JP4864078B2 - 光電変換装置およびその製造方法 - Google Patents
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Description
上記太陽電池は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する光電変換層に、半導体によるpn接合を用いるものが一般的であり、原材料としてはシリコンが最も広く用いられている。シリコンを利用した太陽電池として現在最も普及しているものは、単結晶シリコン、多結晶シリコン等のバルク結晶を用いたものであり、近年これらバルク結晶系太陽電池の生産量の大幅拡大により太陽電池モジュール価格が低下し、太陽光発電システムの普及が急拡大している。しかし、バルク結晶系太陽電池は数百μmの厚さのシリコン基板を用いているため、太陽電池価格のうちシリコン原材料費の占める割合が大きく、大幅な低コスト化が難しくなってきているのが現状である。
かくして、本発明によれば、p型半導体層、i型半導体層およびシリコン原子を少なくとも含有するn型半導体層を積層して構成される1つ以上のpin型光電変換層を有し、かつ、前記1つ以上のpin型光電変換層における少なくとも1つの前記n型半導体層が窒素原子を含有し、n型半導体層が、結晶シリコン相を有する第1のn型半導体層と、窒素原子を4〜10原子%の濃度で含有する第2のn型半導体層を有してなる光電変換装置が提供される。
本発明は別の観点によれば、基板上に導電膜を介してp型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を備えた光電変換層を1つ以上形成する工程を有し、n型半導体層を形成する工程が、シリコン原子およびn型導電性元素を含む原料ガスを用いて第1のn型半導体層を形成する工程と、シリコン原子、n型導電性元素および窒素原子を含む原料ガスを用いて窒素原子を4〜10原子%の濃度で含有する第2のn型半導体層を形成する工程とを含む光電変換装置の製造方法が提供される。
また、本発明の光電変換装置の製造方法によれば、バルク結晶系太陽電池に比して投入エネルギーを大幅に低減しながら上記高効率の光電変換装置を製造することができ、製造時の二酸化炭素排出量を大幅に抑制することができる。
また、光電変換装置において、第2のn型半導体層は、窒素原子の濃度が4〜10原子%であることが好ましい。さらに、光電変換装置において、第2のn型半導体層は、シリコン原子を結晶シリコン相として含有することがさらに好ましい。換言すれば、第2のn型半導体層が窒素原子を含む微結晶シリコン層であればよい。第2のn型半導体層を微結晶シリコン層とすることにより、アモルファスシリコン層と比べてn型半導体層の導電性が向上するために直列抵抗を低減することができるので、光電変換装置の形状因子が増加し、これにより高い光電変換効率を得ることができる。さらに、n型半導体層の結晶化率を3以上とすることにより、微結晶シリコン層である第1のn型半導体層との結合が良好に形成されるため、高い光電変換効率が得られるので、より好ましい。
図1に示すように、実施の形態1の光電変換装置100は、スーパーストレート型であり、基板11上に、光電変換層10と透明導電層15と電極16がこの順番で積層されて構成されている。
基板11は、透光性基板11aの上に透明導電層11bを堆積させて作製される。透光性基板11aとしては、ガラス板あるいはポリイミド、ポリビニル等の耐熱性を有する透光性樹脂板、さらにそれらが積層されたものなどが好適に用いられるが、光透過性が高く光電変換装置全体を構造的に支持し得るものであれば特に限定されない。また、それらの表面に金属膜、透明導電膜、絶縁膜等を被覆したものであってもよい。ただし、光電変換装置をサブストレート型構造に適用する場合には、上記透光性基板11aの代わりにステンレスなどの不透光性基板を用いてもよい。
光電変換層10は、構成材料のうち主材料はシリコンであり、特にアモルファスシリコン、微結晶シリコン等が好適に用いられる。ここで、本発明において、用語「アモルファスシリコン」および「微結晶シリコン」は、それぞれ、当該分野で一般的に使われる、「水素化アモルファスシリコン」および「水素化微結晶シリコン」を含むものとする。本実施の形態の光電変換層10は、基板11側からp型半導体層12、i型半導体層13、n型半導体層14をこの順に堆積させてpin接合構造が形成されている。各型の半導体層の膜厚は、特に限定されるものではないが、p型半導体層12が5〜50nm、i型半導体層13が100〜5000nm、n型半導体層14が5〜100nmの範囲とすることがよく、好ましくはp型半導体層12が10〜30nm、i型半導体層13が200〜4000nm、n型半導体層14が10〜30nmである。
