JPH0794766A - 薄膜多結晶シリコン光電変換装置及びその製造方法 - Google Patents

薄膜多結晶シリコン光電変換装置及びその製造方法

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JPH0794766A
JPH0794766A JP5234467A JP23446793A JPH0794766A JP H0794766 A JPH0794766 A JP H0794766A JP 5234467 A JP5234467 A JP 5234467A JP 23446793 A JP23446793 A JP 23446793A JP H0794766 A JPH0794766 A JP H0794766A
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JP
Japan
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thin film
polycrystalline silicon
silicon thin
film
type polycrystalline
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Application number
JP5234467A
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English (en)
Inventor
Kenji Yamamoto
憲治 山本
Takayuki Suzuki
孝之 鈴木
Masashi Yoshimi
雅士 吉見
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】結晶系光電変換装置、その中でも特に太陽電池
における諸問題を解決し、大面積化と低コスト化が可能
な薄膜多結晶シリコン光電変換装置とその製造方法を提
供するものである。 【構成】光電変換装置については、透光性基板上に一導
電型の多結晶シリコン薄膜と逆導電型の多結晶シリコン
薄膜とを順次形成して透光性基板側を光の入射側とした
ものであり、透光性基板上に非単結晶シリコン薄膜をレ
ーザーアニールすることによって一導電型の多結晶シリ
コン薄膜を得る工程と、前記一導電型の多結晶シリコン
薄膜上に、気相成長または固相成長によって逆導電型の
多結晶シリコン薄膜を得る工程とを用いてこの光電変換
装置を作製するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は大面積化、低コスト化が
可能な結晶系太陽電池を始めとする光電変換装置とその
製造方法に関するものであり、多結晶シリコン薄膜を安
価にガラス基板上に形成した薄膜多結晶シリコン光電変
換装置と、その製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】結晶系の光電変換装置のうち、近年地球
環境問題への取組みから特に代替エネルギーとしての太
陽電池が注目されており、屋内用途のみならず無線中継
所や砂漠における揚水ポンプ用電源等、種々の屋外用途
に用いられている。この太陽電池は代替エネルギーとい
う性格から低コスト化が望まれ、大面積のものが安価に
形成できるアモルファスシリコン太陽電池が注目されて
いる。しかしながら一方ではアモルファスシリコンは、
非平衡状態の材料であるため、太陽光線の照射によって
出力特性が劣化してしまうという問題点を抱えおり、現
在のところ屋外用途には結晶系のシリコン太陽電池が主
に用いられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この結晶系シリコン太
陽電池に用いられる基板材料は、単結晶シリコンや多結
晶シリコンのインゴットをスライスするため、自ずとそ
の大きさが限定されてしまう。ところが太陽電池の低コ
スト化のためには、大面積基板を用いて生産効率を高め
る必要があり、シリコン基板の利用は先ずこの点におい
て、低コスト化に限界があると言わざるを得ない。更に
他のシリコン基板材料として、サファイア基板上にシリ
コンをエピタキシャル成長させたSOSと呼ばれる基板
はあるが、これも基板材料に高価なサファイア基板を用
いる上、サファイア基板の大面積化が困難な理由によ
り、太陽電池の低コスト化を実現することは不可能であ
る。
【0004】一方、結晶系シリコン太陽電池の製造技術
から見ると、pn接合の形成のために900℃以上の高
温プロセスが必要であり、この点からも上述のシリコン
基板やSOS基板を用いなければならない。
【0005】このように従来の結晶系シリコン太陽電池
では、基板材料とプロセス温度の制約から使用しうる基
板材料が限定されてしまい、大面積化が不可能であると
いう欠点を有している。そしてこのことは太陽電池の低
コスト化の限界となっているのである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような従来
の結晶系光電変換装置、その中でも特に太陽電池におけ
る諸問題を解決し、大面積化と低コスト化が可能な薄膜
多結晶シリコン光電変換装置とその製造方法を提供する
ものである。このような本発明のうち薄膜多結晶シリコ
ン光電変換装置については、透光性基板上に一導電型の
多結晶シリコン薄膜と逆導電型の多結晶シリコン薄膜と
を順次形成するとともに、少なくとも前記一導電型の多
結晶シリコン薄膜の面方位を(100)、(111)、
(110)のいずれかに配向させるものであり、前記透
光性基板側を光の入射側としたり、前記一導電型の多結
晶シリコン薄膜を500Å以上の平均結晶粒径を有する
ものとしたり、前記一導電型の多結晶シリコン薄膜にお
ける表面粗さの最大値を膜厚の1/10以下、平均値を
膜厚の1/20以下としたり、前記透光性基板と一導電
型の多結晶シリコン薄膜との間に、窒化珪素、酸化チタ
ン、酸化珪素から選ばれた1種または2種からなる薄膜
を500Å〜3000Åの全膜厚で介在させたりするも
のである。
【0007】ここでの面方位の特定方位への配向とは、
