JP2001168363A - 太陽電池の製造方法 - Google Patents

太陽電池の製造方法

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JP2001168363A
JP2001168363A JP35185299A JP35185299A JP2001168363A JP 2001168363 A JP2001168363 A JP 2001168363A JP 35185299 A JP35185299 A JP 35185299A JP 35185299 A JP35185299 A JP 35185299A JP 2001168363 A JP2001168363 A JP 2001168363A
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solar cell
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JP35185299A
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Tadashi Ito
忠 伊藤
Hirozumi Azuma
博純 東
Masashi Yamaguchi
真史 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた光電変換特性を有する太陽電池を効率
よくかつ簡便に得ることが可能な太陽電池の製造方法を
提供すること。 【解決手段】 光電変換素子部として、p型半導体層と
n型半導体層とからなるpn接合素子部又はp型半導体
層とi型半導体層とn型半導体層とからなるpin接合
素子部を有する太陽電池の製造方法であって、基板10
上に光電変換素子部40を形成した後に、パルスレーザ
ー光L60を光電変換素子部に照射することによってp
型半導体層及びn型半導体層を構成する半導体結晶粒を
同時に粗大化せしめることを特徴とする。これにより、
光電変換素子部におけるpn又はpin接合面を損傷す
ることなく光電変換素子部内の半導体結晶粒を結晶性の
高い状態で粗大化することができるので、優れた光電変
換特性を有する太陽電池を製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、太陽電池の製造方
法に関し、より詳しくはpn接合素子部又はpin接合
素子部を有する太陽電池の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球温暖化やエネルギー問題に対
する関心が高まり、建築物の屋根や壁に敷設することの
できる太陽電池の開発が望まれ、様々な開発が進められ
ている。このようなオンサイト発電のできる太陽電池と
しては、省資源、高効率、低コスト、及び安全性の観点
から、薄膜多結晶シリコン太陽電池が最も有望である。
【0003】薄膜多結晶シリコン太陽電池の製造方法と
しては、基板上に所定の不純物を含有する多結晶シリコ
ン膜層を形成して、ドーピングを行い、光電変換素子と
して機能する部位(以下、「光電変換素子部」とい
う)、すなわちpn接合素子或いはpin接合素子とし
て機能する部位(以下、それぞれを「pn接合素子
部」、「pin接合素子部」という)を形成せしめた
後、その光電変換素子部の表面に、光閉じ込めのための
反射防止膜やテキスチャ構造、更には所定の電極を形成
する方法が一般的である。
【0004】このような薄膜多結晶シリコン太陽電池の
製造工程のうち、基板上に多結晶シリコン膜層を形成す
る工程は一般にプラズマCVD法等の方法により行われ
ている。このとき、形成される多結晶シリコン膜層を構
成するシリコン結晶粒は、太陽光を有効に光電変換する
ためにできるだけ大きい結晶粒を有していることが重要
である。しかし、単にプラズマCVD法のみを用いるだ
けでは、十分な結晶性と結晶粒径を有する多結晶シリコ
ン薄膜層を形成することができないので、太陽光に対す
る所望の光電変換特性(光起電力効果)を得ることがで
きない。このため、例えば、図6に示すようなプラズマ
CVD法にレーザーアニール処理を併用する方法が一般
に行われている。すなわち、図6(a)に示すように基
板1上に第1の半導体層(p型半導体層又はn型半導体
層)2を形成した後、図6(b)に示すようにレーザー
光L2を第1の半導体層2の表面に照射して、その層を
構成する半導体結晶粒を粗大化せしめる。そして次に、
図6(c)に示すように第2の半導体層(n型半導体層
又はp型半導体層)3を形成した後、図6(d)に示す
ようにレーザー光L3を第2の半導体層3の表面に再度
照射してその層を構成する半導体結晶粒を粗大化せしめ
る方法が行われている。
【0005】また、他の方法としては特開昭55-133580
号公報に、低温プラズマ生成法によりn型多結晶シリコ
ン膜層を形成した後にその表面領域にホウ素イオンをイ
オン注入し、次いでレーザー光を照射してその領域内の
多結晶シリコン粒を粗大化せしめる方法が開示されてい
る。
【0006】更に、特開平9-27627号公報には、プラズ
マCVD法により非晶質又は微結晶と非晶質の混在した
p型シリコン膜層を形成し、その時点でレーザー光を照
射してその層を構成する非晶質を結晶化させて又はシリ
コン微結晶粒を粗大化せしめてp型多結晶シリコン膜層
とした後、再びプラズマCVD法により結晶性を高める
ために成膜速度を極端に遅くした条件の下でi型非晶質
シリコン膜層と非晶質又は微結晶と非晶質の混在したn
