JP5079799B2 - トキソフラビンとその誘導体分解遺伝子tflAとこれを発現する形質転換生物体 - Google Patents

トキソフラビンとその誘導体分解遺伝子tflAとこれを発現する形質転換生物体 Download PDF

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Description

本発明は、トキソフラビンとその誘導体を分解する微生物、トキソフラビンとその誘導体を分解するタンパク質、植物形質転換選択マーカーとしての前記タンパク質の用途、前記タンパク質をコーディングする遺伝子、前記遺伝子を含む組み換え発現ベクター、前記ベクターで形質転換された形質転換体、tflA遺伝子を含む植物形質転換選択マーカー発現カセット、前記発現カセットを含む組み換えベクター、前記ベクターで形質転換された植物、tflA遺伝子を利用する形質転換植物の選択方法、及びtflA遺伝子を利用する形質転換植物の製造方法に関する。
イネもみ枯細菌病は、バークホルデリアグルメ(Burkholderia glumae)というグラム陰性細菌により生じる稲病であって、最近、韓国と日本、東南アジアを始めとして、米国の稲栽培地域で重要視される病で、気候変化に非常に敏感な病である。イネもみ枯細菌病は、温度と湿度の高い開花期に発生し、収穫量を34%くらい減らすと報告されている。バークホルデリアグルメは、イネもみ枯細菌病と畑作物の細菌性萎凋病を起す病原性の必須要素であるトキソフラビン(toxoflavin)とレウマイシン(reumycin)、フェルベヌリン(fervenulin)を分泌して、その中、トキソフラビン(toxoflavin)が最も重要な病原性要素であると報告されている。
‘Paenibacillus polymyxa’は、植物の根の付近に生息しながら植物の生長を促進し、土壌中の他の微生物と相互作用して植物病の発生を抑え、多様な抗生物質と加水分解酵素を生産する有用微生物である。また、この微生物は、窒素固定をするグラム陽性菌であって、その重要性が大きく取り上げられている。
発現ベクターは、選択性マーカー遺伝子を含まない細胞の成長を阻害することにより形質転換細胞を選抜する一つ以上の遺伝子マーカーを含む。植物形質転換に通常的に利用される選択マーカー遺伝子のほとんどは、バクテリアから分離されて、抗生剤または除草剤である選択性化学物質を代謝的に毒性を分解する酵素をコーディングする。
最も広く利用される植物形質転換選択性マーカー遺伝子は、Tn5から分離されたネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)遺伝子であり、また他のマーカー遺伝子は、抗生剤ハイグロマイシンに耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子である。
多くの選択性マーカーが、形質転換された植物組織を選抜するために利用されてきたが、毒性化学物質を利用した前記選抜システムは、短所または限界を有する。第一、化学物質選抜から正常的な生存可能な形質転換植物を直接回復することが難しい。第二、全ての選択マーカーシステムが、全ての組織及び全ての植物種に働くわけではない。第三、選択を可能にするために添加すべき幾つかの化合物は、抗生物質である。抗生物質または除草剤に耐性を付与する遺伝子の伝播は、病原体に耐性を付与する危険性を避けるために、可能な限り最少化する必要がある。第四、選択を可能にするために添加すべき幾つかの化合物は、比較的高価であるため、より安価な選択マーカーを必要とする。
本発明は、イネもみ枯細菌病抵抗性反応に関与するPaenibacillus polymyxa JH2のtflAタンパク質及び前記タンパク質をコーディングする遺伝子を提供して、さらに前記タンパク質の特性を究明し、前記遺伝子を組み換えて形質転換稲植物体を製造して、これを発現させ、イネもみ枯細菌病を起す病虫害に対して抵抗性が増進された、質のよい無毒な稲を提供する。また、トキソフラビンを分解するトキソフラビン分解酵素tflAを利用することにより、簡単且つ便利に植物形質転換体を選別できる植物形質転換マーカーを提供する。
本発明者らは、イネもみ枯細菌病抵抗性反応に関与するPaenibacillus polymyxa JH2のtflAが発現され、イネもみ枯細菌病を起す病虫害に対する抵抗性を示す形質転換生物体を製造することにより、生物体とPaenibacillus polymyxa JH2との相互作用を理解し、効果的な疾病統制のための新しいシステムを提供することができることを見出し、本発明を完成した。
したがって、本発明の目的は、トキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体を分解する微生物を提供することである。
本発明の他の目的は、トキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体を分解するtflAタンパク質を提供することである。
本発明のまた他の目的は、前記tflAタンパク質の植物形質転換選択マーカーとしての用途を提供することである。
本発明のまた他の目的は、トキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体を分解するtflAタンパク質をコーディングする遺伝子を提供することである。
本発明のまた他の目的は、tflA遺伝子を含む組み換え発現ベクターを提供することである。
本発明のまた他の目的は、tflA遺伝子を含む組み換え発現ベクターにより発現される組み換えtflAタンパク質を提供することである。
本発明のまた他の目的は、tflA遺伝子を含む組み換え発現ベクターで形質転換された形質転換体を提供することである。
本発明のまた他の目的は、tflA遺伝子を含む植物形質転換選択マーカー発現カセットを提供することである。
本発明のまた他の目的は、前記発現カセットを含む組み換えベクターを提供することである。
本発明のまた他の目的は、前記ベクターで形質転換された植物を提供することである。
本発明のまた他の目的は、tflA遺伝子を利用する形質転換植物の選択方法を提供することである。
本発明のまた他の目的は、tflA遺伝子を利用する形質転換植物の製造方法を提供することである。
本発明の目的を達成するために、本発明は、トキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体を分解する微生物を提供する。好ましくは、前記微生物は、細菌由来であり、さらに好ましくは、Paenibacillus属由来であり、よりさらに好ましくは、前記微生物は、Paenibacillus polymyxaであって、よりさらに好ましくは、Paenibacillus polymyxa JH2である。この微生物細胞株は、2006年6月13日に韓国生命工学研究院に寄託番号KCTC 10959BPとして寄託した。トキソフラビンは、イネもみ枯細菌病と畑作物の細菌性萎凋病を起す病原性の必須要素である。本発明において、トキソフラビン誘導体は、トキソフラビンと同一な機能を行う誘導体を含む。前記誘導体は、3−メチルトキソフラビン、4,8−ジヒドロトキソフラビン、3−メチルレウマイシン(3-Methylreumycin)などを含むが、これらに限定されるものではない。
‘Paenibacillus polymyxa’は、植物の根の付近に生息しながら植物の生長を促進し、土壌中の他の微生物と相互作用して植物病の発生を抑え、多様な抗生物質と加水分解酵素を生産する有用微生物である。本発明者は、Paenibacillus polymyxa JH2のtflAが、イネもみ枯細菌病の原因であるトキソフラビンを分解することを見出した。
また、本発明は、トキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体を分解するtflAタンパク質を提供する。また、前記配列の変異体が本発明の範囲内に含まれる。変異体は、アミノ酸配列は変化するが、配列番号2のアミノ酸配列と類似した機能的及び免疫学的特性を有するアミノ酸配列である。前記タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列と50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは、90%以上、よりさらに好ましくは95%以上の配列相同性を有する配列を含むことができる。最も好ましくは、前記タンパク質は、配列番号2のアミノ酸配列を含むことができる。また、前記タンパク質は、前記タンパク質のアミノ酸配列の一つ以上のアミノ酸残基を置換、挿入または欠損させることにより、トキソフラビン分解能が維持される配列を含むことができる。アミノ酸残基を置換、挿入、または欠損させる方法は、当業者に周知の方法を利用することができる。
本発明の一具現例において、前記tflAタンパク質は、植物形質転換選択マーカーとして利用できる。本発明のトキソフラビン分解酵素tflAは、化合物トキソフラビンに耐性を付与する。トキソフラビンは、イネもみ枯細菌病の最も重要な病原性要素である。本発明の形質転換体は、植物であり、好ましくは、前記植物は、稲またはシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)である。
また、本発明は、tflAタンパク質をコーディングする遺伝子を提供する。好ましくは、前記遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む遺伝子である。また、前記遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド配列と50%以上、好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。前記ヌクレオチド配列相同性を有する遺伝子は、配列番号1のヌクレオチド配列を置換、挿入または欠損させることにより製造することができ、前記置換、挿入、欠損させる方法は、当業者に周知の方法を利用することができる。また、前記置換、挿入、または欠損変異体によりコーディングされるタンパク質は、トキソフラビン分解能を維持しなければならない。