通常の多結晶シリコン基板の場合とは異なり、多結晶シ
リコン薄膜を構成する結晶粒のそれぞれが、その表面に
おいて上記(100)、(111)、(110)のいず
れかに配向している状態を言うものである。
【0008】また、このような薄膜多結晶シリコン光電
変換装置の製造方法のうち、第1の製造方法としては、
透光性基板上に非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニー
ルすることによって第1の一導電型の多結晶シリコン薄
膜を得る工程と、前記第1の一導電型の多結晶シリコン
薄膜上に、気相成長又は固相成長又は非単結晶シリコン
薄膜をレーザーアニールすることによって第2の一導電
型の多結晶シリコン薄膜を得る工程と、前記第2の一導
電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成長又は固相成長
又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニールすること
によって逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得る工程とを
用いるものであり、前記第1の一導電型の多結晶シリコ
ン薄膜を得るための非単結晶シリコン薄膜の膜厚を、2
00Å〜5000Åの間に設定するものである。
【0009】また第2の製造方法としては、透光性基板
上に非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニールすること
によって一導電型の多結晶シリコン薄膜を得る工程と、
前記一導電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成長又は
固相成長又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニール
することによって逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得る
工程とを用いるものであり、前記一導電型の多結晶シリ
コン薄膜を得るための非単結晶シリコン薄膜の膜厚を、
200Å〜5000Åの間に設定するものである。
【0010】そして上記2つの製造方法において、前記
非単結晶シリコン薄膜にアモルファスシリコンを用いた
り、透光性基板上の非単結晶シリコン薄膜を最初にレー
ザーアニールする際に、波長が400nm以下の紫外線
パルスレーザーを用いたり、逆導電型の多結晶シリコン
薄膜を得る工程に水素プラズマ処理を用いたりするもの
である。
【0011】
【作用】本発明の薄膜多結晶シリコン光電変換装置及び
その製造方法は、上記の手段によって以下の作用を奏
し、前記課題を解決するものである。まず透光性基板上
に一導電型の多結晶シリコン薄膜と逆導電型の多結晶シ
リコン薄膜とを順次形成した構成とすると、気相エピタ
キシャル成長が不要となるので、シリコン薄膜の成膜温
度を低くできる。次いで、少なくとも一導電型の多結晶
シリコン薄膜を(100)、(111)、(110)の
いずれかの面方位に配向させると、その上に成膜される
逆導電型の多結晶シリコン薄膜の方位を決定するよう機
能する。この方位は良好な特性を得るために有効な方位
であり、発電領域全域を有効な面方位に配向させること
につながる。また、透光性基板側を光の入射側とする
と、支持基板と太陽電池の表面保護膜が兼用できる。そ
して、500Å以上の平均結晶粒径を有する一導電型の
多結晶シリコン薄膜は上記面方位に配向し易く、且つ逆
導電型の多結晶シリコン薄膜の膜質を良好なものにする
よう機能する。さらに、一導電型の多結晶シリコン薄膜
における表面粗さの最大値を膜厚の1/10以下、平均
値を膜厚の1/20以下とすることも、上記と同様に逆
導電型の多結晶シリコン薄膜の膜質を良好なものとする
よう働く。一方、500Å〜3000Åの全膜厚で透光
性基板と一導電型の多結晶シリコン薄膜との間に介在さ
せた窒化珪素、酸化チタン、酸化珪素から選ばれた1種
または2種からなる薄膜は、透光性基板からの不純物の
混入を阻止するとともに、透光性基板側から光を入射す
る際には入射光に対して反射防止膜として機能する。
【0012】次いで、透光性基板上に非単結晶シリコン
薄膜をレーザーアニールすることによって第1の一導電
型の多結晶シリコン薄膜を得る工程と、前記第1の一導
電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成長又は固相成長
又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニールすること
によって第2の一導電型の多結晶シリコン薄膜を得る工
程は、一導電型多結晶シリコン薄膜をグレーテッド構造
とすることを可能にする。また、前記第2の一導電型の
多結晶シリコン薄膜上に、気相成長又は固相成長又は非
単結晶シリコン薄膜をレーザーアニールすることによっ
て逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得る工程も、透光性
基板を高温下に晒すことなく多結晶シリコン薄膜を得る
ことを可能にするとともに、一導電型の多結晶シリコン
薄膜の面方位を、逆導電型の多結晶シリコン薄膜に反映
させることを可能にする。そして、前記第1の一導電型
の多結晶シリコン薄膜を得るための非単結晶シリコン薄
膜の膜厚を、200Å〜5000Åの間に設定すること
は、第1の一導電型の多結晶シリコン薄膜の面方位を
(100)、(111)、(110)のいずれかに配向
させることを可能にする。またこの3つの面方位は、上
記範囲内で膜厚を変えることによって制御できる。
【0013】また、透光性基板上に非単結晶シリコン薄
膜をレーザーアニールすることによって一導電型の多結
晶シリコン薄膜を得る工程と、前記一導電型の多結晶シ
リコン薄膜上に、気相成長又は固相成長又は非単結晶シ
リコン薄膜をレーザーアニールすることによって逆導電
型の多結晶シリコン薄膜を得る工程も、透光性基板を高
温下に晒すことなく多結晶シリコン薄膜を得ることを可