型シリコン膜層とを順次積層する方法が開示されてい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図6に
示すような従来の太陽電池の製造方法においては、製造
工程中にレーザーアニール処理を少なくとも2回行う必
要があり、製造プロセスが煩雑になると共に生産性も悪
くなるという問題点があった。すなわち、図6(b)、
(d)に示すように、所望の光電変換特性を有するpn
接合素子部4を形成するために、第1の半導体層2を形
成した後にレーザー光L2をその表面に照射することに
より第1の半導体層2内の半導体層の結晶性を高め且つ
結晶粒径を粗大化し、更に第2の半導体層3を形成した
後に再びレーザー光L3をその表面に照射することによ
り、第2の半導体層3内の半導体層の結晶性を高め且つ
結晶粒径を粗大化する必要があった。
【0008】また、特開昭55-133580号公報に開示され
ている方法においては、十分な結晶性を有するn型多結
晶シリコン膜層を得るために、最初に低温プラズマ生成
法によりn型多結晶シリコン膜層を形成する工程で成膜
速度を極めてゆっくりと行わなければならず、生産性が
悪く、製造コストを上昇させてしまうという問題点があ
った。
【0009】更に、特開平9-27627号公報に開示されて
いる方法においても、プラズマCVD法によりi型シリ
コン膜層、n型シリコン膜層を形成する工程で成膜速度
を極端に遅くしなければ太陽光に対する十分な光電変換
特性を有するシリコン膜層が得られず、極めて生産性が
悪いという問題点があった。
【0010】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、優れた光電変換特性を有する
太陽電池を効率よくかつ簡便に得ることが可能な太陽電
池の製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、従来は、光電変換
素子部の形成後すなわちpn接合面又はpin接合面形
成後に一括してレーザー照射をすると、かかる接合面を
含む表面領域が破壊されてしまうということが当業者の
一般的な認識であったにも拘わらず、pn接合面又はp
in接合面形成後に一度のパルスレーザー光の照射を行
うのみで、pn接合面又はpin接合面を損傷すること
なく光電変換素子部内のp型半導体層及びn型半導体層
を構成している半導体結晶粒を結晶性の高い状態で同時
に粗大化し、優れた光電変換特性(光起電力効果)を有
する多結晶半導体構造を光電変換素子部内に形成するこ
とができることを見出した。
【0012】すなわち、本発明の太陽電池の製造方法
は、光電変換素子部として、p型半導体層とn型半導体
層とからなるpn接合素子部又はp型半導体層とi型半
導体層とn型半導体層とからなるpin接合素子部を有
する太陽電池の製造方法であって、基板上に光電変換素
子部を形成した後に、パルスレーザー光を光電変換素子
部に照射することによってp型半導体層及びn型半導体
層を構成する半導体結晶粒を同時に粗大化せしめること
を特徴とするものである。
【0013】このように、基板上にp型半導体層とn型
半導体層とを積層した後、若しくはp型半導体層とi型
半導体層とn型半導体層とを積層した後に、一度のパル
スレーザー光の照射を行うことのみで、pn接合素子部
或いはpin接合素子部の光電変換に活性な接合面を損
傷することなく、p型半導体層及びn型半導体層を構成
する微結晶又は非晶質半導体の結晶性が高められると共
にその結晶粒が成長して粗大化され、且つ光電変換素子
部内のキャリアが活性化する。従って、本発明の太陽電
池の製造方法によれば優れた光電変換特性を有する変換
効率の高い太陽電池を極めて高い生産性及び低コストで
効率よく且つ簡便に製造できることとなる。
【0014】ここで、本発明における「光電変換素子
部」とは、以下に説明するpn接合素子部或いはpin
接合素子部からなり、太陽電池内において光電変換を担
う部位を示す。
【0015】また、「pn接合素子部」とは、p型半導
体層とn型半導体層とからなるpn接合面を有する光電
変換素子部を示す。なお、本発明の太陽電池の製造方法
におけるpn接合素子部の基板上への積層順は、基板上
にp型半導体層をはじめに積層し、その上からn型半導
体層を積層するものであってもよく、その反対にn型半
導体層をはじめに積層し、その上からp型半導体層を積
層するものであってもよい。
【0016】更に、「pin接合素子部」とは、p型半
導体層とi型半導体層とn型半導体層とを、p型半導体
層とn型半導体層との間にi型半導体層を挟み込むよう
にして積層した構造を有する光電変換素子部を示す。な
お、本発明の太陽電池の製造方法におけるpin接合素
子部の基板上への積層順は、基板上にp型半導体層をは
じめに積層しその上にi型半導体層及びn型半導体層を
順次積層するものであってもよく、その逆にn型半導体
層をはじめに積層しその上にi型半導体層及びp型半導
体層を順次積層するものであってもよい。
【0017】また、「pin接合素子部」では、本発明
のパルスレーザー光の照射によりp型半導体層及びn型
半導体層を構成する半導体結晶粒が粗大化すると共にi
型半導体層を構成する半導体結晶粒も粗大化するのがよ
い。
【0018】このi型半導体層を構成する半導体結晶粒
の粗大化により、更に光電変換素子部内のキャリアが活
性化し、変換効率の高い太陽電池が得られる。
【0019】また、本発明の太陽電池の製造方法におい
ては、上記のパルスレーザー光が、350nm以下の波
長及び200〜1000mJ/cm2のエネルギー密度
を有していることが好ましい。
【0020】波長350nm以下のレーザー光は、約
