2遺
伝子のN−末端配列は、さつまいも培養細胞の主成分同
位酵素(A−2)と完全に一致した。また、本発明者は
swpa2遺伝子は、さつまいも植物体の葉に傷を負わ
せるかまたは低温処理またはオゾン処理を施した場合に
は強く発現が誘発されたこと、一方ではswpa3遺伝
子は植物体の葉に傷を負わせた場合には弱く発現された
が、低温処理またはオゾン処理を施した場合には強く発
現が誘発されたことを明らかにした。(Mol. Gen. Gene
t., 261, 941-947, 1999)
いも由来のぺルオキシダーゼのゲノムDNA及びその塩
基配列を提供することである。
スによって遺伝子の発現が強く誘発されるプロモータを
提供することである。
スに対して耐性を有する形質転換体及びその製造方法を
提供することである。
生産することができる形質転換体及びその製造方法を提
供することである。
語、技術などは、特別な限定がない限り、本発明が属す
る技術分野で一般的に使用されている意味で使用する。
また、本明細書に記載されている文献はすべて本発明を
説明するためのものとして記載する。
は、生物学的活性を維持しながらswpa2、SWPA
2、またはSWPA2プロモーターの塩基配列で一つ以
上の塩基が置換、欠失または付加されて変更された塩基
配列を意味する。
よってコードされるぺルオキシダーゼ活性を有し、sw
pa2によってコードされるアミノ酸配列の中で一つ以
上のアミノ酸が置換、欠失、付加されたアミノ酸配列を
意味する。
号1の1〜1314の塩基配列を含み、作動可能に連結
された遺伝子に適切な条件下で転写活性を付与する塩基
配列を意味する。
片」は、配列番号1の1〜1824の塩基配列の中の一
部を含み、作動可能に連結された遺伝子にSWPA2プ
ロモータ活性を付与する塩基序列を意味する。
ーターと、これと作動可能に連結され、有用物質をコー
ドするDNA配列からなるDNA構造体によって形質転
換された細胞または植物体を意味する。本発明において
形質転換体としては、形質転換された微生物、動物細
胞、植物細胞、形質転換された動物または植物体及びこ
れらに由来した培養細胞などを含む。
レスとして作用する生物的または微生物的ストレスを意
味し、例えば損傷又は創傷(怪我)、活性酸素種、熱、
水分、温度、塩、大気汚染、紫外線、重金属などによる
ストレスを意味する。
さつまいも由来のぺルオキシダーゼ遺伝子をコードする
ゲノム遺伝子SWPA2及びその塩基塩基配列を提供す
る。
れる塩基配列全体またはその一部からなる、さつまいも
ぺルオキシダーゼswpa2をコードするエキソンを含
むDNA配列である。
Aライブラリから3次スクリーニングによってswpa
2と読み取り枠(ORF)が同一なゲノムクローンとし
て選別され、これを天然SWPA2と名付けた。 (図2
参照)
ントロン及びプロモータ領域からなり、上記エキソンの
塩基配列はswpa2 cDNA(GeneBank Accessio
n No. AF109124)の塩基配列と完全に一致した。さつま
いもぺルオキシダーゼゲノムクローンは2個のイントロ
ンの中で特に一番目のイントロンが737bpであり、
ほかの植物種が100〜300であると比べて極めて長
いイントロンを含んでおり、各々のイントロンは5’側
がGTで始まり3’側がAGで終るGT−AGの法則に
したがっている。
て遺伝子の発現が誘発されるプロモーターを提供する。
A2プロモータはSWPA2プロモーター及びその活性
断片を含む意味で用いられる。
は配列番号2で示される塩基配列全体またはその一部か
らなり、プロモーター活性を示すDNA配列からなる。
例えば、本発明では、SWPA2プロモーターは望まし
くは配列番号2の塩基配列の中で1〜1314の塩基配
列またはその一部からなり、プロモーター活性を示すD
NA配列からなる。
スによって強く発現し、さつまいも由来のぺルオキシダ