能にするとともに、一導電型の多結晶シリコン薄膜の面
方位を、逆導電型の多結晶シリコン薄膜に反映させるこ
とを可能にする。そして、前記一導電型の多結晶シリコ
ン薄膜を得るための非単結晶シリコン薄膜の膜厚を、2
00Å〜5000Åの間に設定することは、上記同様、
一導電型の多結晶シリコン薄膜の面方位を(100)、
(111)、(110)のいずれかに配向させることを
可能にする。またこの3つの面方位も、上記範囲内で膜
厚を変えることによって制御できるのである。
【0014】そして出発材料として非単結晶シリコン薄
膜を用いることは、基板温度を上げないこと及び基板面
積の大型化に寄与する。加えて透光性基板上の非単結晶
シリコン薄膜を最初にレーザーアニールする際に、波長
が400nm以下の紫外線パルスレーザーを用いると、
波長が短いことから非単結晶シリコン薄膜だけを、選択
的に且つ極めて効率良く加熱することを可能にする。一
方、逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得る工程に用いる
水素プラズマ処理は、結晶粒界や表面における非結合手
等を不活性化することを可能にする。
【0015】
【実施例】続いて本発明を具体的実施例に基づいて詳細
に説明する。尚、以下の実施例はいずれも、透光性基板
側から光を入射する場合の太陽電池の例を用いて説明す
るが、本発明は以下の実施例によって何ら限定されるも
のではない。
【0016】先ず図1(イ)、(ロ)には、本発明の薄
膜多結晶シリコン太陽電池の構造を概略断面図として示
している。図中(イ)は、コーニング社製コード705
9ガラスによる透光性基板1上に、窒化珪素、酸化チタ
ン、酸化珪素から選ばれた1種または2種からなる反射
防止膜3を、500Å〜3000Åの全膜厚となるよう
形成し、その上に第1のp型多結晶シリコン薄膜5(以
下p+ 層5と記す)、第2のp型多結晶シリコン薄膜7
(以下p層7と記す)、第1のn型の多結晶シリコン薄
膜9(以下n層9と記す)、第2のn型の多結晶シリコ
ン薄膜11(以下n+ 層11と記す)を順次積層してグ
レーテッド構造およびBSF構造とし、さらに電力取り
出し用として、櫛型形状等を有する裏面電極13を設け
たものである。表面側の電極はここでは特に図示しない
が、適当な櫛型電極などを適宜採用するものである。ま
た、入射光を裏面で反射させる光閉じ込め効果の点で
は、裏面電極13は全面電極であることが好ましい。こ
のような構造において、各多結晶シリコン薄膜の膜厚は
適宜最適値が選択されるが、p+ 層5については200
Å〜5000Åで好ましくは500Å〜2000Åが良
く、p層5については20Å〜4μmの間で、入射光の
波長における吸収係数によって適当な膜厚を設定すれば
良い。しかしながら特性面からは、p/n接合の位置は
光の入射側から約2μm前後とすることが望しいので、
より好適なp層5の膜厚は2μm前後ということにな
る。
【0017】また反射防止膜3の膜厚としては、500
Å〜2000Åの範囲に設定することがより有効であ
る。
【0018】上記各多結晶シリコン薄膜の膜厚のうち、
本構造においては特にp+ 層5の膜厚が所望の面方位を
得る上で重要である。これは太陽電池特性からは発電領
域、本図においてはp層7、n層9の面方位が(10
0)、(111)、(110)のいずれかに配向してい
ることが望ましく、このp層7とn層9の面方位はp+
層5の面方位によって決定され、更にp+ 層5の面方位
はp+ 層5の出発材料の膜厚によって略一義的に決まっ
てためである。これは出発材料の膜厚の他に、照射する
レーザーの波長やレーザー照射時の基板温度もp+ 層5
の面方位を変化させる要因となりうるが、出発材料の膜
厚に依るところが極めて大きいことを知見したことによ
るものである。即ち、p+ 層5を、アモルファスシリコ
ンを出発材料としてレーザー照射によって結晶化する場
合には、アモルファスシリコンの膜厚が1000Å以下
において、結晶化後のp+ 層5が(100)、(11
1)によく配向し、1000Å以上、特に5000Å以
上においては(110)によく配向することを本発明に
よって知見したのである。従って、得たい面方位によっ
て、出発材料であるアモルファスシリコンの膜厚を適宜
設定すれば良いことになる。このような面方位とすれ
ば、裏面電極13の形成前にn+ 層11の表面を、エッ
チングによってテキスチャ構造とすることができるの
で、前述の光閉じ込め効果がより一層大きくなって特性
向上に寄与することができる。このテキスチャ構造は、
特に(100)の面方位をエッチングすることによって
顕著に現れるものである。また、後述するレーザー照射
条件によって容易に500Å以上の結晶粒径を得ること
もできる。この結晶粒径についても、p+ 層5の粒径が
p層7やn層9の粒径に反映されるので、非結合手が多
数存在する粒界は少ないことが望ましい。そして本発明
では、結晶粒径を500Å以上とすることにより良好な
太陽電池特性の得られることを知見した。
【0019】さらにp+ 層5における表面モフォロジー
も、その上に形成するp層7やn層9の膜質に影響を与
えるが、表面粗さの最大値で膜厚の1/10以下、一方
平均値で膜厚の1/20以下が好ましい。そしてこの表
面粗さは、上記3つの面方位に配向させることによって
得られるのである。
【0020】以上、図中(イ)として示したものについ
て説明したが、(ロ)に示すような透光性基板1側から
+ 層11、n層9、p層7、p+ 層5の順に積層した
構造の場合も、(イ)に対してn型とp型が入れ替わる
だけで他は同じ条件、構成を適用するものである。
【0021】次に図2として示すように、特にグレーテ
ッド構造とせず、(イ)のように透光性基板1側からp
+ 層5、n層9、n+ 層11の順に積層してBSF構造
のみとしたり、逆に(ロ)のようにn+ 層11、p層
7、p+ 層5の順に積層することもできる。この場合
も、各層の膜厚その他の条件は上述の図1のものと同じ
である。
【0022】そして、このような薄膜多結晶シリコン太
陽電池の製造方法を、図1(イ)の構造を基に説明す