3.5eV以上のエネルギーを有しており、レーザー光
の侵入する深さが浅く、光電変換素子部を構成する半導
体層内にそのエネルギーを集中させることができる。そ
のため、光電変換素子部を構成する半導体の構成原子を
再配列させ、良好な光電変換特性を有する水準にまでそ
の結晶性を高めると共に結晶粒を粗大化させることがで
きる。
【0021】一方、照射されるパルスレーザー光の波長
が350nmを超えると、パルスレーザー光が受光面か
ら奥深く侵入して基板を含む太陽電池全体を過度に加熱
してしまう傾向がある。
【0022】また、パルスレーザー光のエネルギー密度
を200〜1000mJ/cm2の範囲にあると、光電
変換素子部内に十分な結晶性と結晶粒径を有する多結晶
半導体の結晶粒の構造を、結晶の溶融化及び/又は凝集
化のような半導体の構成原子の巨視的な移動を抑制しつ
つ形成することができる。
【0023】一方、パルスレーザー光のエネルギー密度
が200mJ/cm2未満では、光電変換素子部内の半
導体結晶粒を十分に粗大化しにくくなる傾向があり、他
方、パルスレーザー光のエネルギー密度が1000mJ
/cm2を超えると光電変換素子部内の半導体結晶粒が
凝集してしまい、光電変換素子部を構成している半導体
層自体が破壊されて、層形状を保てなくなる傾向があ
る。更に、波長及びエネルギー密度が上記範囲にあるパ
ルスレーザー光を用いることにより、レーザー光の受光
表面上に有効な光閉じ込め構造をも一括して形成するこ
とができる。例えば、多結晶シリコン膜層上にレーザー
光を照射した場合には、受光表面に波長0.5〜1.5
μm、波高0.05〜0.3μmの光閉じ込めに有効な
縞状構造を形成することができる。
【0024】また、本発明の太陽電池の製造方法におい
ては、前記パルスレーザー光を、基板上に光電変換素子
部及び反射防止膜を形成した後に光電変換素子部に照射
することが好ましく、基板上に光電変換素子部、反射防
止膜及び電極を形成した後に光電変換素子部に照射する
ことがより好ましい。
【0025】このように反射防止膜及び電極を形成した
後にパルスレーザー光を照射することにより、レーザー
光の受光表面となる反射防止膜上に有効な光閉じ込め構
造を形成することができる。また、先に述べたようにp
n接合面又はpin接合面を損傷することなく光電変換
素子部内のp型半導体層及びn型半導体層を構成してい
る半導体結晶粒を結晶性の高い状態で同時に粗大化し、
優れた光電変換特性を有する多結晶半導体構造を光電変
換素子部内に形成することもできる。
【0026】上記のように反射防止膜及び電極を形成し
た後にパルスレーザー光を照射して光閉じ込め構造と光
電変換素子部内の優れた光電変換特性を有する多結晶半
導体構造とを同時に形成する方法は、反射防止膜及び電
極を光電変換素子部の平滑な表面上へ形成することにな
るので、反射防止膜及び電極の形成が容易になり、生産
性や製造コストの面において非常に有効である。一方、
光電変換素子部の表面上にパルスレーザー光を照射して
光閉じ込め構造を形成した後に反射防止膜及び電極を形
成する方法は、閉じ込め構造が既に形成された光電変換
素子部の縞状の凹凸を有する表面上に反射防止膜及び電
極を形成しなければならないので、反射防止膜及び電極
を形成した後にパルスレーザー光を照射する方法に比較
して反射防止膜及び電極の形成手法やその形成条件が厳
密になる。従って、反射防止膜及び電極を形成した後に
一括してパルスレーザー光を照射することが可能となる
ことにより、優れた光電変換特性を有する太陽電池を極
めて高い生産性及び低コストで更に効率よく且つ更に簡
便に製造することができることとなる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
による太陽電池の製造方法の好適な実施形態について詳
細に説明する。なお、以下の説明では、同一または相当
部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0028】図1(a)〜(d)は、本発明による太陽
電池の製造方法の好適な一実施形態を示す説明図であ
る。
【0029】本実施形態の太陽電池の製造方法は、主と
して、図1(a)に示すように基板10上に光電変換素
子部として機能するpn接合素子部40を形成する工程
と、図1(b)に示すようにpn接合素子部40上に反
射防止膜50を積層する工程と、図1(c)に示すよう
に電極60及び電極70を反射防止膜50上及び基板1
0の裏面上にそれぞれ形成する工程と、図1(d)に示
すように電極60を形成した反射防止膜50の表面の側
からレーザーアニール処理を施す工程とから構成されて
いる。
【0030】以下に図1(a)〜(d)に基づいて本実
施形態についてより詳細に説明する。
【0031】先ず、図1(a)に示すように基板10上
にp型半導体層20を形成した後にn型半導体層30を
形成することによって光電変換素子部として機能するp
n接合素子部40を得る。
【0032】このように、基板10上にp型半導体層2
0を形成する工程は、以下のような手順に従って行われ
る。
【0033】すなわち先ず、基板10上に既知の方法に
より、半導体層として非晶質シリコン膜の層或いは微結
晶シリコン膜の層を形成する。非晶質シリコン膜層或い
は微結晶シリコン膜層を形成するための方法としては、
高周波プラズマ気相化学成長法(RFプラズマCV
D)、直流グロー放電プラズマ気相化学成長法、高々周
波プラズマ気相化学成長法(VHFプラズマCVD)等
のプラズマ気相化学成長法;熱線気相化学成長法(HW
CVD)、減圧気相化学成長法(LPCVD)、常圧気