ーゼゲノム遺伝子の天然SWPA2に由来する。
ロモーター領域を有しているが、これをSWPA2プロ
モーターと名付けた。SWPA2プロモーター領域はコ
ンピューターバイオロジカル エンド インホーマティ
ックス ラボラトリー(Computational Biology & Inf
ormatics Laboratory )のトランスクリプション エレ
メント サーチ ソフトウエアー(Transcription Elem
ent Search Software)を用いて塩基配列上の特性を分
析した結果、上記の配列番号2で示された塩基配列から
なっており、転写開始のためのTATAボックスと−8
95部位にCAATボックスを有する。(図3参照)
A、メチルジャスモネート(methyljasmonate)、紫外
線、損傷又は創傷、低酸素症などによって調節されるこ
とが知られている(Williams, M, et al. 1992)Gボッ
クスは、NNNSACGTGNCMと記載されたアミノ
酸配列を有するが、SWPA2プロモーター領域の−4
45及び−455部位にこれと類似な領域(モティー
フ)が存在する。(図3参照) 天然SWPA2のプロモ
ーター領域内のGボックスと転写開始点との間には、組
織特異的に発現されストレスによって発現が誘発される
転写因子であると明らかにされた(Gidoni, D. et al.,
1994) SP−1が存在していて、それ以外にもAAAA
TAAの反復配列が6個存在する。
は、配列番号2の塩基配列内−1170と−1188と
の間にAGAANの共通配列を有する熱衝撃に反応する
転写因子のHSE(heat shock element)を有してい
る。(図3参照) GCN−4及びAP−1は活性酸素種
などに反応するものと知られ、特にAP−1は麦C−ホ
ルデニンプロモーターで窒素に反応する重要要素として
知られている。(Muller, M . et al., 1993 )さら
に、天然SWPA2のプロモーター領域にはGN−4が
3部位にそしてAP−1が2部位に存在する。特に、−
11750と−1163との間にはGCN−4及びAP
−1が逆方向反復塩基配列で存在する。(図3参照)
ストレスを含む多様な外部的要因によって発現が強く誘
発され、特に培養細胞において強く発現されるので、環
境ストレス抵抗性植物体の開発に及び形質転換植物細胞
を用いる有用物質の生産に有用に利用することができ
る。
スによって遺伝子の発現を効果的に誘発することができ
る。このために、本発明のプロモーターはABA、メチ
ルジャスモネート、損傷又は創傷、低酸素症、活性酸素
症、熱または窒素によるストレスを認識する因子を含
む。SWPA2プロモーターは、このような特性を用い
て配列番号2でしめされる塩基配列中の1〜1824又
はこの一部からなり、プロモーター活性を示すDNA配
列及びこれと作動可能に連結された構造遺伝子からなる
融合遺伝子構造体の製造に利用することができる。上記
融合遺伝子構造体は、SWPA2プロモーター遺伝子に
有用物質の生産に係わる構造遺伝子を連結し、多様な環
境ストレス下でSWPA2プロモーターの調節によって
有用物質を発現するので有用物質を生産するための形質
転換体の製造に有用に利用することができる。また、上
記融合遺伝子構造体に多様な環境ストレスに対して耐性
を示す遺伝子を構造遺伝子として使用することにより、
外部的なストレスが加わった場合に、これに対して耐性
を有する形質転換体の製造にも利用することができる。
く、微生物でも作用可能であり、従って形質転換植物細
胞、形質転換植物体及びこれらかに由来した形質転換カ
ルス、形質転換微生物、形質転換動物細胞を生産するこ
とに利用できる。
ターを用いて多様な環境ストレスによって有用物質の生
産を誘発することができる形質転換体の製造方法を提供
する。
この一部からなり、プロモータ活性を示すDNA配列と