る。先ず透光性基板1上に、反射防止膜3をCVD等の
方法によって形成する。その上にCVD法等によって、
+ 非単結晶シリコンを成膜する。この非単結晶シリコ
ンには、低温で且つ大面積に形成可能なアモルファスシ
リコンを採用することが望ましい。この時のアモルファ
スシリコンの膜厚は、上述したように200Å〜500
0Å、好ましくは500Å〜2000Åの膜厚となるよ
うに設定される。このアモルファスシリコンの膜中に
は、結晶化後に所望の比抵抗となるように硼素等のp型
不純物を添加しておく。このp型不純物は、アモルファ
スシリコンの膜形成の際に、原料ガス中に微量のジボラ
ンガス等を添加することによって容易に導入できる。
【0023】次に、このp+ アモルファスシリコンをレ
ーザー照射によって結晶化し、p+層5を得る。この時
のレーザーとしては、p+ アモルファスシリコンだけを
選択的に効率良く溶融できるものとして、波長400n
m以下の紫外線パルスレーザーを使用する。この紫外線
パルスレーザーはエキシマレーザーに代表され、ArF
レーザーでは193nm、KrFレーザーでは248n
m、XeClレーザーでは308nmの各波長を数ナノ
秒程度のパルス幅で発振するものであり、150mJ/
cm2 〜600mJ/cm2 、好ましくは200mJ/
cm2 〜500mJ/cm2 のエネルギー密度で照射す
ることによって、p+ アモルファスシリコンだけを効率
良く溶融し、透光製基板に熱的ダメージを与えることな
く結晶化を行うことができる。このようにして結晶化さ
せたp+ 層5は、所望の面方位と500Å以上の粒径を
持つものとなり、上述の面方位に配向することにより、
所望の表面モフォロジーを得ることにもなる。
【0024】続いてこのようにして得られたp+ 層5の
上に、気相成長又は固相成長又は非単結晶シリコン薄膜
をレーザーアニールすることによってp層7を成膜す
る。先ず気相成長の場合、減圧下の熱的エネルギーによ
って原料ガスを分解するLP−CVD法や放電エネルギ
ーによって原料ガスを分解するプラズマCVD法等の化
学的気相成長法やスパッタリング等の物理的気相成長法
を用いると良い。また固相成長の場合には、前記気相成
長法を用いてアモルファスシリコンを成膜し、これを熱
処理によって多結晶化させたり、上記気相成長法で粒径
の小さい多結晶を成膜し、これを熱処理することによっ
て大粒径に成長させても良い。さらに前記気相成長法に
よってアモルファスシリコンを成膜した後レーザービー
ムを照射して、下地のp+ 層5を溶融させることなく、
アモルファスシリコン層のみを溶融結晶化させることも
可能である。またこのp層7は発電領域となるので、入
射光をできるだけ多く吸収させる必要が有り、結晶シリ
コンの吸収係数を考慮してこのp層7は上述したように
20Å〜2μm程度の膜厚に設定するものである。従っ
て照射するレーザービームの波長は、膜厚が数μmのシ
リコンに吸収されうるものでなければならない。このよ
うなレーザービームの種類としては、YAGレーザー、
YAGレーザーの第2高調波、アルゴンレーザー、アレ
キサンドライトレーザー等が挙げられる。
【0025】上記いずれの方法によっても、p層7の面
方位や粒界の形成態様、即ち粒径はp+ 層5を確実に反
映したものとなる。そしてp層7の成膜前にp+ 層5表
面に水素プラズマ処理を施して、p+ 層5の表面に水素
パシベーションを施すことも有効である。この処理はp
層7の成膜後に、p+ 層5との界面準位を減少させるこ
とにつながる。また、シリコンの自然酸化膜を除去する
ためには、Si−Si間の結合エネルギーよりも小さ
く、且つSi−O間の結合エネルギーよりも大きい粒子
エネルギーを持つArイオンによるスパッタリングを、
単独又は上記水素プラズマ処理と併用して施すことも有
効な手段として挙げられる。そして特にp層7は発電領
域になることから、気相成長を用いる場合には、粒界の
不活性化の為に成膜と水素雰囲気中でのRFプラズマ処
理を繰り返して所定の膜厚まで成膜したり、固相成長の
場合には、成膜後に水素雰囲気中でのRFプラズマ処理
を施して膜質を改善させることも効果的である。
【0026】そして、このようにして形成されたp層7
上に、気相成長又は固相成長又は非単結晶シリコン薄膜
をレーザーアニールすることによってn層9を形成する
が、この場合も前記p層7の形成の同様、気相成長の場
合にはLP−CVD法やプラズマCVD法等の化学的気
相成長法やスパッタリング等の物理的気相成長法を用い
ると良い。また固相成長の場合にも、前記気相成長法を
用いてアモルファスシリコンを成膜し、これを熱処理に
よって多結晶化させたり、上記気相成長法で粒径の小さ
い多結晶を成膜し、これを熱処理することによって大粒
径に成長させても良い。さらに前記気相成長法によって
アモルファスシリコンを成膜した後レーザービームを照
射して、下地のp+ 層5やp層7を溶融させることな
く、アモルファスシリコン層のみを溶融結晶化させるこ
とも可能である。またこのn層9もp層7とともに発電
領域となり、入射光をできるだけ多く吸収させる必要が
有りことから、p層7と同様に20Å〜2μm程度の膜
厚に設定するものである。従って、照射するレーザービ
ームの波長もYAGレーザー、YAGレーザーの第2高
調波、アルゴンレーザー、アレキサンドライトレーザー
等の長波長のものとなる。
【0027】この場合のn層9の面方位や粒界の形成態
様もp層7を確実に反映したものとなる。従ってp層7
を成膜する場合と同様、成膜前にp層7表面に水素プラ
ズマ処理を施して、p層7とn層9との間の界面準位を
減少させておくことも有効である。この場合の界面は特
にp/n接合面となるので、界面準位の存在はp/n接
合間の再結合電流となって現れ、ダイオード特性を著し
く低下させてしまうので、この処理を行うことは極めて
重要となる。また、界面準位のみならず自然酸化膜も問
題である。この自然酸化膜は上述したように、Si−S
i間の結合エネルギーよりも小さく、且つSi−O間の
結合エネルギーよりも大きい粒子エネルギーによるスパ
ッタリングを、単独又は上記水素プラズマ処理と併用し
て施すことによって除去できる。しかしながらp/n接
