JP2001164428A - 繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方法 - Google Patents
繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方法Info
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- JP2001164428A JP2001164428A JP35286899A JP35286899A JP2001164428A JP 2001164428 A JP2001164428 A JP 2001164428A JP 35286899 A JP35286899 A JP 35286899A JP 35286899 A JP35286899 A JP 35286899A JP 2001164428 A JP2001164428 A JP 2001164428A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 繊維表面に凹凸を有し、優れた柞蚕調のキシ
ミ感を呈する織編物等を得るのに適したポリエステル系
複合繊維の新規な製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリメチルメタクリレート樹脂等を20
〜50重量%含有するポリエステル組成物と、該系樹脂
を含有しないポリエステルとを、複合重量比3:97〜
40:60、紡糸速度3500m/分以下で溶融紡糸
し、次いで、得られた未延伸糸を延伸温度55〜95℃
で最大延伸倍率の0.62〜0.91倍に延伸する。
ミ感を呈する織編物等を得るのに適したポリエステル系
複合繊維の新規な製造方法を提供する。 【解決手段】 ポリメチルメタクリレート樹脂等を20
〜50重量%含有するポリエステル組成物と、該系樹脂
を含有しないポリエステルとを、複合重量比3:97〜
40:60、紡糸速度3500m/分以下で溶融紡糸
し、次いで、得られた未延伸糸を延伸温度55〜95℃
で最大延伸倍率の0.62〜0.91倍に延伸する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維表面に凹凸を
有し、優れた柞蚕調のキシミ感を呈する織編物等の繊維
製品を得るのに適したポリエステル系複合繊維の製造方
法に関する。
有し、優れた柞蚕調のキシミ感を呈する織編物等の繊維
製品を得るのに適したポリエステル系複合繊維の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、その優れた繊維特
性により衣料用、インテリア用、産業用等の様々な用途
に用いられている。しかし、その高い均質性のため、衣
料用途に適用する場合には自然なランダム性に乏しく、
ファッション性、審美性は豊かなものとはいえなかっ
た。また、繊維表面が平坦なことから、風合いも硬く冷
たいものとなりやすく、着心地は天然繊維に比べて劣っ
ていた。
性により衣料用、インテリア用、産業用等の様々な用途
に用いられている。しかし、その高い均質性のため、衣
料用途に適用する場合には自然なランダム性に乏しく、
ファッション性、審美性は豊かなものとはいえなかっ
た。また、繊維表面が平坦なことから、風合いも硬く冷
たいものとなりやすく、着心地は天然繊維に比べて劣っ
ていた。
【0003】このような欠点を改良し、新規な風合を賦
与して製品の付加価値を高めるべく、ポリマー、紡糸、
延伸などの各段階で種々の提案がなされている。例え
ば、ポリマーへの粒状物添加による繊維表面への凹凸形
成(特開平3−124852号公報)、芯鞘複合繊維を
紡糸する際に芯部と鞘部のポリマーに溶融粘度差をつけ
て芯部ポリマーの吐出に脈動を発生させることによる太
細斑の形成(特開平8−188925号公報)、芯鞘複
合繊維における芯部ポリマーの間歇的欠落による太細斑
の形成(特公昭43−23879号公報、特開昭50−
157617号公報)、不均一延伸による太細斑の形成
(特開平9−209228号公報)、有機スルホン酸金
属塩を配合したポリエステル繊維をアルカリ減量処理す
ることによる繊維表面への筋状微細孔形成(特開昭56
−20638号公報)などが提案されており、これらは
繊維表面の凹凸や繊維の太細斑形成による風合の改良を
狙ったものである。確かにこれらの方法によれば、従来
