JP2001164156A - 水性分散体及びインクジェット記録用水性インク - Google Patents

水性分散体及びインクジェット記録用水性インク

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JP2001164156A
JP2001164156A JP34747799A JP34747799A JP2001164156A JP 2001164156 A JP2001164156 A JP 2001164156A JP 34747799 A JP34747799 A JP 34747799A JP 34747799 A JP34747799 A JP 34747799A JP 2001164156 A JP2001164156 A JP 2001164156A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色材を含有する分散安定性に優れた水性分
散体を提供し、滲みのない高解像度、高濃度の均一な画
像を提供可能で、ノズル先端の目詰まりが発生せず、紙
上における乾燥性、吐出応答性、吐出安定性、画像の堅
牢性、長期保存安定性が良好なインクジェット記録用水
性インクを提供すること。 【解決手段】 (1)(1-1) エチレン性不飽和結合及び
アニオン性基を有する単量体(A-1) 及び(1-2) 単量体(A
-1) 以外の単量体であって、単量体(A-1) と共重合可能
なエチレン性不飽和結合を有する単量体(A-2) からなる
セグメント(A) であって、当該セグメント(A) を構成す
る全単量体中の親水性単量体の割合が20〜60モル%の範
囲にあるセグメント(A) 及び(2)エチレン性不飽和結
合及び芳香族基を有する単量体(B-1) からなるセグメン
ト(B) からなるグラフト共重合体の存在下に、着色材を
水性媒体中に分散させた水性分散体。該水性分散体から
なるインクジェット記録用水性インク。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、インクジェット記
録用水性インクの如き水性記録材料に有用な水性分散体
に関し、更に詳しくは、分散剤の存在下に着色材を水性
媒体中に分散させた水性分散体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録方式の原理は、ノズ
ル、スリット、多孔質フィルム等から、液体又は溶融固
体インクを吐出させ、被記録媒体上に記録を行なうもの
である。インクの吐出方法としては、静電誘引力を利用
してインクを吐出させる電界制御方式;ピエゾ素子の振
動圧力を利用してインクを吐出させる圧力パルス方式;
高熱によって気泡を形成、成長させることによって生じ
る圧力を利用してインクを吐出させる熱ジェット方式;
ノズルの後からポンプで圧力を加え、同時にピエゾ素子
で高周波の振動を加えてインクを粒子化し、その後イン
ク液滴に帯電電極で電荷を与え、さらに制御電極で帯電
したインク液滴をコントロールする荷電制御方式;高電
圧印加状態のインク中にスパークを生じさせ、その爆発
力でインクを吐出させるスパークジェット方式等の各種
インクジェット記録方式が提案されており、これらの方
式により、極めて高精細の画像を得ることができる。
【0003】インクジェット記録に用いられるインクに
必要な特性としては、(1)記録媒体上に滲みの無い高
解像度、高濃度で均一な画像が得られること、(2)ノ
ズル先端において、インクの乾燥による目詰まりが発生
せず吐出安定性が良好であること、(3)記録媒体上で
のインクの乾燥性が良好であること、(4)画像の堅牢
性が良好であること、(5)長期保存安定性が良好であ
ること、等が挙げられる。
【0004】実際のインクジェット記録用インクとして
は、主溶剤として水を用いる水性インクと、有機溶剤を
用いる油性インクに大別される。水性インクを用いた印
刷画像は、全般に、耐水性に劣っているが、主溶剤が水
であるため安全性に優れ、かつ優れた品質の印刷画像を
提供することができることから、インクジェット記録の
主流となっている。
【0005】従来のインクジェット記録用水性インク
は、着色剤として、主に染料を用いたものである。しか
しながら、染料は画像の耐水性、耐光性が劣るという欠
点を有している。そこで、顔料を着色材としたインクの
開発が進められている。
【0006】しかしながら、顔料は本質的に水に不溶で
ある。そのため、顔料を水性媒体中に安定に分散させる
方法として、分散剤を使用する方法が研究されている。
分散剤として界面活性剤を使用した場合、顔料の水性媒
体への分散に効果があるが、水性分散体の表面張力が必
要以上に低下し、紙等の被記録媒体にインクジェット記
録を行った際に、フェザリングによる滲みの発生が顕著
になると同時に、印字濃度の低下が生じ、また、泡によ
る印字抜け等の画像不良が発生しやすい。そのため、高
分子化合物からなる分散剤を使用することが検討されて
いる。
【0007】そのような高分子分散剤としては、顔料と
親和性の高い疎水性部分と水性媒体と親和性の高い親水
性部分を共に有する共重合体が提案されている。例え
ば、特開昭56−147859号公報には、顔料、親水
性構造部分と疎水性構造部分とを共に有する重合体から
なる高分子分散剤及びN−メチル−2−ピロリドンを含
有する記録液が開示されており、特開平3−21037
3号公報及び特開平4−18461号公報には、水性媒
体中に、酸性カーボンブラック及び水溶性樹脂を含有す
るインクが開示されており、特開平11−228891
号公報には、水、水溶性有機溶媒、顔料、及び親水性部
を構成するモノマーと疎水性部を構成するモノマーとの
共重合体からなる分散剤を含有するインクジェット記録
用インクが開示されている。
【0008】これらの高分子分散剤は、確かに高分子界
面活性剤としての性質を有すると考えられるが、ランダ
ム共重合体であるため、疎水性部と親水性部に期待され
る個々の機能は十分に発揮されているとは言い難い。高
分子分散剤の活性剤としての機能をより高めるために、
疎水性部分と親水性部分を明確に分離した機能分離型の
構造化高分子分散剤を用いることが提案されている。例
えば、特開平4−227668号公報には、疎水性部分
をA、親水性部分をBとしたAB又はBABブロック共
重合体を用いたインクジェットプリンター用水性顔料イ
ンクが提案されている。このブロック共重合体は、ラン
ダム構造に比べて、単量体の配列が制御されているた
め、分散剤として理想的な構造であると言えるが、リビ
ング重合処方により合成せざるを得ず、近年リビング重
合処方の改良が提案されているものの、ランダム共重合
体の合成と比較すると複雑であり高価とならざるを得な
いといった問題の他、使用できる単量体に制限があるな
どの制約条件も多い。
【0009】これに対して、特開平6−100810号
公報には、主鎖と側鎖の機能を親水性又は疎水性に機能
分離したグラフト共重合体を使用した水性顔料インクが