これと作動可能に連結される有用物質をコードするDN
A配列からなる発現ベクターを構築する工程; 2)宿主細胞に上記発現ベクターを挿入する工程; 及び 3)上記発現ベクターが挿入された形質転換体を選別す
る工程からなる。
理効果を奏する多様な蛋白質またはペプチド、形質転換
体にストレスに対する耐性を付与する物質などを含む。
従って、本発明の方法によって有用物質を生産すること
ができる形質転換体及び多様な環境ストレスに耐性を有
する形質転換体を作ることができる。
細に説明する。ただし、下記の実施例は本発明を例示す
るものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
Aの分離 ぺルオキシダーゼ遺伝子swpa2のゲノム遺伝子を探
すために、まずswpa2(GeneBank Accession No. A
F109124 )がさつまいものゲノム内に存在する遺伝子で
あることを確認するために、サザンブロット分析を実施
した。
ラポルタ(Dellaporta, Newsletter, 57, 26-29(1983)
)によって抽出したゲノムDNA15μgを制限酵素
EcoR I、Hind II及びHind IIIで
切断し、アガロースゲル電気泳動を行った。上記ゲル上
のゲノムDNAをナイロン膜に転写した後、swpa2
遺伝子各々の特異的な3’−末端非飜訳領域を32Pで標
識した遺伝子断片を探針として用いて混成化反応を行っ
た。その結果を図1に示す。
は、2個以上のバンドを示し、お互いに違うゲノム内に
複数存在する遺伝子であることがわかる。
A SWPA2の分離及び塩基配列の分析 本発明のぺルオキシダーゼ遺伝子swpa2をゲノム内
に含むゲノムDNAを分離するために下記の実験を行っ
た。
λ Blue STARTM BamhI Arms ベクターキット(Novagen
社製)を用いて製造した。swpa2の塩基配列を特異
的に認識するプライマーを用いてPCRを行った。これ
から合成された0.5kbの大きさのDNA産物を32P
で標識してさつまいもPODゲノムDNAライブラリー
のスクリーニングに用いた。ライブラリスクリーニング
は、サムブルーク(Sambrook)他の方法(Molecular cl
oning: a laboratory manual 2nd 1989 )によって実
施し。3次スクリーニングによってswpa2とORF
とが同一なゲノムクローンを得て、これを天然SWPA
2と名付けた。
配列番号1で示される塩基配列をもち、3個のエキソン
と2個のイントロンとプロモーター領域で構成されてい
た。(図2)上記エキソンの塩基配列は、swpa2c
DNAの塩基配列と完全に一致するゲノムクローンであ
ることを確認した。さつまいもPODゲノムクローンは
2個のイントロン中、特に一番目のイントロンが737
bpであり、ほかの植物種が100〜300bpである
ことに比べると、極めて長いイントロンを含んでいる。
各々のイントロンは5’の側がGTで始まり、3’の側
がAGで終るGT−AG法則にしたがっている。
ASWPA2のプロモーターの分離 天然SWPA2のプロモーターは、翻訳開始点の上流か
ら−1824bpまでの領域に該当する配列番号2と記
載される塩基配列として構成される。(図3)上記SW
PA2のプロモーターの塩基配列上の特性をコンピュー
ターバイオロジカル エンド インホーマティックス
ラボラトリーのトランスクリプションエレメント サー
チ ソフトウエアー(TESS)を用いて分析した。
ーは真核生物プロモーターの調節要素部位を有している
ことが確認されたが、転写開始のためのTATAボック
スが存在し、−895部位にCAATボックスが存在し
た。転写調節蛋白質の付着部位はABA、メチル ジャ
スモネート、紫外線、損傷又は創傷、低酸素症などによ
って調節されることが知られている(Williams, M, et