ポリヌクレオチド及びポリペプチドに対する‘配列相同性の%’は、二つの最適に配列された配列と比較領域を比較することにより確認されて、比較領域におけるポリヌクレオチド及びポリペプチド配列の一部は、二つの配列の最適配列に対する参考配列(追加または削除を含まない)に比べ、追加または削除(即ち、ギャップ)を含むことができる。前記%は、同一な核酸塩基またはアミノ酸残基が二つの配列ともに存在する位置の数を確認して整合位置の数を算出し、その整合位置の数を比較領域内の位置の総数で割って、その結果に100を掛けて配列相同性%を算出することにより計算される。比較のための配列の最適配列は、公知の演算方式のコンピューターによるインプリメンテーションにより(例えば、GAP, BESTFIT, FASTA及びTFAST in the Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group (GCG), 575 Science Dr., Madison, WI, or BlastN and BlastX available from the National Center for Biotechnology Information)、または検査によりなされる。
‘実質的な同一性’または‘実質的な類似性’という用語は、ポリペプチドが厳しい条件下で標的ポリペプチドと混成化できる配列を含むことを意味する。厳しい条件とは、2×SSCの溶液及び65℃の温度を意味する。
‘実質的に類似した’ポリペプチドは、同一ではない残基位置が保存的アミノ酸の変化により相異なるものを除いては、前記配列を共有する。保存的アミノ酸置換は、類似した側鎖を有する残基の相互交換性を意味する。例えば、脂肪族側鎖を有するアミノ酸群は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシンであり、脂肪族ヒドロキシル側鎖を有するアミノ酸は、セリン及びトレオニンであり、アミド含有側鎖を有するアミノ酸群は、アスパラギン及びグルタミンであり、芳香族側鎖を有するアミノ酸群は、フェニルアラニン、チロシン及びトリプトファンであり、塩基性側鎖を有するアミノ酸群は、リシン、アルギニン及びヒスチジンであって、硫黄含有側鎖を有するアミノ酸群は、システイン及びメチオニンである。
ポリヌクレオチド配列の実質的な同一性は、ポリヌクレオチドが70%以上の配列同一性、好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列同一性を有する配列を含むことを意味する。また他の意味は、二つの分子が厳しい条件下で互いに特異的に混成化される場合、ヌクレオチド配列が実質的に同一であることである。厳しい条件は、配列依存性であり、他の状況では相異なる。一般に、厳しい条件は、定められたイオン強度及びpHにおいて、特定配列に対する熱融点(Tm)より約10℃低く選択される。Tmは、標的配列の50%が完全に整合されたプローブに混成化される温度(定められたイオン強度及びpH下で)である。プローブの長さ及び塩基組成量子の関数である、混成体のTmは、文献(Sambrook, T. et al., (1989) Molecular Cloning - A Laboratory Manual(second edition), Volume 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring)内の情報を利用して計算できる。典型的に、サザンブロット過程に対する厳しい条件は、0.2XSSCで65℃での洗浄を含む。好ましいオリゴヌクレオチドプローブの場合、洗浄条件は、典型的に6XSSCで約42℃である。
また、本発明は、前記tflA遺伝子を含む組み換え発現ベクターを提供する。好ましくは、前記ベクターは、大腸菌、ウイルス、植物または動物で発現可能なベクターである。一つの具現例において、本発明は、イネもみ枯細菌病の原因であるトキソフラビンを分解するPaenibacillus polymyxa JH2のtflAをT−DNA内部にハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hygromycin phophotransferase, HygR)を含んでおり、T−DNA外部にカナマイシン(kanamycin)抵抗性遺伝子を有しているベクターpCamLAに挿入して製作したtflA発現ベクターを提供する。
‘ベクター’は、宿主細胞内に核酸を移動させることのできる手段である。ベクターは、他のDNA断片を付着して、付着された断片の複製を招来できるレプリコンであり得る。‘レプリコン’は、生体内DNAレプリコンの独立単位としての機能を有するもので、自己調節により複製できる能力がある遺伝的要素(プラスミド、ファージ、コスミド、染色体、ウイルス)である。‘ベクター’は、生体外または生体内で細胞内に核酸を導入するためのウイルス及び非ウイルスを含む手段を意味する。ウイルスベクターは、レトロウイルス、アデノ関連ウイルス、バキュロウイルス、ワクチニア、ヘルペスシンプレックス、epstein-barr及びアデノウイルスベクターを含む。非ウイルスベクターは、プラスミド、リポソーム、電気的な電荷を有する脂質(サイトフェクチン)、DNA−タンパク質複合体及び生重合体を含む。核酸の他に、ベクターは、核酸伝達結果(ある組織への伝達、発現持続など)の選別、測定及びモニタリングに有用な一つまたはそれ以上の調節領域、及び/または選択マーカーを含む。
また、本発明は、本発明の組み換え発現ベクターにより発現される組み換えtflAタンパク質を提供する。大腸菌により発現された組み換えtflAタンパク質は、グリコシル化(glycosylation)がなされない反面、植物または動物によって発現された組み換えtflAタンパク質は、グリコシル化がなされるため、利用目的によって発現された組み換えtflAタンパク質を選択して利用できる。
また、本発明は、本発明の組み換え発現ベクターで形質転換された形質転換体を提供する。前記形質転換体は、微生物、植物、ウイルスまたは動物などであり、さらに好ましくは植物であって、よりさらに好ましくは稲である。
また本発明は、イネもみ枯細菌病の原因であるトキソフラビンを分解するPaenibacillus polymyxa JH2のtflAをT−DNA内部にハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼを含んでおり、T−DNA外部にカナマイシン(kanamycin)抵抗性遺伝子を有しているベクターpCamLAに挿入して製作したtflA発現ベクターを利用してtflAが発現されることを特徴とする、組織培養により無性繁殖される形質転換稲植物体の製造方法を提供する。
また、本発明は、イネもみ枯細菌病の原因であるトキソフラビンを分解するPaenibacillus polymyxa JH2のtflAが発現されて、イネもみ枯細菌病に対して抵抗性を有することを特徴とする、組織培養により無性繁殖される形質転換稲植物体を提供する。
また、本発明は、5’から3’方向に作動可能に連結された下記配列を含む植物形質転換選択マーカー発現カセットを提供する:
(i)プロモーター配列、
(ii)トキソフラビン分解酵素コーディング配列、及び
(iii)3’非翻訳(untranslated)ターミネーター配列。
発現されたタンパク質が毒性選択製剤に耐性を付与できる形で、宿主細胞で発現できるようにするために、本発明によるトキソフラビン分解酵素コーディング配列は、一般にそれが宿主の生化学的機械類により認知されることを可能にして、オープンリーディングフレームが宿主細胞内に転写及び解読されるようにする調節因子を有する発現カセットに提供される。これは、一般に選択宿主細胞内に発現できる任意の遺伝子から適当に由来できる転写開始領域だけではなく、リボソーム認識及び付着のための転写開始領域を含む。真核植物細胞において、発現カセットは、一般に転写が終結して第1転写体のポリアデニル化が起こるようにする、前記オープンリーディングフレームのダウンストリームに位置した転写終結領域をさらに含む。また、コドン使用量は、選択宿主の許容されたコドン使用量に適している。選択された宿主細胞において雑種DNA作製物の発現を左右する原理は、一般に当業者によって理解されて、発現できる雑種DNA作製物の作製は、原核または真核生物である任意種類の宿主細胞に対して一般的である。
本発明の一具現例による発現カセットにおいて、前記プロモーターは、CaMV 35S、アクチン、ユビキチン、pEMU、MASまたはヒストンプロモーターであるが、これらに限定されるものではない。‘プロモーター’という用語は、構造遺伝子からのDNAアップストリームの領域を意味して、転写を開始するためにRNAポリマラーゼが結合するDNA分子を称する。‘植物プロモーター’は、植物細胞において転写を開始できるプロモーターである。‘構成的(constitutive)プロモーター’は、大部分の環境条件及び発達状態または細胞分化下で活性があるプロモーターである。形質転換体の選択が各種段階で各種組織によりなされるため、構成的プロモーターが本発明において好ましい。したがって、構成プロモーターは、選択可能性を制限しない。
本発明の一具現例による発現カセットにおいて、前記ターミネーターは、ノパリンシンターゼ(NOS)または稲α−アミラーゼRAmy1 Aターミネーターであるが、これらに限定されるものではない。ターミネーターの必要性に関し、このような領域が植物細胞における転写の確実性及び効率を増加させると一般に知られている。したがって、ターミネーターの使用は、本発明の内容において非常に好ましい。
本発明の一具現例による発現カセットにおいて、 前記トキソフラビン分解酵素コーディング配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むことができる。また、配列番号1のヌクレオチド配列と70%以上、さらに好ましくは80%以上、よりさらに好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上の配列相同性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。
本発明において、‘作動可能に連結された’は、異種タンパク質を発現するための単位として機能する発現カセットの成分を意味する。例えば、タンパク質をコーディングする異種DNAに作動可能に連結されたプロモーターは、異種DNAに該当する機能的mRNAの生産を促進する。