開示されている。このグラフト共重合体は、マクロモノ
マー法によって合成され、親水性単量体80モル%以上
からなる親水性重合連鎖部分と、疎水性単量体80モル
%以上からなる疎水性重合性連鎖部分とからなる構造化
高分子分散剤である。
【0010】特開平6−100810号公報に記載の水
性顔料インクに用いられるグラフト共重合体は、マクロ
モノマー法を用いることによって、先のリビング重合処
方によるブロック共重合体の合成と比較して、通常のラ
ジカル重合処方により容易に合成できる利点がある。ま
た、このグラフト重合体は、幹骨格と枝骨格の親水性/
疎水性バランスを調整することにより、両親媒性とする
ことができ、分散剤として期待される親水性部と疎水性
部の個々の機能が容易に付与することができる特徴があ
る。しかしながら、「高分子加工」(第35巻、第26
2頁、1986年)には、幹骨格と枝骨格の親水性/疎
水性バランスが極端なグラフト重合体の場合、即ち、幹
ホモポリマーとマクロモノマーの相溶性が悪いグラフト
重合体の場合、幹ホモポリマーラジカルとマクロモノマ
ーとの間の反応性が劣化することが指摘されている。こ
の反応性劣化の原因は、マクロモノマーがグラフトして
いない幹成分のみのポリマー、或いはマクロモノマー同
士の重合体が生成し、目的とするグラフト共重合体以外
に、非グラフト共重合体が生成することによるものと思
われる。
【0011】以上のように、幹ポリマーとマクロモノマ
ーの相溶性を考慮しつつ、親水性/疎水性バランスを調
整し、分散剤として十分に機能するよう、水性媒体中で
微小ミセル構造となるグラフト共重合体の設計が必要で
ある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、優れた分散安定性をもった着色材を含有す
る水性分散体を提供することにある。また、本発明が解
決しようとする第2の課題は、滲みのない高解像度、高
濃度の均一な画像が得られ、ノズル先端において、イン
ク乾燥による目詰まりが発生せず、紙上における乾燥性
が良好で、常に、吐出応答性、吐出安定性が良好で、画
像の堅牢性が良好で、しかも、長期保存安定性が良好で
あるインクジェット記録用水性インクを提供することに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために、(I)分散剤の存在下に着色材を水性媒体
中に分散させた水性分散体において、分散剤が、(1)
(1-1) エチレン性不飽和結合及びアニオン性基を有する
単量体(A-1) 及び(1-2) 単量体(A-1) 以外の単量体であ
って、単量体(A-1) と共重合可能なエチレン性不飽和結
合を有する単量体(A-2) からなるセグメント(A) であっ
て、当該セグメント(A) を構成する全単量体中の親水性
単量体の割合が20〜60モル%の範囲にあるセグメン
ト(A) 及び(2)エチレン性不飽和結合及び芳香族基を
有する単量体(B-1) からなるセグメント(B) からなるグ
ラフト共重合体である水性分散体を提供する。
【0014】また、本発明は上記課題を解決するため
に、(II)上記(I)項に記載の水性分散体からなるイ
ンクジェット記録用水性インクを提供する。
【0015】
【発明の実体の形態】本発明の水分散体を構成する分散
剤は、(1)(1-1) エチレン性不飽和結合及びアニオン
性基を有する単量体(A-1) 及び(1-2) 単量体(A-1) 以外
の単量体であって、単量体(A-1) と共重合可能なエチレ
ン性不飽和結合を有する単量体(A-2)からなるセグメン
ト(A) であって、当該セグメント(A) を構成する全単量
体中の親水性単量体の割合が20〜60モル%の範囲に
あるセグメント(A) 及び(2)エチレン性不飽和結合及
び芳香族基を有する単量体(B-1) からなるセグメント
(B) からなるグラフト共重合体である。このようなグラ
フト重合体の中でも、特にセグメント(A) を主鎖とし、
セグメント(B) を側鎖とするグラフト構造を有すること
が好ましい。
【0016】セグメント(A) はエチレン性不飽和結合及
びアニオン性基を有する単量体(A-1) と、単量体(A-1)
と共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量体(A
-2)との共重合によって得られる。また、セグメント(A)
を構成する全単量体中の親水性単量体の割合は、20
〜60モル%の範囲が好ましく、25〜55モル%の範
囲が特に好ましい。
【0017】セグメント(A) を構成する単量体の内、エ
チレン性不飽和結合及びアニオン性基有する単量体(A-
1) は、カルボキシル基、スルホン酸基の如きアニオン
性基を有し、かつ、エチレン性不飽和結合を有する単量
体である。そのような単量体(A-1) としては、例えば、
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸モノエス
テル、フマル酸、フマル酸モノエステル、ビニルスルホ
ン酸、などが挙げられる。これらの単量体(A-1) の中で
も、アニオン性基がカルボキシル基である単量体を使用
することが好ましい。これらの単量体(A-1) は単独で用
いることもでき、また、2種類以上を混合して用いるこ
ともできる。
【0018】セグメント(A) を構成する単量体の内、エ
チレン性不飽和結合及びアニオン性基有する単量体(A-
1) と共重合可能なエチレン性不飽和結合を有する単量
体(A-2) としては、単量体(A-1) とは異なり、アニオン
性基を有しない単量体であり、例えば、スチレン、α−
メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン誘導体;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレ
ート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル
(メタ)アクリレート、2−メチルブチル(メタ)アク
リレート、2−エチルブチル(メタ)アクリレート、3
−メチルブチル(メタ)アクリレート、1,3−ジメチ
ルブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アク
リレート、3−ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチ
ル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレー
ト、2−エトキシエチルアクリレート、3−エトキシプ
ロピルアクリレート、2−エトキシブチルアクリレー
ト、3−エトキシブチルアクリレート、3−エトキシブ
チルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレー
ト、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、エチル−α−(ヒドロキシメチ