al. 1992)。GボックスはNNNSACGTGNCMと
記載されたアミノ酸配列を有するが、SWPA2プロモ
ーター領域の−445と−455部位にこれと類似な領
域(モティーフ)が存在する。(図3)SWPA2プロ
モーター内のGボックスと転写開始点との間には組織特
異的に発現し、ストレスによって発現が誘導される転写
因子であることが明らかにされた(Gidoni, D. et al.,
1984 )SP−1が存在していて、ほかにもAAAAT
Aの反復配列が6個存在した。
0と−1188との間にAGAANの共通配列を有する
熱衝撃に反応する転写因子のHSE(熱ショックエレメ
ント)を有している。(図3)GCN−4及びAP−1
は活性酸素種などに反応するものとして知られており、
特にAP−1は麦C−ホルデニンプロモータで窒素に反
応する重要要素として知られている。(Muller, M. et
al., 1993 )同時に、天然SWPA2のプロモーター領
域には、GCN−4が3部位に、AP−1が2部位に存
在する。特に、−1175と−1163との間にはGC
N−4及びAP−1が逆方向反復塩基配列で存在する。
(図3)
は、ROSをはじめ多様なストレスを認識する因子を多
く含んでいて環境ストレスに対して耐性を有する耐性植
物体開発にとても有用に使用できる。
失突然変異体の製造 本発明のSWPA2プロモーターの欠失突然変異体を製
造するために、SWPAのプロモーター領域をEx T
aq ポリメラーゼ(タカラ社製)と配列特異的プライ
マーを用いてPCRで増幅した。この時、プライマーは
配列番号3〜7として示される上流側のプライマーと配
列番号8として示される下流側のプライマーを用いて、
上記上流側プライマーはすべてSalI制限酵素部位を
含み、下流側プライマーはBamHI制限酵素部位を含
むように製造した。上記のプライマーのPCR反応によ
る欠失大きさは、各々1824、1314、968、6
02,354bpで増幅された。(図4)
I/BamHIで切断した後、バイナリベクターとして
GUSコード部分とNOSターミネーターを含むpBI
101プラスミドベクター(Clontech社製) に上記DN
A断片をサブクローニングした。これから−1824、
−1314、−968、−602、−354欠失構造を
含むSWPA2プロモーターの欠失突然変異プラスミド
ベクターpBS1814、pBS1314、pBS96
8、pBS602、pBS354を製造し、これを用い
てトランシット アッセイ(Transit assay )を実施し
た。
A2プロモーターのトランシットアッセイ SWPA2プロモーターの欠失突然変異体を用いたトラ
ンシット アッセイを下記のように行った。まず、煙草
懸濁培養細胞BY−2(Nicotiana tabacum L. cv. Br
ight yellow 2 )を用いて継代培養し、3日経過後に細
胞を2%セルラーゼR−10と0.5%マセロザイム
(mycerozyme)を含有する酵素液で3時間処理し、原形
質体を分離した。これに上記の実施例4で製造した欠失
突然変異体プラスミドベクターを加えて、ポリエチレン
グリコール方法を用いてプラスミドベクターを細胞内に
導入させた後、25℃で暗状態下で16時間培養した。
欠失突然変異体プラスミドベクターを含む原形質体の蛍
光をジェファソン他の方法(Plant Mol. Biol. Ref.,
5, 387-405, 1987 )で測定することによって、プロモ
ーターの活性をGUS蛋白質が生産された量として計算
した。
2プロモータ中に、特に−1314の欠失構造が導入さ
れた場合CaMV 35Sプロモーターを用いた場合よ
り、約30倍以上の高いGUS活性を示した。(図5)
母での発現 SWPA2プロモーターが酵母(Saccharomyces cerevi
siae)でも発現されるかどうかを試験するために、酵母
/大腸菌シャトルベクターのYEp352(Hil l 他 1