本発明一具現例による発現カセットにおいて、(i)プロモーター配列、(ii)目的タンパク質コーディング配列、(iii)3’非翻訳(untranslated)ターミネーター配列を含む目的タンパク質発現カセットをさらに含むことができる。目的タンパク質は、エリスロポエチン(EPO)、組織プラスミノゲン活性化剤(t-PA)、ウロキナーゼ及びプロウロキナーゼ、成長ホルモン、サイトカイン、因子VIII、エポエチン−α、顆粒球コロニー刺激因子及びワクチンを含む、市販の重要な治療タンパク質及びポリペプチドを含むが、これらに限定されるものではない。
本発明一具現例による発現カセットにおいて、前記目的タンパク質発現カセットは、前記選択マーカー発現カセットと共に、一つの発現カセットとして直列に(in tandem)構築される。即ち、一つの発現カセットに、目的タンパク質発現カセットと選択マーカー発現カセットとが共に並んで連結される。また、前記目的タンパク質発現カセットと選択マーカー発現カセットは、それぞれ別の発現カセットに存在することも可能である。
また本発明は、本発明による発現カセットを含む組み換えベクターを提供する。オープンリーディングフレームが宿主細胞内に維持されるようにするために、それは一般に、選択された宿主細胞により認知されて複製されるDNAに連結された本発明による前記オープンリーディングフレームを含むレプリコン形態に提供される。したがって、レプリコンの選択は、選択宿主細胞により大きく左右される。選択された特別な宿主に適したレプリコンの選択を左右する原理は、当業者の範囲内に含まれる。
レプリコンの特別な類型は、それ自体またはその一部を植物細胞のような他の宿主細胞に転移させることができるものであり、それにより、本発明によるオープンリーディングフレームを前記植物細胞に同時転移させることができる。このような可能性を有したレプリコンは、本発明でベクターと称される。そのようなベクターの例としては、アグロバクテリウム(Agrobacterium tumefaciens)のような適当な宿主に存在する時、それ自体の一部、いわゆるT−領域を植物細胞に転移させることができるTi−プラスミドベクターである。他の類型のTi−プラスミドベクター(EP 0 116 718 B1号参照)は、現在、植物細胞、または雑種DNAを植物のゲノム内に適宜挿入させる新しい植物が生産できる原形質体であって、雑種DNA配列を転移させるのに利用されている。Ti−プラスミドベクターの特に好ましい形態は、EP 0 120 516 B1号及び米国特許第4,940,838号に請求されたような、いわゆる二元(binary)ベクターである。本発明によるDNAを植物宿主に導入させる時に利用できる他の適合したベクターは、二本鎖植物ウイルス(例えば、CaMV)及び一本鎖ウイルス、ジェミニウイルス由来のウイルスベクター、例えば非完全性植物ウイルスベクターから選択できる。このようなベクターの使用は、特に、植物宿主を適切に形質転換することが難しい時に有利である。それは、木質種、特に木及び蔓植物による場合である。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明の組み換えベクターで形質転換された宿主細胞を提供する。好ましくは、前記宿主細胞は、アグロバクテリウム属であり、さらに好ましくは、Agrobacterium tumefaciensである。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明の組み換えベクターで形質転換された植物を提供する。前記植物は、稲またはシロイヌナズナである。
植物の形質転換は、DNAを植物に転移させる任意の方法を意味する。このような形質転換方法は、必ずしも再生及び/または組織培養期間を有する必要はない。植物種の形質転換は、今は双子葉植物だけではなく、単子葉植物量子を含む植物種に対して一般的である。原則的に、任意の形質転換方法は、本発明による雑種DNAを適当な前駆細胞に導入させるのに利用できる。方法は、原形質体に対するカルシウム/ポリエチレングリコール方法(Krens, F.A. et al., 1982, Nature 296, 72-74; Negrutiu I. et al., June 1987, Plant Mol. Biol. 8, 363-373)、原形質体の電気穿孔法(Shillito R.D. et al., 1985 Bio/Technol. 3, 1099-1102)植物要素への顕微注射法(Crossway A. et al., 1986, Mol. Gen. Genet. 202, 179-185)、各種植物要素の(DNAまたはRNA-コーティングされた)粒子衝撃法(Klein T.M. et al., 1987, Nature 327, 70)、植物の浸潤または成熟花粉または小胞子の形質転換によるAgrobacterium tumefaciens媒介の遺伝子転移で(非完全性)ウイルスによる感染(EP 0 301 316号)などから適宜選択できる。本発明による好ましい方法は、アグロバクテリウム媒介DNA伝達を含む。特に好ましくは、EP A 120 516号及び米国特許第4,940,838号に記載されたような、いわゆる二元ベクター技術を利用することである。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明の組み換えベクターで形質転換された植物の形質転換(transgenic)種子を提供する。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明による組み換えベクターで植物または植物の一部または植物細胞を形質転換するステップと、 前記形質転換体をトキソフラビン含有培地で増殖させるステップと、を含む形質転換植物の選択方法を提供する。本発明の方法は、本発明による組み換えベクターで植物または植物の一部または植物細胞を形質転換するステップを含むが、前記形質転換は、Agrobacterium tumefaciensにより媒介され得る。また、本発明の方法は、前記形質転換体をトキソフラビン含有培地で増殖させるステップを含む。形質転換体は、トキソフラビン含有培地で生存し、非形質転換体は、前記培地で生き残らず死んでしまう。したがって、形質転換植物を簡単に選択することができる。
本発明のまた他の目的を達成するために、本発明は、本発明による組み換えベクターで植物細胞を形質転換するステップと、前記形質転換植物細胞をトキソフラビン含有培地で増殖させるステップと、前記形質転換された植物細胞から形質転換植物を再分化するステップと、を含む形質転換植物の製造方法を提供する。本発明の方法は、本発明による組み換えベクターで植物細胞を形質転換するステップを含むが、前記形質転換は、Agrobacterium tumefaciensにより媒介され得る。また、本発明の方法は、前記形質転換植物細胞をトキソフラビン含有培地で増殖させるステップを含む。形質転換体は、トキソフラビン含有培地で生存し、非形質転換体は、前記培地で生き残らず死んでしまう。また、本発明の方法は、前記形質転換された植物細胞から形質転換植物を再分化するステップを含む。 形質転換植物細胞から形質転換植物を再分化する方法は、当業界に公知の任意の方法を利用することができる。
本発明によると、tflAが発現される形質転換植物体は、トキソフラビンに抵抗する形質を付与するようになり、特に、稲の場合、イネもみ枯細菌病に抵抗し、稲の収穫量増大と品質の向上をもたらすことができて、また、既存の高い抗生剤の代わりに、安価のトキソフラビンを利用して形質転換植物を選別することができる。
山野地土壌、田・畑土壌、稲種子などからPaenibacillus polymyxa JH2を分離同定する過程の模式図である。 Paenibacillus polymyxa JH2のコスミドクローン(Cosmid clone)を含むE.coli HB101のトキソフラビン分解を示す図である(全てのクローンは、1.5kb EcoRI切片を示す)。 Exiguobacterium sp. 255-15のring-cleavage extradiol dioxygenaseとタンパク質類似度を分析した図であある((2)Bacillus halodurans C-125の知られていないタンパク質の一種、(3)Bacillus halodurans C-125の知られていないタンパク質の一種、(4)Bacillus sp. JF8のNahC、(5)Bacillus sp. JF8のNahH、(6)Sphingopyxis macrogoltabida TFAのThnC、(7)Pseudomonas sp. LB400のBphC、(8)X. axonopodis pv. citri str. 306の保存されたタンパク質(conserved hypothetical protein)、(9)二つのペプチド間で保存されたタンパク質を星印で表示)。 精製されたTflAタンパク質を示すが、(A)は、TflAタンパク質をクーマシー染色をして観察した図であり、(B)は、Mn++とDTTが精製されたTflAがトキソフラビンを分解する時に及ぼす影響を調べるために、TLCプレート分析により観察した図(全てのレーンは、100?M toxoflavinを含む:レーン1, 1 mM MnCl2; 2, 精製されたHis-TflAと1 mM MnCl2; 3, 5 mM DTT; 4, 精製されたHis-TflA と5 mM DTT; 5, 5 mM DTT/1 mM MnCl2; 6, 精製されたHis-TflA plusとDTT/1 mM MnCl2)である。 (A)は、精製されたHis-TflAがトキソフラビンを分解するのに最適の温度を調べた図であり、(B)は、精製されたHis-TflAの時間によるトキソフラビン分解程度を調べた図である。 精製されたHis-TflAによるトキソフラビン分解において最適のpHを示す図である。 トキソフラビンとその誘導体を示す図である(円は、他の種類の官能基(functional groups)を示す)。 His-TflAによるトキソフラビンとその誘導体の分解能を示す図である。 精製されたHis-TflAによるトキソフラビン分解能をLineweaver-Burk plotsで示した図である。 (A)は、pCamLAの遺伝子構造を示す模式図であり、(B)は、pJ904(pCamLA::tflA)の構造である(MCS, multiple cloning site; LB, left border; RB, right border; 35S, 35S promoter; P. PstI; Sm, SmaI; S, SacI)。 形質転換稲植物体の製造過程を示す図である。 (A)は、pJ904 (pCamLA::tflA)の遺伝子構造を示す図であり、(B)は、形質転換稲のサザンブロット分析を示す図である((A) T-DNA region of pJ904. LB, left border; RB, right border; HygR, hygromycin phosphotransferase; 35S, CaMV 35S promoter. (B) Southern blot analysis of transgenic rice T2 plants. M, Molecular size marker; 1, Cv6-2; 2, Dt1-1; 3, Dt1-2; 4, Dt3-6; 5, Dt27-1; 6, Dt27-2; 7, Dt27-3; 8, Dt27-4; 9, Dt34-1; 10, Dt34-3; 11, Ct36-3; 12, pJ904; 13, Cv10-1; 14, Dt4-1; 15, Dt4-3; 16, Dt7-7; 17, Dt19-5; 18, Dt40-5; 19, Ct18-2; 20, Ct18-4; 21, Ct18-5; 22, Ct18-6; 23, Ct9-1; 24, pJ904; 25, Cv6-4; 26, Dt2-1; 27, Dt2-5; 28, Dt7-3; 29, Dt7-5; 30, Dt7-9; 31, Dt7-10; 32, Dt9-6; 33, Dt16-1; 34, Dt19-3; 35, Dt38-3; 36, pJ904)。 野生稲と形質転換T2植物のウェスタン分析を示す図である(M, Marker; WT, Dongjinbyeo wild-type plant; Dt, Dongjinbyeo transgenic T2 plants expressing tflA; TflA, purifeid His6-tagged TflA)。 トキソフラビンを処理した稲葉の片を分析した図である(A, Dongjinbyeo wild-type plant; B and C, Individual transgenic lines (B, Dt40-6; C, Dt19-5); D, Dongjinbyeo wild-type plant in the dark)。 pCamLA内のT-DNAの概略図である。 pTflA内のT-DNAの概略図である。 pCamLA(左)及びpTflA(右)ベクターでそれぞれ形質転換された稲カルスのハイグロマイシン(30μg/ml)2次選抜を行ったものである。 pCamLA(左)及びpTflA(右)ベクターでそれぞれ形質転換された稲カルスの再分化前にトキソフラビン(5μg/ml)選抜を行ったものである。 pCamLAベクターで形質転換された稲カルスの再分化培地置床4週目にトキソフラビン(7.5μg/ml)選抜を行ったものである。 pTflAベクターで形質転換された稲カルスの再分化培地置床4週目にトキソフラビン(7.5μg/ml)選抜を行ったものである。 選抜された形質転換体の分離されたゲノムDNAからPCRを行って、PCR産物をアガロース電気泳動した結果である。 pCamLA:tflA, pCamLA(△hpt):tflA, pMBP1:tflA及びpMBP1ベクターがそれぞれ挿入された形質転換植物を示した図である。 選抜された形質転換体の分離されたゲノムDNAからPCRを行って、PCR産物をアガロース電気泳動した結果である。 形質転換体の脱色効果を示した図である。
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳細に説明するが、これら実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものであって、本発明の範囲がこれら実施例に限定されないことは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとっては自明なことであろう。
実験例1:菌株培養条件
Paenibacillus polymyxa菌株は、28℃、液体LBまたは固体LB培地で培養した。全てのEscherichia coli菌株は、37℃、液体LBまたは固体LB培地で培養した。使用した抗生剤の濃度は、次のようである:リファンピシン(rifampicin)50μg/ml; テトラサイクリン(tetracycline)10μg/ml、カナマイシン(kanamycin)30μg/ml; アンピシリン(ampicillin)100μg/ml;クロラムフェニコール(chloramphenicol)25μg/ml。
実験例2:酵素とDNA処理
1.染色体DNAの準備
Paenibacillus polymyxa染色体DNA抽出は、lysozyme-sodium dodecyl sulfate(SDS)溶解法を変形して行った(Leach et al. 1990)。バクテリアは、適切な抗生剤が含まれた500ml LB培地で230rpm、28℃で培養した。バクテリア細胞は遠心分離して得て、バクテリアペレットは、1ml 0.9% NaCl溶液で洗浄し、330μl GTE(50 mM glucose, 25 mM Tris-HCl [pH 8.0], 10 mM EDTA [pH 8.0])溶液で溶かした後、3μlリソザイム(50 mg/ml)を添加して、37℃で30分間反応する。細胞は、17μl 10% SDSを添加して壊し、37℃で10分間反応する。10μl RNaseA(10 mg/ml)を添加した後、37℃で1時間反応する。17μl 0.5M EDTAを添加して37℃で10分間反応する。2.5μl proteinase K(20 mg/ml)溶液を添加して、37℃で6時間反応する。25:24:1(v:v:v)フェノール:クロロホルム: イソアミルアルコール(phenol: chloroform: isoamyl alcohol)を添加して5分間激しく混ぜる。16,816×g、5分間遠心分離した後、上清液は新しいチューブに移し、フェノールを入れて抽出過程を2回行う。24:1 (v:v)クロロホルム:イソアミルアルコール(chloroform: isoamyl alcohol)を、新しいチューブに移した上清液と同じ容量入れて、0.1容量の3 Mナトリウムアセテート[pH 7.0]と2容量の95%エタノールを入れて16,816×g、15分間遠心分離する。遠心分離後、上清液は気をつけて捨て、ペレットは70% エタノールで洗浄する。エタノールが全て蒸発すると、ペレットは、0.2 ml TE [pH 8.0]を入れて溶かした後、−20℃に保管する。
2.プラスミドDNAの準備
E. coli プラスミドDNAは、アルカリ分解法(alkaline lysis method, Sambrook et al., 1989)により行った。E. coli 細胞は、適切な抗生剤を入れて、2 ml LB培地、200 rpm、37℃で培養した。バクテリア細胞は、16,816×g、1分間遠心分離して得た。上清液は除去し、バクテリアペレットは、100μl ice-cold solution I(50 mM glucose, 25 mM Tris-HCl [pH 8.0], 10 mM EDTA [pH 8.0])を入れてよく混ぜた後、5μl of RNaseA solution(20μl/ml)を添加した。200μl solution II(0.2 N NaOH, 1% SDS)を添加した後、やさしくよく混ぜて150μl ice-cold solution III (5 M potassium acetate 60 ml, glacial acetic acid 11.5 ml, sterile distilled water 28.5 ml)を入れてよく混ぜる。バクテリア溶解物は、16,816×g、4℃で10分間遠心分離した後、フェノール処理後、上清液のみを新しいチューブに移して、1ml 95%エタノールを入れてよく混ぜる。DNAペレットは、16,816×g、4℃で15分間遠心分離する。ペレットは、70%エタノールで洗浄して除去する。ペレットは、30μl TE [pH 8.0]に溶かして4℃に貯蔵する。
3.酵素とアガロースゲル電気泳動
制限酵素、calf intestinal alkaline phosphatase, T4 DNA ligaseと、他の関連試薬は、Takara (Japan), Boehringer Mannheim (Mannheim, Germany), Stratagene (La Jolla, CA), Gibco BLR (Gaithersburg, MD)及びSigma (St. Louis, MO)で購入した。分析条件は指針書に従った。バクテリアDNAは、多様なendonucleasesで切断した後、0.5×TBE (45 mM Tris-borate, 1 mM EDTA)バッファーを利用して0.7% (w/v)アガロースゲル(Sigma)で分離する(Ausubel et al., 1991)。DNAをよく混ぜて、ゲルローディングバッファー(0.25% ブロモフェノールブルー(bromophenol blue)、0.25%キシレンシアノールFF(xylene cyanol FF)、15% ficoll in water)でローディングする。ゲルは、0.5μl/ml ethydium bromide溶液に30分間染色した後、トランスイルミネーター(transilluminator)で観察する。
4.アガロースゲルでDNA切片分離
アガロースゲルでDNA切片分離は、QIAEX II gel extraction kit (150) (QIAGEN, Germany)を利用する。
実験例3:カルシウムクロライド(calcium chloride)を利用した形質転換
Maniatis et al. (1982)が記述した通りに、カルシウムクロライド(calcium chloride)を利用したE. coli 形質転換を行った。E. coli competent cellsを準備するために、12時間培養後、exponential phase (A600=0.6)になるまで、230 rpm、37℃で培養した。培養液を集めて20分間氷に入れておいてから、4℃、2,700×gで遠心分離してペレットを得た後、氷中に保管しておいたCaCl2溶液(sterilized 10 mMカルシウムクロライドと10%グリセロール)でよく混ぜる。20分間氷中で反応した後、2,700×g、4℃、10分間遠心分離した。ペレットは、氷に保管しておいたCaCl2溶液を適当に入れて、よく混ぜる。混合物は、予め冷却させた遠心分離用チューブに0.1 mlずつ分株して、使用前まで−70℃に保管する。形質転換のために、15μlライゲーション混合物(ligation mixture)に85μl TEを入れる。氷で徐々に溶かしたcompetent cellに、予め冷却しておいたライゲーション混合物を入れ、注意して混ぜた後、20分間反応する。42℃、1ml LBで熱衝撃を加えた後、細胞を37℃で1時間振とう(shaking)なしに培養する。細胞は、適切な抗生剤が添加されたLB固体培地によく敷いて培養する。