該ドーピングガスは目的とする型の導電性決定元素を含むガスであれば特に限定されないが、一般的にp型導電性決定元素がホウ素である場合はB2H6を、n型導電性決定元素がリンである場合はPH3を用いる場合が多い。
電極16は、導電層が少なくとも1層以上あればよく、光反射率が大きく導電率が高い程好ましい。これらを満たす材料として、可視光反射率の高い銀、アルミニウム、チタン、パラジウム等の金属材料やその合金が用いられ、CVD法、スパッタリング法、真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、スプレー法、スクリーン印刷法等により上記光電変換層10の上に形成される。電極16は、光電変換層10で吸収されなかった光を反射して再度光電変換層10に戻すため、光電変換効率の向上に寄与する。さらに、光電変換層10と電極16との間に透明導電層15を形成すると、入射光に対する光閉じ込め向上効果や光反射率向上効果が得られることに加えて、電極16に含まれる元素の光電変換層10への拡散を抑制することができる。透明導電層15は透明導電層11bと同様の材料や製法にて形成することができる。ただし、本発明をサブストレート型構造に適用する場合には、上記電極16として、櫛形など表面を一様に覆わないグリッド形状であることが好ましい。
次に、上記とは異なる実施の形態2として、光電変換層を2つ有するスーパーストレート型積層型光電変換装置200について、図2を用いて説明する。なお、図2において、図1に示した実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付している。
このスーパーストレート型積層型光電変換装置200は、基板11上に、第1の光電変換層10、第2の光電変換層20、透明導電層15および電極16がこの順番で積層されて構成されている。これらの構成要素の中で、基板11、透明導電層15および電極16は、上述のスーパーストレート型光電変換装置100と同じものが使用でき、各構成要素の機能もスーパーストレート型光電変換装置100と同様であるので、説明を省略する。
5〜50nm、i型半導体層13が100〜500nm、n型半導体層14が5〜50nmの範囲とすることがよく、好ましくはp型半導体層12が10〜30nm、i型半導体層13が200〜400nm、n型半導体層14が10〜30nmであり、第2の光電変換層20ではp型半導体層22が5〜50nm、i型半導体層23が1000〜5000nm、n型半導体層24が5〜100nmであり、より好ましくはp型半導体層22が10〜30nm、i型半導体層23が2000〜4000nm、n型半導体層24が10〜30nmである。
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。
本実施例1〜8では、図1に示すスーパーストレート型光電変換装置100を以下のように作製した。
基板11としては、透光性基板11aの表面に透明導電膜11bが形成された縦127mm×横127mm×厚み1.8mmの白板ガラス(旭硝子(株)、商品名:Asahi−U)を使用した。この基板11上に、膜厚50nmの酸化亜鉛層をマグネトロンスパッタリング法により形成した後、プラズマCVD法により後述の条件で光電変換層10をp型半導体層12、i型半導体層13、n型半導体層14の順に堆積した。光電変換層10の製膜に用いたプラズマCVD装置は超高真空装置であり、不純物元素の混入が少ない高品質の光電変換層を作製できる。続いて、光電変換層10の上に、マグネトロンスパッタリング法により透明導電層15として膜厚50nmの酸化亜鉛層を、電極16として膜厚500nmの銀層を順次堆積させて、スーパーストレート型光電変換装置100を得た。
p型半導体層12は、原料ガスとしてSiH4、H2、B2H6を用いた。H2/SiH4ガス流量比は150倍とし、B2H6/SiH4ガス流量比は0.003とした。p型半導体
層12は、光活性層であるi型半導体層に入射する光量を多くするためにp型層としての機能を損なわない範囲で薄い方が望ましく、本実施例では20nmの膜厚とした。
i型半導体層13は、原料ガスとしてSiH4およびH2を用いた。H2/SiH4ガス流量比は80倍とし、膜厚2500nmとなるように製膜した。
n型半導体層14は、原料ガスとしてSiH4、H2、PH3およびN2を用いた。H2/
SiH4ガス流量比は100倍とし、PH3/SiH4ガス流量比は、表1記載のように変