相化学成長法等の気相化学成長法;或いはスパッタ法、
真空蒸着法等の物理蒸着法を用いることができる。
【0034】基板10は、積層される非晶質シリコン膜
層、或いは、微結晶シリコン膜層を支え、且つ太陽電池
の全製造工程中に加わる温度に耐え得る構成材料から形
成されていればよく、特に限定されるものではない。例
えば、単結晶シリコン基板、多結晶シリコン基板等のシ
リコン基板;鉄板、ステンレス板等の金属基板;アルミ
ナ、タイル等のセラミックス基板;ガラス基板等の既知
の基板を使用することができる。更に、基板10とし
て、基板表面に形成される上記のシリコン膜層中に不純
物が混入することを抑制するための不純物拡散防止膜等
の処理が予め施してある基板を使用してもよい。
【0035】次に、基板10に積層した非晶質シリコン
膜層或いは微結晶シリコン膜層に所定の不純物をドープ
してp型半導体層20を形成する。p型半導体層30を
形成するための不純物としてはホウ素、アルミニウム等
の通常の半導体製造工程で用いられるIII族不純物を用
いることができる。
【0036】また、不純物をドーピングする方法として
は、熱拡散法、イオン注入法等の方法の他、非晶質シリ
コン膜層或いは微結晶シリコン膜層を形成する過程で不
純物を含むガス、例えば、ジボラン(B26)を原料ガ
スに添加して成膜することにより、シリコン膜層の成膜
とドーピングを同時に行う方法を用いることができる。
【0037】次に、p型半導体層20上にn型半導体層
30を形成する工程は、以下の手順に従って行われる。
【0038】すなわち、p型半導体層20上に、再び非
晶質シリコン膜層或いは微結晶シリコン膜層を先に述べ
た既知の方法により形成し、その後、所定の不純物をド
ープしてn型半導体層30を形成する。n型半導体層3
0を形成するための不純物としてはリン、砒素、アンチ
モン等の通常の半導体製造工程で用いられるV族不純物
を用いることができる。
【0039】また、不純物をドーピングする方法として
は、熱拡散法、イオン注入法等の方法の他、非晶質シリ
コン膜層或いは微結晶シリコン膜層を形成する過程で上
記不純物を含むガス、例えば、ホスフィン(PH3)を
原料ガスに添加して成膜することにより、シリコン膜層
の成膜とドーピングを同時に行う方法を用いることがで
きる。
【0040】次に、図1(b)に示すようにpn接合素
子部40上に反射防止膜50を積層する。
【0041】pn接合素子部40上への反射防止膜50
を形成する方法としては、化学気相成長法、物理蒸着
法、熱酸化法、熱窒化法等、既知の薄膜形成方法を用い
ることができる。反射防止膜50の構成材料としては、
フッ化マグネシウム、一酸化珪素、二酸化珪素、二酸化
チタン、五酸化タンタル、硫化亜鉛、窒化珪素等、通常
の太陽電池の反射防止膜として用いられている材料を使
用することができる。また、反射防止膜50は、上記構
成材料からなる単層のものであっても、或いは二つ以上
の層を積層したものであってもよい。
【0042】次に、図1(c)に示すように反射防止膜
50上に電極60を、基板10の裏面に電極70をそれ
ぞれ形成し、太陽電池の基本構成を完成させる。
【0043】電極60は、反射防止膜50上にエッチン
グ等の既知の方法により窓開けを行った後、例えば、ア
ルミニウム等の金属材料を真空蒸着して櫛状にパターニ
ングすることにより形成する。また、電極70も基板1
0の裏面上にアルミニウム等の金属材料を真空蒸着して
形成する。なお、電極60及び70の形態及びその製造
方法は特に上述のものに限定されるものではなく、酸化
スズ等の導電性透明電極であってもよい。
【0044】次に、図1(d)に示すように、光電変換
素子部であるpn接合素子部40を形成した後にレーザ
ーアニール処理を施す。すなわち、電極60を形成した
反射防止膜50の表面の側からパルスレーザー光を一度
のみ照射し、pn接合素子部40内のpn接合面を損傷
することなくpn接合素子部40内のp型半導体層及び
n型半導体層を構成する微結晶或いは非晶質シリコン層
の結晶性を高めると共にその結晶粒を粗大化させて十分
な光電変換機能を有する多結晶シリコン結晶をpn接合
素子部40内に形成する。更に同時に、太陽電池の受光
表面となる電極60のマウントされた反射防止膜50上
に入射光を有効にpn接合素子部40内に取り込むこと
のできる光閉じ込め構造を形成する。
【0045】このようにして、光電変換素子部内に有効
な光電変換機能を有するシリコン結晶粒を有する積層構
造を形成すると共に、太陽電池の受光表面に有効な光閉
じ込め構造を形成する。このレーザーアニール処理に使
用されるレーザーとしては、ArFエキシマレーザー、
KrFエキシマレーザー、YAGレーザーの4倍高調波
等を用いることができる。
【0046】次に、本実施形態のレーザーアニール処理
の作用について説明する。
【0047】照射されるパルスレーザー光の波長は35
0nm以下であることが好ましく、190〜350nm
であることがより好ましい。波長190〜350nmの
レーザー光は、約3.5〜6.5eVのエネルギーを有
しており、レーザー光の侵入する深さが浅く、シリコン
膜内にそのエネルギーを集中させることができる。その
ため、光電変換素子部を構成する微結晶シリコン膜層中
或いは非晶質シリコン膜層中のシリコン原子を再配列さ
せて、徐々にその結晶粒を成長させて粗大化させること
ができる。従って、光電変換素子部内に優れた光電変換
特性を有するシリコン結晶粒からなるシリコン膜積層構
造を形成することができる。
【0048】一方、照射されるパルスレーザー光の波長
が、350nmを超えると、レーザー光が受光面から奥