の繊維よりも変化に富んだ種々の繊維が得られ、絹や羊
毛などの天然繊維に似た風合だけでなく、それらにない
新規な風合を発現させることが可能となった。しかしな
がら、天然繊維の中で最もきしみ感の強い、柞蚕絹の粗
野なキシミ感を満足できる程度に再現したものは未だ提
案されていないのが実情である。
与して製品の付加価値を高めるべく、ポリマー、紡糸、
延伸などの各段階で種々の提案がなされている。例え
ば、ポリマーへの粒状物添加による繊維表面への凹凸形
成(特開平3−124852号公報)、芯鞘複合繊維を
紡糸する際に芯部と鞘部のポリマーに溶融粘度差をつけ
て芯部ポリマーの吐出に脈動を発生させることによる太
細斑の形成(特開平8−188925号公報)、芯鞘複
合繊維における芯部ポリマーの間歇的欠落による太細斑
の形成(特公昭43−23879号公報、特開昭50−
157617号公報)、不均一延伸による太細斑の形成
(特開平9−209228号公報)、有機スルホン酸金
属塩を配合したポリエステル繊維をアルカリ減量処理す
ることによる繊維表面への筋状微細孔形成(特開昭56
−20638号公報)などが提案されており、これらは
繊維表面の凹凸や繊維の太細斑形成による風合の改良を
狙ったものである。確かにこれらの方法によれば、従来
の繊維よりも変化に富んだ種々の繊維が得られ、絹や羊
毛などの天然繊維に似た風合だけでなく、それらにない
新規な風合を発現させることが可能となった。しかしな
がら、天然繊維の中で最もきしみ感の強い、柞蚕絹の粗
野なキシミ感を満足できる程度に再現したものは未だ提
案されていないのが実情である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を鑑みなされたもので、その目的は、繊維表面に凹凸
を有し、優れた柞蚕調のキシミ感を呈する織編物等の繊
維製品を得るのに適したポリエステル系複合繊維の新規
な製造方法を提供することにある。
術を鑑みなされたもので、その目的は、繊維表面に凹凸
を有し、優れた柞蚕調のキシミ感を呈する織編物等の繊
維製品を得るのに適したポリエステル系複合繊維の新規
な製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、上記本発明の目的は、「ポリ(メタ)アクリレート
系樹脂を20〜50重量%含有するポリエステル組成物
を一方成分Aとし、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を
実質的に含有しないポリエステルを他方成分Bとして、
複合重量比(A:B)が3:97〜40:60となるよ
うに複合溶融紡糸し、3500m/分以下の速度で引取
った後、得られた未延伸糸を延伸温度55〜95℃で最
大延伸倍率の0.62〜0.91倍に延伸することを特
徴とする繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方
法。」により達成できることが見出された。
ば、上記本発明の目的は、「ポリ(メタ)アクリレート
系樹脂を20〜50重量%含有するポリエステル組成物
を一方成分Aとし、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を
実質的に含有しないポリエステルを他方成分Bとして、
複合重量比(A:B)が3:97〜40:60となるよ
うに複合溶融紡糸し、3500m/分以下の速度で引取
った後、得られた未延伸糸を延伸温度55〜95℃で最
大延伸倍率の0.62〜0.91倍に延伸することを特
徴とする繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方
法。」により達成できることが見出された。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明で用いられるポリエステル
は、エチレンテレフタレート単位を繰返し単位とするポ
リエチレンテレフタレートを主たる対象とするが、必要
に応じて第3成分を少量(通常は全繰返し単位を基準と
して15モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に
好ましくは5モル%以下)共重合した共重合ポリエステ
ルでもよく、また、艶消し剤、顔料、染料、防汚剤、蛍