ル)アクリレート、メチル−α−(ヒドロキシメチル)
アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル類及びその誘導体;フェニル(メタ)アクリレート、
ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メ
タ)アクリレートの如き(メタ)アクリル酸アリールエ
ステル類及び(メタ)アクリル酸アラルキルエステル
類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
ポリエチレングリコールの如きモノ(メタ)アクリル酸
エステル類;エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、グリセリン、ビスフェノールAの如き多価アルコー
ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル類;マレイン酸ジ
アルキルエステル、などが挙げられる。これら単量体(A
-2) は単独では単独で用いることもでき、また、2種類
以上を混合して用いることもできる。
【0019】セグメント(A)を構成する全単量体中の
親水性単量体の割合を計算する際の親水性単量体には、
前記した単量体(A-1) のほか、(メタ)アクリル酸ヒド
ロキシアルキルエステル、エチレングリコール、グリセ
リン、ポリエチレングリコール等の多価アルコールのモ
ノ(メタ)アクリル酸エステル類の如き水酸基を有する
単量体;片末端アルコシキポリエチレングリコールの
(メタ)アクリル酸エステル類の如き直鎖エーテル骨格
を有する単量体;ジメチルアミノエチルメタクリレート
の如き3級アミノ基を有する単量体、などの親水性基を
有する単量体が挙げられる。
【0020】セグメント(A) を構成する全単量体中の親
水性単量体の割合が20モル%よりも少ない場合、分散
剤自体の水性媒体に対する溶解性が低下し、着色材の水
性媒体への分散状態が安定に劣るものとなるので、好ま
しくない。また、セグメント(A) を構成する全単量体中
の親水性単量体の割合が60モル%よりも多い場合、分
散剤自体の水性媒体に対する溶解性は増加するが、水溶
性が高くなりすぎて、インクジェット記録用水性インク
として使用した場合、耐水性が悪化したり、また水溶性
が高すぎる結果、着色材の水性媒体への分散に寄与せ
ず、溶解状態で水性分散対中に存在する分散剤の比率が
増加し、インク吐出安定性の劣るものとなり、特にサー
マル方式のインクジェットプリンターに使用した場合に
は、短時間内にヒーター部分でコゲーションが発生し、
不吐出等の原因となるので、好ましくない。
【0021】分散剤のセグメント(B) を構成するエチレ
ン性不飽和結合及び芳香族基を有する単量体(B-1)とし
ては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニル
トルエン、ビニルナフタレンの如き芳香族ビニル化合物
類;ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル
(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート
の如き(メタ)アクリル酸アリールエステル類、(メ
タ)アクリル酸アラルキルエステル類、などが挙げられ
る。これら単量体(B-1) は単独で用いることもでき、ま
た、2種類以上を混合して用いることもできる。
【0022】更に、セグメント(B) の着色材へのアンカ
ー機能を阻害しない範囲内で、セグメント(B) を構成す
る単量体として、他の単量体を、単量体(B-1) に対して
25モル%を上限として用いることもできる。
【0023】本発明の水性分散体で用いるグラフト重合
体を構成するセグメント(A) とセグメント(B) の割合
は、重量比で、90:10〜99:1の範囲が好まし
く、95:5〜99:1の範囲が特に好ましい。
【0024】セグメント(B) は、これを構成する単量体
中に芳香族性基を有することから、極めて疎水性が強
く、水性分散体中の着色材表面に吸着するアンカーとし
て働き、セグメント(A) は、これを構成する単量体中に
イオン性基を有することから、セグメント(B) に比較し
て親水性が強く、水性媒体中での着色材の分散状態の安
定化に効果がある。従って、本発明のセグメント(A) と
セグメント(B) から構成されるグラフト共重合体では、
分散剤としての機能が各セグメントの割合に大きく依存
しており、本発明の範囲外では、着色材が安定に分散し
た水性分散体が得られない。セグメント(A) の割合が9
0重量%よりも少ない場合、着色材を水性媒体中へ分散
させる能力が不足するために、安定な水性分散体が得ら
れない。セグメント(A) の割合が99重量%よりも多く
なった場合、セグメント(B) の割合が減少するため、分
散剤が着色材に吸着しづらくなり、分散機能が不十分と
なり、安定な水性分散体が得られない。本発明の水性分
散体をインクジェット記録用水性インクとして用いた場
合、セグメント(A) の割合が90重量%よりも少ない
と、吐出特性が劣化し、印刷物にドット抜けが顕著とな
る傾向にあり、また、セグメント(A) の割合が99重量
%よりも多いと、インク調製時に着色材が微粒子化され
にくく、また長期保管時の保存安定性に劣るものとなる
傾向にある。
【0025】本発明の水性分散体に分散剤として用いら
れるグラフト共重合体は、公知の方法を用いて合成する
ことが可能であるが、グラフト共重合体の構造制御並び
に合成の容易さから、特に、末端にエチレン性不飽和結
合を有するマクロモノマーを用いて主鎖形成用のモノマ
ーと共に共重合させる、いわゆる、マクロモノマー法が
適している。マクロモノマーの合成方法、あるいはマク
ロモノマー法によるグラフトポリマーの合成方法は、例
えば、「高分子」第31巻第988頁(1982年)に
よって開示されている。
【0026】本発明の水性分散体に用いられる分散剤の
重量平均分子量は、3,000〜50,000の範囲が
好ましく、3,000〜20,000の範囲が特に好ま
しい。分散剤の重量平均分子量が3,000未満である
場合、分子量が低すぎて、分散安定性に劣る傾向にあ
り、また、分散剤の重量平均分子量が50,000を超
える場合、粘度が高くなり、特に、水性分散体をインク
ジェット記録用水性インクとして使用した場合に、イン
クの吐出性が低下し、印字濃度の低下を招く傾向にある
ので、好ましくない。なお、本発明における重量平均分
子量は、GPC(ゲル・浸透・クロマトグラフィー)法
で測定される値とする。
【0027】本発明の水性分散体に用いられる分散剤の
酸価は、50〜300mgKOH/gの範囲にあることが
好ましく、80〜250mgKOH/gの範囲にあること
が特に好ましい。分散剤の酸価が50mgKOH/g未満
の場合、水性媒体に対する溶解性が低下し、着色材の水