深く侵入して基板を含む太陽電池全体を過度に加熱して
しまう傾向にある。他方、波長が190nm未満である
と、パルスレーザー光が受光面から光電変換素子部内に
侵入しにくくなる傾向にあると共に、パルスレーザー光
のエネルギー密度が大きくなり、受光表面を破壊するか
更には光電変換素子部内の多結晶シリコン薄膜層を破壊
して、光電変換特性が低下してしまう傾向が大きくな
る。
【0049】また、パルスレーザー光のエネルギー密度
は、200〜1000mJ/cm2であることが好まし
く、300〜700mJ/cm2であることがより好ま
しい。パルスレーザー光のエネルギー密度をこの範囲に
することにより、微結晶シリコン膜層或いは非晶質シリ
コン膜層内に良好な結晶性と結晶粒径を有するシリコン
結晶粒を、結晶の溶融化及び/又は凝集化のようなシリ
コン原子の巨視的な移動を抑制しつつ形成することがで
きる。
【0050】一方、パルスレーザー光のエネルギー密度
が200mJ/cm2未満では、上記シリコン膜の結晶
粒を十分に粗大化することができない傾向にあり、他
方、パルスレーザー光のエネルギー密度が1000mJ
/cm2を超えるとシリコン膜が凝集してシリコン薄膜
層自体が破壊されて、pn接合面が破壊されてしまう。
【0051】更に、光電変換素子部40のレーザー照射
を受ける側の最上部の層、すなわち本実施形態において
はn型半導体層30の厚みは、発電効率の高いpn接合
を構成する上で0.2〜1.0μmであることが好まし
く、0.2〜0.5μmであることがより好ましい。
【0052】最上部の半導体層の厚みが0.2μm未満
となると、pn接合に形成される空乏層が表面に達して
しまい、ひいては十分な光電変換特性が得られなくなる
傾向が大きくなる。一方、最上部の半導体層の厚みが
1.0μmを超えると、pn接合部で発生したキャリア
が最上部の半導体層中を進行して上部電極に達する前
に、該最上部半導体層中の多数のキャリアと再結合して
発電に寄与しにくくなる傾向にあり、ひいては十分な光
電変換特性が得られなくなる傾向が大きくなる。
【0053】更に、上記のようにパルスレーザー光の照
射条件を設定することにより、太陽電池の受光表面、す
なわち、本実施形態においては電極60をマウントした
反射防止膜50上に光閉じ込めに有効な縞状構造を確実
に形成することができる傾向にある。例えば、多結晶シ
リコン膜層上にレーザー光を照射した場合には、受光表
面に波長0.5〜1.5μm、波高0.05〜0.3μ
mの光閉じ込めに有効な縞状構造を形成することができ
る。
【0054】これは、光電変換素子部40上に反射防止
膜50及び電極60をマウントした後からレーザーアニ
ール処理を施した場合においても、レーザーアニール処
理によって光電変換素子部40のレーザー照射を受ける
側の最上部の半導体層、すなわち本実施形態においては
n型半導体層30の表面に先に述べた縞状構造が形成さ
れ、しかもこのn型半導体層30の表面の縞状構造が形
成される過程において反射防止膜50の形状がこの縞状
構造の形状を保持するように追随して変形することによ
り形成されるものである。
【0055】この縞状構造は、太陽電池に入射する太陽
光、特にその中でスペクトル強度の大きい可視光のシリ
コン膜表面での反射率を低減し、太陽光を十分に多結晶
シリコン膜中に取り込むのに適した構造である。従来の
太陽電池の製造方法においては、このような光り閉じ込
めのための縞状構造は、通常シリコン膜の結晶粒の粗大
化を行った後に、別途エッチング、機械的加工等の処理
を施して形成する場合もあり、製造工程が煩雑且つ手間
のかかるものであった。従って、この点においても本実
施形態の太陽電池の製造方法は、このような光閉じ込め
構造の形成ための工程を別途必要とする従来の太陽電池
の製造方法に比較してシンプルであり極めて高い生産性
を有している。
【0056】以上、本発明の好適な実施形態について詳
細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるも
のではない。
【0057】例えば、上記の実施形態においては光電変
換素子部として基板上にpn接合素子部を形成する場合
について説明したが、p型半導体層とn型半導体層との
間にi型半導体層を挟み込むようにして積層させたpi
n接合素子部を形成するものでもよい。この場合、i型
半導体層の形成方法は、p型半導体層及びn型半導体層
と同様にして形成することができ、例えば、高周波プラ
ズマ気相化学成長法(RFプラズマCVD)、直流グロ
ー放電プラズマ気相化学成長法、高々周波プラズマ気相
化学成長法(VHFプラズマCVD)等のプラズマ気相
化学成長法;熱線気相化学成長法(HWCVD)、減圧
気相化学成長法(LPCVD)、常圧気相化学成長法等
の気相化学成長法;或いはスパッタ法、真空蒸着法等の
物理蒸着法等の方法により形成することができる。
【0058】また、基板上に形成されるpn接合素子部
或いはpin接合素子部の各層の積層手順はその電気的
特性を損なうものでなければ特に限定されず、基板上に
n型半導体層を先に積層した後にp型半導体層を積層す
るもの、或いは基板上にn型半導体層を先に積層した後
にi型半導体層を積層し、更にp型半導体層を積層する
ものであってもよい。
【0059】更に、本発明におけるレーザー照射は、基
板上の光電変換素子部(pn接合素子部或いはpin接
合素子部)を形成した後に一括して行うものであればよ
く、上述の実施形態においては反射防止膜50及び電極
60を形成した後にレーザー照射しているがこれに限定
されるものではない。すなわち、図5(a)に示すよう