光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、制電剤など
の添加剤を加えてもよい。
て詳細に説明する。本発明で用いられるポリエステル
は、エチレンテレフタレート単位を繰返し単位とするポ
リエチレンテレフタレートを主たる対象とするが、必要
に応じて第3成分を少量(通常は全繰返し単位を基準と
して15モル%以下、好ましくは10モル%以下、特に
好ましくは5モル%以下)共重合した共重合ポリエステ
ルでもよく、また、艶消し剤、顔料、染料、防汚剤、蛍
光増白剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、制電剤など
の添加剤を加えてもよい。
【0007】かかるポリエステルの固有粘度IV(35
℃のo−クロロフェノール溶液を使用して測定)は、通
常の織物用途に使用する場合には0.50〜0.70の
範囲が適当であり、特に0.55〜0.65の範囲が好
ましい。
℃のo−クロロフェノール溶液を使用して測定)は、通
常の織物用途に使用する場合には0.50〜0.70の
範囲が適当であり、特に0.55〜0.65の範囲が好
ましい。
【0008】本発明においては、かかるポリエステルに
ポリ(メタ)アクリレート樹脂を20〜50重量%(組
成物重量を基準として)、好ましくは25〜40重量%
含有するポリエステル組成物を一方成分Aとし、ポリ
(メタ)アクリレート樹脂を実質的に含有しないポリエ
ステルを他方成分Bとして複合溶融紡糸する。ここで一
方成分A中のポリ(メタ)アクリレート樹脂の含有量が
20重量%未満の場合には得られる繊維表面に十分な凹
凸を形成できなくなり、逆に50重量%を超える場合に
は紡糸時の工程安定性が低下して安定に溶融紡糸するこ
とができなくなるので好ましくない。なお、成分A中の
ポリエステルと成分B中のポリエステルとは必ずしも同
一である必要はなく、必要に応じて適宜上述から選択し
て組合せればよいが、同一の場合、両成分間の接着性が
向上するため後述する延伸時に両成分間の剥離が発生し
難くなるのでより好ましい。また、他方成分B中にポリ
(メタ)アクリレート樹脂を実質的に含まないとは、本
発明の目的を阻害しない範囲内であれば少量含有してい
てもよいことをいうが、含有していないのが最も好まし
い。
ポリ(メタ)アクリレート樹脂を20〜50重量%(組
成物重量を基準として)、好ましくは25〜40重量%
含有するポリエステル組成物を一方成分Aとし、ポリ
(メタ)アクリレート樹脂を実質的に含有しないポリエ
ステルを他方成分Bとして複合溶融紡糸する。ここで一
方成分A中のポリ(メタ)アクリレート樹脂の含有量が
20重量%未満の場合には得られる繊維表面に十分な凹
凸を形成できなくなり、逆に50重量%を超える場合に
は紡糸時の工程安定性が低下して安定に溶融紡糸するこ
とができなくなるので好ましくない。なお、成分A中の
ポリエステルと成分B中のポリエステルとは必ずしも同
一である必要はなく、必要に応じて適宜上述から選択し
て組合せればよいが、同一の場合、両成分間の接着性が
向上するため後述する延伸時に両成分間の剥離が発生し
難くなるのでより好ましい。また、他方成分B中にポリ
(メタ)アクリレート樹脂を実質的に含まないとは、本
発明の目的を阻害しない範囲内であれば少量含有してい
てもよいことをいうが、含有していないのが最も好まし
い。
【0009】ここで用いられるポリ(メタ)アクリレー
ト樹脂とは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エ
ステルを主たるモノマーとする重合体であって、エチレ
ン、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物を少量共
重合成分として含有するものであってもよい。なかで
も、ポリメチルメタクリレートが繊維表面に形成される
凹凸の形状およびその発生頻度の観点からより好まし
い。
ト樹脂とは、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エ
ステルを主たるモノマーとする重合体であって、エチレ
ン、スチレン、酢酸ビニルなどのビニル化合物を少量共
重合成分として含有するものであってもよい。なかで
も、ポリメチルメタクリレートが繊維表面に形成される
凹凸の形状およびその発生頻度の観点からより好まし
い。
【0010】次に、成分AとBとの複合重量比(A:
B)は、3:97〜40:60の範囲、特に5:95〜
20:80の範囲が適当である。成分Aの割合が3重量
%(両者の重量を基準として)未満の場合には、紡糸時
の吐出斑が発生しやすくなって紡糸安定性が低下するだ
けでなく、繊維表面に形成される凹凸の頻度が低下し、
その形状も不十分となって本発明の目的を達成できなく
なるので好ましくない。一方40重量%を超える場合に
は、紡糸時の曵糸性が低下するだけでなく延伸時に断糸
も発生しやすくなって安定に製糸することが困難になる
ので好ましくない。
B)は、3:97〜40:60の範囲、特に5:95〜
20:80の範囲が適当である。成分Aの割合が3重量
%(両者の重量を基準として)未満の場合には、紡糸時
の吐出斑が発生しやすくなって紡糸安定性が低下するだ
けでなく、繊維表面に形成される凹凸の頻度が低下し、
その形状も不十分となって本発明の目的を達成できなく
なるので好ましくない。一方40重量%を超える場合に
は、紡糸時の曵糸性が低下するだけでなく延伸時に断糸
も発生しやすくなって安定に製糸することが困難になる
ので好ましくない。
【0011】成分AとBとの複合形状は任意であるが、
成分Aが繊維表面に露出している方が得られる複合繊維
表面に形成される凹凸形状が良好で柞蚕調のキシミ感が
向上するので好ましい。特に未延伸糸の横断面形状にお
いて成分Aが横断面外周部の30%以上、なかでも10
0%(芯鞘型複合形状)を占めるものが好ましい。
成分Aが繊維表面に露出している方が得られる複合繊維
表面に形成される凹凸形状が良好で柞蚕調のキシミ感が
向上するので好ましい。特に未延伸糸の横断面形状にお
いて成分Aが横断面外周部の30%以上、なかでも10
0%(芯鞘型複合形状)を占めるものが好ましい。
【0012】本発明においては、上記の割合で複合溶融
紡糸された糸条は3500m/分以下、好ましくは25
00m/分以下の速度で引取って未延伸糸を得る。ここ
で引取速度が3500m/分を超える場合には曵糸性が
低下して断糸が発生しやすくなるだけでなく、次工程の
延伸工程における延伸倍率を十分に取ることが困難にな
って繊維表面に形成される凹凸が不十分になるので好ま
しくない。引取速度の下限は特に限定されないが、生産
性の観点からは300m/分以上、特に500m/分以
上が好ましい。
紡糸された糸条は3500m/分以下、好ましくは25
00m/分以下の速度で引取って未延伸糸を得る。ここ
で引取速度が3500m/分を超える場合には曵糸性が
低下して断糸が発生しやすくなるだけでなく、次工程の
延伸工程における延伸倍率を十分に取ることが困難にな
って繊維表面に形成される凹凸が不十分になるので好ま
しくない。引取速度の下限は特に限定されないが、生産
性の観点からは300m/分以上、特に500m/分以
上が好ましい。
【0013】以上の如くして得られた未延伸糸は、巻き
取った後に別工程で、または一旦巻き取ることなく連続
して延伸する。ここで延伸条件は繊維表面に凹凸を形成
する上では重要で、延伸温度は延伸直前の糸の温度で5
5〜95℃、特に65〜85℃の範囲とする必要があ
り、また延伸倍率は最大延伸倍率の0.62〜0.91
倍、特に0.77〜0.87倍の範囲とする必要があ
る。延伸温度が55℃未満の場合には得られる延伸糸の
収縮率が高くなったり断糸が発生しやすくなり、一方9
5℃を超える場合には融着による断糸が発生したり繊維
表面に凹凸を形成することが困難になるので好ましくな
い。また、延伸倍率が最大延伸倍率の0.62倍未満の
場合には繊維表面に凹凸を形成することが困難になり、
一方0.91倍を超える場合には断糸が頻発するように
なるので好ましくない。
取った後に別工程で、または一旦巻き取ることなく連続
して延伸する。ここで延伸条件は繊維表面に凹凸を形成
する上では重要で、延伸温度は延伸直前の糸の温度で5
5〜95℃、特に65〜85℃の範囲とする必要があ
り、また延伸倍率は最大延伸倍率の0.62〜0.91
倍、特に0.77〜0.87倍の範囲とする必要があ
る。延伸温度が55℃未満の場合には得られる延伸糸の
収縮率が高くなったり断糸が発生しやすくなり、一方9
5℃を超える場合には融着による断糸が発生したり繊維
表面に凹凸を形成することが困難になるので好ましくな
い。また、延伸倍率が最大延伸倍率の0.62倍未満の
場合には繊維表面に凹凸を形成することが困難になり、
一方0.91倍を超える場合には断糸が頻発するように