実験例4:トキソフラビンを分解するバクテリアの分離
1mgの畑の土に2ml最小培地を添加する。37℃で48時間培養した後、40μl/mlトキソフラビンの含まれたLB寒天培地によく敷いて培養する。1〜2日間培養した後、単一コロニーを分離する。滅菌した稲の種は、滅菌後、5ml最小培地で37℃、24時間培養後、40μl/mlトキソフラビンを添加して48時間培養した後、40μl/mlが含まれたLB寒天培地に培養液をよく敷いて2〜3日間培養した後、単一コロニーを分離して、純粋な単一コロニーを得るために、もう一回LB寒天培地によく敷いて培養する。
実験例5:菌株の同定
分離した菌株を同定するために、生理学的特性と培養特性をBiologプログラム分析、GC-FAME(gas chromatography of fatty acid methyl esters)、16S rDNAシーケンス分析を通じて調べた。
分離した菌株の炭素利用分析表(carbon source utilization profiles)をBiolog microplatesで製造社の指針書通りに3回行って比較した(Biolog GN MicroPlate; Biolog, Hayward, CA)。24時間と48時間培養後、プレートは、MicroLog 3-Automated Microstation system(Biolog)を利用してデータを読み出した。Microlog Gram-positive database (Version 4.0)の比較を通じて、バクテリアを同定した。
fatty acid methyl ester分析のために、予想される分離された9つの菌株をTrypticase soy broth (Becton Dickinson and Co., Franklin Lakes, NJ)寒天培地で28℃、48時間培養して、fatty acid methyl estersは、標準方法を利用して抽出した(Sasser, M, 1997)。脂肪酸(fatty acids)は、Sherlock Microbial Identification System Version 2.11 (MIDI Inc., Newark, DE)で分析した。分離されたfatty acid methyl ester分析は、3回繰り返して行った。
分離された菌株の16S rDNAシーケンシングは、5μl 10×PCRバッファー(Takara Bio Inc.,Otsu, Japan)、5μlずつそれぞれのdNTP (2.5 mM, Takara)、1μlプライマー(100 pmol, 27 mF: 5′-AGAGTTTGATCMTGGCTCAG-3′(配列番号3), 1492 mR:5′-GGYTACCTTGTTACGACTT-3′(配列番号4))、0.5μl Taq polymerase (250 U/μl, Takara)と2μlバクテリア浮遊物(A600nm=0.1)を含む総50μl反応容量でPCRを行った。PCR増幅は、automated thermal cycler (model PTC-150, Perkin-Elmer Cetus, Norwalk, CT)で行い、最初の変性条件は、94℃、5分間で、次のような条件で29回を行った:変性 94℃/1分間、アニーリング55℃/1分間、伸長72℃/1.5分間(最後に増幅過程1回添加 72℃/10分間)。
増幅されたDNAは、Sambrook et al. (1989)が行った方法により、pBluescript II (SK+) (Stratagene, Cedat Creek, TX)のSma I座にクローニングする。
DNAシーケンシングは、DNA sequencing ABI3700 automated DNA sequencer (Applied Biosystems Ins., Foster City, CA)で行った。DNAシーケンス資料は、National Center for Biotechnology Institute (Altschul. et. al. 1990)のBLASTプログラムで分析した。
実験例6:P. polymyxa JH2コスミドライブラリーの構造
P. polymyxa JH2培養液500 mlで染色体DNAを準備し、Sau3Aで部分的に切断する(partially digested)。長さ20〜30kbの切片を24,000 rpm、24時間室温でsucrose gradient centrifugation (10 to 40% [wt/vol])で分離し、pLAFR3 (Tra-, Mob+, RK2 replicon, Tetr, Staskawicz et al., 1987)と連結する。
連結されたDNAは、製造社(Promega, Madison, USA)の指針書通りにbacteriophage λで包まれた後、E.coli HB101 (F- mcrB mrr hsdS20 (rB -mB -) recA13 leuB6 ara-14 proA2 lacY1 galK2 xyl-5 mtl-1 rpsL20 (Sm R) suoE44 λ-, Gibco BRL)で形質転換する。
実験例7:ライブラリースクリーニング
ライブラリーは、LB液体培地で230 rpm、37℃で培養してスクリーニングした。40μg/mlトキソフラビンが添加されたLB液体培地で3時間培養した後、12時間をさらに培養した。液体培地をトキソフラビン40μg/mlが添加されたLB固体培地によく敷いて培養した。この固体培地では、37℃、1日間培養して、コロニーを観察することができた。
実験例8:シーケンシング
1.シーケンシング反応
鋳型プラスミドDNAは、QIAprep Spin Miniprep kit(QIAGEN, Germany)を指針書通りに使用した。1μg BigDye terminatまたはready reaction mixが含まれた試薬(reagents)、2 pmol T7プロモータープライマー、鋳型プラスミドDNA 5μl(100-200ng)を入れてよく混ぜた。反応物は、0.2 ml PCRチューブに入れてthermal cycler(MinicyclerTM PTC-150(MJ Research, Watertown, MA))を利用し、95℃で5分間熱を加えた後、次のような条件で25サイクル増幅過程を行った; 20 sec, 95℃/10 sec, 55℃/4 min, 60℃。
2.PCR産物の精製
シーケンシング反応が完了した後、PCR産物(10μl)は、1.5ml遠心分離チューブに移す。17試薬(reagents)(26μl蒸留水、64μl 95%エタノール)を10μl反応産物に添加してよく混ぜた後、15分間室温に置く。16,816×g、室温で20分間遠心分離後、上清液は捨てて、ペレットは250μl 70%エタノールで洗浄した後、空気中で乾燥し、-20℃で保管する。
3.DNAシーケンシングとデータ分析
pJ9(コスミドライブラリーがクローニングされたプラスミド)挿入DNAは、適切な制限酵素で切断し、シーケンシングの前にpBluescript II SK(+)にサブクローニングする。Universalプライマー(配列番号5)とreverse primers(配列番号6)は、基礎反応に使用して、合成プライマー(配列番号7及び8)は、完全な二本鎖のシーケンシングのために使用した。DNAシーケンスデータは、BLASTプログラム(Gish and States, 1993)、MEGALIGNソフトウェア(DNASTAR)とGENETYX-WINソフトウェア(Software Development, Tokyo, Japan)で分析した。
実験例9:His-TflAの過発現と部分精製
P.polymyxa JH2のtflAは、配列番号9と10を有するプライマーを利用したPCRで増幅し、pET14bベクター(Novagen, Madison, WI, USA)のNdeI/BamHIでクローニングした。pET14bの入ったE. coli BL21 (DE3) (pLysS)菌株は、アンピシリンとクロラムフェニコールが添加されたLB液体培地で培養し、攪拌しながら37℃で培養した。OD600nmが0.8になった時、最後の濃度が1 ml IPTGとなるように培地に添加し、37℃で2時間攪拌して培養した後、遠心分離により細胞を獲得した。50mMリン酸ナトリウム(50mM sodium phosphate, pH 6.5)を入れて、ペレットをよく混ぜた後、ソニケーションする(sonicated)。遠心分離後、部分的に精製されたタンパク質は、スタンダード(standard)としてBSAを使用したBradford 方法により測定した(Bradford, 1976)。タンパク質は、SDS-PAGE後、クーマシーで染色して観察した。
実験例10:N-末端His-TflA精製
より一層きれいな精製のために、N-末端His-tagged TflAを使用した。tflAがクローニングされたpET14bベクター(Novagen, Madison, WI, USA)を含むE. coli BL21 (DE3)(pLysS) LB液体培地で培養し、タンパク質は、IPTG誘導により過発現された。細胞を集めた後、50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.5)を入れて、超音波法(sonication)で細胞を壊した後、10,000×g、20分間4℃で遠心分離する。上清液をNi-NTAスピンカラム(QIAGEN, Valencia, CA, USA)でローディングする。His-tagged proteinを1,000×g、2分間4℃で遠心分離し、Ni-NTAマトリックスに付着する。マトリックスに付いているタンパク質は、洗浄バッファー(20 mMイミダゾール、50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.5))で2回洗浄し、付着していないタンパク質は除去する。His-tagged proteinは、順に0.1 ml elution buffer 1 (10 mMイミダゾール、50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.5))を入れて、0.1 ml elution buffer 2 (10 mMイミダゾール、50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.5))を入れて溶かし分離する。溶かして分離したタンパク質は、イミダゾールを除去するために、50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.5)を利用して透析する。精製されたタンパク質濃度は、スタンダードとしてBradfordを利用して測定する(Bradford, 1976)。