に、pn接合素子部(或いはpin接合素子部)40を
形成した後にパルスレーザーL40を照射してもよく、
また、図5(b)に示すように、反射防止膜50を形成
した後にパルスレーザーL50を照射してもよい。な
お、反射防止膜50及び電極60を形成した後にレーザ
ー照射を行う場合には、光閉じ込め構造と光電変換素子
部内の優れた光電変換特性を有する多結晶構造とを同時
に形成することができるとともに、反射防止膜及び電極
を光電変換素子部の平滑な表面上へ形成することになる
ので、光電変換素子部の表面上への反射防止膜及び電極
の形成が容易になり、生産性や製造コストの面において
非常に有効である。
【0060】また、上記の実施形態においては、光電変
換素子部を構成する半導体層としてシリコンをベースと
する半導体層について説明したが、本発明の太陽電池の
製造方法においては、太陽電池の光電変換素子部を構成
する半導体層の構成材料は特に限定されるものではな
く、例えば、GaAs、InP等の半導体を使用するも
のであってもよい。
【0061】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明の太
陽電池の製造方法について更に詳しく説明するが、本発
明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0062】(実施例1)光電変換素子部としてpn接
合素子部を有する太陽電池を以下に説明するようにして
作製した。
【0063】先ず、図1(a)、(b)に示す手順に従
い、p型単結晶シリコン基板上に高周波プラズマ気相化
学成長法(RFプラズマCVD法)により、pn接合素
子部(pn接合層の厚み;1.8μm)を形成した。
【0064】具体的には、p型単結晶シリコン基板上に
微結晶シリコン薄膜を形成する過程において、シリコン
の原料ガスであるモノシラン(SiH4)ガス中にジボ
ラン(B26)ガスを0.01%、水素ガスを91%混
合してRFプラズマCVD装置に供給し、基板温度42
0℃、反応圧力3.5Pa、RFパワー密度75mW/
cm2の条件の下で、ホウ素ドープp型微結晶シリコン
薄膜層(膜厚;1.5μm)を形成した。
【0065】次に、添加ガスをジボランガスからホスフ
ィン(PH3)ガスに変換し、ホスフィンガスを0.1
%添加したシランガスを混合してRFプラズマCVD装
置に供給し、ホウ素ドープp型微結晶シリコン薄膜層上
に、基板温度420℃、反応圧力3.5Pa、RFパワ
ー密度75mW/cm2の条件の下で、リンドープn型
微結晶シリコン薄膜層(膜厚;0.3μm)を形成し
た。
【0066】続いて、図1(c)に示すように、pn接
合素子部の表面を熱酸化し、反射防止膜となる二酸化珪
素膜(膜厚;0.1μm)を形成した。
【0067】そして、二酸化珪素膜にフォトエッチング
により窓開けを行った後、アルミニウムを膜厚1μm真空
蒸着し、リフトオフにより櫛状にパターニングて櫛形電
極を形成した。
【0068】次に、図1(d)に示すように、KrFエ
キシマレーザー(波長;248nm)を、パルスレーザ
ー光のエネルギー密度350mJ/cm2、パルス幅
(半値幅)30nsの条件で櫛型電極側の表面に1回照
射し、レーザーアニール処理を施した。
【0069】(実施例2〜5及び参考例1〜3)レーザ
ーアニール処理において、KrFエキシマレーザー(波
長;248nm)のパルスレーザー光のエネルギー密度
を525mJ/cm2(実施例2)、572mJ/cm2
(実施例3)、780mJ/cm2(実施例4)、95
0mJ/cm2(実施例5)、154mJ/cm2(参考
例1)、96mJ/cm2(参考例2)、1171mJ
/cm2(参考例3)とした以外は実施例1と同様にし
て太陽電池を作製した。
【0070】(比較例1)レーザーアニール処理を施さ
なかった以外は実施例1と同様にして太陽電池を作製し
た。
【0071】(比較例2)特開平9−27627号公報
に記載の太陽電池の製造方法に準拠してpn接合素子部
を形成し、太陽電池を作製した。
【0072】具体的には、先ず、ガラス基板上にフッ素
がドーピングされたSnO2を透明性電極として形成
し、この上にRFプラズマCVD法により、水素化した
p型非晶質シリコン薄膜層(膜厚;0.07μm)を形
成した。なお、RFプラズマCVDによる成膜条件は、
モノシラン(SH4)ガスを20sccm、水素で10
00ppmに希釈したジボラン(B26)ガスを2sc
cm、基板温度200℃、反応圧力0.1torr、R
Fパワー密度50mW/cm2とした。
【0073】次に、上記の水素化したp型非晶質シリコ
ン薄膜層の表面にレーザーアニール処理を施し、p型非
晶質シリコン薄膜層を結晶化してp型多結晶シリコン薄
膜層(膜厚;0.07μm)とした。なお、レーザーア
ニール処理は、真空中で基板温度を500℃とし、Kr
Fエキシマレーザー(波長;248nm)を、パルスレ
ーザー光のエネルギー密度200mJ/cm2、パルス
幅(半値幅)30nsの条件で1回照射した。
【0074】次に、RFプラズマCVD法により、レー
ザーアニール処理済みのp型多結晶シリコン薄膜層の表
面に微結晶と非晶質の混在したn型シリコン薄膜層(膜
厚;0.03μm)を形成した。なお、このRFプラズ
マCVDによる成膜条件は、モノシラン(SH4)ガス
を10sccm、水素で1000ppmに希釈したホス
フィン(B26)ガスを100sccm、水素を200
sccm、基板温度250℃、反応圧力1torr、R
Fパワー密度0.2mW/cm2とした。
【0075】最後に、上記の微結晶と非晶質の混在した
n型シリコン薄膜層の表面にZnO薄膜層(膜厚;0.