化させた。N2/SiH4ガス流量比についても表1記載のように変化させ、そのときの膜中窒素濃度を表1に併記した。なお、膜中窒素濃度は、n型半導体層14について高感度の二次イオン質量分析を行った結果得られた値(原子%)を示した。また、本実施例のn型半導体層14単層のラマン散乱スペクトルにおいて、シリコン−シリコン結合に帰属される520cm-1付近の結晶シリコンのピークが観測されたことから、本実施例のn型半導体層は結晶シリコン相を有することが確認できた。また、480cm-1付近のアモルファスシリコンのピーク高さIaに対して、該結晶シリコンのピーク高さIcの比Ic/Iaはいずれも3以上であった。n型半導体層14は、裏面電極16から光活性層であるi型半導体層13に再入射する反射光量を多くするためにn型層としての機能を損なわない程度で薄いほうが望ましく、20nmの膜厚とした。
なお、各半導体層12、13、14のプラズマCVDによる形成時において、製膜時の基板温度をそれぞれ、170℃、180℃、160℃とした。
本実施例9〜11では、n型半導体層14以外は全て実施例6〜8と同条件で、以下のようにスーパーストレート型光電変換装置100を作製した。
n型半導体層14は、窒素を添加しない第1のn型半導体層を形成し、その上に実施例6〜8と同じ窒素濃度となる第2のn型半導体層を堆積させて形成した。第1のn型半導体層は、原料ガスとして、SiH4、H2およびPH3を用いた。H2/SiH4ガス流量比は70倍とし、PH3/SiH4ガス流量比は0.001とした。第一のn型半導体層単層のラマン散乱スペクトルにおいて、520cm-1付近の結晶シリコンのピークが観測されたことから、本実施例9〜11の第一のn型半導体層は結晶シリコン相を有することが確認できた。第2のn型半導体層は、表1に示すように製膜条件を実施例6〜8と同条件とした。第1、第2のn型半導体層の膜厚はそれぞれ10nm、15nmとした。
本実施例12では、n型半導体層14作成時のH2/SiH4流量比を20倍にしたこと以外は全て実施例6と同条件で、以下のようにスーパーストレート型光電変換装置100を作製した。すなわち、表1記載のとおり、実施例12のn型半導体層の窒素濃度は2原子%である。本実施例のn型半導体層単層のラマン散乱スペクトルにおいて520cm-1付近の結晶シリコンのピークが観測されなかったことから、本実施例のn型半導体層14はアモルファスシリコンからなることが確認された。
本比較例1では、n型半導体層14以外は全て実施例1〜8と同条件で、以下のようにスーパーストレート型光電変換装置100を作製した。
n型半導体層14は、原料ガスとして、SiH4、H2、PH3を用い、H2/SiH4ガ
ス流量比は20倍とし、PH3/SiH4ガス流量比は膜中リン濃度が0.01原子%となるように調整した以外は全て実施例1〜8と同条件で作製した。本比較例1のn型半導体層単層のラマン散乱スペクトルにおいて520cm-1付近の結晶シリコンのピークが観測されなかったことから、本比較例1のn型半導体層14はアモルファスシリコンからなることが確認された。
本比較例2では、n型半導体層14以外は全て実施例1〜8と同条件で、以下のようにスーパーストレート型光電変換装置100を作製した。
n型半導体層14は、PH3/SiH4ガス流量比、およびN2/SiH4ガス流量比を表1に示したようにした以外は全て実施例1〜8と同条件で作製した。
以下、実施例1〜11、比較例1および2の比較結果に関して、表1および図3に基づいて考察する。
n型半導体層製膜時にN2ガスを使用しなかった比較例1のn型半導体層が0.000
2原子%の窒素を含有することより、本実施例1〜8にて使用したプラズマCVD装置の真空チャンバー内の脱ガスまたは残存ガスとして存在する窒素不純物が、ごくわずかに製膜時にn型半導体層中に混入することを示している。ただし、該プラズマCVD装置は超高真空装置であるので、上記比較例1が、n型半導体層中の不純物窒素量が最も少ないものとして、他の実施例または比較例と比較することとする。
以上の考察によれば、本発明は、特に、n型半導体層中の窒素濃度0.001〜10原子%の範囲において、n型半導体層のワイドバンドギャップ化、結晶粒界やi/n層界面のパッシベーション効果等により、開放電圧が増加し光電変換効率の高い光電変換装置を得ることができると考えられる。
以上の考察によれば、第2のn型半導体層中の窒素濃度が4〜10原子%の範囲においては、窒素を添加しない第1のn型半導体層を形成することによりi/n層界面再結合を低減し形状因子が向上するとともに、開放電圧、および短絡電流密度が増加し光電変換効率をさらに向上させることができると考えられる。
以上の考察によれば、n型半導体層中窒素濃度0.01〜10原子%の範囲において、上述した開放電圧の向上に加えて、n型半導体層の光透過率の向上により短絡電流密度が増加するので、より光電変換効率の高い光電変換装置を得ることができると考えられる。