実験例11:His-TflAの酵素特性
1.酵素分析
TflA活性度は、thin layer chromatography (TLC) plateを利用したトキソフラビンと酵素反応混合物の反応生成物の変化を測定して分析した。分析バッファー(50 mMリン酸ナトリウム(pH 6.5))に5μM TflAタンパク質、10 μM MnCl2と5 mM DTT (Dothiothreitol)を入れて200μl混合物を製造し、25℃で反応した。トキソフラビンは、反応を始める直前に最終濃度が100 μMとなるように添加する。10分後に200μlクロロホルムを添加して反応を中止する。クロロホルム層を完全に乾燥した後、10μlの100%メタノールを添加する。メタノールがある反応物は、ピペットでTLCに加え、クロロホルム:メタノール(chloroform:methanol, 95:5, V:V)溶媒を含むTLCチャンバーに入れて室温に置く。TLCは、UV(254, 365 nm)下で検出する。
2.酵素活性における金属イオンの効果
酵素活性において、金属イオンの効果を調べ、全てのイオンは、1mM濃度で調べた。
3.酵素反応におけるpHと温度の効果
TflA活性は、50mMリン酸ナトリウム(pH4.0〜8.0)バッファーを利用して、25℃で多様なpH範囲で調べた。酵素活性は、50mMリン酸ナトリウム(pH6.5)バッファーを利用して10〜40℃範囲で調べた。
4.酵素力学
力学媒介変数(Km and Vmax)は、他のトキソフラビンの濃度(80-200 μM)を利用してLineweaver-Burk plotで決定される。それぞれの実験ポイントは、少なくとも3回試みた値の平均で決定される。
実施例1:トキソフラビン分解遺伝子分離
山野地土壌、田・畑土壌、稲の種子などから500余種の細菌を分離し、トキソフラビンを添加した栄養最小培地(minimal medium)に培養した後、毒素分解後、育つ細菌を分離した。稲の種子から分離された細菌の中、トキソフラビンを分解する細菌を純粋分離して、16s DNAヌクレオチド配列分析、脂肪酸分析、Biolog分析システムを利用して同定した。同定結果、Paenibacillus polymyxaに同定されて、JH2と命名した(図1)。P. polymyxa JH2から染色体DNAライブラリー(genomic DNA library)をE. coli HB101に製作して、ライブラリークローン(library clone)の中、毒素培地に育つコロニー(colony)を選抜した。分離されたDNAクローン(DNA clone)から制限酵素で切断して作ったクローンで、毒素分解に必要な最小DNA切片を確認した(図2)。毒素分解に必要な最小クローンである1.5kb EcoRI切片をヌクレオチド配列分析を通じて666 bpのORFを確認した(配列番号1)。NCBI BLAST分析を通じてExiguobacterium sp.のring-cleavage extradiol dioxygenaseと67.3%の類似性(similarity)があることを確認した(図3)。トキソフラビン分解に係わる遺伝子tflAは、今まで報告されたことのない新種有用遺伝子であるが明かされた。
実施例2:毒素分解遺伝子(tflA)発現と精製されたタンパク質による毒素分解
トキソフラビン分解遺伝子(tflA)を発現されるために、pET14-b(T7プロモーター発現ベクター, Ampr, Novagen)を利用した。PCRを利用して増幅された遺伝子をpBluescript II SK(+) (ColEI, MCS-lacZα, Ampr cloning vector, Ampr, Stratagene)にクローニングしてヌクレオチド配列分析後、PCRによる問題のないクローンを再びpET14-bにクローニング(pH904)した。pH904をE. coli BL21 (DE3/pLysS)に形質転換してIPTG (1 mM)で誘導した後、Ni-columnでHis-TflA (26.7 kDa)タンパク質を精製した(図4A)。精製したTflAタンパク質でトキソフラビン分解検定を通じてDTTとMn2+が共に存在する時に毒素が分解されることを確認した(図4B)。
TflAタンパク質によるトキソフラビン分解に対する温度反応を調べるために、20、25、30、35、40℃の温度別毒素分解量を調べて、30℃で最も高い分解能を示すことを確認し(図5A)、最適のpH条件は、pH6.5であることを確認した(図6)。 TflAタンパク質の特異的活性(specific activity)を測定するために、10分間隔で毒素分解を調査して、特異的活性は、0.0413 μmoles/min/mgであった(図5B)。
実施例3:TflAによるトキソフラビンと誘導体分解
1)トキソフラビンと誘導体合成
TflAによる毒素分解メカニズムを研究するために必要な毒素とその誘導体を、共同研究を進行している日本岡山大学のTomohisa Nagamatsu教授から化合物を提供してもらった(図7)。トキソフラビンを基本構造として3番炭素にmethyl基がある3−Methyltoxoflavin、 4,8番窒素に水素を有した4,8-Dihydrotoxoflavin、3番炭素にmethyl基と4,8番窒素に水素を有した3'-Methyl 4,8-Dihydrotoxoflavin、1番窒素の代わりに8番窒素にmethyl基を有したfervenulin、3番炭素にphenyl基を有した3-Phenyltoxoflavin、ring構造をさらに一つ有している5-Deazaflavin、1番窒素にmethyl基がないreumycin、reumycin構造の3番炭素にmetyl基を有した3-Methylreumycin、3番炭素にphenyl基を有した3-PhenylreumycinなどでTflAによる分解を検定した。
2)TflAによるトキソフラビンと誘導体分解
分離精製されたTflAタンパク質でtoxoflavinと誘導体分解を検定した結果、与えられた時間内にToxoflavin, 3-Methyltoxoflavin, 4,8-Dihydrotoxoflavin, 3-Methylreumycinは、完全に分解されて、3-Phenyltoxoflavin, 3-Phenylreumycin, 5-Deazaflavinは、分解されなかった。reumycin, 3-Methyl 4,8-Dihydrotoxoflavin, fervenulinは、一部分解が進行されたが、完全分解には及ばなかった。要するに、3番炭素にphenyl基があるものは分解が進行されなかったことから、TflAタンパク質は、toxoflavinの3番炭素周辺のring構造を認識すると考えられる(図8)。
実施例4:TflAの動力学(kinetics)
トキソフラビン分解のためのHis-TflAのMichaelis constant (Km)、最大反応速度(maximum reaction rate, Vmax)、そして特異的活性を調べた。毒素分解活性は、TLC分析を通じて確認した。His-TflAのKmとVmax値は、それぞれ69.72μMと-0.45 U/mgとして確認され、特異的活性は、0.4 μmol/mgであった(図9)。
実施例5:形質転換植物体の製造
形質転換に使用されたベクターは、pCamLA(図10)であって、T-DNA内部にハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hygromycin phophotransferase, HygR)を含んでおり、T-DNA外部に(kanamycin)抵抗性遺伝子を有している。形質転換に使用した菌株は、Agrobacterium tumefaciens LBA4404を使用した。AB最小培地(AB minimal medium)でアグロバクテリウムを培養して、細胞(cell)を回収し、acetosyringone(3,5-dimethoxy-4-hydroxy acetophenone, Aldrich)の含まれたAA液体培地に希釈した後、用意したドンジン、秋晴、日本晴カルスを3〜5分間浸漬した。接種されたカルスは、滅菌されたろ過紙で水分を除去した後、培養器にカルスを値床して3日間28℃の暗条件でアグロバクテリウムと共同培養した。3日間培養されたカルスからアグロバクテリウムを除去して、N6最小培地(N6 selection medium)に置床した。光条件(25℃)で30日間培養して、増殖されたカルスのみを選抜した。選抜培地で増殖されたカルスを再分化培地に値床して、再分化された植物体を、生長調節物質が添加されていない培地に移植して根を誘導した(図11)。ハイグロマイシンの含まれた培地で新梢(shoot)と根(root)が正常的に生育した個体のみを選抜して純化させた後、ポット(pot)に形質転換植物を移植して、温室で栽培管理した。反復実験から得られた形質転換植物体の中、外形的に正常的な生育過程を経た植物体から、表1に示したようにT1またはT2 plantを確保した。
実施例6:形質転換植物体(T2 plant)の分析
1)サザンブロット分析
T2世代の形質転換植物体稲の葉肉組織1gから、標準的な過程を通じて染色体DNA(genomic DNA)を抽出した。染色体DNA 15-20μgを制限酵素EcoRIで処理し、0.7%アガロースゲルで展開後、膜(membrane)にブロッティング(blotting)した後、ハイブリゼーション(hybridization)した。2.5 KbのtflA 断片(3'nos terminator含み)がプローブDNAとして使用された。T2世代の形質転換植物体の葉肉組織のDNAを、tflAプローブを利用してサザンブロット分析を行った結果を図12Bと表2に示した。ドンジンと秋晴の二つの品種とも、多様な挿入パターン(integration pattern)とコピー数(copy number)を確認することができた。