なるので好ましくない。
【0014】
【作用】本発明の方法により繊維表面に凹凸が形成され
る要因については、未だその理論的究明には至っていな
いが次のように推定される。すなわち、ポリ(メタ)ア
クリレート樹脂を配合した成分Aの方はその延伸性が著
しく低下している。したがって、延伸倍率が大きくなる
と成分Aの方は切断されながら延伸されることになるわ
けであるが、その際、成分AとBとの間の親和性とこれ
らの機械的強度によって成分A切断の仕方が異なってく
るのである。両成分間の親和性が低い場合には両者の間
に剥離が生じて成分B芯のみが延伸されることになり、
成分Aは長い周期で切断されて成分Bの周囲にまとわり
つく形態になる。一方、両成分間の親和性が高くかつ成
分Aの機械的強度が高い場合には、成分Aが切断される
時に成分Bも同時に切断されやすくなって延伸工程の安
定性が低下するのである。これに対して、本発明では、
両成分の主構成ポリマーが同じポリエステルであるため
親和性が高く、しかも成分A中にはポリ(メタ)アクリ
レート樹脂を20〜50重量%含有しているので延伸性
が低下していると共に機械的強度も低下しており、一方
成分Bは実質的にポリ(メタ)アクリレート樹脂を含有
していないのでその延伸性が低下していない。その結
果、延伸時に成分Aのみが極めて短い周期で切断され、
しかも該切断された成分Aは延伸された成分Bに強固に
接着しているため、得られる複合繊維表面に耐摩耗性の
高い微細な凹凸が形成され、極めて良好なキシミ感を呈
するようになるものと推定される。
る要因については、未だその理論的究明には至っていな
いが次のように推定される。すなわち、ポリ(メタ)ア
クリレート樹脂を配合した成分Aの方はその延伸性が著
しく低下している。したがって、延伸倍率が大きくなる
と成分Aの方は切断されながら延伸されることになるわ
けであるが、その際、成分AとBとの間の親和性とこれ
らの機械的強度によって成分A切断の仕方が異なってく
るのである。両成分間の親和性が低い場合には両者の間
に剥離が生じて成分B芯のみが延伸されることになり、
成分Aは長い周期で切断されて成分Bの周囲にまとわり
つく形態になる。一方、両成分間の親和性が高くかつ成
分Aの機械的強度が高い場合には、成分Aが切断される
時に成分Bも同時に切断されやすくなって延伸工程の安
定性が低下するのである。これに対して、本発明では、
両成分の主構成ポリマーが同じポリエステルであるため
親和性が高く、しかも成分A中にはポリ(メタ)アクリ
レート樹脂を20〜50重量%含有しているので延伸性
が低下していると共に機械的強度も低下しており、一方
成分Bは実質的にポリ(メタ)アクリレート樹脂を含有
していないのでその延伸性が低下していない。その結
果、延伸時に成分Aのみが極めて短い周期で切断され、
しかも該切断された成分Aは延伸された成分Bに強固に
接着しているため、得られる複合繊維表面に耐摩耗性の
高い微細な凹凸が形成され、極めて良好なキシミ感を呈
するようになるものと推定される。
【0015】
【実施例】以下、実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。なお、実施例、比較例における紡糸工程調
子、延伸工程調子、繊維表面凹凸、キシミ感などの特性
は下記にしたがって評価した。
に説明する。なお、実施例、比較例における紡糸工程調
子、延伸工程調子、繊維表面凹凸、キシミ感などの特性
は下記にしたがって評価した。
【0016】<紡糸工程調子>連続紡糸した時の1錘当
たりの断糸回数で判定する。 ○:断糸0.02回/日・錘以下、 △:断糸0.02回/日・錘超〜0.1回/日・錘以下 ×:断糸0.1回/日・錘超、
たりの断糸回数で判定する。 ○:断糸0.02回/日・錘以下、 △:断糸0.02回/日・錘超〜0.1回/日・錘以下 ×:断糸0.1回/日・錘超、
【0017】<延伸工程調子>連続延伸した時の1錘当
たりの製品毛羽発生回数で判定する。 ○:毛羽0.05回/日・錘以下 △:毛羽0.05回/日・錘超〜0.25回/日・錘以
下 ×:毛羽0.25回/日・錘超
たりの製品毛羽発生回数で判定する。 ○:毛羽0.05回/日・錘以下 △:毛羽0.05回/日・錘超〜0.25回/日・錘以
下 ×:毛羽0.25回/日・錘超
【0018】<繊維表面凹凸>延伸後の繊維表面の形状
を光学顕微鏡で600倍に拡大して観察し、凹凸の有無