次に、実施例6および12の比較結果について考察する。実施例12は、n型半導体層製膜時の水素希釈量が少ないため、窒素添加されたアモルファスシリコンn型半導体層となっているのに対し、実施例6は、水素希釈量が多く、窒素添加された微結晶シリコンn型半導体層となっている点が異なっている。このことは、実施例6および12のn型半導体層単層のラマン散乱スペクトルを測定したところ、実施例6のn型半導体層中には結晶シリコン相の存在を示す520cm-1付近のピークが観測されたが、実施例12のn型半導体層中には該ピークが観測されなかったことから確認できた。
実施例12は表1に示したように形状因子が0.681であるのに対し、実施例6の形状因子は0.720であり、特に形状因子が大きく向上した。したがって、n型半導体層を結晶シリコンを含む層とすることで、電気伝導性が向上し、光電変換装置の直列抵抗損失が低減されることで、開放電圧、短絡電流密度および形状因子が増加し、高い光電変換効率を得ることができたと考えられる。
本実施例13〜15では、p型半導体層12以外は全て実施例6と同条件で、以下のようにスーパーストレート型光電変換装置100を作製した。
p型半導体層12は、原料ガスとして、SiH4、H2、B2H6、N2及びCH4を用い、H2/SiH4ガス流量比は150倍とし、B2H6/SiH4ガス流量比、CH4/SiH4ガス流量比、N2/SiH4流量比は表2に示したとおりである。それ以外の条件は、全て実施例6と同条件で作製した。よって、実施例13〜15のn型半導体層14の窒素濃度は2原子%である。このときのp型半導体層12の膜中炭素濃度および膜中窒素濃度は表2に示した。
実施例6および実施例13〜15の比較結果について考察する。実施例13〜15では実施例6よりも高い開放電圧、短絡電流密度が得られており、このため、より高い光電変換効率が得られている。実施例13および14の通り、p型半導体層12が炭素原子または窒素原子を含有することにより短絡電流が増加する理由としては、p型半導体層12が上記不純物原子を含むことによって、バンドギャップが増大し、光透過率が向上したためと考えられる。
以上より、p型半導体層12に、炭素含有p型半導体層、または窒素含有p型半導体層を用いた場合には、光電変換装置100の光電変換効率がさらに向上するので好ましい。
また、実施例15の通り、p型半導体層12に不純物として炭素原子と窒素原子の両方が含まれている場合には、炭素原子もしくは窒素原子を片方しか含まない場合よりも、さらに開放電圧、短絡電流密度が向上することにより光電変換効率が向上した。
本実施例16では、図2に示すスーパーストレート型積層型光電変換装置を以下のように作製した。
基板11としては、上記実施例1〜15で使用したものと同一の、表面に透明導電膜が形成された白板ガラスを使用した。この基板11上に、50nmの酸化亜鉛層をマグネトロンスパッタリング法により形成したのち、プラズマCVD法により後述の条件で第1の光電変換層10をp型半導体層12、i型半導体層13、n型半導体層14の順に堆積した。その上にさらに後述の条件で第2の光電変換層20をp型半導体層22、i型半導体層23、n型半導体層24の順に堆積させたのち、マグネトロンスパッタリング法により透明導電層15として膜厚50nmの酸化亜鉛層を、電極16として膜厚500nmの銀層を堆積させて、スーパーストレート型積層型光電変換装置200を得た。
p型半導体層12の膜厚は15nmとした。
i型半導体層13は、原料ガスとしてSiH4およびH2を用いた。H2/SiH4ガス流量比は20倍、膜厚300nmとなるように形成した。
n型半導体層14は、原料ガスとしてSiH4、H2、およびPH3を用いた。H2/SiH4ガス流量比は5倍とし、PH3/SiH4ガス流量比は、膜中リン濃度が0.01原子%となるように調節した。n型半導体層14の膜厚は20nmとした。
なお、各半導体層12、13、14のプラズマCVDによる形成時において、製膜時の基板温度を全て200℃とした。
第2の光電変換層20のp型半導体層22、i型半導体層23およびn型半導体層24の製膜条件および膜厚は、それぞれ実施例6のp型半導体層12、i型半導体層13およびn型半導体層14と同一とした。したがって、n型半導体層24の膜中窒素濃度は2原子%である。
このようにして得られた実施例16の光電変換装置について、上記実施例と同様に、AM1.5(100mW/cm2)照射条件下におけるセル面積1cm2の電流−電圧特性を測定し、結果を表3に示した。
n型半導体層14以外は全て実施例16と同条件で、スーパーストレート型積層型光電変換装置200を作製した。本実施例においては、第1、第2の光電変換層10、20の各n型半導体層14、24の形成時にN2ガスを使用した。n型半導体層14の形成時の