986 )及びS.cervisiae L3262を宿主
として用いた。実施例4で製造されたGUS遺伝子及び
ターミネーター(NOS terminator)に結合された形態で
SWPA2プロモーターの欠失突然変異を含んでいるプ
ラスミドベクターの各々をYEp352ベクターに導入
した後、PEG及酢酸リチュームを用いた酵母形質転換
方法を用いて酵母を形質転換させた。形質転換された酵
母をSD base-Ura DO (drop out) supplement(Clonte
ch社製)で培養し、実施例5と同一方法で形質転換され
た酵母から発生される蛍光を測定してプロモーターの活
性を検定した。
20の欠失構造及び−1824の欠失構造が導入された
形質転換酵母ではCaMV 35Vプロモーターよりも
各々1.6倍、1.4倍及び8.4倍高いGUS活性を
示した。(図6)
でSWPA2プロモーターを用いるGUS発現
製造 形質転換植物体の材料は、煙草(Nicotiana tabacum c
v. Xanthi)を用い、上記実施例4で製造されたSWP
A2プロモーターの欠失突然変異を含むプラスミドベク
ターのpBS1824(−1824欠失構造)及びpB
S1314(−1314欠失構造)及びCaMVプロモ
ーターにGUS遺伝子が結合されたpB1121を導入
した癌腫菌(Agrobacterium tumefaciens )LBA44
04を各々上記煙草に感染させた。感染された煙草を2
00mg/Lカナマイシン及び300ml/Lクラホラ
ン(claforan)を含有したMS培地(Murashige T. 他、
Physiol Plant, 15, 473-497, 1962 )で培養して形質
転換植物体を選別し、ルーティグ(rooting)及びシュー
ティング(shooting)過程を経た後、純化させ、小さい花
盆へ移して栽培しながら実験材料として用いた。
ーターの欠失突然変異が導入されたかどうかを確認する
ために、配列番号9及び10で示されるNPTIIプラ
イマーと配列番号11及び12で示されるプロモーター
プライマーを用いてPCRを行った。PCR反応は、N
PTIIプライマーを用いた場合には、95℃で1分、
65℃で1分、72℃で1分によって30回、プロモー
タープライマーを用いる場合には、95℃で1分、62
℃で1分、72℃で1分によって30回行った。この結
果、形質転換植物体ではNPTIIプライマーによる
0.7kbのDNA切片とプロモータープライマーによ
る1.0kbのDNA切片が検出され、これによって上
記形質転換植物体内に外来遺伝子が挿入されたことを確
認した。
1314欠失構造)で形質転換カルスを生命工学研究所
附設遺伝子銀行(Korean Collection for Type Culture
s )に2000年10月16日付けで寄託した。 (受託
番号: KCTC 0875BP)
で遺伝子導入が確認された形質転換煙草植物体の葉をM
S基本培地に0.1mg/L BAP、2mg/L N
AA、30g/Lスクロースを含むカルス誘導培地で培
養してカルスを誘導し、これから誘導された形質転換煙
草細胞主から懸濁培養を確立した。
でのGUS発現の測定 外部的環境ストレスによる形質転換植物体内でSWPA
2プロモータの発現様相を検査するために、上記形質転
換植物体に損傷を負わせ、又はH2 O2 で処理してこれ
らから誘導されるGUS活性を測定した。
の発現様相を探るために形質転換植物体に損傷を負わせ
てGUS活性を測定した。その結果、CaMV 35S
プロモーター遺伝子を含むpBI121ベクターが導入
された形質転換植物体では、損傷によるGUS発現量の
変化は現れなかったが、一方pBS1824ベクター及
びpBS1314ベクターが各々導入された形質転換植
物体では、損傷処理3日経過後にGUSの発現量が増加
した。(図7)pBS1314が導入された形質転換植