2)ウェスタンブロット分析
T2世代の形質転換植物体稲の葉肉組織300mgを採取して、液体窒素で粉砕した後、破砕バッファー(50 mM Tris-HCl pH7.5, 150 mM NaCl, 1 mM EDTA, 10%グリセロール、1mM PMSF, 0.05% Tween 20, protease inhibitor cocktail)を添加して攪拌した後、遠心分離(4℃, 15,000rpm, 15分)して上澄み液を得て、これを再び遠心分離して、トータル可溶性タンパク質(total soluble protein)を抽出した。2×サンプルバッファーにトータル可溶性タンパク質(total soluble protein)15μlを添加して100℃の沸く水で5分間加熱後、SDS-PAGEに展開させて、これをPVDF膜にブロッティングした。膜をブロッキング溶液(blocking solution, 5% skip milk in TBS-T)でブロッキングして、anti-TflA抗体とimmunoPure Antibodyを処理した後、NBT/BCIP Detection Kit (Amersham, England)で検出した。図13に示したように、T2世代の形質転換植物体でTflAが正常的に発現されることが分かった。
実施例7:形質転換植物体(T3 plant)の選抜
ハイグロマイシンが含まれた選抜培地で新梢と根が正常的に生育した固体のみを選抜して純化させた後、形質転換植物体をポットに移植して、温室で栽培管理した。反復実験で得られた形質転換植物体の中、外形的正常的な生育過程を経た植物体からそれぞれ採種した種子(T1,T2)を利用して、ハイグロマイシン抵抗性検証に使用した。完熟種子の種皮を除去して、100%エタノールに1分間浸漬した後、2%次亜塩素酸ナトリウム(sodium hypochloride)溶液に20分間攪拌しながら表面殺菌した。表面殺菌された種子を滅菌水で3回洗浄して、ハイグロマイシン(50 mg/L)を添加した1/2 MS培地に種子を値床した。培養は、26℃ 3000 luxの連続光条件で行われて、抵抗性検証は、値床10日後に幹と根の伸長を観察して調査した。それぞれの植物体から採種した種子を利用してハイグロマイシン抵抗性遺伝子の分離比を調査して、表2に示したように、二つの品種の形質転換稲T3 plantを確保して研究を行った。
実施例8:形質転換植物体(T3 plant)phenotype検定
T3世代の形質転換稲の4〜5葉期の葉を利用して、トキソフラビンに対する対抗性検証を行った。先行研究により、トキソフラビンが活性化されるに光が要求されることが分かり、光が維持される条件で実験を行った。直径が60×15mmであるペトリディッシュに殺菌水5mlを入れて、0, 25, 50, 100μM濃度のトキソフラビンを処理した。3×4 mmの大きさに切った4〜5 葉期の稲葉をトキソフラビンに処理して、28℃で16時間の光条件、25℃で8時間の暗条件が維持される生長箱に48時間置いた。図14から分かるように、トキソフラビンを処理した後、40時間後に野生稲の葉から毒素による変色反応が現れ始めたが、tflAが導入された形質転換稲葉では、トキソフラビン処理による変色反応が進行されなかった。
実施例9:形質転換ベクターの製作
形質転換に利用されたベクターは、pCamLA及びpTflAである。pCamLA(図15)は、T-DNA内部にハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hygromicin phophotransferase, HygR)を含んでおり、T-DNA外部にカナマイシン(kanamycin)抵抗性遺伝子を有している。pTflAは、T-DNA内部にトキソフラビン分解酵素(tflA)を含んでおり、35Sプロモーター及びNOSターミネーターを有している(図16)。
ハイグロマイシン選別(Hygromycin selection)に使用されたベクターは、二元ベクター(binary vector)であるpCAMBIA1300由来のpCamLAであって、T-DNA内部にハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hygromicin phophotransferase, HygR)を含んでおり、T-DNA外部にカナマイシン(kanamycin)抵抗性遺伝子を有している。pCamLAの増殖は、大腸菌DH5α (E. coli DH5α)を宿主として利用して増殖させた後、プラスミドDNA (plasmid DNA)を抽出して、抽出されたpCamLAは、電気穿孔法(electroporation)を利用してAgrobacterium tumerfaciens LBA4404に形質転換させた。
トキソフラビン選別に使用されたベクターであるpTflAは、pCamLAをXhoIダイジェスチョン(digestion)してHygR遺伝子を除去し、そこに開始コドン(start codon)と終結コドン(stop codon)にXhoIアダプター(adaptor)があるtflAを置換して製造した。
XhoIアダプターのあるtflA の製作は、pJ90 (pBluscript II SK(+)にtflAを含んでいる1.2kb HindIII fragment)を鋳型DNA(template DNA)として、J90XhoI-F (5'-CTCGAGATGACTTCGATTAAACAGCTTAC-3'; 配列番号11)とJ90XhoI-R (5'-CTCGAGTTAGATCACCAGTTCACC-3'; 配列番号12)をプライマー(primer)として利用してtflAをPCR増幅した後、増幅されたPCR産物をpBluscript II SK(+)のXhoI部位にクローニング(cloning)してヌクレオチド配列分析(sequencing)して、これをpJX90-6と命名した。pJX90-6をXhoI digestionして生じた断片を、HygR遺伝子が除去されたpCamLAに置換してpTflAを製作した。
実施例10:稲形質転換
1)カルス誘導
種子(稲種)は、前年度採種種子を使用した。カルスを誘導する過程は、下記のようである。
1.稲を剥いて良質のもののみを選別する(米の胚芽が落ちないように注意)
2.Falconチューブに入れて100%エタノールで30秒間振る。
3.1/2ラックスを入れて、振とうインキュベーターで20分間インキュベーションする。
4.滅菌水で4〜5回洗浄する。
5.カルス誘導培地(2N6 free media)に移す時、胚芽が上方になるようにして載せる。
カルス誘導は、28℃で3〜4週間が好ましく、4週間誘導したものが最もよくて、5週を超えないようにする。ペトリディッシュは、一般ペトリディッシュより大きいもの(100/20mm)を使用した。
2)カルス形質転換
(1)同時接種(co-inoculation)(暗条件)
同時接種3日前に誘導されたカルスを新しい2N6培地に載せて、翌日アグロバクテリウム培養をした。
1.48時間アグロバクテリウムを培養する。
2.3000rpmで5分間遠心分離して細胞を沈殿させる。
3.AAM培地に希釈して、OD660 = 0.1となるようにする。
4.カルスをチューブに適量入れて、30秒間上記AAM培地に浸す。
5.30秒後に上清液は捨てて、ろ過紙に振り撒いて乾燥させる。
6.20〜30分間乾燥する間、ペトリディッシュにろ過紙を敷いてAAM 1〜2mlで流れない程度に湿す。
7.乾いたカルスをろ過紙上に載せて、ホイルで包んだ後、24℃で3日間インキュベーションする。
(2)第1選択(暗条件)
1.2N6 +ハイグロマイシン(植物選択マーカー)10 mg/L(200 ul-50 mg/ml) +セファトキシン250 mg/L(1 ml-250 mg/ml)培地を製作する。
2.3日間培養されたカルスを滅菌されたチューブに入れて、滅菌水で一回洗浄する。
3.滅菌水50 ml + セファトキシン50 ulにそれぞれ20分間ずつ3回洗浄する。
4.ろ過紙上に振り撒いて乾かす。
5.第1選択培地に値床する。
6.ホイルで包んで28℃でインキュベーションして、7日間観察する。
(3)第2選択(暗条件)
1.2N6 +ハイグロマイシン30 mg/L(600 ul-50 mg/ml) +セファトキシン250 mg/L(1 ml-250 mg/ml)培地を製作する。
2.暗く変わった部分は、抵抗性を有していない部分であるため除き、白い部分のみを第2選択培地に値床する。
3.3週間観察する。
(4)3週間第1分化培地(明条件)
(5)3週間第2分化培地(明条件)
(6) Bottle 1/2 MS
カルス第1選択培地
2N6培地 1L−オートクレーブ
ハイグロマイシン(50 mg/ml) 200 ul (最終濃度150 mg/L)
セファトキシン(250 mg/ml) 1 ml (最終濃度 1650 mg/L)
カルス第2選択培地
2N6培地 1L−オートクレーブ
ハイグロマイシン(50 mg/ml) 600 ul
セファトキシン(250 mg/ml) 1 ml
図17は、pCamLA及びpTflAベクターでそれぞれ形質転換された稲カルスのハイグロマイシン(30 ug/ml)2次選抜を行ったものである。右側培地においてpTflAベクターで形質転換された稲カルスの死滅が始まっていることが分かった。
図18は、pCamLA及びpTflAベクターでそれぞれ形質転換された稲カルスの再分化前にトキソフラビン(5 ug/ml)選抜を行ったものである。左側培地に地床されたpCamLAで形質転換された稲カルスは、トキソフラビン分解酵素を有していないため、トキソフラビンを処理した結果、カルスの大部分が死滅することが分かる。しかしながら、右側培地に値床されたpTflAで形質転換した稲カルスは、一部のみが死滅することが分かる。
図19は、pCamLAベクターで形質転換された稲カルスの再分化培地置床4週目にトキソフラビン(7.5μg/ml)選抜を行ったものである。図19から分かるように、pCamLAベクターで形質転換された稲カルスは、トキソフラビン分解酵素を有していないため、トキソフラビンを処理した結果、カルスの大部分が死滅することが分かった。