性媒体に対する分散安定性が劣る傾向にあり、また、分
散剤の酸価が300mgKOH/gを超える場合、水溶性
が高くなりすぎて、インクジェット記録用水性インクと
して用いた場合に、耐水性の悪化やインクの吐出不良を
引き起こす傾向にあるので、好ましくない。
【0028】本発明の水性分散体に用いられる分散剤
は、その酸価に対して少なくとも80%中和したもので
あることが好ましい。中和は各種の塩基性物質により行
うことができるが、少なくとも1種のアルカリ金属の水
酸化物を含む塩基性物質により中和することが好まし
い。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化ナトリウ
ム、KOH、LiOHが挙げられるが、これらの中で
も、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0029】本発明の水性分散体に用いられる着色材と
しては、例えば、カーボンブラック、チタンブラック、
チタンホワイト、硫化亜鉛、ベンカラの如き無機顔料;
フタロシアニン顔料、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、キ
ナクリドン顔料の如き有機顔料;分散染料、中空微粒
子、染料又は顔料によって着色された樹脂微粒子、など
が挙げられる。
【0030】黒色顔料としては、ファーネスブラック、
ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラ
ックの如きカーボンブラック顔料が好ましい。そのよう
なカーボンブラック顔料としては、例えば、ラーベン
(Raven) 7000、ラーベン 5750、ラーベン
5250、ラーベン 5000 ウルトラ(ULTRA)I
I、ラーベン 3500、ラーベン 2500 ウルト
ラ、ラーベン 2000、ラーベン 1500、ラーベ
ン 1255、ラーベン1250、ラーベン 120
0、ラーベン 1190 ウルトラII、ラーベン 11
70、ラーベン 1080 ウルトラ、ラーベン106
0 ウルトラ、ラーベン 790 ウルトラ、ラーベン
780 ウルトラ、ラーベン 760 ウルトラ(以
上、コロンビアン・カーボン社製)、リーガル(Rega
l) 400R、リーガル 330R、リーガル 66
0R、モーグル(Mogul) L、モナーク(Monarch)
700、モナーク(Monarch) 800、モナーク 8
80、モナーク 900、モナーク 1000、モナー
ク 1100、モナーク 1300、モナーク 140
0(以上、キャボット社製)、カラー ブラック FW
1、カラーブラック FW2、カラー ブラック FW
2V、カラー ブラック 18、カラー ブラックFW
200、カラー ブラックS150、カラー ブラック
S160、カラー ブラック S170、プリンテッ
クス(Printex)35、プリンテックスU、プリンテッ
クスV、プリンテックス140U、プリンテックス14
0V、スペシャル ブラック 6、スペシャル ブラッ
ク 5、スペシャル ブラック 4A、スペシャル ブ
ラック4(以上、デグッサ社製)、No. 25、No. 3
3、No. 40、No. 45、No. 45L、No. 47、No.
52、No. 900、No. 960、No. 2300、MCF
−88、MA600、MA7、MA8、MA100(以
上、三菱化学社製)、などが挙げられる。
【0031】これらのカーボンブラックの中でも、一次
粒子径が10〜30nm、特に15〜30nmのものが
好ましい。一次粒子径が10nm未満のカーボンブラッ
クを用いた水性分散体をインクジェット記録用インクに
適用した場合、インクの粘度が高くなり、インクの吐出
性が悪化する傾向にあり、また、一次粒子径が30nm
を超えるカーボンブラックを用いた水性分散体をインク
ジェット記録用インクに適用した場合、画像濃度が不十
分となる傾向にあるので、好ましくない。
【0032】また、カーボンブラックの揮発分は、1〜
8%の範囲にあるものが好ましく、1〜6%の範囲にあ
るものが特に好ましい。揮発分が1%未満のカーボンブ
ラックを用いた場合、カーボンブラックの水に対する濡
れ性が悪く、分散性に劣る傾向にあり、また、揮発分が
6%を超えるカーボンブラックを用いた場合、カーボン
ブラック表面の酸性官能基と分散剤との反発の影響で、
分散剤ポリマーが吸着しにくくなり、安定性に劣る傾向
にあるので、好ましくない。
【0033】さらに、カーボンブラックのDBP吸油量
は、40〜80ml/100gの範囲のものが好まし
く、45〜70ml/100gの範囲のものが特に好ま
しい。DBP吸油量が40ml/100g未満のカーボ
ンブラックを用いた場合、分散性に劣り、80ml/1
00gを超えるカーボンブラックを用いた水性分散体を
インクジェット記録用インクに適用した場合、インクの
粘度が高くなり、インクの吐出性が悪化する傾向にある
ので、好ましくない。
【0034】また、シアン色の顔料としては、特に限定
されないが、例えば、C.I.ピグメント ブルー
1、C.I.ピグメント ブルー 2、C.I.ピグメ
ントブルー 3、C.I.ピグメント ブルー 15、
C.I.ピグメント ブルー15:1、C.I.ピグメ
ント ブルー 15:3、C.I.ピグメント ブルー
15:34、C.I.ピグメント ブルー 16、
C.I.ピグメントブルー 22、C.I.ピグメント
ブルー 60、などが挙げられる。
【0035】また、マゼンタ色の顔料としては、特に限
定されないが、例えば、C.I.ピグメント レッド
5、C.I.ピグメント レッド 7、C.I.ピグメ
ントレッド 12、C.I.ピグメント レッド 4
8、C.I.ピグメント レッド 48:1、C.I.
ピグメント レッド 57、C.I.ピグメント レッ
ド 112、C.I.ピグメント レッド 122、
C.I.ピグメント レッド 123、C.I.ピグメ
ント レッド 146、C.I.ピグメント レッド
168、C.I.ピグメント レッド 184、C.
I.ピグメント レッド 202、などが挙げられる。
【0036】また、イエローの顔料としては、特に限定
されないが、例えば、C.I.ピグメント イェロー
1、C.I.ピグメント イェロー 2、C.I.ピグ
メント イェロー 3、C.I.ピグメント イェロー
12、C.I.ピグメントイェロー 13、C.I.
ピグメント イェロー 14、C.I.ピグメントイェ
ロー 16、C.I.ピグメント イェロー 17、
C.I.ピグメントイェロー 73、C.I.ピグメン
ト イェロー 74、C.I.ピグメントイェロー 7
5、C.I.ピグメント イェロー 83、C.I.ピ
グメントイェロー 93、C.I.ピグメント イェロ
ー 95、C.I.ピグメントイェロー 97、C.
I.ピグメント イェロー 98、C.I.ピグメント
イェロー 114、C.I.ピグメント イェロー 1
28、C.I.ピグメント イェロー 129、C.