物体の場合には、損傷処理によりDUSの発現量が無処
理群よりも約3.6倍増加した。pBS1824が導入
された形質転換植物の場合には、損傷処理によるGUS
発現量の増加はpBS1314よりも低かったが、損傷
によりGUSの発現が誘発されたものはpBS1314
と類似な傾向を示した。
2プロモーターの発現様相を確認するために、成熟した
葉から直径7mmの葉切れ(leaf disk )を取って1m
MH2 O2 溶液に浮かべて連続光の状態下で培養した。
培養後GUS活性を測定してH2 O2 によるSWPA2
プロモーターの発現様相を検査した。その結果、培養4
8時間経過後pBS1314が導入された形質転換植物
体の場合には、非処理群に比べて約58倍GUSの発現
量が増加し、CaMV 35S プロモーターより約
1.7倍高いGUS活性が測定された。(図7)pBS
1824が導入された形質転換植物体の場合には、H2
O2 によってGUSの発現量が3.2倍増加し、CaM
V 35S プロモーターより1.2倍高くGUSの活
性が測定された。
WPA2のプロモータ欠失突然変異体が導入された煙草
の形質転換植物体に紫外線を照射した後、誘発されたG
US活性を測定した結果、培養24時間経過後pBS1
314が導入された形質転換植物体の場合には、非処理
群に比べて約5.6倍GUSの発現量が増加し、CaM
V 35S プロモーターより約1.2倍高いGUS活
性が測定された。
るGUSの発現 本発明のペルオキシダーゼ遺伝子SWPA2プロモータ
ーが培養細胞の生長と関連して、その発現が調節される
かどうか検査するために、pBS1314、pBS18
24、及びpBSI121を各々導入した形質転換植物
体から誘導された形質転換カルスからGUS活性を測定
した。その結果、pBS1314が導入された形質転換
カルスは、pbI121が導入された形質転換カルスよ
り約4倍高いGUS活性を示した(図10a及び図10
b)。
細胞でGUSの活性変化を検査した結果、pBS131
4、pBS1824、及びpBI121を導入した形質
転換細胞は、同一の生長を見せ、培養15日経過後に停
滞期に到達した(図11a及び図11b)
GUS活性は、細胞の生長時期に関係なく比較的低い水
準に維持された。pBS1824が導入された形質転換
細胞においても、細胞生長に関係なく一定水準のGUS
を発現しているが、pBI121より高い発現量を維持
した。一方、pBS1314が導入された形質転換細胞
においては、細胞培養5日〜7日の間には低い水準でG
USを発現したが7日経過後からGUS発現量が急激に
増加した。培養15日経過後には、最高の発現量を示
し、培養後期まで維持した。
境ストレス条件で強く発現する新規なペルオキシダーゼ
遺伝子SWPA2及び上記遺伝子のプロモーターを提供
する。本発明のペルオキシダーゼゲノム遺伝子SWPA
2プロモーターは、各種環境ストレスを認識する領域を
複数部位に含んでおり、形質転換植物体から目的とする
遺伝子を発現させるために一般的に多く使われているC
aMV 35S プロモーターに比べて、トランシット
アッセイで約30高い活性を示すことが明らかにされ
た。従って、上記のプロモーターの全体又はその一部を
使って、細胞、植物体、微生物及びバクテリアなどの形
質転換体の開発に利用すれば、環境ストレスに対して耐
性を持った耐性植物体の開発と有用な成分を大量生産で
きる形質転換生物体の開発とに有用に利用できる。
wpa2を含むゲノムDNAを分離するために、サザン
ブロット法で分析した結果を示す図である。
ードするゲノム遺伝子SWPA2の塩基配列及びこれを
翻訳したアミノ酸配列を示す図である。
るゲノム遺伝子SWPA2の塩基配列及びこれを翻訳し
たアミノ酸配列に連続する塩基配列及びアミノ酸配列を
示す図である。
ム遺伝子SWPA2のプロモーター領域の塩基配列を示
す図である。