図20は、pTflAベクターで形質転換された稲カルスの再分化培地置床4週目にトキソフラビン(7.5μg/ml)選抜を行ったものである。図20から分かるように、pTflAベクターで形質転換された稲カルスは、トキソフラビン分解酵素を有しているため、トキソフラビンを処理しても、カルスが正常的に再分化されることが分かった。
pCamLA及びpTflAベクターでそれぞれ形質転換された稲カルスの再分化培地置床4週目にトキソフラビン(7.5μg/ml)選抜による再分化率を調べた。その結果は、下記表10に示した。
前記表10において、再分化率は、全体カルス数に対する再分化植物体数の比率を示す。表10から分かるように、pCamLAの場合に比べ、pTflAの場合が再分化率が高いことが分かる。
選抜された植物をポットに移して植えた後にtflA遺伝子が形質転換されたことを、組織PCRを通じて確認した。PCRプライマーは、tflA配列に基づいてデザインして、アニーリング温度55℃で行った。PCRプライマーは、tfla140-U (5'-TGCAGCTGCTGATGGAACAAA-3';配列番号13)とTFLA370-L (5'-TTATCCAGTACAGGTGCAGCT-3';配列番号14)を使用した。図21は、選抜された形質転換体の分離されたゲノムDNAからPCRを行って、PCR産物をアガロース電気泳動した結果である。図21において、レーン12, 16, 17, 18, 21及び36は、PCR産物が生成されなかった。図21から分かるように、形質転換体は、所望の位置にPCR産物を生成するため、トキソフラビン分解遺伝子が安定的に稲ゲノムに挿入されたことが分かった。
実施例11:シロイヌナズナ形質転換
1)既存の形質転換ベクターとtflAを利用した新規形質転換ベクターの比較分析
既存の形質転換ベクターとtflAを利用した新規形質転換ベクターの比較分析を行った。トキソフラビンとハイグロマイシン抵抗性遺伝子を有しているpCamLA:tflAとpCamLA:tflAからハイグロマイシン抵抗性遺伝子が欠損されたpCamLA (△hpt):tflA及びtflAを二元(binary)ベクターのpMBP1に挿入したpMBP1:tflAをもって、既存の形質転換ベクターとしてよく使われるpMBP1と比較分析を行った。
2)実験方法
それぞれの構築物が入っているアグロバクテリウムを利用して、シロイヌナズナCol-Oにそれぞれ形質転換させる。形質転換は、下記のように行った。
1.シロイヌナズナCol-Oを、花が咲くまでポットで育てる。花茎が出て、花が咲き始まると、鋏で花茎を切る。
2.形質転換される遺伝子が入っているアグロバクテリウムをLBブロスで一晩中培養する。
3.培養されたアグロバクテリウムを遠心分離して、5%スクロースにO.D.=0.8程度に懸濁した後、0.03% silwetを入れる。
4.花茎を切って1週間後に、5%スクロース懸濁液に新しく出た花茎を2〜3秒間浸す。
5.植物をビニール袋を利用して包む。二日後にビニールを完全に除去する。
種子を全て収穫した後、tflA抵抗性遺伝子を有している構築物は、それぞれ20 uM (3.84 μg/Ml)トキソフラビンが含まれたMSプレートに塗抹(spreading)して、カナマイシン抵抗性遺伝子が入っているpMBP1は、50μg/mlのカナマイシンが含まれたMSプレートに種子を塗抹する。10日後にプレートから形質転換体を選抜する。それぞれのプレートに種子を約1,000個ずつを塗抹して、それぞれのプレートから平均的に約10個程度の形質転換体を得ることができた。
図22は、pCamLA:tflA, pCamLA(△hpt):tflA, pMBP1:tflA及びpMBP1ベクターがそれぞれ挿入された形質転換植物を示した図である。トキソフラビン抵抗性遺伝子が挿入された植物は、20μMトキソフラビン培地において、発芽も正常的になされて、根の発育も正常的になされた。しかしながら、非−形質転換体は、大部分発芽がなされず、一部発芽がなされた植物も、根が正常的に育てなかった。既存によく使用していたpMBP1ベクターに比べると、形質転換率もほぼ等しい結果を確認することができた。
2)選抜された形質転換体のPCR及び光脱色試験(photo-bleaching test)
(1)選抜された形質転換体のPCR
選抜された植物をポットに移して植えた後にtflA遺伝子が形質転換されたことを、組織PCRを通じて確認した。PCRプライマーは、tflA配列に基づいてデザインして、アニーリング温度55℃で行った。PCRプライマーは、tfla140-U (5'-TGCAGCTGCTGATGGAACAAA-3';配列番号15)とTFLA370-L (5'-TTATCCAGTACAGGTGCAGCT-3';配列番号16)を使用した。図23は、選抜された形質転換体の分離されたゲノムDNAからPCRを行って、PCR産物をアガロース電気泳動した結果である。pCamLA:tflA (1-1〜1-10)、pCamLA (△hpt):tflA (2-1〜2-12)、そしてpMBP1:tflA (3-1〜3-11)それぞれの構築物が入っている形質転換体をPCRで確認した結果、トキソフラビンが入っているプレートで正常的に発芽して根の発育も正常的になされた植物は、対照群(tflA遺伝子)と同一なバンドを確認することができ、根の発育が正常的ではない植物は、バンドを確認することができなかった。したがって、トキソフラビンを選択マーカーとして使用できることを確認することができた。
(2)光脱色方法を利用した形質転換体の確認
イネもみ枯細菌病の病原性を決定する要素であるトキソフラビンは、植物に処理する場合、共通的に現れる現象は、光依存的な脱色効果である。シロイヌナズナCol-Oを利用して、多様な濃度のトキソフラビンを処理した結果、低い濃度でも脱色効果を確認することができた。このような現象を利用して形質転換体を試験した。図24は、形質転換体及び非−形質転換体の脱色効果を示した図である。選抜された形質転換体は、光脱色効果が現れなく、非−形質転換体は、光脱色効果が現れ、上記のPCR結果と一致することを確認することができた。したがって、トキソフラビンの選択マーカーとしての利用が、既存の抗生剤を利用して使用していたマーカーと比較し、抗生剤を使用しなくても、所望の遺伝子を植物に形質転換できるシステムの構築が可能であると考えられる。
以上、本発明の望ましい具現例を詳細に記述したが、当業界の通常の知識を有する者にとっては、このような具体的な記述はただ望ましい具現例に過ぎなく、これに本発明の範囲が限定されないことは明らかである。従って、本発明の実質的な範囲は、添付の請求項とその等価物により定義されると言える。

Claims (14)

  1. 5’から3’方向に作動可能に連結された下記配列を含む植物形質転換選択マーカー発現カセット:
    (i)植物において作動可能なプロモーター配列、
    (ii)配列番号1のヌクレオチド配列と90%以上の配列相同性を有するトキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体分解酵素コーディング配列、
    (iii)3’非翻訳(untranslated)ターミネーター配列。
  2. (i)プロモーター配列、(ii)目的タンパク質コーディング配列、(iii)3’非翻訳(untranslated)ターミネーター配列を含む目的タンパク質発現カセットをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の発現カセット。
  3. 前記トキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体分解酵素コーディング配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を含むことを特徴とする、請求項1に記載の発現カセット。
  4. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の発現ベクターカセットを含む組み換えベクター。
  5. 請求項に記載のベクターで形質転換された宿主細胞。
  6. 請求項に記載のベクターで形質転換された植物。
  7. 稲またはシロイヌナズナであることを特徴とする、請求項に記載の植物。
  8. 請求項に記載の植物の形質転換(transgenic)種子。
  9. 請求項に記載のベクターで植物または植物の一部または植物細胞を形質転換するステップと、
    前記形質転換体をトキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体含有培地で増殖させるステップと、
    を含む形質転換植物の選択方法。
  10. 請求項に記載のベクターで植物細胞を形質転換するステップと、
    前記形質転換植物細胞をトキソフラビンまたはトキソフラビン誘導体含有培地で増殖させるステップと、
    前記形質転換された植物細胞から形質転換植物を再分化するステップと、
    を含む形質転換植物の製造方法。
  11. 前記トキソフラビン誘導体は、3番炭素にフェニル基(Phenyl group)を有しないことを特徴とする、請求項1に記載の発現カセット。
  12. 前記トキソフラビン誘導体は、3−メチルトキソフラビン(3-methyltoxoflavin)、4,8−ジヒドロトキソフラビン(4,8-dihydrotoxoflavin)、3−メチルレウマイシン(3-methylreumycin)、レウマイシン(reumycin)、3−メチル4,8−ジヒドロトキソフラビン(3-methyl 4,8-dihydrotoxoflavin)及びフェルベヌリン(fervenulin)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項11に記載の発現カセット。
  13. 前記トキソフラビン誘導体は、3番炭素にフェニル基を有しないことを特徴とする、請求項または10に記載の方法。
  14. 前記トキソフラビン誘導体は、3−メチルトキソフラビン、4,8−ジヒドロトキソフラビン、3−メチルレウマイシン(3-methylreumycin)、レウマイシン(reumycin)、3−メチル4,8−ジヒドロトキソフラビン(3-methyl 4,8-dihydrotoxoflavin)及びフェルベヌリン(fervenulin)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の方法。
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