H2/SiH4ガス流量比は5倍、PH3/SiH4ガス流量比は膜中リン濃度が0.01原子%となるように調節し、N2/SiH4ガス流量比は、膜中窒素濃度が2原子%となるように調節した。
このようにして得られた実施例17の光電変換装置について、上記実施例と同様に、AM1.5(100mW/cm2)照射条件下におけるセル面積1cm2の電流−電圧特性を測定し、結果を表3に示した。
n型半導体層24以外は全て実施例16と同条件で、スーパーストレート型積層型光電変換装置200を作製した。本比較例3においては、第1、第2の光電変換層10、22の各n型半導体層14、24の形成時にはN2ガスを使用しなかった。n型半導体層24の形成時のH2/SiH4ガス流量比は20倍、PH3/SiH4ガス流量比は膜中リン濃度が0.01原子%となるように調節した。
上記実施例と同様に、AM1.5(100mW/cm2)照射条件下におけるセル面積1cm2の電流−電圧特性を測定し、結果を表3に示した。
以下、実施例16、17および比較例3の比較結果に関して、表3に基づいて考察する。
第1、第2の光電変換層のn型半導体層がともに窒素原子をほとんど含有しない比較例3と比べて、第2の光電変換層のn型半導体層が2原子%の窒素原子を含有する実施例16は、開放電圧および短絡電流密度が大きく、高い変換効率が得られた。これは、第2の光電変換層20において、実施例2〜8と同様の開放電圧向上効果および、実施例3〜8と同様の短絡電流密度向上効果が得られたためであると考えられる。
さらに、第1、第2の光電変換層のn型半導体層がともに2原子%の窒素原子を含有する実施例17は、第2の光電変換層に加えて第1の光電変換層も開放電圧および短絡電流密度向上効果が得られるため、実施例16より高い変換効率が得られた。
以上の考察によれば、積層型光電変換装置において少なくとも一つのn型半導体層に本発明を適用すれば、上記単層型光電変換装置と同様に開放電圧および短絡電流密度の増加により光電変換効率が向上させることができる。
11 基板
11a 透光性基板
11b 透明導電層
12、22 p型半導体層
13、23 i型半導体層
14、24 n型半導体層
15 透明導電層
16 電極
100 スーパーストレート型光電変換装置
200 スーパーストレート型積層型光電変換装置
Claims (11)
- p型半導体層、i型半導体層およびシリコン原子を少なくとも含有するn型半導体層を積層して構成される1つ以上のpin型光電変換層を有し、かつ、前記1つ以上のpin型光電変換層における少なくとも1つの前記n型半導体層が窒素原子を含有し、
n型半導体層が、結晶シリコン相を有する第1のn型半導体層と、窒素原子を4〜10原子%の濃度で含有する第2のn型半導体層を有してなることを特徴とする光電変換装置。 - 窒素原子を含有するn型半導体層が、シリコン原子を結晶シリコン相として含有する請求項1に記載の光電変換装置。
- 窒素原子を含有するn型半導体層において、結晶化率が3以上である請求項2に記載の光電変換装置。
- i型半導体層が、シリコン原子を結晶シリコン相として含有する請求項1〜3の何れか1つに記載の光電変換装置。
- p型半導体層は、炭素原子および/または窒素原子を含有する請求項1〜4の何れか1つに記載の光電変換装置。
- pin型光電変換層が2つ以上備えられた請求項1〜5の何れか1つに記載の光電変換装置。
- 2つ以上のpin型光電変換層の間に透光性導電膜を有する請求項6に記載の光電変換装置。
- 基板上に導電膜を介してp型半導体層、i型半導体層およびn型半導体層を備えた光電変換層を1つ以上形成する工程を有し、
n型半導体層を形成する工程が、シリコン原子およびn型導電性元素を含む原料ガスを用いて第1のn型半導体層を形成する工程と、シリコン原子、n型導電性元素および窒素原子を含む原料ガスを用いて窒素原子を4〜10原子%の濃度で含有する第2のn型半導体層を形成する工程とを含むことを特徴とする光電変換装置の製造方法。 - 窒素原子を含有する第2のn型半導体層を形成するための原料ガスがN 2 を含む請求項8に記載の光電変換装置の製造方法。
- 窒素原子を含有する第2のn型半導体層を形成するための原料ガスがN2及びSiH4を含み、N2/SiH4のガス流量比を0.0002〜2の範囲に制御する請求項8または9に記載の光電変換装置の製造方法。
- 窒素原子を含有する第2のn型半導体層を形成するための原料ガスがPH3をさらに含み、PH3/SiH4のガス流量比を0.0125〜0.025の範囲に制御する請求項10に記載の光電変換装置の製造方法。
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