合面ということを考慮すると、よりp層7表面を清浄化
する必要もある。このためには、上記スパッタリングガ
ス中に微量のエッチングガスを添加したり、スパッタリ
ング直後に真空を破壊せずに多結晶シリコンを成膜させ
る等の方法を採用することも効果的である。そして特に
n層9はp層7とともに発電領域になることから、気相
成長を用いる場合には、粒界の不活性化の為に成膜と水
素雰囲気中でのRFプラズマ処理を繰り返して所定の膜
厚まで成膜したり、固相成長の場合には、成膜後に水素
雰囲気中でのRFプラズマ処理を施して膜質を改善させ
ることも効果的である。
【0028】そしてこのn層9上には、n+ 層11と裏
面電極13が順次形成される。このn+ 層11は、n層
9と裏面電極13との間のオーム性接触を取るために設
けるものであり、適当な高不純物濃度の多結晶シリコン
等、n層9および裏面電極13の両者とオーム性接触に
なる材料を形成しておけば良い。またここでは図示しな
いが、最後に裏面電極13上に保護樹脂としてエポキシ
樹脂等、公知の保護コーティング材を塗布する。この保
護コーティング材はエポキシ樹脂中に酸化鉄やカーボン
ブラック、酸化チタン等の遮蔽顔料を添加したものが使
用可能であり、スクリーン印刷等の公知の塗布方法によ
って形成すれば良い。
【0029】また、図1(ロ)の構造については、p型
とn型が入れ替わる以外は上記と同じ方法で製造可能で
ある。
【0030】一方、図2(イ)、(ロ)に示しているよ
うな構造においても、基本的には上述の製造方法と全く
同じ方法を適用するものである。即ち、図2(イ)の構
造においては、透光性基板1上に反射防止膜3をCVD
等の方法によって形成する。その上にCVD法等によっ
て、アモルファスシリコン等のp+ 非単結晶シリコンを
成膜する。この時のアモルファスシリコンの膜厚も、上
述したように結晶化後に200Å〜5000Å、好まし
くは500Å〜2000Åの膜厚となるように設定され
る。このアモルファスシリコンの膜中には、結晶化後に
所望の比抵抗となるように硼素等のp型不純物を添加し
ておく。このp型不純物は、アモルファスシリコンの膜
形成の際に、原料ガス中に微量のジボランガス等を添加
することによって容易に導入できる。
【0031】次に、このp+ アモルファスシリコンをレ
ーザー照射によって結晶化し、p+層5を得る。この時
のレーザーとしても、上述のような波長400nm以下
の紫外線パルスレーザーを使用し、同様のエネルギー密
度にしておけば良い。続いてこのようにして得られたp
+ 層5の上に、気相成長又は固相成長又は非単結晶シリ
コン薄膜をレーザーアニールすることによってn層9を
成膜する。このn層9もLP−CVD法やプラズマCV
D法等の化学的気相成長法やスパッタリング等の物理的
気相成長法や固相成長法を用いると良い。また固相成長
の場合において、出発材料としてアモルファスシリコン
や粒径の小さい多結晶シリコンも同様に使用可能である
ことは言うまでもない。またこのn層9は発電領域とな
るので、上述のp層7の場合と同様、20Å〜2μm程
度の膜厚に設定するものである。従って、n層9をレー
ザーアニールによって形成する場合にも、YAGレーザ
ー、YAGレーザーの第2高調波、アルゴンレーザー、
アレキサンドライトレーザー等を用いれば良いことにな
る。
【0032】そしてここでもn層9の成膜前にp+ 層5
表面に水素プラズマ処理を施して、p+ 層5とn層9と
の間の界面準位を減少させることも有効である。但しこ
の場合にはp+ 層5とn層9間がp/n接合となるた
め、p+ 層5の表面に対して上述のスパッタリング処理
を施す際に、スパッタリングガス中への微量のエッチン
グガスの添加や、スパッタリング直後に真空を破壊せず
に多結晶シリコンを成膜させる等の方法を適宜併用すれ
ば良い。そして、水素雰囲気中でのRFプラズマ処理も
同様、膜質改善のための効果的な手法として使用でき
る。
【0033】最後にこのn層9上には、n+ 層11と裏
面電極13が順次形成される。このn+ 層11は、n層
9と裏面電極13との間のオーム性接触層として位置付
けられ、適当な高不純物濃度の多結晶シリコン等、n層
9および裏面電極13の両者とオーム性接触になる材料
を形成しておけば良い
【0034】また、図2(ロ)の構造については、p型
とn型が入れ替わる以外は上記と同じ方法で製造可能で
ある。
【0035】これまで説明した各半導体層5、7、9、
11、13はオーム性接触用、発電用とそれぞれが担う
機能は異なっており、それぞれの最適不純物濃度も当然
ながら異なる。具体的には、p+ 層5とn+ 層11はよ
り低抵抗であることが望まれるので、できるだけ高い不
純物濃度、例えば最高で10%、即ち5×1021個/c
3 程度までで適宜設定すれば良い。またp層5とn層
11は発電領域となるため、少数キャリアのライフタイ
ムを大きくしつつ適度の電気抵抗値が必要であり、目安
として1×1014個/cm3 〜1×1019個/cm3
度としておけば良い。
【0036】これは例えばレーザーアニールの出発材料
や、裏面電極13側のオーム性接触層の区別なく、気相
成長による形成ならば所望の比抵抗となるよう、p型で
あれば硼素等、n型であれば燐等の不純物を原料ガス中
に添加しておけば良い。また固相成長の場合にも出発材
料成膜時に原料ガス中に添加しておけば良い。
【0037】一方、それぞれを真性半導体として形成
し、イオン注入やイオンシャワー等の方法によって別途
添加させることもできる。
【0038】さらにレーザーアニールによって形成する
場合には、予め出発材料を真性半導体層と不純物を添加
した半導体層との積層構造としておき、溶融時に瞬時に
混合させて所定の不純物濃度とする方法も可能である。
例えば、9990Åの真性アモルファスシリコン上に、
不純物濃度が1×1019個/cm3 のn型アモルファス
シリコンを10Åの膜厚で積層し、これをレーザーアニ
ールによって結晶化させることによって、不純物濃度が
1×1016個/cm3 のn型多結晶シリコン薄膜が得ら
れることになる。この方法によれば、真性半導体層と不
純物を添加した半導体層との膜厚比と不純物濃度の2つ