I.ピグメント イェロー 151、C.I.ピグメン
ト イェロー 154、などが挙げられる。
【0037】さらに、着色材としては、これらの黒色、
シアン、マゼンタ、イエローの3原色顔料の他、赤、
緑、青、茶、白などの特定色顔料や、金、銀色などの金
属光沢顔料、無色の体質顔料、プラスチックピグメン
ト、などを使用することができる。また、これらに限定
されず、新たに合成した顔料を用いることもできる。
【0038】本発明の水性分散体中の分散剤の使用量
は、水性分散体の全重量に基づいて、0.05〜15重
量%の範囲が好ましく、0.1〜10重量%の範囲が特
に好ましい。水性分散体中の分散剤の使用量が0.05
重量%よりも少ない場合、着色材の分散が不安定となり
やすく、水性分散体中の分散剤の使用量が15重量%よ
りも多い場合、水性分散体の粘度が高くなりすぎる傾向
があり、特に本発明の水性分散体をインクジェット記録
用水性インクとして用いた場合、インク吐出性が低下し
たり、画質が低下する場合があるので好ましくない。
【0039】また、本発明の水性分散体中の着色材の使
用量は、水性分散体の全重量に基づいて、0.5〜15
重量%の範囲が好ましく、0.5〜10重量%の範囲が
特に好ましい。着色材の使用量が0.5重量%よりも少
ない場合、着色が不十分であり、特に本発明の水性分散
体をインクジェット記録用水性インクとして用いた場
合、十分な画像濃度が得られない傾向があるので好まし
くない。着色材の使用量が15重量%よりも多い場合、
水性分散体の粘度が粘度が高くなりすぎる傾向があり、
また分散安定性の劣化を引き起こす傾向があり、特に本
発明の水性分散体をインクジェット記録用水性インクと
して用いた場合、インク吐出性の劣化を引き起こす傾向
があるので好ましくない。
【0040】また、本発明の水性分散体中の分散剤の割
合は、着色材100重量部に対して30〜150重量部
の範囲が好ましく、40〜100重量部の範囲が特に好
ましい。水性分散体中の分散剤の割合が、着色材100
重量部に対して30重量部よりも少ないと、着色材の分
散が不安定となりやすく、特に本発明の水性分散体をイ
ンクジェット記録用水性インクとして用いた場合、画質
が低下するので好ましくない。水性分散体中の分散剤の
割合が、着色材100重量部に対して150重量部より
も多いと、着色が不足する傾向があり、特に本発明の水
性分散体をインクジェット記録用水性インクとして用い
た場合、画質が低下する場合があり、またノズル詰まり
がしやすくなる傾向があり好ましくない。
【0041】本発明の水性分散体において使用される水
性媒体は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒である。水
性媒体に用いる水は、種々のイオンを含む一般の水では
なく、脱イオン水を使用することが好ましい。水溶性有
機溶剤は、水性分散体の乾燥防止や、記録液として用い
たときの被記録媒体への浸透性改良を目的として使用さ
れる。乾燥防止目的用の有機溶剤としては、通常、水の
沸点以上の沸点を有するものが使用される。このような
ものとしては、従来知られている公知慣用のものがいず
れも使用できるが、例えば、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレ
ングリコール、グリセリンの如き多価アルコール類、な
どが挙げられる。浸透性改良目的の有機溶剤としては、
例えば、エタノール、イソプロピルアルコールの如き低
級アルコール;エチレングリコールヘキシルエーテルや
ジエチレングリコールブチルエーテルの如きアルキルア
ルコールのエチレンオキシド付加物;プロピレングリコ
ールプロピルエーテルの如きアルキルアルコールのプロ
ピレンオキシド付加物、などが挙げられる。
【0042】水性分散体中の乾燥防止目的用の有機溶剤
を使用する場合の添加量は、1〜80重量%の範囲が好
ましく、また、浸透剤として用いる有機溶剤を使用する
場合の添加量は、0.01〜10重量%の範囲が好まし
い。
【0043】本発明の水性分散体には、必要に応じて公
知慣用な酸化防止剤、防かび剤、粘度調整剤、水溶性染
料、などを添加することもできる。
【0044】本発明のインクジェット記録用水性インク
には、表面張力等のインク特性を調整するために、界面
活性剤を添加することもできる。界面活性剤の添加する
場合の添加量は、インクの全重量に対し、0.001〜
1重量%の範囲が好ましく、0.001〜0.5重量%の
範囲が特に好ましく、0.01〜0.2重量%の範囲が更
に好ましい。界面活性剤の添加量が0.001重量%未
満の場合、添加の効果が得られない傾向にあり、また、
1重量%を超える場合、画像が滲む、などの問題が生じ
易くなるので、好ましくない。
【0045】本発明のインクジェット記録用水性インク
に添加することができる界面活性剤としては、特に限定
されず、各種のアニオン性界面活性剤、ノニオン性界面
活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、など
が挙げられ、これらの中でも、アニオン性界面活性剤、
ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。
【0046】アニオン性界面活性剤としては、例えば、
アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルフェニルスル
ホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、高級脂肪
酸塩、高級脂肪酸エステルの硫酸エステル塩、高級脂肪
酸エステルのスルホン酸塩、高級アルコールエーテルの
硫酸エステル塩及びスルホン酸塩、高級アルキルスルホ
コハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカル
ボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸
塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエ
ーテルリン酸塩等が挙げられ、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸塩、イソプロピルナフタレンスルホン酸塩、モノブ
チルフェニルフェノールモノスルホン酸塩、モノブチル
ビフェニルスルホン酸塩、モノブチルビフェニルスルホ
ン酸塩、ジブチルフェニルフェノールジスルホン酸塩、
などが挙げられる。
【0047】ノニオン性界面活性剤としては、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチ
レンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂
肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシ
エチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレ
ンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エス
テル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、
ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエ
チレン脂肪酸アミド、アルキルアルカノールアミド、ア
セチレングリコール、アセチレングリコールのオキシエ
チレン付加物、ポリエチレングリコールポリプロピレン
グリコールブロックコポリマー、などが挙げられ、これ
らの中でも、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポ
リオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪
酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエ
チレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルキロール
アミド、アセチレングリコール、アセチレングリコール
のオキシエチレン付加物、ポリエチレングリコールポリ
プロピレングリコールブロックコポリマーが好ましい。
【0048】その他の界面活性剤として、ポリシロキサ
ンオキシエチレン付加物の如きシリコーン系界面活性
剤;パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロ
アルキルスルホン酸塩、オキシエチレンパーフルオロア
ルキルエーテルの如きフッ素系界面活性剤;スピクリス
ポール酸、ラムノリピド、リゾレシチンの如きバイオサ
ーファクタント、などを使用することもできる。
【0049】これらの界面活性剤は、単独で用いること
もでき、また、2種類以上を混合して用いることもでき
る。
【0050】また、界面活性剤のHLBは、溶解安定性
等を考慮すると、7〜20の範囲であるものが好まし
い。
【0051】本発明の水分散体は、例えば、以下の製造
方法に従って、調製することができる。
【0052】(1)少なくとも水を含む水性媒体、グラ
フト共重合体からなる分散剤及び分散剤の中和に必要な
塩基を含有する水性媒体中に、着色材を添加した後、各
種の撹拌、分散装置を用いることによって、着色材を被
分散物とする水性分散体を調製する方法。
【0053】(2)予め着色材と分散剤を2本ロール、
ミキサー等で予備混練を行ってから、得られた混練物を
少なくとも水と分散剤を中和するのに必要な塩基を含む
水性媒体中に添加し、撹拌、分散装置を用いて水性分散
体を調製する方法。
【0054】(3)メチルエチルケトン、テトラヒドロ
フラン(THF)の如き、水と相溶性を有する有機溶剤
に分散剤を溶解させた溶液に、着色材を添加した後、撹
拌・分散装置を用いて分散体を調製した後、分散剤を中
和するのに必要な塩基を溶解させた水性媒体を用いて転
相乳化法により、水性分散体を調製する方法。
【0055】撹拌、分散装置としては、例えば、超音波
ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、ペイントシェー
カー、ボールミル、ロールミル、サンドミル、サンドグ
ラインダー、ダイノーミル、ディスパーマット、SCミ
ル、ナノマイザー、などが挙げられる。これらの撹拌、
分散装置は、単独で用いることもでき、また、2種類以
上装置を組み合わせても良い。
【0056】なお、水性分散体をインクジェット記録用
水性インクとして用いる場合には、粗大粒子が、ノズル
詰まり、などの画像特性を劣化させる要因となるため、
分散処理終了後、あるいは分散処理終了後に必要な添加
剤を混合した後、遠心分離又は濾過処理等により粗大粒
子を除去することが好ましい。