で判定する。 ○:全繊維の表面に凹凸が見られる △:一部の繊維の表面に凹凸が見られるが、一部には見
られない ×:全繊維の表面に凹凸が見られない
を光学顕微鏡で600倍に拡大して観察し、凹凸の有無
で判定する。 ○:全繊維の表面に凹凸が見られる △:一部の繊維の表面に凹凸が見られるが、一部には見
られない ×:全繊維の表面に凹凸が見られない
【0019】<キシミ感>太さが約78dtexで構成
本数36filの試料糸を経緯とも64本/25.4m
m(1インチ)の密度で平織にし、同条件の柞蚕糸の織
物及び通常のポリエチレンテレフタレート丸断面糸の織
物を比較として手触りで風合いを評価した。キシミ感の
判定は下記の基準による。 ◎:柞蚕より大 ○:柞蚕並み △:柞蚕より弱いが、レギュラーより強い ×:レギュラー並み
本数36filの試料糸を経緯とも64本/25.4m
m(1インチ)の密度で平織にし、同条件の柞蚕糸の織
物及び通常のポリエチレンテレフタレート丸断面糸の織
物を比較として手触りで風合いを評価した。キシミ感の
判定は下記の基準による。 ◎:柞蚕より大 ○:柞蚕並み △:柞蚕より弱いが、レギュラーより強い ×:レギュラー並み
【0020】[実施例1〜5]孔数36の芯鞘型複合繊
維用紡糸口金を用い、一方成分Aとして表1に示すポリ
メチルメタクリレート(PMMA)含有ポリエステル組
成物を鞘側に配し、また他方成分Bとして固有粘度が
0.64のポリエチレンテレフタレート(PET)を芯
側に配して溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化した後に
油剤を付与し、次いで1000m/分の速度で引取って
最大延伸倍率4.88の複合未延伸糸を得た。なお、こ
の際の複合重量比(A/B)は、表1記載のとおりに調
整した。
維用紡糸口金を用い、一方成分Aとして表1に示すポリ
メチルメタクリレート(PMMA)含有ポリエステル組
成物を鞘側に配し、また他方成分Bとして固有粘度が
0.64のポリエチレンテレフタレート(PET)を芯
側に配して溶融吐出し、該吐出糸条を冷却固化した後に
油剤を付与し、次いで1000m/分の速度で引取って
最大延伸倍率4.88の複合未延伸糸を得た。なお、こ
の際の複合重量比(A/B)は、表1記載のとおりに調
整した。
【0021】得られた未延伸糸は、延伸温度75℃、倍
率3.90倍(最大延伸倍率の0.80倍)で延伸し
た。得られた延伸糸の評価結果を表1にまとめて示す。
率3.90倍(最大延伸倍率の0.80倍)で延伸し
た。得られた延伸糸の評価結果を表1にまとめて示す。
【0022】
【表1】
【0023】[比較例1〜4]成分A中のポリメチルメ
タクリレートの割合、および成分AとBとの複合重量比
(A/B)を表2に記載の如く変更する以外は実施例1
と同様に紡糸延伸した。結果を表2にまとめて示す。
タクリレートの割合、および成分AとBとの複合重量比
(A/B)を表2に記載の如く変更する以外は実施例1
と同様に紡糸延伸した。結果を表2にまとめて示す。
【0024】
【表2】
【0025】[比較例5〜9]紡糸速度、延伸温度およ
び延伸倍率を表3に記載の如く変更する以外は実施例1
と同様に紡糸延伸した。結果を表3にまとめて示す。
び延伸倍率を表3に記載の如く変更する以外は実施例1
と同様に紡糸延伸した。結果を表3にまとめて示す。
【0026】
【表3】
【0027】
【発明の効果】以上に説明した本発明の製造方法によれ
ば、複合繊維表面に従来のものとは異なった形状の凹凸
を形成することができるので、該繊維から得られる織編
物等の繊維製品は、その表面構造によって天然柞蚕をも
凌ぐ極めて強いキシミ感を呈し、それにより快適な着心
地感が得られる。
ば、複合繊維表面に従来のものとは異なった形状の凹凸
を形成することができるので、該繊維から得られる織編
物等の繊維製品は、その表面構造によって天然柞蚕をも
凌ぐ極めて強いキシミ感を呈し、それにより快適な着心
地感が得られる。
【図1】実施例1で得られた延伸糸の表面形状を示す模
式図である。
式図である。
【図2】比較例1で得られた延伸糸の表面形状を示す模
式図である。
式図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を20
〜50重量%含有するポリエステル組成物を一方成分A
とし、ポリ(メタ)アクリレート系樹脂を実質的に含有