遺伝SWPA2のプロモーター領域の欠失突然変異体を
作成する過程を示す図である。
いるトランシット アッセイの結果を示す図である。
た形質転換酵母でのGUS活性を測定した結果を示す図
である。
した煙草の形質転換植物体での損傷処理なしに誘発され
たGUS活性を測定した結果を示す図である。
した煙草の形質転換植物体での損傷処理後に誘発された
GUS活性を測定した結果を示す図である。
した煙草の形質転換植物体でのH 2 O2 処理なしに誘発
されたGUS活性を測定した結果を示す図である。
した煙草の形質転換植物体でのH 2 O2 処理後に誘発さ
れたGUS活性を測定した結果を示す図である。
した煙草の形質転換植物体での紫外線照射なしに誘発さ
れたGUS活性を測定した結果を示す図である。
した煙草の形質転換植物体での紫外線照射後に誘発され
たGUS活性を測定した結果を示す図である。
入した煙草の形質転換植物体の葉から誘導したカルスを
GUSで染色した結果を示す図である。 A:pBS1314 B:pBS1824 C:対照群 D:pBI121
入した煙草の形質転換植物体の葉から誘導したカルスの
GUS活性を測定した結果を示す図である。 A:pBS1314 B:pBS1824 C:対照群 D:pBI121
入した煙草の形質転換植物体の葉から誘発したカルスを
懸濁培養して、その細胞の細胞成長曲線を示す図であ
る。
入した煙草の形質転換植物体の葉から誘発したカルスを
懸濁培養して、その細胞のGUS活性を測定した結果を
示す図である。
Claims (11)
- 【請求項1】 配列番号1で示される塩基配列の全体又
はその一部からなり、swpa2塩基配列又はその変異
体で構成されるDNA配列によってコードされるペルオ
キシダーゼをコードするゲノム遺伝子。 - 【請求項2】 配列番号2で示される塩基配列の1〜1
824の塩基又はその一部からなり、プロモーター活性
を示すDNA配列。 - 【請求項3】 該プロモーター活性が環境ストレスによ
って誘発される請求項2記載のDNA配列。 - 【請求項4】 該環境ストレスが損傷又は創傷、活性酸
素種、熱、水分、温度、塩、大気汚染、紫外線、又は重
金属によるストレスである請求項3記載のDNA配列。 - 【請求項5】 配列番号2で示される塩基配列の1〜1
824の塩基又はその一部からなる、プロモーター活性
を示すDNA配列及びこれと作動可能に連結され得る有
用物質をコードするDNA配列からなるDNA構造体。 - 【請求項6】 該プロモーター活性を示すDNA配列
が、ABA、メチルチャスモネート、損傷又は創傷、低
酸素症、活性酸素症、熱、又は窒素に対するストレスを
認識する因子を含む請求項5記載のDNA構造体。 - 【請求項7】 1)配列番号2で示す塩基配列の1〜1
824の塩基又はその一部からなる、プロモーター活性
を示すDNA配列及びこれと作動可能に連結され得る有
用物質をコードするDNA配列を挿入した発現ベクター
を構築する工程; 2)宿主細胞を該発現ベクターで形質転換する工程;及
び 3)発現ベクターを挿入した該形質転換体を選別する工
程で起きるストレスによって有用物質の生産が誘発され
る形質転換体を製造する方法。 - 【請求項8】 該有用物質が薬理効果を奏する蛋白質又
はペプチド、又はストレスに対する耐性を形質転換体に
付与する物質である請求項7記載の方法。 - 【請求項9】 該工程2)の宿主細胞が、植物細胞、動
物細胞及び微生物からなる群から選ばれる請求項7記載
の方法。 - 【請求項10】 該形質転換体が、微生物、植物細胞、
植物体及びこれらに由来したカルスからなる群から選ば
れる請求項7記載の方法。 - 【請求項11】 請求項7記載の方法によって生産され
た形質転換煙草カルス(受託番号:KCTC 0875
BP)。
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