のパラメータによって、結晶化後の不純物濃度が決定す
るので、低濃度でも不純物濃度を精度良く制御すること
ができるのである。
【0039】以下に本発明の実施結果として、前述の図
2(イ)の構造による太陽電池の特性について詳細に説
明する。
【0040】〔実施例1〕ガラス基板上に膜厚1000
Åの窒化珪素を基板温度550℃のプラズマCVD法に
よって形成し、この上に基板温度550℃のプラズマC
VD法によって膜厚700Åのp型アモルファスシリコ
ンを形成した。次にエネルギー密度300mJ/c
3 、パルス幅30ナノ秒のKrFエキシマレーザー
を、400℃の基板温度でp型アモルファスシリコンに
20回照射してp型多結晶シリコン薄膜を得た。このp
型多結晶シリコン膜の粒径は1〜5μmの間に分布し、
主に(111)面に配向し、不純物濃度3×1020個/
cm3 となった。次に結晶化したp型多結晶シリコン薄
膜上に、500℃の基板温度において、プラズマCVD
法による200Åの多結晶シリコン薄膜の成膜と、EC
R水素プラズマ処理との繰り返しによって、10μmの
n型多結晶シリコン薄膜を形成した。このように成膜と
水素プラズマ処理とを繰り返すと、より低温で多結晶シ
リコン薄膜を形成させることが可能となる。これは低温
で成膜するとアモルファス化し易いものの、水素プラズ
マ処理によってアモルファス化した部分が除去できるた
めである。この処理は、膜厚が500Å以上になると、
アモルファス化した部分の割合が多くなって所望の効果
が得られなくなるので、ここに繰り返しにおける成膜単
位を、安全係数を見込んで200Åとした臨界的意味が
有るのである。そしてここではn型のドーパントとして
燐を用い、BSF構造とするために最後の200Åは燐
を3×1020個/cm3 添加してヘビードープ層とし
た。そして最後に裏面電極としてアルミニウムを蒸着
し、図2(イ)に示す構造の太陽電池とした。
【0041】〔比較例1〕ガラス基板上に膜厚1000
Åの窒化珪素を基板温度550℃のプラズマCVD法に
よって形成し、この上に500℃の基板温度において、
プラズマCVD法による50Åの多結晶シリコン薄膜の
成膜と、ECR水素プラズマ処理との繰り返しによっ
て、500Åのp型多結晶シリコン薄膜を形成した。こ
のp型多結晶シリコン薄膜の粒径は0.1〜0.5μm
の間に分布し、3×1020個/cm3の不純物濃度とな
った。このp型多結晶シリコン薄膜上に、500℃の基
板温度において、プラズマCVD法による200Åの多
結晶シリコン薄膜の成膜と、ECR水素プラズマ処理と
の繰り返しによって、10μmのn型多結晶シリコン薄
膜を形成した。n型のドーパントとしては燐を用い、B
SF構造とするために最後の200Åは燐を3×1020
個/cm3 添加してヘビードープ層とした。そして最後
に裏面電極としてアルミニウムを蒸着し、図2(イ)に
示す構造の太陽電池とした。
【0042】〔実施例2〕ガラス基板上に膜厚1000
Åの窒化珪素を基板温度550℃のプラズマCVD法に
よって形成し、この上に基板温度550℃のプラズマC
VD法によって膜厚700Åのp型アモルファスシリコ
ンを形成した。次にエネルギー密度300mJ/c
3 、パルス幅30ナノ秒のKrFエキシマレーザー
を、400℃の基板温度でp型アモルファスシリコンに
20回照射してp型多結晶シリコン薄膜を得た。このp
型多結晶シリコン膜の粒径は1〜5μmの間に分布し、
主に(111)面に配向し、不純物濃度3×1020個/
cm3 となった。このp型多結晶シリコン薄膜上に、7
00℃の基板温度においてプラズマCVD法によって1
0μmのn型多結晶シリコン薄膜を形成した。n型のド
ーパントとしては燐を用い、BSF構造とするために最
後の200Åは燐を3×1020個/cm3 添加してヘビ
ードープ層とした。そして最後に裏面電極としてアルミ
ニウムを蒸着し、図2(イ)に示す構造の太陽電池とし
た。
【0043】〔比較例2〕ガラス基板上に膜厚1000
Åの窒化珪素を基板温度550℃のプラズマCVD法に
よって形成し、この上に基板温度700℃のプラズマC
VD法によって膜厚700Åのp型多結晶シリコン薄膜
を形成した。このp型多結晶シリコン薄膜の粒径は0.
1〜0.5μmの間に分布し、3×1020個/cm3
不純物濃度となった。このp型多結晶シリコン薄膜上
に、700℃の基板温度においてプラズマCVD法によ
って10μmのn型多結晶シリコン薄膜を形成した。n
型のドーパントとしては燐を用い、BSF構造とするた
めに最後の200Åは燐を3×1020個/cm3 添加し
てヘビードープ層とした。そして最後に裏面電極として
アルミニウムを蒸着し、図2(イ)に示す構造の太陽電
池とした。
【0044】〔実施例3〕ガラス基板上に膜厚1000
Åの窒化珪素を基板温度550℃のプラズマCVD法に
よって形成し、この上に基板温度550℃のプラズマC
VD法によって膜厚700Åのp型アモルファスシリコ
ンを形成した。次にエネルギー密度300mJ/c
3 、パルス幅30ナノ秒のKrFエキシマレーザー
を、400℃の基板温度でp型アモルファスシリコンに
20回照射してp型多結晶シリコン薄膜を得た。このp
型多結晶シリコン膜の粒径は1〜5μmの間に分布し、
主に(111)面に配向し、不純物濃度3×1020個/
cm3 となった。次に結晶化したp型多結晶シリコン薄
膜上に、500℃の基板温度でプラズマCVD法によっ
て10μmのn型アモルファスシリコン薄膜を形成し
た。n型のドーパントとしては燐を用い、BSF構造と
するために最後の200Åは燐を3×1020個/cm3
添加してヘビードープ層とした。次いでこれを真空中7
00℃において2時間アニールし、固相成長によって多
結晶シリコン薄膜とした。そして最後に裏面電極として
アルミニウムを蒸着し、図2(イ)に示す構造の太陽電
池とした。
【0045】〔比較例3〕ガラス基板上に膜厚1000
Åの窒化珪素を基板温度550℃のプラズマCVD法に
よって形成し、この上に基板温度700℃のプラズマC
VD法によって膜厚700Åのp型多結晶シリコン薄膜
を形成した。このp型多結晶シリコン薄膜の粒径は0.