【0057】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説
明する。なお、以下の実施例において、「部」及び
「%」は、特に断りがない限り、重量部基準である。
【0058】<実施例1> (グラフト共重合体(C1)の合成)メチルエチルケト
ン100部を窒素雰囲気下、80℃に保ちながら、スチ
レン72部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部、
片末端にメタクリロイル基を有するスチレン共重合体マ
クロモノマー(東亞合成化学社製の「AS−6」)5部
及び重合触媒(日本油脂社製の「パーブチルO」)10
部からなる混合物を2時間かけて滴下した。滴下終了
後、同温度でさらに20時間反応を続けた。なお、反応
の途中において、原料の消費状況を確認しながら、適
時、重合触媒を追加した。
【0059】このようにして、主鎖骨格を形成するセグ
メント(A) 中の親水性単量体の割合が29.5モル%、
セグメント(A) :セグメント(B) =95:5(重量比)
のグラフト共重合体(C1)を固形分として50%含有
するメチルエチルケトン溶液(D1)を得た。得られた
グラフト共重合体(C1)の重量平均分子量は11,5
00、酸価は149mgKOH/gであった。
【0060】(水性分散体の調製)メチルエチルケトン
溶液(D1)100部に、水319部及び水酸化ナトリ
ウム5.31部からなる水溶液を撹拌しながら加えた
後、メチルエチルケトンを減圧下で留去して、固形分1
8.1%を含む水溶液(E1)を得た。
【0061】次に、この水溶液(E1)を用い、以下の
組成の仕込みを行った後、「ディスパーメイト(Disper
mat)VL−01M(ゲットマン(Getmann)社製)を用
いて以下の条件で分散処理を行った。
【0062】 グラフト共重合体(C1) 20部 カーボンブラック(三菱化学社製#45L) 40部 ジエチレングリコール 40部 水 140部 ジルコニアビーズ(1.25mm径) 350部 ビーズ体積充填率 40% 温度 10℃ 回転数 6,000回転/分 時間 2時間
【0063】分散処理終了後、ジエチレングリコール4
0部及び水120部からなる水性媒体を追加投入して混
合した後、遠心分離処理(12,000回転/分、20
分)を行ない、更に、ポアサイズ5μmのメンブランフ
ィルター、次いでポアサイズ1.2μmのメンブランフ
ィルターを用いて濾過して粗大粒子を除去することによ
って、水性カーボンブラック分散液(F1)を得た。
【0064】(インクジェット記録用水性インクの調
製)水性カーボンブラック分散液(F1)50部、水4
3部及びグリセリン7部を混合した後、ポアサイズ1.
2μmのメンブランフィルター、次いでポアサイズ0.
8μmのメンブランフィルターを用いて濾過することに
よってインクジェット記録用水性インク(G1)を調製
した。
【0065】<実施例2> (グラフト共重合体(C2)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン76部及び「AS−6」
1部を用いた以外は、実施例1と同様にして、主鎖骨格
を形成するセグメント(A) 中の親水性単量体の割合が2
8.4モル%、セグメント(A) :セグメント(B) =9
9:1重量比のグラフト共重合体(C2)を固形分とし
て52%含むメチルエチルケトン溶液(D2)を得た。
得られたグラフト共重合体(C2)の重量平均分子量は
10,100、酸価は153mgKOH/gであった。
【0066】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
2)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水340部
及び水酸化ナトリウム5.67部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分18.0%を
含む水溶液(E2)を得た。
【0067】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E2)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C2)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
2)を得た。
【0068】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F2)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G2)を調製した。
【0069】<実施例3> (グラフト共重合体(C3)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン69部及び「AS−6」
8部を用いた以外は、実施例1の「グラフト共重合体
(C1)の合成」と同様にして、主鎖骨格を形成するセ
グメント(A) 中の親水性単量体の割合が30.4モル
%、セグメント(A) :セグメント(B) =92:8重量比
のグラフト共重合体(C3)を固形分として51%含む
メチルエチルケトン溶液(D3)を得た。得られたグラ
フト共重合体(C3)の重量平均分子量は10,20
0、酸価は152mgKOH/gであった。
【0070】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
3)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水330部
及び水酸化ナトリウム5.53部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分17.3%を
含む水溶液(E3)を得た。
【0071】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E3)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C3)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
3)を得た。
【0072】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F3)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G3)を調製した。
【0073】<実施例4> (グラフト共重合体(C4)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン57部、メチルメタクリ
レート17部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部
及び「AS−6」3部を用いた以外は、実施例1と同様
にして、主鎖骨格を形成するセグメント(A) 中の親水性
単量体の割合が28.8モル%、セグメント(A) :セグ
メント(B) =97:3重量比のグラフト共重合体(C
4)を固形分として52%含むメチルエチルケトン溶液
(D4)を得た。得られたグラフト共重合体(C4)の
重量平均分子量は11,200、酸価は150mgKOH
/gであった。
【0074】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
4)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水330部
及び水酸化ナトリウム5.56部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分17.7%を
含む水溶液(E4)を得た。
【0075】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E4)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C4)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
4)を得た。
【0076】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F4)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G4)を調製した。
【0077】<実施例5> (グラフト共重合体(C5)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン47部、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート27部、アクリル酸10部、メタ
クリル酸13部及び「AS−6」3部を用いた以外は、
実施例1と同様にして、主鎖骨格を形成するセグメント
(A) 中の親水性単量体の割合が52.4モル%、セグメ
ント(A) :セグメント(B) =97:3重量比のグラフト
共重合体(C5)を固形分として53%含むメチルエチ
ルケトン溶液(D5)を得た。得られたグラフト共重合
体(C5)の重量平均分子量は12,800、酸価は1
50mgKOH/gであった。
【0078】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
5)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水340部
及び水酸化ナトリウム5.67部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分18.1%を
含む水溶液(E5)を得た。
【0079】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E5)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C5)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
5)を得た。
【0080】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F5)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G5)を調製した。
【0081】<実施例6> (グラフト共重合体(C6)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン66.5部、アクリル酸
15部、メタクリル酸15部及び「AS−6」3.5部
を用いた以外は、実施例1と同様にして、主鎖骨格を形
成するセグメント(A)中の親水性単量体の割合が37.