しないポリエステルを他方成分Bとして、複合重量比
(A:B)が3:97〜40:60となるように複合溶
融紡糸し、3500m/分以下の速度で引取った後、得
られた未延伸糸を延伸温度55〜95℃で最大延伸倍率
の0.62〜0.91倍に延伸することを特徴とする繊
維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方法。 - 【請求項2】 未延伸糸の繊維横断面形状が、該成分A
が繊維横断面外周部の30%以上を占める形状である請
求項1記載の繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方
法。 - 【請求項3】 未延伸糸の繊維横断面形状が、芯鞘型複
合形状である請求項2記載の繊維表面に凹凸を有する複
合繊維の製造方法。 - 【請求項4】ポリ(メタ)アクリレート系樹脂が、ポリ
メチルメタクリレートである請求項1〜3のいずれか1
項に記載の繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方
法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35286899A JP2001164428A (ja) | 1999-12-13 | 1999-12-13 | 繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP35286899A JP2001164428A (ja) | 1999-12-13 | 1999-12-13 | 繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001164428A true JP2001164428A (ja) | 2001-06-19 |
Family
ID=18427005
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP35286899A Pending JP2001164428A (ja) | 1999-12-13 | 1999-12-13 | 繊維表面に凹凸を有する複合繊維の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2001164428A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9810986B2 (en) | 2015-06-04 | 2017-11-07 | Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. | Method for producing a fiber having a pattern on a surface thereof |
US9810985B2 (en) | 2015-06-04 | 2017-11-07 | Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. | Method for producing a fiber having a pattern on the surface thereof |
-
1999
- 1999-12-13 JP JP35286899A patent/JP2001164428A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US9810986B2 (en) | 2015-06-04 | 2017-11-07 | Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. | Method for producing a fiber having a pattern on a surface thereof |
US9810985B2 (en) | 2015-06-04 | 2017-11-07 | Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. | Method for producing a fiber having a pattern on the surface thereof |
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