1〜0.5μmの間に分布し、3×1020個/cm3
不純物濃度となった。次にこのp型多結晶シリコン薄膜
上に、500℃の基板温度でプラズマCVD法によって
10μmのn型アモルファスシリコン薄膜を形成した。
n型のドーパントとしては燐を用い、BSF構造とする
ために最後の200Åは燐を3×1020個/cm3 添加
してヘビードープ層とした。次いでこれを真空中700
℃において2時間アニールし、固相成長によって多結晶
シリコン薄膜とした。そして最後に裏面電極としてアル
ミニウムを蒸着し、図2(イ)に示す構造の太陽電池と
した。
【0046】〔実施例4〕ガラス基板上に、膜厚100
0Åの窒化珪素と100Åの酸化珪素を、基板温度55
0℃のプラズマCVD法によって連続して形成した。こ
の上に基板温度550℃のプラズマCVD法によって、
膜厚600Åのp型アモルファスシリコンを形成した。
次にエネルギー密度300mJ/cm3 、パルス幅30
ナノ秒のKrFエキシマレーザーを、500℃の基板温
度でp型アモルファスシリコンに200回照射してp型
多結晶シリコン薄膜を得た。このp型多結晶シリコン膜
の粒径は3〜10μmの間に分布し、主に(100)面
に配向し、不純物濃度は4×1020個/cm3 となっ
た。次にこのp型多結晶シリコン薄膜上に、700℃の
基板温度においてプラズマCVD法によって10μmの
n型多結晶シリコン薄膜を形成した。n型のドーパント
としては燐を用い、BSF構造とするために最後の20
0Åは燐を3×1020個/cm3 添加してヘビードープ
層とした。そして最後に裏面電極としてアルミニウムを
蒸着し、図2(イ)に示す構造の太陽電池とした。
【0047】以上の各実施例および比較例の太陽電池特
性を、表1の一覧表に示す。尚、いずれの測定もAM
1.5−100mW/cm2 のソーラーシミュレータを
用いて行った。また図中、短絡電流密度をJsc、開放
電圧をVoc、曲線因子をF.F、変換効率をηで表し
ている。
【0048】
【表1】
【0049】このように本発明によれば、太陽電池とし
ていずれも比較例より優れた特性となり、最高10.1
%の変換効率を有する薄膜多結晶シリコン太陽電池が実
現可能であることがわかる。また、本実施例では太陽電
池への応用例を示したが、上述したようにレーザーアニ
ールによって形成した一導電型の多結晶シリコン薄膜の
上に非晶質シリコン薄膜を積層し、これにアルゴンレー
ザーを線状に照射して一列に光電変換素子を配列させる
こともできるので、イメージセンサの作製も可能とな
る。
【0050】また本発明のような低温プロセスにおいて
は、多結晶シリコン薄膜中の酸素がサーマルドナーとし
て働く場合がある。これは薄膜中の酸素がn型のドナー
となって働き、図1及び図2(ロ)の構造においてp層
7の不純物濃度が低い場合、導電型の逆転が起こってし
まい、良好なp/n接合特性が得られないという問題に
もなるのである。この酸素は主にCVDでの成膜時に混
入するものと思われ、最大で4×1018個/cm3 程度
含まれるものである。そして、400℃前後で最も活性
化し、600℃前後かそれ以上で消滅することが分かっ
ている。従って特に上記実施例1のように、プロセスの
最高温度が600℃以下の場合には、例えばアルミニウ
ム電極の形成前に、600℃前後かそれ以上の温度で熱
処理を施すことも有効である。また、透光性基板1にソ
ーダガラス等の低融点ガラスを用いる場合、その軟化点
は600℃以下であることが多く、このような場合には
YAGレーザー、YAGレーザーの第2高調波、アルゴ
ンレーザー、アレキサンドライトレーザー等の長波長の
レーザー光を焦点を結ばず広面積のビームスポットで照
射し、多結晶シリコン薄膜だけを600℃以上に加熱さ
せることも有効な手段の一つである。
【0051】一方、レーザーアニールによる結晶化の際
に粒径を大きくするためには、下地層となる反射防止膜
に窒化珪素または酸化珪素を用い、ストイキオメトリッ
クな組成よりも珪素リッチな組成にし、溶融シリコンと
の濡れ性を向上させることも一考である。
【0052】
【発明の効果】本発明の薄膜多結晶シリコン光電変換装
置及びその製造方法によれば、上記の作用によって以下
の効果を得ることができる。まず透光性基板上に一導電
型の多結晶シリコン薄膜と逆導電型の多結晶シリコン薄
膜とを順次形成した構成とすると、エピタキシャル成長
が不要となることからシリコン薄膜の成膜温度を低くで
きるので、低融点の安価なガラスを使用でき、低コスト
の薄膜多結晶シリコン光電変換装置を得ることができ
る。次いで(100)、(111)、(110)のいず
れかの面方位に配向した一導電型の多結晶シリコン薄膜
は、その上に成膜される逆導電型の多結晶シリコン薄膜
の方位を決定するよう機能するので、低温成長ながら良
質の逆導電型多結晶シリコン薄膜となって高い変換効率
の光電変換素子が実現できる。
【0053】また、透光性基板側を光の入射側とする
と、支持基板と太陽電池の表面保護膜が兼用できるの
で、裏面側に特別な透光性材料を用いる必要が無くな
り、エポキシ樹脂層等を印刷形成することができる。従
ってこれによってもコストダウンに寄与することにな
る。
【0054】さらに500Å以上の平均結晶粒径を有す
る一導電型の多結晶シリコン薄膜は上記面方位に配向し
易く、且つ逆導電型の多結晶シリコン薄膜の膜質を良好
なものにするよう機能するので、変換効率の高い光電変
換素子の実現に寄与できる。さらに一導電型の多結晶シ
リコン薄膜における表面粗さの最大値を膜厚の1/10
以下、平均値を膜厚の1/20以下とすることも、上記
と同様に逆導電型の多結晶シリコン薄膜の膜質を良好な
ものとするよう働くので、変換効率の高い光電変換素子
を得るに対して好都合となる。
【0055】一方、500Å〜3000Åの全膜厚で透
光性基板と一導電型の多結晶シリコン薄膜との間に介在
させた窒化珪素、酸化チタン、酸化珪素から選ばれた1
種または2種からなる薄膜は、透光性基板からの不純物
の混入を阻止するとともに、透光性基板側から光を入射
する際には入射光に対して反射防止膜として機能するの
で、良質の膜質が得られるとともに表面反射が防止さ
れ、出力電流の高い光電変換素子が得られる。
【0056】次いで、透光性基板上に非単結晶シリコン
薄膜をレーザーアニールすることによって一導電型の多
結晶シリコン薄膜を得る工程は、非単結晶シリコン薄膜
だけを選択的に加熱し、透光性基板を高温下に晒すこと
なく多結晶シリコン薄膜を得ることを可能にするので、
透光性基板に安価な低融点ガラスを使用でき、低コスト
の薄膜多結晶シリコン光電変換装置を得ることができ
る。またこの効果は、一導電型の多結晶シリコン薄膜を
得る工程に、波長が400nm以下の紫外線パルスレー
ザーを用いることによってより顕著となり、合成樹脂上
にも光電変換素子を作製することも可能となる。
【0057】ここで、透光性基板上に非単結晶シリコン
薄膜をレーザーアニールすることによって第1の一導電
型の多結晶シリコン薄膜を得る工程と、前記第1の一導
電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成長又は固相成長
又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニールすること
によって第2の一導電型の多結晶シリコン薄膜を得る工
程は、一導電型多結晶シリコン薄膜をグレーテッド構造
とすることを可能にするので、変換効率の高い光電変換
素子を得るに対して好都合となる。
【0058】また一導電型の多結晶シリコン薄膜上に、
気相成長又は固相成長又は非単結晶シリコン薄膜をレー
ザーアニールすることによって逆導電型の多結晶シリコ
ン薄膜を得る工程も、透光性基板を高温下に晒すことな
く多結晶シリコン薄膜を得ることを可能にするととも
に、一導電型の多結晶シリコン薄膜の面方位を、逆導電
型の多結晶シリコン薄膜に反映させることを可能にする
ので、これによっても変換効率の高い光電変換素子を得
ることに繋がる。
【0059】そして出発材料として非単結晶シリコン薄
膜を用いることは、基板温度を上げないこと及び基板面
積の大型化に寄与するので、低コストの薄膜多結晶シリ
コン光電変換装置を実現できる。また、レーザーアニー
ルの出発材料となる非単結晶シリコン薄膜の膜厚を、2
00Å〜5000Åの膜厚とすることによって上記面方
位を得ることができるので、膜厚の設定によって良好な
特性を再現性良く得ることが可能となる。
【0060】一方、逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得
る工程に用いる水素プラズマ処理は、結晶粒界における
非結合手等を不活性化したり、p/n接合面の界面準位
を低下させることになるので、低温プロセスながら高い
変換効率が得られる。また、この水素プラズマはアモル
ファス化した部分を除去をする効果もあるので、成膜と
水素プラズマを繰り返すことによって、より低温で良好
な多結晶薄膜を成長させることが可能となる。
【0061】このように本発明によれば上記のように多
くの効果が得られ、特に太陽電池においては大面積で且
つ低コスト、高変換効率のものが実現できるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換装置のうち、グレーテッド化
した太陽電池の構造例を表す断面説明図で、(イ)は基
板側をp層としたもの、(イ)は基板側をn層としたも
【図2】本発明の光電変換装置のうち、グレーテッド化
しない太陽電池の構造例を表す断面説明図で、(イ)は
基板側をp層としたもの、(イ)は基板側をn層とした
もの
【符号の説明】
1 透光性基板 3 反射防止膜 5 p+ 層 7 p層 9 n層 11 n+ 層 13 裏面電極

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基板上に一導電型の多結晶シリコン
    薄膜と逆導電型の多結晶シリコン薄膜とを順次形成する
    とともに、少なくとも前記一導電型の多結晶シリコン薄
    膜の面方位が(100)、(111)、(110)のい
    ずれかに配向している薄膜多結晶シリコン光電変換装
    置。
  2. 【請求項2】前記透光性基板側を光の入射側とした請求
    項1記載の薄膜多結晶シリコン光電変換装置。
  3. 【請求項3】前記一導電型の多結晶シリコン薄膜が50
    0Å以上の平均結晶粒径を有する請求項1または2記載
    の薄膜多結晶シリコン光電変換装置。
  4. 【請求項4】前記一導電型の多結晶シリコン薄膜におけ
    る表面粗さの最大値が膜厚の1/10以下、平均値が膜
    厚の1/20以下である請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の薄膜多結晶シリコン光電変換装置。
  5. 【請求項5】前記透光性基板と一導電型の多結晶シリコ
    ン薄膜との間に、窒化珪素、酸化チタン、酸化珪素から
    選ばれた1種または2種からなる薄膜を500Å〜30
    00Åの全膜厚で介在させた請求項1〜4のいずれか1
    項に記載の薄膜多結晶シリコン光電変換装置。
  6. 【請求項6】透光性基板上に非単結晶シリコン薄膜をレ
    ーザーアニールすることによって第1の一導電型の多結
    晶シリコン薄膜を得る工程と、 前記第1の一導電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成
    長又は固相成長又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーア
    ニールすることによって第2の一導電型の多結晶シリコ
    ン薄膜を得る工程と、 前記第2の一導電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成
    長又は固相成長又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーア
    ニールすることによって逆導電型の多結晶シリコン薄膜
    を得る工程と、 を用いる薄膜多結晶シリコン光電変換装置の製造方法。
  7. 【請求項7】前記第1の一導電型の多結晶シリコン薄膜
    を得るための非単結晶シリコン薄膜の膜厚を、200Å
    〜5000Åとする請求項6記載の薄膜多結晶シリコン
    光電変換装置の製造方法。
  8. 【請求項8】透光性基板上に非単結晶シリコン薄膜をレ
    ーザーアニールすることによって一導電型の多結晶シリ
    コン薄膜を得る工程と、 前記一導電型の多結晶シリコン薄膜上に、気相成長又は
    固相成長又は非単結晶シリコン薄膜をレーザーアニール
    することによって逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得る
    工程と、 を用いる薄膜多結晶シリコン光電変換装置の製造方法。
  9. 【請求項9】前記一導電型の多結晶シリコン薄膜を得る
    ための非単結晶シリコン薄膜の膜厚を、200Å〜50
    00Åとする請求項8記載の薄膜多結晶シリコン光電変
    換装置の製造方法。
  10. 【請求項10】前記非単結晶シリコン薄膜にアモルファ
    スシリコンを用いる、請求項6〜9のいずれか1項に記
    載の薄膜多結晶シリコン光電変換装置の製造方法。
  11. 【請求項11】前記透光性基板上に非単結晶シリコン薄
    膜をレーザーアニールすることによって第1の一導電型
    の多結晶シリコン薄膜を得る工程と、 前記透光性基板上に非単結晶シリコン薄膜をレーザーア
    ニールすることによって一導電型の多結晶シリコン薄膜
    を得る工程に、 波長が400nm以下の紫外線パルスレーザーを用いる
    請求項6〜10のいずれか1項に記載の薄膜多結晶シリ
    コン光電変換装置の製造方法。
  12. 【請求項12】前記逆導電型の多結晶シリコン薄膜を得
    る工程に水素プラズマ処理を用いる請求項6〜11のい
    ずれか1項に記載の薄膜多結晶シリコン光電変換装置の
    製造方法。
JP5234467A 1993-09-21 1993-09-21 薄膜多結晶シリコン光電変換装置及びその製造方法 Pending JPH0794766A (ja)

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