5モル%、セグメント(A) :セグメント(B) =96.
5:3.5重量比のグラフト共重合体(C6)を固形分
として53%含むメチルエチルケトン溶液(D6)を得
た。得られたグラフト共重合体(C6)の重量平均分子
量は11,100、酸価は194mgKOH/gであっ
た。
【0082】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
6)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水400部
及び水酸化ナトリウム7.33部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分15.8%を
含む水溶液(E6)を得た。
【0083】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E6)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C6)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
6)を得た。
【0084】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F6)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G6)を調製した。
【0085】<実施例7>実施例1の「グラフト共重合
体(C1)の合成」において、スチレン72部、アクリ
ル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS−6」5部
に代えて、スチレン66.2部、ブチルアクリレート7
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」3.8部を用いた以外は、実施例1と同様にし
て、主鎖骨格を形成するセグメント(A) 中の親水性単量
体の割合が29.6モル%、セグメント(A) :セグメン
ト(B) =96.2:3.8重量比のグラフト共重合体
(C7)を固形分として50%含むメチルエチルケトン
溶液(D7)を得た。得られたグラフト共重合体(C
7)の重量平均分子量は11,100、酸価は150mg
KOH/gであった。
【0086】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
7)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水330部
及び水酸化ナトリウム5.35部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分17.0%を
含む水溶液(E7)を得た。
【0087】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E7)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C7)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
7)を得た。
【0088】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F7)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G7)を調製した。
【0089】<実施例8> (水性分散体の調製)実施例1の「水性分散体の調製」
において、カーボンブラック(三菱化学社製#45L)
40部に代えて、カーボンブラック(三菱化学社製#9
60)を用いた以外は、実施例1と同様にして、水性カ
ーボンブラック分散液(F8)を得た。
【0090】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F8)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G8)を調製した。
【0091】<比較例1> (ランダム共重合体(C7)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン77部、アクリル酸10
部及びメタクリル酸13部を用いた以外は、実施例1と
同様にして、ランダム共重合体(C7)を固形分として
50%含むメチルエチルケトン溶液(D7)を得た。得
られたランダム共重合体(C7)の重量平均分子量は1
1,600、酸価は151mgKOH/gであった。
【0092】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
7)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水320部
及び水酸化ナトリウム5.38部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分18.4%を
含む水溶液(E7)を得た。
【0093】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E7)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、ランダム共重合体(C7)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
8)を得た。
【0094】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F8)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G8)を調製した。
【0095】<比較例2> (グラフト共重合体(C8)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン57部、メチルメタクリ
レート26.2部、アクリル酸6部、メタクリル酸7.
8部及び「AS−6」3部を用いた以外は、実施例1の
グラフト共重合体(C1)と同様にして、主鎖骨格を形
成するセグメント(A) 中の親水性単量体の割合が17.
7モル%、セグメント(A) :セグメント(B) =97:3
重量比のグラフト共重合体(C8)を固形分として50
%含むメチルエチルケトン溶液(D8)を得た。得られ
たグラフト共重合体(C8)の重量平均分子量は10,
300、酸価は93mgKOH/gであった。
【0096】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
8)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水300部
及び水酸化ナトリウム3.31部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分18.6%を
含む水溶液(E8)を得た。
【0097】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E8)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C8)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F
9)を得た。
【0098】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F9)を用いた以外は、実
施例1と同様にして、インクジェット記録用水性インク
(G9)を調製した。
【0099】<比較例3> (グラフト共重合体(C9)の合成)実施例1の「グラ
フト共重合体(C1)の合成」において、スチレン72
部、アクリル酸10部、メタクリル酸13部及び「AS
−6」5部に代えて、スチレン39.5部、2−ヒドロ
キシエチルメタクリレート27部、アクリル酸15部、
メタクリル酸15部及び「AS−6」3.5部を用いた
以外は、実施例1と同様にして、主鎖骨格を形成するセ
グメント(A) 中の親水性単量体の割合が60.9モル
%、セグメント(A) :セグメント(B) =96.5:3.