2μm)と、アルミニウム薄膜層(膜厚;0.08μ
m)を順次積層してこの積層体を電極とした。
【0076】(比較例3)図6(a)〜(d)に示した
従来の製造方法に準拠してpn接合素子部を形成した以
外は、実施例1と同様にして太陽電池を作製した。すな
わち、ホウ素ドープp型微結晶シリコン膜層と、リンド
ープn型微結晶シリコン膜層とをそれぞれ実施例1と同
様にして形成する毎にレーザーアニール処理を施した。
【0077】先ず、図6(a)に示すように、シリコン
の原料ガスであるモノシラン(SiH4)ガス中にジボ
ラン(B26)ガスを0.01%、水素ガスを91%混
合して、基板温度420℃、反応圧力3.5Pa、RF
パワー密度75mW/cm2の条件の下で、RFプラズ
マCVD法によりp型単結晶シリコン基板上にホウ素ド
ープp型微結晶シリコン薄膜層(膜厚;1.5μm)を
形成した。
【0078】次に、図6(b)に示すように、KrFエ
キシマレーザー(波長;248nm)を、パルスレーザ
ー光のエネルギー密度572mJ/cm2、パルス幅
(半値幅)30nsの条件でホウ素ドープp型微結晶シ
リコン薄膜層の表面に1回照射し、レーザーアニール処
理を施した。
【0079】続いて、図6(c)に示すように、添加ガ
スをジボランガスからホスフィン(PH3)ガスに変換
し、ホスフィンガスを0.1%添加したシランガスを混
合してRFプラズマCVD装置に供給し、ホウ素ドープ
p型微結晶シリコン薄膜層上に、基板温度420℃、反
応圧力3.5Pa、RFパワー密度75mW/cm2
条件の下で、リンドープn型微結晶シリコン薄膜層(膜
厚;0.3μm)を形成した。このようにしてpn接合
素子部(pn接合層の厚み;1.8μm)を形成した。
【0080】そして、図6(d)に示すように、KrF
エキシマレーザー(波長;248nm)を、パルスレー
ザー光のエネルギー密度350mJ/cm2、パルス幅
(半値幅)30nsの条件でリンドープn型微結晶シリ
コン薄膜層の表面に1回照射し、レーザーアニール処理
を施した。
【0081】次に、pn接合素子部の表面を熱酸化し、
反射防止膜となる二酸化珪素膜(膜厚;0.1μm)を
形成した。
【0082】そして、二酸化珪素膜にフォトエッチング
により窓開けを行った後、アルミニウムを膜厚1μm真空
蒸着し、リフトオフにより櫛状にパターニングて櫛形電
極を形成した。
【0083】このようにして得られた実施例、参考例及
び比較例の太陽電池について以下の評価を行った。
【0084】[電流電圧特性試験]実施例1〜5、参考
例1〜3及び比較例1〜3で得られた太陽電池につい
て、暗電流電圧特性試験により、それぞれのpn接合部
の良好性を評価した。これらの試験結果を図2に示す。
なお、この暗電流電圧特性試験は、太陽光を照射してい
ない場合における電流電圧特性試験であるが、この試験
による電流電圧特性の測定結果によりpn接合部の良好
性を評価でき、レーザーアニールによってpn接合に損
傷が生じたかどうかの知見を得ることができる。逆方向
リーク電流が増加するか又は順方向の電流電圧特性曲線
のカーブの傾きが小さくなるかの一方又は両方が起これ
ばpn接合が損傷を受けて劣化したことになる。
【0085】図2に示した結果から明らかな通り、本発
明の太陽電池の製造方法により作製した実施例1〜5及
び参考例1〜3の太陽電池が、従来の製造方法により作
製した比較例2及び比較例3の太陽電池と同様の暗電流
電圧特性が得られること、すなわち、レーザーアニール
によってpn接合が損傷していないことが確認できた。
すなわち、pn接合素子部(光電変換素子部)を形成し
た後に一括してレーザー照射しても、結晶粒を十分に粗
大化させることができ、しかもpn接合を劣化させない
ことが確認された。
【0086】一方、比較例1は順方向バイアスにおける
電池特性が著しく低く、レーザーアニール処理、すなわ
ちレーザー照射を行わなければ、十分なキャリアの活性
化が可能な多結晶半導体構造をpn接合素子部内に形成
できないことが確認された。更に、本発明の太陽電池の
製造方法の好適な実施形態に対応する方法により作製し
た実施例1〜5の太陽電池は、従来の製造方法により作
製した比較例2及び比較例3の太陽電池と比較して順方
向及び逆方向バイアスにおける電池特性が良好であり、
光電変換素子部を形成した後に一括してレーザー照射し
たにもかかわらず、pn接合面が損傷を受けることな
く、しかも十分にキャリアが活性化した優れたpn接合
が形成されていることが確認された。
【0087】[pn接合素子部内の多結晶シリコンの結
晶粒径]本発明の太陽電池の製造方法にかかるレーザー
アニール処理による、pn接合素子部内における微結晶
シリコンの結晶粒の粗大化の効果を評価するために、実
施例1〜5、参考例1〜3及び比較例1に示したサンプ
ルをそれぞれ2つずつ用意し、SEM及びラマン分光測
定により、レーザー照射後における各サンプルのpn接
合素子部を構成している多結晶シリコンの平均結晶粒径
を測定した。実施例1〜5、参考例1〜2及び比較例1
のサンプルについての試験結果を図3に示す。
【0088】なお、参考例3の有するpn接合素子部内
の多結晶シリコンは、結晶粒が互いに凝集しており、多
結晶シリコン薄膜層自体が一部破壊されていることが確
認された。
【0089】図3に示した結果から明らかな通り、pn
接合素子部内の多結晶シリコンの結晶粒は、レーザー光
が照射されないと粗大化されず、照射されるレーザー光
のエネルギー密度が96mJ/cm2を超えると急激に
粗大化が進行する。すなわち、本発明の太陽電池の製造
方法により作製した太陽電池に対応する実施例1〜5及
び参考例1〜2の結果より、pn接合素子部(光電変換
素子部)を形成した後に一括してレーザー照射すること
により、pn接合素子部内のp型半導体層及びn型半導
体層を構成するシリコン微結晶粒を同時に粗大化せしめ
ると共に結晶性を高めて多結晶シリコンとすることがで
きることが確認された。一方、レーザー照射を行わなか
った比較例1の太陽電池においては、pn接合面に損傷