5重量比のグラフト共重合体(C9)を固形分として5
2%含むメチルエチルケトン溶液(D9)を得た。得ら
れたグラフト共重合体(C9)の重量平均分子量は1
2,000、酸価は198mgKOH/gであった。
【0100】(水性分散体の調製)実施例1の「水性分
散体の調製」において、メチルエチルケトン溶液(D
1)100部に代えて、メチルエチルケトン溶液(D
9)100部を用い、かつ、水319部及び水酸化ナト
リウム5.31部からなる水溶液に代えて、水350部
及び水酸化ナトリウム7.34部からなる水溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、固形分17.3%を
含む水溶液(E9)を得た。
【0101】さらに、水溶液(E1)に代えて、水溶液
(E9)を用い、かつ、グラフト共重合体(C1)に代
えて、グラフト共重合体(C9)を用いた以外は、実施
例1と同様にして、水性カーボンブラック分散液(F1
0)を得た。
【0102】(インクジェット記録用水性インクの調
製)実施例1の「インクジェット記録用水性インクの調
製」において、水性カーボンブラック(F1)に代え
て、水性カーボンブラック(F10)を用いた以外は、
実施例1と同様にして、インクジェット記録用水性イン
ク(G10)を調製した。
【0103】《評価試験》 (評価試験1:水性分散体の粒径)得られた水性分散体
に水を加えて1,000倍に希釈を行った後、「マイク
ロトラックUPA150」(リージ・アンド・ノースラ
ップ(Leeds & Northrup)社製)を用いて、水性分散体
の粒径を測定した。
【0104】(評価試験2:水性分散体の分散安定性)
得られた水性分散体を密閉状態で1ヶ月放置した後、顔
料粒子の凝集が発生したモノを「×」、発生しなかった
ものを「○」とそれぞれ評価した。
【0105】(評価試験3:再溶解性試験)得られたイ
ンクジェット記録用水性インクを60℃で1時間乾燥さ
せた後、再度水に溶解させて、粒径を測定した。この評
価試験は、ノズル詰まりの回復性評価を代用したもので
ある。
【0106】次に、得られたインクジェット記録用水性
インクを、インクジェットプリンター「ノバ・ジェット
(NOVA Jet)PRO36」(ENCAD社製)を用い
て、各種インクジェット記録特性の評価を行なった。
【0107】(評価試験4:インクジェット記録特性:
印字濃度)黒ベタ画像印刷を行ない、その画像濃度をマ
クベス反射濃度計「RD918」(マクベス(Macbet
h)社製)を用いて測定した。
【0108】(評価試験5:インクジェット記録特性:
画像特性)黒ベタ画像印刷時に画像濃度ムラ・白スジの
発生状況を、発生のないものを○、僅かに認められるも
のを△、明らかに認められるものを×とした。
【0109】(評価試験6:インクジェット記録特性:
ノズル詰まり)A0サイズ用紙の80%面積範囲に黒ベ
タ画像を印字した後、ノズル毎のインク吐出を行い、詰
まり発生ノズル数をカウントした。なお、全ノズル数は
56である。
【0110】以上の評価試験結果を表1にまとめて示し
た。
【0111】
【表1】
【0112】表1に示した結果から、本発明の水性分散
体は、長期間保存しても着色材の沈降が認められないの
で、分散安定性に優れており、また、インクジェット記
録用水性インクに適用した場合においても、ノズルの詰
まりがなく、長期間のプリンターの使用を休止した後の
再使用時のノズル詰まりの回復性にも優れており、画像
濃度及び画像品質に優れていることが理解できる。これ
に対し、比較例1の材料は、ランダム共重合体を分散剤
として用いているので、分散安定性に劣り、また、イン
クジェット記録用水性インクに適用した場合において
も、ノズルの詰まりが認められ、長期間のプリンターの
使用を休止した後の再使用時のノズル詰まりの回復性に
も劣っており、画像濃度及び画像品質にも劣っているこ
とが理解できる。
【0113】比較例2の材料は、分散剤として用いるグ
ラフト共重合体中のセグメント(A)を構成する全単量
体中の親水性単量体の割合が20モル%よりも少ないの
で、分散安定性に劣り、インクジェット記録用水性イン
クに適用した場合においても、ノズルの詰まりが認めら
れ、画像濃度及び画像品質にも劣っていることが理解で
きる。
【0114】比較例3の材料は、分散剤として用いるグ
ラフト共重合体中のセグメント(A)を構成する全単量
体中の親水性単量体の割合が60モル%よりも多いの
で、インクジェット記録用水性インクに適用した場合に
おいて、ノズルの詰まりが認められ、長期間のプリンタ
ーの使用を休止した後の再使用時のノズル詰まりの回復
性にも劣っており、画像濃度及び画像品質にも劣ってい
ることが理解できる。
【0115】
【発明の効果】本発明によれば、小粒径な着色材を含む
水性分散体が得られる。この水性分散体は長期間放置し
ても、着色材の沈降が認められず、分散安定性の優れた
ものである。また、本発明の水性分散体をインクジェッ
ト記録用水性インクとして用いた場合、十分な濃度をも
った均一性の高い画像が得られ上に、画像欠陥発生原因
の一つであるノズル詰まりも無いインクが得られ、ま
た、長期間のプリンター休止後の再使用時のノズル詰ま
りの回復性に優れたインクが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 FC01 2H086 BA01 BA55 BA59 BA62 4J037 AA02 AA11 AA15 AA21 AA22 CB28 CC18 DD24 EE28 EE43 FF05 FF15 FF22 4J039 AD17 BA04 BE01 BE22 CA06 EA10 EA19 EA36 EA41 EA42 EA44 EA47 GA24

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散剤の存在下に着色材を水性媒体中に
    分散させた水性分散体において、分散剤が、(1)(1-
    1) エチレン性不飽和結合及びアニオン性基を有する単
    量体(A-1) 及び(1-2) 単量体(A-1) 以外の単量体であっ
    て、単量体(A-1) と共重合可能なエチレン性不飽和結合
    を有する単量体(A-2) からなるセグメント(A) であっ
    て、当該セグメント(A) を構成する全単量体中の親水性
    単量体の割合が20〜60モル%の範囲にあるセグメン
    ト(A)及び(2)エチレン性不飽和結合及び芳香族基を
    有する単量体(B-1) からなるセグメント(B)からなるグ
    ラフト共重合体であることを特徴とする水性分散体。
  2. 【請求項2】 グラフト共重合体が、セグメント(A) を
    主鎖とし、セグメント(B) を側鎖とするグラフト共重合
    体である請求項1記載の水性分散体。
  3. 【請求項3】 単量体(A-1) が有するアニオン性基がカ
    ルボキシル基である請求項1又は2記載の水性分散体。
  4. 【請求項4】 グラフト共重合体のセグメント(A) とセ
    グメント(B) の割合が重量比で90:10〜99:1の
    範囲にある請求項1、2又は3記載の水性分散体。
  5. 【請求項5】 中和されたアニオン性基がアルカリ金属
    塩である請求項4記載の水性分散体。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水
    性分散体からなることを特徴とするインクジェット記録
    用水性インク。
  7. 【請求項7】 着色剤が顔料である請求項6記載のイン
    クジェット記録用水性インク。
  8. 【請求項8】 顔料がカーボンブラックである請求項7
    記載のインクジェット記録用水性インク。
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