をうけていないもののpn接合素子部内に十分な結晶粒
径を有する多結晶シリコン層が形成されていない。
【0090】更に、実施例1〜5の太陽電池と参考例1
及び2の太陽電池とを比較した場合において、本発明の
好適な実施形態に対応する実施例1〜5の太陽電池の有
するpn接合素子部内の多結晶シリコンの結晶粒径は、
約500nmまで粗大化していることが確認された。こ
のことと、図2における暗電流特性試験において実施例
1〜5の太陽電池が特に良好な特性を示したことから、
レーザー光のエネルギー密度が200〜1000mJ/
cm2であれば、pn接合素子部内におけるpn接合面
を損傷することなく微結晶或いは非晶質シリコンの粗大
化及び結晶化を行い、十分な光電変換特性を得ることの
できる水準の粒径を有する多結晶シリコン構造をpn接
合素子部内に形成できることが確認された。
【0091】[光閉じ込め構造]実施例1の太陽電池の
櫛状電極の形成されている受光面側の表面をレーザー顕
微鏡で観察した結果を図4に示す。受光面側の表面に、
波長0.5〜1.5μm、波高0.05〜0.3μmの縞状
構造が形成されていることがわかった。また同様にして
実施例2〜5の太陽電池についても同様の縞状構造が形
成されていることが確認された。
【0092】先に述べたように、この縞状構造は、太陽
電池に入射する太陽光、特にその中でスペクトル強度の
大きい可視光のシリコン膜表面での反射率を低減し、太
陽光を十分に多結晶シリコン膜中に取り込むのに適した
構造である。比較例2及び比較例3の製造方法のような
従来の太陽電池の製造方法においては、このような縞状
構造は、通常シリコン膜の結晶粒の粗大化を行った後
に、別途エッチング、機械加工等の処理を施して形成す
る場合がある。このことから、本発明の太陽電池の製造
方法によれば、光電変換素子部の表面に反射防止膜及び
電極を積層した後にパルスレーザーを一度照射するのみ
で、光電変換素子部内に有効な多結晶半導体構造を形成
できることのみならず、pn接合素子部に光を有効に取
り込むことのできる光閉じ込め構造をも同時に形成でき
ることが確認された。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように本発明の太陽電池の
製造方法によれば、光電変換素子部、すなわちpn接合
素子部又はpin接合素子部を形成した後において、一
度のパルスレーザー光の照射を行うのみで、pn又はp
in接合面を損傷することなく光電変換素子部内のp型
半導体層及びn型半導体層を結晶性の高い状態で同時に
粗大化させ、光電変換素子部内において優れた光電変換
機能を有する多結晶半導体構造を形成することができ
る。従って、本発明によって、優れた光電変換特性を有
する太陽電池を効率よくかつ簡便に得ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)〜(d)は、本発明による太陽電池の製
造方法の好適な一実施形態を示す説明図である。
【図2】実施例1〜5、参考例1〜3及び比較例1〜3
の太陽電池の電流電圧特性を示すグラフである。
【図3】KrFパルスレーザー光の照射エネルギー密度
とpn接合素子部内のシリコン結晶粒の粒径との関係を
示すグラフである。
【図4】本発明による太陽電池の製造方法により作製し
た実施例1の受光表面に形成された縞状構造を示すSE
M写真である。
【図5】(a)及び(b)は、本発明による太陽電池の
製造方法の他の実施形態を示す説明図である。
【図6】(a)〜(d)は、従来の太陽電池の製造方法
を示す説明図である。
【符号の説明】
1…基板、2…第1の半導体層、3…第2の半導体層、
4…光電変換素子部、10…基板、20…p型半導体
層、30…n型半導体層、40…光電変換素子部、50
…反射防止膜、60…電極、70…電極、L2、L3、
L40、L50、L60…パルスレーザー光。
フロントページの続き (72)発明者 山口 真史 愛知県名古屋市天白区八事石坂661 Fターム(参考) 5F051 AA03 AA04 AA05 CA15 CA31 CB25 DA03 DA04 GA04 5F052 AA02 BB02 BB07 CA04 DA02 DB03 EA06 GC03 JA09

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光電変換素子部として、p型半導体層と
    n型半導体層とからなるpn接合素子部又はp型半導体
    層とi型半導体層とn型半導体層とからなるpin接合
    素子部を有する太陽電池の製造方法であって、 基板上に前記光電変換素子部を形成した後に、パルスレ
    ーザー光を該光電変換素子部に照射することによって前
    記p型半導体層及びn型半導体層を構成する半導体結晶
    粒を同時に粗大化せしめることを特徴とする太陽電池の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 前記パルスレーザー光が、350nm以
    下の波長及び200〜1000mJ/cm2のエネルギ
    ー密度を有することを特徴とする請求項1に記載の太陽
    電池の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記パルスレーザー光を、前記基板上に
    前記光電変換素子部及び反射防止膜を形成した後に該光
    電変換素子部に照射することを特徴とする請求項1又は
    2に記載の太陽電池の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記パルスレーザー光を、前記基板上に
    前記光電変換素子部、反射防止膜及び電極を形成した後
    に該光電変換素子部に照射することを特徴とする請求項
    1又は2に記載の太陽電池の製造方法。
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